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LED照明

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LED照明
平成21年度
特許出願技術動向調査報告書
LED照明
(要約版)
<目次>
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
調査概要............................................ 1
特許動向............................................ 4
研究開発動向........................................23
政策動向............................................28
市場環境............................................33
総合分析............................................36
平成22年4月
特
許
庁
問い合わせ先
特許庁総務部企画調査課 技術動向班
電話:03-3581-1101(内線2155)
第1章
調査概要
第1節
調査目的
近年の省エネへの意識の高まりを受けて、消費電力の低い LED 照明に注目が集まってお
り、照明業界各社が LED 照明の商品開発にしのぎを削っている。この LED 照明は、将来、
白熱灯や蛍光灯に代わるものと期待されており、特に国内で白色 LED の出力向上等の技術
開発が活発に進められ、照明としての適用範囲も多岐に渡ってきている。また、特許情報か
ら技術全体を俯瞰し、経済情報・産業情報を踏まえた技術開発の進展状況・方向性を把握す
ることは、特許庁における審査体制の構築や的確かつ効率的な審査等のための基礎資料を整
備する上で必要である。さらに、今後、我が国の産業が持続的に発展していくためには、新
規事業の創出が不可欠であり、そのためには、企業や大学・公的研究機関等の技術開発を支
援していく必要がある。特許情報はこれら企業等が研究開発動向を把握し、技術開発の方向
性を決定していく上でも重要なものである。
このような観点から本調査では、近年、特に注目されている「LED 照明」の分野について
調査分析を行うものとする。具体的には、LED 照明に関する特許動向、研究開発動向、政策
動向、市場環境を調査し、技術革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について検討す
る。なお、本調査では、一部例外を除き、屋内、屋外、自動車用等の照明用途を対象とし、
液晶ディスプレイ用バックライト、LED 映像装置、電光掲示板、広告・宣伝用に使用される
サイン等の表示用途を対象外とする。
第2節
技術概要
1.LED 照明に関する技術の変遷
LED 照明は「第4世代」の照明と呼ばれており(第1世代:ロウソク、第2世代:白熱灯、
第3世代:蛍光灯)、高効率で発光する LED 素子が開発されて実現可能となった照明である。
LED 素子(電圧をかけるといろいろな色に発光する固体の存在)は 1907 年に発見されて
いたが、当時は発光原理もよくわかっておらず、かすかな発光であったため、当然照明への
応用もなかった。第二次大戦後 Ge,Si とⅣ族の単結晶を用いた半導体が実用化される中、固
体物理学を中心に理論的解明も進み、化合物半導体等の直接遷移物質を利用することで固体
発光が望めることが原理的にも明らかになり、1962 年ニック・ホロニアックにより、赤色・
赤外発光する LED が初めて開発された。
1970 年代に入り、ようやく LED 光源を用いる機器や装置が使用されるようになったが、
当時の発光効率は大半が1lm/W 以下と非常に低く、使用範囲が限定されていた。専ら屋内
で、家電製品のパイロットランプ、電子部品の稼動状態を示すインジケータ、クリスマスツ
リー等のイルミネーションとして、砲弾型の LED モジュールが、また、電卓およびデジタ
ル時計の数字表示用に7セグメントディスプレイが使用されていたに過ぎなかった。
1980 年代後半になり、高効率で発光する赤色 LED 素子が開発され、初めて屋外で使用可
能な明るさとなり、続いて 1990 年代に高効率で発光する橙色、黄緑色の LED 素子が開発さ
れ、自動車のブレーキランプや方向指示器、道路標識、および本調査対象範囲外であるが、
電車やバス内での電光表示等に使用されるようになった。
その後、青色 LED の結晶膜の成長方法に関する発明を使用した製品が 1993 年に発売され、
素子段階での発光効率の向上が進み、青色光と青色光に励起され黄色く発光する YAG 蛍光
- 1 -
体との組合せで白色光を発光させる LED モジュールが発売されたことをきっかけに、LED
を使用する多様な製品が市場に出回るようになり、交通信号灯や、道路等に大掛かりなアー
チ型の電飾照明を取り付けるイベント等に使用されてきた。また、白色 LED の発光効率も
10 lm/W を超えるようになったことから、ようやく LED を用いる一般照明への検討が行わ
れるようになった。
また、本調査対象範囲外であるが、1990 年代後半から白色 LED が小型液晶画面用のバッ
クライトとして使用されている。小型液晶画面はバッテリーを電源としており、バックライ
ト用電力がバッテリーによる駆動可能時間を決める重要な要素となっているため、消費電力
の少ない光源が求められていたことによる。液晶用バックライトに必要な発光量は屋内外で
使用する一般照明に比べるとはるかに少なく、発光量が少ない場合には LED 素子に流す電
流も少なくて済むことになる。そして、電流が少なくて済めば、素子の温度上昇も少なく、
LED 素子を発光効率が高い状態に保つことが可能になる。
小型液晶画面用のバックライトの低消費電力化が白色 LED により成し遂げられてきたこ
とは、日本で 1996~1997 年に携帯電話の利用が爆発的に広まった要因の一つである。また、
世界的にも 2000 年前後に携帯電話の普及が拡大しており、現在生産されている白色 LED モ
ジュールの大半がこの小型液晶画面のバックライトとしての用途である。
2000 年代に入り、LED 照明の総合発光効率が白熱電球やハロゲンランプを上回るように
なり、バッテリー駆動が必要で低消費電力化が望まれる自動車用光源(但し、ヘッドランプ
への適用は 2007 年以降)や、太陽電池と組み合わせた屋外小型照明光源としての利用が広
まった。
一般照明用としては、2009 年に入り、蛍光ランプ並みの総合発光効率が達成され、白熱電
球 60W クラスの明るさで 4,000 円を切る価格の電球形 LED ランプ(いわゆる LED 電球)が
相次いで発売され、注目を集めている。この一般照明用の電球形 LED ランプを製造・販売
しているメーカーには大手の照明機器メーカーが揃っており、LED の一般照明は普及段階に
差し掛かっていると言える。
LED 照明器具の総合発光効率が今後蛍光灯を上回ることは確実と考えられ、寿命も既存光
源と比べ、格段に長く、地球温暖化対策の一環としても普及が望まれている。
第 1-1 図に LED 照明の用途別の実用化時期を示す。
第 1-1 図
1960
開発トピックス
LED 照明の用途別の実用化時期
1970
⊡62(最初の発光)
1980
1990
2000
2010
(高効率発光(赤))
⊡
⊡93(青色実用化)
97(蛍光体利用(白))
⊡ 現状(高効率化(白))
インジケータ等
イルミネーション等
実 車(前照灯以外)
車(前照灯)
用
交通信号灯
化 低輝度一般照明
街灯
一般照明
- 2 -
2.調査対象
LED 照明に関する技術には、LED 素子(発光する半導体素子)、パッケージ(LED 素子
を基板に接合・結線し、樹脂封止等を施した LED 単体)、モジュール(用途に合わせて、単
体の LED を集積したり、他の部材と組み合わせたもの)、照明器具(最終製品)に至るまで
の、それらに関する材料、光学、熱、電気回路、制御、アセンブル等の技術が含まれる。ま
た、用途としては、屋内、屋外、自動車用等の照明、液晶ディスプレイ用バックライト、LED
映像装置、電光掲示板、広告・宣伝用に使用されるサイン等が含まれる。
その中で本調査においては、LED 照明に関する技術では、最終製品である照明器具を組み
立てる技術、いわゆる川下分野の技術を、用途では一部例外はあるが、表示用途よりも照明
用途の意味合いが強いものを対象とする。
そこで、技術については、基本的にはモジュールや照明器具に関する材料、光学、熱、ア
センブル技術を対象とし、LED 素子、パッケージの技術や、電気回路、制御に関する技術を
対象外とする。また、用途については、屋内、屋外、自動車用等の照明を対象とし、液晶デ
ィスプレイ用バックライト、LED 映像装置、電光掲示板、広告・宣伝用に使用されるサイン
を対象外とする。
本調査対象に含まれる LED 照明の目的(課題)、解決技術、応用産業(用途)の関係を説
明する技術俯瞰図を第 1-2 図に示す。
第 1-2 図
目的(課題)
照明光特性向上
・演色性向上
・面発光化/線発光化
・指向性(広角化/平行化)
・視認性向上
・輝度/照度の均一化 等
小型化
・光源部の小型化 等
既存光源代替
・白熱電球代替
・蛍光ランプ代替 等
経済性向上
・総合発光効率向上
・イニシャルコスト低減
・耐久性向上
・保守性/更新性向上 等
その他
・放熱性向上
・安全性確保
・美観/意匠性の創出 等
技術俯瞰図(調査対象と応用産業との関係)
解決技術
応用産業(用途)
光学技術
・反射体/レンズ
・遮光板/拡散手段
・フィルター/カバー
・光ファイバー/導光体
・蛍光体 等
熱技術
・冷却手段
・ヒートシ ンク/熱 伝導
部材
・冷却装置 等
アセンブル技術
・光源(素子)実装
・部品アセンブル
・照明器具ア センブル
等
住宅/建築産業
・オフィス/店舗照明
・住宅照明
・工場照明
等
インフラ関連産業
・街路照明
・広場/公園照明
・道路/交通照明
等
自動車産業
・リアランプ
・方向指示器
・ヘッドランプ
・フォグランプ
・室内灯 等
注)用途については、上記以外にも、演出性照明(イルミネーション、景観照明 等)、自動車以外の移動体用照
明(鉄道、二輪車、飛行機、船舶 等)、可搬型照明(懐中電灯、電気スタンド 等)、電子機器・電気機器
用照明(カメラ光源、プロジェクタ光源、家電の庫内照明、電子機器のキー照明 等)
、特殊用途照明(農水
産業用照明、医療・科学分野用照明、美術品鑑賞用照明 等)等を対象とする。
- 3 -
第2章
第1節
特許動向
調査方法
特許情報収集に使用するデータベースは、日本特許は PATOLIS(株式会社パトリス)、外
国特許は DWPI(トムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社)とした。調査対象は
1990~2007 年に出願された特許、具体的には、日本特許は 2009 年 7 月 12 日までに公開ま
たは登録されている特許を対象とし、外国特許については 2009 年 7 月 14 日までに DWPI
に収録されていた日本以外の全ての国で公開または登録されている特許を対象とした。なお、
PCT 出願は国内移行まで最大 30 ヶ月かかり、国内公開・公表が遅れるため、2006 年以降の
データについては未収録データが多い可能性があり、注意を要する。米国については、公開
制度導入(2000 年 11 月 29 日)前の出願件数は登録公報発行件数のみを集計したものであ
るため、日本、欧州、中国および韓国への出願件数との比較には注意を要する。
また、欧州への出願(出願先国が欧州)とは、欧州特許条約(EPC)の加盟国の内、DWPI
の収録対象国である 20 ヶ国(オーストリア、ベルギー、スイス、チェコ、ドイツ、デンマ
ーク、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス、ハンガリー、アイルランド、イタリ
ア、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、ス
ロバキア)と欧州特許庁、合計 21 ヶ国(機関)への出願とし、欧州国籍(出願人国籍が欧
州)とは、欧州特許条約(EPC)の加盟国である 36 ヶ国(オーストリア、ベルギー、ブル
ガリア、スイス、キプロス、チェコ、ドイツ、デンマーク、エストニア、スペイン、フィン
ランド、フランス、イギリス、ギリシャ、クロアチア、ハンガリー、アイルランド、アイス
ランド、イタリア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、ラトビア、モナコ、
マケドニア旧ユーゴスラビア、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、
ルーマニア、スウェーデン、スロベニア、スロバキア、サンマリノ、トルコ)の国籍とした。
第2節
全体動向
第 2-1 図
1.日米欧中韓への出願状況
日米欧中韓への出願における出願
先国別の出願件数(n=16,983)
1990~2007 年の特許出願は、日米欧中韓への
出願全体で 16,983 件、その内、日本への出願は
5,696 件、米国への出願は 4,780 件、欧州への出
韓国への出願
870件
5.1%
中国への出願
1,842件
10.8%
願は 3,795 件、中国への出願は 1,842 件、韓国へ
日本への出願
5,696件
33.5%
の出願は 870 件であった。日米欧中韓への出願に
おける出願先国別の出願件数を第 2-1 図に、日米
欧中韓への出願における出願先国別の出願件数
欧州への出願
3,795件
22.3%
推移を第 2-2 図に示す。
第 2-1 図によれば、日米欧中韓への出願の内、
米国への出願
4,780件
28.1%
日本への出願が 33.5%(5,696 件)を占め、次い
で米国への出願が 28.1%(4,780 件)、欧州への出願は 22.3%(3,795 件)を占めている。
第 2-2 図によれば、日米欧中韓全体の出願件数は 1990~2007 年の全期間 18 年間に渡り、
総じて増加傾向を示し、特に 1999 年以降、その傾向が顕著である。それらの出願の大部分
は日米欧への出願であるが、近年は中国や韓国への出願件数の増加も目立っており、2007
年には中国への出願件数が、欧州への出願件数を上回っている。
- 4 -
第 2-2 図
日米欧中韓への出願における出願先国別の出願件数推移
4,000
2,920
3,000
2,320
出
願
件
数
1,828
2,000
2,433
1,971
1,354
1,063
775
1,000
281
68
90
112
103
96
134
199
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
820
416
0
日本
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
米国
欧州
中国
2001
2002
韓国
2003
2004
2005
2006
2007
合計
出願先国
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
日米欧中韓への出願における出願人国籍別の 第 2-3 図 日米欧中韓への出願における出願
出願件数を第 2-3 図に、日米欧中韓への出願にお
人国籍別の出願件数(n=16,983)
ける出願人国籍別の出願件数推移を第 2-4 図に示
その他
韓国籍 1,372件
8.1%
756件
4.5%
す。
第 2-3 図 に よ れ ば 、 日 米 欧 中 韓 へ の 出 願 の
中国籍
1,070件
6.3%
38.0%(6,446 件)が日本からの出願、次いで欧
州からの出願が 21.7%(3,690 件)、米国からの
日本国籍
6,446件
38.0%
出願が 21.5%(3,649 件)となっている。第 2-1
欧州国籍
3,690件
21.7%
図の出願先国別の出願件数と比べると、日米欧中
韓への出願全体に占める日本からの出願件数比
米国籍
3,649件
21.5%
率(38.0%)は、日米欧中韓への出願全体に占め
る日本への出願件数比率(33.5%)より高い。日
第 2-4 図
日米欧中韓への出願における出願人国籍別の出願件数推移
4,000
2,920
3,000
2,320
出
願
件
数
1,828
2,000
2,433
1,971
1,354
1,063
775
1,000
68
90
112
103
96
134
199
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
281
820
416
0
日本
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
2001
2002
その他
2003
2004
2005
2006
2007
合計
出願人国籍
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
- 5 -
本以外の米欧中韓については日米欧中韓に占める各地域からの出願件数比率は、日米欧中韓
に占める各地域への出願件数比率より低い。日本企業が他の地域に参入している状況が窺え
る。
第 2-4 図でも、1991~1992 年を除き、日本国籍出願人の出願件数が最も多い状況となっ
ており、年間の出願件数は 2003 年以降、800 件前後で推移している。なお、2007 年に中国
籍出願人の出願件数が日本国籍出願人の出願件数に次いで多い状況となっており、中国籍出
願人の出願件数が急増していることを示している。
2.日米欧中韓相互の出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓相互の出願件数収支を第 2-5 図に示す。
日本からの出願は、日本への出願件数の 84.6%(4,817 件)を占め、日米欧中韓の中で自
国への出願に占める比率が最も高い。日本以外の地域への出願では、当該国を除き、米欧か
らの出願とほぼ拮抗している。また、日本と各地域との収支を見ると、いずれの地域との間
でも日本からの出願件数が日本への出願件数を上回っている。
米国からの出願は、米国への出願件数の 50.9%(2,433 件)で、自国への出願に占める比
率は中国に次いで低い。米国と各地域との収支を見ると、欧州、中国との間では、米国から
の出願件数が米国への出願件数を上回っている。また、米国への出願件数の 18.8%(899 件)
は、日米欧中韓以外のその他の国からの出願となっている。
第 2-5 図
中国籍
欧州国籍 20件
377件
0.4%
6.6%
米国籍
314件
5.5%
米国への出願
4,780件
韓国籍
66件
1.4%
中国籍
194件
4.1%
欧州国籍
504件
10.5%
その他
899件
18.8%
日米欧中韓相互の出願件数収支
韓国籍
42件 その他
0.7% 126件
2.2%
欧州への出願
3,795件
日本国籍
4,817件
84.6%
日本国籍
684件
14.3% 314件
日本への出願
5,696件
460件
韓国籍
33件
その他
中国籍 0.9%
182件 日本国籍
44件
4.8%
460件
1.2%
12.1%
684件
358件
127件
米国籍
605件
15.9%
377件
605件
504件
米国籍
2,433件
50.9%
62件
273件
235件
20件
その他
133件
韓国籍 7.2%
35件
1.9%
中国籍
808件
43.9%
42件
33件
44件
194件
日本国籍
358件
19.4%
米国籍
235件
12.8%
欧州国籍
2,471件
65件 65.1%
66件
4件
35件
欧州国籍
273件
14.8%
中国への出願
1,842件
日本国籍
米国籍
その他 127件
62件
32件 14.6%
7.1%
3.7%
欧州国籍
65件
7.5%
韓国籍 中国籍
4件
580件
0.5%
66.7%
韓国への出願
870件
- 6 -
欧州からの出願は、欧州への出願件数の 65.1%(2,471 件)で、自国への出願に占める比
率は米国より高く、日本より低い。欧州と各地域との収支を見ると、中国、韓国との間では、
欧州からの出願件数が欧州への出願件数を上回っている。
中国からの出願は、中国への出願件数の 43.9%(808 件)で、日米欧中韓の中で自国への
出願に占める比率が最も低い。中国と各地域との収支を見ると、いずれの地域との間でも中
国からの出願件数が中国への出願件数を下回っている。
韓国からの出願は、韓国への出願件数の 66.7%(580 件)で、自国への出願に占める比率
は日本に次いで高く、欧州とはほぼ同等である。韓国と各地域との収支を見ると、日本、欧
州との間では、韓国からの出願件数が韓国への出願件数を下回っている。
3.出願人の状況
日米欧中韓への出願における日本国籍出願人の出願件数と出願人人数推移を第 2-6 図に、
同様に、米国籍出願人、欧州国籍出願人、中国籍出願人、韓国籍出願人および台湾籍出願人
の各々についての出願件数と出願人人数推移を第 2-7~11 図に示す。
日本国籍出願人の出願件数と出願人人数推移の関係については、1996~2003 年において、
出願件数と出願人人数がともに増加し続け、ほぼ直線的に右肩上がりとなっている。その中
では特に 2000~2001 年の増加(出願件数:329 件→511 件、出願人人数:119 人→161 人)
や、2002~2003 年の増加(出願件数:592 件→839 件、出願人人数:184 人→220 人)が顕
著である。2004 年以降においては、出願件数は伸びず、出願人人数は 2005 年に一旦増加し
たがその後減少傾向である。
米国籍出願人については、2005 年までは出願件数と出願人人数のそれぞれに増減を繰返し
ながら、大きな傾向としては、ともに増加しているが、2006 年以降においては出願人人数は
増加しているものの、出願件数は減少傾向である。
欧州国籍出願人については、1995~2005 年において、2000~2001 年の減少を除き、出願
件数と出願人人数がともに増加し続けている。その中では特に 2002~2003 年の出願人人数
の増加(出願件数:319 件→364 件、出願人人数:96 人→134 人)や、2004~2005 年の出
願件数の増加(出願件数:426 件→572 件、出願人人数:144 人→160 人)が顕著である。
2006 年以降においては、出願件数は減少傾向である。
中国籍出願人については、2000 年以前は、出願件数と出願人人数がともに低水準であった
が、2001 年以降は、2003 年を除き、出願件数と出願人人数がともに急増しており、特に 2006
~2007 年の増加(出願件数:231 件→566 件、出願人人数:161 人→313 人)が顕著である。
韓国籍出願人については、1999 年以前は、出願件数と出願人人数がともに低水準であった
が、2000 年以降は、2002 年を除き、出願件数と出願人人数がともに急増しており、特に 2006
~2007 年の増加(出願件数:166 件→294 件、出願人人数:100 人→188 人)が顕著である。
台湾籍出願人については、1998 年以前は、出願件数と出願人人数がともに低水準であった
が、1999 年以降は 2005 年を除き、出願件数と出願人人数がともに急増しており、特に 2006
~2007 年の出願件数の増加(出願件数:200 件→332 件、出願人人数:126 人→152 人)が
顕著である。
- 7 -
第 2-6 図
第 2-7 図
日米欧中韓への出願における日本
国籍出願人の出願件数と出願人人数推移
籍出願人の出願件数と出願人人数推移
1,000
600
900
'07
日本国籍
800
'04
'06
米国籍
'03
'05
500
'05
'03'04
700
出
願
件
数
日米欧中韓への出願における米国
400
600
'02
出
願
件
数
'01
500
400
'99
'01
'00
'99
200
'98
'92 '96
'97
'90
'94
0
0
50
100
'98
100
'91
'97
'96
'94
'90
0
0
50
100
150
200
250
300
100
出願人人数
第 2-8 図
第 2-9 図
日米欧中韓への出願における欧州
200
250
日米欧中韓への出願における中国
籍出願人の出願件数と出願人人数推移
700
600
欧州国籍
'07
中国籍
600
500
'05
500
'06
'04
400
400
'07
出
願
件
数
'03
300
'00
'02
300
'06
200
200
'99
'01
'98
'97
100
'05
100
'02
'01
'90
'94 '95'96
0
0
0
50
100
150
200
0
'90
'04
'03
50
100
150
出願人人数
第 2-10 図
200
250
300
350
出願人人数
第 2-11 図
日米欧中韓への出願における韓国
籍出願人の出願件数と出願人人数推移
日米欧中韓への出願における台湾
籍出願人の出願件数と出願人人数推移
350
350
'07
台湾籍
韓国籍
300
300
'07
250
出
願
件
数
150
出願人人数
国籍出願人の出願件数と出願人人数推移
出
願
件
数
'07
'02
300
200
'00
300
'06
250
出
願
件
数
200
'06
150
200
'06
150
'04
'05
100
'05
100
'03
50
'00
'99
0
'90
0
'04
'02
50
'03
'01
'97'99
0
50
100
150
200
0
'90
'01
'00
20
'02
40
60
80
100
120
140
出願人人数
出願人人数
注)第 2-6 図および第 2-11 図において、図中の数字は西暦年の下 2 桁を示す。2006~2007 年は、PCT 出願によ
る国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意を要する。
- 8 -
160
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓への出願における出願人別出願件数上位ラン
キングを第 2-12 表に示す。
出願人別出願件数ランキング上位 20 位は、日本国籍出願人(13 社)、欧州国籍出願人(5
社)、米国籍出願人(2 社)が占める結果となり、日本国籍出願人の内、7 社は 10 位以内に
入っている。第 2-3 図の出願人国籍別の出願件数比率以上に、上位を占める日本国籍出願人
の存在が多く、日本国籍出願人は出願件数の多い大企業の比率が高いことが窺える。
第 2-12 表
日米欧中韓への出願における出願人別出願件数ランキング(上位 20 位)
順位
出願人
1 小糸製作所(日)
2 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス(オランダ)
3 スタンレー電気(日)
4 東芝ライテック(日)
5 市光工業(日)
6 パナソニック電工(日)
7 パナソニック(日)
8 豊田合成(日)
9 バレオ ビジョン(フランス)
10 オスラム シルヴェニア(米)
11 小糸工業(日)
12 セイコーエプソン(日)
13 オスラム オプト セミコンダクターズ(ドイツ)
14 シャープ(日)
15 三洋電機(日)
16 スリーエム イノベイティブ プロパティズ(米)
17 パテント トロイハント(ドイツ)
18 ヘラー(ドイツ)
19 オリンパス(日)
20 日亜化学工業(日)
属性
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
件数
462
428
381
297
290
287
264
261
209
201
195
137
127
118
115
114
107
96
88
86
第 2-13 図には、第 2-12 表に示す出願人別出願件数ランキング上位 10 社の出願件数推移
を示す。一部の出願人においては 1997 年辺りから、出願件数の増加が認められるが、各出
願人の出願動向は必ずしも単調ではなく、出願件数にいくつかのピークを持つ出願人が多い。
特にコーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス(オランダ)の 2004~2005 年の急増、
2006 年の急減は顕著である。また、小糸製作所(日)は 2001~2002 年に急増、2003~2004
年はその水準を維持していたが、2005 年には半減している。
第 2-13 図 日米欧中韓への出願における出願件数ランキング上位出願人の出願件数推移(上位 10 位)
150
小糸製作所(日)
コーニンクレッカ フィリッ
プス エレクトロニクス(オ
ランダ)
スタンレー電気(日)
125
100
出
願
件
数
東芝ライテック(日)
75
市光工業(日)
50
パナソニック電工(日)
25
パナソニック(日)
豊田合成(日)
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
- 9 -
バレオ ビジョン(フランス)
オスラム シルヴェニア
(米)
第3節
技術区分別の動向
第 2-14 図
本節における分析では、1 件の出願において、
該当する技術区分が複数あれば、複数付与してい
日米欧中韓への出願における
課題別の技術区分付与件数
不特定(n=22,111)
0件
0.0%
るため、技術区分付与件数は出願件数より多い件
数となることに注意を要する。
1.課題別の出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における課題別の技術区分付与件数を
第 2-14 図に、日米欧中韓への出願における課題
照明光特性向
上
7,437件
33.6%
その他
5,637件
25.5%
経済性向上
6,463件
29.2%
別の技術区分付与件数推移を第 2-15 図に示す。
第 2-14 図によれば、全体の 33.6%(7,437 件)
既存光源代替
532件
2.4%
が照明光特性向上に関する出願で、次いで経済性
小型化
2,042件
9.2%
向上に関する出願が 29.2%(6,463 件)、小型化に関する出願が 9.2%(2,042 件)、既存光
源代替に関する出願が 2.4%(532 件)となっている。
第 2-15 図によれば、1990~2007 年の 18 年間をほぼ通して、照明光特性向上、経済性向
上、その他の課題に関する出願が上位を占めており、いずれも 1999 年以降、急増している。
小型化、既存光源代替に関する出願も、多少の増減はあるものの、大きな傾向としては、増
加傾向で推移している。
第 2-15 図
日米欧中韓への出願における課題別の技術区分付与件数推移
1,400
不特定
1,200
技
術
区
分
付
与
件
数
照明光特性向上
1,000
800
小型化
600
既存光源代替
400
経済性向上
200
その他
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
また、第 2-16 図に日米欧中韓への出願における出願人国籍別課題別の技術区分付与件数を
示す。中国籍出願人とその他の国籍出願人を除いては、照明光特性向上、経済性向上、その
他の課題、小型化、既存光源代替に関する出願の順に多いが、中国籍出願人については、そ
の他の課題、経済性向上、照明光特性向上、小型化、既存光源代替に関する出願の順に、ま
た、その他の国籍出願人については、その他の課題、照明光特性向上、経済性向上、小型化、
既存光源代替に関する出願の順に多い。
- 10 -
第 2-16 図
日米欧中韓への出願における出願人国籍別課題別の技術区分付与件数
不特定
照明光特性向上
3,116
小型化
1,414
860
1,667
487
327
449
365
548
65
50
131
43
41
52
課
題
174
既存光源代替
154
68
経済性向上
2,651
1,346
1,222
419
328
497
その他
1,932
1,301
1,063
508
270
563
日本
米国
欧州
中国
韓国
その他
出願人国籍
2.解決技術別の出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における解決技術別の技術区分付与件
第 2-17 図
日米欧中韓への出願における
解決技術別の技術区分付与件数
不特定(n=23,079)
数を第 2-17 図に、日米欧中韓への出願における
解決技術別の技術区分付与件数推移を第 2-18 図
0件
0.0%
その他
222件
1.0%
に示す。
第 2-17 図によれば、全体の 50.9%(11,742 件)
がアセンブル技術に関する出願で約半数を占め
ている。次いで光学技術に関する出願が 36.6%
(8,447 件)、熱技術に関する出願が 11.6%(2,668
アセン ブル技
術
11,742件
50.9%
光学技術
8,447件
36.6%
件)となっている。
第 2-18 図によれば、1990~2007 年の 18 年間
熱技術
2,668件
11.6%
をほぼ通して、アセンブル技術、光学技術に関す
る出願は増加しており、いずれも 1999 年以降、急増している。熱技術に関する出願はやは
り 1999 年辺りで、その存在がはっきり認められるようになり、それ以降増加傾向である。
第 2-18 図
日米欧中韓への出願における解決技術別の技術区分付与件数推移
2,500
不特定
2,000
技
術
区 1,500
分
付
与
件 1,000
数
光学技術
熱技術
アセンブル技術
500
その他
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
- 11 -
日米欧中韓への出願における出願人国籍別解決技術別の技術区分付与件数を第 2-19 図に
示す。いずれの国籍出願人についても、アセンブル技術、光学技術、熱技術に関する出願の
順に多いが、中国籍出願人については、それらの差が比較的小さい。
第 2-19 図
日米欧中韓への出願における出願人国籍別解決技術別の技術区分付与件数
不特定
光学技術
解
決
技
術
3,681
827
熱技術
アセンブル技術
1,558
4,336
73
その他
日本
1,882
608
2,600
356
462
314
米国
72
欧州
286
559
18
中国
565
171
777
2,473
49
405
997
4
6
韓国
その他
出願人国籍
3.用途別の出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
第 2-20 図
への出願における用途別の技術区分付与件数を
第 2-20 図に、日米欧中韓への出願における用途
別の技術区分付与件数推移を第 2-21 図に示す。
第 2-20 図によれば、全体の 18.4%(3,578 件)
が移動体搭載照明(自動車)に関する出願で、次
いで不特定用途(用途を特には限定していない)
に関する出願が 18.3%(3,556 件)、可搬型照明
に関する出願が 10.7%(2,074 件)、電子機器・
電気機器用照明に関する出願が 8.1%(1,567 件)、
演出性照明に関する出願が 8.0%(1,545 件)、特
殊用途照明に関する出願が 7.7%(1,496 件)と
なっている。
第 2-21 図によれば、日米欧中韓への出願が顕
日米欧中韓への出願における
用途別の技術区分付与件数
(n=19,402)
家具等照明 特殊用途照明
その他
1,496件
311件
4件
7.7%
1.6%
0.0%
電子機器・電
気機器用照明
1,567件
不特定
8.1%
3,556件
可搬型照明
18.3%
2,074件
10.7%
標識照明
1,321件
6.8%
移動体搭載照
明(自動車以
外)
1,352件
7.0%
既存光源代替
532件
2.7%
屋内照明
1,189件
6.1%
屋外照明
877件
4.5%
演出性照明
1,545件
8.0%
移動体搭載照
明(自動車)
3,578件
18.4%
著に増加し始めた 1999 年より 1 年早く、1998
年以降、移動体搭載照明(自動車)に関する出願が増加し始めており、1999 年以降は不特
定用途に関する出願とともに、出願が急増している。また、1999 年以降はそれら以外の技
術に関する出願も徐々に増え始めており、2007 年には、屋外照明に関する出願が急増して
いる状況である。
日米欧中韓への出願における出願人国籍別用途別の技術区分付与件数を第 2-22 図に示す。
日本国籍出願人については、移動体搭載照明(自動車)、不特定用途、移動体搭載照明(自動
車以外)に関する出願の順に、米国籍出願人については、可搬型照明、移動体搭載照明(自
動車)、不特定用途に関する出願の順に、欧州国籍出願人については、移動体搭載照明(自
- 12 -
第 2-21 図
日米欧中韓への出願における用途別の技術区分付与件数推移
800
不特定
既存光源代替
屋内照明
600
技
術
区
分
付
与
件
数
屋外照明
演出性照明
400
移動体搭載照明(自動
車)
移動体搭載照明(自動
車以外)
標識照明
200
可搬型照明
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
電子機器・電気機器用
照明
家具等照明
特殊用途照明
その他
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
動車)、不特定用途、標識照明に関する出願の順に多い。また、中国籍出願人については、不
特定用途、演出性照明、可搬型照明に関する出願の順に、韓国籍出願人については、不特定
用途、電子機器・電気機器用照明、可搬型照明に関する出願の順に、その他の国籍出願人に
ついては、不特定用途、可搬型照明、演出性照明に関する出願の順に多い。用途に関しては、
出願人国籍別の特徴が表れている。
第 2-22 図
日米欧中韓への出願における出願人国籍別用途別の技術区分付与件数
不特定
1,238
既存光源代替
174
屋外照明
移動体搭載照明(自動車)
1,758
952
標識照明(誘導灯を含む)
499
774
家具等照明
205
291
365
783
344
340
152
特殊用途照明
992
62
579
52
66
65
47
166
85
85
172
80
189
49
104
53
18
338
55
94
46
4
23
73
169
64
395
2
38
188
426
41
307
152
420
電子機器・電気機器用照明
その他
386
193
43
165
622
移動体搭載照明(自動車以外)
可搬型照明
291
131
411
331
68
219
245
演出性照明
762
154
501
屋内照明
用
途
606
109
10
49
32
264
110
19
103
4
日本
米国
欧州
中国
出願人国籍
- 13 -
韓国
その他
ここで、近年の中国、韓国、その他の国からの出願が対照的な 2 つの用途に関する出願人
国籍別の出願件数推移を比較する。1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓への出願に
おける屋外照明に関する出願人国籍別の出願件数推移を第 2-23 図に、移動体搭載照明(自動
車)に関する出願人国籍別の出願件数推移を第 2-24 図に示す。
第 2-23 図によれば、2005 年以前は日米欧からの出願が中心であるが、2006 年以降は中国、
韓国、その他の国からの出願が増えている。特に、2007 年に中国からの出願が急増しており、
日本や韓国からの出願の 2 倍以上の出願件数となっている。
第 2-24 図によれば、1998~2000 年は、日本からの出願と欧州からの出願が競っていたが、
2001 年以降は、日本からの出願が急増しており、近年の中国、韓国、その他の国からの出願
の増加傾向もそれほど見られない。
以前は日米欧からの出願が中心であった技術において、近年になって、中国、韓国、その
他の国からの出願が急速に増えている状況がある一方で、近年の中国、韓国、その他の国か
らの出願の増加傾向がそれほど見られない技術も存在する。
第 2-23 図
日米欧中韓への出願における屋外照明に関する出願人国籍別の出願件数推移
350
332
300
250
出
願
件
数
200
138
150
100
77
37
50
13
0
1
0
7
6
5
1990
1991
1992
1993
1994
1995
13
20
36
43
44
2001
2002
2003
85
20
0
日本
1996
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
その他
2004
2005
2006
2007
合計
出願人国籍
第 2-24 図
日米欧中韓への出願における移動体搭載照明(自動車)に関する出願人国籍別の
出願件数推移
600
529
487
500
449
483
432
400
出
願
件
数
340
300
202
200
135
144
111
100
60
13
21
1990
1991
28
55
50
26
13
0
1992
1993
1994
日本
1995
1996
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
2001
2002
その他
2003
2004
2005
2006
2007
合計
出願人国籍
注)第 2-23 図および第 2-24 図において、2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等
によるデータベースの収録遅れに注意を要する。
- 14 -
第4節
注目研究開発テーマの動向
1.注目研究開発テーマの選定
今後注目されると思われる技術分野(注目研究開発テーマ)として、総合発光効率向上、
イニシャルコスト低減、放熱性向上の 3 分野を選定した。いずれも、LED 照明の性能向上お
よび普及のためには、重要かつ不可欠な課題(テーマ)である。
第 2-25 表に注目研究開発テーマとしての選定理由と各テーマにおける特許分析対象件数
を示す。
第 2-25 表
注目研究開発テーマ
総合発光効率向上
(技術区分コード:A027)
特許分析
対象件数
1,917 件
イニシャルコスト低減
(技術区分コード:
A031+A032+A033)
2,698 件
放熱性向上
(技術区分コード:A037)
2,500 件
注目研究開発テーマ一覧表
選定理由
照明器具として最も基本的かつ重要な課題である。総合発
光効率(照明器具に組み込んだ状態での発光効率)を向上
する技術の内、ここでは LED 素子から光を取り出す際の効
率を向上する技術を対象とする。総合発光効率向上は、低
消費電力化、環境負荷の低減等に寄与する。
LED 照明はライフサイクルコストでは既存光源より優れて
いるが、イニシャルコストが高いことが普及の障害になること
から、LED 照明を普及させる上での最重要課題と言える。
LED 素子の温度上昇を低減することにより、投入電流を大
きくすることができ、高出力化が図れるとともに、LED 素子
の寿命や封止材である樹脂の劣化等の耐久性能が向上
する。また、放熱効率が上がれば、照明器具の小型化、軽
量化、火傷等に対する安全性の確保にもつながる。
なお、本節における分析では、1 件の出願において、該当する技術区分が複数あれば、複
数付与しているため、技術区分付与件数は出願件数より多い件数となることに注意を要する。
2.総合発光効率向上に関する出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における総合発光効率向上に関する解
決技術別技術区分付与件数を第 2-26 図に、日米
欧中韓への出願における総合発光効率向上に関
第 2-26 図 日米欧中韓への出願における
総合発光効率向上に関する解決技術別
技術区分付与件数(n=5,391)
レンズ形状・レンズ取付
け部構造
構造
167件
445件
3.1%
8.3%
する解決技術別技術区分付与件数推移を第 2-27
図に示す。
第 2-26 図によれば、全体の 13.0%(702 件)
が反射板形状・構造に関する出願で、次いで光源
配置に関する出願 9.8%(530 件)、部品配置に関
する出願 8.4%(454 件)、レンズ形状・構造に関
する出願 8.3%(445 件)、光源取付け部構造に関
する出願 6.8%(364 件)となっている。
第 2-27 図によれば、1999 年辺りから、反射板
形状・構造、光源配置、部品配置に関する出願等
- 15 -
その他
1,301件
24.1%
反射板形状・
構造
702件
13.0%
反射板取付
け部構造
223件
4.1%
導光体形状・
部品配置
構造
454件
309件
8.4%
5.7%
部品取付け
ヒートシン
部構造
ク /熱 伝 導 部
322件
材 形 状 ・構 造
6.0%
164件
光源配置
3.0%
ヒ
ー
ト
シ
ン
530件
光 源 選 択 ク /熱 伝 導 部
光
源
取
付
け
9.8%
309件 材 取 付 け 部
部構造
5.7%
構造
364件
101件
6.8%
1.9%
を中心に、出願の増加傾向が顕著になっている。但し、2005 年以降、減少に転じている技
術の出願もあり、この時期を境に、総合発光効率向上に関する解決技術が変化していること
も考えられる。
第 2-27 図
日米欧中韓への出願における総合発光効率向上に関する解決技術別技術区分
付与件数推移
140
レンズ形状・構造
120
技
術
区
分
付
与
件
数
レンズ取付け部構造
反射板形状・構造
100
反射板取付け部構造
80
導光体形状・構造
60
ヒートシンク/熱伝導部
材形状・構造
ヒートシンク/熱伝導部
材取付け部構造
光源選択
40
20
光源取付け部構造
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
光源配置
部品取付け部構造
出願年(優先権主張年)
部品配置
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における総合発光効率向上に関する用
途別技術区分付与件数を第 2-28 図に、日米欧中
韓への出願における総合発光効率向上に関する
用途別技術区分付与件数推移を第 2-29 図に示す。
第 2-28 図によれば、全体の 29.8%(651 件)
が不特定用途(用途を特には限定していない)に
関する出願で、次いで移動体搭載照明(自動車)
に関する出願 19.7%(430 件)、電子機器・電気
機器用照明に関する出願 13.7%(300 件)、特殊
用途照明に関する出願 8.3%(182 件)、移動体搭
載照明(自動車以外)に関する出願 7.0%(153
第 2-28 図 日米欧中韓への出願における
総合発光効率向上に関する用途別
技術区分付与件数(n=2,188)
家具等照明
9件
0.4%
電子機器・
電気機器用
照明
300件
13.7%
特殊用途照
明
その他
182件
0件
8.3%
0.0%
可搬型照明
90件
4.1%
標識照明
112件
5.1%
件)となっている。
第 2-29 図によれば、1998 年以降、不特定用途
に関する出願が、2001 年以降、移動体搭載照明
移動体搭載
照明(自動
車以外)
153件
7.0%
不特定
651件
29.8%
既存光源代替
38件
1.7%
屋内照明
103件
4.7%
屋外照明
88件
移動体搭載照 演出性照明 4.0%
明(自動車)
32件
430件
1.5%
19.7%
(自動車)に関する出願が、2002 年以降、電子
機器・電気機器用照明に関する出願が急増しているが、移動体搭載照明(自動車)に関する
出願については 2005 年以降、減少に転じている。また、2006 年以降、屋外照明に関する出
願が急増している。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓への出願における総合発光効率向上に関する
出願人国籍別の出願件数を第 2-30 図に、日米欧中韓への出願における総合発光効率向上に関
する出願人国籍別の出願件数推移を第 2-31 図に示す。
- 16 -
第 2-29 図 日米欧中韓への出願における総合発光効率向上に関する用途別技術区分付与件数推移
120
不特定
既存光源代替
100
屋内照明
技
術
区
分
付
与
件
数
80
屋外照明
演出性照明
60
移動体搭載照明(自動
車)
移動体搭載照明(自動
車以外)
標識照明
40
20
可搬型照明
電子機器・電気機器用
照明
家具等照明
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
特殊用途照明
その他
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
第 2-30 図 日米欧中韓への出願における
総合発光効率向上に関する出願人国籍
別の出願件数(n=1,917)
第 2-30 図によれば、全体の 49.2%(944 件)
が日本からの出願、次いで米国からの出願が
20.0%(383 件)、欧州からの出願が 14.9%(285
件)、中国からの出願が 6.4%(122 件)、韓国か
韓国籍 その他
116件
67件
6.1%
3.5%
らの出願が 3.5%(67 件)となっている。
第 2-31 図によれば、1999 年以降、各年におい
中国籍
122件
6.4%
ても、日本からの出願が最も多く、2001~2004
年にかけて、日本からの出願は増加傾向であるが、
欧州国籍
285件
14.9%
2005 年以降は、出願件数の伸びは見られず、若
日本国籍
944件
49.2%
干減少傾向である。日米欧中韓への出願全体でも、
米国籍
383件
20.0%
2005 年以降は、出願件数の伸びは見られないが、
その中で中国からの出願は急増している状況で
ある。
第 2-31 図 日米欧中韓への出願における総合発光効率向上に関する出願人国籍別の出願件数推移
350
290
300
267
2005
2006
236
250
出
願
件
数
285
265
193
200
150
109
100
74
84
35
50
2
4
8
12
7
1990
1991
1992
1993
1994
17
13
1995
1996
16
0
日本
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
2001
2002
その他
2003
2004
2007
合計
出願人国籍
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
- 17 -
3.イニシャルコスト低減に関する出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願におけるイニシャルコスト低減に関す
第 2-32 図 日米欧中韓への出願における
イニシャルコスト低減に関する解決技術別
技術区分付与件数(n=7,048)
る解決技術別技術区分付与件数を第 2-32 図に、
レンズ取付 反射板形状・
カバー形状・
け部構造
構造
構造
172件
385件
183件
レ ン ズ 形 状 ・ 2.4%
5.5%
2.6%
構造
導光体形状・
281件
構造
4.0%
246件
3.5%
その他
ヒートシン
2,075件
ク /熱 伝 導 部
29.4%
材 形 状 ・構 造
日米欧中韓への出願におけるイニシャルコスト
低減に関する解決技術別技術区分付与件数推移
を第 2-33 図に示す。
第 2-32 図によれば、全体の 11.4%(804 件)
が光源取付け部構造に関する出願で、次いで光源
配置に関する出願 10.3%(723 件)、部品配置に
関する出願 9.1%(640 件)、部品取付け部構造に
関する出願 9.0%(634 件)、電源接続方法に関す
る出願 6.0%(424 件)となっている。
261件
3.7%
電源接続方
法
424件
6.0%
第 2-33 図によれば、1998 年辺りから、光源配
部品配置
640件
9.1%
置、光源取付け部構造、部品配置、部品取付け部
構造に関する出願等を中心に、出願の増加傾向が
光源選択
220件
3.1%
光源配置
部 品 取 付 け 723件
部構造
10.3%
634件
9.0%
光源取付け
部構造
804件
11.4%
顕著になっている。増減を繰り返しながら、大き
な傾向としては、いずれの技術も増加傾向である。
第 2-33 図
日米欧中韓への出願におけるイニシャルコスト低減に関する解決技術別技術区分
付与件数推移
140
レンズ 形状・構造
レンズ 取付け部構造
120
技
術
区
分
付
与
件
数
反射板形状・構造
100
カバー形状・構造
80
導光体形状・構造
60
ヒートシンク/熱伝導部
材形状・構造
光源選択
40
光源取付け部構造
20
光源配置
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
部品取付け部構造
部品配置
電源接続方法
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓への出願におけるイニシャルコスト低減に
関する用途別技術区分付与件数を第 2-34 図に、日米欧中韓への出願におけるイニシャルコ
スト低減に関する用途別技術区分付与件数推移を第 2-35 図に示す。
第 2-34 図によれば、全体の 25.0%(769 件)が移動体搭載照明(自動車)に関する出願
で、次いで不特定用途(用途を特には限定していない)に関する出願 19.6%(602 件)、電
子機器・電気機器用照明に関する出願 7.7%(237 件)、屋内照明に関する出願 7.7%(236 件)、
標識照明に関する出願 7.2%(221 件)となっている。
- 18 -
第 2-35 図によれば、1998 年以降の移動体搭載
照明(自動車)に関する出願と、2000 年以降の
不特定用途に関する出願の増加傾向が顕著であ
る。また、2007 年になって、屋内照明に関する
出願の増加が認められる。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願におけるイニシャルコスト低減に関す
る出願人国籍別の出願件数を第 2-36 図に、日米
欧中韓への出願におけるイニシャルコスト低減
に関する出願人国籍別の出願件数推移を第 2-37
図に示す。
第 2-34 図 日米欧中韓への出願における
イニシャルコスト低減に関する用途別
技術区分付与件数(n=3,071)
家具等照明 特殊用途照
明
54件
166件
その他
電 子 機 器 ・ 1.8%
1件
5.4%
電気機器用
0.0%
照明
237件
7.7%
不特定
可搬型照明
602件
170件
19.6%
5.5%
標識照明
221件
7.2%
屋内照明
236件
7.7%
移動体搭載
照明(自動
車以外)
198件
6.4%
屋外照明
130件
4.2%
演出性照明
214件
7.0%
移動体搭載照
明(自動車)
769件
25.0%
第 2-35 図
既存光源代替
73件
2.4%
日米欧中韓への出願におけるイニシャルコスト低減に関する用途別技術区分
付与件数推移
150
不特定
既存光源代替
125
屋内照明
技
100
術
区
分
付 75
与
件
数 50
屋外照明
演出性照明
移動体搭載照明(自動
車)
移動体搭載照明(自動
車以外)
標識照明
25
可搬型照明
電子機器・電気機器用
照明
家具等照明
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
特殊用途照明
出願年(優先権主張年)
その他
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
第 2-36 図によれば、全体の 45.0%(1,215 件)
が日本からの出願、次いで欧州からの出願が
20.0%(539 件)、米国からの出願が 17.7%(478
第 2-36 図 日米欧中韓への出願における
イニシャルコスト低減に関する出願人国籍
別の出願件数(n=2,698)
韓国籍
120件
4.4%
件)、中国からの出願が 4.7%(127 件)、韓国か
らの出願が 4.4%(120 件)となっている。
第 2-37 図によれば、1996 年以降、各年におい
その他
219件
8.1%
中国籍
127件
4.7%
ても、日本からの出願が最も多く、ほぼ堅調に出
願件数は増加している。日米欧中韓への出願全体
では、2005 年辺りから、韓国、中国、その他の
国からの出願が増えている状況である。
日本国籍
1,215件
45.0%
欧州国籍
539件
20.0%
米国籍
478件
17.7%
- 19 -
第 2-37 図
日米欧中韓への出願におけるイニシャルコスト低減に関する出願人国籍別の
出願件数推移
500
445
402
400
348
309
出
願
件
数
275
300
200
141
177
178
2001
2002
140
92
100
52
10
21
21
18
17
1991
1992
1993
1994
31
21
1995
1996
0
1990
日本
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
2003
その他
2004
2005
2006
2007
合計
出願人国籍
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
第 2-38 図
4.放熱性向上に関する出願状況
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における放熱性向上に関する解決技術
別技術区分付与件数を第 2-38 図に、日米欧中韓
日米欧中韓への出願における
放熱性向上に関する解決技術別
技術区分付与件数(n=7,203)
レンズ形状・ 反射板形状・
構造
構造
204件
366件 空 冷
2.8%
5.1% 308件
4.3%
への出願における放熱性向上に関する解決技術
別技術区分付与件数推移を第 2-39 図に示す。
第 2-38 図によれば、全体の 19.1%(1,373 件)
がヒートシンク /熱伝導部材形状 ・構造に関する
ヒートシン
ク /熱 伝 導 部
材 形 状 ・構 造
1,373件
19.1%
その他
2,404件
33.4%
出願で、次いでヒートシンク/熱伝導部材取付け
部構造に関する出願 10.0%(719 件)、光源配置
に関する出願 7.0%(506 件)、ヒートシンク/熱
伝導部材材料に関する出願 5.6%(400 件)、光源
取付け部構造に関する出願 5.5%(393 件)とな
っている。
第 2-39 図によれば、2001 年以降のヒートシン
ク/熱伝導部材形状・構造に関する出願の急増が
ヒートシン
ク /熱 伝 導 部
材取付け部
構造
719件
ヒートシン
ク /熱 伝 導 部 10.0%
部品取付け
部構造
300件
4.2%
光源配置
506件
7.0%
光源取付け
部構造
393件
5.5%
光源選択
230件
3.2%
材材料
400件
5.6%
顕著であり、2003 年以降はヒートシンク/熱伝導部材取付け部構造に関する出願を始め、そ
れ以外の技術に関する出願も増加している。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓への出願における放熱性向上に関する用途
別技術区分付与件数を第 2-40 図に、日米欧中韓への出願における放熱性向上に関する用途
別技術区分付与件数推移を第 2-41 図に示す。
第 2-40 図によれば、全体の 36.9%(1,036 件)が不特定用途(用途を特には限定していな
い)に関する出願で、次いで移動体搭載照明(自動車)に関する出願 17.0%(477 件)、電
子機器・電気機器用照明に関する出願 6.8%(192 件)、屋内照明に関する出願 6.6%(184
件)、既存光源代替に関する出願 5.9%(165 件)となっている。
- 20 -
第 2-39 図
日米欧中韓への出願における放熱性向上に関する解決技術別技術区分付与件数推移
500
レンズ 形状・構造
反射板形状・構造
400
空冷
技
術
区 300
分
付
与
件 200
数
ヒートシンク/熱伝導部
材形状・構造
ヒートシンク/熱伝導部
材取付け部構造
ヒートシンク/熱伝導部
材材料
100
光源選択
光源取付け部構造
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
光源配置
出願年(優先権主張年)
部品取付け部構造
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
第 2-40 図
第 2-41 図によれば、1999 年以降の不特定用途
に関する出願の増加傾向が顕著であり、2007 年
に一段と急増している状況である。また、移動体
搭載照明(自動車)に関する出願は、2004 年に
急増しているが、その後出願件数の伸びはない。
2007 年には、屋外照明、屋内照明、既存光源代
電子機器・ 家具等照明 特殊用途照
電気機器用
明
31件
照明
164件
1.1%
192件
5.8% そ の 他
0件
6.8%
0.0%
可搬型照明
87件
3.1%
標識照明
91件
3.2%
替に関する出願の増加も認められる。
1990~2007 年の全期間 18 年間の日米欧中韓
への出願における放熱性向上に関する出願人国
籍別の出願件数を第 2-42 図に、日米欧中韓への
出願における放熱性向上に関する出願人国籍別
の出願件数推移を第 2-43 図に示す。
第 2-41 図
日米欧中韓への出願における
放熱性向上に関する用途別
技術区分付与件数(n=2,806)
不特定
1,036件
36.9%
移動体搭載
照明(自動
車以外)
143件
5.1%
移動体搭載照
明(自動車)
477件
17.0% 演出性照明
屋外照明 屋内照明
89件
147件
184件
3.2%
5.2%
6.6%
既存光源代替
165件
5.9%
日米欧中韓への出願における放熱性向上に関する用途別技術区分付与件数推移
350
不特定
既存光源代替
300
屋内照明
250
技
術
区 200
分
付
与 150
件
数
100
屋外照明
演出性照明
移動体搭載照明(自動
車)
移動体搭載照明(自動
車以外)
標識照明
可搬型照明
50
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出願年(優先権主張年)
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等による
データベースの収録遅れに注意を要する。
- 21 -
電子機器・電気機器用
照明
家具等照明
特殊用途照明
その他
第 2-42 図
第 2-42 図によれば、全体の 34.3%(857 件)
が日本からの出願、次いで米国からの出願が
20.3%(508 件)、欧州からの出願が 17.2%(429
日米欧中韓への出願における
放熱性向上に関する出願人国籍
別の出願件数(n=2,500)
その他
271件
10.8%
件)、中国からの出願が 11.3%(282 件)、韓国か
らの出願が 6.1%(153 件)となっている。
韓国籍
153件
6.1%
中国籍
282件
11.3%
第 2-43 図によれば、2003 年以降、各年におい
て、日本からの出願が最も多い状況が続いていた
が、2007 年になって、中国からの出願件数に追
日本国籍
857件
34.3%
い抜かれている。中国を始め、韓国、その他の国
からの出願は、2005 年辺りから増え始め、その
後出願件数が急増している。
第 2-43 図
米国籍
508件
20.3%
欧州国籍
429件
17.2%
日米欧中韓への出願における放熱性向上に関する出願人国籍別の出願件数推移
800
699
600
出
願
件
数
427
384
400
328
215
200
58
3
2
12
3
2
3
11
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
8
130
137
2001
2002
62
16
0
日本
米国
1997 1998 1999 2000
出願年(優先権主張年)
欧州
中国
韓国
その他
2003
2004
2005
2006
2007
合計
出願人国籍
注)2006~2007 年は、PCT 出願による国内移行までの期間が長いこと等によるデータベースの収録遅れに注意
を要する。
- 22 -
第3章
第1節
研究開発動向
調査方法
論文から見た研究開発動向を調査するために、JSTPlus( 独立行政法人 科学技術振興機構)
のデータベースを使用した。調査対象期間は 1990~2008 年(発行年)とした。なお、本報
告書では筆頭研究者の所属機関国籍を研究者所属機関国籍とした。
第2節
第 3-1(a)図
全体動向
1990~2008 年の全期間 19 年間の論文発表に
の論文発表件数(全論文 n=1,637)
その他・不明
184件
11.2%
おける研究者所属機関国籍別の論文発表件数を
第 3-1(a)図(全論文)と第 3-1(b)図(英語論文)
に示す。
第 3-1(a)図によれば、全体の 66.8%(1,094 件)
を日本からの発表が占め、次いで米国からの発表
が 11.9%(195 件)、欧州からの発表が 7.3%(119
件)、韓国からの発表が 1.8%(29 件)、中国から
の発表が 1.0%(16 件)となっている。第 2-3 図
研究者所属機関国籍別
韓国籍
29件
中国籍 1.8%
16件
1.0%
欧州国籍
119件
7.3%
日本国籍
1,094件
66.8%
米国籍
195件
11.9%
に示す特許に関する日米欧中韓への出願人国籍
別の出願件数と比較すると、日本(第 2-3 図にお
いては、日本国籍出願人の占める比率は 38.0%)
第 3-1(b)図
の占める比率がかなり高く、反対に日本以外の、
の論文発表件数(英語論文 n=567)
研究者所属機関国籍別
米国(第 2-3 図においては、米国籍出願人の占め
日本国籍
72件
12.7%
る比率は 21.5%)、欧州(第 2-3 図においては、
欧州国籍出願人の占める比率は 21.7%)、中国(第
2-3 図においては、中国籍出願人の占める比率は
その他・不明
149件
26.3%
6.3%)、韓国(第 2-3 図においては、韓国籍出願
人の占める比率は 4.5%)の占める比率はかなり
低くなっている。
第 3-1(b)図によれば、全体の 34.2%(194 件)
を米国からの発表が占め、次いで欧州からの発表
韓国籍
27件
4.8%
中国籍
16件
2.8%
米国籍
194件
34.2%
欧州国籍
109件
19.2%
が 19.2%(109 件)、日本からの発表が 12.7%(72
件)、韓国からの発表が 4.8%(27 件)、中国からの発表が 2.8%(16 件)となっている。第
2-3 図に示す特許に関する日米欧中韓への出願人国籍別の出願件数と比較すると、日本(第
2-3 図においては、日本国籍出願人の占める比率は 38.0%)の占める比率がかなり低く、反
対に米国(第 2-3 図においては、米国籍出願人の占める比率は 21.5%)の占める比率はかな
り高くなっている。
また、第 3-1(b)図では、第 3-1(a)図と比較すると、日本からの発表の占める比率がかなり
低く(全論文:66.8%→英語論文 12.7%)、反対に日本以外の、米国(全論文:11.9%→英
語論文 34.2%)、欧州(全論文:7.3%→英語論文 19.2%)、中国(全論文:1.0%→英語論文
2.8%)、韓国(全論文:1.8%→英語論文 4.8%)からの発表の占める比率はかなり高くなっ
ている。全論文に占める英語論文の比率が、日本からの発表ではわずか 6.6%であるのに対
- 23 -
し、米国からの発表(99.5%)、欧州からの発表(91.6%)、中国からの発表(100%)、韓国
からの発表(93.1%)であることがその理由である。本調査で論文検索に使用したデータベ
ース(JSTPlus)が日本語論文の収録率が高いデータベースであったことが影響していると
考えられる。
したがって、第 3-1(a)図および第 3-1(b)図から、本技術分野における論文発表件数の国際
比較を行うことは、厳密な意味では難しいが、行うとすれば、第 3-1(b)図に示す英語論文の
研究者所属機関国籍別の論文発表件数を評価する方が妥当であると考えられる。また、第
3-1(b)図では所属機関情報がないものも多く、日米欧中韓以外および所属機関不明 26.3%
(149 件)の占める比率が高いため、それらのデータの評価にも注意を要する。
第 3-2 図には、研究者所属機関国籍別の論文発表件数推移(英語論文)を示す。それによ
れば、論文発表件数は、1990~2008 年の全期間 19 年間に渡り、ほぼ堅調に推移している。
研究者所属機関国籍別に見ると、日本からの論文発表件数は、米国、欧州からの論文発表件
数と比べて、低調である。
第 3-2 図
研究者所属機関国籍別の論文発表件数推移(英語論文)
120
109
100
80
発
表
件
数
71
74
56
60
50
43
40
30
19
20
11
2
2
5
5
8
13
28
20
11
10
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
発表年
日本
米国
欧州
中国
韓国
その他・不明
合計
研究者所属機関国籍
第 3-3 図には、特許出願件数推移と論文発表件数推移(英語論文)の対比を示す。それに
よれば、特許出願件数推移、論文発表件数推移ともに、全期間に渡り、総じて増加傾向であ
ることから、特許出願件数推移、論文発表件数推移の動向は比較的よく一致している。
第 3-3 図
特許出願件数推移と論文発表件数推移(英語論文)の対比
3,500
120
3,000
100
2,500
80
特
許 2,000
出
願
件 1,500
数
60
40
1,000
20
500
0
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年
特許
- 24 -
論文
論
文
件
数
研究者所属機関別論文発表件数ランキング(英語論文)を第 3-4 表に示す。それによれば、
研究者所属機関別論文発表件数ランキング上位 9 位(同率含め 15 機関)の内、8 機関は米国
の大学および企業、次いで、4 機関は欧州の企業および研究機関、2 機関は日本の企業およ
び大学、1 機関は韓国の企業となっている。一般的に論文発表の研究者所属機関は大学や研
究機関であることが多いが、本技術においては企業からの論文発表も多いことが示されてい
る。
第 3-4 表
研究者所属機関別論文発表件数ランキング(上位 9 位)(英語論文)
順位
所属機関名
1 レンセラー工科大学(米)
2 ミシガン大学(米)
3 フィリップス ルミレッズ ライティング(米)
4 小糸製作所(日)
4 慶応大(日)
6 ビステオン(米)
6 Dynamac Corp.(米)
6 ヘラー(ドイツ)
9 バレオ ライティング システムズ(フランス)
9 サムスン電機(韓)
9 リソ国立研究所(デンマーク)
9 Automotive Lighting Reutlingen GmbH(ドイツ)
9 North American Lighting, Inc.(米)
9 Orbital Technol. Corp.(米)
9 カラーキネティクス(米)
第3節
属性
大学
大学
企業
企業
大学
企業
企業
企業
企業
企業
研究機関
企業
企業
企業
企業
件数
20
8
7
6
6
5
5
5
4
4
4
4
4
4
4
技術区分別の動向
本節における分析では、1 件の発表において、該当する技術区分が複数あれば、複数付与
しているため、技術区分付与件数は発表件数より多い件数となることに注意を要する。
1.課題別の発表状況
第 3-5 図
1990~2008 年の全期間 19 年間の論文発表に
論文発表における課題別の技術
区分付与件数(英語論文 n=689)
おける課題別の技術区分付与件数(英語論文)を
不特定
5件
0.7%
第 3-5 図に、課題別の技術区分付与件数推移(英
語論文)を第 3-6 図に示す。
第 3-5 図によれば、全体の 35.0%(241 件)が
照明光特性向上に関する論文で、次いで経済性向
照明光特性
向上
241件
35.0%
その他
169件
24.5%
上に関する論文が 31.2%(215 件)、小型化に関
する論文が 8.0%(55 件)となっている。第 2-14
図に示す特許に関する日米欧中韓への出願にお
経済性向上
215件
31.2%
ける課題別の技術区分付与件数と比較すると、照
明光特性向上(特許に占める比率 33.6%)、小型
小型化
55件
8.0%
既存光源代替
4件
0.6%
化(特許に占める比率 9.2%)、経済性向上(特許
に占める比率 29.2%)、その他の課題(特許に占める比率 25.5%)において、占める比率は
ほぼ同等で、全体的に大きな違いはない。
第 3-6 図によれば、1990~2008 年の 19 年間をほぼ通して、照明光特性向上、経済性向上、
その他の課題に関する論文が上位を占めていること、小型化に関する論文も多少の増減はあ
るものの、大きな傾向としては増加傾向で推移していることは、第 2-15 図に示す特許に関
する日米欧中韓への出願における課題別の技術区分付与件数推移と同様である。
- 25 -
第 3-6 図
論文発表における課題別の技術区分付与件数推移(英語論文)
50
不特定
40
照明光特性向上
技
術
区30
分
付
与
件20
数
小型化
既存光源代替
経済性向上
10
その他
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
発表年
2.解決技術別の発表状況
第 3-7 図
1990~2008 年の全期間 19 年間の論文発表に
おける解決技術別の技術区分付与件数(英語論
文)を第 3-7 図に、解決技術別の技術区分付与件
数推移(英語論文)を第 3-8 図に示す。
論文発表における解決技術別の
技術区分付与件数(英語論文 n=632)
その他
8件
1.3%
不特定
131件
20.7%
第 3-7 図によれば、全体の 49.4%(312 件)が
アセンブル技術に関する論文で、次いで光学技術
に関する論文が 22.5%(142 件)、熱技術に関す
る論文が 6.2%(39 件)となっている。第 2-17
アセンブル技
術
312件
49.4%
光学技術
142件
22.5%
図に示す特許に関する日米欧中韓への出願にお
熱技術
39件
6.2%
ける解決技術別の技術区分付与件数と比較する
と、アセンブル技術(特許に占める比率 50.9%)
が占める比率はほぼ同等であるが、光学技術(特許に占める比率 36.6%)や熱技術(特許に
占める比率 11.6%)が占める比率が低くなっている。但し、論文の場合は解決技術が不特定
であるものが占める比率が高いため、それらのデータの評価には注意を要する。
第 3-8 図によれば、1990~2008 年の 19 年間を通して、アセンブル技術に関する論文が上
位を占め、多少の増減はあるものの、大きな傾向としては増加傾向で推移していることは、
第 2-18 図に示す特許に関する日米欧中韓への出願における解決技術別の技術区分付与件数
推移と同様である。光学技術、熱技術に関する論文は 2000 年辺りから増加傾向である。
第 3-8 図
論文発表における解決技術別の技術区分付与件数推移(英語論文)
60
不特定
50
光学技術
技
術 40
区
分
付 30
与
件
数 20
熱技術
アセンブル技術
10
その他
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
発表年
- 26 -
3.用途別の発表状況
第 3-9 図
1990~2008 年の全期間 19 年間の論文発表に
論文発表における用途別の
技術区分付与件数(英語論文 n=590)
おける用途別の技術区分付与件数(英語論文)を
その他
0件
0.0%
第 3-9 図に、用途別の技術区分付与件数推移(英
語論文)を第 3-10 図に示す。
第 3-9 図によれば、全体の 31.0%(183 件)が
特殊用途照明に関する論文で、次いで不特定用途
(用途を特には限定していない)に関する論文が
23.1%(136 件)、移動体搭載照明(自動車)に
関する論文が 17.3%(102 件)、標識照明に関す
る論文が 7.3%(43 件)、電子機器・電気機器用
照明に関する論文が 6.1%(36 件)、屋内照明に
関する論文が 5.3%(31 件)となっている。第
2-20 図に示す特許に関する日米欧中韓への出願
における用途別の技術区分付与件数と比較する
家具等照明
6件
1.0%
特殊用途照明
183件
31.0%
不特定
136件
23.1%
電子機器・電
気機器用照明
36件
6.1%
可搬型照明
3件
標識照明
0.5%
43件
7.3%
既存光源
代替
4件
0.7%
屋内照明
31件
5.3%
屋外照明
19件
3.2%
演出性照明
22件
3.7%
移動体搭載照
移動体搭載照 明(自動車)
102件
明(自動車以
17.3%
外)
5件
0.8%
と、論文においては、特殊用途照明(特許に占め
る比率 7.7%)が占める比率が高くなっている。
第 3-10 図によれば、1995 年以降、特殊用途照明に関する論文が上位を占め、多少の増減
はあるものの、大きな傾向としては増加傾向で推移している。2002 年以降は、不特定用途
に関する論文も急増し、特殊用途照明に関する論文とともに上位を占めている。第 2-21 図
に示す特許に関する日米欧中韓への出願における用途別の技術区分付与件数推移で、技術区
分付与件数の増加が顕著であった移動体搭載照明(自動車)については、特殊用途照明、不
特定用途に次ぐ高い水準で、増加傾向を示しているが、特許ほど顕著ではない。
第 3-10 図
論文発表における用途別の技術区分付与件数推移(英語論文)
不特定
40
既存光源代替
屋内照明
30
屋外照明
技
術
区
分
付 20
与
件
数
演出性照明
移動体搭載照明(自動
車)
移動体搭載照明(自動
車以外)
標識照明
10
可搬型照明
電子機器・電気機器用
照明
家具等照明
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
特殊用途照明
発表年
その他
- 27 -
第4章
政策動向
第1節
日本の動向
我が国では、京都議定書目標達成計画
4-1) において、対策評価指標として
2010 年に LED
照明を含む高効率照明の普及率(ストックベース)を 0.41~0.76%としている。
日本における LED 照明あるいは高効率照明導入促進の主な政策・施策を第 4-1 表に示す。
LED 照明のみを対象とするものはないが、地球温暖化防止や省エネルギーに向けた施策、あ
るいは産業界の活性化を図る施策において、LED 照明やその製造設備等を対象に含むもので
ある。この表に掲げた以外にも、様々な省エネルギー技術/機器導入に対する補助事業におい
て、LED 照明が対象に含まれている。また、これらの国レベルの政策に加え、地方公共団体
レベルの施策も行われている。
第 4-1 表
主な LED 照明あるいは高効率照明導入促進の政策・施策
(「改正」には政令等の改正を含む)
省庁
政策/施策名称
産 業 再 生 法 (産 業 活 力
再生特別措置法)
経済産業省
国土交通省
財務省
環境省
2009 年度
改正
内容
・対象に LED 照明の生産設備導入等も含める
2008 年度
改正
・事業所単位から企業単位での運用とするこ
とで対象を拡大(コンビニやファミリーレス
トラン等も条件により対象)
・照明設備の改修の届出対象を一定の中小規
模住宅・建築物にも拡大
エ ネ 革 税 制 (エ ネ ル ギ
ー需給構造改革投資促
進税制)
2008 年度
改正
・業務部門の高効率省エネルギー設備として
の LED 照明設備の追加
温 暖 化 対 策 法 (地 球 温
暖化対策推進法)
2008 年度
改正
省エネ照明デザインモ
デル事業
2008 年度
省 エ ネ 法 (エ ネ ル ギ ー
の使用の合理化に関す
る法律)
グリーン購入法(国等に
よる環境物品等の調達
の推進等に関する法律)
二酸化炭素排出抑制対
策事業費等補助金
第2節
開始/改正年
2008 年度
改正
・事業所単位から企業単位での運用とするこ
とで対象を拡大(コンビニやファミリーレス
トラン等も条件により対象)
・業務部門における CO2 排出削減の加速を目
的とし、省エネ照明への買換え/導入を行う
事業者等に対してデザイン費を補助
2007 年度
改正
・特定調達品目に高効率白色 LED 照明器具を
追加
2003 年度
・地方公共団体向けの LED 照明設備を含む二
酸化炭素排出抑制に対する助成
米国の動向
米国では電力需要抑制策の一つとして、1991 年に米国環境保護庁(EPA:Environmental
Protection Agency)による「Green Lights Program」が開始された。これは現在につながる照
明政策の発端であり、コンパクト蛍光ランプや人感センサー等の導入費の一部を電力会社が
補助する制度や税制上の優遇措置などが設けられた。
4-1)
「京都議定書目標達成計画」、地球温暖化対策推進本部(首相官邸)、2005 年 4 月策定、2006 年 7 月一部
改定、2008 年 3 月全部改定
- 28 -
この「Green Lights Program」は、増加する一方のコンピュータ関連機器の消費電力を抑制
するために同じく EPA が 1992 年に開始したプログラム「Energy Star Program」と 2000 年
に統合され、現在に至っている。なお、「Energy Star Program」は 1996 年以来、EPA と米
国エネルギー省(DOE:Department of Energy)とで共同運営されており、また日米政府の合
意に基づき、日本でも国際エネルギースタープログラムとして 1995 年から実施されている。
このように米国では以前から DOE が中心となって高効率照明の導入に関する政策を進め
てきたが、それらが現在の「SSL Program」として組織されたのは 2003 年 11 月の模様である。
SSL とは固体照明(Solid State Lighting)を意味し、LED と OLED(有機 LED)が対象である。
DOE は SSL Program において、SSL 分野における広範囲の包括的な国家戦略を推進して
おり、SSL 専用のホームページを開設して技術開発成果の公開や SSL 導入に関する各種施
策の PR 等を大々的に行うなど、その注力度を窺うことができる。また、SSL 分野の標準化
における欧州との協力など、国際的な協力関係作りの活動も行っている。この背景には LED
照明分野における主導権獲得の企図のほか、低品質 LED 照明機器の不評によって固体素子
照明全体の市場化や普及が阻害されるのではないかという危機感もある模様である
第3節
4-2) 。
欧州の動向
欧州では、EU 域内の雇用促進、競争力向上、生活水準向上を目的とする EU による研究
開発資金援助の枠組みであるフレームワークプログラム(Framework Program)があり、LED
照明技術の開発にもこの枠組みが適用されている。
2002 年~2006 年に行われた第 6 次 Framework Program(FP6)では、SSL(LED、OLED
などの固体照明)関係では 5 件のプロジェクトが実施されたが、そのうちの 2 件は本調査の
対象外である OLED に関するものである。また、2007 年~2013 年の第 7 次 Framework
Program(FP7)では、同じく 5 件の SSL 関係の開発プロジェクトが進められているが、そ
れらは全て本調査の対象外である OLED に関するものである。このように、欧州における
SSL 技術の開発に対する政策による支援は OLED 技術に関するものが多く、LED と OLED
のそれぞれに対してほぼ同等の支援を行っている米国の状況とは対照的である。
第4節
中国の動向
1996 年から「緑色照明工程」が開始され、更に 2003 年 6 月には、中国科学技術部によって
中国科学院や中国建設部、および地方自治体もメンバーとする SSL に関する政府委員会を構
成し、SSL 産業発展を後押しすべく、国家的な SSL プログラムに正式に乗り出した。そし
て、二酸化炭素排出の GDP 原単位を 2010 年までの 5 年間に 20%改善させる目標が設定さ
れている国の第 11 次 5 カ年計画(2006 年~2010 年)の中の重点プロジェクトとしても位置づ
けられ、国の SSL 開発戦略の一環として、全国 5 カ所(大連、上海、南昌、アモイ、深圳)に
開発・生産拠点が設置されている。
中国財政部、中国国家発展改革委員会は「高効率照明製品の普及に関する財政補助・資金管
理臨時法」を制定し、高効率照明器具 500 万台の普及を計画しており、街路灯等への LED 照
明の採用が進められている。街路灯については、2015 年まで LED 化を完了する方針である。
4-2)
「欧米環境・有害物質規制の展開が固体表示・照明器市場に与える影響調査研究:日本の照明産業の基本
技術を世界規模の競争で活用するために」、財団法人 機械振興協会 経済研究所、2008 年 12 月
- 29 -
また、科学技術部では 2015 年までに 2600 億元(1 元=13.2 円で換算すると約 3.4 兆円)を
かけて、国家半導体照明工程産業連盟による白熱電球から LED 照明への転換を支援してい
る。さらに、LED 照明など低環境負荷照明の開発企業に対して開発コストの 30%を支援し
ている。
これらの政策の結果、中国の SSL 産業は急速に成長しており、エピタキシャル成長からデ
バイス・パッケージや統合アプリケーションを含む産業チェーンが形成されている。2006 年
までに中国の LED 関連企業は 2,200 社以上となった
4-2)模様であり、その中の
30 社はチッ
プ製造、600 社はパッケージング、その他は建築、ディスプレイ、信号機、自動車などへの
LED 応用と通常の照明器具製造に携わっている。
以上のように、中国における LED 照明に関する政策の目的は、電力消費量削減による二
酸化炭素排出削減はもちろんであるが、それに加えて電力需給バランスの維持、および産業
振興も重要な目的であると考えられる。
第5節
韓国の動向
2006 年 10 月の「技術を基盤とした高効率エネルギー機器開発プログラム」発表に引き続
き、産業資源部(現 知識経済部)は高効率照明である LED 照明の普及、拡大のため「15/30
プロジェクト」を 2006 年 11 月に策定した
トックベースと推定される
4-4) )を
4-3)。これは、2015
年まで LED 照明の普及率(ス
30%に引き上げることを目標とする固体照明に関する国家
プロジェクトであり、交通信号灯、誘導灯、白熱電球、街灯などを LED 照明に代替するた
めの技術開発、試験的普及と実用化などを実施するプロジェクトである。
LED 交通信号灯は 2002 年から既に普及しており、2010 年までに普及率を 100%にまで引
き上げるとしている。また、誘導灯やハロゲン灯の代替用 LED 照明は 2007 年から、白熱電
球などの代替用は 2010 年から、それぞれ試験的に普及事業を推進する計画である。街路灯
や蛍光ランプ代替の LED 照明は 2011 年から普及する計画としている。
このプロジェクトにおける技術開発は、2001 年に設立された韓国光技術院(KOPTI:Korea
Photonics Technology Institute)を中心として進められている模様である。
このように、韓国では LED 照明の普及に注力しているが、その目的は省電力による二酸
化炭素排出削減だけではなく、産業振興も大きなウェイトを占めている模様である。
2009 年 3 月に、韓国では政府主導によって標準化の策定と実行を開始したが、その背景
には韓国の LED 産業を世界水準まで高め、世界市場を先導するという戦略があるようであ
る。具体的には、2012 年には世界 3 位以内の LED 産業大国になる、という目標を掲げてい
るとのことである
4-5)。
そのための施策の第一が「15/30 プロジェクト」であり、第二は研究開発への投資である。
そして第三は安定的成長基盤構築のための地域産業と LED の融合による地域産業の活性化
4-3)
「韓国における高効率機器の開発・普及への取組」、NEDO 海外レポート、No.1002、2007 年 6 月
4-4)
「2012 年までに公共機関の白熱電球を全て LED 照明に置換え」との情報(オスラム オプト セミコン
4-5)
ダクターズ ホームページ、http://www.osram-os.com/osram_os/EN/Press/Press_Releases/Light_
Emitting_Diodes/2009/South-Korea-Wonju-City-GALED-LED-Street-Lamp-InstallationFeaturing-OSRAM-Golden-DRAGON-Plus-LEDs.jsp(2009 年 12 月 21 日検索))もあることから、
目標の 30%はフローベースではなく、ストックベースと推定される
「LED 照明製品の標準化で先んじた韓国の狙い」、Green Device Magazine、2009 年秋号、pp.102-109、
株式会社 日経 BP
- 30 -
である
4-5)。
この第三の施策と関連すると推察されるのが、KOPTI(韓国光技術院)の所在地である光州
市の動きである。光州市では 2007 年に「LED バレー」の造成が行われ、2008 年には「LED
都市」を宣言した。LED バレーには 2008 年 8 月時点で既に 50 社以上が工場を建設、稼動
させている。光州市は 2008 年から 2012 年までの 5 年間で主要公共機関の室内外の全照明を
LED 照明に置換え、光州市を「LED のメッカ」にすることを計画している
第6節
4-6) 。
台湾の動向
台湾も Energy Star プログラムに参加して電気製品の省エネルギー化を進めているが、そ
の中で照明のエネルギー効率向上促進は国家的政策となっており、政策的に白色 LED モジ
ュールの技術開発、LED 産業の振興、および照明の LED 化を進めつつある。
台湾行政院(日本の内閣に相当)の「2015 経済発展ビジョン第一段階の三年衝刺計画」の「産
業発展方案」の中で、LED 産業を「グリーン産業」の一つと位置づけて重要視している。
台湾経済部(日本の経済産業省に相当)は、企業の研究開発を支援するほか、信号機、街灯
および道路照明の LED 照明への切替えを進めている。信号機については、台湾全土の 43 万
基の信号機を 2010 年内に全て LED 照明に切り替える計画である。そして、これらの政策を
進めることにより、照明における省エネルギーを図ると共に、2015 年には台湾製 LED モジ
ュールの世界シェア 23%を目指すとしている
4-2) 。
これらと関連して、経済部は 2008 年 6 月に「LED 照明標準及び品質研発連盟」を立ち上げ、
同じく経済部の「LED 照明標準と品質研究開発アプリケーション整合計画」と合わせ、LED
作成プロセスから照明器具までの測定標準と品質改善認証を制定し、台湾製 LED の品質と
付加価値の向上を促進することを目的としている
4-2) 。
この他、財団法人光電科技工業協進会(PIDA)は産官学研協力の下に、産業調査や国際交流
を進めており、また 2008 年に立ち上げられた台湾光電半導体産業協会(TOSIA)において 14
社の LED 関連企業が台湾工業技術研究院(ITRI)と協力して、特許問題に対応するほか、LED
に関する新たな技術とアプリケーション商品を開発している
4-6)
4-2) 。
「「LED のメッカ」を夢見て/光州」、韓国中央日報(日本語版)ホームページ、
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=103911&servcode=400§code=400(2009 年 5 月 12
日検索)
- 31 -
第7節
まとめ
各国(地域)では電力消費量の削減による二酸化炭素排出削減の有力手段として高効率照
明である LED 照明を位置づけ、これを含む固体照明の技術開発、実用化を国(地域)の政
策として進めている。特に米国、中国、韓国、台湾では国(地域)が強力に主導している。
各国(地域)の政策にはいくつかの特徴がみられる。米国では、LED 照明、SSL に関す
る基礎研究から商品化、標準策定までを DOE が一括して管理しており、欧州は SSL に関し
て日米とは異なる独自の戦略を持って技術開発を進めている模様である。また中国、韓国、
台湾の政策においては、日米欧との比較において、産業振興策としての側面がより強調され
ており、更に中国では電力の需給バランス維持のため、増加する一方の都市における電力需
要の抑制策としての意味が他に比べて強いことも特徴である。
上で述べた各国(地域)の政策を時系列的に整理し、第 4-2 表に示す。明確な情報が得ら
れなかった欧州を除き、表中には LED 照明に関する各国の目標も示した。この表では技術
開発面における政策を中心としたが、産業振興政策との区別が不明確な国(地域)もあるた
め、両者が混在している。また、参考として、本調査の対象技術分野の研究開発プロジェク
トではない欧州の Framework Program も示した。
第 4-2 表
'90
'91
'92
技術開発を中心とした各国(地域)の LED 照明に関する政策
'93
'94
'95
'96
'97
'98
'99
'00
'01
'02
'03
'04
'05
'06
'07
'08
21世紀のあかり計画(経済産業省-NEDO)
日本
米国
地球温暖化対策技術開発事業(環境省)
・2010年にLED照明を含む高効率照明の普及率を
0.41~0.76%(対策評価指標:ストックベース)
LEDバレイ構想(徳島県)
・2015年までに、太陽光のスペクトルを再現でき、照
明製品全体としての効率50%を目標とし、既存照明
技術に比較して格段に高効率、長寿命、かつコスト
的に対抗できる固体照明技術を開発
固体照明技術開発に対する資金援助(DOE)
SSL Program(DOE)
第6次Framework Program(EU)
欧州
(第7次Framework Program(EU))
中国
SSLプログラム(科学技術部)
・高効率照明器具500万台の普及
・2015年まで街路灯のLED化を完了
CSA(国家半導体照明工程産業連盟)設立
KOPTI(韓国光技術院)設立
韓国
台湾
・2015年までにLED照明の普及率30%(ストックベースと推定)
・2010年までに交通信号灯をLED照明に置換え
・2012年には世界3位以内のLED産業大国を目標
・2010年内に全ての信号機をLED照明に置換え
・2015年には台湾製LEDモジュールの世界シェア23%を目標
15/30プロジェクト(知識経済部)
光州市の「LED都市」宣言
Next Generation Lightingプロジェクト(経済部)
第2期固体照明プロジェクト(経済部)
- 32 -
第5章
第1節
市場環境
LED 照明市場概況
多くの国において地球温暖化防止のための省エネルギー対策の一つとして LED 照明導入
促進の様々な施策がとられている。したがって、既に LED 照明の採用が進んでいる用途に
加え、今後は住宅照明をはじめとする一般照明や街路灯など、低消費電力性が重視される用
途における LED 照明採用が急速に進展する兆しがある。LED 照明器具全般の世界市場予測
(日興シティグループ証券)5-1)では、2008 年に 4.57 億ドル(1 ドル=90 円換算で約 411 億円)
であった LED 照明の世界市場は、2015 年には 50.7 億ドル(約 4560 億円)と、7 年間で 10 倍
以上になるとしている。
主な照明用途について、新規に販売あるいは設置される照明器具における 2008 年の LED
光源採用比率を第 5-1 図に示す。図中に示したように、用途によって対象市場は世界または
国内である。
図のように自動車メーター(LED 採用比率約 98%)、携帯電話キー照明(同約 91%)、信号機
(同約 80%)、自動車 DRL(デイタイム・ランニング・ランプ、同約 65%)、自動車リアランプ(同
約 38%)などにおいて LED 採用が先行していることがわかる。これらは LED の特徴の一つ
である低消費電力性の活用であることはもちろんであるが、むしろそれ以外の特徴を活かす
応用分野ということができる。すなわち、自動車メーターと携帯電話キー照明では低消費電
力性と共にコンパクト性が活用され、信号機では特に逆光時の視認性向上が求められ、有色
LED 採用によって有色レンズが不要であることが活かされている。また、長時間点灯され、
かつ信頼性確保が必要な自動車 DRL では LED の耐久性が活かされ、安全性確保のための高
速点灯が求められる自動車リアランプでは LED の高速応答性が活かされている。
第 5-1 図
主要用途別 LED 光源照明器具の比率(2008 年)
(富士キメラ総研のデータ
5-2) に基づいて作成)
街路灯【国内】
店舗照明【国内】
施設照明【国内】
住宅照明【国内】
信号機【国内】
用
途
自動車ルームランプ【世界】
自動車リアランプ(注1)【世界】
自動車DRL(注2)【世界】
自動車ロービーム【世界】
自動車メーター【世界】
携帯電話フラッシュ【世界】
携帯電話キー照明【世界】
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
LED採用比率 %
5-1)
5-2)
(注 1)自動車リアランプ
:テールランプ、ストップランプ等を含む
(注 2)自動車 DRL
:デイタイム・ランニング・ランプ
日本経済新聞、2009 年 9 月 11 日
「2009 LED 関連市場総調査」、株式会社 富士キメラ総研、2009 年 3 月
- 33 -
第2節
応用産業の状況
LED 照明の応用(関連)産業を第 5-2 図に示す。日本では LED 素子/パッケージの製造企業
と LED 照明器具製造企業が棲み分けている傾向にあり、川上(LED 素子/パッケージ製造)か
ら川下(LED 照明器具製造)まで一貫している企業は少ない。外国では、LED 素子/パッケー
ジの製造から照明器具製造までを行っている企業が多く、例えば韓国のソウル・セミコンダ
クター、欧州のフィリップス(オランダ)、米国のクリーなどがある。
日本の LED 照明器具メーカーとしては、一般照明器具の分野ではパナソニック電工、東
芝ライテック等が注力している。また、日本の自動車、信号、屋外照明等の分野では、それ
ぞれを得意とする企業が存在し、専用照明器具の製造、販売、施工等を行っている。その一
部には LED 素子/パッケージの製造から照明器具製造までを行っているメーカーもある。
最近の傾向として、照明器具や各分野の照明における大手の企業に加え、それらにはない
用途開発力や販売力で最終製品市場を開拓する、専門分野の企業の存在感が高まりつつある
といわれている。例えば、各種 LED 光源装置の開発、看板用照明の企画・販売、LED を医
療機器に利用した製品や寺社のライトアップ用 LED 照明の開発などがある。店舗照明など
では技術に加えて意匠に関する力も必要とされ、今後はこのようなベンチャー企業が増加す
ることも考えられる。
第 5-2 図
LED 照明の応用産業
LED素子製造用材料メーカー
(サファイア基盤、樹脂・蛍光体、特材ガ
ス、IC製造材料等)
LED素子製造用装置メーカー
(エピタキシャル成長装置、研磨装置、IC
製造装置等)
LEDパッケージメーカー
(LED照明器具製造メーカーを兼ねる企
業もある)
LED素子
設計ツール
LED照明器具用部品供給メーカー
(駆動回路、点灯回路、AD変換器等)
(グループ企業からの供給も多い)
LED照明器具メーカー
(対象分野により企業特性が異なる)
LED照明
器具設計
ツール
照明デザイナー
LED照明器具設置・施工業者
LED照明器具組込み製品メーカー
インフラ関連産業
住宅・建築産業
(電気設備工事業
(電気設備工事業
者、土木工事業者、 者、ハウスメーカー、
ゼネコン等)
ゼネコン等)
自動車産業、鉄道車両産業、航空機産業
等
バックライト用にLEDを使用する機器
(パソコン(デスクトップ、ノート)、モバイル、
携帯電話、カーナビ、カメラ、ビデオカメラ、
パチンコ台等)
表示用にLEDを使用する機器
(電光掲示板、LED掲示板、大型映像表
示装置等)
(注)網掛け部分は本調査の主な対象であることを示す
- 34 -
第3節
標準化の状況
1.日本
社団法人 日本照明委員会(JCIE)、社団法人 日本照明器具工業会(JLA)、社団法人 日本電
球工業会(JELMA)、社団法人 照明学会(IEIJ)等の関連する業界団体等が中心となって LED
照明の標準化が進められている。
2.米国
業界団体を中心として標準化が進められてきたが、2005 年頃からエネルギー省(DOE)によ
って主導的に進められるようになった。近年は、白色 LED 照明の標準化に極めて積極的で
あり、米国標準技術局(NIST)が全面的なバックアップを行い、規格整備を含めて DOE に
よる LED 照明器具の省エネ製品認証が行われている。
3.欧州
照明器具メーカーが標準策定に関する組織的な動きをしている模様である。標準的な電球
形 LED ランプや器具に関して、LED モジュールと制御装置がシステムとして捉えられてお
り、IEC(国際電気標準会議)においてオスラムを中心として国際標準化が行われた。これは
既存光源代替を目的としたものであり、電球形 LED ランプの性能決定における適用範囲、
使用温度範囲と寸法、寿命の定義等を定めたものである。
4.中国
政府が LED 照明を含む固体照明産業の発展支援を目的として 2004 年に設立した CSA
(国
家半導体照明工程産業連盟)内に標準化促進のためのグループが 2007 年に設置され、規格
化、標準化の推進を行っている模様である。また、中国の工業・情報化部 LED 照明標準チー
ムにより、7 件の LED 照明関連の標準制定作業がほぼ完了した模様である。
5.韓国
国家プロジェクトとして 5 年間で LED 照明の標準化を行う計画である。2007 年に LED
Korea 協会が発足し、極めて活発に活動(韓国産業規格(KS)の制定・施行)を行っている。
韓国における標準化の特徴は政府主導であることであり、同国の LED 産業育成政策と密接
に結びついている。
6.台湾
標準化策定が進行中の模様であり、台湾経済部(日本の経済産業省に相当)の標準検験局で
は、CNS(China National Standards)として LED に関する 35 種類の標準化が進行中で
あり、その内 12 件については審議を完了したとのことである。
7.標準化と特許
近年の技術の高度化や国際的競争の激化に伴い、知的財産権の取得と規格化・標準化が同時
に進められることが多く、規格や標準の提案に特許を含むものが増加しているとのことであ
る。そのため、極端な場合は特許権者が標準化活動に参加しない、あるいは法外なロイヤリ
ティを要求するなどの問題が発生することが懸念されている。但し、LED 照明に関しては、
これまでの IEC 規格や JIS 規格作成段階で回避不可能な特許は見つかっておらず、現時点で
は上記のおそれはない模様である。
- 35 -
第6章
第1節
総合分析
日本の技術競争力・産業競争力
これまでに分析した特許出願動向、研究開発動向、政策動向、市場環境の結果をもとに、
日本の技術競争力・産業競争力を以下および表 6-1 にまとめる。
特許出願動向分析
一部の用途を除き、大多数の技術区分および注目研究開発テーマで日本国籍出願人の出願
件数が最も多く、日本が本技術分野の技術開発を牽引していることがわかる。しかしながら、
以前は日本からの出願が圧倒的に多かった技術においても、近年になって、中国、韓国、そ
の他の国からの出願が急速に増えている状況が見受けられる。
研究開発動向分析
国際的な主要誌(英語論文)を対象にした論文発表では、日本からの発表件数は米国、欧
州に比べて少なく、低調であることがわかる。但し、日本語を含め、言語を問わない論文を
対象にした分析では、日本からの発表も多く、日本国内での発表が優先されていることが窺
える。本技術分野における論文発表件数の国際比較を行うことは、厳密な意味では難しい。
政策動向分析
LED 照明の導入を促進する施策や技術開発を支援するプロジェクトについては、米欧中韓
それぞれが、各国の事情を考慮しながら、戦略的に進めており、特に米中韓台では国(地域)
が強力に主導している。日本も、地球温暖化防止、省エネルギー対策、あるいは産業界の活
性化を目的とした、LED 照明あるいは高効率照明導入促進の政策・施策や、LED 照明に関す
る国による技術開発プロジェクトを進めている。
市場環境分析
2008 年の LED 照明の世界市場規模は 4.57 億ドル(1 ドル=90 円換算で約 411 億円)であり、
2015 年には 10 倍以上の 50.7 億ドル(約 4560 億円)になるとの予想がある。現状の主要な用
途は、自動車のメーター照明/DRL(デイタイム・ランニング・ランプ)/リアランプ、携帯電話の
キー照明、道路用信号機等であるが、今後、一般照明や街路灯などの分野で、急速に LED
照明の導入が進むと予想されている。世界市場を対象とするならば、日本にとっても、大き
なビジネスチャンスが期待できる。
第 6-1 表
日本の技術競争力・産業競争力のまとめ
特許出願動向
注目研究開発テーマ
研究開発動向
(英語論文発表件数)
米欧中韓と
近年の動向
の比較
近年の動向
米欧中韓と
の比較
総合発光効率向上
横ばい
優位
増加
イニシャルコスト低減
横ばい
優位
増加
増加
優位
横ばい
放熱性向上
政策動向
近年の動向
米欧中韓と
の比較
市場環境(世界)
近年の動向
世界市場
規模
米欧より劣位
自動車メー 世界市場は
戦略的に推
国の技術開
ター/リアラン 4.57億ドル
進、特に米中
プ、携帯電話 (2008年)、
米欧と同等 発プロジェク
韓は国が強
トを実施
キー等への 2015年は10
力に主導
普及が先行 倍との予想
米欧より劣位
注 1)研究開発動向は、英語論文を対象にしたため、近年増加傾向であるものを含め、日本からの発表件数は米欧
に比べて少なく、厳密な意味での国際比較は難しい。
注 2)市場環境については、データの入手が困難であったため、世界の市場環境をまとめた。
- 36 -
第2節
日本の取り組むべき課題と目指すべき方向性
今回の調査では、LED 照明技術を対象に、1990~2007 年までの 18 年間の特許出願動向
分析を行った。また、合わせて論文発表から見た研究開発動向、政策動向および市場環境に
ついての分析も行った。具体的には、LED 照明技術について、課題別に、照明光特性向上、
小型化、既存光源代替、経済性向上、その他の課題、解決技術別に、光学技術、熱技術、ア
センブル技術、また、用途別に、屋内照明、屋外照明、演出性照明、移動体搭載照明(自動
車)、移動体搭載照明(自動車以外)、標識照明、可搬型照明、電子機器・電気機器用照明、
家具等照明、特殊用途照明に分けて調査した。
その結果、日本は、ごく一部の可搬型照明等の用途に関する技術を除き、大多数の技術に
おいて、米欧中韓を牽引している存在であることがわかった。LED 照明の性能向上および普
及のためには、重要かつ不可欠であり、今後注目されると思われる技術分野である注目研究
開発テーマ(総合発光効率向上、イニシャルコスト低減、放熱性向上)においても、日本が
技術的に優位な立場にあることがわかった。その一方で、以前は日本からの出願が圧倒的に
多く、優位を保っていたと考えられる技術においても、近年になって、中国、韓国、その他
の国からの出願が増えている状況が見受けられる。中国を始め、韓国やその他の国の追い上
げが急速であることもわかった。
それらを踏まえて、以下に、具体的な 4 つの提言について述べ、本調査報告書のまとめと
する。
【提言1】
総合発光効率向上、イニシャルコスト低減、放熱性向上は、LED 照明の性能向上およ
び普及のために、重要かつ不可欠な課題である。いずれも日本からの出願が多く、今後
とも、日本が技術を牽引していくことが期待される。
・総合発光効率向上、イニシャルコスト低減、放熱性向上は、いずれも LED 照明の性能
向上および普及のために、重要かつ不可欠な課題であり、本調査では注目研究開発テー
マとして扱った。(第 2-25 表)
・総合発光効率向上、イニシャルコスト低減、放熱性向上に関する 1990~2007 年におけ
る日米欧中韓への出願は、いずれも日本からの出願が最も多く、これまでは日本が技術
を牽引してきたことを示している。(第 2-30 図、第 2-36 図、第 2-42 図)
・近年になって、中国、韓国、その他の国からの出願件数が急増しており、放熱性向上に
関する出願においては、2007 年になって、中国からの出願が日本からの出願を上回り、
最も多くなった。(第 2-31 図、第 2-37 図、第 2-43 図)
・総合発光効率向上、イニシャルコスト低減、放熱性向上の課題を解決するための主な技
術は、順に、光学技術、アセンブル技術、熱技術であるが、それらの技術においても、
日本からの出願が最も多く、今後とも、日本が技術を牽引していくことが期待される。
(第 2-19 図)
- 37 -
【提言2】
LED 照明技術の内、照明器具に関する技術は、日米欧のみならず、中国、韓国、台湾
が競合する技術である。これまで日本はこの分野の技術開発を牽引してきたが、中国、
韓国の追い上げは急速で、今後とも牽引し続けられる保障はない。LED 素子から照明器
具までの一貫した技術開発、いわゆる、川上川下連携等、戦略的な技術開発の方向性を
もつことが望まれる。
・本調査対象とした LED 照明技術において、1990~2007 年における日米欧中韓への出願
件数の総数は、日本からの出願が最も多く、欧州や米国からの出願はそれに次ぐ。出願
件数推移においては、1991~1992 年を除き、日本からの出願が最も多い状況である。
但し、2007 年に中国からの出願が日本からの出願に次いで多い状況となっており、中国
からの出願が急増していることを示している。(第 2-3 図、第 2-4 図)
・近年、一部の技術(技術区分:熱技術、屋外照明、演出性照明、放熱性向上)によって
は、中国からの出願が、単年においては日米欧中韓の中で、最も多い状況が出てきてい
る。(第 2-23 図、第 2-43 図)
・韓国からの出願については、単年において、日米欧中韓の中で、2 番目に多い状況が出
てきている。(第 2-23 図)
・台湾からの出願についても、中国、韓国からの出願と同様、近年、出願件数と出願人人
数がともに急増している。(第 2-9 図、第 2-10 図、第 2-11 図)
・日本の LED 素子の技術は世界最高水準であることから、LED 素子から開発する強みを
活かし、照明に最適な LED 素子(演色性を含む)を実現できれば、今後とも日本が技
術開発を牽引できる可能性がある。LED 照明器具の総合発光効率は、LED 素子の発光
効率と、LED 素子の光を器具外に取り出すための効率により決まるため、LED 素子の
光を器具外に取り出すための効率の向上(本調査で取り上げた注目研究開発テーマ「総
合発光効率の向上」:川下分野)とともに、LED 素子の開発(川上分野)にも注力すべ
きである。LED 素子から照明器具までの一貫した技術開発、いわゆる、川上川下連携は
戦略的な技術開発の一つの方向性となる。(ヒアリング調査)
・日本からの出願が最も多い技術の中に、移動体搭載照明(自動車)や移動体搭載照明(自
動車以外)に関する技術がある。これらの技術では、他の技術に見られるような、近年
の中国、韓国の出願件数の急増はそれほど見られない。放熱性、指向性、防眩性、寿命、
器具寸法等、照明に求められる仕様が一般的な照明より厳しいことと、大手自動車メー
カーが多数存在することは、日本にとって、より付加価値の高い LED 照明を開発でき
るチャンスになりうる。また、従来の照明市場に加え、LED 照明の特徴を活かした新し
い照明市場への期待も大きく、特殊用途照明においては既に植物工場用照明や画像処理
用照明等に普及が始まっているが、さらなる LED 照明の新用途開発では、日本が独自
性を発揮し、技術やビジネスで差別化を図ることに期待がかけられている。ここでも、
川上川下連携による戦略的な技術開発が有効な手段となる可能性がある。(第 2-24 図、
ヒアリング調査)
- 38 -
【提言3】
世界市場の急速な拡大に対応するためには、ビジネス戦略が必要である。国際標準策
定におけるリーダーシップもその一環として重要である。日本の意見を国際標準に反映
させるために、日本のより一層積極的な対応が望まれる。また、国際標準策定に関連す
る特許の取り扱いについても、適切な対応が望まれる。
・2008 年の LED 照明の世界市場規模は 4.57 億ドル(1 ドル=90 円換算で約 411 億円)であ
り、2015 年には 10 倍以上の 50.7 億ドル(約 4560 億円)になるとの予想がある。現状の
主要な用途は、自動車のメーター照明/DRL(デイタイム・ランニング・ランプ)/リアランプ、
携帯電話のキー照明、道路用信号機等であるが、今後、一般照明や街路灯などの分野で、
急速に LED 照明の導入が進むと予想されている。世界市場を対象とするならば、日本に
とっても、大きなビジネスチャンスが期待できる。(第 5 章第 1 節)
・米国でも業界団体を中心として標準化が進められてきたが、2005 年頃からエネルギー省
(DOE)によって主導的に進められるようになった。近年は、白色 LED 照明の標準化に極
めて積極的であり、米国標準技術局(NIST)が全面的なバックアップを行い、規格整備
を含めて DOE による LED 照明器具の省エネ製品認証が行われている。
(第 5 章第 3 節)
・欧州では照明器具メーカーが標準策定に関する組織的な動きをしている模様である。標
準的な電球形 LED ランプや器具に関して、LED モジュールと制御装置がシステムとし
て捉えられており、IEC(国際電気標準会議)においてオスラムを中心として国際標準化が
行われた。これは既存光源代替を目的としたものであり、電球形 LED ランプの性能決
定における適用範囲、使用温度範囲と寸法、寿命の定義等を定めたものである。(第 5
章第 3 節)
・中国政府が LED 照明を含む固体照明産業の発展支援を目的として 2004 年に設立した
CSA(国家半導体照明工程産業連盟)内に標準化促進のためのグループが 2007 年に設
置され、規格化、標準化の推進を行っている模様である。また、中国の工業・情報化部
LED 照明標準チームにより、7 件の LED 照明関連の標準制定作業がほぼ完了した模様
である。(第 5 章第 3 節)
・韓国では、国家プ口ジェクトとして 5 年間で LED 照明の標準化を行う計画である。2007
年に LED Korea 協会が発足し、極めて活発に活動(韓国産業規格(KS)の制定・施行)を
行っている。韓国における標準化の特徴は政府主導であることであり、同国の LED 産
業育成政策と密接に結びついている。(第 5 章第 3 節)
・日本では、社団法人 日本照明委員会(JCIE)、社団法人 日本照明器具工業会(JLA)、社
団法人 日本電球工業会(JELMA)、社団法人 照明学会(IEIJ)等の関連する業界団体等が
中心となって LED 照明の標準化が進められている。加えて、世界市場でのビジネスを
展開するためには、国際整合化が重要で、且つ、日本の意見を国際標準に反映させるこ
とが非常に重要である。日本のより一層積極的な対応が望まれる。(第 5 章第 3 節、ヒ
アリング調査)
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・近年の技術の高度化や国際的競争の激化に伴い、知的財産権の取得と規格化・標準化が同
時に進められることが多く、規格や標準の提案に特許を含むものが増加しているとのこ
とである。そのため、極端な場合は特許権者が標準化活動に参加しない、あるいは法外
なロイヤリティを要求するなどの問題が発生することが懸念されている。但し、LED 照
明に関しては、これまでの IEC 規格や JIS 規格作成段階で回避不可能な特許は見つかっ
ておらず、現時点では上記のおそれはない模様である。(第 5 章第 3 節)
【提言4】
LED 照明の導入を促進する施策や技術開発を支援するプロジェクトについては、米欧
中韓台それぞれが、各国(地域)の事情を考慮しながら、戦略的に進めている。特に米
中韓台では国(地域)が強力に主導している。日本においても、各種施策やプロジェク
トを進めているところであるが、エネルギー施策、地球温暖化防止施策および LED 照
明産業の振興施策の観点から、これらの施策の強化が望まれる。
・各国(地域)では電力消費量の削減による二酸化炭素排出削減の有力手段として高効率
照明である LED 照明を位置づけ、これを含む固体照明の技術開発、実用化を国(地域)
の政策として進めている。特に米国、中国、韓国、台湾では国(地域)が強力に主導し
ている。米国では、LED 照明、SSL に関する基礎研究から商品化、標準策定までを DOE
が一括して管理しており、欧州は SSL に関して日米とは異なる独自の戦略を持って技術
開発を進めている模様である。また中国、韓国、台湾の政策においては、日米欧との比
較において、産業振興策としての側面がより強調されており、更に中国では電力の需給
バランス維持のため、増加する一方の都市における電力需要の抑制策としての意味が他
に比べて強いことも特徴である。このように、米欧中韓台それぞれが、各国(地域)の
事情を考慮しながら、戦略的に政策を進めている。(第 4 章第 7 節)
・日本も、地球温暖化防止、省エネルギー対策、あるいは産業界の活性化を目的とした、
LED 照明あるいは高効率照明導入促進の政策・施策や、LED 照明に関する国による技術
開発プロジェクトを進めている。今後も、エネルギー施策、地球温暖化防止施策および
LED 照明産業の振興施策の観点から、各国(地域)の動向を注視しながら、これらの施
策を強化し、国を挙げてバックアップしていくことが望まれる。(第 4-1 表、第 4-2 表、
ヒアリング調査)
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