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みどりの見張り番
みどりの見張り番 ―駐車違反にならないように― 阪南大学 経営情報学部 5107136 5107065 仙田 金光 1 経営情報学科 友久 大貴 目次 第1章 はじめに ....................................................................................................................... 3 第2章 関連研究 ....................................................................................................................... 4 第 1 節 2 値化処理について ..................................................................................................... 4 第 2 節 スマートフォンについて ............................................................................................. 5 第 3 章 スマートフォンを利用したアプリケーションの実装 ............................................................ 7 第 1 節 開発の動機 ................................................................................................................... 7 第 2 節 システムの全体像 ........................................................................................................ 7 第 3 節 詳細設計 ...................................................................................................................... 9 第4章 検証 ............................................................................................................................ 13 第 1 節 駐車監視員の行動検証 ............................................................................................... 13 第 2 節 問題点 ........................................................................................................................ 15 第 3 節 今後の展望 ................................................................................................................. 15 第5章 まとめ ........................................................................................................................ 16 参考文献 ................................................................................................................................... 17 謝辞 .......................................................................................................................................... 17 2 第 1 章 はじめに 2006 年 6 月に道路交通法が改正され、本来警察が行っていた駐車車両の確認及び標章の 取り付けに関する事務を公安委員会の登録を受けた民間会社に委託することが可能となっ た。この事により、今まで交通量の多い主要道路などを中心に駐車車両の取り締まり業務 が行われていたが、それまでおろそかになっていた脇道まで範囲が拡大された。民間会社 への委託の効果として、路上の駐車車両が減少し、駐車車両が原因での事故や渋滞が減少 した。その他にも副次的効果として、常に数人の駐車監視員が路上を見回っていることか ら、車上荒らしなどの被害が約 3 割も減少した都道府県もあった(図 1 参照)。道路交通法 の改正によりこの様な効果が挙げられている一方で、車を使って配達などをしている業種 にとっては、不便な面が多々発生した。例えば、クリーニング行では店舗で営業するだけ ではなく、配達や注文をとるために得意先を車で回ることもあり、お得意先によっては、 商品を届けようとしても都合よく周辺に駐車場がないケースが多々ある。その場合、配達 の間だけ路上に停車するのだが、スムーズに商品の受け渡しなどが行えない場合は、規定 の停車時間を越えてしまう事も多々ある。その間に駐車監視員により、駐車車両取締りが 行われ、駐車違反切符を切られることもたびたび発生する。放置違反金は 15000 円であり、 駐車違反が度重なると個人のみではなく、会社への損失も大きい。 駐車違反件数 1,800,000 1,600,000 1,400,000 件数 1,200,000 件 1,000,000 数 800,000 600,000 400,000 200,000 0 平成 17 年度 年度 平成 18 年度 図 1 駐車違反件数 引用:警察白書 そこで、駐車違反取締対策ができるシステムを考案する。これは、商品配達中に駐車監 視員が車に近づいたことを配達員へ迅速に知らせるシステムである(図 2 参照)。基本的にシ ステムを車に搭載し、構成は Android 搭載のスマートフォン 2 台のみである。そして、車 内に設置したスマートフォンを使用して数秒ごとに撮影し続ける。スマートフォンで撮影 した全ての画像をスマートフォン内部で 2 値化処理をし、駐車監視員かどうかの判別を行 う。つまり、駐車監視員が通過した時だけ、無線 LAN 経由で配達員が所持している PDA 3 に画像が転送され、配達員に知らせることができるというシステムである。 本論文では、2 章で関連研究について述べる。3 章では、実際どのようにして画像処理を し、他 PDA に知らせるかの処理を詳しく述べる。4 章で、実装したシステムの考察を述べ、 5 章でまとめを述べる。 ピピッ! 緑のベスト に黄色のV字 駐車監視員 認識 画像データ 送信 スマートフォン PDA 内で 2 値化処理 PDA 送信 図2 みどりの見張り番システム概要 利用者 第2章 関連研究 本章では、本論文の技術的な説明を行う。1 節では 2 値化処理について説明をする。2 節 ではスマートフォンについて説明をする。 第1節 2 値化処理について 近年、デジタルカメラの性能の向上により、小型化が進み、画素数などが格段に向上し たデジタルカメラが販売されている。この、デジタルカメラの性能の向上に伴い、デジタ ルカメラ本体の価格も安価なものとなっている。また、デジタルカメラの普及率と伴いデ ジタル画像の使用頻度も上がっており、パソコンでの画像処理技術の重要性は増す一方で ある。本システムでは駐車監視員の制服である緑のベストの V 字を検出し、判定すること から 2 値化処理を利用する。2 値化処理とは画像の輝度値を指定した閾値以上の場合は白色 にし、未満の場合は黒色にする技術である。2 値化処理は以下の式で定義される。 この場合、t を閾値とし、t 以上の画像画素を 1 とする。それ以外の画像を 0 とし、結果は ft(x,y)となる。例えば、対象範囲を 1 とし、それ以外の背景範囲を 0 とする場合、2 値化処 理を行うことにより、白色と黒色のみの画像が作成される(図 3 参照)。図 2 でも分かるよう に、対象範囲に人物や物を置き、それ以外を背景範囲とすることで、背景が何色であって も、2 値化処理により、白色と黒色に分けることが可能である。また、2 値化後の画像を鮮 明に表示させるために、ラベリング処理とエッジ検出が用いられる場合が多い。 ラベリング処理とは、デジタル画像がピクセルあたりに独立して色情報を持っているの 4 で、ピクセルあたりに複数のオブジェクトが存在する場合、対象の範囲を識別する技術で ある。また、連結している画像を同じラベルにすることで、連結している画像をグループ 化することができ、ただ単純に 2 値化処理を行うよりもより、鮮明に白色と黒色を分ける ことが出来る技術である。 次に、エッジ検出とは、一般的に画像などの輪郭部分にあたり、画像の明るさが急激に 変わった場合に用いられる。例えば、エッジ検出により、人や物など、背景との急激な明 るさの変化があった場合、人物や物などの輪郭がはっきりと表示される技術である。 また、上記でも述べたように、現在 2 値化処理やラベリング処理、エッジ検出などの画 像処理技術は多くの場所で使用されている。例えば、マザーボードの基盤の bas の損傷チ ェックに利用されており、傷の部分は黒色に、それ以外の部分は白色にすることで傷の大 きさなどを調べることが出来る。その他に、ベアリングのボールカウントや、重心位置測 定や、面積判定などに使用されており、画像処理が重要になってきている。 2 値化処理 図3 2 値化処理 第 2 節 スマートフォンについて スマートフォンとは、携帯電話と携帯情報端末(PDA)を合わせた端末である(図 4 参照)。 Word や Excel などパソコンの補助的な操作を行うことが出来る端末である。現在のスマー トフォンの代表例は、iPhone であるが、一般的に普及したのは 2003 年以降に販売された、 Microsoft 社の WindowsMobile である。ディスクトップ版の Windows とはバイナリ互換 がなく、デザインの悪さとアプリケーションの少なさとレスポ ンスも悪かったことからあまり人気は出なかった。しかし、2007 年以降販売された、Apple 社のスマートフォンである iPhone の 登場により一気にスマートフォンを使用する人が増加した。 iPhone は前身である、iPod の人気が高かったため、発売当初か ら注目度が高かった。また、当時のスマートフォンの中では端 5 図 4 スマートフォン 末の性能が飛びぬけて良く、デザイン性に優れていたため、WindowsMobile のシェアを数 年で抜いた。iPhone には ARM アーキテクチャが採用され、ARM 向け Unix ベースの OS(IOS)が搭載された。このことにより、WindwosMobile に見られるレスポンスの悪さな どが解消され、人気が高くなった。しかし、2008 年から Google 社が販売を始めたスマー トフォン向け OS(Android)が近年人気を集めている。Android はベースが Linux であり、 OS やアプリケーションは Dalvik VM で動作している。また、VM 上での操作のため iPhone に比べレスポンスが悪く、バッテリの消費量の多さに問題を抱えているが、レスポンスを 上げるために、マシンスペックの向上や OS の軽量化などが行われている。そして、2010 年の調査では、Android がついに iPhone や WindowsMobile のシェアを抜いた(図 5 参照)。 この理由として、OS がオープンソースであることやアプリケーションの審査がほぼ無いこ とが大きな要因である。また、Apple 社はアプリケーションの審査が厳しく、審査に通過し たとしても、実際にユーザがアプリを使用できるようになるのは数ヶ月先になることなど がある。また、Android は java や C 言語などで開発できるのに比べ、iPhone の開発言語 は Objective-C と扱いにくい言語である。そして、一番の欠点が Apple 社のパソコンでし か開発が出来ない点である。このようなことから、現在 Android のアプリ数が iPhone のア プリ数を追い抜き、未だに増え続けている。そして、iPhone の OS はオープンソースでは なく、Apple 社が一貫して製造、販売を行っていることから、ユーザは機器を選べなくなっ ている。しかし、Android はオープンソースであるため、多くのメーカが Android 搭載の スマートフォンを販売している。このことから、シェアが逆転したのではないのかと考え る。つまり、iPhone は閉鎖的であり、アプリケーションを作る時もひと手間かかるが、 Android はオープンソースでありアプリの自由度も高いことや、iPhone に比べ安易に作成 することができる。このようなことから、Android のシェアが上がったのではないかと推測 する。 図5 スマートフォンのシェア 引用:AC Nielsen(市場調査会社) 6 第 3 章 スマートフォンを利用したアプリケーションの実装 第 1 節 開発の動機 基本的なアイディアは二つある。一つ目として、実家がクリーニング屋を経営しており、 道路交通法の改正以降幾度となく駐車監視員に違反切符を張らたことにある。この問題は 死活問題であり、配達業者や引越し業者なども同様の問題に悩んでいるのではないかと考 えた。また、日本橋などの繁華街では、現在、駐車監視員を見ない日はなく、歩いている と 10 分に 1 回は必ず見かけるのが現状である。この状況は変えられないが、駐車監視員が 近くに来た場合、携帯電話に知らせることができれば、駐車違反切符を貼られることを回 避できるのではないかと考えた。このようなことから、本システムを考案する。 また、駐車監視員を観察していると、駐車違反切符を切るまでには最低でも 5 分の時間 を要することが分かった。これは、駐車違反と思われる車を発見し、PDA などの端末でサ ーバ側に駐車違反と思わしき車のナンバープレートなどの必要事項を記入し、送信する時 間などである。つまり、駐車監視員が、確認作業をした後に駐車違反切符を張る事で駐車 違反になる。このことから、確認作業から駐車違反切符を張るまでの 5 分の間にすばやく メール等で駐車監視員が自分の車の近くにいることを知らせることが出来れば、駐車違反 切符を切られないのではないだろうかと考えた。 二つ目は、過去にパソコンで同様のプログラムを作成したが、その場合ノートパソコン を使用しなければならないため、ノートパソコン等を設置する場所が必要であるというこ とと、小型化が出来ないということである。さらに、WEB カメラも使用するので、配線等 が乱雑になり、手軽に設置できなかったという点である。しかし、近年スマートフォンの スペックが上がったことや Android を搭載したスマートフォンが多く販売され、安価に手 に入れることが可能となった。つまり、今までのスマートフォンでは処理が追いつかず、 使うこのとのできなかったプログラムなどが使用できるようになり、使用できるプログラ ムの幅が広がった。また、スマートフォンを利用し駐車監視員を発見できるようなプログ ラムはないかと探してみたが、車関連のプログラムはカーナビアプリが中心であり、駐車 監視員が近づいていることを知らせるようなプログラムはないことから、本システムを作 成した。 第 2 節 システムの全体像 今回提案するシステムは、車内に設置したスマートフォンで1分置きにカメラ撮影し、 撮影した全ての画像に 2 値化処理をする。その際、駐車監視員が通過すると、黄色の V 字 7 に反応し、自動的にスマートフォンに画像付メールが送られるというシステムである。本 システムの流れを図 6 を使って説明する。 本システムは、クライアントプログラムと、インターネット環境により構成される。ク ライアントプログラムは、スマートフォン内部での処理である。まず、スマートフォンの プログラムにより、カメラを 1 分置きに自動撮影する。その撮影した画像情報すべてを 2 値化処理に引き渡す。ここで、2 値化処理がされ、白色と黒色のみの単色画像に変換される。 次に、2 値化処理後の画像に、駐車監視員の V 字が存在するかの判定処理を行うため、画 像判定処理に引き渡す。そして、画像判定後、V 字が存在すれば、当たり判定となり、メー ルプログラムへ値が引き渡される。また、当たり判定の画像でない場合は、はずれ処理と なり、スマートフォンに戻る。メールプログラムから google 社が提供している Gmail 経由 で配達員が所持しているスマートフォンへメールが送られる。また、gmail を使用する利用 として、無料であることと、利用するユーザが多くサンプルソースが豊富にあり、容量も 一人当たり 5G の容量が割り当てられるためである。 以上の工程により、駐車監視員が車に設置したカメラに撮影された場合、迅速に配達員 などに知らせることができ、駐車違反切符を切られないのではないかと考える。 クライアントプログラム スマートフォン カメラ撮影 外れ処理 画像を渡す 2 値化処理 インターネット 値を引き渡す 画像判定 携帯 画像を添付 当たり処理 Gmail メール 図6 システムの全体像 図 7 は実際にスマートフォンで動かした画像である。図 7 では 2 値化処理をしており、 図 8 では 2 値化処理後の当たり処理時のメール送信画面である。図 9 では、実際にメール が送信された画像である。 8 図7 図8 2 値化処理時の画面 図9 メール送信画面 メール受信画面 第 3 節 詳細設計 本システムの特徴は JAVA で開発する点である。Android は C#などの Windows 開発系 プログラミング言語は利用できず、汎用性の高い JAVA 言語を選択した。開発したシステ ムのクラス関係は図 10 に示す。まず始めに、Main.class からカメラを制御している CameraVierTimer.class を呼び出しカメラの初期起動のための準備を行なう。初期起動が 完了したらカメラを制御し画像を取得する。その後、取得した画像を PictureProssing.class 9 に渡し、判定結果を返す。その判定結果が当たり判定であれば、SendMail.class でメール を送信する。図の①から④までの流れを詳しく説明する。 ①Main.class 画像処理 呼び出し ③PictureProssing.class ②CameraVierTimer 判定結果 メール処理 結果 インターネット メール送信 図 10 ④SendMail.class クラス図 ①Main.class 本システムを起動時に、GUI は作成していないため表示はされないが、カメラを制御す るクラス(CameraVierTimer)を呼び出している。 super.onCreate(icicle)は Eclipse で android プロジェクトを作成したときに自動で生成さられるコードである。onCreate()をオ ーバーライドする場合は、必ずスーパークラスの onCreate()を呼び出す必要がある。 Main.class は Activity を継承しているため、初期状態のままでは画面上部にタイトルが表 示される。今回は、タイトルが必要ないため、requestWindowFeature()の引数として Window.FEATURE_NO_TITLE を渡し、タイトルを非表示にしている。setContentView は携帯端末の画面に表示するビューを指定するものであり、今回は CameraVierTimer クラ スをビューとして指定している。 public void onCreate(Bundle icicle) { @Override super.onCreate(icicle); requestWindowFeature(Window.FEATURE_NO_TITLE); setContentView(new CameraViewTime(this)); } } ②CameraVierTimer カメラを制御しているクラスである。サーフェイスビューを継承しており高速に連続描 画できるビューであり、タイマーが初期起動完了後 8 秒後に画像を取得し、その後は定期 的に 8 秒ごとに取得する。ここでカメラから取得した画像を本体メモリの指定ディレクト 10 リに保存している。Schedule()は指定した時間の後に cameratest()を実行する。その後、指 定された時間とは別の一定した間隔で cameratest()を実行している。 //タイマースタート private void start(){ //Timer を設定する timer = new Timer(true); //タイマー初期起動 8 秒後,その後 8 秒ごとに // カメラ画像取得その後画像処理へ timer.schedule(new TimerTask() { @Override public void run() { cameratest(); } }, 8000, 8000); } setCameraparameters(int w, int h)はカメラの保存サイズをデフォルトのサイズから指定 のサイズに変更している。setParameters は先ほど変更した保存サイズをカメラへと反映 している。 if( camera != null ){ Camera.Parameters parameters = camera.getParameters(); // 保存サイズを変更する parameters.setPictureSize( w, h ); // カメラのパラメータをセット camera.setParameters( parameters ); } ③PictureProssing.class このクラスでは画像処理を行っている。カメラから本体メモリに保存された画像を取得 11 する部分とその画像を 2 値化する部分があり,他に 2 値化画像で白色の部分の元画像のピクセ ル値の取得をしている。nitika()で、2 値化処理を行っている。 judge()は元画像のピクセル値を元に判定を行っている。下記のソースコードは 2 値化処理 を行い、白色の座標を元に 2 値化処理前の画像からピクセル値の取得をしている。 for(int i1 = 0; i1 < height; i1++){ for(int j = 0; j < width; j++){ //色を取り出す int b = bit.getPixel(j, i1) & 255; int g = (bit.getPixel(j, i1) >> 8) & 255; int r = (bit.getPixel(j, i1) >> 16) & 255; //平均値としきい値を比べる if(border < b + g + r){ image2.setPixel(j, i1, Color.WHITE); String tmp = String.valueOf(Color.red(bit.getPixel(j, i1))) + ","+ String.valueOf(Color.green(bit.getPixel(j,i1)))+","+ String.valueOf(Color.blue(bit.getPixel(j, i1))); List.add(tmp); } ④SendMail.class このクラスではメール送信処理を行っている。Android では、Sun Microsystems が提供 している Java Mail は使用することができないため、3 つ方法をまず考察した。1 つ目の方 法として、Android に搭載されている Mailer を使用する方法である。この方法は Mailer を呼び出した後に、手動でユーザが送信ボタンを押さなければ返信できないという問題点 がある。2 つ目の方法は socket 通信でやり取りする方法である。近年 POP サーバや SMTP サーバのポート番号を変更する Maill サーバが多く、Gmail も変更していたため、変更後 のポートを使用すると、SSL 通信を求められ通信が応答しない場合があるという問題点が ある。3 つ目の方法として、Google 社が提供している 3 つのライブラリを外部 jar として 使用する方法がある。これらの外部 jar を使用することにより SMTP サーバとやり取りを 行なうために必要な SSL 通信を比較的簡単に実装をすることが出来る。 つまり、3 つ目の方法が一番容易に実装をすることが出来るため、3 つ目の方法を利用し た。setProperty()で smtp サーバへ接続するために必要な設定を行なっている。 12 // 基本情報。ここでは gmail への接続例。smtp サーバ設定 props.setProperty("mail.smtp.host", "smtp.gmail.com"); // SSL 用にポート番号を変更。 props.setProperty("mail.smtp.port", "465"); // タイムアウト設定 props.setProperty("mail.smtp.connectiontimeout", "60000"); props.setProperty("mail.smtp.timeout", "60000"); // 認証 props.setProperty("mail.smtp.auth", "true"); 第 4 章 検証 第 1 節 駐車監視員の行動検証 本システムを使用する上で、駐車監視員が駐車違反と思わしき車を発見してから、どの 程度の時間で違反切符を切られるかを検証した(図 11 参照)。また、発見されて本システム の駐車監視員発見メールが来た場合、どの程度の距離であれば駐車監視員から切符を切ら れることを回避できるか検証した。(図 12 参照)。 駐車監視員取締り時間 6:00 4:48 3:36 作業時間 2:24 1:12 0:00 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 図 11 駐車監視員の取り締まり 11 月 26 日、大阪府日本橋付近で 14 時から 15 時までの間に観察した結果、駐車監視員 13 が駐車違反と思わしき車を発見してから、駐車違反切符を切るまでの時間は平均 5 分であ ると分かった。このことにより、駐車している車に 5 分以内に戻ることが出来れば、駐車 違反切符を切られないということが分かった。次に、駐車監視員の駐車違反と思わしき車 を見つけてから違反切符を切るまでの一連の行動を説明する。 基本的に、駐車監視員は 2 人 1 組で行動している。駐車違反と思わしき車を発見してか ら、駐車違反切符を切るまでには 10 工程の手順が踏まれていることが分かった。まず 1 番 目は、車が違法な止め方であるかどうかの確認をする。2番目は、車内の人の有無を確認 をする。3 番目は、放置車両を確認後、後部からデジカメで1度、車の撮影を行う。4 番目 は、前後のナンバープレートをデジカメにて撮影を行う。5 番目は、ナンバープレートを駐 車監視員が所持している、PDA に入力する。6 番目は、違反項目を PDA に入力する。この 際、駐車違反を確認した時間や、標識から何メールトル離れているのかなどの詳細な情報 を PDA に記入する。7 番目は、駐車違反車両の取り締まりをした場所の略図を作成する。 8 番目は、先ほど PDA に記入した、詳細情報などを、手持ちのプリンタで印刷をする。こ の印刷された物が確認標識となることが分かった。9 番目は、プリントした確認標識をフロ ントガラスに貼る。10 番目は、再度フロントガラスに、確認標識を貼ったものをデジタル カメラで撮影する。この 10 工程である。 駐車監視員の行動を確認すると、以上の 10 工程を経て、駐車違反となっているというこ とが分かった。つまり、9 番目のフロントガラスに確認標識を貼るまで駐車違反にならない ということになる。駐車監視員の 1 番目の行動から 9 番目の行動までの平均時間が 5 分で あることが分かった。 では、駐車違反と思わしき車を発見してから、駐車違反切符を切るまでの 5 分間に、ど の程度の距離ならば、戻ってくることができ、駐車違反切符を切られることを回避できる のか検証した。 400m 図 12 400m の範囲 14 不動産など、基本的に使われている人の歩く早さは 4km/時であり、今回も同様の方法で 5 分の範囲を測定した。4km/時で歩いたところ、5 分間では直線距離で約 400m の距離を歩 くことができ、図 9 の範囲であれば、駐車違反切符を切られないことが分かった。このこ とから、駐車違反を回避できる条件が分かった。 第 2 節 問題点 本アプリケーションを使用するにあたって問題点は、車内にスマートフォンを最低でも 1 台設置しなければならないという点と、車内に設置するスマートフォンに docomo などのイ ンターネット回線を繋げなければならないという点である。例えば、インターネットを介 さず、ローカル内のみで通信をする場合、PDA や不要になったスマートフォンを用意し、 メールサーバもしくは共有ディレクトリに画像を置くことで、この問題を解決できるが、 その場合、車内に小型の PC やルータなどの設置が必要になる。 また、本プログラムをパソコンで作成した時には、モーションセンサを利用し、カメラ の前方を通過する人や物全てを撮影し、全ての画像に 2 値化処理をしていたが、今回スマ ートフォンを使用するにあたって、モーションセンサを利用し、前方を通過する全ての物 を撮影し 2 値化処理を行うと、負荷に耐え切れず、アプリケーションが落ちたり、処理速 度が追いつかない等の問題点が多々発生した。また、本システムをパソコンで動かした場 合数秒で処理できたが、スマートフォンは OS が完成していない点や、パソコンに比べスペ ックが低いため、1 枚の画像を撮影し、2 値化処理をするのに 1 分もの時間を要した。これ らの問題は今後、OS のアップデートにより、スマートフォンが現在より劇的に高速化する ことや、機器の性能の向上などで解決されると考える。また、バッテリの問題もある。上 記でも説明したように 1 分毎にカメラアプリで画像を撮影しているので、バッテリの消費 が激しい点である。2 章でも説明したように、Android は Linux 上の VM で動いているの で、他のスマートフォンに比べ、電池の消費が激しい。本アプリケーションの実験結果で は 5 時間程度しか連続使用できなかった。この問題も OS のアップデートにより、OS が軽 くなることで多少は解消されるが、カメラアプリ自体の軽量化も必要である。 第 3 節 今後の展望 本アプリケーションはスマートフォンの処理速度が足りず、1 度撮影をすると、次の撮影 に 1 分間時間を要する。次の撮影に 1 分間の時間を要するのは致命的であり、今後アプリ ケーションの軽量化などを計り、システムの高速化が必要である。 また、本アプリケーションは、スマートフォンが必須であり、導入が難しいなどの問題 点がある。その根本的解決として、今後販売される車に本システムやカメラなどの導入を 15 考える。また、スマートフォンで必須であるインターネット回線は、現在車に標準搭載さ れているカーナビにインターネット回線が付いたものも存在することから、このインター ネット回線を利用し、画像を送信できないかと考える。つまり、あらかじめ車自体に本シ ステムを組み込み、スマートフォンを使用せず利用できることを目標とする。このことに より、究極の最小化を図ることができる。 あらかじめ本システムを車に組み込む例として、現在販売されている車に初期搭載され ている、バックギアを入れると自動的に後部カメラが写される機器がある(図 10 参照)。こ のカメラは、防犯の目的ではなく、バックの時などに、車の後ろに障害物を簡単に目視す るためや、駐車場などに車を簡単に入れるためである。また、この カメラを利用し、本システムに活かせるのではないかと考えた。例 えば、パーキングもしくはニュートラルに入れると、自動的にカメ ラ撮影が開始されるようなシステムを初期搭載し、このカメラを利 用して、本システムの車への組み込みを想定する。図 13 の製品は 基本的に車に初期搭載されており、大きくないため場所も取らず、 簡易に組み込めるのではないかと考える。 図 13 バックカメラ 第 5 章 まとめ 2006 年 6 月以降、道路交通法が改正され、本来警察が行っていた駐車車両の確認及び標 章の取り付けに関する事務は民間業者に委託された。このことにより、都市部に行くと、 駐車監視員を見ない日はなくなった。私自身、この駐車監視員に何度か捕まっており、カ ーショップでも駐車監視員を発見するような商品を探したが、そのような商品は存在しな かったため、本システムを考案した。 本システムは、車内にスマートフォンを設置し、1 分置きに自動で画像を撮影する。撮影 した画像に 2 値化処理を施し、2 値化処理後の画像に駐車監視員の V 字が写っていた場合、 外出先のスマートフォンに駐車監視員の画像が送信されるという仕組みである。駐車監視 員が違反切符を切る 9 工程の平均時間は 5 分であることが検証の結果分かった。また、不 動産などで決められた、人の歩く速度は 4km/時で設定されており、車から半径 400m以内 にいれば、駐車違反切符を切られないこともわかった。 本システムで使用するスマートフォン OS の Android で 2 値化処理をする場合、マシン スペックが足りていないため、1 分に 1 回の撮影となる。同じシステムをパソコンで行った 場合、数秒もかからないため、如何にスマートフォンのスペックが低いということが分か る。しかも、バッテリの面に不安があり、稼働時間が 5 時間程度と限られた時間である。 これらの問題は、今後、カメラアプリの軽量化や、システムを軽量化もしくは、スマート フォンのスペックが上がることで解決されると考える。現時点でのスマートフォンでの最 速 CPU は1GHz であり、数年後には劇的なスペックアップが期待される。メモリについ 16 ても現在 512Mbyte である。このことにより、処理速度が遅くなっている。そして、一番 の理由として、AndroidOS の不完全さである。Android 搭載のスマートフォンは発売され てから間がないため、OS として完成度が低く、OS のアップデートにより大幅な機能追加 や、軽量化がされている。このことから、Android は OS のアップデートにより、処理速度 が速くなり、OS が軽くなるので、バッテリの稼働時間もあがる可能性がある。 本システムはこのように将来性があり、マシンスペックが上がることで、パフォーマン スも上げることができ、より効果を発揮するのではないかと考える。 参考文献 [1] 布留川 英一 :「Android 2.1 プログラミング バイブル」 [2] 吉井 博史 :「基礎から学ぶ Android SDK」 [3] 「警察白書」 :http://www.npa.go.jp/hakusyo/index.htm ソシム株式会社 シーアンドアール研究所 謝辞 同ゼミで共に勉学に励み、オープンキャンパスを一緒に行った筒井亮氏に感謝します。 共にオープンキャンパスを手伝ってくれた柴田洋佑氏に感謝します。学生懸賞論文を手伝 ってくれ、共にオープンキャンパスを手伝ってくれた澤竹潤一郞氏に感謝します。増田大 輝氏に感謝します。いつも場の雰囲気を明るくしてくれオープンキャンパスを手伝ってく れた、管直人氏に感謝します。同ゼミの奥野貴弘氏に感謝します。同ゼミの三好正広氏に 感謝します。同ゼミの小宮陽介氏に感謝します。同ゼミの小藪瑠璃氏に感謝します。同ゼ ミの杉木亜友美氏に感謝します。同ゼミの西井裕亮氏に感謝します。一緒にバーベキュー をした西川裕平氏に感謝します。一緒にバーベキューをした福本昌生氏に感謝します。一 緒にバーベキューをした室屋貴則氏に感謝します。同ゼミの山岡大介氏に感謝します。4 回 生から共に勉学に励んだ同ゼミの小山史弥氏に感謝します。オープンキャンパスの際、僕 たちを引っ張ってくれ、夜遅くまで一緒に遊んでくれた原知廣氏に感謝します。いつも、 場を盛り上げ TA のリーダー的存在だった高橋一氏に感謝します。オープンキャンパス準備 の際野菜を持ってきてくれた野口真司氏に感謝します。進化的アルゴリズムでキリンの首 を動かしていた妹背武志氏に感謝します。いつも場を和ませてくれた佐々木剛氏に感謝し ます。いつも楽しい中国の話をしてくれたショウホウセイ氏に感謝します。いつも夜遅く までご指導いただき、ゲームを教えてくれた尾花将輝氏に感謝します。最後に、プレゼン 作成や、本論文の添削やアドバイスなど、数々の指導をして頂いた花川典子教授に感謝し ます。 17