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今後の新潟県の生涯学習推進の在り方 について (審議のまとめ)

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今後の新潟県の生涯学習推進の在り方 について (審議のまとめ)
今後の新潟県の生涯学習推進の在り方
について
(審議のまとめ)
平成18年 7 月20日
新潟県生涯学習審議会
目
次
はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
第Ⅰ章
本県の生涯学習振興の経緯と新たな課題・・・・・・・・・・・
2
1
生涯学習振興の経緯
2
社会の変化に伴う新たな課題
第Ⅱ章
審議のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
住民が主体的に参画する生涯学習推進の在り方
2
NPOなど民間の生涯学習関連団体等との協働の在り方
3
ITを活用した学習環境の整備
7
(e-ラーニング、インターネット活用など)
4
持続可能な未来に向けての学習の充実
〈参考資料〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
1
巻末図表
2
第6期新潟県生涯学習審議会委員名簿
3
第6期新潟県生涯学習審議会審議経過
4
新潟県生涯学習審議会条例
はじめに
本県では平成5年3月に、21世紀初頭を目途とした「新潟県生涯学習推進プラ
ン」を策定し、県民一人一人が生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学ぶこ
とができ、その成果が適切に評価されるような「生涯学習社会」の実現を目指して、
生涯学習環境の整備に努めてきたところである。
しかし、推進プラン策定から10年以上が経過した現在、生涯学習を取り巻く社
会情勢は急激に変化してきている。本県においても、少子高齢化の急速な進行、I
T(情報技術)の革新による経済活動や日常生活の変容など、社会の変化に対応し
た生涯学習の推進が求められている。
また、広域合併後の市町村においては、新たな生涯学習環境の整備を図るととも
に、地域の特色ある活動の継続・発展、地域住民が主体となったコミュニティ活動
の展開が重要な課題となっている。
こうした状況の中、新潟県生涯学習審議会では、これまでの成果を踏まえながら
「今後の新潟県の生涯学習推進の在り方」をテーマに生涯学習推進の新たな視点と
して、
①
住民が主体的に参画する生涯学習推進の在り方
②
NPOなど民間の生涯学習関連団体等との協働の在り方
③
ITを活用した学習環境の整備(e-ラーニング、インターネット活用など)
④
持続可能な未来に向けての学習の充実
の4点について審議を行い、ここにその結果を取りまとめた。
また、各項のあとには、委員の発言の中から地域の実践例や具体的な提言をピッ
クアップし、「コラム」として掲載した。
今後の新潟県の生涯学習推進施策に、この「審議のまとめ」における提案が適切
に反映されることを望むものである。
また、これを受けて、新しい時代における生涯学習社会の実現に向けて、県、市
町村、関係機関等においては、緊密な連携・協力のもと積極的な対応に努めること
を期待するものである。
-1-
第Ⅰ章
本県の生涯学習振興の経緯と新たな課題
1 生涯学習振興の経緯
(1)
「新潟県生涯学習推進プラン」の策定
県民一人一人が、自発的な意志に基づき、生涯を通じて学ぶことを通して、
生きがいを見い出し、心豊かな社会生活を営むことができるよう、県では、平
成5年3月「新潟県生涯学習推進プラン」を策定し、市町村・学校・関係団体
等との連携の下、その実現に向けた施策を総合的に推進してきた。
【巻末図表1】
(2)
生涯学習フェスティバルの開催
第9回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア新潟‘97」を平成9年
10月に新潟市を中心に開催した(参加入場者は833,974人)。
その後、県版の「新潟県生涯学習フェスティバル」を上・中・下越地区の
持ち回りで3年間開催し、生涯学習気運の醸成に努めた。
現在、単独で「生涯学習フェスティバル」を実施している市町村もある。
【巻末図表2】
(3)
生涯学習環境の整備に関する県の取組
県は、平成4年に県民の自主的・自発的な学習活動を支援するための中核施
設として、県立生涯学習推進センターを設置し、様々な生涯学習推進のための
環境整備に取り組んできた。
ア
知事を学長とする「いきいき県民カレッジ」による学習機会の提供
○
「いきいき県民カレッジ」は、県及び市町村、高等教育機関、民間等で
実施している広域的で多様な学習機会を効果的に県民に提供している。県
-2-
民カレッジに登録されている講座を受講し、一定の単位を修得すると学長
(県知事)から各種の奨励証が授与され、学習者の励みとなっている。
【巻末図表3】
イ インターネットによる生涯学習情報提供システム「ラ・ラ・ネット」によ
る情報提供
○
平成8年にパソコン通信を活用した生涯学習情報提供システムを構築し、
「学習機会 」、「施設」、「指導者」、「団体・サークル」などの生涯学習情報
を市町村公民館などへ提供した。平成12年からはより広く県民が活用で
きるようにインターネット化を図り、さらに平成17年には、大量の情報
を高速に処理できるシステムを導入して、利用者の利便性の向上を図って
いる。
【巻末図表4】
ウ 県内大学等と連携したテレビ会議システムによる広域遠隔学習の実施
○
県民の学習ニーズの高度化・多様化に応えるために、会場から離れた複
数の市町村と生涯学習推進センターを、双方向のテレビ会議システムで接
続し、大学教授等による専門性の高い講座を複数会場で同時に受講できる
学習方式を取り入れている。
【巻末図表5】
エ 生涯学習相談員による専門的な相談体制の整備
○
経験豊富な生涯学習相談員によって、市町村行政関係者や県民からの生
涯学習に関する様々な相談を受け付けている。
オ
生涯学習関係者を対象とした指導者研修
○
市町村・民間団体の職員等の資質向上を図る指導者研修などの充実に努
めている。
-3-
(4)
ア
市町村における生涯学習推進の取組
生涯学習推進組織の設置、生涯学習基本構想・推進計画の策定
各市町村では生涯学習の推進組織を整備し、それぞれの良さを生かした独
自の推進計画を作成し特色ある生涯学習の振興に取り組んできた。しかし、
平成16年からの合併の進行に伴い、組織の設置率、計画の策定率は低下して
いる。合併後の市町村における新たな生涯学習推進体制の整備が進められて
いる。
【巻末図表6】
【巻末図表7】
イ
学習機会の提供
生涯学習に関する学級・講座は、個人の興味・関心や生きがいをもとに、
気軽に取り組める趣味・教養的な講座が多い。近年は、家庭教育、人権教育、
地域学習、男女共同参画学習、青少年問題等の現代的課題に対応した講座を
開設する市町村が緩やかではあるが増えてきている。
【巻末図表8】
(5)
県における生涯学習関連施策の推進
県では、様々な関連部局が生涯学習関連施策に取り組んでいる。関連部局
間相互の連携を図り、生涯学習の総合的な推進に結びつける連絡調整機能の
充実に努めている。
-4-
2
社会の変化に伴う新たな課題
生涯学習推進プランに基づき、学習機会や学習情報等の提供に努めた結果、
県民の生涯学習に対する関心も高まり、様々な学習が展開されてきた。しかし、
連帯感が薄れている地域コミュニティの活性化、利便性と危険性の両面を持つ
情報化社会への対応、様々な環境問題への配慮など、新たな課題への取組が生
涯学習に求められている。こうした課題を解決するには、これまで多くみられ
た行政主体の生涯学習の推進から、地域住民が主体となった取組、民間団体や
企業と連携した取組への転換が求められている。これまでの成果を踏まえなが
ら、本県の生涯学習の推進の在り方について、特に以下の視点から検討してい
く必要がある。
①
住民が主体的に参画する生涯学習推進の在り方
「自ら学ぶ」生涯学習においては、学習者が自らの意思に基づいて学習活
動に参画し、主体的に学ぶことができるように、学習者への支援の在り方を
検討する必要がある。
②
NPOなど民間の生涯学習関連団体等との協働の在り方
NPO法(特定非営利活動促進法)に基づき県内にも多くのNPOが誕生
しているが、生涯学習の推進にとって民間の活力を生かすネットワークづく
りが重要である。
③
ITを活用した学習環境の整備(e-ラーニング、インターネット活用な
ど)
近年のITの発達とその普及は急速で、その技術を活用できる人と、そう
でない人との情報格差が拡大しており、IT社会へ対応するための学習が必
要となってきている。
また、ITを活用することで、距離的な格差の解消など、多くの利点があ
-5-
ることから今後の生涯学習の推進にどのように生かしていくべきか、検討が
必要である。
④
持続可能な未来に向けての学習の充実
環境保全やリサイクルに関する人々の関心は年々高まっている。県民一人
一人が環境に配慮したライフスタイルを形成していくことができるように、
「持続可能な未来」という視点から、人をとりまくあらゆる環境を意識した
学習の充実を図ることが重要である。
-6-
第Ⅱ章
1
審議のまとめ
住民が主体的に参画する生涯学習推進の在り方
(1) 学習成果の評価と活用
学習活動を通した自己実現や社会参加を促進していくためには、学習活動の
適切な評価によって、活動の可能性を広げ、成果を高めていくことが重要であ
る。そのため、生涯学習活動においては、適切な評価の在り方と活用の方法に
ついて検討することが望まれる。
(2) 社会教育関係団体の活性化を図るための連携
福祉、まちづくり、自然環境保護など地域が抱える様々な課題の解決に向け
て、多様な学習成果を生かして自主的に活動するグループや団体が育ってきて
いる。住民の主体的な地域活動への参画を一層活性化するため、情報ネットワ
ークの整備や財政面を含めた支援・育成を通して連携・協力を深める体制づく
りが、行政側に求められる。
(3) 大学等の教育機関との連携
大学等の教育機関は、高度の専門性の追求や時代に即した多様な課題の調査・
研究機能を有している。今後、県はこれら専門性を有する教育機関と連携し、
多様な人々の学習機会を拡充する必要がある。
(4) 人材育成と活動拠点「場」の整備
生涯学習による地域づくりを支える人材を育成するために、企画力やコミュ
ニケーション能力、コーディネートする力などを高める学習機会を充実する必
要がある。また、活動の拠点となる場の整備・充実を図るとともに、情報収集・
提供に努め、住民の自ら興す活動を促進することが求められる。
-7-
(5) 魅力ある事業の創出とバリアフリーの実現
民間の事業では、参加者が多く集まる魅力ある事業がたくさん実施されてい
る。行政が実施する事業においても、人々のニーズに応じた魅力ある事業を創
出していく必要がある。
それと同時に、学習活動への参画を妨げている様々なバリアーを取り払い、
すべての人々が参加しやすい条件を整備していくことが望まれる。
コ
ラ
ム
○
少子高齢化が進行している現在の状況では、将来、労働力不足ということ
も懸念されるのではないか。その際、生涯学習で学んだことを生かして再就
職することも求められると考えられる。
○
NPOは、資金面でのリスクを負いながらも、それぞれ自分の志と生業の
バランスをとりながら、自由を最大の魅力に感じながら積極的に様々な事業
を展開している。しかし、公共性の高いものの、資金面で行政からの支援が
ないと主体的活動を展開することが難しい団体もある。
○
仕事を持っている人も高等教育を受けたり、受け直したりすることができ
るようになったが、今後一層、大学は成人学習者を受け入れる体制づくりを
進めてほしい。そして、学んだことを社会に還元していけるという方向性を
生涯学習の中に取り入れてほしい。
○
地域での様々な活動は、生涯学習を担う人材がいればいろんなことが動き
出す。
また、身近なところに「場」があるといろいろな方々の出会いが生まれ、
新たな活動につながっていくのではないか。
○
魅力ある事業の創出のためには、参加者が経費を一部負担することも考え
られる。
また、なかなか自己負担できない人たちが、協力して負担し合う仕組みづ
くりができないだろうか。お金を出せる人は出して、出せない人も参加でき
る仕組みづくりがほしい。そういうところで行政の援助も必要になる。
(※コラムには委員の発言を記載してあります。)
-8-
2
NPOなど民間の生涯学習関連団体等との協働の在り方
(1) 民間活動諸団体との協働の在り方
社会的に必要な課題等に関する学習機会を充実させるには、多様な専門性を
持つ民間活動諸団体との連携を図っていくことが望まれる。
団体はそれぞれ目的を持ち、活発な活動を主体的に行っており、NPO法施
行後は、より公共的な役割を担いうる団体も数多く生まれている。
目的や情報を共有したうえでの当該団体との事業委託や人材活用は、適切な
経費でより豊かな学習資源を提供できる可能性があることから、より一層の推
進が望まれる。
(2) 企業や団体等との協力
最近、企業や団体等も市民社会の一員であるという認識が広がりはじめ、社
会貢献活動への取組が求められるようになってきた。今後、社会参画を促し、
人材育成を図るという面からも企業等への一層の働きかけが望まれる。
また、若者のキャリア意識をどう高めていくかという課題は、これまで学校
を中心に考えられてきたが、今後は主体的に社会にかかわれる人材の育成とい
う観点からも、企業等と協力していくことが望まれる。
(3) 民間の教育事業者や大学との連携・協力
カルチャーセンター等の民間の教育事業者は多様な人材とノウハウを有して
おり、県民に多様な学習機会を提供している。また、大学は、新しいキャリア
の開発やニート問題等、今日的な課題の調査等に取り組んでいる。
今後は、行政が大学・民間教育事業者と適切に役割を分担しながら連携・協
力していくことが望まれる。
-9-
(4) 需要と供給とのコーディネート機能の充実
NPO等の活動の自主性を尊重しながら、今後、それらの団体と行政が様々
な地域課題解決に向けて役割を分担しながら取り組む環境づくりに努めること
が望まれる。そのためにも、活動を求める側のニーズと、活動を希望している
側の団体等を効果的に結びつける機能を充実させる取組が行政に求められる。
コ
ラ
ム
○
NPOなど民間団体等とつながることの重要性についてもっと働きかけを
してもらうと、市町村職員の意識も変革でき、いろいろな民間団体がもっと
と動きやすくなると考える。
また、コーディネート役を担っている人のモチベーションを盛り上げる仕
組みがあるといい。ややもすると孤軍奮闘している人が多い。
○
今、企業は社会貢献といういう形で、それぞれの地域とつながりたいと考
えている。そして、つながることが人材を伸ばす新たな人材育成の一つのや
り方として認識している。
また、フリーターやニートの問題も企業や社会とかかわらないと解決でき
ないと思う。
○
行政とのかかわりでは、大学は県の労政雇用課と若者、特にニート等のこ
とで接点を持ち、調査等を共同で実施している。
また、政策コンサルティング的なこともできるのではないかと考えている
○
大学生もいろいろな企画を考えている。でも、どうやったら前に進むのか
分からない。全くの素人は行動を起こしたくても途方に暮れてしまう。そう
いうときに、NPOからの働きかけや、企画の仕方や人材を紹介してくれる
ような仕組み、または「つなぐ人」が行政にいてくれるといい。そうすれば
大学生も様々なことに主体的に参画できるようになる。
- 10 -
3
ITを活用した学習環境の整備( e-ラーニング、インターネ
ット活用など)
(1) e-ラーニング等による学習機会の充実
新潟県の地理的条件を考えると、どこにいてもインターネットなどにより在
宅のまま図書館等の社会教育施設におけるデータベースの情報を検索し活用で
きるような学習環境を整備し、すべての地域において生涯学習機会の充実を図
ることが望ましい。
また今後は、 m-ラーニングと言われる携帯電話の学習端末における活用に
ついての研究も進んでいくものと思われる。
(2) 情報リテラシーを身につける学習機会の充実
情報の洪水の中から正しい情報を的確に選択し、活用していく能力は、一般
の人々にとっても生活上の必須の基礎的能力と考えられるようになった。一人
一人が、情報機器やネットワークを活用して、情報やデータを取り扱う上で必
要となる基本的な知識や技術を身につけるための学習機会を充実することが必
要である。
特に、学習機会が不足しがちな高齢者等に対しては、パソコンやインターネ
ットなどの情報技術を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差等
を解消するための学習支援や情報保障の充実が望まれる。
(3) 人材の育成と活用
進展する情報化社会の中で、新しい技術を習得できる機会を充実するため、
今後は一層、情報化を担う指導的な人材の育成と、その人材が活躍できる場や
仕組みの整備に努める必要がある。
- 11 -
(4) 情報化社会のマイナス面に対する対応
ITの高度化が新たな社会問題や混乱を引き起こしていることも見逃すこと
はできない。情報化が個人の名前も顔も見えない社会を生み出すことによって、
倫理観の喪失につながる場合もある。新たな情報化社会の秩序が強く求められ
ており、有害情報の取扱い、個人情報や著作権の保護など、情報化社会におけ
る望ましい態度や考え方の育成などのための教育も積極的に進める必要がある。
コ ラ ム
○ 今後、ITを活用した公教育の提供を進めてほしい。そのためには例えば、
生涯学習推進センター等で行っている講義や講座をインターネットで学べる
よう環境を整えたり、県立図書館等には企業関係図書が少ないので、他の機
関と連携し、ネットを通して情報を自宅で得ることができるようにするとよ
い。
○
県民ニーズ調査の結果からも、学習目的、学習内容、学習方法、学習施設
の多様化とインターネットを利用した学習の希望が増えているのが分かるの
で、好きな所で、好きな内容を学ぶことができるITの活用能力を身につけ
ることは今後ますます重要になってくる。
○
情報弱者と言われる人はたくさんいると思う。視覚障害や身体に障害を持
っている人、高齢者等に対する視点が大切であると思う。
○
各市町村には、誰でも気軽にパソコンに触れることができるスペースがあ
るが、使えない人に対する指導者が不足しているので、対応に苦慮している
現状がある。
○
グローバル化が進む中で、相手が見えないという状況の中、相手が見えて
いると錯覚することで、騙されるという問題が発生している。これから賢い
県民になるために、この問題についてどこかで学ばなければならないと思う。
その意味から、学校教育の中で単にパソコンを使えるようにするだけでなく、
そこから派生する様々な問題をどこで指導するのかが重要になると思う。
- 12 -
4
持続可能な未来に向けての学習の充実
(1) 環境に配慮したライフスタイルの推進
県民一人一人が身近な環境問題を自らの問題として学び、持続可能な未来に
向けて新たなライフスタイルを創り上げていくことが望まれる。
(2) 多様な学習資源を活用した効果的な学習機会の提供
環境問題に対応する学習は、多方面にわたるとともに、それぞれの分野の専
門的な知識が必要となる。効果的な学習機会の提供を進めるためには、各分野
の学習資源を掘り起こし、人材や情報・施設等を有効に生かすための連携の強
化が必要である。
(3)
学校教育を核とした総合的・体系的な学習の推進
幼児から高齢者までの各発達段階に応じて、家庭・学校・地域社会・企業
など多様な場における環境教育・環境学習を総合的・体系的に推進する必要
がある。特に、児童生徒の環境問題についての意識は高まってきているので、
各学校は民間諸団体や地域と連携して学習を推進することが望まれる。
(4)
実践活動の継続
環境保全は、人々の毎日の生活の仕方や意識にも深くかかわっている。問
題解決のためには、個人や様々な団体が連携しながら、一人一人が学習に基
づいた実践活動を積み重ねていく必要がある。それぞれの地域での活動が持
続するための積極的な働きかけが望まれる。
(5)
人材の育成と学習拠点の整備
持続可能な未来に向けた環境学習を促進するためには、グローバルな視点
に立った環境学習や活動をコーディネートできるリーダーの育成・活用を図
ることが必要である。
また、身近な地域における環境学習拠点の整備が一層望まれる。
- 13 -
コ
ラ
ム
○
生活排水という問題を考えていくと食に結び付くと思う。欧米化した食生
活によって油を多く使う食事が入ってきたが、米を文化とした日本食を中心
にすると、そんなに洗剤を必要としない食生活が生まれる。新潟で、米文化
または和食文化というものを通して、環境問題を考えることが大事である。
○
循環ネットということで生ゴミの飼料化の取組も行っている。これらは、
企業人として行っていこうというものであるが、その際に、どの分野にどの
ような専門家がいるのかという情報が必要である。
○
環境問題は、基本的には学校教育で取り組んでほしいと思っている。新潟
県内の水の調査をした。通船川では地域の人たちが、子どもたちと一緒に活
動している。実際に子どもたちが水質検査を行うことによって、環境問題に
ついての意識が高まってくるのではないか。
また、学校は地域、NPOと連携して取り組んでほしい。
○
災害と環境保全は密接にかかわると思う。天災は人災と裏腹の場合もある。
生態系を考えて取り組んでほしい。地元に生息する希少価値の魚(トゲソ)
を例に挙げると、水のきれいさ、植林の様子、自治体トップの考え方など様々
なことが関係してくる。
また、生活雑排水のことを考えると、教育の大切さも感じる。総合的に考
え、橋渡しする人が必要である。
○
環境問題は自然環境だけでなく、命や人権、生活環境、教育環境などあら
ゆる環境ということで、そういう意味で 、「持続可能な未来に向けて」とい
う視点が大事である。
- 14 -
〈参考資料〉
1 巻末図表
2 第6期新潟県生涯学習審議会委員名簿
3 第6期新潟県生涯学習審議会審議経過
4
新潟県生涯学習審議会条例
‐15‐
1 巻末図表
【図表1】
「新潟県生涯学習推進プラン」の概要(平成5年3月策定)
(1) 目 的
本県の生涯学習推進の現状と課題を明らかにするとともに、施策の基本方向を示すことによ
り生涯学習を総合的、効果的に推進するための指針である。
(2) 構 成
第1章 生涯学習社会の展望 (総論:理念部分)
1 生涯学習社会の背景
2 生涯学習社会の意義
3 生涯学習社会の実現 →「いつでも・どこでも・だれでも学べる」「学習成果の活用」
第2章 生涯学習社会へのアプローチ (総論:重点部分)
1 特色あるまちづくりへの対応 → 本県固有の学習資源の活用
→ すべての世代の問題としての自覚
2 長寿社会への対応
→ 生きがいと潤いのもてる人生の創造
3 ゆとり社会への対応
→ 環日本海時代の人・物・情報の交流
4 国際化・情報化への対応
第3章 活力ある社会を築く生涯学習の総合推進 (各論:施策の基本的方向)
第1節 学習の場の充実と振興
1 家庭教育
2 学校教育
→リカレント教育の推進、開かれた学校
3 社会教育
4 企業内教育
5 民間教育事業
第2節 多様な学習活動の充実
1 新潟ふるさと学習
2 長寿社会に対応する学習
3 スポーツ活動
4 芸術文化活動
5 国際交流活動
6 情報化に対応した学習
7 ボランティア活動
→生涯学習ボランティアの考え方
8 職業能力開発
第3節 生涯学習の推進体制の整備
1 生涯学習推進組織の整備充実
2 学習情報提供・相談体制の整備充実
3 指導者の育成と人材の確保
4 生涯学習施設の整備充実
5 生涯学習気運の醸成
第4章 生涯学習推進の主体別役割(各論:対象別)
1
県の役割(県立生涯学習推進センターを中核とした推進体制づくり、部局間の連絡・調整の
強化、大学等の高等教育機関や民間教育文化事業等との連携協力体制の整備)
2
市町村の役割(住民に身近な立場で、学習機会の提供、学習施設の整備などに取り組む)
3
大学・専門学校等高等教育機関の役割
4
民間の役割
5
県民への期待
‐16‐
【図表2】
(1)
生涯学習フェスティバルの開催
第9回全国生涯学習フェスティバル
◎「まなびピア新潟‘97」を平成 9 年 10 月 9 日に新潟市を中心に開催した。
(参加入場者は 833,974 人)
県版の「新潟県生涯学習フェスティバル」
(2)
平成 10 年度…中越地区(柏崎・刈羽)、平成 11 年度…下越地区(村上・岩船)
平成 12 年度…上越地区(新井・頸南)
(3)
生涯学習フェスティバルを実施している市町村
主催者(複数回答)
平成17年度
市町村数
連携の対象(複数回答)
市町村
教委
実行委員会等
首長部局
民間、企業等
なし
5
9
6
11
9
2
20
「平成17 年度 生涯学習の現状」(生涯学習推進課)
【図表3】
いきいき県民カレッジ参加状況
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
累計(H4~)
参加機関
128
128
124
132
131
149
95
講座数
875
937
1,154
1,195
1,250
1,498
1,538
42,542
46,292
52,224
57,695
65,675
71,781
74,349
541,195
701
632
877
798
711
665
557
7,308
受講者数
奨励証授与者数
「生涯学習・社会教育の現状」(生涯学習推進課)
【図表4】
年度
生涯学習情報提供システム「ラ・ラ・ネット」の利用状況
平成12年度
利用件数
71,852件
平成13年度
75,642件
平成14年度
129,969件
平成15年度
241,589件
平成16年度
163,889件
平成17年度
252,036件
「生涯学習・社会教育の現状」
【図表5】
広域遠隔学習「にいがた連携公開講座」受講者数の推移
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
受講者総数(人)
437
1175
1494
1489
684
1 講座当たり受講者数
43.7
65.3
78.6
78.4
48.9
講座数
10
18
19
19
14
「生涯学習・社会教育の現状」
‐17‐
【図表6】 生涯学習推進組織【生涯学習推進本部、生涯学習推進会議等】の設置状況
市町村数(設置率%)
※各年度の全市町村数
13~15 年度(111)、16 年度(98)、17 年度(45)
地区
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
上越
20 (90.9)
20 (90.9)
20 (90.9)
20 (90.9)
1 (33.3)
中越
35 (94.6)
34 (91.9)
34 (91.9)
34 (91.9)
17 (85.0)
下越
33 (78.6)
33 (78.6)
33 (78.6)
29 (76.3)
16 (76.2)
佐渡
10 (100)
10 (100)
10 (100)
1 (100)
1 (100)
全県
98 (88.3)
97 (87.4)
97 (87.4)
84 (85.7)
35 (77.8)
「平成17 年度 生涯学習・社会教育の現状」
【図表7】
生涯学習基本構想・推進計画の策定状況
市町村数(策定比率%)(平成17年5月1日現在)
※各年度の全市町村数
地区
13年度
上越
21 (95.5)
中越
13~15 年度(111)、16 年度(98)、17 年度(45)
14年度
15年度
16年度
17年度
22 (100)
21 (95.5)
20 (90.9)
1(33.3)
28 (75.7)
30 (81.1)
31 (83.8)
31 (83.8)
15 (75.0)
下越
33 (78.6)
32 (76.2)
33 (78.6)
30 (78.9)
16 (76.2)
佐渡
9 (90.0)
10 (100)
10 (100)
全県
91 (82.0)
94 (84.7)
95 (85.6)
0 (
0)
81 (82.7)
0 (
0)
32 (71.1)
「平成17 年度 生涯学習・社会教育の現状」
【図表8】
(1)
市町村教育委員会が実施した学級・講座等の開設状況
講座開設数と参加者数
12年度
開設数
参加者数
13年度
14年度
15年度
16年度
5,935
7,562
7,340
6,609
5,778
1,044,608
1,143,957
1,133,808
1,070,346
860,811
「生涯学習・社会教育の現状」
‐18‐
(2)市町村の現代的課題に関する学級講座の実施計画
(平成17年5月1日現在)
〈単位%〉
家庭の教育力向上(家庭教育・しつけ)
89
88
76
平成15年度
平成16年度
37
36
40
家庭の教育力向上(父親の家庭教育参加)
平成17年度
41
44
家庭の教育力向上(その他)
51
76
地域学習・地域開発
83
89
76
73
73
情報の活用
55
58
ボランティア
41
環境・資源・エネルギー
47
51
50
国際理解・国際交流
36
交通安全
男女共同参画学習
35
24
27
少子高齢化社会
41
69
54
58
47
41
42
38
15
18
20
青年層の地域参加
17
16
人権教育
12
13
青少年いじめ問題
0
10
24
20
20
30
40
50
60
70
80
90
100
「生涯学習・社会教育の現状」
‐19‐
2
第6期
新潟県生涯学習審議会委員名簿
任期:平成 16 年 10 月 1 日~平成 18 年 9 月 30 日
氏
名
所 属 ・ 職 名 等
秋山 三枝子
くびき野NPOサポートセンター理事
◎
生田 孝至
新潟大学人文社会・教育科学系学系長
○
遠藤 孝夫
新潟日報社論説委員
梶
社団法人新潟県社会教育協会監事
瑤子
河田 珪子
生涯現役の場づくり「うちの実家」主宰
特定非営利活動法人総合型地域スポーツクラブハピスカ
平原 勝造
とよさか事務局長(理事)
(平成16年10月1日から平成17年6月23日まで)
特定非営利活動法人「地域たすけあいネットワーク」常任理事
吉川 静
(平成17年6月24日から)
小池 洋
上越市立直江津小学校長
小嶋 栄吉
日本労働組合総連合会新潟連合会顧問
豊栄市長、新潟県市長会長
小川 竹二
(平成16年10月1日から平成17年6月23日まで)
新潟市長
篠田 昭
(平成17年6月24日から)
柴田 光榮
株式会社モアクリエイション代表
菅井 哲郎
新潟県美術家連盟事務局長、新潟県書道協会理事
永田 千恵子
小千谷市行政改革推進委員
藤田 武志
上越教育大学学校教育学部助教授
堀内 一恵
(社)日本産業カウンセラー協会
山田 恵美子
新発田市国際友好の会、新発田日本語教室講師
◎
会長
○
‐20‐
副会長
新潟事務局長
3
第6期
回数
新潟県生涯学習審議会審議経過
開催年月日
平成17年
審
議
内
容
1
会長及び副会長選出
2
審議テーマについて
3
審議計画について
4
その他
1
生涯学習に関する県民ニーズ調査結果概要について(報告)
1
2月3日
2 「今後の新潟県の生涯学習推進の在り方について」
①
住民が主体的に参画する生涯学習推進の在り方
②
NPOなど民間の生涯学習関連団体等との協働の在り方
③
ITを活用した学習環境の整備(e-ラーニング、インターネッ
平成17年
2
6月7日
ト活用など)
④
平成17年
環境問題への対応
「今後の新潟県の生涯学習推進の在り方について」
3
11月9日
平成18年
審議のまとめ(素案)についての審議
「今後の新潟県の生涯学習推進の在り方について」
4
6月14日
審議のまとめ(案)についての審議
‐21‐
4
新潟県生涯学習審議会条例(平成 4 年 3 月 30 日新潟県条例第 35 号)
(趣旨)
第1条
この条例は、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(平成 2
年法律第 71 号)第 10 条の規定に基づき、新潟県生涯学習審議会(以下「審議会」と
いう。)を設置し、その組織及び運営に関し必要な事項を定めるものとする。
(組織)
第2条
審議会は、委員 15 人以内で組織する。
2 委員は、生涯学習の振興に関し学識経験を有する者のうちから、知事の意見を聴いて教育委
員会が任命する。
(任期)
第3条
委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、
前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第4条
審議会に会長及び副会長 1 人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。
3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代行
する。
(会議)
第5条
審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決すると
ころによる。
(専門委員)
第6条
審議会に、専門の事項を調査審議させるため必要があるときは、専門委員を置くこと
ができる。
2 専門委員は、当該専門の事項に関し学識経験を有する者のうちから、知事の意見を聴いて教
育委員会が任命する。
3 専門委員は、当該専門の事項の調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
(庶務)
第7条
審議会の庶務は、教育委員会事務局において行う。
(委任)
第8条
この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が定め
る。
‐22‐
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