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諸外国の天然ガスパイプライン事業に関する調査

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諸外国の天然ガスパイプライン事業に関する調査
IEEJ:2001 年 6 月掲載
諸外国の天然ガスパイプライン事業に関する調査
1.概要
国
ドイツ
項目
イギリス
オーダー636後
輸
生
国内生産
入
ロシア
オランダ
ノルウェー等
BEB
Mobil
Wintershall等10社
総供給
生産・
輸入
輸 送
シッパー
59社
産
輸送事業者
Ruhrgas,BEB,VNG,Wingas,
Thyssengas等18社
Exxon,Mobil,
BP,Shell等
約30社
地域配給事業者
送
生産者
サプライヤー
産
家庭用需要家
輸
パイプライン会社
(輸送サービスの提供)
マーケター
ブローカー
送
サプライヤー
シッパー
59社
給
生
Centrica,Shell Gas
Di
rect,,Mobil Gas,
BP Gas等 61社
公共ガス輸送者(PGT)
(BG Transco他6社)
GVS,EVG,Bayerngas等
214社
配
販 売
大口需要家
生産者
輸
産業構造
アメリカ
Centrica,Eastern
Natural Gas,
Calortex等 22社
地方配給事業者
516社
発電用・産業用需要家
家庭用・商 業 用
需要家
配
給
LDC (ガスの供給)
(輸送サービスの提供)
家庭用需要家
商業用需要家
産業用需要家
発電用需要家
当該調査の
調査対象
輸送事業者
公共ガス輸送者(PGT)
州際パイプライン
規制当局
連邦政府経済技術省
Ofgem(Office of gas and electricity market)
中央政府通産省傘下の組織
FERC(Federal Energy Regulatory Committee)
連邦政府エネルギー省傘下の組織
2.パイプライン用地取得に関する項目
国
ドイツ
調査項目
地役権/区分地上権で、どの程 具体的な数値はないが、輸送導管の大部分に地役権等に相
度PL敷設用地を確保してい 当する権利を設定し、用地確保している模様。
るか。
強制収用権を行使した事例は ほとんどないと考えられる。Wingas は行使事例なし。
どの程度あるか。
エネルギー供給事業の認可を受けた事業者には、土地の所
有権やその他の権利の強制収容権が付与される。
具体的には、以下の2段階で実施される。
①あるPL計画に関して、強制収容の必要性とPL必要性
を検討し、両方とも満足されたら(州政府が判断)、強制
収容が可能になる。
②反対地主に関して個別に交渉する。
Wingas の場合、全て①の段階で地主の合意を得ている。
地役権/区分地上権の規定自 特になし。
体に用地取得を促進させる規 但し、認可を受けた事業者に強制収用権が付与されている
定があるのか。
ことは、地主との交渉を容易にしている。
その他、パイプライン建設に関 特にないと思われる。
して特権はあるのか?
イギリス
アメリカ
地役権/区分地上権は「easement」或いは「wayleave」
と呼ばれる。幅 40m。家屋の建設等が制限される。
輸送導管(National Transmission System)用地の 99%以上
が easement で確保されている。配給導管はほとんど一般
道に埋設されている。
Transco のみ行使。最近5年間で2回だけ。
但し、Transco は極力強制収用権を行使せずに済むように、
地権者の同意確保に最大限度力する。
地役権/区分地上権は「right of way」と呼ばれる。
一般的に州際PLの用地は「right of way」により確保され
る。コンプレッサーステーションやメータリングステーシ
ョンの土地は、買収するか賃貸契約を結ぶ。
特になし。
但し、認可を受けた事業者に強制収用権が付与されている
ことは、地主との交渉を容易にしている。
PGTは、PLを道路に埋設する場合、道路管理者の許可
を必要としない。また、道路掘削の時に料金を支払う必要
があるが、PGTは料金が安く、手続きも簡素である。
特になし。
FERC が建設を認可した州際PLに eminent domain が付
与されるが、これが地権者との交渉を容易にしている。
特にないと思われる。
強制収用権を「eminent domain」と呼ぶ。
州際PL会社は、極力この権利を行使しないように、地権
者との交渉はもちろん、ルート変更等も行う。
Colorado Interstate Gas Co.の場合、ルート延長の訳 5%
について eminent domain の申請をしたが、実際に行使し
たのは 1%未満で、それ以外は行使前に地権者との合意が
成立した。
IEEJ:2001 年 6 月掲載
諸外国の天然ガスパイプライン事業に関する調査
3.規制対象となる事業者
国
項目
託送システムに関して、事業規
模等の裾切りがあるのか否か
(中小業者への配慮)
ガス開発会社とパイプライン
会社は同一会社か?
既パイプライン敷設会社への
配慮の内容(米国では州際パイ
プラインの従来の利益を容認
した上で規制緩和が行われた
との見解があり)
関係会社の倒産、買収の実態
ドイツ
イギリス
アメリカ
事業規模によって、規制の程度が異なるというようなこと
はない。
事業規模によって、規制の程度が異なるというようなこと
はない。
事業規模によって、規制の程度が異なるというようなこと
はない。
異なる。
パイプラインはガス卸会社が所有しているが、これらの会
社は国内外の生産者からガスを調達し、地方配給会社や大
口需要家へガスを卸売りしている。
ドイツではガス卸会社や地方配給会社のパイプラインの託
送が議論されているが、配慮として考えられるのは下記。
T/Pに基づく長期契約のためにガス輸送能力に余裕がな
い場合は、託送を拒否できる。
異なる。
パイプライン会社(PGT)は輸送専業であり、ガスの開
発・売買は出来ない。
異なる。
州際パイプライン会社は輸送専業であり、ガスの開発・売
買は出来ない。
自由化の影響と思われる動きが見られる。
・ハノーバー近郊の5つの小さな地方配給会社が合併した
(ヒアリングによる情報)。
・ルールガス(最大手のガス卸会社)の人員削減。
1997 年に British Gas の分社化が行われ、販売部門は
Centrica、輸送部門は Transco、貯蔵部門は BGStorage と
なった。この際、Transco は全国に拡がる旧 BG のPL網
を引き継いでおり、これ自体が配慮とも考えられる。
政策的な配慮の事例はあるが、補助金給付等の直接的な援
助はされていない。
オーダー436(1985 年、州際PLの自発的開放)の際は、
その見返りに FERC は州際PLのT/P債務を下流へ添
加することを認めた。PL開放により、生産会社と配給会
社が直接取引出来るようになり、州際PL会社のT/P債
務回収が難しくなると予想されたため。
オーダー636(1992 年、州際PLの輸送事業専業化)の際
は、特に配慮は無し。INGAA(米国州際天然ガスPL協会)
は、州際PL会社は輸送業に専念した事で同事業の改良・
拡大が可能となり、またガス価格変動の影響を受けること
なく安定的な事業が可能となったとしている。
輸送市場については Transco がほぼ独占している。新規参 1992 年のオーダー636 の後、電力事業に参入している会社
入者は数社あり。
が州際PL会社を所有するようになった。現在、総合エネ
ルギー企業 14 社の傘下に、州際PL会社の 85%が入って
いる。
オーダー636 の後、州際PLは輸送事業専業になったため、
オペレーションの効率化が進み、投資効率の高い事業となった。
(14 社平均 ROI=7.6%)
<背景>
電力市場及びガス市場の自由化の進展により、エネルギー
市場において消費者が力を持つようになった。エネルギー
会社は、消費者を満足させるため電力とガスを販売するよ
うになった。その一環で、低コストでガスを消費地まで輸
送する手段を確保するため、州際PLを買収した。
IEEJ:2001 年 6 月掲載
諸外国の天然ガスパイプライン事業に関する調査
4.託送契約及び料金
国
ドイツ
イギリス
項目
Transco が申請し、Ofgem が承認する。
規制当局の料金システムへの 基本的には関与しない。
託送システムは、民間の利害関係者で議論し決定する。議
<Transco のPLについて>下記2つに大別される。
関わり
論には、ガス事業者、産業界(大口需要家)、消費者団体、 ・NTS(国内幹線):北海ガスを全英へ輸送する。
学者等が参加。連邦政府経済技術省は、議論を見守る方針。 ガス田及び Interconnector に接続した入口が6箇所、
但し、議論がまとまらない場合は介入する可能性もあり。
LDZ 毎に出口が 1∼4 箇所ある。
・LDZ(地域配給領域):全英を 13 地域に分割し、地域ご
とに NTS からガスを受け、地域内配給をする。
他国との比較して妥当な価格とする方向で検討されてい
コスト回収及び決められた収益率を確保出来るように設定
託送料金設定上の考え方
る。ちなみに、Wingas はこの価格でドイツのPL建設費 される。具体的には、単位ガス量当たりの最高収入を、前
は回収できると考えている。
年比で(RPI−2%)とする。この2%は、Transco が毎
年 2%の合理化が可能であるとの Ofgem の判断に基づく。
詳細は不明。
NTS、LDZ、需要家費用毎に許容最高収入を設定し、各々
料金システムの沿革
ガス卸事業者、地域配給事業者、地方配給事業者毎に託送 それを回収可能な料金を設定する。NTS は長期限界費用、
料金が設定され、ガス卸事業者のものには距離の概念が導 LDZ 及び需要家費用は平均費用の考え方を用いて仮算出
入される模様。
し、上記要件{前年比で(RPI−2%)}になるように調整
する。NTS 入口容量料金の下限料金は、さらに 25%割り引
いたものとなる。
<Firm 輸送>下記の合計を shipper が支払う。
NTS 料金
・入口容量料金:容量確保分に対して請求。料金はオーク
ションで決まる。但し、下限価格が設定されている(上
記参照)。
・出口容量料金:容量確保分に対して請求。
・輸送料金:年間のガス輸送量に応じて請求。
LDZ 料金
・容量料金:ピーク日の使用容量に応じて請求。
・輸送料金:年間のガス輸送量に応じて請求。
需要家費用→メータ読み等の費用
年間輸送量及びピーク日輸送量に応じて請求。
<Interruptible 輸送>条件別に下記割引があり。
中断 45 日以下:NTS 出口容量料金及び LDZ 容量料金が免
除される。
中断 45 日超:上記に加え、NTS 及び LDZ の輸送量料金が
割引される。
実取引における料金及びその 上限価格を下回る範囲内では、自由に価格設定が可能であ NTS の入口容量料金はオークション。
り、これは交渉ベースで行われる。
それ以外は、背呈された料金。
決定要因
大口と小口需要家の区別
第3者アクセスの条件
供給義務(接続義務)の有無
託送料金の水準
アメリカ
州際PL会社が下記を申請し、FERC が承認する。
・輸送サービスの諸条件(General Terms and Condition)
受入条件(ガス品質、圧力等)、輸送量の事前連絡等に関
する条件
・輸送料金(Transportation Rate)
上限価格及び下限価格が認可対象。
従って、料金は州際PL会社毎に異なる。
コスト回収が可能で、かつ公平な料金システムの導入が前
提。具体的には、SFV(Straight-Fixed-Variable)の考え方
を採用。これは、固定費を輸送能力確保料金(下記①)か
ら、変動費を輸送料金(下記②)から回収するもの。
一般的に下記の2構成になっている。
①輸送能力確保料金
PLの輸送能力を確保するための料金。実際にその能力
を使うか否か係わらす、確保能力分だけ請求される。
②輸送料金
実際の輸送したガス量に対して請求される。
Firm 輸送料金(上限料金)=①+②
Interruptible 輸送料金(下限料金)=②
Firm 料金と Interruptible 料金の間であれば、自由に料金
設定可能。但し、割引価格は非差別的に適用しなければな
らない。
特になし。
年間 75,000 サーム{約 172,000m3(11,000kcal/m3)}以 特になし。
上の大口需要家への輸送は PGT ライセンス不要。
Take or Pay 分で輸送能力に余裕がない場合は、拒否可能 Network Code(約款に相当する)を遵守すること。ガス General Terms and Conditions(約款に相当する)を遵守
(EU ガス指令でも認められている)。
熱量等に関する条件が記載されている。
すること。ガス品質、圧力、輸送量の事前連絡等に関して
ガスの品質については、ガス卸事業者が提示する条件を満 ガスの熱量に関しては、別紙参照。
規定している。
足しなければならない。ガスの熱量に関しては、別紙参照。
ガスの熱量に関しては、別紙参照。
配給会社には供給義務有り。
消費者から要請があれば、非差別的に接続する必要がある。 接続に要する費用を顧客が負担する負担する限りにおいて
接続のための工事費用等は、消費者の土地内部分は消費者、 は、接続を拒否できない。
それ以外は PGT が負担する。
不明。
別紙参照。
別紙参照。
問い合わせ: [email protected]
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