Comments
Description
Transcript
プレゼンテーション資料 [PDF:3.9MB] - RIETI
独立行政法人 経済産業研究所(RIETI) BBLセミナー プレゼンテーション資料 2015年4月16日 OECD経済局日本・韓国課長 ランダル・ジョーンズ http://www.rieti.go.jp/jp/index.html 2015 年OECD 対日審査報告書 日本を再興する 経済産業研究所 2015年4月16日、東京 www.oecd.org/eco/surveys/economic-survey-japan.htm OECD Economics OECD 経済成長のトレンドは、 過去数十年に低下した Per cent 3.5 Per cent Potential employment Trend labour productivity Potential real GDP 3.5 3.0 3.0 2.5 2.5 2.0 Japan’s growth target¹ 1.5 1.0 2.0 1.5 Average real GDP growth (1990-2014) 1.0 0.5 0.5 0.0 0.0 -0.5 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2%の目標は2009年に決定され、以降の政権でも維持されている。 出典: OECD Economic Outlook データベース -0.5 1. 2 所得水準、生産性は、 OECDの上位諸国に後れをとっている ⽇本の⽔準のOECD 諸国上位半数との⽐較¹ Top half of OECD = 100 Top half of OECD = 100 130 130 120 Labour inputs 120 110 110 100 100 90 90 Per capita income 80 70 Labour productivity 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 一人当たりGDPは、2005年の物価と購買力平価により換算されている。 労働生産性は、労働投入時間当たりのGDPである。 労働投入は、一人当たり労働時間。 出典: OECD Going for Growth データベース 80 70 1. 3 政府総債務残高は、OECD諸国で最も高い 1. 2014年はOECDの推定値、 2015-16年は予測値。 出典: OECD Economic Outlook データベース 4 デフレ下で名目GDPは下落 Index 2000 = 100 Index 2000 = 100 105 105 100 100 95 95 90 Nominal GDP GDP deflator 90 85 85 80 80 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 出典: OECD Economic Outlook データベース 5 貧困率は上昇傾向 相対的貧困率、つまり、税、移転考慮後の所得が「等価可処分所得」の中央値の半分に満たない人々の(総 人口に占める)割合。日本のデータは、日本がOECDに提出した国民生活基礎調査の値。もう一つの調査で ある全国消費実態調査によると、相対的貧困率は10.1%とずっと低い。 出典: OECD Income Distribution and Povertyデータベース, 厚生労働省『国民生活基礎調査』 6 主な結論 1. 過去20年にわたる低成長により、日本の生活水準は、 OECD諸国の上位半数を下回ることとなった。 日本の潜在成長力は、多くの構造的な弱さを反映し た人口減少、生産性上昇の弱さにより、急速に低下 している。 2. 政府総債務残高は、対GDP比226%と未知の水準に高 まっており、歳出と歳入の開きは、大きいままである。 3. 持続的なデフレは、政府債務比率の上昇に寄与してきた。 4. 所得格差や相対的貧困が、社会的一体性を脅かしている。 7 構造改革が大いに必要 アベノミクスは、日本再興のため 2013年に開始された 1. デフレ脱却のための大胆な金融政策 2. 機動的な財政政策 3. 次の10年間の実質経済成長率を2%に高める ための成長戦略 8 挑戦 1 日本の成長率を 以下の条件下で高める: • • • • 急速な高齢化 企業部門の弱さ 経済のダイナミズムの欠如 世界経済との統合の弱さ 9 2050年まで日本は 最も高齢化が進んだ国であり続ける 65歳以上⼈⼝対⽣産年齢⼈⼝(15-64歳)⽐率(%) Per cent 90 80 Per cent 90 2012 2050 Average in 2012 Average in 2050 80 70 70 60 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 JPN DEU SWE FIN DNK EST AUT GBR HUN CZE CAN NZL LUX ISL SVK KOR TUR ITA GRC PRT FRA CHE BEL ESP NLD SVN NOR AUS USA POL IRL ISR CHL MEX 出典: OECD Demography and Population データベース. 0 10 日本は、企業の研究開発が盛んだが、 全要素生産性(TFP)成長率が低い 出典: OECD Economic Outlook No. 96, Long-term Scenario データベース, OECD Main Science and Technology 指数 11 製造業と非製造業の 生産性格差は急激に拡大 出典: 日本産業生産性(JIP)データベース2014 12 日本企業の株主資本利益率 (return on equity)は低い 2012年 出典: 経済産業省(2014) 13 日本企業は、生産的に使うことができるはずの 多額のキャッシュを保有 現金及び流動性の高い証券、対時価総額比(%) 出典: Bloomberg; OECDの計算による。 14 世界における日本の輸出比率は、 過去20年間に低下 対世界貿易(%) Per cent 14 Per cent 14 United States China 12 10 12 10 Germany 8 8 6 6 Japan 4 4 2 2 0 1994 1996 1998 出典: WTOデータベース 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 0 15 交易条件は悪化してきた 交易条件¹ 、2005 = 100 Index Index 130 130 Japan OECD United States Germany 120 110 120 110 100 100 90 90 80 80 70 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 70 1. 輸出物価/ 輸入物価。基準年は2005年。 出典: OECD Economic Outlook データベース. 16 日本の小企業は、古い企業であり、 経済のダイナミズムの欠如を示唆 出典: Criscuolo et al. (2014) 17 日本の大企業も、かなり古い企業 時価総額¹上位300社の会社設立年 Number of firms 70 Number of firms 70 60 60 United States Japan 50 50 After 2009 2000-09 1990-99 1980-89 1970-79 1960-69 0 1950-59 10 1940-49 10 1930-39 20 1920-29 20 1910-19 30 1900-09 30 1890-99 40 Before 1890 40 0 1. 2015年3月時点。2000-2009年の日本企業の会社設立数の増加は、当該時期に持ち株会社の設立が多く あったことを反映している。 出典: Thompson Reuters; OECDの計算による。 18 日本では ベンチャー・キャピタルの役割が小さい 2013年、もしくは利用可能な最新年 出典: OECD (2014f), Entrepreneurship at a Glance 2014, OECD Publishing, パリ 19 日本の対内・対外直接投資残高は、 OECD諸国で最も少ない 対内・対外直接投資(対GDP比)、2013年¹ Inward in per cent of GDP 100 90 EST HUN 80 CHL 70 ISL CZE SWE GBR SVK 60 PRT ESP POL 50 NOR NZL 40 AUS MEXSVN 30 ISR DEU 20 TUR KOR 10 0 CAN OECD DNK AUT FRA FIN ITA USA GRC JPN 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Outward in per cent of GDP 1. ベルギー (189,200), アイルランド (231,173), ルクセンブルグ (301,234), オランダ (134,83.7) ス イス (194,115)。 出典: OECD (2014), Economic Globalisation Indicators 2014, OECD, パリ. 20 日本のイノベーション・システムは、大学の問題、 国際的な研究開発への参加欠如により、弱まっている。 Bottom 5 OECD countries Index Middle range of OECD countries A. Science base (relative to GDP) Top 5 OECD countries JAPAN B. Internationalisation (per cent) Index 200 200 150 150 100 OECD median 50 0 100 50 Top 500 universities International co-authorship Publications in the top-quartile journals International co-patenting 1. 標準化された相対的なパフォーマンス指数で、OECD諸国の中央値を100とした。もっともパフォーマンスが良 い国を200、最も悪い国を0としている。「トップ500⼤学数」がOECD諸国で5番⽬に位置する国は、OECD諸国 の中位に位置する国の100に対し137となり、下から5番⽬の国は5となっている。⽇本は43となっており、その 間の範囲に位置している。 出典: OECD (2014), OECD Science, Technology and Industry Outlook 2014, OECD Publishing, パリ 0 21 日本の非効率な農業部門は、 高水準の政府支援に頼っている 生産者支持推定量¹、2011-13年 1. 生産者支持推定量は、農業を支える政策(性格は問わない)により、消費者と租税負担者から(農家へ) の1年間の総移転額が総農家収入額に占める割合(単位%)。 出典: OECD PSE/CSE データベース 2014 22 経済成長を高めるための提言 23 女性の雇用を拡大する 推定労働人口規模¹ 1. 生産年齢人口(15-64歳)について、男性の労働参加率は、2011年から2030年の間、一定であると想定。 出典: OECD (2014) 24 製品市場規制(PMR)、 貿易・投資への障壁を減らす¹ Index 2.5 A. Overall product market regulation Index 2.5 2.0 1.5 1.5 1.0 1.0 0.5 0.5 0.0 0.0 NLD GBR AUT DNK ITA NZL AUS EST FIN DEU PRT HUN SVK BEL CZE JPN CAN ESP IRL LUX NOR FRA OECD ISL CHE CHL SWE POL SVN GRC KOR MEX ISR TUR 2.0 Index 2.5 B. Barriers to trade and investment Index 2.5 2.0 1.5 1.5 1.0 1.0 0.5 0.5 0.0 0.0 1. NLD BEL AUS FIN GBR LUX HUN POL IRL CHE FRA PRT DEU ESP CZE ITA CHL DNK ISL GRC OECD NZL SVK NOR AUT SWE EST JPN SVN CAN ISR TUR KOR MEX 2.0 製品市場規制指標は、競争が可能な製品市場において、政策立案がどの程度、競争を促進する、または妨げるかを 包括的かつ国際比較するものである。研究成果によると、指標とパフォーマンスの間には連動がある。700以上の質問 に基づくこの指標は、0(最も緩和的)から6(最も厳格)の間の数字を取る。 出典: OECD Product Market Regulation データベース; Koske et al. (2015). 25 企業と学界、外国との間で、 研究開発の結びつきを強める 研究開発資金、 2013年 研究開発資金の実施主体 資金の出し手 研究開発支出の 割合 政府 大学 企業 合計 政府1 18.1 54.4 40.2 5.4 100.0 大学 5.9 0.6 99.3 0.1 100.0 企業 75.5 0.6 0.5 98.9 100.0 海外からの資金 0.5 9.6 1.6 88.8 100.0 1. 民間の非営利組織を含む。 出典: OECD R&D Statistics データベース 26 中小企業政策を補助から 再編支援に移行する 政府保証額(ストック、対GDP比、2013年) 出典: OECD (2015), Financing SMEs and Entrepreneurs 2015: An OECD Scoreboard, OECD Publishing, パリ、近刊 27 生き残れない会社を退出させる A. The number of bankrupties is falling in Japan B. International comparison of number of bankrupties in 2012 Thousand Per cent Index 2007 = 100 Index 2007 = 100 250 6 250 20 Number of bankrupties (left scale) Real GDP growth (right scale) 18 4 16 14 200 200 150 150 100 100 2 12 0 10 8 -2 6 4 -4 50 50 -6 0 CAN CHL JPN DEU BEL FRA SWE FIN GBR AUS NOR USA ISL NLD DNK 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 0 2003 2 出典: OECD (2014) Entrepreneurship at a Glance 2014, OECD Publishing, パリ; OECD Economic Outlook データベース. 0 28 起業への見方を改善する 起業が職業選択として良いと考える人の割合 出典: Global Entrepreneurship Monitor (2015) 29 学校で起業のために必要なスキルを提供する 学校教育が事業経営のスキルやノウハウを提供している、 と考える⼈の割合、2012年 Total ’agree’ Total ’disagree’ Don’t know / No answer Per cent Per cent 100 100 80 60 60 40 40 20 20 0 NOR PRT TUR FIN CHE CZE ISL USA LUX ESP DNK DEU KOR SWE AUT BEL OECD FRA GRC SVK EST SVN NLD HUN IRL POL ITA GBR ISR JPN 80 出典: OECD (2013), Entrepreneurship at a Glance, OECD Publishing, パリ. 0 30 日本の農業従事者の高齢化は、 抜本的な改革の機会を生み出している 農業従事者の83%が60歳以上、2010年 出典:農林水産省『2010年農林業センサス』 31 経済成長を高めるための政策提言 1. 労働参加率、とりわけ女性の労働参加率を高め、外国人労働者の活用を 拡充することで、労働力の減少傾向を遅らせる。 2. 製品市場規制を減らし、コーポレート・ガバナンスの枠組みを改善する ことにより、競争力と企業の業績を強化する。 3. TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめとするハイレベルな貿 易協定に参加し、日本の世界経済への統合を進める。 4. 市場ベースの農業へ移行する。 5. 研究開発の枠組みを改善し、イノベーション投資の収益を高める。 6. 企業の開業、イノベーションを促進するためベンチャー・キャピタル投 資を再興する。 7. 起業環境を改善し、起業家教育を発展させる。 8. 再生可能な企業の事業再編を支援し、存続不可能な企業の退出を促すた めにも政府による中小企業への支援を削減する。 32 挑戦 2: 政府債務を削減する 33 日本の公的総債務残高比率は OECD諸国で最も高い ⼀般政府ベース、対GDP⽐、2014年 Per cent 250 Per cent 250 200 200 150 150 100 100 0 50 EST LUX NOR AUS KOR NZL CHE SWE CZE POL DNK SVK FIN ISR NLD DEU SVN OECD ISL CAN HUN GBR AUT ESP USA FRA IRL BEL PRT ITA GRC JPN 50 出典: OECD Economic Outlook データベース. 0 34 多額の債務の影響は、 日本の金利の低さにより緩和されている。 Per cent 5 一般政府ベース、対GDP比、2014年 Per cent 5 4 3 3 2 2 1 1 0 0 -1 -1 -2 -2 NOR CHL KOR EST LUX FIN SWE CHE DNK CAN AUS MEX JPN NZL CZE NLD DEU OECD SVK AUT FRA POL SVN GBR BEL USA ESP ISR IRL ISL GRC HUN ITA PRT 4 出典: OECD Economic Outlook データベース. 35 政府の歳出と歳入の差は大きい Note: 中央政府の一般会計、対GDP比。 出典: 財務省; OECDの計算による。 36 日本の基礎的財政赤字は、大きいまま 出典: OECD Economic Outlook データベース 37 国債費は予算の中で最大の費目 国債費は、一般政府支出には含まれない債務償還費13.3兆円、及び10.1兆円の利払費の合計。 出典: 財務省 1. 38 政府債務残高削減のためには、実質経済成長、 物価上昇とともに、財政健全化が必要 政府総債務残高対GDP比¹ 1. ベースラインは、財政健全化が行われない場合であり、名目GDP成長率が約2¾% (実質GDP成長率が1%、物価 上昇率が1¾%) の場合。他の2つのシナリオにおいては、いずれも2017-26年の間の10年間に対GDP比7%の財政 健全化が仮定されており、違いは2015-40年の間の平均的な経済成長率と、それによる異なる利子率の水準である。 シナリオ1: 名目経済成長率1½ % (実質経済成長率1% 、物価上昇率½ %)。 シナリオ2: 名目経済成長率4% (実質経済成長率2% 、物価上昇率2%)。 出典: OECD Economic Outlook データベース, OECDの計算による。 39 政府の社会支出は対GDP比で倍増 一般政府ベース。 出典: OECD Economic Outlook データベース 40 日本の公的社会支出は、 保健と高齢関係支出に集中 2011年 出典: OECD Social Expenditure データベース 41 在院日数と外来受診数を減らし、 医療費を削減する 2012年、もしくは利用可能な最新年 平均在院 日数1 急性期病床 の平均在院 日数1 2,3,4 長期療養病 床数2,3,4 介護施設に おける病床 数2,4 一人当たりの年 間外来受診数 日本 31.2 13.4 7.9 2.7 (11.1) 6.0 (25.0) 13.0 OECD 平均 7.4 4.8 3.3 0.6 (3.8) 7.7 (48.5) 6.7 31.2 17.5 13.4 7.9 3.2 (27.4) 13.5 (72.2) 14.3 3.9 3.9 1.6 1.5 0.0 (0.0) 2.4 (17.7) 2.7 病院病床数 急性期病床数 2 17.5 8.4 最も高い国 最も低い国 単位、日。 人口1000人当たりの病床数。 病院における病床数。 括弧内は65歳以上人口1000人当たりの病床数。 出典: OECD Health データベース 1. 2. 3. 4. 42 日本は一人当たりの薬剤費が高い ⼀⼈当たり薬剤費、2012年、もしくは利⽤可能な最新年¹ (ドル) Per capita, USD PPP 2005 900 Per capita, USD PPP 2005 900 800 700 700 600 600 500 500 400 400 300 300 200 200 100 100 0 MEX CHL DNK NZL EST POL ISR LUX NOR GBR NLD CZE FIN SWE ITA PRT ESP OECD CHE KOR HUN SVK SVN ISL AUT GRC AUS FRA IRL DEU BEL JPN CAN USA 800 1. 医療⽤⾮耐久品を含む。 出典: OECD Health データベース. 0 43 薬剤費の多さは、 ジェネリック医薬品の利用の少なさを反映 薬市場におけるジェネリック医薬品¹シェア、 2013年、もしくは利⽤可能な最新年 Per cent 80 70 Per cent 80 70 Value Volume 60 60 0 GBR² CHL³ DEU² NZL² DNK² SVK TUR AUT² NOR OECD 1. 医療⽤⾮耐久品を含む。 2. 保険適⽤市場ベース。 3. 地域薬局ベース。. 出典: OECD Health データベース. ESP² GRC² LUX² 0 FIN 10 PRT 10 CZE 20 EST 20 FRA² 30 BEL² 30 JPN 40 CHE 40 IRL² 50 ITA 50 44 社会支出の増加を抑える 長期療養を、病院から在宅もしくは介護施設に移すことで、病院の在院日 数を減らす。 外来受診数を減らし、急性期の在院日数を減らすため、出来高払いの仕 組みをやめる。 医療と介護の効率性を高めるとともに、平等に配慮しながら、医療と介護 の自己負担を引き上げる。 現在のかなり低い水準からジェネリック医薬品の利用を促進し、薬剤費を 削減する。 高齢者の労働参加を高め、世代間の移転を縮減しながら、年金支出の増 加を抑えるため、年金支給開始年齢を引き上げる。 45 消費税率をさらに引き上げる 標準税率¹ 、2014年 1. 日本を除き、2014年1月の標準税率。日本は、 2014年4月の8%への税率引上げを反映。 出典: OECD, Consumption Tax Trends 2014 46 所得税の課税ベースを拡大する 収入に対する控除の割合(%)1 基礎控除 配偶者控 除 日本 7.8 7.8 米国 41.3 ドイツ 36.0 英国 26.6 児童扶養 控除 社会保険料 控除 給与所得控 除 13.9 31.0 1. 控除合計 60.5 16.1 57.4 13.8 オランダ スウェーデン その他 2.2 0.2 52.2 26.6 0.0 3.3 3.3 夫婦子供二人世帯で片働きの世帯。給与額は国内平均給与額。 出典: OECD (2014b), Taxing Wages 2014, OECD Publishing, パリ 47 挑戦 3: デフレからはっきりと脱却する 48 量的・質的緩和により、 マネタリーベースは急増 A. The monetary base target Trillion yen 350 355 trillion yen (end-2015) X B. Central bank balance sheets Per cent of GDP 65 60 United States Japan Euro area United Kingdom 300 275 trillion yen¹ X (end-2014) 250 200 55 50 45 40 202 trillion yen X (end-2013) 35 30 150 138 trillion yen (end-2012) X 25 20 100 15 Introduction of 50 ’’quantitative and quality monetary easing’’ 10 5 0 0 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2007 2009 2011 2013 15 1. 目標は、2014年10月の量的・質的金融緩和の拡大により、270兆円から275兆円に増加。 出典: 日本銀行; Thomson Financial. 49 量的・質的金融緩和は、イールド・カーブを 通じ、金利を押し下げた¹ 国債金利 Per cent Per cent 2.5 2.5 April 2012 April 2013 April 2014 March 2015 2.0 1.5 2.0 1.5 1.0 1.0 0.5 0.5 0.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 15 20 25 30 0.0 40 Years 1.流通市場における実勢価格、半年複利金利。データは月末日の値。 出典: 財務省 50 期待インフレは高まった Per cent 3 Per cent 3 Survey of 2 to 10 years ahead¹ Break-even inflation rate² 2 2 1 1 0 0 -1 -1 2015 2011 2012 2013 1. QUICK月次調査 による。 2. 固定利付国債利回りと物価連動国債利回りの金利差。 出典: 日本銀行; Thomson Financial. 2014 51 2012年以来、円は大幅に減価した A. Yen vis-à-vis dollar $/¥ 70 B. Real effective exchange rate¹ Index 2010 = 100 150 80 140 90 130 100 120 110 110 120 100 130 90 140 80 150 1995 2000 2005 2010 2015 1995 2000 2005 2010 70 2015 1. 49の貿易相手国との貿易額によりウェイト付けして算出。消費者物価により実質化。 出典: OECD Economic Outlook データベース; 日本銀行 52 量的・質的金融緩和にもかかわらず、 物価上昇率はゼロ近辺に低下 Per cent 4 Per cent 4 CPI (without tax hike) CPI¹ (with tax hike) Core inflation² (without tax hike) 3 2 3 Inflation target 2 1 1 0 0 -1 -1 April 2014 tax hike -2 -3 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 -2 -3 2014 2015³ 1. 2014年4月に消費税は5%から8%に上げられた。この税率引上げは日本銀行と内閣府の推計によると物価を2 パーセンテージ・ポイント高めた。 2. OECDの定義によるものであり、食料とエネルギーを除く。 3. 2015年1月と2月の平均値。 出典: OECD Economic Outlook データベース; 日本銀行 (2014); 内閣府 (2014). 53 挑戦 4: 社会的一体性を促進する 54 所得格差と貧困を減らすため、 労働市場の二極化を打破する 出典: 厚生労働省(2014) 55 非正規雇用世帯は、 高い貧困率に苦しんでいる 従業上の地位別貧困率1 妻 (%) 夫(%) 正規 ⾮正規 ⾃営業 失業 正規 1 3 3 5 ⾮正規 7 19 16 35 ⾃営業 5 16 13 23 失業 8 38 21 47 1. データはサンプル数10 000人程度の調査(Keio Household Panel Survey)による。 出典: Higuchi (2013). 56 日本の税、移転の 所得格差への影響は小さい 格差(ジニ係数¹ )の縮小幅、生産年齢人口、2012年、もしくは利用可能な最新年 Basis points 18 1. Basis points 18 15 15 12 12 9 6 6 3 3 0 0 SVN GRC BEL LUX FIN FRA AUT DNK PRT CZE NOR GBR DEU ESP POL OECD NLD ITA SVK ISL SWE EST AUS CAN ISR USA NZL JPN TUR CHE CHL KOR 9 ジニ係数は所得格差を測る指標であり0(すべての者が同じ所得、完全平等)から1(1人の者がすべての所得 を有する)の間を取る。 出典: OECD Income Distribution and Poverty データベース 57 日本の税、移転の貧困への影響は小さい 相対的貧困率¹ の縮小幅、生産年齢人口、2012年、もしくは利用可能な最新年 Percentage points 1. Percentage points 18 18 15 15 12 12 9 6 6 3 3 0 0 FRA LUX FIN BEL SVN CZE AUT ESP GBR SVK DNK GRC PRT NLD POL NOR DEU OECD EST ITA ISL AUS CAN NZL USA SWE JPN ISR MEX TUR CHL KOR CHE 9 相対的貧困率は、等価可処分所得の中央値の半分に満たない所得しか得ていない人の総人口に占 める割合。 出典: OECD Income Distribution and Poverty データベース 58 日本の税・給付制度は、 若者から高齢者へ所得を移転 In 2011 Million yen Million yen 400 400 Benefit in kind Cash benefit Tax Pension contribution Health and long-term care contribution Net benefit 300 200 300 200 100 100 0 0 -100 -100 -200 -200 Under 30 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 出典: 厚⽣労働省『所得再分配調査(平成23年)』 60-64 65-69 70-74 Above 74 Age group 59 高齢者を除き、日本の税・給付制度には、 所得格差に与える影響がほとんどない。 Gini coefficient 0.9 In 2011 Gini coefficient 0.9 0.8 0.8 Income before redistribution 0.7 0.7 Income after redistribution 0.6 0.6 0.5 0.5 0.4 0.4 0.3 0.3 0.2 0.2 0.1 0.1 0.0 0.0 Under 30 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 Above 74 Age group 1. 相対的貧困率は、等価可処分所得の中央値の半分に満たない所得しか得ていない⼈の総⼈⼝に占める割 合。 出典: 厚⽣労働省『所得再分配調査(平成23年)』 60 生活保護制度は、 寛容な現物給付、現金給付を行っている¹ 生活保護の現金給付による所得水準I² 、2012年 In per cent of median household income 80 70 Couple, two children³ Single, no children In per cent of median household income 80 Lone parent, two children³ Relative poverty line 70 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 0 GRC CHL BUL USA HUN SVK ROM CAN PRT POL LTU SVN ISR KOR ESP EST LTV NZL AUS FRA BEL NOR DEU AUT LUX CZE MLT ISL SWE FIN CHE GBR DNK NLD IRL JPN 60 0 1. OECD tax-benefit モデルによるこの結果は、等価ベース(家計人数の平方根で割ってある)。 2. 所得水準は、すべての現金給付(社会扶助、家族給付、住宅扶助)が含まれており、生産年齢人口にある、失業保険による給付 のような他の給付を受けられない人の場合。所得水準には、実物給付、例えば、医療扶助、交通費への補助、無料の学校給食、保 育への補助、水道料金への補助などは含まれていない。給付は、税、社会保険料負担等を控除後の額。 3. 子供のいる家計については、4歳と6歳の二人の子供がいると仮定し、保育費用と給付は含めない。 出典: OECD, Tax-Benefit モデル、厚生労働省 61 所得格差と貧困を減らす 労働市場の二極化を打破し、賃金格差を小さくする。 低賃金の人を支援し、勤労意欲を高めるため、勤労所 得税額控除(EITC)を導入する。 生活保護制度の寛容さ(給付水準)を縮小しながら、 対象を広げることにより、社会福祉を改善する。 62 主な提言 日本を再興するため、アベノミクスの三本の矢を着実に実施する。 債務削減を財政の最優先課題とする。 2%のインフレ目標が安定的に達成されるまで金融緩和を続ける。 大胆な構造改革により経済成長を高める。 • 保育を拡充すること、及び、男女間の格差を小さくするため労働 市場の二極化を打破することにより、女性の雇用を増やす。 • TPP(環太平洋パートナーシップ協定 )、日EU経済連携協定を はじめとするハイレベルな貿易協定に参加する。 社会支出の配分を見直し、低収入の労働者に対する勤労所得税額控除 (Earned Income Tax Credit) を導入する。 63 詳細は… www.oecd.org/eco/surveys/economic-survey-japan.htm OECD Economics OECD Disclaimers: The statistical data for Israel are supplied by and under the responsibility of the relevant Israeli authorities. The use of such data by the OECD is without prejudice to the status of the Golan Heights, East Jerusalem and Israeli 64 settlements in the West Bank under the terms of international law. This document and any map included herein are without prejudice to the status of or sovereignty over any territory, to the delimitation of international frontiers and boundaries and to the name of any territory, city or area.