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同居親族要件の取扱いについて 1.公営住宅制度の見直しの概要 2
第5回安心な住生活部会 資料№ 提供年月日 2 H22.7.2 同居親族要件の取扱いについて 1.公営住宅制度の見直しの概要 (1) 改正点 平成 22 年 3 月 5 日、 「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」 が閣議決定され、この中で、公営住宅法についても以下の改正を行うことが示された。 ① 同居親族要件(入居者資格) ・施行日を持って廃止する。 ・域内の公営住宅ストック等の住宅事情を考慮し、引き続き単身入居について一定 の制限が必要である場合は、条例により措置を行う。 ② 整備基準 ・国土交通省令で定める基準を参酌し、条例で定める。 ③ 入居収入基準(入居者資格) ・事業主体が条例で定める。国は参酌すべき基準を政令で規定する。 (2) スケジュール 改正のスケジュールは以下のとおり示された。 なお、第 174 回国会が閉会になったことを受け、法律案は「継続審議」となった。 2.同居親族要件に関する法の趣旨・改正の経緯 (1) 法の趣旨 「公営住宅法」が制定された昭和 26 年は、大都市圏は戦災復興期の半ばで依然過度 の住宅不足が続いている状況であった。 当時の民間賃貸住宅市場では単身者向け賃貸住宅は比較的供給量が多かったのに対 して、家族向けの住宅は未だ市場での供給が十分とは言えない状況にあった。このよ うな状況の中、限られた財政支出を理由に、住宅に関する公的援助の必要性の高い同 居親族を有する世帯に対して公営住宅を供給するという趣旨で、公営住宅法に「同居 親族要件」が規定され、現在に至っている。 (公営住宅法逐条解説等より) 1 (2) 法改正の経緯 昭和 55 年に、単身高齢者、障害者については、その居住に適した設備(バリアフ リーなど)がある民間賃貸住宅は、十分供給されておらず、また、他の住宅困窮世帯 と比べ、居住の安定の確保を図る必要が高いことから、 「高齢者(50 歳以上) 」や「身 体障害者(4級以上)」 「生活保護受給者」 「海外引揚者等」などは住宅困窮者として単 身者でも入居資格を有する者とする、公営住宅法の一部改正が行われた。 平成 17 年度の政令改正では、高齢者の年齢要件を「60 歳以上」に引き上げ(経過 措置として昭和 31 年 4 月 1 日以前生)、障害者の範囲を精神障害者・知的障害者(い ずれも手帳交付者)まで拡大し、DV被害者を追加した。 3.市営住宅の現状(※資料は特記のない限り神戸市都市計画総局調べ) (1) 申込状況(平成 22 年5月定時募集) ・市営住宅の募集倍率は 17.9 倍となっている。 ・これを単身世帯に限ると、単身世帯が入居可能な住戸の募集戸数 148 戸に対し、申込 みは 4,489 件あり、募集倍率は 30.3 倍となっている。 ・なお、単身世帯向けには、48 ㎡未満の住戸を確保しており、住生活基本計画(全国計 画)で国が示した単身者の誘導居住面積水準(都市居住型)40 ㎡を上回るものまで、 対象としている。 ① 募集戸数 ② 申込件数 ③ 募集倍率 610 戸〔一般 388 戸(64%) 特定目的 222 戸(36%) 〕 〔単身 148 戸(24%) 2人以上 462 戸(76%)〕 10,934 件〔一般 8,055 件(74%) 特定目的 2,879 件(26%)〕 〔単身 4,489 件(41%) 2人以上 6,445 件(59%) 〕 17.9 倍〔一般 20.8 倍 特定目的 13.0 倍 〕 〔単身 30.3 倍 2人以上 14.0 倍 〕 ④ 単身世帯の申込状況 一般住宅 3,202 件(複数の要件を満たす場合に重複計上すると 4,849 件) 4,849 件〔障害 621(12.8%)高齢 2,735(56.4%)生保 1,493(30.8%) 〕 特定目的 1,287 件(複数の要件を満たす場合に重複計上すると 2,184 件) 2,184 件〔障害 457(20.9%)高齢 1,164(53.3%)生保 563(25.8%)〕 合 計 4,489 件(複数の要件を満たす場合に重複計上すると 7,033 件) 7,033 件〔障害 1,078(15.3%)高齢 3,899(55.5%)生保 2,056(29.2%)〕 ⑤ 世帯構成別の申込状況 ・単身 募集戸数 148 戸 申込件数 4,489 件 募集倍率 30.3 倍 ・2人 募集戸数 295 戸 申込件数 3,482 件 募集倍率 11.8 倍 ・3人 募集戸数 139 戸 申込件数 1,920 件 募集倍率 13.8 倍 ・4人 募集戸数 28 戸 申込件数 1,043 件 募集倍率 37.3 倍 2 ⑥ 住戸面積ごとの募集戸数 専有面積 39 ㎡ 40∼47 48∼49 50∼57 58∼59 60∼64 以下 65 ㎡ 合 計 以上 一般住宅 40 66 42 116 36 73 15 388 特定目的 42 35 12 68 16 34 15 222 合 82 101 54 184 52 107 30 610 計 (2) 市営住宅の状況(面積別戸数) ・市営住宅のうち、応募時点で単身世帯の入居が可能な 48 ㎡未満の住戸は 19,077 戸あ り、全体の約 36%を占めている。 (平成 21 年度末時点) 専有面積 39 ㎡ 40∼47 48∼49 50∼57 58∼59 60∼64 以下 65 ㎡ 合 計 以上 戸数 9,524 9,553 3,469 15,826 3,154 7,111 4,431 53,068 割合(%) 18.0 18.0 6.5 29.8 5.9 13.4 8.4 100 (3) 市内の民間借家の状況(面積別戸数) ・市内の民間賃貸住宅(約 162,400 戸)のうち、29 ㎡以下の住宅が 36%(約 58,400 戸) 、 30∼49 ㎡の住宅が 31.8%(約 51,700 戸)と、規模の小さい住宅の割合が大きくなっ ている。 専有面積 29 ㎡ 30∼49 50∼69 70∼99 100∼149 以下 戸数 割合(%) 150 ㎡ 合 計 以上 58,400 51,700 36,900 11,900 2,800 700 162,400 36.0 31.8 22.7 7.3 1.7 0.4 100 資料:平成 20 年住宅土地統計調査 (4) 市営住宅の単身入居世帯の状況 ・市営住宅の全入居世帯数 46,943 世帯のうち、単身入居世帯は 21,497 世帯であり約 46%を占めている。 (平成 21 年度末時点) ○単身入居世帯数:21,497 人 (複数の要件を満たす場合に重複計上すると 28,626 件) 〔障害 1,808(6.3%)高齢 19,365(67.7%)生保 6,021(21.0%)その他 1,432(5.0%)〕 3 4.神戸市における今後の方針(案) <今後の取扱い方針(案)> ・同居親族要件は廃止せず、これまでどおりの取り扱いとする。 (一定の要件を満たす、高齢者、障害者、生活保護受給者などについては単身入居を 認める。 ) <理由> 今回の地域主権一括法に基づく公営住宅制度の見直しにおける同居親族要件の廃止に対 する国の考え方は、同居親族要件を廃止するというものではなく、地方に委ねるという考 え方であり、地方の実情に応じて選択肢が広がるものとなっている。 神戸市においては、 ① 市営住宅の募集においては、高齢者、障害者、生活保護受給者など住宅確保要配慮 者に対しては、既に単身世帯での入居資格を認めている ② 単身世帯が入居可能な住戸については、国の誘導居住水準面積を超えるものを用意し、 戸数の確保に努めており、その割合は全市営住宅の 36%となっている ③ 市営住宅の募集倍率が平均 20 倍前後と高く、単身者向け世帯の募集倍率は更に高く なっている といった現状を踏まえると、現時点では、これまでどおり同居親族要件を廃止せず、条例 により措置し継続させていくことが望ましいと考えている。(これまで単身世帯での入居 を認めていた住宅確保要配慮者に対しては、従来どおり単身入居を認める。 ) なお、災害により住戸を失った緊急性の高い方に対しては、市営住宅の目的外使用許可 により一時的な入居ができる住戸を確保している。 さらに、経済・雇用状況の大きな変化により緊急的に必要となった離職者対策としては、 市内の雇用促進住宅や県営住宅で対応しており、さらに住宅の確保が必要であれば、市営 住宅の目的外使用許可などで対応できるよう準備している。(ただし、これまでのところ 需要は少なく、必要性はない。 ) 4