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大学編 - 横浜市社会福祉協議会
大学編 - 43 - 大学におけるボランティア活動の推進・支援の現状と課題 大学におけるボランティア活動の推進・支援の現状と課題 ~理想的な大学ボランティアセンターを求めて~ ►► はじめに 青少年がボランティア活動に参加することには、さまざまな意義があるといわれています。また、 近年、大学などの高等教育機関でも学生のボランティア活動を支援する、いわゆるボランティアセン ターが設立されています。 このような現状のもとで、若者がボランティア活動に関心をもち、活動するためのきっかけを手に 入れるには、どのような条件を整えることが必要なのでしょうか。 ここでは、若者のボランティア活動の現状を踏まえ,大学におけるボランティア活動の支援のあり 方,大学ボランティアセンターの意義や役割、さらには、課題を整理します。 ►► 若者のボランティア活動者の動向について 総務省が全国 20 万人を対象にした調査(平成 13 年)によると、ボランティア活動を過去一年間 に行ったことがあると回答した人は全体の 28.9%でした。これは、5年前(平成 8 年)に比べて 3.6 ポイント上昇しています。このことから、ボランティア活動の参加経験者の割合は全体として増えて いることがわかります。 % 30 20 10 (図1)ボランティア活動の参加状況 (総務省 社会生活基本調査 - 44 - 平成 13 年より) 図1で年齢別の参加状況のデータを見ると、40歳代前半(38.4%)が最も高く、逆に20歳代 後半(18.3%)が最も低くなっています。また、ボランティア活動を行った人の中でも、増加の幅 が大きいのは、10代から20代前半です。 1980 年頃のボランティア活動参加率が、10 歳代、20 歳代ではほぼ 10%程度で推移してきたこ とを前提に考えると、若者のボランティア活動への参加は増える傾向にあるといえます。ただし、デ ータの 10 代前半から後半の回答は、小・中・高校生を含んでおり、学校教育におけるボランティア 体験や地域貢献活動もこれに含まれると考えられます。したがって、この回答が、必ずしも個人の自 発性に基づくボランティア活動であるとは限りません。 また、20 歳代の若者の参加率は、増加傾向にあるものの、他のすべての年代と比較して最も低く なっています。実際、若者達には、ボランティア活動より魅力的だと感ずる音楽やダンス、スポーツ、 パソコンやゲームなど多様な趣味や余暇時間の過ごし方があることを考えれば、この結果は当然かも しれません。 しかし、一方でボランティア活動に興味はあるものの、きっかけがないので活動に踏み出せないと いう調査結果もあります。学生が求めているきっかけには、具体的に次のようなものがあります。 学生がボランティア活動の支援として大学に望むこと(H10 年「内外学生センター*」調査報告書) によると、第一位は「情報の提供」 (64%)、第二位が「希望者への研修」(47%)となっています。 これに対して、大学による「単位認定」(21%)や大学が「活動を評価すること」(17%)などへ の希望は低くなっています。このような調査結果をふまえ、学生の期待に応えることのできるボラン ティアセンター機能を整備することが求められています。 *内外学生センター:現「独立行政法人日本学生支援機構」 - 45 - ► ► 大学とボランティア活動の推進・支援の現状 1)大学の講座とボランティア活動 一部の大学で「ボランティア論」が講座などで設けられるようになったのは、阪神淡路大震災より 前のことです。しかし、現在のように多くの大学でこれらの講座が設けられるようになったのは、こ こ数年のことです。 文部科学省の調査によると、全国 687 大学中「ボランティア活動を取り入れた授業科目」や「ボ ランティアに関する講義課目を開設している」大学数は増加傾向にあります。 図2<ボランティア活動を取り入れた授業科目等の開設状況>文部科学省(H14 年度) ※大学院大学8大学(国立4大学、公立1大学、私立3大学)は対象としない。 図2の平成 14(2002)年度をみると、 「ボランティア活動を取り入れた授業科目」を実施してい る大学は全体の 29.7%、「ボランティアに関する講義科目」を開設している大学は 23.6%となって います。大まかに言えば、全国の三分の一の大学でなんらかの形で、ボランティアに関する講座が開 講されていることになります。 - 46 - これらの講座の内容、担当者の専門分野、実際の活動とそのコーディネートの状況などはこのデー タからはわかりません。しかし、現実に「ボランティア」講座は増加する傾向にあり、講座と連動し た学生の活動の契機となる情報を提供することが大切です。 このように、大学が正規の科目としてボランティアを取上げる形態には、①講義のほか、実際に体 を動かす場面をともなう②演習や、実際の現場で活動に参加する③実習があげられます。しかし、こ れらのいずれも、評価と単位認定をともなうものであり、学習が第一の目的です。したがって、これ らは、いわゆる自発的な意志に基づくボランティ活動そのものではありません。 そこで、近年アメリカでは、このような教育的意義に注目し、かつボランティア活動とは一線を隔 したサービス・ラーニングを正規科目として採用する大学も見られるようになっています。サービス・ ラーニングは,実際社会の要請に対応した社会貢献活動に学生が参加し,体験的に学習するとともに, 社会的認識を養う教育方法で,学習と社会貢献との融合をめざす教育活動です。 正規科目としての「ボランティア」や「サービス・ラーニング」の実施は、活動先の確保や調整な ど、地域社会の連携が不可欠であり、この点でもまだ、試行錯誤の段階にあります。 このような、教育活動をいかに支援するかも、大学ボランティアセンターの課題といえます。 2)大学におけるボランティア活動の推進 大学では正規の講座以外にもボランティア活動の推進や支援が必要な場面が存在します。大学には 地域社会のさまざまな団体や個人からボランティア活動の依頼があります。特に学生のボランティア サークルへの活動依頼は、学生が直接対応している場合を除けば、一般に学生部(課)などの事務部 門がこの窓口となります。 しかし、ボランティア活動の依頼主は多様であり、活動内容、依頼の形式もさまざまです。このよ うなボランティア活動の依頼に応えるには、一般の文書処理では済まされない面が多く、ここに、コ ーディネーションの知識や技能とボランティアの意義を理解した専門スタッフの位置付けが必要と なります。 また、大学は社会人入学をはじめ、生涯学習センター、総合情報センターなど地域社会に開かれた 機能を備えつつあります。さらに、行政や小中高校との連携、インターンシップなどの企業との連携、 大学間の連携などが求められており、これらの動きの中で、大学は学生ボランティアを推進・支援する だけではなく、大学と地域をつなぐ機関としての機能が求められています。すなわち、地域社会に開か れた窓として、大学ボランティアセンターを構想することも選択肢の一つです。 - 47 - ► ► 大学ボランティアセンターの5つのタイプ これまで述べたように、大学ボランティアセンターの必要性と可能性は、大学の教育的役割からも、 また地域社会への貢献という観点からも大きなものがあります。 現在、全国の大学に設置されたボランティアセンター(実際の名称は多様である)は、おのおのい くつかの特徴と課題をもっています。そこで、ここでは大学ボランティアセンターを設置主体別に5 つのタイプに整理します。 (1)学生による設置: 阪神淡路大震災での経験を元に、学生の手で築いたタイプ。学生主体の組織であるので、学生に よる学生のためのセンターという意識とサークル的な雰囲気があります。このタイプの多くは学内 サークルとして登録している団体です。しかし、学生のサークルである為に、責任者やメンバーの 世代交代に苦慮することも少なくありません。 また、活動の場所や予算の確保に限界があるなどの困難な点もあります。 (2)大学による設置: 大学の教育理念や経営方針に基づき大学が主体となって設置したタイプ。大学の組織として人 材・施設設備・予算などの面は整備されやすいです。ただし、大学主導であるため、センター運営 にどれだけ学生の要望を反映し、協働を実現できるかが課題です。 (3)学生と大学の協働設置: 学生と大学(教職員)のボランタリーな参加によって設置・運営されるタイプ。センターの設置 は、大学により人材や施設設備が確保され、学生の参加も推進されやすいという面があります。 ただし、学生スタッフとセンター職員(または担当者)と間で適切な役割分担と連携が不可欠です。 学生に任せきりでもうまくいかず、また、反対に担当職員の独断専行でもうまくいきません。 (4)学生・大学・地域団体との協働による設置: 大学ボランティアセンターを準備段階から地域社会のボランティアグループや NPO などの協力 も得て学生・大学が協働で設立したタイプ。なかには大学ボランティアセンターを NPO 法人とし て位置付けるものもあります。教職員並びに学生と地域の人々がセンターの運営するため、日常的 な連携が実現できます。このためには、大学がどこまで地域人々との連携に胸襟を開くことができ るかが鍵です。 (5)大学間の学生ネットワークによる設置: 大学を超えた学生同士によるネットワーク組織によるボランティアセンター。学生のボランティ ア活動を推進支援する多様なきっかけを提供できます。情報ネットワークとして広範な情報網が学 生の活動を豊かにします。ただし、学生主導の情報ネットワーク組織であるため、団体として認知 がされにくく、活動の継続性や信頼性の確保に課題です。 - 48 - ►► まとめにかえて ~理想的な「大学ボランティアセンター」の条件~ いままで述べたことをもとに、「大学ボランティアセンター」の条件を5つにまとめてみました。 (1)常勤の専門スタッフ(ボランティアコーディネーター)の配置すること。 (2)学生・大学(教職員)・地域の団体(人々)の三者による参画と協働を行うこと。 (3)地域貢献やボランティアに関する情報や人材の供給ができること。 (4)講座とも連動した活動のきっかけとなる情報や希望者へ研修の機会を提供すること。 (5)個々の大学や地域社会に適した独自のボランティア活動支援を具体化すること。 これら5つの条件を満たすボランティアセンターが機能することで、大学は地域社会の財産となる にちがいありません。 (常磐大学 - 49 - 池田幸也) 大学の取り組み事例 ボランティアセンターを持つ大学の事例を紹介します。 「ボランティアセンター」の名称も、各校様々です。 立ち上げの経過や取り組み体制など、 先進事例から、自校に活かせるエッセンスを探してみてください。 ■ □ ■ 事 例 目 次 1.関東学院大学学生ボランティアセンター 2.聖セシリア女子短期大学ボランティアルーム 3.フェリス女学院大学ボランティアセンター 4.神奈川大学学生ボランティア活動支援室 5 . 明治学院大学ボランティアセンター - 50 - 1 関東学院大学学生ボランティアセンター STUDENTS BE AMBITIOUS ∼関東学院大学学生ボランティアセンター∼ ◆設立の経緯 関東学院大学金沢文庫キャンパスでは、2003 年 6 月までは施設などから送られてきたボランティ ア情報を校内にある社会福祉実習室前に掲示、紹介する形を取ってきました。しかし、このような方法 だけでは、実習室を利用する学生や、社会福祉を学ぶ一部の学生のみにしか情報を提供することが出来 ないと考えました。そこで、実習室が中心となり、「学生のボランティア活動を進めるためのプロジェク ト」を立ち上げ、学生スタッフを募集し、集まった学生で何度も会議開き話し合いを重ねました。そ の結果、 「学生の手でボランティアセンターを設立しよう!!」という機運が高まり、かながわボラン ティアセンターや金沢区社協の協力をいただきながら、一方では他校のボランティアセンターに見学 に行くなどして設立の準備を行ってきました。 2004 年度、新メンバーを迎え、これまでの準備が実を結び、同年 6 月 24 日に「関東学院大学学生 ボランティアセンター」を開設することができました。 ◆活動の具体的な内容 本学学生ボランティアセンターでは、情報提供とボランティアコーディネートを主な活動の柱とし、 現在 29 名の学生スタッフで活動を行っています。 学生スタッフが横浜市内や県の社会福祉協議会をはじめとする様々なルートからボランティア情報 を収集しています。その情報を整理し、学内にポスター掲示等をして情報提供をしています。またコ ーディネートでは、週に一回のペースでボランティアに興味のある学生の相談に応じており、一人一 人の学生に丁寧な対応を心掛けています。 その他にも、学園祭や地域のお祭りに参加したり、社協が行う福祉講座のお手伝いとして近隣の小 学校にも行きました。今後は、学内の一般学生に向けて様々なイベントや勉強会などを企画していき たいと思っています。 ◆運営方法 本学学生ボランティアセンターでは、効率的な運営を目指し次の4つの係に分かれて業務を分担し ています。①情報収集係(情報の査定・加工・管理)②情報提供係(掲示板を利用した情報の提供)③広報 活動係(ボランティアセンターの周知・ボランティア保険の加入呼びかけ)④相談係(よりよいコーディ ネートのための工夫)。 なお、ボランティア情報の収集とボランティアコーディネートについては、学生スタッフ全員でグ ループ編成を行い、実施しています。また、月に2回ほど全体会議を行い、学生スタッフ同士の情報 共有や運営の見直し、企画などを検討するための話し合いの場を設けています。 ◆生徒学生の関わり 学生による学生のためのボランティア活動支援をモットーとし、運営に当たっては学生が主体とな って活動しています。学生である私たちのアイディアを生かしながら、自由に活動できるところに関 東学院大学学生ボランティアセンターの魅力があります。学生スタッフ一人ひとりの ンティアセンターの原動力となっています。 - 51 - 想い がボラ 2 聖セシリア女子短期大学ボランティアルーム ◆ボランティアルームの成り立ち 本学は創立 75 年の総合学園にあり、保育者養成の単科短大として「愛と奉仕」の実践をめざす教 育の一環に、2000(平成 12)年 4 月にボランティアルームを開設した。 ミッションスクールの伝統から、以前は「福祉クラブ」としての活動が行われていたが、時代の変 化とともに新たな方向性が学内で検討・模索されていた。とくに「豊かな人間性を持つ保育者養成」 への社会的要請は、本学の目指す教育に合致するものであり、全学的な取り組みにボランティア活動 推進を企図し、約 1 年の準備を経て開設した。 学校主導型組織として、学内ではカトリック教育委員会に位置づけ、教員と別途募集する学生スタ ッフが共同運営するかたちで現在(2005 年)に至っている。 ◆活動の内容、運営方法 主な事業・活動は①学生への啓発・学習[ぼらんてぃあフォ−ラム開催(年 1 回)、ガイダンス(各 学年半期ごと1回程度)]、②プログラム開発[お勧めボランティア体験会(長期休暇等)開催]、③情報提供 〔機関誌「あぜりあ」発行など〕、④他団体協力・支援〔古切手・プリぺイドカード・文房具収集、寄 付・募金など〕、⑤調査研究〔年度末及び卒業時活動実績のまとめ〕、⑥日常業務及び学生個別相談を 行う。毎年夏期休暇前に実施する「フォーラム」行事は、土曜日を一日使って行い、午前は講演やシ ンポジウム、午後は学童保育や障害者・高齢者・外国人支援など地域で活動するグループを招いたワ ークショップを行い、本学独自なものとして学生にも好評である。専用室は狭い(約 6 畳)がパソコ ン・受像機・資料棚を備え、学内掲示板は 2 箇所を有する。日常運営は定例会議(月 1 回)での話し 合い、連絡をもとに行い、その経費は年次毎に委員会予算に計上し「運営費」として会計処理してい る。2002(平成 14)年よりは短大として、世界的な奉仕団体である国際ソロプチミストの認証を 受け、経済的な支援を受けている。 ◆学生参加の状況 開設 6 年を経過し、啓発・学習的役割は通学圏の教育委員会・ボランティアセンター・福祉施設な どと連携・協力を得て果たしている。短期で忙しい保育学生の現状を鑑みると、本ルームの主な目的 は、活動参加への「きっかけづくり」であり、そのための『情報』の質と精選の重要性は見過ごせな い課題である。 「何かしたい、何をしたらよいか分からない」という学生に対し、本ルームの活動全般 が幅広い意味で導入となり、体験を経て個人活動が拡充していくようすが参加率の高さに感じられる。 (文責:中川知子) - 52 - 聖セシリア女子短期大学ボランティアルーム フェリス女学院大学ボランティアセンター - 53 - 3 フェリス女学院大学ボランティアセンター フェリス女学院大学ボランティアセンターは、学生のボランティア活動をサポートし、促進するた めに、学生と大学の協働作業によって、2003年4月、発足しました。きっかけは、災害ボランテ ィア活動をしていた学生が、学長に、センターの必要性を訴えたことでした。2002年秋に設立準 備委員会ができ、学生スタッフ募集を行い、発案学生を含め十数人の学生スタッフが決定しました。 外部から NGO 活動経験のあるコーディネーターを招く際には、学長面接と、学生スタッフ面接を行 って決定しました。センターのレイアウトなどもすべて学生が考え、決定したものです。運営委員会 は、学長、事務部長、関連部署、各学部委員からなり、学生の活動をバックアップしています。また、 ボランティア活動を単位認定する『ボランティア活動科目(1、2、3)』を設置し、教務課と協力し て、コーディネーターが相談を受け、活動をサポートします。 「For Others:他者のために、他者と共に」をモットーとするフェリスでは、授業科目の中にも、 「他 者との共生−バリアフリー社会の実現」をはじめ、現場実習の機会を作っていますが、センターを作 ったことで、 「自分にも何かできるのだろうか」と思った学生が、授業枠の外で、主体的にセンターを 訪れて相談し、情報にふれ、様々な現場に出て行くことが多くなりました。ボランティアを通しての 出会いは、学生に貴重な成長の機会を与えてくれます。同時に、若い人たちの可能性が具体的な現場 で引き出され、現場での活動を活気づけることも少なくありません。他者との出会いを通しての「自 分探し」の手助けと地道な社会貢献を「ふつうに」実践する市民の育成の一端を、ボランティアセン ターの活動は担っています。 日常的には、ボランティア活動関連の資料を整え、ホームページを開設し、お薦め団体をリンクで 紹介しています。相談活動、イベント、会議、事務は、センター長、コーディネーター、職員と元気 な学生スタッフが相談し分担しながら行っています。相談はコーディネーターが中心に行いますが、 得意分野を持つ学生スタッフも助言をします。 またボランティア講習会やイベント、授業科目と連携したミニワークショップも実施しています。地 域との連携では、近隣小学校での学習サポート活動、地域の NPO や演奏家との連携によるコンサー トなどがあります。この他、平和を願って学内に植樹した「アンネのバラ」の園芸ボランティア、災 害支援の募金活動なども行われています。毎年夏にジュネーブで開催される国連人権小委員会には、 3 名の学生がボランティア研修に行きました。 2005年は、フェリスの創立135周年を記念して、 「アムネスティインターナショナル」の事務 総長アイリーン・カーンさんをゲストに、6月1日創立記念講演会を行います。 この国際人権 NGO も提唱する「女性への暴力をなくす」ための取り組みを、教職員、学生が連携し て行いますが、ボランティアセンターはこのための学生の活動をサポートしています。 フェリス女学院大学ボランティアセンターHP http://www.ferris.ac.jp/ volunt/ (フェリス女学院大学ボランティアセンターコーディネーター - 54 - 小笠原公子) 4 神奈川大学学生ボランティア活動支援室 歩みはじめた「ボランティア支援室」 「神奈川大学学生ボランティア活動支援室」は、2004 年 10 月 1 日にオープンした。開室記念行 事は 2005 年度に予定しているが、まだ学外に正式にご挨拶していない。学外との連携に必要なPC 環境もようやく整備されてきたところである。 設立の経緯は、私が仕事をしている「教職課程」 「社会教育課程」の中で、学生にとってのボランティ ア活動の意義の大きさを実感し、大学に「ボランティアセンター」設立の必要性を訴えたことから始 まる。大学として、2003 年度に学生生活支援部を中心に検討し、2004 年度に「学生ボランティア 活動支援室」がオープンすることになったのである。 支援室の開室・運営にあたっては、横浜ボランティア協会から多大なご支援を受けている。支援室の 基本的な役割である、学生に対する情報の提供と相談への対応に関しては、情報の収集から、その提 供及び相談に至るまで、開室した 2004 年度は、横浜ボランティア協会から派遣していただいたコー ディネーターに担っていただいた。 運営組織は、チーフ・コーディネーター(教員)、コーディネーター、教職員ボランティア・スタッフ、 学生ボランティア・スタッフ、その他で構成している。日常的な活動は 2004 年度に関しては、情報 の提供と相談への対応をコーディネーターが行い、学生スタッフ(24 人)は支援室の存在をアピー ルするための広報活動を中心に活動した。 また、発足直後に新潟県中越地震が起きたため、学生スタッフの初めての活動として災害支援の活動 に手探りで取り組んだ。一つは、学内での義援金募集の活動であり、もう一つは、被災地の長岡市内 の5つの小学校への「応援メッセージ」の送付である。この応援メッセージは、学内に呼びかけると ともに、学生スタッフのボランティア先の小学校にもお願いした。長岡の小学校からは「お礼のメッ セージ」が届けられ、気持ちの交流が感じられる活動となった。 そして、2004 年 12 月には、日本学生支援機構主催・文部科学省後援の「学生ボランティア活動 支援・促進のための研究協議の集い」に教員・学生スタッフが参加した。そこで学んできた「学生ス タッフが前面に出て、コーディネーターが<黒子>として学内外の関係調整等の支援をする」という 形のボランティア支援室をめざしていきたいと考えている。 入江直子(神奈川大学教員) - 55 - 5 明治学院大学ボランティアセンター ◆明治学院大学ボランティアセンターの歴史 明治学院大学ボランティアセンターは 1995 年の阪神大震災発生時に、自発的な救援活動のために、 多くの本学生が被災地に向かった事がきっかけとなり、1997 年に「ボランティアセンター準備委員 会」を設置の後、学院創立 120 周年を期して 1998 年に「横浜ボランティアセンター」が開設され ました。2001 年には「白金ボランティアセンター」が設置されました。 本学では伝統的に創立者「J.C.ヘボン博士」のヘボンスピリッツを受け継ぐ活動として、ボランテ ィア活動はさまざま形で展開されていました。本センターは、伝統を受け継ぎながら、大学生とボラ ンティアの現場を結ぶ、新しい機関として全国に先駆けて設立されました。 ◆運営の体制 学長を委員長とし、学部の代表教員や事務部の部長等の委員か ら成る運営委員会が最大の決定機関です。センター長の諮問機関 である推進委員会では、学内の教職員のみならず、学外の有識者 や学生ボランティアスタッフの代表も委員として参加し、ボラン ティアセンターの活動方針等を協議しています。センターの運営 や行事の開催に際しては、学生と教職員がパートナーシップを築 きながら活動するものも多く、ユニークな組織として活動をおこなっています。 ◆ボランティアセンターの活動 ボランティアセンターでは、ボランティア情報の提供、相談、ボランティア系サークルの支援をは じめとして、多彩な事業を展開しています。2004年度には全国の大学で初めて、インターネット による「ボランティア情報システム(VIS) 」を立ち上げ、一方「新潟中越地震ボランティア」 「スマトラ島沖地震に関するスタディーツアー」など、社会的な課題に積極的に取り組んでいます。 また、学生と学外団体のより密接な関わりをねらいとして、 「NPOインターンシップ」や「国際交流・ 協力 機関研修プログラム」等の派遣をボランティアセンター主催でおこない、学生の社会貢献活動 への理解を深める場を提供しています。横浜校舎近隣と大学・学生の交流を目指しておこなわれてい る「地域学生わくわく交流祭」は今年で第4回を迎え、防災への取り組みと地域交流につとめていま す。その他企業連携のプロジェクトとして、 「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド(学生 ボランティア活動への助成事業)」 、 「シティズンシップ・コラボレーション・カレッジ(松下電器 地 球市民共生講座)」など、大学やセンターの特色を生かした学外機関との連携事業を展開しています。 ◆学生ボランティアスタッフの活動 学生ボランティアスタッフとは、自発的にボランティアセンターの運営に関わるスタッフです。そ の数は年々上昇し、組織としての基盤も確立してきました。スタッフの活動は、 「ボランティア相談会 の実施」「ボランティアセンター通信の発行」「地域学生わくわく交流祭」など、学生のボランティア 活動支援を目的として、年間を通して多彩な活動がなされています。また、毎年新規プロジェクトが 遂行されており、2004年度には「受動喫煙防止キャンペーン」を大学と共同企画し、2005年 度には、学生スタッフによる「明学版オリジナルボランティアハンドブック」の作成や「ボランティ アリーダー研修」など、さらに成長すべく積極的に活動に取り組んでいます。 (コーディネーター - 56 - 市川 享子) 明治学院大学ボランティアセンター - 57 -