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平成 23 年度 - 日本貿易振興機構

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平成 23 年度 - 日本貿易振興機構
2011-AFC
15
平成 23 年度
中国における生鮮食品等マーケット調査
2012 年 3 月
日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・ 食品部
青島事務所
要旨
中国は日本の農林水産物・食品の輸出先 5 位(2011 年)で、現時点では原発事故後の規制の影響で
輸出が落ち込んでいるものの、今後さらに拡大するマーケットとして日本企業の関心が高い。本調査
は、中国の生鮮食品等(野菜・野菜加工品および果実・果実加工品)の市場動向を対象とし、主に 2007~
2011 年の統計データをもとに分析した。
中国の野菜・野菜加工品の消費は増加傾向にある。輸入も、現状では国内消費に占める輸入品の割
合は低いものの、国内の加工技術が向上している乾燥野菜以外は増加傾向にある。この背景には、人
口の増加や生活習慣の変化、健康志向の広がり等がある。
一方、果実・果実加工品の消費および輸入も増加傾向にある。消費者の所得向上や、食文化の西洋
化でジャム等を食べる習慣が広がっていること等が背景にある。
本報告書の巻末には、中国に生鮮食品等を輸出する際の参考として、関連法令や関係機関等の情報
をまとめた。
【免責事項】
ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、ある
いは懲罰的損害及び利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の
原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがか
かる損害の可能性を知らされていても同様とします。
本報告書は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、完全性を
保証するものではありません。ジェトロは、本報告書の論旨と一致しない他の資料を発行している、
または今後発行する可能性があります。
本報告書には、ジェトロの公式見解ではなく外部委託先の論考、意見が含まれます。これらについ
てジェトロは一切の責任を負うものではありません。
平成 23 年度 中国における生鮮食品等マーケット調査
目次
1 本調査について ............................................................................................................................................................ 1
2 中国の野菜・野菜加工品市場 ................................................................................................................................. 1
2.1
中国の野菜・野菜加工品市場の概況 ......................................................................................................1
2.2
中国の生鮮野菜市場 ......................................................................................................................................2
2.2.1
中国の生鮮野菜市場の概況 ...................................................................................................................2
2.2.2
2007~2011 年における中国の生鮮野菜市場の規模と今後の見通し ..................................2
2.3
中国の冷凍野菜市場 ......................................................................................................................................3
2.3.1
中国の冷凍野菜市場の概況...................................................................................................................3
2.3.2
2007~2011 年における中国の冷凍野菜市場の規模と今後の見通し...................................3
2.4
中国の乾燥野菜市場 ......................................................................................................................................4
2.4.1
中国の乾燥野菜市場の概況...................................................................................................................4
2.4.2
2007~2011 年における中国の乾燥野菜市場の規模と今後の見通し ..................................5
2.5
中国の調製野菜市場 ......................................................................................................................................6
2.5.1
中国の調製野菜市場の概況...................................................................................................................6
2.5.2
2007~2011 年における中国の調製野菜市場の規模 ..................................................................6
3 中国の野菜・野菜加工品の輸入............................................................................................................................. 7
3.1
中国の生鮮野菜の輸入 .................................................................................................................................7
3.2
中国の冷凍野菜の輸入 .................................................................................................................................8
3.3
中国の乾燥野菜の輸入 .................................................................................................................................9
3.4
中国の調製野菜の輸入 .............................................................................................................................. 10
4 中国の果実・果実加工品市場 ............................................................................................................................... 11
4.1
中国の果実の生産 ........................................................................................................................................ 11
4.1.1
生産量および栽培面積........................................................................................................................... 11
4.1.2
主な果実の産地......................................................................................................................................... 14
4.2
中国の生鮮果実市場 .................................................................................................................................... 17
4.3
中国のドライフルーツ類市場 ...................................................................................................................... 17
4.4
中国のジャム類市場 ...................................................................................................................................... 18
5 中国の果実・果実加工品の輸出入 ...................................................................................................................... 19
5.1
中国の果実・果実加工品の輸出.............................................................................................................. 19
5.2
中国の果実・果実加工品の輸入.............................................................................................................. 20
【資料編】
Ⅰ 関税法等 ....................................................................................................................................................................... 22
Ⅱ ラベル表示義務 .......................................................................................................................................................... 23
Ⅲ 中国における生鮮食品等に関する政府機関 .................................................................................................... 23
Ⅳ 中国における生鮮食品等に関する業界団体 .................................................................................................... 24
1
本調査について
本報告書は、中国の生鮮食品等(野菜・野菜加工品、果実・果実加工品)の市場概況を調査対象とし、
主に 2007~2011 年における市場規模と輸出入の現状を分析するとともに、関係する法令等を調査した
ものである。
2
中国の野菜・野菜加工品市場
2.1 中国の野菜・野菜加工品市場の概況
中国は世界有数の野菜の生産地および消費地である。1985 年の農産物の国家統制の廃止と価格・
流通改革、1992 年以降の自由市場流通体制への移行を経て、中国の野菜生産量は大幅に増加した。
野菜の品質の面では、2001 年から「全国無公害食品行動計画」が実施されている。農業部の農産物
の品質安全に関する調査によると、近年、残留農薬調査の合格率は 95%以上で安定しており、2000 年
に比べて 30 ポイント以上上昇している。農業部は、国家農産物品質安全基準および国家食品安全基準
の整備により、野菜の品質安全のレベルを向上させる方針である。
野菜加工の面では、農業部の統計によると、2009 年の全国の野菜加工企業数(大企業)は約 1 万社、
年間生産量は約 4,500 万トンとなった。加工用として消費された生鮮野菜は約 9,200 万トン、加工率は 14.
9%となった。また、別の農業部の統計によると、中国はケチャップの生産量で世界第 1 位で、150 万トン
強で全世界の 40%近くを占めている。
価格の面では、生産コストの増加や天候不順等の影響で、中国の野菜価格は上昇を続けている。国
家統計局のデータによると、2007 年から 2010 年における中国の野菜価格の上昇率は拡大した。2010
年の消費者物価上昇率が 3.3%であるのに対し、野菜価格の上昇率はその 6 倍近くになっており、一部
の大都市ではさらに高くなっている。
中国の人口は現在も増加しており、2020 年までに 1 億人近くに増加すると予想されることから、野菜
の需要も増加することが見込まれる。
グラフ 2.1‐1 野菜価格の上昇率
18.70%
20.00%
15.40%
15.00%
10.70%
10.00%
7.30%
5.00%
0.00%
2007
2008
2009
2010
資料:中国農業部
全国で野菜の生産が最も盛んなのは山東省である。2010 年の山東省の野菜栽培面積は 177 万ヘク
タール、生産量は 9,030 万 7,500 トン、生産額は 1,510 億元で、生産量と生産額はいずれも全国第 1 位で
ある。生産量の約 1/3 は省内で消費され、2/3 は国内のその他の省と海外で消費されている。また、栽
培野菜の種類の豊富さも国内有数である。
国内の野菜需要に応えるため、国家発展改革委員会が 2012 年に公表した『全国野菜産業発展計画』
では、山東省の 61 の地域が野菜生産重点地域に指定されている。山東省は 2010 年には 7,800 万元を
1
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投入し、野菜・野菜加工業をさらに成長させるための政策を実施している。
消費者が国産の野菜・野菜加工品を購入する場としては、スーパーマーケットと小売市場等がある。
小売市場等は、伝統的な農産物市場が代表的であり、中国の野菜の流通において主要な役割を果たし
ている。一方、スーパーマーケットは、北京、上海といった大都市では役割が大きくなっており、スーパー
マーケットの伸張は、伝統的な農産物市場に大きな影響を与えている。
一方、輸入された野菜・野菜加工品は、スーパーマーケットとインターネットのオンラインストアを通じ
て販売されることが多い。現状ではスーパーマーケットでの販売量が多いが、今後はインターネットのオ
ンラインストアでの販売が増えることが予想されている。また、主な消費者は外国人や高所得の中国人
等である。
2.2 中国の生鮮野菜市場
2.2.1 中国の生鮮野菜市場の概況
生鮮野菜は中国の野菜市場において最も主要な品目である。消費者は、未加工の生鮮野菜は伝統
的な農産物市場で購入し、加工された生鮮野菜は、高価格ながら付加価値の高い商品として、スーパー
マーケットで購入することが多い。
カット野菜等の生鮮野菜加工品は、通常は各市の都市野菜配送センターが生産計画を立てて加工し
ているが、加工産業自体の歴史が浅く、規模も小さい。しかし、生活水準の向上に伴って、消費者が価
格は高くても調理の手間を省くことのできるカット野菜を好むようになってきていることから、生鮮野菜加
工品の需要は拡大している。また、加工品の場合、輸送費用やごみの処理費用も減らせることから、運
送業者、倉庫業者、小売業者等からも支持されている。
一方、生鮮野菜の流通で大きな問題となっているのが、コールドチェーンの未整備である。有害微生
物の発生を抑え、新鮮さを保つためには、産地から食卓までの輸送を冷蔵設備で行うことが必要である。
野菜の種類に応じて最適な温度を保てる貯蔵倉庫を持つ企業が存在する一方、特に零細な企業の場
合、工場内の温度を調節したり、原料の調達場所から工場への冷蔵輸送を一貫して行うことが不可能な
場合もある。
2.2.2 2007~2011 年における中国の生鮮野菜市場の規模と今後の見通し
中国の生鮮野菜の消費量は、2007 年の 1 億 4,688 万トンから 2011 年には 1 億 5,388 万トンに増加し
た(4.8%増)。2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 0.7%、0.7%、-10.7%、15.8%であ
る。
グラフ 2.2.2‐1 中国の生鮮野菜の消費量(卖位:万トン)
18,000
16,000
14,688
14,788
15,388
14,888
13,289
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
2
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中国の生鮮野菜の消費額は、2007 年の 238 億 1.600 万ドルから 2011 年には 249 億 4,200 万ドルに
増加した(4.7%増)。2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 0.4%、-0.0007%、-
12.6%、19.4%である。政府による市場コントロールを受けていない野菜価格を集計した農業部の統計を
みると、野菜価格は毎年上昇しているが、実際には、政府が最終的な消費額に大きな変動が発生しな
いようコントロールしている。
グラフ 2.2.2‐2 中国の生鮮野菜の消費額(卖位:百万ドル)
30,000
25,000
23,816
23,909
24,942
23,909
20,895
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
農業部および統計局は、今後、生鮮野菜の需給に大きなギャップが生じると予測している。1 億人の
人口増加に対して、生鮮野菜の需要量は約 2,100 万トン増加すると見込まれるが、野菜の栽培面積が
すでに飽和状態に達していることから、供給量は 70 万トン程度しか増加しないとされている。特に生鮮
野菜加工品については、人口の大幅な増加や消費者の生活習慣の変化等により、需要が増大すると見
込まれている。
2.3 中国の冷凍野菜市場
2.3.1 中国の冷凍野菜市場の概況
中国の消費者は、主に料理の彩りとして用いることが多く、一度に大量に消費しない野菜については、
生鮮野菜よりも長期間保存できる冷凍野菜を購入する傾向がある。特に独身者の場合、2 人以上世帯
よりも野菜の消費量が少なく、また調理の手間を省けることから、冷凍野菜を好む傾向がより強い。また、
伝統的な農産物市場には冷凍野菜の保管に必要な冷凍設備がないことが多いため、主な購入場所は
スーパーマーケットである。
中国で生産される主な冷凍野菜は、ジャガイモ、トウモロコシ、青大豆、サヤインゲン、枝豆、ソラマメ、
ホウレンソウ、ニンジン、レンコン、サトイモ、ニンニク、タケノコ、ピーマン、カリフラワー、ミックス野菜等
である。そのほとんどが輸出向けであり、輸出先は日本、米国、ドイツ、香港等である。なかでも中国か
らの冷凍野菜の輸出量が多いのは日本と米国で、この 2 ヵ国への輸出量は年々増加している。ただし、
冷凍設備が十分でないため、輸送中の腐敗が多いことが問題とされている。
2.3.2 2007~2011 年における中国の冷凍野菜市場の規模と今後の見通し
中国の冷凍野菜の消費量は、2007 年の 133 万トンから 2011 年は 155 万トンに増加した(16.5%増)。
2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 1.5%、‐1.5%、6.8%、9.2%である。
3
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グラフ 2.3.2‐1
中国の冷凍野菜の消費量(卖位:万トン)
160
140
133
135
133
2007
2008
2009
155
142
120
100
80
60
40
20
0
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
中国の冷凍野菜の消費額は、2007 年の 13 億 1,600 万ドルから 2011 年の 16 億 8,000 万ドルに増加
した(27.6%増)。2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 2.8%、‐4.0%、5.7%、22.3%で
ある。
グラフ 2.3.2‐2 中国の冷凍野菜の消費額(卖位:百万ドル)
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
1,680
1,316
1,353
1,299
2007
2008
2009
1,373
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
今後、中国では冷凍野菜の需要がさらに高まると予想される。健康意識の向上から野菜の摂取の必
要性が認識される一方で、経済発展に伴って日々の生活の忙しさは増し、簡便な食事が好まれるように
なっている。冷凍野菜はそのような現代人の需要を満たす食材であり、忙しく働くビジネスマン等の需要
は高まるとみられる。
2.4 中国の乾燥野菜市場
2.4.1 中国の乾燥野菜市場の概況
中国の乾燥野菜は、一般消費者に直接販売されることは少ない。ほとんどの乾燥野菜は食品加工業
者向けであり、加工食品や調味料の原料の形で消費者の手に渡る。一般消費者に直接販売される乾燥
野菜には、即席スープやインスタントラーメン用の薬味がある。一方、加工業者向けの乾燥野菜の大部
分は即席の野菜スープやインスタントラーメン等の具材や調味料の原料となっている。消費者への直接
販売、加工食品や調味料としての販売とも、多くはスーパーマーケットで行われている。
中国では、乾燥野菜の国内需要は生鮮野菜と比べて少なく、主として海外市場向けである。野菜は乾
4
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燥すると重量が生鮮野菜の約 15 分の 1 になることや、長期保存が可能になること等から、乾燥野菜は
輸送に適している。加工技術の進展に伴い、乾燥野菜の輸出は量、金額ともに増加しており、2011 年の
中国の乾燥野菜の輸出量は 42 万トン、輸出額は 20 億ドル超となった。総輸出量の約 50%は日本向け
である。
2.4.2 2007~2011 年における中国の乾燥野菜市場の規模と今後の見通し
中国の乾燥野菜の消費量は、2007 年の 21 万トンから 2011 年の 34 万 5,000 トンに増加した(64.3%
増)。2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 1.4%、‐19.2%、44.2%、39.1%である。
グラフ 2.4.2‐1 中国の乾燥野菜の消費量(卖位:万トン)
40
34.5
35
30
24.8
25
21.3
21.0
17.2
20
15
10
5
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
中国の乾燥野菜の消費額は、2007年の8億2,000万ドルから2011年の17億4,900万ドルに増加した(2.1
倍)。2008年から2011年にかけての増加はそれぞれ前年比8.4%、‐10.5%、159.4%、44.6%である。消
費額の変化はおおむね消費量の変化と一致しているが、2009年から2010年にかけての消費額の増加
幅は消費量の増加幅を大きく上回った。
グラフ2.4.2‐2 中国の乾燥野菜の消費額(卖位:百万ドル)
2,000
1,749
1,500
1,000
1,209
820
847
759
2007
2008
2009
500
0
2010
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
乾燥野菜は軽量であることや保存に優れていることに加え、生鮮時よりも栄養価が高く味もよくなると
5
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されている。輸出は堅調に伸びており、また国内市場においても、健康によいこと、保存がきくこと等から
今後は需要が高まるとみられる。
2.5 中国の調製野菜市場
2.5.1 中国の調製野菜市場の概況
調製野菜(調製し又は保存に適する処理をした野菜や缶詰等)は、再調理が不要ですぐに食べられる
ため、消費者に好まれている。主な購入場所はスーパーマーケットである。また、輸出されている調整野
菜の主な品目は、主に、ザーサイ、干し大根、干しタケノコ等を原料としたものである。
2.5.2 2007~2011 年における中国の調製野菜市場の規模
中国の調製野菜の消費量は、2007 年の 104 万トンから 2011 年には 110 万トンに増加した(6.1%増)。
2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 4.7%、-5.7%、2.1%、5.1%である。
グラフ 2.5.2-1 中国の調製野菜の消費量(卖位:万トン)
120
109
104
103
105
2009
2010
110
100
80
60
40
20
0
2007
2008
2011
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
中国の調製野菜の消費額は、2007 年の 12 億 2,200 万ドルから 2011 年の 13 億 4,000 万ドルに増加
した(9.7%増)。2008 年から 2011 年にかけての増加はそれぞれ前年比 7.7%、-8.7%、8.1%、3.2%であ
る。消費額の変化はおおむね消費量の変化と一致している。
グラフ 2.5.2-2
1,400
中国の調製野菜の消費額(卖位:百万ドル)
1,316
1,222
1,298
1,340
2010
2011
1,201
1,200
1,000
800
600
400
200
0
2007
2008
2009
資料: 国連食糧農業機関(FAO)
6
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3
中国の野菜・野菜加工品の輸入
3.1 中国の生鮮野菜の輸入
中国に輸入される生鮮野菜は、近年、量、金額ともに急速に伸びている。2007 年から 2011 年にかけ
て輸入量は 13.5 倍、輸入額は 7.6 倍に増加した。その背景には、①国内の野菜栽培面積が飽和状態で
あることに加え、卖位面積当たりの生産量が少なく、増大する国内需要を満たすことができていないこと、
②国産の野菜から基準を超えた残留農薬が検出される等し、国産野菜に対する消費者の不安が広がっ
たこと、③バイオエタノールやアルコール飲料の需要増加から原料となる生鮮キャッサバの輸入が増大
していること等がある。
グラフ 3.1-1
中国の生鮮野菜の輸入量(卖位:トン)
資料: 中国国家統計局
グラフ 3.1-2
中国の生鮮野菜の輸入額(卖位:千ドル)
資料: 中国国家統計局
2011 年の中国の生鮮野菜の輸入額は 1,722 万 1,000 ドルで、国内の生鮮野菜の消費額の 0.7%を占
めた。そのうち、生鮮キャッサバが輸入額全体に占める割合は 70.4%にのぼり、2007 年の約 74.4 倍の
1,212 万ドルとなっている。生鮮キャッサバのほとんどはアルコール飲料およびでんぷんの原料用である。
第 2 位はエノキタケで輸入額の 16.3%を占める 280 万ドルとなり、2007 年の 30.1 倍と大きく伸びた。
中国に輸入される新鮮キャッサバは、主にベトナム、タイ産である。
生鮮キャッサバ以外の生鮮野菜も、アジア各国産のものが多い。輸入額では、韓国からが最も多く
294 万ドルで、主にエノキタケ、ジャガイモ、キノコ等が輸入されている。輸入額第 2 位は台湾で、主な品
7
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目はタマネギ、シャロット等のネギ科の野菜、エノキタケ、キノコ等である。第 3 位はミャンマーで、主な品
目はネギ科の野菜である。第 4 位はニュージーランドで、主な品目はズッキーニ、サヤインゲン等であ
る。
3.2 中国の冷凍野菜の輸入
中国に輸入される冷凍野菜は、量、金額ともに、長期的には増加傾向にある。2007 年から 2011 年に
かけての変化をみると、2009 年の輸入量は前年比-31.3%と減少したものの、2011 年の輸入量は 2007
年の約 1.5 倍、輸入額は 1.7 倍となっている。その背景としては、保存性や簡便性の高さから中国の消費
者からの需要が増す一方、国内の加工技術のレベルが低いことや、国産の冷凍野菜から基準を超えた
残留農薬が検出され、国産に対する消費者の不安が強いこと等により、輸入冷凍野菜への需要が増加
していることが挙げられる。
グラフ3.2‐1
中国の冷凍野菜の輸入量(卖位:トン)
140,000
115,402
120,000
100,000
80,000
88,301
76,737
74,699
52,746
60,000
40,000
20,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
グラフ3.2‐2 中国の冷凍野菜の輸入額(卖位:千ドル)
140,000
126,970
120,000
93,050
100,000
80,000
74,668
75,449
58,138
60,000
40,000
20,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
8
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2011 年の中国の冷凍野菜の輸入額は 1 億 2,697 万ドルで、国内の冷凍野菜の消費額の 7.6%を占め
た。そのうち調製し又は保存に適する処理をした冷凍ジャガイモが輸入額に占める割合は 82.5%であり、
2011 年は 2007 年の 1.9 倍の 1 億ドルとなった。第 2 位は輸入額の 14.0%を占める冷凍スイートコーン
で、2011 年の輸入額は 1,778 万ドル、第 3 位は冷凍エンドウで 322 万ドルである。これらの品目は、国内
の生産量が不足しており、かつ加工技術が未熟であることが共通している。
中国に輸入される冷凍野菜の主な原産地は北米および欧州である。輸入額では、米国からが最も多
く、2011 年の輸入額は 1 億ドルと輸入額全体の 79.2%を占め、主に調製し又は保存に適する処理をした
冷凍ジャガイモや冷凍スイートコーンが輸入されている。輸入額第 2 位以下はカナダ、オランダ、ベルギ
ーと続くが、いずれも主要な輸入品目は調製し又は保存に適する処理をした冷凍ジャガイモである。
3.3 中国の乾燥野菜の輸入
中国に輸入される乾燥野菜は、近年、量では減少し、金額でも横ばいが続いている。2007 年から
2011 年にかけて、輸入量は-27.4%、輸入額は-9.1%となった。その背景としては、中国の国産の乾燥
野菜製造技術が向上していることが挙げられる。
グラフ3.3‐1
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
中国の乾燥野菜の輸入量(卖位:トン)
1,738
1,604
1,427
2007
2008
2009
1,280
1,262
2010
2011
資料: 中国国家統計局
グラフ 3.3‐2
8,000
中国の乾燥野菜の輸入額(卖位:千ドル)
7,041
6,400
7,000
6,000
5,325
5,377
5,638
2008
2009
2010
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
2007
2011
資料: 中国国家統計局
9
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2011 年の中国の乾燥野菜の輸入額は 640 万ドルで、国内の乾燥野菜の消費額の 0.4%を占めた。
中国に輸入される乾燥野菜の原産地は、アジア、欧州、北米等さまざまである。輸入額では、台湾か
らが最も多く、2011 年の輸入額は 279 万ドルと輸入額全体の 45.2%を占めており、主にインスタントラー
メンを扱う台湾系企業による輸入とみられる。輸入額第 2 位以下は、スペイン、米国、インドと続く。一方、
輸入量でみると、全体の 1~2 割を占める国・地域は、多い順に北朝鮮、スペイン、台湾、インド、米国と
なっている。なかでも北朝鮮は輸入量全体の 18.2%を占め、主に乾燥キクラゲ、乾燥シイタケ等が輸入
されているが、卖価が低いため、輸入額では全体の 4.1%を占めるに過ぎない。
3.4 中国の調製野菜の輸入
中国に輸入される調製野菜は、長期的にみると上昇傾向にある。2007 年から 2011 年にかけて輸入量
は 3.7 倍、輸入額は 4.6 倍に増加した。その背景としては、国産の調製野菜の安全性を脅かす問題が頻
発しているために、輸入の調製野菜への需要が増加していることが挙げられる。2010 年から 2011 年に
かけては量、金額ともに減少しているが、これは調製し又は保存に適する処理をした非冷凍エンドウの
輸入量、輸入額の減少が影響している。
2011 年の中国の調製野菜の輸入額は 1,724 万 2,000 ドルで、国内の調製野菜の消費額の 1.3%を占
めた。
中国に輸入される調製野菜の主な原産地はアジアである。輸入額では、タイからが最も多く 657 万ド
ルで全体の 38.1%を占めた。主に、調製し又は保存に適する処理をした非冷凍エンドウが輸入されてい
る。第 2 位は 23.8%を占めるフィリピン、第 3 位は 8.8%を占める台湾である。
中国の調製野菜の輸入量(卖位:トン)
グラフ3.4-1
13,245
14,000
12,297
12,000
10,000
8,066
8,000
6,000
4,739
3,298
4,000
2,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
グラフ3.4-2
中国の調製野菜の輸入額(卖位:千ドル)
18,823
20,000
17,242
18,000
16,000
14,000
12,000
9,177
10,000
8,000
6,000
4,000
5,427
3,756
2,000
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
10
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4
中国の果実・果実加工品市場
4.1 中国の果実の生産
4.1.1 生産量および栽培面積
中国は果実の生産量と栽培面積で世界第 1 位である。2007 年から 2011 年にかけての推移をみると、
果実の栽培面積と生産量は安定して増加しており、2011 年の生産量は 2 億 2,300 万トン、栽培面積は
1,212 万ヘクタールと、それぞれ前年比 4.2%、同 5.0%増加した。
グラフ 4.1.1-1 果実の生産量(2007~2011 年)(卖位:百万トン)
250
181
200
192
204
214
223
2009
2010
2011
150
100
50
0
2007
2008
資料: 中国国家統計局
グラフ 4.1.1-2 果実の栽培面積(2007~2010 年)(卖位:万ヘクタール)
1,400
1,200
1,047
1,073
2007
2008
1,114
1,154
1,212
1,000
800
600
400
200
0
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
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2010 年の果実生産量上位 10 省・市の合計は約 1 億 4,008 万 1,000 トンで、全国総生産量の 65.5%を
占めた。山東省は、果実の生産量 2,793 万 9,000 トンの第 1 位で、全国総生産量の 13.1%を占めた。
グラフ 4.1.1-3 果実生産量上位 10 省・市(2010 年)
地域
山東
河单
河北
陝西
広東
広西
新疆
安徽
湖单
湖北
Top10合計
全国
(卖位:万トン)
生産量
全体比率
2,793.9
13.1%
2,394.0
11.2%
1,612.4
7.5%
1,476.5
6.9%
1,235.9
5.8%
1,094.4
5.1%
1,028.9
4.8%
805.3
3.8%
788.4
3.7%
778.5
3.6%
14,008.1
65.5%
21,401.4
100.0%
資料: 中国国家統計局
2010 年の果実の栽培面積上位 10 省・市の合計は、780 万 7,000 ヘクタールに達し、全国総栽培面積
の 67.6%を占めた。栽培面積第 1 位の広東省は、108 万 5,000 ヘクタールで、全国栽培面積の 9.4%を
占めた。山東省は 6 位で、栽培面積は 58 万 1,000 ヘクタールとなり、全国栽培面積の 5.0%を占めた。
グラフ 4.1.1-4 果実の栽培面積上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万ヘクタール)
地域
広東
陝西
河北
新疆
広西
山東
四川
福建
湖单
河单
Top10合計
全国
栽培面積
108.5
108.3
106.4
99.2
93.8
58.1
55.2
53.6
52.0
45.5
780.7
1,154.4
全体比率
9.4%
9.4%
9.2%
8.6%
8.1%
5.0%
4.8%
4.6%
4.5%
3.9%
67.6%
100.0%
資料: 中国国家統計局
12
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中国で生産される果実の種類は豊富であり、商品として栽培している品種は 30 種類以上ある。りんご、
かんきつ類、なし、もも、バナナ、ぶどうが主で、特に、りんご、かんきつ類、なしは生産量が多く、三大果
実となっている。2010 年の三大果実の生産量は合計 7,477 万 2,000 トンに達し、果実の総生産量の
34.9%を占めた。また、もも、バナナ、ぶどうの年間生産量もそれぞれ 800 万トンを超える。
グラフ 4.1.1-5 主な果実の生産量(2010 年)(卖位:万トン)
種類
りんご
かんきつ類
なし
もも
バナナ
ぶどう
なつめ
レイシ
リュウガン
パイナップル
Top10合計
全国
生産量
全体比率
3,326.3
15.5%
2,645.2
12.4%
1,505.7
7.0%
1,045.6
4.9%
956.1
4.5%
854.9
4.0%
446.8
2.1%
177.4
0.8%
131.2
0.6%
107.6
0.5%
11,196.9
52.3%
21,401.4
100.0%
資料: 中国国家統計局
2010 年の主な果実の栽培面積上位 10 省・市の合計は 775 万 5,000 ヘクタールで、全国の総栽培面
積の 67.2%を占めた。栽培面積上位 3 品目はかんきつ類、りんご、なしで、それぞれ 221 万 1,000 ヘクタ
ール、214 万ヘクタール、106 万 3,000 ヘクタールとなり、全国栽培面積のそれぞれ 19.2%、18.5%、9.2%
を占めた。
グラフ 4.1.1-6 主な果実の栽培面積(2010 年)(卖位:万ヘクタール)
種類
かんきつ類
りんご
なし
もも
レイシ
ぶどう
バナナ
キウイ
パイナップル
小計
全国
栽培面積
221.1
214.0
106.3
71.9
55.3
55.2
35.7
10.7
5.2
775.5
1,154.0
全体比率
19.2%
18.5%
9.2%
6.2%
4.8%
4.8%
3.1%
0.9%
0.5%
67.2%
100.0%
資料: 中国国家統計局
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4.1.2 主な果実の産地
<りんご>
中国のりんごの産地は渤海湾周辺と黄土高原に形成され、陝西、山東、河单、河北、山西、遼寧、甘
粛の 7 省が主である。2010 年のりんごの生産量上位 7 省・市の合計は 3,004 万 2,000 トンで、全国のり
んご総生産量の 90.3%を占めた。第 1 位の陜西省のりんご生産量は 856 万トンで、全国の総生産量の
25.7%となった。主に「紅富士」という品種栽培されており、りんご総生産量の 65%を占めている。
グラフ 4.1.2-1 りんご生産量上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万トン)
地域
陝西
山東
河单
河北
山西
遼寧
甘粛
新疆
江蘇
四川
Top10合計
全国
生産量
856.0
798.8
409.0
272.5
256.7
209.5
201.7
65.9
56.6
42.9
3,169.5
3,326.3
全体比率
25.7%
24.0%
12.3%
8.2%
7.7%
6.3%
6.1%
2.0%
1.7%
1.3%
95.3%
100.0%
資料: 中国国家統計局
2010 年の栽培面積上位 10 省・市の合計は 203 万 6,000 ヘクタールで、全国の栽培面積の 95.1%を
占めた。陜西省は栽培面積でも全国 1 位で、60 万 2,000 ヘクタールである。また、山東省は、りんごの生
産量では第 2 位だが、栽培面積では第 4 位である。これは山東省の卖位面積あたりの収穫量が多いこ
とを示している。
グラフ 4.1.2-2 りんご栽培面積上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万ヘクタール)
地域
陝西
甘粛
河北
山東
河单
山西
遼寧
北京
新疆
寧夏
Top10合計
全国
栽培面積
60.2
26.9
26.5
26.5
17.8
13.8
12.6
8.1
7.3
4.0
203.6
214.0
全体比率
28.1%
12.6%
12.4%
12.4%
8.3%
6.4%
5.9%
3.8%
3.4%
1.9%
95.1%
100.0%
資料: 中国国家統計局
14
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<かんきつ類>
かんきつ類にはオレンジ、ザボン、キンカン等がある。かんきつ類の産地は湖单、広東、広西、湖北、
四川、福建、江西、浙江、重慶の 9 つの省・市を主として、中国の長江以单の 18 の省・市に分布する。こ
れら 9 省・市の 2010 年における生産量の合計は 2,516 万 7,000 トンで、全国生産量の 95.1%を占めた。
なかでも湖单省のかんきつ類生産量は最も多く、生産量は 388 万 9,000 トンにで、全国生産量の 14.7%
を占めた。
グラフ 4.1.2-3 かんきつ類の生産量上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万トン)
地域
湖单
広東
広西
湖北
四川
福建
江西
浙江
重慶
雲单
Top10合計
全国
生産量
388.9
350.0
313.2
301.0
292.9
272.3
268.6
190.8
139.0
41.7
2,558.5
2,645.3
全体比率
14.7%
13.2%
11.8%
11.4%
11.1%
10.3%
10.2%
7.2%
5.3%
1.6%
96.7%
100.0%
資料: 中国国家統計局
2010 年のかんきつ類の栽培面積上位 10 省・市の合計は 211 万 1,000 ヘクタールで、全国栽培面積
の 95.5%を占めた。第 1 位は湖单省で面積は 37 万 9,000 ヘクタールとなり、全国栽培面積の 17.1%を
占めた。
グラフ 4.1.2-4 かんきつ類の栽培面積上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万ヘクタール)
地域
湖单
江西
広東
四川
湖北
広西
福建
重慶
浙江
貴州
Top10合計
全国
栽培面積
37.9
30.1
28.3
25.3
22.9
19.8
17.5
13.8
11.5
4.1
211.1
221.1
全体比率
17.1%
13.6%
12.8%
11.5%
10.4%
9.0%
7.9%
6.2%
5.2%
1.8%
95.5%
100.0%
資料: 中国国家統計局
15
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<なし>
なしの産地は広範囲に分布しており、31 の省・市で栽培されている。なかでも河北、遼寧、山東、新疆
の生産量が多い。2010 年のなしの生産量上位 10 省・市の合計は 1,192 万 1,000 トンで、全国総生産量
の 79.2%を占めた。1 位は河北省で 375 万 8,000 トンとなり、全国総生産量の 25.0%を占めた。
グラフ 4.1.2-5 なし生産量上位 10 省・市(2010 年) (卖位:万トン)
地域
河北
遼寧
山東
新疆
安徽
河单
四川
陕西
江蘇
湖北
Top10合計
全国
生産量
375.8
126.1
111.2
105.3
96.6
94.7
87.3
80.0
66.9
48.1
1,192.1
1,505.7
全体比率
25.0%
8.4%
7.4%
7.0%
6.4%
6.3%
5.8%
5.3%
4.4%
3.2%
79.2%
100.0%
資料: 中国国家統計局
2010 年のなしの栽培面積上位 10 省・市の合計は 76 万 6,000 ヘクタールで、全国栽培面積の 72.1%
を占めた。1 位の河北省は 18 万 9,000 ヘクタールで、全国栽培面積の 17.8%を占めた。
グラフ 4.1.2-6 なしの栽培面積上位 10 省・市(2010 年)(卖位:万ヘクタール)
地域
河北
遼寧
北京
四川
新疆
雲单
陝西
河单
貴州
山東
Top10合計
全国
資料:
栽培面積
18.9
9.9
9.2
8.3
6.9
5.2
4.9
4.7
4.5
4.3
76.6
106.3
全体比率
17.8%
9.3%
8.7%
7.8%
6.5%
4.9%
4.6%
4.4%
4.2%
4.0%
72.1%
100.0%
中国国家統計局
<その他の果実>
バナナは熱帯地方で広く栽培され、年間を通じて収穫することができる。産地は主に広東、広西、海
单、福建、雲单等の单部地区に分布している。
ぶどうには「無核白」「牛奶」「黒鶏心」等の品種がある。産地は、主に新疆、河北、山東、遼寧、河单
等の省・市に分布し、なかでも新疆のぶどうは有名である。
その他、レイシ、リュウガン、マンゴーの産地は華单地区の広東、広西、海单、雲单が主である。
16
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4.2 中国の生鮮果実市場
中国の 2011 年の生鮮果実の消費量は前年比 3.7%増の 1 億 740 万トンとなった。生鮮果実の生産が
栽培技術の向上等により増加傾向にあること、消費者の所得向上にともない果実の需要が拡大してい
ること等が背景にある。
ただし、果実の生産量は多いものの、品質はそれほど高くない。政府は新品種の栽培、栽培技術の
改善のほか、新しい保冷運送技術の研究開発等を進めている。また、現在、中国の果実は主に生鮮の
まま食用とされており、加工率はヨーロッパ等の先進国と比べて低い水準にある。中国では果実の生産
量が消費量を上回っているため、大量に保管されるなかで変質や損失を招きがちである。同時に、果実
の販売価額が低く、果実農家の利益を確保することができないことが問題点として指摘されている。
伝統的な農産物市場は、現状、消費者が果実・果実加工品を購入する際の最も一般的な場である。
一方、近年は、大都市を中心にスーパーマーケットでの販売も増加し、またインターネット上のオンライン
ストアによる販売も増えている。特に輸入品は、スーパーマーケットまたはインターネット上のオンライン
ストアで販売されるケースが多い。
グラフ 4.2 中国における生鮮果実の消費量の推移(2007~2011 年)(卖位:百万トン)
120
100
90.0
95.0
100.1
103.6
107.4
2009
2010
2011
80
60
40
20
0
2007
2008
資料: 中国国家統計局
4.3 中国のドライフルーツ類市場
果実の砂糖漬け、甘露煮等を含む伝統的なドライフルーツ類は安定した需要があり、消費者の所得
向上にともないドライフルーツ類全体の消費量も増加している。2007~2011 年の年間平均増加率は
7.0%、2011 年の消費量は前年比 10.2%増の 72 万 1,500 トンとなった。
グラフ 4.3 ドライフルーツ類の消費量(2007~2011 年)(卖位:千トン)
800
721.5
700
600
654.9
550.3
579.9
600.8
2008
2009
500
400
300
200
100
0
2007
2010
2011
資料: 中国国家統計局
17
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4.4 中国のジャム類市場
中国では、食の西洋化とともに多くの中国人がパンを食べるようになっていることや、中国に滞在する
外国人が増加していること等から、近年、ジャム類の消費量も上昇している。2007~2011 年の消費量の
年間平均増加率は 22.2%、2011 年のジャム類の消費量は前年比 20.1%増の 2 万 8,300 トンとなった。
中国のジャム類の消費は单方で多く、広東、上海等の省・市に集中している。
ジャムの種類としては、パンやケーキ等に使うジャムのほか、アイスクリーム等に用いるジャム、老化
防止機能を謳ったジャム、低脂肪・低糖の健康志向ジャム等もある。
中国では、果実の生産量が消費量を超えており、消費量を上回った分がジャム等の加工品の原料と
なっている。また、労働力コストの低さから、中国産のジャムは国際市場において価格競争力を持ってお
り、輸出は大きく伸びている。
グラフ 4.4 ジャム類の消費量(2007~2011 年)(卖位:千トン)
28.3
30
23.6
25
18.5
20
15
12.7
13.9
10
5
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国国家統計局
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5
中国の果実・果実加工品の輸出入
5.1 中国の果実・果実加工品の輸出
2007~2011 年の中国の果実・果実加工品の輸出はおおむね堅調で、輸出量は 500 万トン前後、輸出
額は 40 億ドル前後で推移している。 2011 年の果実の輸出量は 513 万トン、輸出額は 46 億ドルで、そ
れぞれ前年比 1.0%、同 5.5%増加した。
グラフ 5.1-1 中国の果実・果実加工品の輸出量(2007~2011 年)(卖位:万トン)
600
500
478
484
2007
2008
526
508
513
2009
2010
2011
400
300
200
100
0
資料: 中国税関
グラフ 5.1-2 中国の果実・果実加工品の輸出額(2007~2011 年)(卖位:億ドル)
50
40
43.6
42.3
45
46.0
38.4
37.5
35
30
25
20
15
10
5
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国税関
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5.2 中国の果実・果実加工品の輸入
2007~2011 年における中国の果実・果実加工品の輸入量・輸入額は増加傾向となった。5 年間の輸
入量の年間平均増加率は 20.8%、輸入額では同 22.7%となった。2011 年の輸入量・額はそれぞれ 330
万トン、29 億 2,000 万ドルで、前年比 43.8%、同 21.2%増加した。
この背景には、消費者の収入が増加したことで高価格・高品質の輸入果実を購入できるようになった
こと、中国 ASEAN 自由貿易協定(ACFTA)の発効により ASEAN 諸国からの果実の輸入量が大幅に増
加したこと、国産果実は輸入果実と比べて品質面や安全面で劣っていること等が挙げられる。
主な輸入品目はバナナ、ぶどう、リュウガン等で、主な輸入相手国はタイ等の東单アジア、チリ、米国
等である。2010 年の乾燥リュウガンの輸入量は、主な輸入国であるタイで虫害や干ばつが発生したため
価格が高騰し、輸入量が減少している。
ジャム等(ジャム、ゼリー、マーマレード、ピューレおよびペースト)の輸入相手国は、数量では 1 位がイ
ンド、2 位が米国、金額では 1 位がフランス、2 位が米国となっている。
グラフ 5.2-1 中国の果実の輸入量(2007~2010 年)(卖位:万トン)
330
350
275
300
244
250
179
200
146
150
100
50
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国税関
グラフ 5.2-2 中国の果実の輸入額(2007~2011 年)(卖位:億ドル)
35
29.2
30
25
20.3
20
16.5
15
10
9.7
12.1
5
0
2007
2008
2009
2010
2011
資料: 中国税関
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資料編
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Ⅰ 関税法等
<関税法(中華人民共和国海関法) 2000 年 7 月 8 日改正>
第五十三条 輸出入、出入管を許可された貨物、物品は、税関が法により関税を徴収する。
第五十四条 輸入貨物の受取人、輸出貨物の荷送人、出入管物品の所有者は、関税の納税
義務者となる。
第五十五条 輸出入貨物の課税価格は、税関がその貨物の取引価格を基礎として審査し決
定する。取引価格が決定できない場合、課税価格の決定は税関が法によって評価する。
輸入貨物の課税価格は、貨物の価格、貨物が中華人民共和国内の輸入地点に着いて卸す直
前までの運送及びそれに関連する費用、保険料を含む。輸出貨物の課税価格は、貨物の価
格、中華人民共和国内の輸出地点で積載する前までの運送及びそれに関連する費用、保険
料を含むが、そのうち輸出関税額は控除しなければならない。
出入管物品の課税価格は、税関が法によって決定する。
第五十六条 下記の輸出入貨物、出入管物品は、関税の減免対象になる。
(一)商業価値のない広告品及びサンプル。
(二)外国政府、国際組織が無償で贈呈する物資。
(三)税関が通関させる前、すでに毀損、あるいは喪失した貨物。
(四)規定される数量以内の物品。
(五)法律の規定により減免税になるその他の貨物、物品。
(六)中華人民共和国が締結あるいは加盟している国際条約が減免税を規定している貨物、
物品。
<輸出入関税条例(中華人民共和国進出口関税条例) 2004 年 1 月 1 日施行>
(輸出入貨物課税価格の決定)
第十八条 輸入貨物の課税価格について、税関は本条第 3 項に列挙する条件に適合する取引
価格及び当該貨物が中華人民共和国国内の輸入地点に到着し、荷卸がされるまでの運賃、
関連費用、保険料を基礎として審査決定する。
輸入貨物の取引価格とは、売り手が中華人民共和国国内に向けて当該貨物を販売し、買い
手がその貨物を輸入するため、売り手に支払ったまたは支払うべき金額で、本条例第十九
条、第二十条の規定により調整された価格の総額を指し、直接に支払う金額と間接に支払
う金額を含む。
輸入貨物の取引価格は下記の条件に一致しなければならない
第三十一条 納税義務者は「税則」に規定する目次と分類総規則、類の注釈、章の注釈、各
細目の注釈およびその他の分類注釈により、自分の申告する輸出入貨物の商品分類をし、
相応しい税則番号をつける;税関は、法により当該貨物の商品分類を審査決定する。
第三十二条 税関は、納税義務者に商品分類の決定に必要な書類の提出を要求することがで
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きる;必要な場合、税関は分析検査、品質検査をし、税関が認定した検査結果を商品分類
の根拠とすることができる。
第三十三条 税関は、申告価格の真実と正確性を審査するため、輸出入貨物に関連する契約
書、インボイス、帳簿、決算証票、伝票、業務連絡書簡、録音、映像、その他売買双方の
関係及び取引活動の分かる資料を調査し、コピーをとることができる。
税関は、申告価格に疑いがあり、その関税金額が大きい場合、直属の税関長あるいは、権
限を受けている従属の税関長の許可を得て、税関総署の統一様式の口座調査協力通知書と
関係係員の身分証をもって、納税義務者が銀行、その他の金融機関に開設する口座の資金
の出入状況を調査し、銀行業の監督管理機関に状況を報告することができる。
Ⅱ ラベル表示義務
中国では食品の安全性を脅かす問題が多発している。中国衛生部は食品の安全性を確保し、消費者
の信頼を取り戻すため、2011 年に複数の食品安全国家基準(GB)を公表した。
<包装済み食品栄養ラベル通則(GB28050-2011)>
栄養成分表、栄養評価および栄養成分機能評価に関する規制。栄養成分表は、食品栄養成分名称、
含有量、NRV(栄養素の.摂取目安量)を表示するもので、エネルギーとタンパク質、脂肪、炭水化物、ナ
トリウムの 4 つの主要栄養素の含有量と NRV の表示を義務付けている。同通則は 13 年 1 月 1 日より
施行予定。
http://www.moh.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/mohwsjdj/s7891/201111/53258.htm
<包装済み食品ラベル通則(GB7718-2011)>
現行の食品ラベル管理に関する法規・基準を整合する目的の規則。包装済み食品とその生産日につ
いての定義を修正し、食品規格の定義を追加した。
主な内容は、食品添加物の通用名称を食品のラベルに示すこと、虚偽の記載をしてはならないこと、
正確で、わかりやすく、科学的根拠をもとに栄養に関する一般常識に従い、疾患の予防・治療等の効果
を暗示してはならないこと、食品名称は食品の属性を正しく表し、消費者に誤解を与えてはならないこと、
食品の生産者、販売業者の名称、住所および連絡先を表示しなければならないこと(ただし、輸入食品
の場合は、製造業者の名称、住所および連絡先を表示しなくてもよい)等である。また、アレルギーを起
こす可能性がある食品については、それを明示することとしている。同基準は GB7718-2004 に代わり、
12 年 4 月 20 日より施行予定。
http://www.moh.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/mohwsjdj/s7891/201105/51641.htm
Ⅲ 中国における生鮮食品類に関する政府機関
名称
所在地
中華人民共和国衛生部
中華人民共和国農業部
中華人民共和国商務部
電話番号
HP
所在地
電話番号
HP
所在地
項目
北京市西城区西直門外南路 1 号
郵便番号:100044
010-68792114
http://www.moh.gov.cn
北京市农展馆南里 11 号 100125
010-59193366
http://www.agri.gov.cn
北京市東長安街 2 号 郵便番号:100731
23
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中華人民共和国税関総署
電話番号
HP
所在地
電話番号
HP
所在地
国家税務総局
国家工商行政管理総局
電話番号
HP
所在地
電話番号
HP
所在地
国家食品薬品監督管理局
国家質量監督検験検疫総局
電話番号
HP
所在地
電話番号
HP
010-65121919
http://www.mofcom.gov.cn
北京市建国門内大街 6 号 郵便番号:100730
010-65194114
http://www.customs.gov.cn
北京市海淀区羊坊店西路 5 号
郵便番号:100038
010—63417114
http://www.chinatax.gov.cn
北京市西城区三里河东路 8 号 100820
010-88650000
http://www.saic.gov.cn
北京市西城区宣武門西大街 26 号院 2 号楼
郵便番号:100053
010-68313344
http://www.sda.gov.cn
北京市海淀区馬甸東路 9 号 郵便番号:100088
010-82262114
http://www.aqsiq.gov.cn
Ⅳ 中国における生鮮食品類に関する業界団体
中国野菜流通協会
電話番号:010-6609-4388
住所:北京復興門内大街 45 号
アドレス:www.luna.com.cn
中国農産物市場協会
電話番号:010-6509-6257
住所:北京東三環北路 16 号
アドレス:www.chama.agri.gov.cn
中国園芸学会
電話番号:010-82109528
住所:北京市海淀区中関村单大街 12 号
アドレス:www.cshs.org.cn
24
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平成 23 年度
中国における生鮮食品マーケット調査
発行
2012 年 3 月
発行所 日本貿易振興機構(ジェトロ)
農林水産・ 食品部 農林水産・ 食品調査課
東京都港区赤坂 1-12-32
電話 03(3582)5186
©JETRO(無断転載を禁じます)
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