Comments
Description
Transcript
東京学芸大学自然科学系宇宙地球科学分野 助教西浦慎悟
東京学芸大学 自然科学系 宇宙地球科学分野 助教 西浦慎悟 0.はじめに∼ADSとは何か?∼ Astrophysics Data System (= ADS)とは、NASAの資金の下に、スミソニアン天体物理観測 所(Smithonian Astrophysical Observatory = SAO)が運営する、天文学・天体物理学の研究者 を対象としたデジタル・ライブラリ・ポータル・サイトである。 本稿では、この中でも特に使用頻度が高いと思われる、アブストラクト・サービスの使用方法 を簡単に紹介する。ADSアブストラクト・サービスは、天文学・天体物理学に関連した学術論文 のデータベースから、論文の著者名やタイトル、発表年月、キーワードなどを手掛かりに、該当 する論文を検索し、その要旨(アブストラクト)を閲覧できるシステムである。使用するネットワー ク環境によっては、デジタル・スキャンやPDF化された論文そのものを閲覧することも可能であり、 研究者にとって極めて有益なサービスである。 本サービスで検索可能である、天文学・天体物理学に関連した学術雑誌(査読有)には、 Advances in Space Research ( = AdSpR ), Astronomy and Astrophysics ( = A&A ), Annual Review of Astronomy and Astrophysics ( = ARA&A ), Astronomical Journal ( = AJ ), Astronomische Nachrichten ( = AN ), Astrophysical Journal ( = ApJ ), Astrophysics and Space Science ( = Ap&SS ), Earth and Planetary Science Letters ( = E&PSL ), Geophysical Journal International ( = GeoJI ), Geophysical Research Letters ( = GeoRL ), Icarus ( = Icar ), Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics ( = JASTP ), Journal of Geophysical Research: Space Physics ( = JGRA ), Journal of the Royal Astronomical Society of Canada ( = JRASC ), 0.はじめに∼ADSとは何か?∼ Meteoritics & Planetary Science ( = M&PS), Monthly Notice of Royal Astronomical Society ( = MNRAS / MN ), Nature ( = Nat ), Planetary and Space Science ( = P&SS ), Publications of the Astronomical Society of Australia ( = PASA ), Publications of the Astronomical Society of Japan ( = PASJ ), Publications of the Astronomical Society of Pacific ( = PASP ), Physical Review Letters ( = PhRvL ), Science ( = Sci ), Solar System Research ( = SoSyR ), などがある。 また、非査読文献としては、 American Astronomical Society, AAS Meeting ( = AAS ), AIP (American Institute of Physics ) Conference Proceedings ( = AIPC ), ASP Conference Series ( = ASPC ), EAS Publications Series ( = EAS ), The Astronomical Herald ( = AstHe :日本天文学会誌「天文月報」), Proceedings of the International Astronomical Union, IAU Symposium ( = IAUS ), Proceedings of Meeting of the Astronomical Society of India ( = ASInC ), Proceedings of the SPIE (International Society for Optics and Photonics) ( = SPIE ), Revista Mexicana de Astronomía y Astrofísica ( = RMxAC ), などが登録されている。 1.ADSへのアクセス ● ADSトップページへのアクセス ADSのトップページのアドレスは、 http://adsabs.harvard.edu/ である。適当なインターネットブラウザに、これを入力してアクセスして欲しい。2013年10月 28日(月)現在では、図1-1のようなページが表示されるはずである。 ● ADSの国内ミラーサーバーへのアクセス 日本の国立天文台が運営している、ADSの国内ミラーサーバーへは、 http://ads.nao.ac.jp/abstract_service.html でアクセスできる。データの更新について、本家と多少タイムラグがあるらしいが、使用上、 問題は無いだろう。 1.ADSへのアクセス ① インターネットブラウザにURLを入力 http://adsabs.harvard.edu/ ② 「ADS Services」から「Search」をクリック ③ ADSアブストラクト・サービスのトップページへ (図1-2参照) ① ② ③ ④ (図1-1 ADSトップページ) (図1-2 ADSアブストラクト・サービスのトップページ) ④ 「Astronomy and Astrophysics Search 」をクリック ⑤ 論文検索ページへ (図2-1参照) 2.論文検索のための基本操作 ● 主な検索条件は「著者名」、「天体名」、「発表年月」、「タイトル・ワード」と「アブスト ラクト・ワード」の五つ。 ⑦ 「Send Query」の クリックで検索開始 ① Authors (著者): 「Nishiura」や「Nishiura, S.」と入力する。複数の著者名を入力した場 合は、「or」や「and」にチェックを入れる。 ② Object name (天体名): 「M101」や「NGC 6946」と入力する。天体名のIDに使うデータ ベースとして「SIMBAD」や「NED」が選択で きる。複数の天体名を入力した場合は、「or」 や「and」にチェックを入れる。 ③ Publication Date (発表年月): 掲載年月 を「xxxx年yy月」から「zzzz年ww月」で入力。 ④ Title Words (タイトル・ワード): 論文タイ トルに含まれる言葉を入力。複数入力の場 合は「or」や「and」にチェックを入れる。 ⑤ Abstract Words (アブストラクト・ワード): 論文のアブストラクト(要旨)に含まれる言葉 を入力。複数入力の場合は「or」や「and」に チェックを入れる。 [論文検索結果は図3-1へ] ⑦ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑥ ⑥ 表示件数、表示 開始番号を指定。 (図2-1 天文学・天体物理学の論文検索ページ、その1) [下スクロールで図2-2へ] 2.論文検索のための基本操作 ● 高度な検索条件設定 検索条件を入力する際に、以下のように用いることで、より細かい検索条件を設定できる。 ・「Authors」で著者名の前に「^」、または、後ろに「$」を付けることで、それぞれ、筆 頭著者、最終著者として検索できる。 ・「Authors」「Title Words」「Abstract Words」ではラジオボタンの「simple logic」を チェックすることで、より高度な検索条件を設定できる。 例)Title Words に「 +compact +group –region」と入力して検索する。 Title に「compact」と「group」を含み、かつ、「region」を含 まない論文を検索する。 ・「Title Words」「Abstract Words」ではラジオボタンの「boolean logic」をチェックする ことで、and、or、not、(、)、などを使うことで、より高度な検索条件を設定できる。 例)Abstract Words に「 ( cluster or group ) and not nebula」と入力して検索する。 Abstarct に「cluster」または「group」を「含み」、かつ、「nebula」を 「含まない」論文を検索する。 2.論文検索のための基本操作 ● 「FILTERS」の「Select References From」で表示文献の査読/非査読を選択。 All bibliographic sources : 本サービスに 登録されている文献で、条件に合致する もの全てを表示。 All refereed articles : 条件に合致する 文献のうち、査読論文のみを表示。 All non-refereed publications : 条件に 合致する文献のうち、非査読論文のみ を表示。 この直ぐ下にも「Send Query」ボタンが 配置されている。 「Send Query」のクリックで検索開始 [論文検索結果は図3-1へ] (図2-2 天文学・天体物理学の論文検索ページ、その2) [下スクロールで図2-3へ] 2.論文検索のための基本操作 ● 「SETTINGS」の「Require Field for Selection」で条件間のandを指定。 Authors、Objects、Title、Abstract の4条件 について、チェックを付けた項目間で and条件 で検索を行う。 (論文検索の例) Authors Nishiura Title compact、group (「and」にチェック) Publication Date 01 2000 から 12 2000 Require Field for Selection Authors とTitle にチェック 「Send Query」すると・・・ 2000年01月から12月までに発表された論 文のうち、著者の一人がNishiuraで、かつ 論文タイトルにcompactとgroupの両方が 含まれている論文を査読・非査読とも表示。 この直ぐ下、ページの一番下にも「Send Query」ボタンが配置されている。 「Send Query」のクリックで検索開始 [論文検索結果は図3-1へ] (図2-3 天文学・天体物理学の論文検索ページ、その3) ● 検索結果の表示 3.論文検索結果の活用 (ア) 検索による抽出件数。 (イ) 検索番号 : 検索された論文に付さ れる便宜上の番号。 (ウ) 掲載の略表示 : 発表年、雑誌略名、 巻番号、ページ、が表示される。また、文 献の詳細情報へのリンクになっている。 (ア) (エ) 著者名 : 著者数が多い場合には、 (イ) 「and XX coauthors」(xxは数字)と表示 される。 (エ) (オ) 論文タイトル。 (カ) リンクのリスト : 本文献に関する各種リ ンク。主なものは次の通り。A-アブストラクト 閲覧、E、F、G-本文をhtml形式 (E)、PDF/PS 形式 (F)、スキャンGIFイメージ形式 (G)で閲 覧、X-ArXiv(プレプリント・サーバー)の電子 版へのリンク、D–オンライン・データ(?)へ のリンク、 C-本文献の被引用情報、 R–本 文献中での引用文献一覧。なお、これらには 「ウ」のリンク先からでも移動可能。 (ウ)を左クリックすると 次頁の図3-2へ (ウ) (オ) (カ) (図3-1 天文学・天体物理学の論文検索結果ページ) ● 論文の詳細情報 3.論文検索結果の活用 図3-1の「ウ」をクリックすると、図3-2 のような詳細情報が表示される。 ・ 各種情報へのリンク。 HTML形式・PDF/PS形式・ プレプリント・サーバーによ る文献閲覧。 参考文献一覧へのリンク。 被引用文献関連へのリンク。 HTML形式リンクを左 クリックすると図3-3へ PDF/PS形式リンクを左 クリックすると図3-4へ 参考文献一覧へのリンクを 左クリックすると図3-5へ 被引用文献関連へのリン クを左クリックすると図3-6、 3-7へ ・ 論文のタイトル、著者名、著者の 所属機関名、雑誌名・掲載巻号・ ページ、キーワード、略記。 ・ 該当する学術雑誌WEBページへの リンクが表示されることがある。 ・ 論文のアブストラクト テキスト表示と、スキャンに よる画像表示の場合がある。 (図3-2 論文の詳細情報表示ページ) ● 論文本文の閲覧 3.論文検索結果の活用 「Electronic Refereed Journal Article (HTML)」、「Full Refereed Journal Article (PDF/ Postscript)」、「Scanned Article (GIF)」、「arXiv e-print」を左クリックすることで、HTML形 式やPDF/PS形式、GIF形式、プレプリント・サーバーによる本文の閲覧などが可能となる。 ただし、雑誌購読の手続きを行っていないサイトからは、閲覧不可という場合もあるので 注意すること。PDF/PS形式による閲覧では、ファイルをDLできる。 本文のプリント・アウトやPDF ファイルの保存が可能。 PDFファイルがDL 可能な場合もある。 (図3-3 論文のHTML形式表示ページ) 掲載誌によって提供サイトが異なることもある。 (図3-4 論文のPDF/PS形式表示ページ) 掲載された状態での閲覧ができる。 ● 論文の参考文献一覧表示 3.論文検索結果の活用 「References in the article」を左ク リックすると、論文中で引用している 全文献の一覧を、図3-5のように表 示する。 ここから、さらに、それぞれの文献 のアブストラクトを閲覧したり、HTML 形式やPDF/PS形式での本文閲覧 へのリンクを辿ることができる。 (図3-5 参考文献の一覧表示ページ) ● 被引用論文情報 3.論文検索結果の活用 「Citations to the article」、 「Refereed Citations to the article」を左クリックすると、本論文 を引用している全文献または査読論文の一覧を、図3-6のように表示する。()内の数字は 本論文を引用した文献の総数である。 「Citation History」は被引用履歴を表示する。 オレンジ色は査読、黄色は非査読文献を示す。 (図3-6 被引用文献の一覧表示ページ) (図3-7 被引用履歴の表示ページ) ● 参考文献: 本チュートリアル作成の際に、以下のWEBページを参考にさせて頂きました。 これらWEBページの作成者・管理者の皆様に深く感謝いたします。 ・「SAO/NASA ADS HELP」 http://ads.nao.ac.jp/abs_doc/help_pages/ ・国立天文台天文データセンター ADS Japan 日本語マニュアルページ http://ads.nao.ac.jp/jp/ads_howto.html ・同上 日本語マニュアルページ OLD version http://ads.nao.ac.jp/jp/manual/jp_doc1.html ● 参考文献: 一番最初に私にADSを御教授下さった村山卓氏(東北大・理・天文)に、 心から御礼申し上げます。また、本稿作成に関して、学術振興会による科学研究費補 助金(23501014:代表者 伊藤信成)(24654046:代表者 西浦慎悟)から援助を受けま した。ここに深く感謝申し上げます。 2013年10月28日(月) 西浦慎悟