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- 1 - 諸外国の業績評価制度と予算制度比較(概要)
諸外国の業績評価制度と予算制度比較(概要) イギリス ドイツ フランス スウェーデン 業績評価 制度概要 ・3会計年度における歳出見直し(SR) を2年ごとに作成し、閣議決定。 ・SR を作成する際、各省と財務省が公 的サービス協定(PSA )を締結し、 「業 績目標」を策定。 ・PSA において 、省全体 の「目的」を 明示し、キー施策について「業績目標」 を作成。 ・「業績目標」達成についての測定方法、 測定時期、測定範囲を設定(「テクニ カルノート」)。 制度官庁 ・財務省 ・経済財政産業省 評価主体 【一次評価】各省 【二次評価】財務省、PSX(行政サー ビス支出関係閣僚委員会) 【一次評価】各省(各省監察官) 【一次評価】各執行機関 【二次評価 】各省間 の監察官委員会 【二次評価】各省 (CIAP)、経済財政産業 ※その他、議会直属の監査委員会が、評価 省(監察官) 情報の正確性等の監査を実施 未定稿 オーストラリア ニュージーランド ※その他、議会直属の会計検査院が、主要施 策について、評価データの適切性等を評価 ・改正予算組織法による業績評価の全 ・政府の活動として 分類された 「政策 ・豪州の予算制度は、業績評価 システ ・各省 (※) は 、「政策意図説明書 面的な実施(2006 年度予算法案か 分野」について、各省が目標を設定 ムとしての役割も併せ持っている。 (SOI )」を作成。その中で、中期 ら)に向けて、以下の取組を試行的 し、目標を議会承認。 ・各省はいくつかのアウトカム (達成 的な目標(アウトカム)設定や各省 に実施。 ・各省は、各「政策分野」を「プログ すべき目標)を設定する。 の提供するアウトプットの「業績目 ・各省は、政策の大目標である 「ミッ ラム」「サブプログラム」に分割し、 ・予算は、アウトカム ごとに配分され 標」を提示。 ション」を作成(省横断的な「ミッ 各執行機関(エージェンシー )が果 た「省庁裁量項目 」(予算全体の 2 ・「 政策意図説明書 (SOI)」は、予算 ションもある」) たすべき目標を設定。 割)と「省庁管理項目 」(予算全体 審議の際に、予算関係説明文書とし ・各省は 、「ミッション」を具体化し ・年度終了後、執行機関から各省に対 の 8 割)から構成される。 て議会に提出。 た「プログラム」ごとに、「業績目 し、目標に対する評価結果が報告さ ・「 政策意図説明書 (SOI)」で掲げた 標」を設定し 、「業績目標」ごとの れ、各省は これをとりまとめて評価 ・「 省庁裁量項目」は、各省が、アウ 目標が達成されたかという観点から 「業績指標」を設定。 結果を議会に提出。 トカムを達成するために 設定するア 会計監査や年次報告書を作成。 ウトプットに係る予算によって構成 される。また、アウトカム達成に必 ※ニュージーランドは、内閣(Crown) 要となる アウトプットの水準として と各省(Department)が峻別されて ・業績評価制度は閣議決定レベルで実 「業績指標」を設定する。 おり、一体の関係ではない。下記の「そ 験的に行われている段階(各省の取 ・「 省庁管理項目」は、法律によって の他」を参照。 組がまちまちであり、全政府的に行 支出することが定められているプロ われているわけではない)。 グラムに係る予算によって構成され る。(社会保障給付、公共事業等) ・業績評価を予算と制度的にリンクさ せる仕組は未だ存在していない。 ・財務省 ・予算行政管理省 【一次評価】各省 【二次評価】予算行政管理省 ※その他、議会直属の監査委員会が、評価 情報の正確性等の監査を実施 ・財務省 ・行政人事管理委員会(SSC) 【一次評価】 各省 【二次評価】 財務省、SSC ※その他、議会直属の会計検査院が、 目標達成度等を評価 評価方法 ・四半期 ごとに 、「業績目標 」及び目標 達成状況を各省が財務省に報告しチェ ックを受ける。 ・財務省が評価結果を PSX に報告後、 各省及び財務省が年2回公表。 ・会計年度終了後、各省が決算書の中で、 各省全体の「目的」ごとの財務情報を 示し、議会提出、公表。 ・会計年度終了後、経済財政産業省が、 ・会計年度終了後に、執行機関 から各 ・会計年度終了後に、各省が「年次報 ・会計年度終了後に、各省が「年次報 各省が議会提出する予定の評価書 を 省に提出される「年次報告書 」の中 告書」の中で、業績評価結果 と財務 告書」の中で、業績評価結果と財務 チェック、承認。 で、業績評価結果 と財務情報 を併せ 情報を併せて公表、議会に提出。 情報を併せて公表、議会に提出。 ・経済財政産業省が、決算書の中で業 て公表。 績目標ごとの 財務情報を示し、議会 ・各省において 、「年次報告書」等に 提出、公表。 示された 執行機関 レベル の評価結果 等を元に所管の「政策分野」に関す る事後評価を取りまとめ 、財務省 や 関係機関との協議を経て議会に提出。 目標設定 ・原則、アウトカム目標で、定性的・定 量的なものが混在。 ・原則、アウトカム目標で定量的。 ・「 政策分野」の目標は、一般的にア ・「省庁裁量項目」のアウトプットは、 ・各省は、大臣と契約した「アウトプ ウトカム目標で、定性的 「業績指標」 (定量的)が目標になる。 ット・プラン」を着実に実行するこ ・「 プログラム 」「サブプログラム」の ・「 省庁管理項目」のプログラムの目 とを目標とする。(定量的) 目標は、一般的にアウトプット目標 標は、原則的 に、アウトカム (定性 ※「アウトプット・プラン」とは、省が で定量的 的)である。 大臣に対して何(アウトプット)を、 いつまでに、いくらで、提供するかを 取り決めたもの。 評価対象 ・公共事業を含め、主要政策(教育、運 輸、保健、法と犯罪)をカバー ・公共事業を含め、主要政策をカバー ・全事業をカバー -1- ・全事業をカバー ・全事業をカバー イギリス ドイツ フランス スウェーデン オーストラリア 財政規律 維持のた めの複数 年度にわ たる取組 ・EU加盟国は、マーストリヒト条約により、原則として、一般政府の財政赤字は GDP 比3%、債務残高は GDP 比 60 %を超えないこととされている。 ・単年度予算について国会議決。 また、毎年、5年間の主要経済見通しととともに、中期的な財政均衡ないし黒字目標とそのための財政赤字の対 GDP 比の推移を策定し、EU委員会に提出 。 ・議決単位の「項 」(アウトカム)は 政府全体で約 200 ・「財政安定化規律 」(国会承認)によ ・法律に基づき、毎年5年間の中期財 ・単年度予算について国会議決。 ・一般財政収支について 、GDP 比2 ・財政規律を保つため 、「予算公正憲 り、ゴールデン・ルール(政府借入れ 政計画を作成(閣議決定のみ)。 ・議決単位の「項 」(プログラム)は %の黒字目標を設定。 章法」が制定され、5 個の基本原則 は投資目的に限り、国債発行額は純投 ・単年度予算について国会議決。 政府全体で約 150 ・3 ヵ年分の「歳出シーリング」 (年割) からなる 健全財政運営規則が盛り込 資額を超えない)とサステイナビリテ ・議決単位の「項」は政府全体で約 ・予算組織法改正により、2006 年予 を名目額 で毎年議決。毎年度 の予算 まれている(「 債務を適正な水準に ィルール(純公的債務残高をGDP比 8000 算案から予算書が省ごとでなく「ミ 編成では 、「歳出シーリング」の枠 維持すること 」や「将来世代 に対す で一定レベル以下(現在は 40%以下) ッション」ごとに構成 。「項」も抜 内で、閣僚折衝により「歳出分野 」 る財政上 の影響を考慮した政策決定 とする)を規定。 本的に見直して大括りし、業績評価 への配分を行った上で、さらにその を行うこと」等 )。具体的には、純 ・単年度予算について国会議決。 の単位である「プログラム」ごと。 枠内で「議決予算」(各執行機関の運営 債務残高を対 GDP 比で 10%より更 ・議決単位の「項」は政府全体で約 86 費交付金など)への配分を決定。 なる低い水準以下に抑えること等。 ・SR において、省ごとに、3会計年度 ・「議決予算」 (項 )は政府全体で約 500 にわたる複数年度予算の歳出上限額 ・査定は 、前年の ForwardEstimates (DEL)を決定。別途、社会保障費、 ※スウェーデン政府は、企画立案を担当 (今後4ヵ年分の財政支出(年割) EU機関への支払い等長期計画が困難 する省と執行機関とを分離しており、 の各省ごとの見積もり。毎年改定。) なため単年度ごとに予算額を決める各 政府の事務の太宗は各執行機関で実施。 を基準に行う。 年度管理歳出(AME)の目安額 を決 定。(いずれも閣議決定のみ) 予算執行 の弾力化 【縦の弾力化】 ・「繰越」には別途国会議決が必要。 ・DEL の3会計年度の中での「繰越」 は、財務省の承認不要。 ※人件費の「繰越」は上限あり。 評価結果 の反映等 【予算上】 【予算上】 ・評価結果と予算の直接のリンクなし ・評価結果と予算の直接のリンクなし 【人事上】 【人事上】 ・省トップの大臣は、更迭、減給(昇給) ・評価結果と人事のリンクなし 等に反映。 ・局長級以下については、業績目標毎に 責任者名が明記されるため、人事に反 映されることがある。 その他 ・PSA の業績目標は、政権公約 (マニ ・予算をアウトプット目標ごとに把握 フェスト)を反映している。 する「スタンダード KLR」制度を 実験的に導入中。既存の予算とは別 に、予算書にアウトプット目標に対 応する予算額(費用)を記載。 ニュージーランド ・単年度予算について国会議決。 ・議決単位 の「項 」(アウトプット ・ クラス等)は政府全体で約 700 ・所管(Vote)は省ごとではなく、 大臣ごとに構成される。 ・財政規律を保つため、 「財政責任法」 が制定され、5 個の基本原則が盛り 込まれている 。「 ( 歳出総額が歳入 総額を超えないようにすること」や 「政府債務を賢明な水準に維持する こと」等)具体的には、純債務残高 を 2011 年までに対 GDP 比で 30 %程度に抑えること等。 ・査定は、財務大臣と各大臣が合意し たベースライン(今後4ヵ年分の各 アウトプットクラス等ごとの予定支 出金額(年割 )。毎年改定 。)を基 準に行う 。(ベースラインの総計額 が、「財政責任法」の具体的 な運営 方針に沿うように運用) ・財務省は、 「アウトプット・プラン」 と「購入契約書 」(非省組織 が「ア ウトプット・プラン」と同様の内容 を大臣と取り決めたもの)をチェッ クする。 【縦の弾力化】 【縦の弾力化】 【縦の弾力化】 【縦の弾力化】 【縦の弾力化】 ・経常支出について 、「繰越 」(翌年 ・「 繰越」はかなり限定的。国会承認 ・各「議決予算 」の執行残 は、議会の ・「 省庁裁量項目」内の執行残は、現 ・「繰越」はかなり限定的 。国会承認 度に限る)は財務省の承認不要。国 が必要で上限額も規定。 承認を経ずに、次年度以降に使用可 金支払いの「繰越」が可能 。「省庁 が必要。 会議決も不要。 能。 管理項目 」の執行残 の「繰越」は不 ・例外的に、複数年度(最大で5年間) ※ただし、「議決予算」単位毎に、予算額 可。 にわたり、予算の歳出権を大臣に与 の 3 %を超過する額を次年度に持ち越 える枠組が存在する。 【横の弾力化】 【横の弾力化】 【横の弾力化】 す場合には、別途閣議決定が必要。ま 【横の弾力化】 ・「 項」において、経常支出及び資本支 ・「 項」間 、「項」内の「移流用」は ・人件費の増を除いては、プログラム た、過年度の執行残を当該年度におい ・同一「アウトカム」内であれば、 【横の弾力化】 出各々の内部における「流用」は自由。 自由。 内の「流用」は可能。 て使用する場合、その額も含めて、既 (1)「省庁裁量項目」の「アウトプッ ・所管(Vote)内において、内閣の ※ただし、経常支出において、「人件費」 ※ただし、項間の「移用」については、 に議決されている「歳出シーリング」 ト」間での「流用」は可能。 許可があった 場合に 、「項」の予算 と他の「物件費」等の間の「流用」は財務 それぞれの「項」の予算額の 20%まで が達成されなければならない。 (2)「省庁管理項目」の「プログラム 額の最大5%までアウトプット・ク 省の承認が必要であり、例外的。 という上限あり。「人件費」と他の経費 」間の「流用」は内閣により許可 ラス間での「移用」が可能。※実際 ・経常支出から資本支出への「流用」 間の相互の「移流用」も長期計画人事制 【横の弾力化】 があった場合のみ可能(実際は緊 に運用されているのは同一省におけ は財務省の承認を経て可能。 度(複数年で雇用できる人員上限を規定) ・執行機関 の運営費交付金 の使途は、 急を要するとき等にしか認められ るアウトプット・クラス間の「 移用」 ※ただし、資本支出から経常支出への「流 の範囲内で可能。 人件費、物件費を含め、執行機関 の ない )。 に、限定されている。 用」は不可。 ・反対に、各省が「移流用」を実施し 裁量に委ねられる。 た額の2%は各省から財務省にバッ ・執行機関 の運営費交付金 と社会保障 ク(翌年度の歳出削減)されるシス 給付の間など 、「議決予算」単位を テム。 またがる移用は不可。 【予算上】 ・評価結果 と予算の直接のリンクなし 【人事上】 ・業績評価 の単位であるプログラム 毎 に責任者名が明記されるため 、人事 に反映されることがある。 【予算上】 ・評価結果と予算の直接のリンクなし 【人事上】 ・評価結果と人事のリンクなし ・伝統的に、政府部門における 執行機 関の役割が非常に大きい。 -2- 【予算上】 【予算上】 ・予算制度 が、業績評価システムとし ・評価結果と予算の直接のリンクなし ての役割も併せ持っていることから、【人事上】 評価結果 は次年度以降の予算に反映 ・SSC は業績評価 の結果により、当 されることがある。 該大臣と相談の上、次官の再任用、 ・政治的色彩の強い「省庁管理項目 」 更迭及びボーナスの額の決定等を行 の予算については歳出検討委員会 う。 (ERC)で政治的 に決断されること がある。 【人事上】 ・評価結果と人事のリンクなし ・ニュージーランドは、内閣(Crown) と各省(Department)が峻別され ており、一体の関係ではないため、 予算はあくまで内閣が国会に提出す るものである。また内閣(各大臣) と省は別途「アウトプット・プラン」 という契約を結ぶ。