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王子製紙ホールディングスと日本製紙グループ
王子製紙ホールディングスと日本製紙グループ ~戦略は紙一重~ 国際地域学部 国際地域学科 3 年 1810110155 渡部祐介 0.はじめに 私たちは毎日の暮らしで紙製品をあらゆる場所で使用する。例えば、新聞紙や雑誌、ト イレットペーパー、段ボールなどである。身近な存在である製紙、また製紙繊維のパルプ に興味を抱き、分析を行うことにした。紙・パルプ業界の中から、主要製紙企業から日本 第 1 位の王子製紙ホールディングス株式会社と第 2 位の株式会社日本製紙グループ本社の 2つを分析する。 0-1 紙・パルプ業界の現状 (千トン) 紙市場の国内生産量と消費量 34000 (千トン) 紙・板紙の輸出・輸入量 2500 32000 2000 30000 1500 28000 26000 1000 24000 500 22000 20000 2000 2008 2009 2010 2011 紙・板紙内需量 0 2012 2000 2008 2009 紙・板紙輸入量 紙・板紙生産量 2010 2011 2012 紙・板紙輸出量 (日本製紙連合会 より作者作成) 日本の紙・パルプ市場は人口減少やペーパーレス化の影響を受け、国内需要は 2009 年に リーマンショックでの急激な減少から回復したが、13 年前の 2000 年と比較して減少傾向 にある。原料であるパルプも紙の消費減から、パルプの生産、消費共に減少し続けている。 また、紙製品や板紙の輸入は増加傾向である。中国やインドなどの東南アジア諸国の急 激な経済成長によって、紙・パルプ業界に着手し生産量が増え、特に中国の生産量は 9,930 万トンと世界 1 位である。中国やマレーシアが輸入、輸出ともに取引国である。 184 0-2 企業の概要 王子製紙ホールディングス株式会社 本社:〒104-0061 東京都中央区銀座四丁目 7 番5号 設立:1949 年 8 月 1 日 しんどう きよ たか 代表者:進藤 清貴 王子製紙ホールディングスは、業界日本トップ、世界 5 位のシェアの製紙業である。主 な製品はティッシュペーパーや紙おむつなどの家庭用品で使用される「ネピア」ブランド がある。企業理念の「革新とスピード」を元に、経営目標は営業利益 1,000 億円、当期純 利益 500 億円としているが、国内需要が低迷する中、事業構造転換を図っている。1つ目 が 2012 年 10 月より純粋持株会社制に移行した。これは事業収益の最大化と経営責任の明 確化をするためである。2 つ目が新興国を中心とした海外ビジネスの拡大である。製造販売 拠点としてブラジルやインド、東南アジアなどの諸国に M&A や工場建設といった投資を行 っている。 株式会社日本製紙グループ本社 本社:〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台四丁目 6 番地 設立:2001 年 3 月 は が よ しお 代表者:芳賀 義雄 日本製紙グループ本社は、王子製紙に次いで日本第2位、世界第7位のシェアを誇る製 紙業である。主な製品は、家庭用品でおなじみの「スコッティ」や「クリネックス」ブラ ンドがある。企業理念の「安定して良い業績をあげる会社」から、2005 年 5 月に発表した グループビジョンを「2015年において世界紙パルプ企業トップ5」を掲げ、中期経営 目標の「事業構造転換に向けた取り組み強化」から 2012 年 10 月から持株会社である日本 製紙が中心にその他 3 社と合併した。2013 年 4 月から日本製紙グループ本社とこの新たな 日本製紙が合併し、事業持株会社へと体制を変更する。成長分野の結合と強化、経営体制 の合理化を図る。海外戦略は、主にオセアニア地域とアジア地域に投資を行い、基盤づく りを行っている。 0-3 注意事項 1. 使用するデータは 2009 年度から 2013 年度までの 5 年分の王子製紙ホールディングス 株式会社と株式会社日本製紙グループ本社の有価証券報告書を参考にしており、両者の有 価証券報告書の会計期間は 4 月 1 日から 3 月 31 日である。 2. 分析は連結経営を重視しているため、各指標の算出にあたっては特に断りがない限り連 結データを用いている。 3. 表記省略のため王子製紙ホールディングス株式会社を「王子製紙」 、株式会社日本製紙 グループ本社を「日本製紙」と略している。 185 1.収益性分析 はじめに、両社の収益性を分析する。収益性分析には総資本事業利益率、自己資本利益 率の2つを用いる。 1-1 総資本事業利益率(ROI) 総資本事業利益率(=事業利益/使用総資本×100)は、使用する総資本のうちどのだけ 営業活動、財務活動から利益を生み出しているかを測る指標である。事業利益は営業利益 に受取利息、配当金、持分法による投資損益を加えたものである。 総資本事業利益率(ROI) 5.0% 4.5% 4.0% 3.5% 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5% 0.0% 王子製紙 日本製紙 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 図表 1 ROE(総資本事業利益率)の推移 図表1を見ると、両社ともに数値が大きく変動していることがわかる。両者とも 2009 年 から 2010 年に大幅に上昇したが、2010 年以降は減少傾向にある。王子製紙は 2011 年まで は上昇しているがそれ以降は減少している。日本製紙は 2011 年から 2012 年にかけて大幅 に減少し,2013 年には再び回復したが 2010 年の数値まで回復していない。王子製紙の方が 日本製紙よりも1%ほど上回っているが、両社は低下傾向であり優れているとは言えない。 186 総資本回転率 (回) 1.00 70000 0.80 60000 50000 0.60 40000 30000 0.40 20000 0.20 10000 0.00 0 2009年 2010年 王子製紙 図表 2 事業利益 (百万円) 80000 2011年 2012年 2013年 2009 2010 2011 王子 日本製紙 図表 3 総資本の推移 2012 2013 日本製紙 事業利益の推移 では、総資本事業利益が上記のような変化が起きている原因について探りたいと思う総 資本事業利益を構成している総資本と事業利益に分けて詳しく見ていく。 まず、図表2より王子製紙は 2010 年に総資本が減少し 3 年間横ばいで 2013 年に再び増 加している。日本製紙は多少の上下はあるものの大体横ばいである。また図表 3 より、王 子製紙は一貫して日本製紙より高いことがわかる。両社は 2009 年から 2010 年までに約 2 倍以上増加しているがそれ以降は、徐々に減少している。2012 年の事業利益の減少は東日 本大震災が影響している。この減少は総資本事業利益率にも影響している。よって、総資 本事業利益率の変動は事業利益が大きく起因していることがわかる。しかし、王子製紙の 2013 年度の ROI は総資本の増加が関係している。 次に事業利益(営業利益+受取利息+受取配当金+持分法による投資損益)の構成を比 較する。なお図表 4,5 は両社の事業利益の構成の打ち分けを表したもので、図表の 4-2 と 5-2 は売上高を 100 とし、 百分比で両社の事業利益にいたる過程を算出したものである。 王子製紙ホールディングス株式会社 売上高 売上原価 売上総利益 管理費及び一般管理費 営業利益 受取利息 受取配当金 持分法による投資損益 事業利益 図表 3-1 2009 1267129 1013846 253282 220437 32845 2314 3702 5807 44668 2010 1147322 870786 276536 202855 73681 716 2769 -1852 75314 2011 1189131 905967 274163 208722 65441 496 3452 5354 74743 2012 1212912 945999 266912 213132 53780 392 2910 3974 61056 2013 1241471 963900 277571 225188 52383 972 2947 1447 57749 (百万円) 事業利益の構成(王子製紙) 187 売上高 売上原価 売上総利益 管理費及び一般管理費 営業利益 受取利息 受取配当金 持分法による投資損益 事業利益 図表 4-2 2009 100% 80.01% 19.99% 17% 2.59% 0.18% 0.29% 0.46% 3.53% 2010 100% 75.90% 24.10% 18% 6.42% 0.06% 0.24% -0.16% 6.56% 2011 100% 76.19% 23.06% 18% 5.50% 0.04% 0.29% 0.45% 6.29% 2012 100% 77.99% 22.01% 18% 4.43% 0.03% 0.24% 0.33% 5.03% 事業利益の構成(王子製紙) 2013 100% 77.64% 22.36% 18% 4.22% 0.08% 0.24% 0.12% 4.65% (%) 表より事業利益の変動は営業利益が関係していると考えられる。2009 年はリーマンショ ックの影響で営業利益が大きく下回って 2.59%であったが、2010 年はおよそ 2.5 倍もの 6.42%に回復を遂げている。これは棚卸資産の減少と 2009 年の石油価格が前年の 2 倍も低 かったこととコストダウン化が影響している。しかし、その後棚卸資産と原油価格増加に より、営業利益が下がっている。売上高が上がっているので構成比は微弱に増減している。 株式会社日本製紙グループ本社 売上高 売上原価 売上総利益 管理費及び一般管理費 営業利益 受取利息 受取配当金 持分法による投資損益 事業利益 図表 4-1 事業利益の構成(日本製紙) 売上高 売上原価 売上総利益 管理費及び一般管理費 営業利益 受取利息 受取配当金 持分法による投資損益 事業利益 図表 5-2 2009 2010 2011 2012 2013 1,188,136 1,095,233 1,099,817 1,042,436 1,025,078 958,464 844,033 854,238 803,653 796,411 229,672 251,200 245,579 238,783 228,667 209,721 208,050 209,970 202,259 203,521 19,951 43,149 35,608 36,524 25,145 560 267 333 375 420 2,669 3,895 2,476 2,070 1,851 1,789 1,015 5,002 -21,919 4,316 24,969 48,326 43,419 17,050 31,732 (百万円) 2009 100% 80.67% 19.33% 17.65% 1.68% 0.05% 0.22% 0.15% 2.10% 2010 100% 77.06% 22.94% 19.00% 3.94% 0.02% 0.36% 0.09% 4.41% 2011 100% 77.67% 22.33% 19.09% 3.24% 0.03% 0.23% 0.45% 3.95% 2012 100% 77.09% 22.91% 19.40% 3.50% 0.04% 0.20% -2.10% 1.64% 2013 100% 77.69% 22.31% 19.85% 2.45% 0.04% 0.18% 0.42% 3.10% (%) 事業利益の構成(日本製紙) 表より、事業利益の変動が大きいことがわかる。2009 年から 2010 年の事業利益の増加 は、リーマンショックから回復したことや売上原価が 80%くらいまであったのが原価の改 188 善によって、77%にまで減少したことが起因である。原価改善は年々行われているが、石油 価格の高騰や販売数量・売価の低下によって営業利益が減少した。東日本大震災により、 子会社である株式会社日本製紙の工場や日本製紙ケミカル株式会社が影響を受けたことに よって 2012 年の投資損益がマイナスとして事業利益の減少になったのであろう。 1-2 自己資本利益率(ROE)の推移 自己資本利益率(ROE) 10.0% 5.0% 0.0% 王子製紙 -5.0% 日本製紙 -10.0% -15.0% 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 図表 5 ROE の推移 自己資本利益率(=当期純利益/自己資本×100)を見ていく。図表6は王子製紙と日本 製紙の ROE の推移である。王子製紙は 2009 年-1.2%と低水準であったが、2010 年以降は 5%程度の水準で安定している。これとは対照的に日本製紙は大きく変化している。2009 年 は-5.4%と低水準で 2010 年には改善されるものの 2011 年、2012 年ともに大幅に減少した。 2013 年には 12%もの大きく回復した。王子製紙は安定的な水準で、2010 年を除けば日本 製紙よりも高い。信用格付けの EDIUNET によると業界の ROE 平均は 2013 年 8 月 12 日 現在 4.38%であるので、王子製紙は平均を超えている。 次に ROE を構成している当期純利益と自己資本を見ていく。両社の自己資本は純資産総 額から新株予約権と少数株主持分の額を引いたものである。図表 7 を見ると当期純利益は ROE の推移と似ている動きを取っていることがわかる。王子製紙は 2010 年以降安定して 推移しているが、日本製紙は 2011 年と 2012 年に当期純損失と計上している。これは 2011 年震災の被害が特別損失 627 億円、2012 年震災損失 193 億円と事業構造改革費用 292 億円 が計上されたことが要因である。これによって、図表8の自己資本で日本製紙は利益余剰 金が減少したことで減っている。 189 当期純利益 (百万円) 40000 30000 20000 10000 0 -10000 -20000 -30000 -40000 -50000 600000 500000 400000 300000 200000 100000 0 2009年 2010年 王子製紙 図表 7 自己資本 (百万円) 2011年 2012年 2009年 2013年 2011年 王子製紙 日本製紙 2012年 2013年 日本製紙 図表 8 自己資本の推移 当期純利益の推移 1‐3 2010年 自己資本利益率(ROE)の分解 ROE は3つに分解することができる。売上高当期純利益率(=当期純利益/売上高×100) 、 総資本回転率(=売上高/総資本)、財務レバレッジ(総資本/自己資本)があり、分析を行う。 売上高当期純利益率 売上高 (百万円) 1400000 4% 1200000 2% 1000000 800000 0% 600000 -2% 400000 -4% 200000 -6% 0 2009年 2010年 王子製紙 図表 9 2011年 2012年 2009年 2013年 2011年 王子製紙 日本製紙 売上高の推移 2010年 図表 10 2012年 2013年 日本製紙 売上高当期純利益率の推移 まず、図表9の売上高の推移を見ると王子製紙が一貫して日本製紙より上回っている。 王子製紙は売上高を上昇させているが日本製紙は減少している。図表10は当期純利益あ るいは ROE と類似した動きをしている。このことから売上高当期純利益率が ROE に大き な影響を与えていることがわかる。2010 年に日本製紙が追い越しているのは、当期純利益 が王子製紙より大きく上がったためだ。 190 総資本回転率 (回) 財務レバレッジ (倍) 1.00 5.0 0.80 4.0 0.60 3.0 0.40 2.0 0.20 1.0 0.00 0.0 2009年 2010年 2011年 王子製紙 図表 11 2012年 2013年 2009年 日本製紙 2010年 2011年 王子製紙 図表 12 総資本回転率の推移 2012年 2013年 日本製紙 財務レバレッジの推移 次に総資本回転率を見る。この指標は全資産がどれだけ売上により回収できているかを 示すものである。図表11を見ると日本製紙は 2009 年に総資本回転率が高かったが以降減 少傾向で、王子製紙はほぼ横ばいの数字であり、2013 年の減少は総資産の増加が関係して いる。 最後に、財務レバレッジを見る。これは負債への依存度を分析できる。高い方が負債に 依存しているといえる。図表12より、2010 年まで日本製紙が低い水準であったが、2011 年以降王子製紙が低い水準となった。王子製紙は着々と有利子負債を下げていることで負 債を減少させているためである。日本製紙は東日本大震災によって被災した工場の復旧の ための長期借り入れが増加したためだと考えられる。 以上で収益性分析を終えるが、これまでを振り返ると王子製紙の収益性の方が高いとい えるだろう。しかし、リーマンショックや震災の損害額の大きさや当期純利益や ROE の大 幅な回復を考慮すると日本製紙は収益性改善ができているだろう。 2.安全性分析 次に両社の安全性分析を行う。分析にあたり、連結キャッシュ・フロー計算書分析と安 全性指標で行う。なお、安全性指標は「流動比率」 、「当座比率」、 「自己資本比率」、 「固定 長期適合率」 、 「インタレスト・カバレッジ・レシオ」の5つを用いる。 2-1 連結キャッシュ・フロー計算書分析 この分析は企業の資金調達活動と投資活動の状況を明らかにすることができる。図表 13 は 2012 年と 2013 年の両社の有価証券報告書から連結キャッシュ・フローにおける主要項 目を抜粋したものである。以降キャッシュ・フローを CF と記入する。 191 王子製紙 2012 2013 Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー 税引き等調整前当期純利益又は損失 減価償却費 減損損失 貸倒引当金の増減額(△は減少) 退職給付引当金の増減額(△は減少) 為替差損益(△は益) たな卸資産の増減額(△は増加) 売上債権の増減額 震災損失引当金の増減額 営業活動によるキャッシュ・フロー Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー 固定資産の取得による支出 固定資産の売却による収入 投資有価証券の取得による支出 投資有価証券の売却による収入 短期貸付金の増減額(△は増加) 連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得による 支出 投資活動によるキャッシュ・フロー Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入金の純増減額(△は減少) 長期借入れによる収入 長期借入れ金の返済による支出 社債の返還による支出 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金及び現金同等物に係る換算差額 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) 現金及び現金同等物の期首残高 合併に伴う現金同等物の増加額 新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 現金及び現金同等物の期末残高 図表 13 日本製紙 2012 2013 39,885 37,932 △41,086 16,045 76,024 72,057 74,352 64,903 427 1,467 779 1,072 60 △991 113 △169 △3,303 △3,920 △1,688 △271 163 △10,496 ND ND △5,183 5,336 △14,144 8,722 △1,813 4,901 6,508 8,028 ND ND △36,018 △10,026 119,516 105,437 60,114 65,978 △50,899 △65,781 △46,236 △58,048 1,985 1,898 5,479 1,390 △2,364 △1,936 △9,527 △1,823 2,821 2,829 1,662 677 ND ND 507 △1,358 △30,588 △6,329 ND ND △81,198 △76,211 △46,626 △61,766 △13,047 △41,761 △65,503 12,551 11,180 161,674 138,597 43,043 △35,775 △168,793 △39,853 △45,058 △20,140 △160 △20,000 △20,000 △28,875 △20,724 1,652 △14,358 2,152 1,752 △619 990 11,593 10,253 14,520 △9,183 31,933 43,831 104,739 119,265 124 365 ND ND 179 2,598 6 731 43,831 57,048 119,265 110,813 王子と日本製紙の連結キャッシュ・フロー計算書(単位:百万円) 営業活動による CF では王子製紙は 140 億円の減少、日本製紙は 50 億円に増加した。主 な要因は王子製紙の場合為替差益によって約 100 億円減少や税引き等調整前当期利益の減 少である。日本製紙の場合調整前当期純損失が利益に変わったことや震災損失の引当金減 少額が 260 億も減少したことが要因である。 投資活動による CF では王子製紙は増加、日本製紙は減少した。両社とも固定資産への投 資額が増加している。王子製紙は 2012 年 10 月より純粋持株会社制に移行する際の 2012 年に株式取得の投資額が大きかったためである。 財務活動に対する CF では王子製紙は着々と有利子負債を返済していたが、長期借入れの 収入が増えたことでほぼ相殺され財務 CF は増加した。日本製紙は長期借入れを行い、その 返済額が増加し財務 CF の支出が増えた。 192 2-2 安全性指標 次に、安全性指標分析を行う。 「流動比率」、 「当座比率」、 「自己資本比率」 、 「固定長期適 合率」 、 「インタレスト・カバレッジ・レシオ」の5つを用いる。 当座比率 流動比率 120% 70% 100% 60% 50% 80% 40% 60% 30% 40% 20% 20% 10% 0% 0% 2009年 2010年 王子製紙 図表 14 2011年 2012年 2009年 2013年 2010年 2011年 王子製紙 日本製紙 図表 15 流動比率(単位:%) 2012年 2013年 日本製紙 当座比率(単位:%) まず、短期支払能力を示す代表的な指標として流動比率と当座比率を分析する。流動比 率(流動資産/流動負債×100)は 1 年以内に現金化される資産が 1 年以内に返済する負債で 賄うことができるかを測る。当座比率(当座資産/流動負債×100)はより換金化できる資産 で賄えるかを測る。 流動比率は 200%以上、当座比率は 100%以上が好ましいとされている。 グラフより、両社はどちらの指標も好ましい水準に達していないことがわかる。流動比率 は一貫して日本製紙が高い。当座比率は 2011 年に逆転し、日本製紙の方が高いといえる。 EDIUNET の信用格付けによると業界平均を見ると、流動比率は平均 145%、当座比率は 平均 104%であり、両社は平均的に優れていると言えない。 次に、長期支払能力を示す自己資本比率と固定長期適合率をみていく。 自己資本比率 固定長期適合率 40% 140% 120% 30% 100% 80% 王子製紙 20% 王子製紙 60% 日本製紙 日本製紙 40% 10% 20% 0% 0% 2009年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 図表 16 自己資本比率 図表 17 193 2010年 2011年 固定長期適合率 2012年 2013年 自己資本比率(=自己資本/総資本×100)はこの比率が高いと利子を支払う負債が少ないこ とを意味する。2011 年まで日本製紙は自己資本比率が高かったが、2011 年以降は逆転しほ ぼ安定している。日本製紙は利益余剰金の減少によって自己資本が減少したことが要因と 考えられる。 固定長期適合率(=固定資産/[自己資本+固定負債]×100)は長期的な投資である固定資産 を返済の必要がない自己資本と長期的な負債の範囲内で賄っているかを測るものである。 固定長期適合率は 100%以下が好ましいと考えられている。図表17 を見ると、日本製紙が 一貫して王子製紙と比べ低く、ここ 2 年間は 100%以下で推移している。よって日本製紙の 数字は優れているといえるが、長期借入金の増加による影響なので良いものではない。 インタレスト・カバレッジ・レシオ (回) 7 6 5 4 王子製紙 3 日本製紙 2 1 0 2009年 図表 18 2010年 2011年 2012年 2013年 インタレスト・カバレッジ・レシオ 最後に、インタレスト・カバレッジ・レシオ(=[営業利益+受取利息+受取配当金/支払利 息])を見る。この指標は利子支払能力を測るもので、大きい値であると支払利息をよりカバ ーできる利益を生み出していることになる。図表 18 をみると、両社はおよそ 2 倍の差で推 移している。この差は、両社の支払利息の違いがそれほどないため、営業利益の違いが大 きく影響している。一貫して王子製紙が高いが、両社とも年々減少していることが見るこ とができる。両社とも営業利益が減少していることより、利益の低下が影響していると思 われる。 2-3 格付け機関による評価 格付投資情報センター 日本格付研究所 王子製紙 A A+p 日本製紙 AA 図表 19 格付け機関の評価 格付け機関の評価を見ると、評価はどちらも安定的と評価され、王子製紙が比較的良か 194 った。王子製紙は持株会社制と一元化され、グループ全体で一定の利益とキャッシュ・フ ローを確保しているとしてグループ全体の信用力が高いと評価された。日本製紙は震災の 復旧投資拡大で利益やキャッシュ・フローの回復が進まず、悪化した財務体質の改善に時 間がかかり、方向性はネガティブと評価された。 以上の安全性分析では、総合的にみると王子製紙の方が高い。しかし、どちらの企業も 安全性が優れているとは言えないだろう。 3.効率性・生産性分析 続いて、効率性・生産性分析に移る。ここでは、資産の活用がだれだけ効率よく高い収 益性に結び付いているのかを分析する。資産全体の活用度を示す総資本回転率を分析した が、より詳しく分析するため「棚卸資産回転率」、 「有形固定資産回転率」、 「売上債権回転 率」 、 「その他の資産回転率」の 4 つに分けて分析を行う。 (回) 棚卸資産回転率 (回) 2.0 10 8 有形固定資産回転率 1.5 6 王子製紙 4 王子製紙 1.0 日本製紙 日本製紙 0.5 2 0 0.0 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 図表 20 棚卸資産回転率 2009年 図表 21 2010年 2011年 2012年 2013年 有形固定資産回転率 まず、棚卸資産回転率(=売上高/棚卸資産)と有形固定資産回転率(=売上高/有形固定資産) を見ていく。図表20から、棚卸資産回転率は王子製紙が一貫して高い。しかし両社とも 年々回転率が落ちている。2011 年の日本製紙の上昇は震災により工場の全壊や半壊により 棚卸資産が大いに減少したが、やや在庫過剰の可能性がある。図表21より、有形固定資 産回転率は 2013 年の王子製紙の値を除いて、両社は同じように横ばいで推移している。王 子製紙の有形固定資産回転率が下がった要因は、林地や植林立地などの有形固定資産が増 加したためであろう。 195 売上債権回転率 (回) 投資その他の資産回転率 (回) 8 6 7 5 6 4 5 3 2 王子製紙 4 王子製紙 日本製紙 3 日本製紙 2 1 1 0 0 2009年 図表 22 2010年 2011年 2012年 売上債権回転率 2013年 2009年 図表 23 2010年 2011年 2012年 2013年 投資その他の資産回転率 次に売上債権回転率(=売上高/売上債権)と投資その他の資産回転率(=売上高/投資その他 の資産)を見る。図表22より日本製紙が一貫して高い。2010 年の減少は売上高の減少と 売上債権の増加が原因である。王子製紙はほぼ横ばいであることがわかる。図表23より、 投資その他の資産回転率では、日本製紙が高かったが 2011 年より逆転し、近年は王子製紙 が高い。王子製紙は上昇傾向で、日本製紙は減少傾向である。王子製紙の 2013 年の増加要 因は主に投資その他の資産の投資有価証券や繰延税金資産が減少したためである。逆に日 本製紙は繰延税金資産が増加したため減少した。 以上より、効率性・生産性分析では総合的にみるとどちらが優れているとは言いにくい。 有形固定資産と売上債権回転率では日本製紙が優れているが、棚卸資産回転率と投資その 他の回転率は王子製紙が優れている。王子製紙の有形固定資産回転率の低下は将来への投 資のため、現在に結果として現れなかった可能性があると判断したためである。また、資 産全体の活用度を示す総資本回転率でも両社の差はほとんどないためである。 196 4.成長性分析 成長性分析では、時系列分析の趨勢表を手法として用いる。2009 年を基準年(100%)と して、それぞれの企業ごとに売上高、総資本、営業利益、自己資本の4つがどのように成 長したかを分析する。 王子製紙の成長性 250% 200% 150% 100% 50% 0% 2009 売上高 図表 24 2010 総資本 2011 2012 営業利益 2013 自己資本 王子製紙の成長性 日本製紙の成長性 250% 200% 150% 100% 50% 0% 2009 売上高 図表 25 2010 総資本 2011 2012 営業利益 2013 自己資本 日本製紙の成長性 図表24と25を見ると両社とも売上高、総資本は横ばいに推移している。王子製紙は自 己資本が成長し、日本製紙は自己資本がマイナス成長である。営業利益は両社ともリーマ ンショックから回復したことで成長したが、年々成長率が下がっている。よって、王子製 紙が成長性に優れていると考えられる。 197 5.グループ経営分析 グループ経営分析を行うために「連単倍率分析」と「セグメント分析」を用いる。まず 2013 年有価証券報告書の「3.対処すべき課題」をもとに両社のグループ経営戦略を見て みよう。 (1)王子製紙ホールディングス 連結子会社数:156 社 国内では ITC 化、少子高齢化に伴い生産体制再構築とコストダウンの追求が求められる 中、海外では M&A を通して成長国や新興国で積極的に事業を展開する。海外売上高比率を 25%以上と目標に掲げる。コストダウンを行う一方で新技術・新素材の開発を展開する。世 界初セルロースナノファイバーの透明連続シート化に成功したことで、金属並みの強度を 持つことから自動車や家電品、IT 部品など今後の製品の開発にも期待がかかる。また、自 社の植林地を利用する水力・バイオマス発電事業を拡大するなどグループ一丸で持続的成 長を達成する。今後は営業利益 1000 億円以上、純利益 500 億円以上の確保を経営目標とす る。 (2)日本製紙グループ 連結子会社数:47 社 第 4 次中期経営計画をスタートさせ、国内事業の復興や新規事業の開発・育成など収益 力強化を努め、海外事業も収益力強化を図る。このため国内では組織再編で事業持株会社 制へ移行や生産設備の停止や人員削減を行い安定的な収益確保をしようと試みる。また、 蓄積されてきた有利子負債や震災復興の影響で多額の有利子負債が増加したため、財務体 質の改善を行う。海外では、主にオーストラリアのオーストラリアン・ペーパー社や中国 しろ いたがみ の理文造紙有限公司などでと協力し開発を進めている。なかではパルプ製造、白板紙の生 産品質管理を改善し販売強化を推し進めている。王子製紙と同様、セルロースナノファイ バー事業や全国で初となる未利用材 100%によるバイオマス事業の実施を行う。2014 年度 までに売上高 1 兆 1,200 億円、営業利益 700 億円を目標としている。 198 5-1 連単倍率分析 連単倍率とは、親会社に対してグループ全体は何倍の規模であるかを示した指標である。 連結数値を単体数値で割り、値が1を超えれば超えるほど親会社以外のグループ貢献度が 高いことになる。注意として、両社の単体数値の売上高は営業収益を用いた。 王子製紙の連単倍率 (倍) 2009 2.22 1.23 114.84 0.50 売上高 総資本 営業利益 当期純利益 20.00 2010 2.30 1.26 4.99 2.36 2011 2.41 1.29 4.89 2.15 2012 2.65 1.30 6.12 1.44 2013 5.32 1.55 5.16 2.84 15.00 図表 27 王子製紙の連単倍率(表) 10.00 5.00 0.00 2009 2010 売上高 総資本 図表 26 2011 営業利益 2012 2013 当期純利益 王子製紙の連単倍率(グラフ) 図表26と27を見ると、2009 年王子製紙の営業利益が極端に大きい。これは、グループ の利益増加より単体での利益の減少が要因だろう。なので、震災の影響が出た 2012 年も連 単倍数が大きくなっている。2012 年 10 月 1 日より純持株会社制に移行したのでそれが売 上高、営業利益、当期純利益は微弱だが大きくなっていることがわかる。 日本製紙の連単倍率 (倍) 売上高 総資本 営業利益 当期純利益 180.00 140.00 100.00 図表 29 2009 90.90 2.56 2.07 -2.67 2010 56.10 2.62 2.84 2.17 2011 38.85 2.74 1.49 -1.02 2012 137.47 2.80 13.40 -15.79 日本製紙の連単倍率(図) 60.00 20.00 -20.00 2009 売上高 図表 28 2010 総資本 2011 営業利益 2012 2013 当期純利益 日本製紙の連単倍率(グラフ) 日本製紙の場合、連単倍数に大きく表れているのは売上高と営業利益である。売上高に 大きな値が出た要因は、株式会社日本製紙グループ本社の子会社の「日本製紙株式会社」 が日本製紙グループの売上高に関わっているためである。日本製紙株式会社の売上高は平 成 25 年決算の売上高を見ると 8,622 億円で、 日本製紙グループは 10,250 億円連結の約 84% も占めている。このため日本製紙株式会社に頼っていることがわかる。2013 年 4 月 1 日よ り事業持株会社制へ移行したことで、今後の値は大きく変動するだろう。 199 2013 168.13 2.85 21.29 10.58 5-2 セグメント別売上高 次に、セグメント別売上高を行う。データは 2013 年を参考にする。 王子製紙 セグメント別売上高 日本製紙 セグメント別売上高 7% 5% 7% 生活産業資材 45% 15% 図表 30 印刷情報メディア 紙関連事業 機能材 78% 資源環境ビジネス 28% 紙・パルプ事業 6% 9% その他・調整額 木材・建材・土木建 設関連事業 その他 図表 31 王子製紙のセグメント別売上高 日本製紙のセグメント別売上高 両社のセグメントを見ると王子製紙は1つセグメントが多いが、生活産業資材(例:段 ボール、家庭紙など)と印刷情報メディア(例:新聞紙、印刷用紙など)が日本製紙の紙・パ ルプ事業にあたると仮定すると両社は王子製紙 73%、日本製紙 78%とほぼ変わらない。注 意として、王子製紙のパルプ事業は資源環境ビジネスであることだ。機能材(紙関連事業) の割合が 15%ある。昨年度と比較すると増収である。日本製紙の紙関連事業も増収だった。 これはスマートフォンの普及により、使用される保護フィルムが売上増加につながったと 考えられる。今後も需要が拡大により、売上高割合が増えるだろう。 5-3 所在地別売上高 日本製紙の所在地別売上高 王子製紙の所在地別売上高 2% 2% 1% 0% 2% 10% 83% 5%3% 日本 1% 1% アジア 日本 北米 オセアニア 南米 アジア 欧州 北米 90% オセアニア その他 図表 32 王子製紙の所在地別売上高 図表 33 日本製紙の所在地別売上高 図表32、33より、王子製紙は国内 83%を占めているものの海外に幅広く展開してい 200 その他 るが、中心はインド、東南アジアのアジア諸国である。日本製紙は国内が 9 割を占めてお り、次いでオセアニアやアジアとなっている。オセアニア以外の地域の売上高は王子製紙 の方が勝っている。 王子製紙は 2015 年度アジアの売上高 1,500 億円を目標にしており、2014 年にはインド に段ボール工場、ベトナム合板製造工場が稼働予定でアジアへの拡大に積極的である。日 本製紙は中期経営目標における海外事業の収益強化でオーストラリアン・ペーパー社と競 争力強化を計画しており、オセアニア地域には積極的でアジアは王子製紙ほど積極的では ない。 6. 総合評価とまとめ 分析の最後に株価収益率(PER) 、株価純資産倍率(PBR) 、株価の3つの指標を分析し、 分析結果をまとめる。 PER(株価収益率) PBR(株価純資産倍率) 株価 王子製紙 15.66倍 0.79倍 406 日本製紙 ーーーー 0.61倍 1,362 図表 34 王子製紙・日本製紙のファイナンス(8 月 27 日現在) PER(株価収益率) (倍) PBR(株価純資産率) (倍) 40 1.2 20 1.0 0 0.8 -20 0.6 -40 0.4 -60 0.2 -80 0.0 2009 2010 2011 王子製紙 2012 2013 2009 日本製紙 2010 2011 王子製紙 図表 34 PER の推移 2012 2013 日本製紙 図表 35 PBR の推移 図表34の日本製紙の PER が記されていないのは、2013 年 4 月の事業持株会社制へ移 行する際に一度上場を廃止し、4 月より新たに上場したため、当期純利益が計上されていな いためだと考えられる。 図表35の PER(=株価/一株あたりの当期純利益)から見ると、王子製紙は横ばい、日 本製紙は近年上昇傾向である。13 年度では王子製紙は 14.4 倍、日本製紙は 13.9 倍と一般 的な基準の 14~20 倍で比較すると株価はやや割安に近い。 図表36の PBR(=株価/一株当たりの純資産)では、ひとつの基準は 1 倍であり両社とも 201 近年、株価は割安傾向になっている。1 倍を下回っているので両社とも株安だ。 最後にこれまでの分析をまとめる。収益性は王子製紙の方が優れている。安全性では、 王子製紙は現金を増やしており、日本製紙と比べると安全性が高い。効率性・生産性はど ちらにも優务をつけ難い。成長性では、王子製紙は総資本と自己資本を微弱だが上昇し、 日本製紙と同様に売上高と自己資本がマイナス成長している。グループ経営では、王子製 紙は 2012 年に持株会社制へ移行した結果 5 倍に変化しグループ会社の貢献が大きくなって いる。日本製紙は売上高、営業利益はほとんどグループ会社に頼っていることがわかった。 セグメント分析では、両社とも売上高のほとんどが生活用品や新聞紙・印刷出版用紙が占 めている。近年ではフィルムや環境に優しい特別な包装材料などの機能材が台頭し、売上 高も上がっている。また、両社とも海外展開を行っており、王子製紙はアジアでの、日本 製紙はオセアニアでの収益を上げようと計画しており、所在地別売上高の割合も高まって きている。 分析の結果、王子製紙が総合的に優れていることがわかった。総資本を増加させながら、 当期純利益や売上高を着実にあげているのでこのように判断した。これはアジアを中心と した海外戦略により海外投資の成果が表れ始めている。根拠の裏付けとして、7 月 26 日付 の日本経済新聞社の記事によると 2013 年 4~6 月連結純利益が前年比 2 割ほど増加してい ることがわかったためである。 国内市場が低迷する中、海外市場での展開が必要不可欠である。特にアジア諸国の新興 国が台頭しはじめ、アジア市場での紙・パルプの需要が高まることが予想されている。両 社ともグループ総合力を上げるため、事業再構築を実施し、海外市場展開や投資を行う。 王子製紙は純粋持株会社、日本製紙は事業持株会社へ移行したばかりだ。日本の紙・パル プ業界を引率する両社の戦略の違いが将来どのように変化し、違いが生まれるのか、今後 の両社に注目したい。 参考文献 ・伊藤邦雄「ゼミナール現代会計入門(第 9 版) 」日本経済新聞社 ・國貞克則「決算書がスラスラわかる財務 3 表一体理解法」朝日新書 ・國貞克則「財務 3 表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方」朝日新書 ・王子製紙ホールディングス HP http://www.ojiholdings.co.jp/ ・日本製紙グループ本社 HP http://www.nipponpapergroup.com/ ・日本製紙連合会 HP http://www.jpa.gr.jp/states/ ・日本経済新聞社 HP http://www.nikkei.com/ ・ロイター HP http://jp.reuters.com/ ・格付投資情報センター HP ・日本格付研究所 HP http://www.jcr.co.jp/ http://www.r-i.co.jp/jpn/ 202