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音楽を利用したキーボードリテラシーの改善
大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 An Improvement of Keyboard Literacy in Information Education by Using Music and Rhythmical Sequence 大 山 輝 光 森 崎 陽 子 三 好 邦 男 室 みどり 要 畑 中 雅 英 宇都宮洋才 * 約 本論文は、キーボード練習に対する身体的・時間的負担の軽減に向け、情報科学と工学、スポーツ科学、音楽、医学を専門 とする研究者が協力して行っている、情報処理技能に及ぼす音楽の影響に関する調査報告である。キーボード練習はスポー ツ科学における反復トレーニングに相当するとの観点から実施した、音楽を利用したキーボード練習手法と成果、及び解析結 果を報告する。調査期間は平成 13 年 4 月 1 日から平成 15 年 1 月 31 日、調査協力者は 363 人である。キーボード練習にお ける音楽リズムの有効性、特に好きな音楽を聴きながら練習を行うこととキーボード技能の向上との関係について明らかにする ため、通常の方法で練習を行うグループと比較しながら調査を行った。2種類のソフトウェアを用いた評価の結果、好きな音楽を 聴きながら練習することによるキーボード技能の向上が確認された。 機づけを高める方法がある はじめに 5),6) 。しかし、これら従来の教 授方法は大学や短期大学など限られた教育機関における授 業のみを対象として研究されてきたため、新たに始まった IT の発展にともない、WWW を利用した知的教育システ 初等教育での情報教育や病弱児童生徒、高齢者などへの適 ムの導入など、学校教育におけるインターネットの活用や 用は難しい。また、市販ソフトウェアに多く見られるゲー 教育手法の情報化が進められている。一方、WWW 上で実 ム性を取り入れたプログラムでは年齢差・性差・隠れた脳 現されている教育システムの入力インタフェースとしては、 障害・多人数授業への対応等を考えた時、初等教育等での 現状ではマウスによるクリックやキーボードによるタイピ 利用は困難である。よって、キーボード学習に対する従来 ングが用いられているが、これがインターネットやコンピ の研究成果の再検討と、新しいアプローチによる効果的な ュータを思考の道具として活用する上での妨げになってい 学習手法の確立が急務である。 る。特に改善が求められている文字入力インタフェース関 しては、音声認識 1) や手書き文字認識 以上の問題に対し、筆者らは、キーボード技能の練習過 2),3) 程において最も難しいと考えられる、練習初期の単調な反 、人体を信号経 路に用いる方法 4) など様々な角度から研究されているが、 復練習に対する身体的・時間的負担の軽減に向け、異なる キーボードに替わって実用化に耐えるような方法は確立さ 専門分野の立場から「情報処理技能に及ぼす音楽の影響」 れていない。 について研究を続けている 7)∼10)。その中で今回は、キーボ 一方、キーボード練習に対する身体的・時間的負担の軽 ード練習の初期に見られる練習の反復性とスポーツでの反 減に関する研究には、コミュニケーションツールとしての 復トレーニングの類似性、および「音楽やリズムの持つ美 コンピュータ教育と英語教育との類似性に基づくものや、 的快感が運動のリズムと相乗して運動経過を容易にすると 目標達成感や自己評価によって「やる気」などの内発的動 ともに持続性を与える」というスポーツ科学の研究成果に * 和歌山県立医科大学 病理学教室 19 大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 注目した。そして、これらの知見が情報教育においても有 単独行動や集団行動を有機的、組織的、統合的に整合 効であると考え、情報科学・スポーツ科学・音楽・医学の することができる。 立場から、音楽を聴きながら練習することがキーボード練 音楽とリズムの効果を十分発揮するためには、 「どのよう 習の時間的・身体的負担の軽減につながることを明らかに な音楽を使うのか」 が成否を決定する重要な鍵となるため、 するため研究授業による検証を行った。 スポーツ科学の研究分野ではこれまでに選曲や作曲におい て次のような様々な工夫がなされてきた。 本論文では、まずスポーツ科学における音楽リズムにつ ・ いて述べた後、好きな音楽を聴きながら練習を行うための 既成の音楽の中から選曲し、これに合わせて運動旋律 を決める。 新しいシステムについて述べる。次に、決められた音楽を ・ 聴きながらキーボード練習を行うグループと通常の練習を 運動旋律にマッチすると思われる何種類かの音楽を組 み合わせ、一種のコラージュのように構成していく。 行うグループを比較するための事前調査について述べた後、 好きな音楽を聴きながら練習するグループと音楽を聴かず ・ 運動旋律に合わせて新しく音楽を作曲する。 に通常の練習を行うグループとを比較しながら音楽とキー そして現在、運動が音楽によって支配されないよう、真に ボード技能の関係を調査した結果について述べる。 最後に、 運動と音楽の一体化を図る方向が志向されている。 以上のような知見に基づき、今回の研究授業と集合研修 好きな音楽を聴きながら練習を行うことの有効性について では音楽がキーボード練習の妨げにならないよう、既存の 述べる。 音楽の中から好きな音楽を練習者が自由に選択できるよう スポーツにおける音楽リズム にした。そして、音楽リズムがキーボード練習プロセスの 容易化と持続性に与える影響を定量的に調べるため、次の ような調査を行った。 やり慣れた易しい動作や運動は、 目を閉じていてもでき、 修正も容易である。しかし、新しい運動は自分のイメージ 調査方法 する動作をやっているつもりでも、実際に行っている動き がイメージからずれることが多く修正も難しい。新しい動 作や運動を身につけるためには、系統的、段階的に練習を タイピングはコンピュータ教育の軸である 12) との考え 行うことを原則に、動きのポイント、運動技術が筋運動感 に基づき、音楽を聴きながら学習する集合研修「基礎から 覚的にわかるような場の条件、部分的練習や補助などを工 学ぶコンピュータ講座」を実施した。講座は毎週1回午後 夫する必要がある 8)。その中で、旋律、和音とともに音楽 6 時から 7 時 15 分に行い、初心者が無理なく学習できるよ の三要素の一つとされているリズムは、スポーツにおいて うマウス操作とキーボード練習からスタートし、ワープ 運動の本質的な要素として重要な役割を占め、リズムを媒 ロ・表計算ソフトの利用、電子メールとインターネットの 介としてスポーツと音楽は密接不離な関係を持って発展し 利用、ホームページ作成と情報発信の 10 回で構成した。 てきた。スポーツと音楽、リズムの直接の結びつきは、近 この講座の受講生に加え、研究参加の同意を得た文系短 代スポーツとしての体操競技や床運動、新体操競技、フィ 大生について、決められた音楽を聴きながらキーボード練 ギュアスケート、シンクロナイズドスイミング、マスゲー 習を行うグループ好きな音楽を聴きながら練習するグルー ムなどに見られる。音楽やリズムが、このようなスポーツ プ、そして通常の練習を行うグループに対する研究授業を の運動効率に寄与する点には次のようなものがある 9)。 実施した。 ・ ・ 研究授業と集合研修への参加者は18歳∼63歳の男女363 音楽やリズムの持つ美的快感が運動のリズムと相乗し て運動経過を容易にするとともに持続性を与える。 人、調査期間は平成 13 年 4 月 1 日から平成 15 年 1 月 31 音楽の持つ正確な時間的秩序が運動の秩序につながり、 日である。 音楽を聴く方法として、図1のような無線ヘッドセット 運動の速度と持続時間、間隔、タイミングなどを適正 ・ にする。 を利用したオーディオシステムと、パーソナルコンピュー 時間(息)と運動(力)を合わせることが容易化され、 タとマルチメディアヘッドセットを利用した有線システム 20 大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 の2種類を用いた。密閉型無線ヘッドセットは、音楽を聴 れる。記録シートは、参加者の関心・意欲や目標達成感の かずに練習する参加者のために、ヘッドフォンからの音漏 ために補助的に用いた。 れ(雑音)遮断用としても使用した。 事前調査 決められたカテゴリの音楽を聴きながら練習するグルー プと、音楽なしで練習するグループの比較を行うために、 最初の4ヶ月間を用いて事前調査を行った。 音楽にはジャズ・フュージョンを使用し、音楽を聴きな がら練習するグループ専用に防音措置を施したコンピュー タ室を使用して、研究授業と自習時に常に音楽を聴きなが ら練習するよう指導した。 調査結果の一部を表1に示す。表中の数値は、練習開始 前後に行った3分間の文字入力テストの差、すなわち4ヶ 月間の技能向上を表している。 図1 調査システムの一部 表1 事前調査の結果(単位:文字数) 今回の研究では、特に音楽の持つ練習経過の容易化と持 続性の効果を明らかにするため、音楽を聴きながら練習す 全体 経験者 初心者 るグループと、音楽を聴かずに練習するグループの比較を 音楽あり 51.5 40.1 57.4 行うが、特に音楽カテゴリによる教育効果の違いを調べる 音楽なし 69.5 61.8 76.2 ため、次のような二種類の調査を実施する。 この調査の結果、音楽による技能の向上は確認できず、 特に初心者の場合、通常の方法で練習を行った場合より 1.調査1 18.8 ポイント低いという結果が得られた。 調査1では、日本商工会議所が実施しているキータッチ そこで学習方法を修正するため、調査終了後、音楽に関 2000 テストに基づいて作成されたソフトを使い、調査開始 するアンケート調査を行った。 2週間後(4月)と調査終了時(7月)の2回、技能テス 調査項目は参加者の音楽への接し方や嗜好、使用した音 トを行う。このテストは、ランダムに提示される英数字と 楽であるジャズ・フュージョンの印象、さらに、今回の参 記号を3分間入力して行われ、その入力文字数で評価され 加者が教育者志望の学生を中心としていることから調査手 る。なお、正しい打鍵が行われるまで進まないようプログ 法に関する次のような事項を中心に構成した。 ラムされているため、誤字や脱字の訂正技能の評価は含ま ・ れていない。 音楽を聴きながらキーボードや文章入力の練習をする ことについて この調査によって、練習開始から終了までの上達状況を 分析することができる。 ・ 日常的な音楽に関する姿勢 ・ 音楽によるキーボード練習への関心・意欲について その結果、音楽に関する嗜好調査において、好きな音楽 2.調査2 ジャンルの中で今回使用したジャズ・フュージョンを選ん 調査2では、 英数字と記号を基礎から学習するソフトと、 だのは 1.5%にすぎず、最もポイントが高かったのは有線放 記録シートを用いて調査を行う。ここで用いるソフトは、 送の J-POP チャンネルであった。また、音楽を聴きながら 習熟度に応じて−8 から+7 までレベルアップするように 勉強をすることに関する調査結果において最も多いのは プログラムされている。レベル 0 で毎分 60 文字、レベル 「時々そうする」であった。 +1 で毎分 80 文字程度の習熟度となり、練習時間が記録さ 21 大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 における初心者の身体的・精神的負担が軽減されたことを これらの結果を踏まえ、新しい学習システムでは「時々 示唆していると考えられる。 音楽を聴きながら練習をする」といった、中間要素を含ん だ音楽利用ができるような指導を取り入れた。また、図1 表2 調査1の結果(単位:文字数) に示すシステムの無線ヘッドフォン側では、アンケート調 査の結果、最も希望の多かった有線放送の J-POP チャンネ 2週間後 4ヶ月後 増加量 初心者全体 154.41 228.72 74.31 音楽なし 151.89 226.16 74.27 音楽自由 158.20 232.57 74.37 経験者全体 176.90 247.17 70.28 音楽なし 179.53 241.57 62.04 音楽自由 173.84 253.45 79.62 ルを、パソコンとマルチメディアヘッドセットのシステム では、クラシックや最新の CD アルバムなどを選んで聴き ながら練習できるように設定した。 結果と考察 音楽グループは 109 名で、ジャズ・フュージョンのみを 4ヶ月後に実施した調査終了時のテストの結果を見ると、 聴きながら練習する者が 38 名(事前調査) 、自由に選んだ 音楽なしのグループに比べ音楽自由のグループが初心者の 音楽を聴きながら練習する者が 71 名である。また、音楽 場合 6.41 ポイント、 経験者場合 11.88 ポイント良い成績と を聴かずに練習する通常グループは 198 名、評価テスト不 なっている。また、4ヶ月間の技能向上を示す増加量も、 参加など、集計対象外が 27 名である。 初心者と経験者の両方で好きな音楽を聴きながら練習を行 経験あり/経験なしの分類は、事前調査では練習開始2 うグループが良い結果となっており、特に経験者の場合 週間後(4月)に実施した調査1のテスト結果に基づいて 行ったが、初心者の中に最初の2週間で高度な技能を習得 に基づいて決定した。その結果、経験者が 128 名、初心者 1.40 は 179 名であった。 文献 9)でも述べたように、初心者が決められた音楽を聴 きながら練習した場合、キーボード技能の向上は期待でき 400 300 1.35 200 1.30 1.25 ない。また、練習者の技能レベルに関わらず音楽なしで練 1.20 習を行う方がよいという結果であった。そこで今回は、練 1.15 練習時間 調査2の成績 100 練習時間(単位:分) 1.45 調査2の成績 するケースが見られたため、今回は事前のアンケート調査 0 全体 音楽なし 音楽自由 習者が好きな音楽を選択し、それを聴きながら練習するこ との影響を明らかにすることを中心に調査する。 (a)参加者全体 400 1.45 調査1では4月と7月に2回の文字入力テストを実施す 調査2の成績 1.40 るが、初心者の場合、練習開始直後ではタイピングが全く できない参加者が多いことから、第1回目のテストは練習 開始から2週間後に実施した。 300 1.35 200 1.30 1.25 調査1の結果を表2に示す。表中の数値は3分間テスト 1.20 での入力文字数である。練習開始から2週間後のテスト結 1.15 練習時間 調査2の成績 0 初心者全体 音楽なし 果を見ると、初心者の場合、音楽を聴きながら練習を行っ たグループの方が 6.31 ポイント良い成績となっている。 (b)初心者 一方、経験者の場合、音楽なしグループの方が 5.69 ポイ 図2 調査2の結果 ント成績がよい。この結果は、音楽によって練習開始直後 22 100 音楽自由 練習時間(単位:分) 1.調査1の結果 大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 17.58 ポイントと技能向上が著しいこと が分かる。 学習者( 調査の参加者) なお、初心者の増加量を見ると、音楽 なしと音楽自由の差が小さいが、これは 初心者の中に最初の2週間で高度な技能 を習得するケースが見られたためと考え イ ンタ ーネッ ト を活用し ながら 継続し て学習支援を受ける マルチメ ディ ア教材 ( 動画・ 静止画) 質問に対する回答 学習状況の確認など 質問など 和歌山県立 医科大学 イ ンタ ーネッ ト 配信用 コ ンテンツの作成支援 教材配信 質問への回答など られる。 和歌山信愛女子短期大学 学習支援用サーバ 以上の結果より、音楽やリズムの効果 が初心者はもちろん、経験者に対しても 有効であることが確認された。 教材配信 質問への回答など 本研究では、初心者について、音楽を 集合研修への参加 利用したキーボード練習の初期に見られ る反復トレーニングの容易化について調 和歌山信愛 女子短期大学 集合研修 ①定期的な講習会の実施 ②学習者用パソ コ ンの設置 査を行ってきたが、今回の調査の結果、 既に一定の技能水準に達している経験者 図3 学習者支援システムの概要 が行う再トレーニングに対しても有効で あるという結果が得られたことは非常に を通してキーボード練習に対する継続調査を実施した。と 興味深い。 ころが最近、参加者は研修日のみ練習を行い、それ以外で はほとんど練習しないということが明らかになり、キーボ 2.調査2の結果 ード操作をより短期間で身につける上で問題となってきた。 英数字と記号を基礎から学習するブラインドタッチ練習 そこで、集合研修日以外の日常的な練習や自学自習をソ 用ソフトウェアを用い、4ヶ月間継続して練習を行った結 フトとハードの両面から支援するために、インターネット 果を図2に示す。 のインタラクティブ性と新規性を最大限に生かした図3の 図において左軸と●はソフトウェアによって自動的に評 ような学習システムについて現在検討中である。このシス 価された成績を、右軸と○はソフトフェアに自動記録され テムは、学習者が必要に応じて利用できる動画、制止画、 た累積練習時間を表している。 音声、テキストなどの新しいコンテンツと、遠隔指導を可 参加者全体に対する調査結果を示す図2(a)より、 音楽を 能とするテレビ会議システムによって構成されている。 聴きながら練習することで、練習時間が約 70 分長くなり、 成績が約 0.18 ポイント向上していることが分かる。 さらに初心者の場合、 図2(b)のように音楽の影響は更に 顕著となり、通常グループに比べて練習時間で約 100 分、 成績で約 0.21 ポイント向上していることが分かる。 これらの結果により、音楽によって練習の身体的負担が 軽減され、それに伴って練習時間が増加し技能の向上に結 びついていることが確認された。また、これらは特に初心 者において顕著であることが確認された。 学習支援 図4 テレビ会議システムのテスト画面 今回は、研究授業とコンピュータ講座の2つの集合研修 23 大山・三好・畑中・森崎・室・宇都宮:音楽を利用したキーボードリテラシーの改善 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 , Vol.J83-D- Ⅱ , No.6, 学習システムの中心の一つである、インターネットの双 pp.610—618 (2000). 方向性を利用した学習支援用テレビ会議システムのテスト 3) 小川英光:パターン認識・理解の新たな展開,電子情 画面を図4に示す。 報通信学会 (1994). このテレビ会議システムでは、自宅と本学をインターネ ットで結ぶことにより、 同時に最大 10 名の受講者に対する 4) 福本雅朗,外村佳伸: Wireless FingeRing:人体を信号 遠隔指導や学習支援、さらには集合研修の遠隔受講が可能 経路に用いた常装着型キーボード, 情報処理学会論 となる。これは遠隔地の受講生はもちろん、特に、集合研 文誌, Vol.39, No.5, pp.1423―1430 (1998). 修への参加が困難な高齢者や病弱児童・生徒の学習に有効 5) 佐藤紘: 情報教育における打鍵技術教授のある試み, であると考えている。また、集合研修に参加できない受講 情報処理学会論文誌, Vol.39, No.9, pp.2741―2749 生に向けては自立学習用コンテンツの充実に加え、対話型 (1998). 14) 6) 吉長裕司,川畑洋昭:情報教育におけるキーボードリ 電子白板 による電子化授業の実施などを検討している。 テラシーの一考察,情報処理学会論文誌,Vol.42, No.9, まとめと今後の課題 pp.2359-2367 (2001). 7) 大山輝光,三好邦男,畑中雅英,森崎陽子,室みどり:キ ーボード操作における音楽の影響,情報処理教育研究 キーボード操作における時間的・身体的負担の軽減に有 集会論文集,pp.131―134 (2001). 効な練習方法を開発することを目的に、スポーツ科学の分 野で知られているリズムの効果と無意識の効果を取り入れ 8) 黒川國児他:生涯スポーツ概論,中央法規 (2001). た練習方法を提案し、その有効性を実験的に調べた。 9) 大山輝光,三好邦男,畑中雅英,森崎陽子,室みどり,宇 都宮洋才:音楽,リズム,キーボードリテラシー,信愛 研究参加の同意を得た 18 歳∼63 歳の男女 363 人につい 紀要,Vol.42, No.1, pp.1―7 (2002). て、音楽を聴きながらキーボード練習を行うグループと、 通常の練習を行うグループを比較しながら、音楽とキーボ 10) 大山輝光,三好邦男,森一郎,宇都宮洋才,室みどり,畑 ード技能の関係を調査した結果、好きな音楽を聴きながら 中雅英,:高齢者のインターネット利用を支援するた 練習を行うことの有効性が確かめられた。今後は、サマー めのキーボード練習方法の開発とその評価に関する スクールを実施するなど、初等教育での調査を実施する予 研究,情報処理教育研究集会論文集,pp.131 ―134 定である。また、筆者らが実施している産学官研究会の成 (2002). 果を活用し、インターネットテレビ会議システムを利用し 11) 白鳥嘉勇: 左右対称形キーボードの形状効果と現用 た遠隔指導を実施するなど、学習者の多様化に対応しなが 形キーボード操作者による連続打鍵特性, 情報処理 ら「誰でも、どこでも、いつでも、気軽に利用できる、よ 学会論文誌, Vol.35, No.10, pp.2180―2188 (1994). 12) 坂野敦史,松澤芳昭,大岩元:コンピュータサマースク りやさしい」学習システムを検討する予定である。 ールの試み,情報処理学会研究報告,Vol.2001, No.122, 謝辞 本研究は文部科学省科学研究費補助金(萌芽研究 pp.71-78 (2001). No.14658057) 及び財団法人和歌山県医学振興会医学研究助 13) 橋本美奈子 他: ペン入力のための楕円形仮想キー 成金による。 ボードとベクトル入力法, 情報処理学会論文誌,Vol. 参考文献 37, No.11, pp.2105-2115 (1996). 14) 岩田陽子 他:対話型電子白板を用いた電子化授業へ の遠隔受講者参加方式の試作,情報処理学会研究報 1) 古井貞煕: 音声トランスクリプションのこれまでと 告,Vol.2002, No.119, pp.33-40 (2001). 今後の展望, 電子情報通信学会論文誌, Vol.J83-D-Ⅱ, No.11, pp.2059―2067 (2000). 2) 伊藤穣 他: WWW 上でのオンライン手書き文字認識 の実現とそれを実装した知的教育システムの開発,電 24