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都内オフィス賃料の先行き試算

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都内オフィス賃料の先行き試算
みずほインサイト
日本経済
2012 年 8 月 6 日
都内オフィス賃料の先行き試算
経済調査部エコノミスト
依然として遠い本格回復
03-3591-1416
市川雄介
[email protected]
○ 都内のオフィス市場はなお厳しい状況が続いているが、供給圧力が一服しつつあることなどを受け、
このところ回復期待が高まっている
○ もっとも、調整スピードが緩慢な市場構造を踏まえると、当面の回復力は弱い見込み。誤差修正モ
デルを用いて平均的なシナリオの下で試算すると、2013年の賃料上昇率は4%程度となる計算
○ 改善が続くとはいえ、2013年中の賃料上昇ペースは力強さを欠き、本格回復とは言いづらい状況。
加えて、物件レベルで回復力に差が生じる状況は今後も続く見通し
1. 回復期待が強まる都内オフィス市場
都内のオフィス市場は厳しい状況が続いている。三鬼商事によると、東京ビジネス地区(千代田区、
中央区、港区、新宿区、渋谷区の5区)の平均空室率は6月に9.
43%と過去最悪の水準を更新した(図
表 1)。平均賃料は下げ止まりの兆しがみられるものの、きわめて低い水準での推移が続いている。
こうした状況にもかかわらず、不動産関係者の間では、このところ回復に向けた期待が高まってい
るようだ。その理由として、①足元の空室率の高さは数年前に着工されたオフィスが相次いで竣工し、
2012年の新規供給量が2003年以来の高水準となる供給側の要因による面が強く、IT関連企業などを
中心に需要自体は底堅いこと、そして②その大量供給も一服しつつあること、が挙げられる。空室率
図表 1 東京ビジネス地区の空室率と平均賃料
(%)
10
(3カ月前比、%Pt)
(円/坪)
2.0
15,000
空室率(左目盛)
9
16,000
8
17,000
7
需要要因
供給要因
1.5
空室率
1.0
18,000
6
5
4
19,000
0.5
20,000
0.0
21,000
3
-0.5
22,000
2
1
図表 2 都内オフィス空室率の要因分解
平均賃料(右逆目盛)
23,000
0
-1.0
09
24,000
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(年)
10
11
12
(年)
(注)v:空室率、S:供給床面積、D:稼動床面積とすると、v
=1
-D/
Sより、
(注)シャドーは景気後退期。
(資料)三鬼商事「オフィスビル市況」より、みずほ総合研究所作成
2
⊿v
=(
⊿S
・D
)/
S-⊿D
/S。第1項を供給要因、第2項を需要要因とした。
(資料)三鬼商事「オフィスビル市況」より、みずほ総合研究所作成
1
の変化を要因分解すると、確かに①の傾向が読み取れる。すなわち、供給の大幅な増加が空室率の押
し上げ要因となる一方、2010
年半ば以降は需要が回復に向かい空室率の押し下げに寄与しており(前
ページ図表 2)、需要が枯渇したリーマン・ショック後の局面とは異なっている。また②について、
都心5区の今年の新規ビルの竣工スケジュールを四半期ごとに集計してみると、年前半に集中している
ことがわかる(図表 3)。秋口にも一定の供給が予定されているとはいえ、竣工ラッシュは足元で峠
を越したと評価できる状況だ。来年以降の供給が抑えられる見込みであることも(図表 4
)、需給改
善要因として意識されている。
ただし、今後の新規供給量が低水準にとどまるとしても、現時点で大幅な需給ギャップが存在して
いることに変わりはない。一部の新築ビルは機能性や立地の観点からテナントの引き合いが強く、竣
工時の稼働率が9割以上に達するケースもある一方、移転元のビルの空室がなかなか埋まらない「二次
空室」の問題が懸念されるなど、必ずしも回復に広がりがみられるわけではない。
本稿では、都内ビジネス地区のオフィス賃料の動向に焦点を当て、今後の回復ペースを定量的に把
握することを試みる。オフィス賃料は均衡値から長期間乖離することが多いが、そうした市場構造を
踏まえた賃料関数を推計し、先行きを試算する。
2. 賃料関数の推計とシミュレーション
(1)賃料の長期均衡
オフィス賃料に影響を与える第一の要因は、空室率である。市場の空室が多いほど、テナントの交
渉力は高まり、賃料は下がりやすくなる。逆に、空室が少ないほど賃料には上昇圧力が加わる。経験
則として都心5区の空室率が概ね5%を下回ると賃料は上昇すると言われており、実務的にも空室率の
動向は重視されている。もっとも、空室率と賃料水準の関係は時期によっては必ずしも強くなく(前
掲図表 1)、それのみで賃料の変動を説明するには限界がありそうだ。市場の空室状況が一定であっ
ても、企業の収益力が高まれば賃料支払いの余力が増え、賃料に上昇圧力が加わると考えれば、企業
図表 3 オフィス供給量の四半期展開(
都心 5区)
2
(万m )
図表 4 オフィス供給量の見通し(都内23区)
渋谷区
新宿区
港区
中央区
千代田区
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(万m2 )
250
200
150
年平均
100
50
0
Q1
Q2
Q3
2011
Q4
Q1
Q2
Q3
2012
Q4
Q1
Q2
Q3
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年)
Q4
2013
2
(注)オフィス延床面積1
万m以上の大規模オフィスビル供給量
(20
11年1
2月時点)。
(資料)森トラスト「東京23区のオフィスビル供給量調査」
(
注)延床面積1
万平方メートル以上の主要な計画について図示。
計画の変更など全ての最新情報を反映できていない場合もある。
(
資料)各種情報誌・公開情報等より、みずほ総合研究所作成
2
側の負担能力の高さを表す指標を考慮する必要があるだろう。そこで本稿では、空室率に加え、オフ
ィス生産性(生産額÷オフィス稼動床面積)を説明変数として採用することにした(詳細は補論A参
照)。
rent t = a 0 + a 1 prot + a 2 vacancyt + e t
…(1)
〔 rent :単位面積当たり募集賃料(対数値)、 pro :名目生産性(
対数値)、 vacancy :空室率〕
1996~2012
年の四半期データを用いて(
1)式を推計すると、フィットはあまりよくない(図表 5用
いたデータの詳細及び推計結果は補論B(Ⅰ)と(Ⅲ)
を参照)。現実的には、一定期間固定されている
既存契約から大きくかけ離れた条件で新規募集賃料を設定することは難しく、市場の空室率やテナン
トの収益状況に応じて賃料が柔軟に変動するわけではないことが背景にあろう。このように考えると、
(1)式の関係は賃料と生産性、空室率の長期的な均衡関係を表したものと解釈できる。実績値が均衡値
を下回っている現在の局面は、自律的な回復力が働きやすい状況にあると言える。
(2)調整スピードが緩慢なオフィス市場
短期的な賃料の変動を捉えるには、均衡値からの乖離が生じることを前提とした上で、均衡値へ向
かう調整過程を明示的に考慮する必要がある。そのようなモデルが、次の誤差修正モデル(エラー・
コレクション・モデル、ECM)である。
Drent = c + lECt -1 + å b i Drent t -i + å g i Dprot -i + åq i Dvacancy t -i + h t
i =1
i =1
…(2)
i =1
ただし、 EC t = rent t - (a 0 + a 1 prot + a 2 vacancyt )
(2)式は、賃料の伸びが、賃料自身と生産性、空室率のそれぞれの過去の変動に加え、誤差修正項
(EC項)よって説明されることを表している。EC項は長期的な均衡値からの乖離であり、(1)式に
より算出される。その係数 l は均衡値への調整速度を表すと解釈できる。
(2)のモデルを推計すると、賃料の変動を比較的よく捉えている様子がうかがえる(図表 6。推計
結果の詳細と、推計の前提として行った単位根・共和分検定については補論B(Ⅱ)(Ⅲ)参照)。調整
図表 5
賃料の長期均衡と実績値
図表 6
(円/坪)
24,000
実績値
23,000
長期均衡値
賃料の短期変動
(対数前期差×100≒前期比(%))
5
4
実績値
3
2
1
0
22,000
21,000
20,000
推計値(λ=-0.0551)
-1
-2
-3
-4
-5
-6
19,000
18,000
17,000
16,000
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(年)
(
注)推計値はECMに基づく値。λはEC項の係数。
(
資料)三鬼商事、内閣府より、みずほ総合研究所試算
(
注)長期均衡値は生産性と空室率を説明変数としたモデルによる値。
(
資料)三鬼商事、内閣府より、みずほ総合研究所試算
3
(年)
速度を表す l の係数は0.055となっており、賃料が長期均衡から乖離したときに必要な調整期間は、
- 1 / l =18.2四半期(≒4.5年)と計算される。都内のオフィス市場は、一旦均衡値から乖離すると調
整が終わるのにかなりの時間を要すると言えよう。
当期の需給が改善(悪化)した場合、長期的な均衡関係からすれば賃料は上昇(下落)するはずで
あるが、調整に長期を要するオフィス市場の特性を前提とした場合、そうした変動がすぐに顕在化す
るわけではない。賃料と空室率のピーク・ボトムには一定のラグがあるが(前掲図表 1)、それはこ
のような市場の特性を反映していると言える。
(3)2013年末にかけて賃料は4%程度上昇か
(1)(2)式を元に、20
13年末までの賃料に関するシミュレーションを行ってみよう。ここでは、空
室率に関して、両極端な悲観(①)・楽観(②)シナリオと、中間シナリオ(③)
を考える。①は、空
室率が2013
年末まで2
012年6月の過去最悪の水準(9.43%)から横ばいにとどまるケース、②は空室率
が2012年末に9.0%に低下し、2013年入り後は毎四半期1%ずつ低下していく(20
13年末の空室率が
5.0%)ケース、③は空室率が2012年6
月をピークに、前回の低下局面(2
003年半ば以降)と同等のペ
ースで低下していく(2013年末の空室率は6.96
%)ケースである。②に関しては、データを遡ること
のできる199
5年以降で空室率が4四半期累計で4
%以上低下したことはない(そもそも空室率の1四半期
での改善幅は最大で1
.05%)ことから、相当程度楽観的な前提と言えよう。また、③は2012年6
月をピ
ークと仮定しているが、第3四半期に一定の供給が予定されていることを踏まえると(前掲図表 3)、
若干楽観的とも考えられる。なお、オフィス生産性はいずれも横ばいと仮定した。
シミュレーションをすると(図表 7
)、①のシナリオでは賃料は2
012年内は横ばいで推移したのち、
2013年入り後に緩やかに上昇していく結果となった。空室率が一定であるにもかかわらず賃料が上昇
トレンドに転じるのは、均衡値を下回った状態から自律的な回復力が働くためである。このケースで
は2013年末の賃料水準は2012
年末から2
%程度の上昇にとどまる。②のシナリオでは2012年内の推移は
図表 7
誤差修正モデルに基づく賃料のシミュレーション
(円/坪)
(円/坪)
23,000
22,000
シナリオ①
シナリオ②
シナリオ③
21,000
18,000
シナリオ①
シナリオ②
シナリオ③
17,500
20,000
シミュレーション
17,000
19,000
シミュレーション
18,000
16,500
17,000
12
13
(年)
16,000
05
06
07
08
09
10
11
13 (年)
12
2012Q2→Q4
賃料変化率(%)
2012Q4→2013Q4
賃料変化率(%)
シナリオ① 2013年末まで9.43%で横ばい
-0.1
2.2
シナリオ② 2012年末で9.0%、その後は毎四半期1%低下
-0.1
7.0
0.0
4.4
空室率の前提
シナリオ③
2012年第2四半期をピークに、前回低下局面(2003年半
ば以降)と同じペースで低下
(資 料) みずほ 総合研究所 試算
4
①と大差ないが、201
3年は回復ペースが大きく加速し、来年末にかけて7
%近く上昇する計算となる。
ただし、水準でみれば2006年頃と同程度のレベルに戻るに過ぎない。①と②の間におさまる③にシナ
リオでは、来年の上昇率は4%程度となる。
図表 8は、シミュレーション結果を過去2回の賃料上昇時と比較したものだ。極めて楽観的な②の
シナリオであれば、前回回復局面(2004
年末~)とおおむね同程度の上昇ペースとなることがわかる。
逆に言えば、相当楽観的な状況を想定しない限り、前回と同程度の回復実感は湧かないと言えよう。
空室率が迅速に低下するこのシナリオの下でも、需給均衡の目安とされる5%に達するのが2013年末で
あることを踏まえれば、ある意味当然であろう。
以上をまとめると、来年のオフィス賃料は少なくとも2%程度、それほど無理がないと思われるシ
ナリオによれば4%程度の上昇が見込まれる。四半期の平均伸び率が1%程度であると考えれば、4
%の
上昇率では力強い回復とは言い難いだろう。極めて楽観的なシナリオであれば力強さは増すものの、
その実現可能性は低い。来年の賃料は改善が続く見込みであるとはいえ、本格回復を実感できるほど
の伸びは期待しづらいと考えられる。
3. おわりに
一定の前提の下で誤差修正モデルを用いてオフィス賃料のシミュレーションを行うと、2013
年中の
本格的な回復は難しいという結果が得られた。試算結果は幅を持ってみる必要があるが、テクニカル
な問題とは別に、試算の対象が都心5区の平均賃料であることにも留意が必要だ。すなわち、特に回復
局面の初期では個々の物件レベルで回復感に差が生じやすく、市場が全体として力強さを欠く中で、
一部の地区や物件では活況を呈するという状況がありうるからだ。東日本大震災後には耐震性に対す
る関心が大きく高まっているが、そうしたテナントの高機能志向に応えられる優良物件は引き合いが
強まる一方、機能性の劣るビルでは需要が低迷するという二極化の傾向は今後も続くものと考えられ
る。今後のオフィス市場を展望する上では、市場全体のデータにとどまらず、ミクロの動向を把握す
図表 8
シミュレーション結果の過去局面との比較
(底=100)
108
2000年代初頭(底=2000Q3)
2000年代半ば(底=2004Q4)
今回局面 (底=2012Q1)
シナリオ①
シナリオ②
シナリオ③
107
106
105
104
2013
年末
103
102
101
100
(四半期)
99
-3
-2
-1
底
1
2
3
4
5
6
(注) 賃料 が ボト ムを つ けた 四半 期 (底 )の 水準 を 100と して 各局 面
ごと に 指数 化。 今 回局 面の 底 は試 算の 結果 2012Q1とな っ た。
(資料 ) 三 鬼 商事 、み ず ほ総 合研 究 所
5
7
る重要性が一段と高まると言えよう。
参考文献
木村武・中山興(200
0)「為替レートのボラティリティと企業の輸出行動」『日本銀行調査月報』
2000年3月号
副島豊(199
4)「日本のマクロ変数の単位根検定」日本銀行金融研究所『金融研究』第13
巻第4号
吉田知生(1
989)「通貨需要関数の安定性をめぐって――ECM(E
rrorCor
rectionModel)による計
測――」日本銀行金融研究所『金融研究』第8
巻第3
号
補論A
オフィス生産性と賃料の関係
企業はオフィス床面積 OC と、雇用 L を要素として生産活動を行うと仮定する。オフィスの賃借に
は賃料(単位面積当たり賃料 R × OC とする)が発生するため、コストとの見合いで賃借面積を決定
することになる。したがって、企業は、
p = P × F (OC, L) - OC × R - C ( L)
を最大化するよう行動する。ここで、p は利潤、P は生産物価格、F (OC , L) は生産関数、C (L) は
雇用コスト(賃金×雇用者数)である。一階の条件をとると、
R = P×
¶F
¶OC
…(*)
となる。すなわち、企業にとっての最適な条件は、賃料が「オフィスを追加的に1
単位賃借して得
られる追加的な生産額」に等しくなることである。
a
1-a
生産関数を F = A × OC L
のコブ・ダグラス型に特定すると、
¶F
F
=a
¶OC
OC
補論図表 1オフィス賃料と生産性の関係
(2005年=100)
135
130
名目オフィス生産性
125
平均賃料
120
115
110
105
100
95
90
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(年)
(
注)名目オフィス生産性=名目国内需要÷都心5
区の稼動床面積。
(
資料)三鬼商事、内閣府より、みずほ総合研究所作成
6
…(**)
となり、オフィスの限界生産力はオフィスの平均生産性のα倍に等しくなる。したがって、(*)式
と(**)式から、(賃料)= a ×(名目オフィス生産性)という関係が導かれる。
賃料とオフィス生産性の推移をみると(補論図表1
)、「ミニバブル」と言われた2007年頃とその
後の調整局面においては大きく乖離しているが、長期的にみれば両者は密接な関係にあると言えよう。
補論B
各変数の単位根・共和分検定と賃料関数の推計結果
(Ⅰ)データ
本稿で用いたデータは下記の通り(全て四半期データ)。
・
賃料…都心5
区の坪当たり平均賃料(20
05年=10
0として指数化、対数変換)
・
空室率…東京ビジネス地区の平均空室率(%)
・
生産性…生産額÷都心5区の稼動(=貸室-空室)床面積(2005
年=100、対数変換)
オフィス関連は三鬼商事『オフィスビル市況』のデータであり、集計対象は東京ビジネス地区(千
代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の5区)にある基準階面積が100
坪以上の主要貸事務所。賃料
は新規募集条件。
生産性の分子の生産額については、本来は東京都やビジネス地区のオフィスにおいて生み出された
生産量を用いるのが望ましいが、都レベルで長期の四半期データを得られる統計の多くは製造業に限
定されており、オフィス生産性を見る上では適切でないことから、本稿では代理変数として国内需要
(内閣府『国民経済計算』)を用いた。
(Ⅱ)共和分検定
ECMモデルを推計する前提として、①各変数が水準では非定常(トレンドをもつ場合など)だが
階差をとると定常であり、かつ②変数間に共和分の関係(各変数がお互い独立して変動するのではな
く、変数間に乖離を妨げるメカニズムが働く関係)が成り立つことを統計的に検定する必要がある。
①を示すには単位根検定といわれるテストを行う。補論図表2に示すように、各変数は水準では非
補論図表 2単位根検定(Phil
lipsPer
ron検定)
変数
ln(rent)
⊿ln(rent)
ln(pro)
⊿ln(pro)
vacancy
⊿vacancy
パターン
トレンド・定数項
定数項
トレンド・定数項
定数項
トレンド・定数項
定数項
トレンド・定数項
定数項
トレンド・定数項
定数項
トレンド・定数項
定数項
補論図表 3Johanse
nの共和分検定
PP統計量
-2.12
-1.89
-2.89
-2.90 *
-0.68
-1.62
-7.68 ***
-7.41 ***
-2.02
-1.45
-3.56 **
-3.45 **
トレース検定 最大固有値検定
0
共和分の数
1
2
34.294 **
(0.014)
9.508
(0.320)
2.214
24.785 **
(0.015)
7.294
(0.455)
2.214
(0.137)
(0.137)
(注) 1.()内はP値。**は5%有意水準で帰無仮説「共和分
ベクトルの数はr本」が棄却されることを示す。
2.推計期間は19
96Q1
~201
2Q2。ラグ次数は2(VAR
モデル
推計時のシュワルツ情報量基準により決定)。
(
注)
1.推計期間は1
99
6
Q
1~20
1
2
Q2
。
2.*
**
、*
*
、*
はそれぞれ1
%、5%、1
0
%有意水準で
帰無仮説「非定常過程である」が棄却されることを示す。
7
定常過程であるとの帰無仮説を棄却できないが、1回階差を取ると帰無仮説を棄却できるため、水準非
定常・階差定常なI(1
)変数と判断される。②について、賃料と生産性、空室率の間に共和分関係が成
立するかどうかを検定すると(補論図表3)、共和分ベクトルの数がゼロ(=共和分の関係なし)とい
う帰無仮説は5%有意水準で棄却されるが、共和分が1あるという帰無仮説は棄却されない。したがっ
て、3変数の間には共和分関係が成立すると判断した。
(Ⅲ)賃料関数の推計結果
各変数が共和分の関係にある場合、何らかのショックによって均衡値からの乖離が生じても、長期
均衡に再び収束するメカニズムが働かなければならない。そのためには、誤差修正モデルにおいて、
均衡値と実績値との乖離を表す誤差修正項ECの係数 l が - 1 < l < 0 を満たす必要がある。
本文(1)・(2
)式を推計した結果が補論図表4である。(1)では、 a 1 > 0, a 2 < 0 という符号条件が満
たされ、係数も有意である。(2)では、誤差修正項の係数は上記の条件を満たし、有意であるほか、他
の係数も想定された符号条件を満たしている。なお、生産性と空室率の一部の係数は有意でないが、
「生産性(空室率)の係数が全てゼロ」という帰無仮説は棄却されており、生産性や空室率は全体と
しては有意であると判断される。
補論図表 4長期均衡式とECMの推計結果
(1)長期均衡式
(2)ECM
rent t = a 0 + a 1 prot + a 2 vacancyt + EC t
Drent = c + lECt -1 + å b i Drent t -i + å g i Dprot -i + åq i Dvacancy t -i + h t
i =1
i =1
α1
α2
α0
(1) 長期均衡式
0.251
-0.022
3.654
adj.R
S.E.
(2) エラー・コレクション・モデル
(ECM)
λ
β1
β2
γ1
γ2
θ1
θ2
c
2
-0.055
0.397
0.304
0.166
0.216
-0.006
-0.002
0.001
adj.R2
S.E.
β1=β2=0
γ1=γ2=0
θ1=θ2=0
Wald検定
i =1
(0.081) ***
(0.004) ***
(0.386) ***
0.479
0.063
(0.021) **
(0.103) ***
(0.096) ***
(0.108)
(0.108) **
(0.003) *
(0.003)
(0.001)
0.776
0.008
116.435 ***
6.869 **
8.830 **
(注)1.推計期間は19
9
6Q
2~2
0
12
Q2
。カッコ内は標準誤差。
*
**
、*
*、*
はそれぞれ有意水準1
%、5%、10
%で有意であることを示す。
2.W
al
d
検定の欄は、帰無仮説「β 1=β2=0
」等に対するWa
ld
統計量。
3.E
CM
のラグ次数はシュワルツ情報量基準が最小となるものに決定。
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