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1.アナログとデジタル
アナログとデジタル 錦織 昭峰 元々はアナログ情報であったのに,最近はすべてデジタル情報に変換されています。テ キスト [ 飯島淳一 著「入門 情報システム学」日科技連 ] p.83 の 5.5.1 には 「文字」, p.83, 84 の 5.5.2 には 「音」, p.84, 85 の 5.5.3 には 「静止画像」 , p.86 の 5.5.4 には 「動画像」 , をデジタルへ変換する方法が記載されています。それぞれが別の方法であり,最も基本的 な方法が一つだけ記載されています。最近では,いくつかの方法が使用されています。 デジタル情報として用いられる 0 と 1 のために,二つの状態を表す必要があります。音 楽を聴くための CD(コンパクトディスク)は,CD の表面に開けた穴の大きさ(丸い穴と, 細長い穴)で区別しているようです。また最近は,ガラス繊維でできた「光(ひかり)フ ァイバー」の中に光を通して,光の点滅で 0 と 1 の状態を送っているようです。 デジタルに変換するときの基本的な考え方は,アナログで表された度合いの強さ(音で 言えば音の振幅,色で言えば3原色の混ざる度合い,など)を数字で表すと,無しのゼロ から,最大の数値までで,第何番目であるかを数値で表現することです。0または1とい う,二つの状態表現しかないビットが8個(これを1バイトと言います)で表される数値 は, 0 から 255 まで (合計 256 個の数値) です。 (2 の 8 乗=2×2×2×2×2×2×2×2=256) 1 十進数と, (0 または 1 の)二進数の対応は,以下の通りです。 十進数 二進数 0 0 1 1 2 10 3 11 4 100 5 101 6 110 7 111 8 1000 9 1001 10 1010 11 1011 ・・・ 255 11111111 256 100000000 ・・・ 例えば,普段使用される 11 という数値の代わりに,1011(あるいは 00001011)という二進 数の数値を用います。 5.5.2 節の音声の表現においては,図 5.7 の左側の波形が元のアナログ情報です。真ん中 の図のように,1 秒間を 8000 等分して,その各々の音の振幅を数値で表しておいて,その 音をつないで聞くと,人間の耳には連続した音に聞こえます。 具体的に述べると,1/8000 秒ごとに, 真ん中より上は +128 レベル,真ん中より下は -128 レベル で区分けをして,音の位置はどのレベルかを数値で表します。 (合計は 256 のレベルです。 ) この図 5.7 では,1/8000 秒で音が推移していて,数値は 0,28,92, ・・・です。この数値 を 8 ビットで表すと, 00000000 00011100 01011100 ・・・ となりますので,この 0 と 1 の信号がデジタル情報であり,この信号を利用します。予め, 1/8000 秒とか,8 ビットで一つの音を表すことは決めておきます。 2 このデジタルの問題点は,音の振幅の上限と下限を予め決定してしまい,それより上と 下の音は表現できないことです。現在でも,振幅の上限と下限は人間の耳で聞こえる範囲 内としています。人間には聞こえない音だけとはいえ,音の一部をカットして無しにして いることに問題があると指摘する音楽家もいました。 逆にデジタルの利点は,この図 5.7 の右側のデジタルの波形は 0 または 1 しか表してい ないことがあらかじめ分かっていますので,多少波形が曲がって変形しても,元の波形は 0 または 1 のどちらを表しているかを推定できることです。 光ファイバーのケーブルによって光の点滅を送りますが,ケーブルを伝わっていくうち に光は減衰してしまいます。そのために,デジタル情報は 70~100 キロメートル離れた地 点まで送って,そこまで送った間に変形した波形を基にして 0 または 1 を推定して,その 中継地点で元の 0 または 1 のキチンとした波形に戻すことによって,更に 70~100 キロメ ートル離れた地点まで送ることができます。この中継器を並べておいて,日本から米国ま でデジタル情報を送っています。[朝日新聞 2008 年 6 月 23 日] それに対して,この図の左側のアナログの波形は,少し曲がると,元の波形がどんな形 だったかも分からなくなるので,元に戻すことができません。そのために,長距離を送る ことが難しくなります。 3 静止画については,p.84, 85 の 5.5.3 に記載されています。どんな色も,3原色の混ざる 度合いの程度で決まります。ただし,3原色は「色の3原色(シアン,マゼンタ,イエロ ー) 」と「光の3原色(RGB,赤,緑,青) 」は異なります。このテキストの p.85 には一例 があり,ロイヤルブルー(藍色,この紫みの青)は, 赤は 0, 緑は 83, 青は 150, の度合いで3原色が混ざっています。ここでは,最も多く混ざっているときには,最大の 数値 255 としています。0 または 1 の 2 進数で表すと, 0 は 00000000 83 は 01010011 150 は 10010110 ですから,この8ビット(1バイト)で一つの原色を表すことになります。 デジタルカメラで,1枚の写真に 1000 万画素あるとすると,1000 万個の画素(ピクセ ル)があり,1個ずつが3原色の混ざる度合いを表す数値を三つ持っています。つまり, 3原色で 3 バイト×1000 万個ですから,3000 万バイト,つまり,2.4 億ビットです。この デジタル情報は多すぎるので,現在では「情報の圧縮」をして,ビットの合計数 2.4 億ビッ トを減らしています。 文字では,例えば漢字は,デジタル情報としては,1 文字で 2 バイト(16 ビット)で表 されます。例えば, 「情報」という漢字は, (JIS 漢字コード表の場合には, ) 情 は 00111110 01110000 報 は 01001100 01110011 です。[ 坂和正敏 他 著「情報科学入門」朝倉書店 ] どんな文字であるかを表すデジタル 情報と,その文字の活字の大きさなど(例えば,明朝体 10.5 ポイントの文字)を表すデジ タル情報が必要です。 以上 4