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ボランティア活動の中長期的な振興方策 について

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ボランティア活動の中長期的な振興方策 について
ボランティア活動の中長期的な振興方策
について(意見具申)
平成5年7月
中央社会福祉審議会
地域福祉専門分科会
第1 はじめに
我が国は,今後,かつて経験したことのない超高
齢社会を迎える。この高齢社会への対応として,社
会福祉の分野については,平成元年,高齢者保健福
祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定され,
さらに平成2年には福祉関係8法が改正(老人福祉
法等の一部改正)され,平成5年度には市町村及び
都道府県の老人保健福祉計画が作成されつつある。
また,平成4年には社会福祉事業法の改正により,
今後の社会福祉を担う専門的人材を確保するための
措置等が講じられることになった。
このように公的施策においては高齢社会への対応
うような生活の重視,地域社会への参加や自己実現
というような新しいライフスタイルを,人々は求め
るようになってきた。また,そのような変化は個人
に限らず,企業や労働組合をはじめ,生活協同組合
や農業協同組合などにおいても,地域社会へのかか
わりや社会貢献,福祉活動への関心が深まりつつあ
る。
以上の変化を踏まえ,本地域福祉専門分科会では,
平成4年6月以来ボランティアの中長期的な振興の
考え方等について検討を行ってきたところであり,
その成果の一部については,「国民の社会福祉に関
する活動への参加の促進を図るための措置に関する
が着実に進められているが,高齢化,国際化,情報
化による社会変動に伴い,国民の意識も近年大きく
基本的な指針」(平成5年4月厚生省告示第117号。
変化しつつある。国民の一人一人が高齢化の問題を
身近な問題として認識するとともに,一定の経済的
以下「基本指針」という。)に反映されているが,
今般,さらに21世紀の福祉社会に向けて,ボランテ
な豊かさを実現した今日,欧米諸国と同様に我が国
においても,ゆとりある生活や生きがいの追求とい
ィア活動の振興方策について以下のとおり提言する
ものである。
第2 ボランティア振興の今日的意義
る。このように,21世紀は世界でも例を見ない超高
齢社会となり,同時に人生80年時代といわれるよう
に,人生をより長く享受しつつ,一人一人が其の豊
噂
1 21世紀の福祉社会と心豊かな生活
現在,我が国の65歳以上人口比率は13.1%である
が,2000年には17%,さらに2025年には25.8%とな
193
かさを実感することのできる長寿・福祉社会の実現
が強く求められている。
人生80年時代は,一生涯における自由時間の増大
をもたらす。また,年間総労働時間を1800時間とす
ることが目標とされ,週休2日制等の労働時間短縮
の取組が進むことにより,就労期における自由時間
も増大しつつある。また,昨年から始まった学校遇
5日制に伴い,学童・生徒の自由時間も増大してい
市町村,民間団体や個人の役割が大きな意味を持つ。
さらに,国際的な視野に立って,社会福祉の分野に
おいても我が国の国際的貢献が求められる。
2 福祉社会の基礎一福祉コミュニティの
形成
る。そして,このような自由時間の増大に伴い,自
由時間の大半を過ごす場としての地域に,人々の関
福祉社会が形成さわるためには,社会を構成する
心が向かいつつある。
また,国民の意識も大きく変化するとともに,多
一人一人の個性が尊重され,一人一人が市民として
の自覚を持ち,自分以外の他者や社会について関心
様化しつつある。近年においては,物質的な面での
と共感を持つような個人の生き方,ライフスタイル
豊かさよりも精神的な豊かさを求める人々の割合が
著しく増え,およそ国民の6割は,これからは心の
豊かさやゆとりある生活をすることに重きを置きた
が前提となる。
このような社会参加や自己実現への意欲を満たす
場はさまざまであろうが,その中で今後大きな比重
いと考えている。また,かつての高度経済成長期に
みられた消費的な生活から,より何かを生み出し,
を占めるのは,地域社会そのものであろう。地域に
おいて安心して生活し,真の豊かさを享受するため
積極的に暮らしを創造していこうという個性豊かな
には,地域においてさまざまな参加の機会がなけれ
ばならない。それは個人単位の参加はもちろんであ
ライフスタイルの追求が,今後の成熟社会において
はさらに顕著になると思われる。同時に,社会にも
っと目を向けるべきであるという意識を持ち,社会
の一員として何らかの形で社会のために役に立ちた
いと考える人々が,過半数を占めるようになった。
るが,多くの場合,さまざまな集団・組織を通じた
参加である。福祉社会の実現は,実際にはこのよう
な集団・組織に積極的に参加していくことによるも
のであり,そして何よりもこのような集団・組織が,
このように,それぞれの個人がそれぞれのライフス
地域において福祉を絆として結びついていくことに
テージの中で積極的に自己実現や社会参加を果たし, よる。
心豊かな生活を送ることを求めており,それを実現
していく場として地域生活が重視されるのである。
こうした意識の変化は,現実に我が国が,物質的
な豊かさの面で国際的に見ても高い水準に達しつつ
あることによっているが,それとともに社会保障に
ついても,同様に高い水準の保障が実現しつつある
ということも見落としてはならない。
我が国がいわゆる福祉国家として一定の水準を達
成しつつある今日,一方で,それを超えて,生活の
質や生活の喜びを積極的に追求する社会へと,人々
の期待は変化している。
今後,我々の目指すべき目標は,福祉国家の成果
を踏まえつつ,これをさらに発展させた福祉社会に
あるといえよう。すなわち,公的施策を基盤としな
がらも,地域における人々の助け合い等によってさ
そもそも福祉コミュニティは,福祉という共通の
価値観を共有し,ともに生きるという思想に立って,
ともに理解し共感し,地域においてさまざまな形で
福祉を支え合うものである。福祉コミュニティには
多様なボランティア活動の存在が欠かせないが,こ
れらが福祉サービスと有機的に結びつくことによっ
て,地域という場で,サービスのサポートネットワー
クが形成されていく。このような福祉コミュニティ
を支えるものには,地域住民の参加を前提にして,
福祉サービスを利用する当事者,サービスを提供す
る団体・検閲,社会福祉施設などが含まれる。また,
自治会,町内会,商店会,青年団,老人クラブや母
親クラブ,障害者団体,民生委員・児童委員などが
加わる。さらに,近年新たに,企業,労働組合,生
活協同組合,農業協同組合,学校,そして住民相互
らに福祉の厚みを増し,質的向上を図り,多様なニー が助け合う自主的なサービス団体などが,重要な構
ズに柔軟できめ細かな対応が可能になる参加型福祉
成メンバーとなってきている。
社会の構築である。このような成熟した社会におい
我が国は企業社会といわれるように,企業,職域
ては,国や都道府県の役割とともに,住民に身近な
の持つ社会生活上の比重が高い社会である。従来,
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◎ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)
西欧では個人とコミュニティが社会の基礎であるの
に比べ,我が国では,生活の上で企業の持つ意義が
特に高かったが,今日,企業の地域における社会貢
献意欲,従業員のボランティア活動への関心が高ま
もたらすであろう。それは,幼少期,青少年期,壮
年期,高年齢期といったライフステージを通じての
生きている意義の発見でもあり,新たな文化の創造
でもある。さらに,このような文化と地域の創造は,
っており,実際に,地域でさまざまな取組が急速に
増加しつつある。そしてこのような変化は,また従
次世代にバトンタッチすべき福祉コミュニティとい
うソフトな資産を新たに形成することでもある。
業員みずからが地域での生活を重視し,生活価値を
重視した生き方を選択し始めたことと軌を一にする
4 ボランティアの今日的意義
ものといえよう。従来のように,ともすれば企業社
会と地域社会とを分離し,相矛盾する関係としてと
らえるのではなく,企業市民として地域で共生する
既にふれたように,住民やさまざまな団体のボラ
ンティアをはじめとする福祉活動への参加は,福祉
ようになれば,企業にとってはもちろん,従業員に 社会という新たな段階において,従来とは異なる意
とっても極めて大きな意義をもつであろう。同様に, 義を持っている。
労働組合や生活協同組合,農業協同組合等の民間非
営利組織が本来の役割に加えて福祉コミュニティに
参加し,高齢社会と豊かな福祉社会をともに支え,
福祉という共通の観点から,地域や他の団体とネッ
トワークを形成することが期待される。
その時代時代で,また社会によって,ボランティ
ア活動を行う人々自身の意識は異なるであろうし,
社会における役割や意義も変化するであろう。それ
は,ボランティア活動が,時代や社会の価値観のも
とで変化しているからである。
そもそもボランティアとは,ボランタリーな人と
3 参加型福祉社会へ
いうことであり,「自発的な」,「自由意志による」,
あるいは「志願兵」という意味であった。ボランテ
今後の福祉社会は,従来の与えられる福祉から,
基礎的な福祉ニーズへの公的サービスによる対応を
ィアは,一般的には,自発的な意志に基づき他人や
社会に貢献することをいい,その基本的な性格とし
ては,一般に,「自発性(自由意志性)」,「無給性(無
前提として,地域住民やさまざまな団体が,主体的
に参加し,ともに築き合い,支え合って創り上げて
いくものである。それは,21世紀の超高齢社会に対
応するゴールドプラン等の公的サービスの充実とあ
わせ,厚みのある福祉を実現するとともに,すべて
償性)」,「公益性(公共性)」,「創造性(先駆性)」
がいわれている。「自発性」とは,自分の意志が尊
重され,自己の決定によって行う行為であることを
示している。「無給性」は,金銭的利益を目的とし
の人が当事者としてともに生きていく社会でもある。 たり労働としての対価を求めたりしない非営利の行
為である。「公益性」とは,その成果が広く人々や
また,このような社会は,核家族化,少子化,女性
社会に利益をもたらすことをいい,「創造性」は,
の社会進出等が進む中で,地域において家族の横能
新しい分野や問題に対してより積極的に取り組み,
を支え,子供の養育機能を高めるとともに,ノーマ
社会を開発していくことを指している。福祉国家以
ライゼーションの視点に立った障害者や高齢者の自
立と参加を促進する社会である。当事者性とともに, 前にあっては,ボランティアは極めて限られた人々
が慈善的精神により行う行為であり,対象は恵まれ
サービスの受け手があくまで受け手にとどまるので
ない人々であった。その後,福祉国家を目標とした
はなく,また同様に,担い手はあくまで担い手であ
るというのではなく,高齢化の進展の中で若い時は
担い手として,高齢者になれば受け手として,互い
に立場が入れ香わもというように,世代間で,また
世代内においてもともに支え合う社会である。この
ような共感,相互理解と互酬性に根ざした参加は,
より心豊かな生活を創り出すとともに,幼少期から
の人間としての成長にとっても極めて重要な意義を
195
時期には公的責任が重視され,特に福祉の分野では
公私分離の原則が強調された。したがってこの時期
のボランティアには,公的施策に対する残余的な役
割が期待された。しかし福祉国家の体制が,社会保
障の充実とともに次第に整備されるにしたがって,
従来とは異なる意義が強訴され始め,さらにその活
動の範囲もさまざまな領域に及び,国の内外を問わ
ず活動する人々も増加していったのである。
今日,福祉社会の中でのボランティアは,その基
新たな意義付けを有し,新たな役割を果たすことに
なった。その結果として,次のようなことがいえよ
本的性格には変化はないものの,活動の動機や機能
という点では大きく変化している。
ボランティアは自発性に基づく行為であり,活動
う。社会福祉の基礎的需要については公的なサービ
スが対応することを前提にしつつ,その質的な充実
の動態が多様であるのは当然のことといえるが,今
を図る上で,ボランティアの役割が大きいというこ
とである。それは,公的施策の代替やその不備を埋
日では,活動する人々の増加や範囲の広がりに伴い, めるというのではなく,自律的な市民の目で,多様
かつての慈善や奉仕の心にとどまらず,より広がり
なニーズにきめ細かく弾力的に対応し,生活のアメ
を持った地域社会への参加や自己実現,さまざまな
ニティを確保するものである。また,公的サービス
ことをお互いに学び経験し,助け合いたいという共
ではなしがたい独自性や個別性を強調したサービス
生や互酬性に基づく動機に変化している。
を提供し,より積極的かつ開拓的に福祉のレベルア
自分たちの地域で何か役に立ちたいということを
ップを図り,公私の新たなパートナーシップを打ち
動機とし,自分たちの地域を福祉コミュニティとし
て守り育てていこうという活動には,多くの人々が
たてるものである。しかも,それは幅の広い市民活
動として,福祉コミュニティの絆となり,また,人
々のライフステージ,ライフスタイルにとけこんだ
共感を持ち,参加しうるものである。きわめてすそ
野の広いボランティア活動は,年一回などの軽微な
活動もあるが,継続的で密度の濃い活動なども増加
してきている。このような活動が,助け合いの精神
に基づき,受け手と担い手との対等な関係を保ちな
がら謝意や経費を認め合うことは,ボランティアの
本来的な性格からはずれるものではないと考える。
また,このことは,経済的にゆとりのある人だけで
はなく,活動意欲のある人は誰でも,広く公平に参
加する機会が得られるためにも必要である。
5 参加型福祉社会と公私協働
市民生活の一部となって,ますます重要な役割を果
たすことになる。さらに,こうしたボランティアは,
幅広く保健・福祉の専門職と分担・協力するという
新たな協働関係を築いていくのである。
そして,今後のボランティア活動の振興において
は,民間のエネルギーを活用し,民間非営利組織を
積極的に強化していくことが必要である。福祉社会
は,当然ながら活力ある長寿・福祉社会であらねば
ならず,それは公的施策のみならず個人の参加はも
とより,さまざまな民間団体が地域に積極的にかか
わり,参加することによって,より分権的かつ多元
的な参加型福祉社会を形成することで可能となる。
このように福祉社会の中でのボランティア活動は,
第3 振興に当たっての考え方
(1)長期的には,国民の過半数が参加し活動する福祉
社会づくり
1 参加型福祉社会に向けての振興の目標
現在,国民の6割は社会の一員として何らかの形
社会連帯や相互扶助の意識に基づき,社会のさま
ざまな構成員がともに支え合い,交流するという参
加型福祉社会の理念からすれば,皆参加が指向され
で社会に役立ちたいと考えていること,また,ボラ
ンティア活動の盛んな欧米諸国では,国民の過半数
がボランティア活動に参加しているという調査報告
るが,ボランティア活動等の福祉活動は自主性,自
発性を基礎に置いており,活動意欲に沿った形で実
現する目標としては,次のとおり考えたい。
もあること尊から見て,長期的には,国民の過半数
が参加し活動する福祉社会づくりを目指すべきであ
る。そしてこのことは,福祉社会づくりへの理解を
深め,活動意欲を引き出す基盤づくりを進めるなら
ば,決して不可能な目標ではないと考える。
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◎ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)
(2)当面の目標は,現に活動したい人が活動できるよ
うにする基盤づくり
り事業(ボラントピア事業)とボランティア基金の
創設,学童・生徒のボランティア活動普及事業の対
現在,登録・把握されているボランティア活動者
は国民3.0人に1人の割合であるのに対し,現にボ
象拡大,ふれあいのまちづくり事業の創設等の施策
メニューの拡大・充実が行われ,この10年間でボラ
ランティア活動への参加意欲がある人は,国民4人
に1人の割合であり,両者の間には7倍のギャップ
ンティア活動者は2倍余に増加するなど,着実な進
展を見ている。
がある。当面,21世紀までの間に,活動意欲に沿っ
た十分な基盤整備を進めることにより,このギャッ
しかしながら,近時のボランティア活動への参加
意欲の増大,住民参加型サービスの急速な進展,企
プの解消に努める必要がある。
業及び労働組合の社会貢献活動の活発化の中で,今
世紀中に,国民の4人に1人の活動意欲ある人が活
動しやすいようにするための基盤整備を進めるとい
2 目標達成に向けての考え方
21世紀までの残された7年間は,福祉社会の基盤
づくりを進め,高齢社会に向けての準備を図る重要
な時期である。
この7年間は,公的施策においてはゴールドプラ
ンが強力に推進され 老人保健福祉計画の策定・実
施がなされる時期であるが,同時に,厚みのある福
祉社会を形成する上で,民間福祉活動にとって,上
う目標を持つならば,従来のようなペースでの,モ
デル事業中心の施策展開では間に合わないことは明
らかである。
したがって,①いつでも,②どこでも,③誰でも,
④気軽に,そして⑤楽しく,ボランティア活動に参
加できるようにするための,本格的な枠組みづくり
が必要である。
記のような長期目標とともに,当面の目標を実現す
るための本格的な基盤整備を進める重要な時期とい
なお,本地域福祉専門分科会では,基本指針の策
定に当たり,福祉活動への参加の促進に当たっての
考え方として,①自主性の尊重,②公的サービスと
えよう。
ボランティア活動については,昭和50年代初頭,
の役割分担と連携,③地域福祉の総合的推進,④皆
が支え合う福祉コミュニティーづくりの4点を指摘
社会奉仕活動指導センター整備事業,学童・生徒の
ボランティア活動普及事業等の施策が創設され ま
した。この考え方は,当然,目標達成に向けて考慮
されるべき基本的事項である。
た,昭和60年代には,福祉ボランティアのまちづく
第4 振興の重点課題
このような考え方を実現するためには,基本指針
の中で,福祉活動への参加の促進を図るための措置
として体系的,網羅的に列記した各項目の具体化が
重要であることはいうまでもないが,本意見具申で
は,これとの重複はこだわらず,振興の重点課題と
7.活動基盤の整備と支援
の7点に言及したい。
1 福祉教育,啓発,社会的評価の確立
(1)福祉教育・学習
して特に,
1.福祉教育,啓発,社会的評価の確立
2.活動参加プログラムの開発普及
3.ネットワーク体制の整備とこれを支える推進
者の育成
4.企業・労働組合の社会貢献活動
5.住民参加型サービスの振興
6.社会福祉施設,社会福祉協議会等の役割
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福祉に対する理解,他人に対する思いやりの心や
主体性を育てることは,まさに福祉社会づくりの基
盤をなすものである。
特に,幼少期での福祉活動の体験はみずみずしい
感動を伴うものであり,成人期になってから始める
ボランティア活動が観念の世界から出発しがちであ
るのに対し,幼少期からごく自然な行動として身に
つくことは,何ものにも代えがたい。また,豊かな
者の積極的な協力とともに,全国民的な運動を行う
人間性の形成やその後の健全なパーソナリティの発
達の上で,このような体験の持つ意味も大きい。こ
推進団体が必要であり,その組織を通じての啓発,
各種提案,評価等のシステムづくりが必要である。
こに,幼少期からの福祉教育の重要性がある。
これまで,社会福祉協議会が教育関係者の理解と
協力を得て,15年余にわたり全小中高校(約4万校)
の2割を超える学校で,学童・生徒のボランティア
① ボランティア活動推進会議の設置
全国民的な運動を行う推進団体として,経済
界,労働団体,福祉及び教育関係者,地方団体,
マスコミ等各界各層の代表者から成る国民的規
活動普及事業を実施してきたことは大きな成果では
あるが,21世紀を担う若い世代のボランティア活動
模のボランティア活動推進会議を組織し,全国
的な啓発活動,ボランティア活動に対する政策
に対する理解を深め,その参加を促すためにも,幅
提言,社会的評価のルールづくり,助成・奨励
等を行えるようにする必要がある。
広く社会福祉施設等の積極的な協力を得て,この事
業を,体験学習を中心に更に制度的に展開していか
② 社会的評価
大学入試や企業・公務員等の採用時において
なければならない。
教育課程の中で,正規のカリキュラムとして体系
ボランティア活動の実績を考慮することは,一
部において先進的に実施されているが,これら
的に位置づけるなど,なお一層の積極的な取組が必
要である。
また,教員が福祉教育を進める上で的確に対処す
ることができるよう,教員養成の課程にボランティ
ア活動を取り入れるなど研修の機会を提供するとと
もに,学校や社会教育施設に福祉教育担当教職員を
をより一層推進すべきである。また,対人サー
ビス専門職の資格付与に当たっての考慮等も含
め,ボランティア活動については欧米諸国並み
に適正な評価が受けられるように,社会的なコ
配置し,ボランティアセンター等ボランティア推進
機関との連携をとれるようにすることが望ましい。
ンセンサスを得るための土壌づくりに努めるべ
きである。
さらに,社会貢献活動に意欲的な企業,住民
あわせて,大学の単位の中にボランティアに関す
る科目を認め,大学の授業においても積極的に取り
参加型サービス等での長期間活動者,困難を伴
う活動や国際的な貢献活動を行った人に対して
組めるようにすることが必要である。
なお,福祉教育・学習は,家庭においてはもちろ
は,社会全体として表彰制度を確立するととも
に,社会福祉施設等のボランティア活動受入れ
ん,学校段階にとどまらず生涯を通じた学習機会の
提供も必要であり,社会福祉協議会,社会福祉施設
団体からの謝意を表す仕組みについても充実す
る必要がある。
をはじめとして,地域や職域において積極的な取組
が期待される。
③ ボランティア月間
国民のボランティア活動に対する関心を高め,
(2)啓発普及と社会的評価
国民の過半数が参加し,活動する福祉社会づくり
より広く参加を呼びかけることを目的として,
ボランティア月間を設けるべきである。
を目指す意味でも,また,活動意欲のある人が活動
しやすいように基盤を整える意味でも,啓発普及は
この期間には,全国各地のボランティア推進
団体は一斉に,マスメディアなどの協力を得た
重要である。その際,ボランティア活動や社会貢献
について,その実績を広く知らせることも重要であ
り,各種のイベントを開催したり,ボランティ
アの功績をアピールしたりすることによって,
る。
現在,全国レベルでは,持ち回り方式での全国ボ
ボランティア活動の啓発を行うことが考えられ
る。
ランティアフェスティバルの開催,地方レベルでは,
各種大会及びボラントピア事業等が実施され,また,
厚生大臣表彰等の顕彰も行われてきている。
2 活動参加プログラムの開発普及
ボランティア活動への関心を高め,活動者の層を
より多くの国民がボランティア活動に関心を持ち,
これに参加することを推進するには,マスコミ関係
広げるには,誰でも,どこでも,いつでも活動がで
198
◎ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)
きるように,年齢,ライフスタイル,関心度などに
合った参加プログラムの開発と,研修等によるきっ
かけづくりが求められる。
その際,ボランティア活動は,気軽にできるもの
から,相当の訓練を経なければできないものまで多
岐にわたることから,活動のタイプに応じた対応が
必要であることはいうまでもない。
また,ボランティア活動は,グループ等組織的に
参加する形態がむしろ一般的であり,こうした意味
また,これを活用しやすい社会的条件の整備を図る
ため,フルタイムやパートタイムの長期間ボランテ
ィアを積極的に進める必要がある。
そのため,休暇制度・休学制度を社会的なシステ
ムとして積極的に容認し,社会福祉施設等での受入
れについても,青年海外協力隊や外国における制度
例をも参考にしながら,支援のあり方について検討
すべきである。
からも,研修等を通じた仲間づくりは特に重要であ
る。
(4)安心して活動できるための条件整備
ボランティア活動は,あくまでもお互いが支え合
うという個人の意志と自発的行為によって成立して
(1)多様な参加プログラムの開発
さまざまなテーマ別,時間別,経験別,活動方法
いるものであるため,自己の責任と互いの理解が基
本である。しかしながら,その範囲を超えた事故の
別,参加形態別のプログラムを用意し,必要に応じ
発生等もあり得ることから,これに対する対策とし
て,研修や活動マニュアルを通じてその未然防止を
図るとともに,活動内容にあわせてボランティア保
て選択しながら,いきいきと喜びを持って参加でき
ることを配慮する必要がある。その際研修は,自分
に合ったもの,できるものを見つけ出す意味でも重
険等を一層充実させ,ボランティア基金等を通じて
要である。また,福祉活動にとどまらず,保健医療, 保険料の助成を行うことによりその普及を促進する
ことも必要となろう。
環境美化等の厚生行政の分野に属するものはもとよ
り,教育,スポーツ,国際協力活動等の分野につい
ても,関係機関と連携しつつ対応することが必要で
3 ネットワーク体制の整備とこれを支え
る推進者の育成
ある。
(2)シニアボランティア等の振興
社会のために役に立ち,いつまでもいきいきとし
た人生を送るため,高齢者が持つ社会的経験,専門
(1)活動し易くするためのネットワーク体制の整備
ボランティア活動を推進するためには,その推進
技術,ゆとりある時間を生かしたボランティア活動
のプログラムを用意することは,今後の長寿社会に
体制の積極的な整備を促進する必要がある。ボラン
ティア活動への参加意欲はあるが,「何をすればよ
向けて特に重要と考える。
また,高齢者が高齢者を援助する老人クラブの友
いか」,「どこに行けばよいか」,「自分に合ったもの
は何かがわからない」,「一人では参加しにくい」等
愛訪問等の推進,会社人間から社会人間へのソフト
ランディングを目指した退職前の教育研修の充実,
の事情から,なかなか活動に参加できない人も多い
実情にある。また,活動を始めたものの,いろいろ
な悩みを持つ人も多い。さらに,受け手の側にニー
企業OBグループのボランティアの推進を図ること
が必要である。
また,福祉教育・学習を体験した中学生や高校生
が,児童館等を拠点として,地域のさまざまなボラ
ンティアと交流しながらボランティア活動を実践す
ズも満たされなければならない。
これらの問題を受け止め,参加しやすくするため
の総合拠点としてのボランティアセンターと,その
ネットワークの意義は大きい。
現在,ボランティアセンターは,市町村,都道府
ることは,児童の健全育成の観点からも重要である。
県,国の各段階に置かれているが,市町村段階での
さらに,障害者も一方的に受け手にとどまるので
設置か所数は,全体の半数にとどまっており,全市
はなく,対等な立場で,できる限り社会に貢献した
区町村への拡大が急がれる。また,既に設置されて
いという気持ちは高齢者と同様であり,そのための
いるボランティアセンターについても,情報システ
プログラム開発も必要である。
ムの整備など,真にネットワークの核となるための
(3)長期間ボランティア
機能の充実強化が必要である。
ボランティア休暇制度・休学制度などを普及させ,
199
ボランティア活動に関する各種の情報の提供と
① 市町村ボランティアセンターの整備
市町村ボランティアセンターは,地域におけ
るボランティア活動者と組織に関する広報啓発,
ボランティアスクール等の入門的又は分野別の
同時に,ボランティア団体相互の槙の情報交換
が円滑に行われるシステムづくりも重要である。
養成・研修,相談,組織化,登録・斡旋,各団
体及び受入れ側との連絡調整等を行うボランテ
(2)ネットワークを支える推進者の育成
ボランティアセンターの整備とともに,推進のネ
ットワークを支えるボランティアアドバイザーとボ
ィア活動の総合拠点であり,今後のボランティ
ア活動の振興に当たって最も重視されるべきで
ランティアコーディネーターの計画的な養成と設置
の推進が,重要な課題である。
ある。
気軽に相談できる窓口として,全市区町村へ
自らもボランティアとして活動に参加しながら,
リーダー的な役割を持ち,活動の意欲を持つ人に対
の拡大と,その機能が発揮できるようにするた
めのコーディネーターの計画的配置に努めるべ
して身近なところで相談に応じるボランティアアド
バイザーに対して,研修機会を提供し,ボランティ
きである。
アセンターから定期的な情報提供を行うよう努める
べきである。
また,ボランティアコーディネーターは,ボラン
② 都道府県ボランティアセンターの強化
都道府県レベルでボランティア活動の推進を
図るには,市町村ボランティアセンターへの支
援,広域的課題への対応,開拓的・先駆的課題
に対する取組のほか,都道府県内の広報啓発,
企業ボランティア,福祉教育・学習,生活協同
組合・農業協同組合等の福祉活動への支援,ボ
ランティアリーダーや専門的ボランティアの養
成・研修等に取り組むための都道府県ボランテ
ィアセンターの充実強化が必要である。
③ 中央ボランティアセンターの確立
ボランティア活動の一層の推進を図るには,
ティアセンター等ボランティア活動の推進に当たる
機関において,総合的な企画,調査,研究開発,養
成・研修,相談,組織化,登録・斡旋,連絡調整等
の重要な役割を果たす着であり,このような人材を
早急に養成し,ボランティアセンターはもとより,
企業等の社会貢献部局,学校,社会福祉施設,一定
規模以上のボランティア活動団体など,各種のボラ
ンティア活動推進機関に設置していく必要がある。
なお当面,ボランティアアドバイザーは,各グルー
プごとの設置を考えると30万人規模,また,ボラン
市町村レベル,都道府県レベルでのボランティ
アセンターの整備・強化とあわせて,全国的な
ティアコーディネーターは,各ボランティアセン
ターへの設置を含め3万人規模を目標とすべきであ
意識啓発,参加プログラムの開発研究,ボラン
ティア関係情報の包括的かつ網羅的な収集・提
ろう。
あわせてネットワークの一環として,地域におい
供,中核的なコーディネーター等の養成・研修, て,高齢者,障害者,育児ニーズを持つ家庭等のサー
ビスの受け手と,ボランティア活動を結ぶ重要な人
全国的な重点事業の企画・実施,市町村・都道
材として,全国約20万人の民生委員・児童委員の活
府県ボランティアセンターに対する助言指導,
動についても考えるべきであろう。
関係各省庁・各機関との連携,国際協力等に当
たる中央ボランティアセンターの確立が必要で
ある。
このようなネットワークの核としてのボラン
4 企業・労働組合の社会貢献活動
近年,企業等の社会貢献活動が活発化しているが,
ティアセンターと,企業,社会福祉施設,学校,
それは,よき企業市民として地域社会とのつながり
生活協同組合・農業協同組合等の住民参加型
を持ち,その理解を得ながら事業活動を進めていか
サービス団体,各種のボランティア活動団体,
市町村,在宅介護支援センター等とが多角的な
ねばならないという認識が高まってきたからである。
連携を図ることによって,はじめてネットワー
アメリカと並んで典型的な企業社会を形成し,国
民の大多数がサラリーマンとなっている我が国にお
クが有効に機能することは言うまでもない。
また,ボランティア活動の推進のためには,
200
いては,これからの社会の質をどう変えるかという
◎ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)
鍵を企業が握っているといっても過言ではなく,今
までの強い企業(ストロングカンパニー)から,よ
の基金については,その拡充に向けての税制上の取
価がなされるべきである。
(1)多様なメニューの開発・提供
5 住民参加型サービスの振興
企業の持つ資金,技術,人材を積極的に生かすに
は,個々の企業の特性やニーズにマッチした形での
住民参加型サービスは,社会福祉協議会,生活協
同組合,農業協同組合という社会連帯や相互扶助を
多様なメニューの開発・提供が必要である。
特に,これまで馴染みの薄かった福祉の分野につ
理念とする既存の非営利組織を媒介として,また,
住民互助型の自主的福祉組織や福祉公社により,地
域住民の自発的な参加を得て運営される新たな取組
扱いの検討を含め,広報啓発と一層の造成の取組に
り社会に認められる善良な企業(グッドカンパニー) 努める必要がある。
への変革は,それ自体,社会全体として積極的な評
いては,例えば,社会福祉施設における企業ボラン
ティアの活動マニュアルの作成普及等により,円滑
みであり,その数はこの5年間で4倍に増加するな
ど急速な進展が見られる。
な受入れに努めるべきであろう。
この活動は,従来型のボランティア活動とは異な
(2)アドバイザー,コーディネーターの養成と情報提
り,ボランティア意識を基盤としつつ,会員制,互
供
酬性・有償性を特色とする組織的・システム的な活
アドバイザーやコーディネーターを設置して社員
援するため,ボランティアセンターは,積極的に研
修機会や各種情報の提供に努めるべきである。
動である。住民の福祉活動への参加を容易にする有
力な選択肢であり,福祉コミュニティを育むものと
して,また,住民の福祉ニーズを受け止める供給組
(3)ボランティア休暇・休職制度の普及
労働時間の短縮と相供って,社員がボランティア
織として,一層の発展が期待されるところであり,
その自発性を尊重しつつ支援に努める必要がある。
活動に参加しやすい環境を整えるため,ボランティ
ア休暇・休職制度を有する企業も徐々に増加してき
(1)地域福祉基金などの活用
住民参加型サービスは,地域特性に根ざした形で
のボランティア活動を推進しようとする企業等を支
ている。しかしながら,このような制度を設けても, 在宅福祉を進める自主的活動であることから,地域
福祉基金や共同募金等も活用しながら,創意工夫を
その利用が一部の人に限定されている状況も見受け
こらした支援に努める必要がある。とりわけ住民互
られることから,制度の普及や事例の紹介とあわせ
助型と呼ばれる組織については,既存の組織のバッ
て,社員が利用しやすいような雰囲気づくりに,企
業,労働組合さらに社会全体として努めていく必要
がある。
クアップによることなく,地域において家庭の主婦
等がさまざまな工夫をしながら,自主的・継続的な在
(4)積極的評価
社会貢献に活発に取り組んでいる企業等について
宅福祉活動を展開していることに留意すべきである。
(2)活動の担い手とコーディネーターの研修
は,毎年これを全国的に公表したり,ボランティア
活動推進会議や,企業等のボランティア活動の推進
活動の担い手の参加動機については,福祉活動に
対する学習意欲も大きな要因であることから,福祉
に対する正しい理解の促進や介護技術の向上のため
を目的とする自主的組織を通じて,例えばフィラン
スロピー大賞等を設けて積極的に表彰したりするな
どにより,社会的評価を高めていくべきであろう。
の研修も実施する必要がある。
また,活動の円滑な推進のためには,コーディネー
して個人や企業の社会貢献活動を支援する税制上の
措置,特定公益増進法人の設立・認定の弾力化等の
ターの資質の向上が不可欠であることから,共通的
な研修カリキュラムや教材を開発し,運営ノウハウ
も含めて,系統的かつ継続的な研修を実施する必要
がある。
要望が出されており,政府全体の問題として十分検
討すべきであろう。
これに関連して,ボランティア活動の支援のため
(3)広報啓発
住民参加型サービスの活動を社会的にアピールす
ることは,その活動の価値を高め,活動の担い手の
(5)社会貢献活動を支援するための税制上の措置
企業等の社会貢献活動の活発化に伴い,経済界と
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確保を容易にするためにも必要である。そのために
も,マスコミなどに積極的に広報するとともに,優
れた事例について顕彰することが重要である。
(4)全国的ネットワークの必要性
住民参加型サービスについて,全国的な経験交流
や共通課題の協議を行い,社会的にアピールしてい
く上で,全国的なネットワークが必要である。同時
に,研修,広報啓発,他の団体との経験交流等を進
める上で,ボランティアセンターの果たすべき役割
する事業の連絡調整・企画実施を行うことが法律上
位置付けられており,こうした点から,地域社会に
おいて福祉を代表し,公共性を有する組織であると
いえよう。
自主性と自発性を基礎にしたボランティア活動の
組織化や支援,さらに啓発活動等は,このような性
格と法制的位置付けを有する社会福祉協議会に最も
期待されている分野であり,またこのことは,近年,
が大きいことはいうまでもない。
市町村レベルの社会福祉協議会で,自ら給食や入浴
等の独自サービスを行ういわゆる事業型社協が急速
6 社会福祉施設,社会福祉協議会等の役割
に増加していることとも密接に関係している。
社会福祉協議会については,各種のボランティア
(1)社会福祉施設等の役割
社会福祉施設は,施設処遇や在宅福祉サービスに
おけるボランティア活動の実践や学習の場として,
や企業・労働組合,非営利組織への支援を通じて新
たなネットワークが広がることによって,その組織
の活性化が図られるものであり,ボランティア活動
の多様な広がりと,これに件う社会福祉協議会への
さらに,地域住民の社会福祉への理解や関心の増進, 期待の高まりに適切に対応できるよう,体制整備と
地域の介護力の向上等に,大きな役割を果たしてき
職員の意識啓発も含めた研修の充実が求められよう。
また,ボランティアセンターの整備も,社会福祉
ている。また,入所者(利用者)の生活の質的向上,
地域住民の理解や支援の拡大,施設運営の改善など, 協議会の担うべき極めて大きな役割である。
ボランティアを積極的に受け入れることは,社会福
祉施設にとっても大きな意義を持つものである。
このような意義を十分に踏まえ,ボランティア活
7 活動基盤の整備と支援
動の受け入れ,研修・訓練などの役割を一層果たし
ていくとともに,地域におけるボランティア活動推
ボランティア活動を推進するためには,その活動
が安定して,継続的に行われるための基盤整備など
進の重要な拠点としての役割を,地域と一体となっ
て担うことが期待される。
の支援が必要である。
ボランティアセンターの体制整備などボランティ
このような観点から,現在,地域交流スペースの
確保,モデル事業によるコーディネーターの配置,
ア活動をしやすくするための基盤整備は,全国一律
に行うべき基幹的部分や一定の先駆的・モデル的事
業については,公費による助成が望ましく,また,
企業ボランティアの受入れマニュアルの作成・普及
等の支援が行われているが,社会福祉施設の役割の
重要性にかんがみ,ボランティア活動の支援体制を
一層整備する必要がある。
また,老人保健施設や介護実習・普及センター等
地域の実情に基づき創意工夫により実施される事業
や活動については,地方公共団体による支援ととも
に地域福祉基金の活用や民間資金により積極的に対
応することが考えられる。
についても,社会福祉施設の場合と同様に,地域に
地域におけるボランティア団体の活動を支える財
おけるボランティア活動推進の拠点としての役割を, 源については,地域福祉基金の積極的な活用や共同
地域と一体となって担うことが期待される。
募金の重点配分などが考えられるが,ボランティア
(2)社会福祉協議会の役割
活動の独自の財源としては,ボランティア基金の積
社会福祉協議会は,地域における住民組織と社会
極的造成が急務である。
福祉事業関係者等によって構成され 市区町村,都
道府県・指定都市,全国と系統的に積み上げられた
民間組織である。しかも,その役割については,住
民の福祉活動への参加の援助や,社会福祉を目的と
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また,全国的な広報啓発や全国的なレベルでの活
動を実施している団体への助成等を実施するため,
各界各層の協力を得て中央ボランティア基金を創設
することなども検討されるべきであろう。
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