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ラップフィー/セパレートリー・マネージド・アカウント
採 択 日:2005 年 8 月 10 日 発 効 日:2006 年 1 月 1 日 遡 及 適 用:必須ではない 公開コメント期間:2004 年 10 月~12 月 ラップフィー/セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)ポートフォリオ に関するガイダンス・ステートメント 8.A. ラップフィー/SMA パフォーマンスの提示および報告―必須事項 以下は、会社が、ラップフィー/SMA の見込スポンサーまたは見込顧客(「ラップフィー/SMA 見込 顧客」)およびラップフィー/SMA の既存スポンサーまたは既存顧客(「ラップフィー/SMA 顧客」)に 対して、GIPS 基準(「基準」)に準拠してラップフィー/SMA のパフォーマンスを提示するときに、 従わなければならない追加的な必須事項である。 8.A.1. 実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを含むコンポジットのパフォーマンス記録より以 前の期間を含むラップフィー/SMA コンポジットを提示する場合には、会社は、コンポジッ トが実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを含まない旨(すなわち、当該コンポジット のポートフォリオないし資産は、ラップフィー/SMA ポートフォリオが0%であること、も しくはラップフィー/SMA ポートフォリオではないこと)を各期について開示しなければならない。 8.A.2 会社は、会社が確立したポートフォリオ組み入れ方針に従って、実際のラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンス記録を適切なコンポジットに組み入れなければならない。 いったん(実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを含む)コンポジットが確立されれば、 これらのコンポジットはラップフィー/SMA 見込顧客に対する会社の提示資料において使用 されなければならない。 8.A.3. 会社がラップフィー/SMA 見込顧客にパフォーマンスを提示するときは、ラップフィー/SMA のスポンサーにかかわらず類似の投資目的や戦略によって運用される、適切な実際のラップ フィー/SMA ポートフォリオが存在する場合には、それらのパフォーマンスをすべて組み入 れたコンポジット(結果として「スタイルにより定義されたコンポジット」となる)を提示 しなければならない。 8.A.4. 会社がラップフィー/SMA 見込顧客にパフォーマンスを提示するときは、パフォーマンスは、 ラップフィー全体を控除して提示しなければならない。 8.A.5. 会社が、既存のラップフィー/SMA スポンサーに対して、当該スポンサーのラップフィー/ SMA ポートフォリオのみを含むコンポジット(「特定スポンサーのコンポジット」)のパフ ォーマンスを提示するときは、会社は、次の事項を開示しなければならない。 • 当該特定スポンサーのコンポジットに代表されるラップフィー/SMA スポンサーの名前。 • 特定スポンサーのコンポジットが、ラップフィー業務を開拓することを目的として提示 されており、ラップフィー全体を控除したパフォーマンスを含まない場合には、当該特 定スポンサーのコンポジット提示は、そのラップフィー/SMA スポンサー限りであること。 本資料は、GIPS Executive Committee (前身は IPC) が採択した GIPS の 「ラップフィー/セパレートリー・マネージド・アカウント (SMA)ポートフォリオに関するガイダンス・ステートメント(Guidance Statement for Wrap Fee/Separately Managed Account (SMA) Portfolios)」全文(英語)の日本語訳である。翻訳は、日本における GIPS カントリー・スポンサーである(社)日本証券アナリスト 協会が行った。本ガイダンス・ステートメントの日本語訳と原文である英語版との間に矛盾があるときは、英語版を正本とする。 本翻訳物の著作権は、(社)日本証券アナリスト協会に属する。 -1- 序 論 GIPS 基準の目的は、リターンの比較可能性と見込顧客に提供される情報の透明性を高めるような パフォーマンス提示を行うことである。すべての状況を想定して基準を規定することは不可能である が、GIPS 基準は、さまざまな異なる状況に適用することが可能な一般的なフレームワークを提供し ている。公正な表示と完全な開示という、この基準の基本原則に留意することが重要である。 資産運用会社は、見込顧客に投資についてのさまざまな選択肢を提供するために、異なるタイプの 投資プロダクトやサービスに加えて、多様なフィー体系を提供している。その体系の 1 つに、ポート フォリオ運用に課される 1 つ以上のフィーを「束ねる(bundle) 」ことを可能とするバンドル・フィ ーがある。バンドル・フィーは、運用報酬、取引費用、カストディ・フィー、その他の管理報酬の任 意の組み合わせからなる。代表的なバンドル・フィーの例として、ラップフィーとオール・イン・フ ィーの 2 つがある(これらの用語の定義については付属資料 B 参照) 。ラップフィー/SMA1ポートフ ォリオはユニークであり、伝統的なブローカレージまたは投資顧問関係とは大きく異なっている。こ のため、ラップフィー/SMA ポートフォリオを運用する会社にとって、GIPS 基準の適用に関する追 加的なガイダンスが必要である。 ラップフィー/SMA ポートフォリオに対する GIPS 基準の適用 ラップフィー/SMA マネジャーが、GIPS 基準に準拠してパフォーマンス実績を計算、維持、そし て提示する際に、公正な表示および完全な開示を達成するためには、いくつかの複雑な問題がある。 これらの問題は、次のようないくつかの課題を提起している。 • いくつかのサービスの組み合わせ(例えば、アドバイザリー、トレーディング、カストディ、 その他のサービス)に対して、1 つのフィーが「スポンサー」により課されている。 ○ 資産運用会社は、通常、ラップフィー/SMA スポンサーが個々のラップフィー/SMA 顧客 に課すフィーの総額に関して、全く関与していないかその情報を有していない。資産運用 会社は、通常、自社が運用サービスに対して受け取るフィーについて知っているだけであ る。 ○ GIPS 基準は、資産運用会社がすべてのパフォーマンスから取引費用を控除することを必 須としている。ラップフィー/SMA ポートフォリオに対して課されるフィーの総額はスポ ンサーによって決定されるため、運用会社がラップフィーのどの部分がどのサービスに該 当するかを特定すること(例えば、ラップフィーの 20%はカストディ・フィー、60%は運 用報酬、5%は取引費用、5%は顧客報告に該当する等)は、不可能ではないにしても困難 である。 • 資産運用会社は、その運用するラップフィー/SMA ポートフォリオについては会社の投資一任 資産と見なされるが、通常、ラップフィー/SMA 運用サービスのエンドユーザーとは直接の関 係を有していない。そのかわりに、このビジネスモデルには、複数の参加者(少なくとも、運 用会社、ブローカーまたはスポンサー、およびエンドユーザー)が含まれ、ラップフィー/SMA 1 このガイダンスの目的上、 「ラップフィー/SMA」という複合用語が、これらの関係およびポートフォリオを表現する ために使用される。 -2- スポンサーは、運用会社と運用サービスのエンドユーザーとの仲介者として機能する。 ○ 資産運用会社は、法律、規制および GIPS の必須基準を満たすために、提示されたパフォ ーマンスの根拠となる記録を保持しなければならない。しかし、元となるポートフォリオ の記録は、通常、ラップフィー/SMA スポンサーが保有しており、運用会社はこれらの記 録にアクセスすることができない場合もある。 ○ 資産運用会社は、ラップフィー/SMA スポンサーに対して投資パフォーマンスを提示する が、それらは、ラップフィー/SAM スポンサーによる見込顧客に対するパフォーマンス提 示に使用されるか、もしくは使用されない場合もある。 ○ 資産運用会社は、ラップフィー/SMA の見込スポンサーに対して投資パフォーマンスその 他の情報を提供し、それらは、スポンサーが運用会社を評価するのに使用される。ラップ フィー/SMA スポンサーは、通常、 運用会社に特定の情報を求めるが、そうした情報は GIPS 基準に準拠しているか、もしくは準拠していない場合もある。 ラップフィー/SMA ポートフォリオに関するガイダンス・ステートメントの範囲 本ガイダンス・ステートメントは、特にラップフィー/SAM 運用会社の観点から GIPS の規定につ いて説明し解釈しており、ラップフィー/SMA ポートフォリオに対し投資一任権を有する GIPS 準拠 の運用会社に適用される。本ガイダンス・ステートメントは、ラップフィー/SMA スポンサーにモデ ルポートフォリオを提供しているものの、個々のラップフィー/SMA ポートフォリオについて投資一 任権を有していない運用会社には適用されない。同様に、マルチプル戦略ポートフォリオ(MSP)に おけるオーバーレイ・マネジャーは、投資一任権を有していない場合には、本ガイダンス・ステート メントの適用対象から除外され得る。本ガイダンス・ステートメントは、ラップフィー/SMA ポート フォリオを運用する会社のみに適用される。なお、ラップフィー/SMA 以外のバンドル・フィー型と して定義されるポートフォリオを運用する会社には適用されない(付属資料 B 参照) 。 ラップフィー/SMA の構造にはいくつか異なるタイプが存在するが、本ガイダンスは、フィーがバ ンドルされ、ラップフィー/SMA スポンサーが運用会社と運用サービスのエンドユーザーとの仲介者 になっているすべてのラップフィー/SMA ポートフォリオに適用される。本ガイダンスは、運用会社 がいったん第三者に提供した自社のパフォーマンス情報について、運用会社がその情報の使用状況を モニターすることを必須としていない。しかしながら、運用会社のパフォーマンス情報が第三者によ って配布されるときは、いかなる場合であっても、会社はそのパフォーマンスが不正確に提示された り、誤解を与えるような方法で使用されることがないよう、適切な措置を講ずるべきである。 ラップフィー/SMAポートフォリオに適用される主要なGIPS基準 1.A 入力データ―必須基準 1.A.1 会社のパフォーマンス提示の根拠となるデータおよび情報、また、必須基準に要求される計 算を行うために必要なデータおよび情報は、すべて確保し、保管しなければならない。 2.A 計算方法―必須基準 -3- 2.A.5 リターンはすべて、評価期間にかかる実際の取引費用を控除して計算しなければならない。 推定された取引費用を使用することはできない。 2.A.7 バンドル・フィーから実際の直接の取引費用を分別できない場合は、次の方法によらなけれ ばならない。 a. フィー(運用報酬)控除前リターンを計算するときは、リターンから、バンドル・フィ ーの全額または直接の取引費用を含むバンドル・フィーの一部を控除しなければならな い。推定された取引費用を使用することはできない。 b. フィー(運用報酬)控除後リターンを計算するときは、リターンから、バンドル・フィ ーの全額または直接の取引費用および運用報酬を含むバンドル・フィーの一部を控除し なければならない。推定された取引費用を使用することはできない。 3.A コンポジットの構築―必須基準 3.A.2 コンポジットは、類似した投資目的や投資戦略に従って定義しなければならない。完全なコ ンポジットの定義は、請求に応じて提供可能としなければならない。 4.A ディスクロージャー(開示)―必須基準 4.A.6 会社は、リターンがフィー(運用報酬)控除前またはフィー(運用報酬)控除後のどちらで 表示されているか明記しなければならない。 4.A.12 会社は、当該パフォーマンス提示に適用されるフィー一覧表(報酬率表)を開示しなければ ならない。 4.A.13 コンポジットにバンドル・フィーが適用されるポートフォリオを組み入れているときは、会 社は、バンドル・フィー・ポートフォリオの資産が当該コンポジット資産額のうちに占める 割合を各年度について開示しなければならない。 4.A.14 コンポジットにバンドル・フィーが適用されるポートフォリオを組み入れているときは、会 社は、バンドル・フィーに含まれるフィーの種類を開示しなければならない。 4.A.15 フィー(運用報酬)控除前リターンの提示において、直接の取引費用に加えてその他のフィ ーを控除しているときは、会社はその旨を開示しなければならない。 4.A.16 フィー(運用報酬)控除後リターンの提示において、運用報酬および直接の取引費用に加え てその他のフィーを控除しているときは、会社はその旨を開示しなければならない。 基本原則 ラップフィー/SMA ポートフォリオを運用する会社は、ラップフィー/SMA ポートフォリオに GIPS 基準をどのように適用するか判断する際に、以下の基本原則を検討することが重要である。 • GIPS 基準(第 I 章 序論 D.10.i.)に記述されているように、会社は、適用される国/地域の法 律または規制をすべて遵守しなければならない。これらの法律や規制には、記録保持(例えば、 パフォーマンス記録の裏付けとなる記録を保持すること)に関するものも含まれるが、ラップ フィー/SMA 運用会社によってはそれらを満たすことが難しい場合があり得る。 • GIPS 基準は、実際の取引費用を控除したパフォーマンス提示を必須としている。ラップフィ ー自体は、その構成要素に分解することは難しいかもしれない。しかしながら、GIPS 基準は、 -4- 実際の取引費用控除後のパフォーマンス提示を必須としている。 • 会社は、ラップフィー/SMA 見込顧客に提示するために、同じ戦略で運用されている非ラップ フィー/SMA ポートフォリオのフィー控除前パフォーマンス数値から当該プロダクトに適用可 能なラップフィーの最高値を控除して、パフォーマンス記録を計算したいと考えるかもしれな い。ラップフィー/SMA 見込顧客に提示された投資戦略のパフォーマンスは、会社が実際に運 用している資産に基づくものであり、公正な表示と完全な開示という基準の基本原則を満たし ているため、このパフォーマンス記録は基準に準拠して提示することができる。 • 会社は、ラップフィー/SMA 見込顧客に対してパフォーマンスを提示する際には、実際のラッ プフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスを除外してはならない。 会社の定義 GIPS 基準では、基準への準拠表明のために、会社は、公衆(顧客または見込顧客)に対して独立 した事業主体(distinct business entity)として示される、資産運用会社、子会社、または部門とし て定義される。この独立した事業主体とは、他の事業単位、部門、または事業所から組織および機能 上分離されており、運用資産について投資一任権を有し、投資意思決定プロセス全体について自立性 を有しているべき、事業単位、部門、または事業所をいう。この判断のために用い得る基準には以下 のものが含まれる。 ■ 法的主体であること。 ■ 独立した(distinct)顧客市場または顧客タイプ(機関投資家、リテール、プライベート顧客 等)を有すること。 ■ 分離、独立した(distinct)投資プロセスを使用していること。 非ラップフィー/SMA 部門(機関投資家、プライベート顧客、ミューチュアルファンド等)とラッ プフィー/SMA 部門の両方を有している組織は、上記定義に従って会社を定義する際に、いくつか考 えられる方法について検討すべきである。このことは、資産運用業界に今まさに参入しようとしてい る組織や、ラップフィー/SMA プロダクトにまで事業を拡大しようとしている組織にも適用される。 いくつかの定義には、検討されなければならない長所と短所がそれぞれある。シナリオとして、以 下のようなものが考えられる。 1. 組織全体を会社として定義し GIPS 基準への準拠を表明する、または 2. 部門を分離して次のいずれかにより定義する。 (a) 非ラップフィー/SMA 部門とラップフィー/SMA 部門を別個の会社として定義し、両方が 基準への準拠を表明する。 (b) 非ラップフィー/SMA 部門とラップフィー/SMA 部門を別個の会社として定義し、そのう ちの1つの部門だけが基準への準拠を表明する。 1. 組織全体を会社として定義し GIPS 基準への準拠を表明すること -5- 本基準は、運用会社が最も広範かつ意味のある会社の定義を採用することを勧奨している。ラップ フィー/SMA 部門と非ラップフィー/SMA 部門の両方が、公衆に対して1つの事業主体として示され ている場合には、公正な表示と完全な開示という基本原則を満たすために、基準準拠の目的上、非ラ ップフィー/SMA 部門とラップフィー/SMA 部門の両方を含む組織全体を会社として定義することが 勧奨される。このような広範な定義には、次のような利点があると考えられる。 • 非ラップフィー/SMA ポートフォリオおよびラップフィー/SMA ポートフォリオの両方が含ま れており、会社の運用総資産額が増える。 • 会社は、追加的な計算と開示を行うことにより、類似の投資目的や投資戦略に基づき運用され るラップフィー/SMA ポートフォリオと非ラップフィー/SMA ポートフォリオの両方を同じコ ンポジットに組み入れる選択肢を持つことができる。 • 会社は、非ラップフィー/SMA ポートフォリオのフィー控除前パフォーマンスからラップフィー/ SMA スポンサーがエンドユーザーに課すラップフィーの最高値を控除することによって、実 際にラップフィー/SMA ポートフォリオの運用を開始する前に、ラップフィー/SMA パフォーマンスを 計算するために、非ラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンス記録を使用することができる。 しかしながら、会社は、組織全体を会社として定義することには、次のような潜在的な短所がある ことも考慮すべきである。すなわち、会社が、ラップフィー/SMA の見込・既存顧客以外の顧客に提示 されるコンポジットに、ラップフィー/SMA ポートフォリオを組み入れる場合には、会社は、ラップフィー/ SMA ポートフォリオに課される実際の取引費用もしくはラップフィーのうち実際の取引費用を含む部 分を特定し控除できない限り、ラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスからラップフィー全体 を控除しなければならない。 2. 部門を別個に定義すること 組織が、いくつかの部門を分離、独立した事業主体として公衆に示すことを選択している場合には、 基準準拠の目的上は、部門を別個の会社として定義しなければならない。基準への準拠表明は、どち らか1つの部門のみによってもできるし、双方の会社が一方とは独立に準拠表明することもできる。 準拠表明を行う会社は、基準に準拠した自社の適切なパフォーマンス提示資料の補足情報として示す 場合を除いて、他方の会社の資産またはパフォーマンスを示すことはできない。 組織のいくつかの部門が、組織および機能上、互いに分離(separate)または独立(independent) していない可能性がある。しかしながら、次の事由により、その組織は、基準準拠の目的上、1つま たは両方の部門を別個の会社として定義することが許容されよう。 • • これら部門の運営と機能が当該組織の中で独立(distinct)しており、かつ それらの部門が公衆に対して独立した事業主体(distinct entity)として示されていること 根拠となる記録 会社は、GIPS 基準 1.A.1.に規定される「会社のパフォーマンス提示の根拠となるデータおよび情 報、また、必須基準に要求される計算を行うために必要なデータおよび情報は、すべて確保し、保管 しなければならない。」を満たすうえで、いくつかの選択肢がある。 会社によっては、ポートフォリオレベルのパフォーマンスを裏付けるのに必要なデータを保管して いないか、そのようなデータにアクセスすることができない場合がある。GIPS の必須基準を満たす -6- ために、会社は、以下を選択することができる。 • ラップフィー/SMA スポンサーが計算、報告したパフォーマンスに依拠する。これは、ラップフィー/ SMA スポンサーを単独のポートフォリオと見なして合算レベルで行うか、もしくはその元となる個々のラ ップフィー/ SMA ポートフォリオで行うことができる。第三者(この場合はラップフィー/SMA スポンサ ー)が提供する情報に依存する場合には、基準への準拠表明を行う会社は、ラップフィー/SMA スポン サーから提供される情報が、GIPS の必須基準を満たすうえで信頼できるものとするために必要な方 策を採らなければならない。 • 社内のパフォーマンス測定システムでラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスをトラックする ために、「シャドー・アカウンティング」2 を使用する。 • ラップフィー/SMA 部門を会社の定義から除外する(上記参照)。 基準への準拠表明を行う会社は、その準拠表明に責任を持つとともに、見込顧客に対する基準に準 拠した情報の報告についても責任を負っている。会社は、ラップフィー/SMA スポンサーにより提供 されるパフォーマンスが、GIPS の必須基準を満たすために使用できることを確実なものにしなけれ ばならない。もしくは、会社は、別個の記録または複製記録(GIPS 必須基準を満たすもの)を会社 レベルで保持しなければならない。さらに、会社が検証を受ける場合には、ラップフィー/SMA ポー トフォリオは、社内のその他の全ポートフォリオと同じレベルのテスト対象となる。 2006 年 1 月 1 日以降の運用実績については、会社は、コンポジットに組み入れた全ポートフォリ オの根拠となる記録を保持するか、その記録にアクセスできなければならない。記録の欠如を理由に、 これらのポートフォリオを非一任に分類することはできない。 ラップフィー/SMA ポートフォリオのコンポジットの構築と維持 資産運用会社が、ラップフィー/SMA ポートフォリオと非ラップフィー/SMA ポートフォリオの両 方に同じ投資戦略を適用することは可能であるが、エンドユーザーへの情報提供はラップフィー/ SMA ポートフォリオに特有のことであり、このため、ラップフィー/SMA ポートフォリオを含むコ ンポジットの構築と維持に関する追加的なガイダンスが必要となる。 GIPS 基準への準拠表明を行う会社が、ある戦略について過去に非ラップフィー/SMA ポートフォ リオに限り運用していた会社のパフォーマンス実績を、ラップフィー/SMA 見込顧客に対して提示を 行う場合には、会社は、次の事項をすべて満たさなければならない。 (1) 会社の定義は、ラップフィー/SMA 資産と非ラップフィー/SMA 資産の両方を含まなければならない。 (2) 会社が、特定の戦略に関し非ラップフィー/SMA ポートフォリオのみを使用してラップフィー/SMAパ フォーマンスをとりまとめた期間において、当該戦略に基づき運用されたラップフィー/SMA ポートフォ リオは存在していなかったこと。 (3) 実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを含むコンポジットのパフォーマンス記録より以前の期間を含 むラップフィー/SMA コンポジットを提示する場合には、会社は、コンポジットが実際のラップフィー/ SMA ポートフォリオを含まない旨(すなわち、当該コンポジットのポートフォリオないし資産は、ラップフ ィー/SMA ポートフォリオが0%であること、もしくはラップフィー/SMA ポートフォリオではないこと)を各 2 「シャドー・アカウンティング」は、資産運用会社が、報告期間の期首と期末の価値およびキャッシュフローを確定 するために、各口座の投資パフォーマンス記録を保管するプロセスと見なされる。 -7- 期について開示しなければならない。この開示は、会社が実際のラップフィー/SMA ポートフォリオをコ ンポジットに組み入れたときに必須となる GIPS 基準 4.A.13.が適用されるまでの間、会社により行わ れるものである。 会社は、特定の戦略について、当該戦略の非ラップフィー/SMA コンポジットのフィー控除前パフ ォーマンス記録から、ラップフィー/SMA スポンサーが当該戦略(プロダクト)について顧客(エン ドユーザー)に課すラップフィーの最高値を控除することにより、フィー控除後のラップフィー/SMA パフォーマンス記録を計算することができる。 控除すべき適切なラップフィーの最高値は、会社の決定に委ねられる。このラップフィーの最高値 は、ラップフィー/SMA の見込スポンサーから入手すべきであり、また、ラップフィー/SMA コンポ ジットの投資スタイルまたは戦略に合致するものとすべきである。 「純粋な(pure) 」フィー控除前パ フォーマンス(すなわち、取引費用を含む全費用の控除前)は、基準に準拠したパフォーマンス提示 の補足情報としてのみ許容される。非ラップフィー/SMA コンポジットのフィー控除前パフォーマン ス記録から始める場合には、当該フィー控除前パフォーマンスは、実際の取引費用を控除した後の数 値である。したがって、当該フィー控除前のコンポジット・パフォーマンスから、取引費用に相当する部 分を含むラップフィーの最高値を控除することは、取引費用を2回(実際の取引費用とラップフィー 最高値の一部)控除していることになる。会社が、ラップフィーの最高値から取引費用に相当する部 分を特定できる場合には、会社は、最初に実際の取引費用とラップフィーの最高値の両方を控除して パフォーマンスを計算し、そのうえで、ラップフィーのうちの取引費用に相当する部分を足し戻すこ とにより、フィー控除後リターンを算出することができる。 ラップフィー/SMA 見込顧客への提示のために最初のトラックレコードを作成した後、資産運用会 社は、実際のラップフィー/SMA パフォーマンス記録を積み上げるにしたがい、そのラップフィー/ SMA コンポジットのパフォーマンス記録を改訂するかどうかを検討しなければならない。会社が、 実際に運用するラップフィー/SMA ポートフォリオを1つ以上取得した場合には、会社はその実際の ラップフィー/SMA ポートフォリオを、会社のポートフォリオ組み入れ方針に従って適切なコンポジ ットに組み入れなければならない。会社は、ラップフィー/SMA ポートフォリオを、同じ戦略を有す る非ラップフィー/SMA ポートフォリオのコンポジットに組み入れるか、もしくは非ラップフィー/ SMA ポートフォリオについては別個のコンポジットとするのかどうかを決定しなければならない。 会社は、次の3つの選択肢について検討すべきである。 1. 計算された過去の記録をそのまま保持し、コンポジットを再定義して今後の記録については実 際のラップフィー/SMA ポートフォリオの記録のみを含めることとし、その旨の開示を行う。 2. 非ラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスを継続して含め、これと実際のラップ フィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスを統合する。 3. 実際のラップフィー/SMA ポートフォリオのみを代表する新たなコンポジットを構築する。こ の新コンポジットの構築日は、当該コンポジットを構築することとなった日となる。非ラップ フィー/SMA ポートフォリオから計算されたコンポジットは廃止され、会社のコンポジット一 覧表に少なくとも廃止後5年間は廃止されたコンポジットとして掲載されなければならない。 会社は、実際のラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンスを適切なコンポジットから除 外してはならない。ラップフィー/SMA パフォーマンスをラップフィー/SMA 見込顧客に提示する場 合には、会社は、上記の3つの選択肢のいずれかを選択しなければならない。 -8- 会社は、コンポジットの定義に関するガイダンス・ステートメントに従い、コンポジットの再定義 を遡及適用してはならない。会社は、いったん非ラップフィー/SMA ポートフォリオをラップフィー/SMA コンポジットに組み入れた後は、 「ラップフィー/SMA のみ」のコンポジット記録を作成するために、 遡及的にこれら非ラップフィー/SMA ポートフォリオを当該コンポジットからはずしてはならない。 パフォーマンスの提示 本基準では、ラップフィー/SMA パフォーマンスの提示のための必須事項は、パフォーマンス提示 の受け手により異なる。特に、ラップフィー/SMA スポンサーのほとんどは、リテール投資家とは異 なるデータや開示を必要としており、このため、コンポジット・パフォーマンスの提示先によって必 須事項が異なってくる。運用会社は、新規ビジネスを開拓するためにラップフィー/SMA 見込顧客に 自社のパフォーマンスを提示するかもしれない。あるいは、さらにビジネスを獲得するために既存の ラップフィー/SMA スポンサーに自社のパフォーマンスを提示するかもしれない。 ラッププフィー/SMA 見込顧客に対するラップフィー/SMA パフォーマンス実績(新規ビジネスを得 るために会社が最初にラップフィー/SMA 見込顧客にパフォーマンスを提示する場合) ラップフィー/SMA 見込顧客にパフォーマンスを提示する場合は、パフォーマンスはフィー(つま りラップフィー全体)控除後で示されなければならない。会社は、フィー控除前リターンあるいは「純 粋な」フィー控除前リターンを追加的な情報もしくは補足情報として提示してもよい3 。 GIPS 基準は、運用会社が類似の投資目的や投資戦略に従ってコンポジットを定義することを必須 としている。パフォーマンス実績の比較可能性を向上させ、また、運用会社がパフォーマンスの最良 なポートフォリオのみをいいとこ取り(cherry-pick)して提示することを防ぐため、会社は、適切な ラップフィー/SMA ポートフォリオをすべて、ラップフィー/SMA スポンサーにかかわらず、同じ投 資スタイルや戦略に従ってグループ化(スタイルにより定義されたコンポジットを構築)しなければ ならない4 。会社が、特定の戦略に基づき運用される実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを有して いない場合には、このスタイルにより定義されたコンポジットは、特定の戦略に基づき運用される非 ラップフィー/SMA ポートフォリオのみで構成され、当該ポートフォリオのフィー控除前パフォーマンス数値 から当該戦略に適用されるラップフィーの最高値を控除したパフォーマンスが使用されることになる。 会社がいったん実際のラップフィー/SMA ポートフォリオを運用することになった場合には、コン ポジット構築のために次の2つの選択肢がある。 1. 会社が、実際のラップフィー/SMA ポートフォリオの今後のパフォーマンスのみを含めるようにコンポジ ットを定義することを選択する場合には、スタイルにより定義されたコンポジットは、特定の戦略に基づ き運用されるすべてのラップフィー/SMA スポンサーからのポートフォリオで構成される。 2. 会社が、非ラップフィー/SMA ポートフォリオを存続させ、そのパフォーマンスと実際のラップフィー/ SMA ポートフォリオのパフォーマンスを統合して同じコンポジットに含めることを選択する場合には、ス タイルにより定義されたコンポジットは、ラップフィー/SMA スポンサーにかかわらず、特定の戦略に基 づき運用される、非ラップフィー/SMA ポートフォリオとすべてのラップフィー/SMA ポートフォリオで構 成される。 3 補足情報の使用に関するガイダンス・ステートメント www.cfainstitute.org/standards 参照。 4 本基準は、会社が、運用実績のあるフィー(運用報酬)を課す投資一任ポートフォリオをすべて、少なくとも1つの コンポジットに組み入れることを必須としている。これにより、会社は、パフォーマンスの最良なポートフォリオのみ を「いいとこ取り(cherry- pick)」して見込顧客に提示することはできない。 -9- コンポジット構築についていずれの選択肢を選んだかにかかわらず、会社が定義されたスタイルで ラップフィー/SMA ポートフォリオを運用する能力を完全かつ公正に示すために、このスタイルによ り定義されたコンポジットは、ラップフィー/SMA 見込顧客に提示されなければならない。会社は、 特定のラップフィー/SMA スポンサーまたは複数のラップフィー/SMA スポンサーのグループのため にポートフォリオを運用する能力を示すために、追加情報または補足情報を提示することを選択する ことができる。 GIPS 基準への準拠表明を行う運用会社が、ラップフィー/SMA 見込顧客に対して(運用会社から 直接、またはラップフィー/SMA スポンサーを通じて)提示されるパフォーマンス報告書を作成する 場合には、ラップフィー/SMA スポンサーが顧客に課す実際のラップフィーまたはラップフィーの最 高値を控除したパフォーマンスを作成しなければならない。運用会社は、本基準の倫理的な原則に従 って、ラップフィー/SMA スポンサーが要請する追加的な情報を作成することができる。 既存のラップフィー/SMA スポンサーに対して追加のビジネスを得るために提示されるラップフィー/SMA パフォーマンス実績(ラップフィー/SMA スポンサーと契約が成立している場合) 追加の資産運用ビジネスを得るために既存のラップフィー/SMA スポンサーに対してパフォーマン スを報告する場合には、会社は、フィー控除前またはフィー控除後のどちらでリターンを提示するか を選択することができる。(会社は、補足情報として「純粋な」フィー控除前リターンを提示するこ ともできる。)しかしながら、上述のように、運用会社により作成され、ラップフィー/SMA 見込顧 客に提示されるすべてのパフォーマンスは、ラップフィー/SMA スポンサーが顧客に課す実際のラッ プフィーまたはラップフィーの最高値を控除したものでなければならない。 運用会社が既存のラップフィー/SMA スポンサーに対してラップフィー/SMA プログラムのパフォ ーマンスを報告する場合には、当該ラップフィー/SMA スポンサーのために特定のプログラムまたは 「プロダクト」をどのように運用したかを報告する必要がある。運用会社は、そのラップフィー/SMA スポンサーのために運用するポートフォリオのみを組み入れたコンポジットのパフォーマンスを報 告することができる。既存顧客に対する報告の場合と同様に、運用会社は、ラップフィー/SMA スポ ンサーに当該スポンサーのパフォーマンスを提示するために、そのラップフィー/SMA スポンサーの ために運用されているポートフォリオのみで構成される、より小さな「コンポジット」を構築するこ とを選択できる。GIPS の必須基準のすべてに会社全体として準拠している場合に限り、特定スポン サーの「コンポジット」の提示に準拠表明を含めることができる。運用会社は、特定スポンサー向け の基準に準拠したパフォーマンス提示において、その既存のラップフィー/SMA スポンサーの名前を 開示しなければならない。さらに、その提示がフィー控除後リターンを含まない場合には、運用会社 は、当該特定スポンサーのコンポジット提示は、そのラップフィー/SMA スポンサー限りであること を明瞭に開示しなければならない。 合算された情報の使用 パフォーマンスおよびパフォーマンス関連の報告を目的として、合算された情報を使用することは 許容される。会社は、スポンサーを1つのポートフォリオと見なして、当該ラップフィー/SMA スポ ンサーから取得した合算された情報に依拠して報告することを選択してもよい。例えば、年度末に、 会社が1つのスポンサーについて 1,000 のラップフィー/SMA ポートフォリオを運用しており、その スポンサーを1つのポートフォリオと見なす場合には、会社は、コンポジットのポートフォリオ数を -10- 「1」または「≦5(5以下)」と報告することを選択できる。本基準によれば、 (ラップフィー/SMA) コンポジットのポートフォリオ数が5以下の場合には、ポートフォリオ数の開示は必須ではない。 その他の方法としては、会社は、各スポンサーの元となるポートフォリオの情報に依拠することを 選択することができ、提示されるパフォーマンスおよびパフォーマンス関連情報は、個々のラップフ ィー/SMA ポートフォリオ(エンドユーザー)に基づくことになる。上述の例によれば、会社は、コ ンポジットのポートフォリオ数を 1,000 と報告することになる。 ラップフィー/SMA コンポジットのフィー控除前およびフィー控除後リターンの計算 本基準は、実際の取引費用を控除してパフォーマンスを計算することを必須としている。ラップフ ィー自体をその構成要素に分解することは不可能でないにしても困難であると考えられるため、実際 の取引費用の控除をラップフィー/SMA ポートフォリオに適用することはそれほど容易ではない。各 ラップフィー/SMA ポートフォリオに課された実際のフィーは、入手できない場合もある。計算例に ついては、付属資料 C を参照されたい。 ラップフィー/SMA 見込顧客に対して提示される、ラップフィー/SMA ポートフォリオを含むコンポ ジットのパフォーマンス計算(新規ビジネスを得るために最初に提示される場合) ラップフィー/SMA 見込顧客に提示するためにパフォーマンスを計算する場合には、パフォーマン スは、フィー控除後リターンを算出するためにラップフィー全体を控除しなければならない。ラップ フィーの控除は、コンポジット中のラップフィー/SMA ポートフォリオおよび非ラップフィー/SMA ポートフォリオのすべてに適用される。会社は、ラップフィーのうち取引費用を含む部分を特定でき るかどうかにかかわらず、ラップフィー/SMA 見込顧客に対してフィー控除後リターンを提示しなけ ればならない。 既存のラップフィー/SMA スポンサーに対して追加のビジネスを得るために提示される、ラップフィ ー/SMA ポートフォリオを含むコンポジットのパフォーマンス計算(ラップフィー/SMA スポンサー と契約が成立している場合) 既存のラップフィー/SMA スポンサーに提示するためにパフォーマンスを計算する場合には、パフ ォーマンスは、フィー控除前またはフィー控除後で計算(そして提示)することができる。ラップフ ィーはその構成要素に分解できないため、ラップフィー/SMA ポートフォリオのためにこれらの計算 をすることは難しいと考えられる。 したがって、ラップフィー全体から取引費用を特定、分離できない場合には、ラップフィー全体ま たはラップフィーのうち取引費用を含む部分を控除して、フィー控除前およびフィー控除後リターン を計算しなければならない。この場合、カストディその他の管理費用は、フィー控除前およびフィー 控除後リターンの双方において減額されている可能性があり、会社は、フィー控除前リターンとフィ ー控除後リターンが同じになるケースがあることが分かるだろう。 会社は、これらその他のフィーや費用を特定することができる場合には、フィー控除前リターンに ついては、取引費用を除くすべてのフィーおよび費用を足し戻すこと、また、フィー控除後リターン については、取引費用と運用報酬を除くすべてのフィーおよび費用を足し戻すことが許容される。 -11- 見込顧客がこれらの状況において課されるフィーについて理解できるよう、会社は、フィー控除前 リターンを提示する場合には、直接の取引費用に加えてその他のフィーを控除しているときは、その 旨を開示しなければならない。また、会社は、フィー控除後リターンを提示する場合には、運用報酬 および取引費用に加えてその他のフィーを控除しているときは、その旨を開示しなければならない。 ラップフィー/SMA コンポジットの内部リスク指標の計算 GIPS 基準は、その1年間を通じてコンポジットに組み入れられていたポートフォリオについて、 ポートフォリオ・リターンの散らばりの測度を提示することを必須としている。会社は、散らばりの 測度(およびコンポジットのポートフォリオ数)を算出できるようにするために、個別(エンドユー ザー)のポートフォリオのリターンを保持することが奨励される。 運用会社は、ラップフィー/SMA スポンサーが報告する合算されたパフォーマンス情報を、1つの ポートフォリオと見なすことを選択することができる。ここでは、散らばりの測度は、ポートフォリ オレベルではなく、個々のポートフォリオ・リターンを合算したスポンサーレベルのリターンで見る ことになる。本基準によれば、 (ラップフィー/SMA)コンポジットのポートフォリオ数が5以下の場 合には、散らばりの測度の開示は必須とされない。 補足/追加情報 GIPS 基準は、記録について顧客の理解を深めるために、会社が、基準に準拠して提示したパフォ ーマンスを補足する情報を提示するよう勧奨している。ラップフィー/SMA 見込顧客にラップフィー/SMA パフォーマンスを提示する場合には、会社はフィー控除後パフォーマンス実績を提示することが必須 とされる。しかしながら、会社は、フィー控除前リターン(取引費用のみ控除後)を「追加情報」と して、また、 「純粋な」フィー控除前リターン(取引費用を含むすべての費用控除前)を「補足情報」 として提示することが許容される。補足情報の使用に関するガイダンス・ステートメントおよび付属 資料 A に掲載する提示例を参照されたい。 発効日 本ガイダンス・ステートメントの発効日は、2006 年 1 月1日である。現在準拠しようとしている 会社は、本ガイダンスをすべての期間に適用するよう奨励される。また、会社は、本ガイダンスを発 効日より前に適用することを奨励される。しかしながら、本ガイダンスは、2006 年 1 月 1 日以降の すべてのパフォーマンス実績に適用されなければならない。 2006 年1月1日の発効日より前の運用実績について、会社は、GIPS 基準に準拠していない評価期 間およびその非準拠の内容を開示する場合に限り、非準拠のパフォーマンスを会社の準拠パフォーマ ンス記録にリンクすることができる。GIPS 基準への準拠の見地から、会社は、記録保持に関する規 制を含め、いかなる規制も遵守しなければならない。 -12- 適用事例 1. 本基準では、当該パフォーマンス提示に適用されるフィー一覧表(報酬率表)の開示が必須とさ れている。ラップフィー/SMA ポートフォリオを運用する運用会社として、当社は、当社と SMA スポンサー間のフィー一覧表を保管している。当該 SMA スポンサーは、その SMA スポンサーと 最終顧客との間のフィー一覧表を保管している。どちらのフィー一覧表を提示すべきか。 コンポジットが資産運用サービスのエンドユーザーである見込顧客に対して提示されるときは、い ずれの場合にも、提示すべきフィー一覧表は、SMA スポンサーがエンドユーザーに課すラップフィ ーの全額を反映したものである。 コンポジットが SMA スポンサーに対してのみ提示される(エンドユーザーへのマーケティングに は使用されない)場合には、フィー一覧表は、ラップフィー全額のうちの運用会社が課す部分(運用 会社と SMA スポンサー間のフィー一覧表)を反映すればよい。その他のフィー一覧表に関する追加 的な情報については、補足情報として提示することができる。 2. 当社がスポンサー契約を締結した特定のラップフィー/SMA スポンサーに対してパフォーマンス 報告を行う際には、当社は(同じ戦略に基づいて運用される)当該スポンサーのポートフォリオ について、当該スポンサーとの取引開始以降のコンポジット・パフォーマンスを報告している。 当社は、この特定スポンサーのパフォーマンス実績を、スポンサーに関係なく同じスタイルで運 用される全ラップフィー/SMA ポートフォリオのパフォーマンス記録を含む、スタイルにより定義 されたラップフィー/SMA コンポジットのパフォーマンス記録にリンクすることは可能か。 可能である。特定スポンサーのラップフィー/SMA コンポジットのパフォーマンス実績は、スタイ ルにより定義されたコンポジットのパフォーマンス記録にリンクすることができる(スタイルにより 定義されたコンポジットは、同じスタイルで運用された非ラップフィー/SMA ポートフォリオのラッ プフィー最高値を控除したパフォーマンスを組み入れることができる)。 3. ラップフィー/SMA 見込顧客に対してパフォーマンス報告を行う際には、既存のラップフィー/ SMA スポンサーのコンポジットのパフォーマンスを提示することができるか。 ラップフィー/SMA 見込顧客に対してパフォーマンス提示を行う際には、会社は、定義されたスタ イルでラップフィー/SMA ポートフォリオのすべてを運用する能力について完全かつ公正に示すため、 スタイルにより定義されたコンポジットを提示しなければならない。会社は、特定のラップフィー/ SMA スポンサーもしくは複数のラップフィー/SMA スポンサーのグループのためにポートフォリオ を運用する能力を示すため、追加情報または補足情報を提示することを選択することができる。 4. 本ガイダンスによれば、運用会社は、その提示したパフォーマンス情報がラップフィー/SMA スポ ンサーによってどのように使用されるかをコントロールしなければならないのか。スポンサーが、 当該スポンサーのラップフィー/SMA コンポジットのフィー控除前パフォーマンスを、ラップフィ ー/SMA 見込顧客に提示したらどうなるか。 いいえ。本ガイダンスは、運用会社がいったんラップフィー/SMA スポンサーに提供した自社のパ フォーマンス情報について、運用会社がその情報の使用状況をモニターすることを必須としていない。 しかしながら、運用会社のパフォーマンス情報が第三者によって配布されるときは、いかなる場合で -13- あっても、会社はそのパフォーマンスが不正確に提示されたり、誤解を与えるような方法で使用され ることがないよう、適切な措置を講ずるべきである。 5. 当社は、機関投資家のポートフォリオと SMA ポートフォリオの両方を運用している。2000 年1 月1日付で、当社は機関投資家ポートフォリオについて GIPS 基準への準拠表明を開始した。ラ ップフィー/SMA ポートフォリオのガイダンスを見たところ、当社のラップフィー/SMA ポートフ ォリオは、現状では、GIPS の必須基準を満たすことができないと考えられる。当社は、今後も GIPS 準拠会社からラップフィー/SMA ポートフォリオを除外して、機関投資家ポートフォリオに ついて引き続き準拠表明を行うことは可能か。 この質問への回答は、会社が公衆に対してどのように示されているかによる。GIPS 基準では、基 準への準拠表明のために、会社は、公衆(顧客または見込顧客)に対して独立した事業主体(distinct business entity)として示される、資産運用会社、子会社、または部門として定義される。この独立 した事業主体とは、他の事業単位、部門、または事業所から組織および機能上分離されており、運用 資産について投資一任権を有し、投資意思決定プロセス全体について自立性を有しているべき、事業 単位、部門、または事業所をいう。この判断のために用い得る基準には以下のものが含まれる。 ■ 法的主体であること。 ■ 独立した(distinct)顧客市場または顧客タイプ(機関投資家、リテール、プライベート顧客 等)を有すること。 ■ 分離、独立した(distinct)投資プロセスを使用していること。 ここで述べられた状況では、非ラップフィー/SMA 部門が上記の会社の定義に関するガイダンスを 満たしている場合には、会社は、基準への準拠表明からラップフィー/SMA 部門を除外して、機関投 資家部門を独立した事業主体として定義することが可能である。これによって、会社による GIPS 基 準への準拠表明が自動的に危うくなるものではない。非ラップフィー/SMA(機関投資家)ポートフ ォリオのマネジャーが、ラップフィー/SMA ポートフォリオも運用している場合は、これにより、必 ずしも会社を分離して定義することができなくなる訳ではない。会社は、部門を別個に定義すること により、(機関投資家部門のパフォーマンス記録の補足資料として示す場合を除き)ラップフィー/ SMA 部門のパフォーマンス示すことはできないことを考慮すべきである。補足情報に関する詳細は、 補足情報の使用に関するガイダンス・ステートメントを参照されたい。 6. 当社は、約 45 の SMA スポンサーのために SMA ポートフォリオを運用している。45 の SMA ス ポンサーのうち 44 については、十分な根拠記録を保管することができている。1 つの SMA スポ ンサーについては、十分な根拠記録と考えられるものを得ることができない。当社は、これを会 社の資産および会社の定義から除外し、残りの SMA 事業(44 の SMA スポンサー)について準拠 表明を行うつもりである。これは可能か。 GIPS 基準への準拠は、会社全体で行われなければならない。会社の定義はある程度弾力的である ものの、会社は、記録保持に関する必須基準を満たすことができないことを理由に、会社の定義から 資産の一部を除外することを選択することはできない。 つまり、問題のあるラップフィー/SMA スポンサーは、どのようなケースであれ、会社が準拠表明 を行う妨げにはならないと考えられる。会社は、そのラップフィー/SMA プログラムから入手可能な -14- 記録を検討し、保管されている記録に会社が依存できるかどうかを評価すべきである。多くの場合、 ラップフィー/SMA スポンサーにかかわりなく、すべてのポートフォリオについて売買記録や要約情 報等のいくらかの記録が入手可能である。情報の詳細さは必ずしも会社が理想とするレベルではない かもしれないということを認めたうえ、会社は、最低限入手可能な記録が会社の記録保持に関する要 件を満たしており、結果として GIPS 基準を満たしていることを確認することができるかもしれない。 7. 当社は、現在ラップフィー/SMA 口座を運用している。当社は、2006 年1月1日付で SMA ポー トフォリオについて GIPS 基準に準拠することはできない。当社は、2008 年1月1日付では、SMA ポートフォリオについて GIPS 基準に準拠することが可能であると考えている。当社は、2008 年 1月1日付で SMA ポートフォリオについて GIPS 基準への準拠表明を開始することは可能か。 SMA ポートフォリオを運用し GIPS 基準への準拠を表明したい会社は、最低限 2006 年1月1日時 点で GIPS 基準に準拠していなければならない。資産運用会社がこの時点で準拠表明できない場合に は、会社は、GIPS の必須基準に準拠した最低限5年分のパフォーマンス記録を得るまでは、準拠表 明してはならない。 8. 当社は、同じ戦略を使用して、3つのスポンサーのために小型株ポートフォリオを運用している。 当社は、各スポンサーを単独のポートフォリオと見なし、各スポンサーの合算情報に依拠してい る。スタイルにより定義されたコンポジットのパフォーマンスを報告する際に、当社は、口座数 やコンポジット内の散らばりの測度をどのように報告すべきか。 会社が、開示およびパフォーマンス報告を目的として、3つのスポンサーの合算情報に依拠してい る場合には、口座数は、3もしくは5以下(≦5)と報告できる。会社は、3 つのスポンサーの年次 リターンを使用して散らばりの測度を報告するか、もしくは散らばりの測度を開示せずコンポジット のポートフォリオ数を5以下(≦5)と報告することを選択することができる。 9. 私は、既存のラップフィー/SMA スポンサーに対して、実際のラップフィー/SMA ポートフォリオ のみを含む、特定スポンサーのコンポジットのフィー控除前リターンを提示したいと考えている。 私は、ラップフィー全体(150 ベーシスポイント)とラップフィーに含まれる運用報酬(50 ベー シスポイント)について知っている。これにより、 「バンドル・フィーのうち取引費用を含む部分」 は 100 ベーシスポイントとなる。私は、50 ベーシスポイント(ラップフィー全体のうちの運用報 酬部分)を足し戻してより正確なフィー控除前リターンを計算してもよいか。 本ガイダンスは、ラップフィー/SMA の既存顧客のみに提示するために、ラップフィー/SMA ポー トフォリオを含むコンポジットのフィー控除前パフォーマンスを計算する場合には、会社は、ラップ フィーのうち、取引費用以外の、識別可能なフィーおよび費用を足し戻すことができるとしている。 GIPS 基準は、フィー控除前リターンの提示において、会社が取引費用に加えてその他のフィーを控 除しているときは、その旨を開示することを必須としている(GIPS 基準 4.A.15 参照)。運用会社は、 特定スポンサーの基準に準拠したパフォーマンス提示において、その既存のラップフィー/SMA スポ ンサーの名前を開示しなければならない。さらに、その提示がフィー控除後リターンを含まない場合 には、運用会社は、当該特定スポンサーのコンポジットは、そのラップフィー/SMA スポンサーに対 してのみ提示されていることを明瞭に開示しなければならない。 このケースでは、会社は、フィー控除後パフォーマンス(ラップフィー全体の 150 ベーシスポイン -15- トを控除)の算出から始めるべきである。ラップフィー全体の 150 ベーシスポイントのうち 50 ベー シスポイントは運用報酬に相当するので、残りの 100 ベーシスポイントには、その他費用のうち取引 費用に直接関係するものを含んでいる。会社は、フィー控除前パフォーマンスを計算するため、フィ ー控除後パフォーマンスに運用報酬の 50 ベーシスポイントを足し戻すことができる。 -16- 付属資料 A Sample 6 Investments 大型株SMAコンポジット 1993年1月1日―2003年12月31日 「純粋な (pure) 」 フィー控除前 リターン * (%) XYZ インデックス・ リターン (%) コンポジット内 の 散らばり (%) 12月31日現在 会社の コンポジットの 運用総資産額 に占める割合 資産残高 (%) (百万ドル) SMA ポートフォリオ の割合 (%) 年 度 フィー控除後 リターン (%) 2003 13.89 16.42 15.99 0.7 1,834 2,125 14 100 2002 -16.77 -14.22 -21.51 1.1 1,730 2,130 15 100 2001 -12.00 -9.45 -11.71 1.0 1,631 2,141 14 100 2000 4.59 7.12 6.08 1.2 1,532 2,127 14 100 1999 11.63 14.22 12.75 0.9 1,428 2,116 11 100 1998 14.45 17.01 14.68 0.8 35 1,115 12 0 1997 25.48 28.02 29.98 1.0 32 1,110 13 0 1996 20.47 23.00 21.99 1.1 26 990 12 0 1995 38.39 41.01 37.01 0.9 24 975 15 0 1994 -2.67 -0.11 -0.62 0.8 18 870 14 0 1993 16.47 19.02 18.64 0.7 17 766 16 0 ポートフォリオ数 * 1999 年 1 月 1 日以降、 「純粋な」フィー控除前リターンは、取引費用を含むいかなる費用も控除していない。 「純粋 な」フィー控除前リターンは、フィー控除後リターンを補足するものである。注記3参照。 Sample 6 Investments は、グローバル投資パフォーマンス基準(GIPS®)に準拠してこの報告書を作成し、 提示している。 1. Sample 6 Investments は、1940年投資顧問法に基づき登録された独立系の投資顧問会社である。 2. 1999年1月1日以降、大型株SMAコンポジット (以下、コンポジット) は、XYZインデックスをベンチマークと するすべてのセパレートリー・マネージド (ラップ) ポートフォリオを含む。1993年から1998年までのパフォ ーマンス実績は、大型株機関投資家コンポジットの実績である。このコンポジットは1998年12月に構築され た。会社の全コンポジットの一覧表およびそれらの概略は請求に応じて提供可能である。 3. ポートフォリオ・リターンは修正ディーツ法を用いて月次計算される。ポートフォリオは、当該ポートフォリオの 時価の10%を超えるキャッシュフローが発生するごとに再評価される。1999年から2003年までの純粋なフィ ー控除前リターンについては、いかなる取引費用、フィーまたは費用も控除されていない。1993年から1998 年までの「純粋な」フィー控除前リターンは、取引費用控除後のものである。SMAフィーは、取引費用、運用 報酬、カストディ・フィーその他の管理報酬のすべてを含む。フィー控除後リターンは、コンポジットの四半期 ベースのフィー控除前リターンから適用可能なSMAフィーの最高値 (年ベースで2.50%、四半期ベースで 0.625%) を控除して、四半期ベースで計算されている。コンポジットの月次リターンは、期首時価をウエイト として、各口座の月次リターンを資産額加重して計算される。リターンはすべて米ドル建てである。リターンの 計算と報告の方針に関する追加情報は、請求に応じて提供可能である。 4. XYZインデックス・リターンは、パフォーマンス提示期間における投資環境を示すために掲載されている。比 較対照を目的として、このインデックスはフルに投資されており、インカムの再投資を含む。インデックス・リタ ーンは、取引費用、運用報酬その他費用を減額していない。 5. 年次リターンの散らばりは、その1年間を通じてコンポジットに組み入れられていたポートフォリオの等加重平 均リターンの標準偏差により測定している。 -17- 6. 過去のパフォーマンスは将来の実績の指標とはならない。現時点で適用される標準的なフィーは、総資産 に対して2.5%である。 補足情報 年 度 「純粋な(pure) 」 フィー控除前リターン (%) フィー控除後リターン (%) SMAフィーは 3% を想定 フィー控除後リターン (%) SMAフィーは 2% を想定 2003 16.42 13.45 14.39 2002 -14.22 -17.20 -16.19 2001 -9.45 -12.47 -11.44 2000 7.12 4.02 5.12 1999 14.22 11.11 12.12 1998 17.01 13.98 14.99 1997 28.02 24.95 26.03 1996 23.00 20.01 20.99 1995 41.01 37.99 39.02 1994 -0.11 -3.21 -2.10 1993 19.02 16.01 17.00 -18- Sample 7 Asset Management Company 小型株SMAコンポジット 1993年1月1日―2004年12月31日 12月31日現在 ポートフォリオ数 コンポジットの 資産残高 (百万ドル) 会社の 運用総資産額 に占める割合 (%) SMA ポートフォリオ の割合 (%) 583 1432 17 100 573 1324 14 100 1.1 563 1243 15 100 3.5 1.0 553 976 14 100 2.6 1.2 503 890 14 100 14.6 14.9 0.9 433 789 11 50 1998 -3.7 -7.3 0.8 333 654 12 40 1997 14.6 10.9 1.0 233 633 13 30 1996 19.1 14.3 1.1 133 300 12 25 1995 2.3 3.7 0.9 23 162 15 20 年 度 フィー控除後 リターン (%) 小型株 インデックス・ リターン (%) コンポジット内の 散らばり (%) 2004 10.0 8.9 0.8 2003 -8.9 -15.4 0.7 2002 6.7 7.6 2001 -4.5 2000 11.0 1999 1994 -1.6 0.7 0.8 13 120 14 0 1993 12.7 13.4 0.7 3 25 16 0 Sample 7 Asset Management Company は、グローバル投資パフォーマンス基準(GIPS®)に準拠してこ の報告書を作成し、提示している。 1. Sample 7 Asset Management Company は、1940年投資顧問法に基づき登録された独立系の投資顧 問会社である。 2. 2000年1月1日以降、小型株SMAコンポジット (以下、コンポジット) は、XYZインデックスをベンチマークと し、Sparky Sponsor, Inc.をスポンサーとするすべてのセパレートリー・マネージド (ラップ) ポートフォリオ を含む。1995年から1999年までのパフォーマンス実績は、Sample 7 社の小型株機関投資家コンポジットと Sparky Sponsor のために運用されたラップ・ポートフォリオの両方の実績から成る。1993年から1994年ま でのパフォーマンス実績は、小型株機関投資家コンポジットの実績である。このコンポジットは2000年8月に 構築された。会社の全コンポジットの一覧表およびそれらの概略は請求に応じて提供可能である。 3. ポートフォリオ・リターンは修正ディーツ法を用いて月次計算される。ポートフォリオは、当該ポートフォリオの 時価の10%を超えるキャッシュフローが発生するごとに再評価される。SMAフィーは、取引費用、運用報酬、 カストディ・フィーその他の管理報酬のすべてを含む。フィー控除後リターンは、四半期ベースのフィー控除 前リターンから適用可能なSMAフィーの最高値 (年ベースで2.50%、四半期ベースで0.625%) を控除して、 四半期ベースで計算されている。コンポジットの月次リターンは、期首時価をウエイトとして、各口座の月次リ ターンを資産額加重して計算される。リターンはすべて米ドル建てである。リターンの計算と報告の方針に関 する追加情報は、請求に応じて提供可能である。 4. XYZインデックス・リターンは、パフォーマンス提示期間における投資環境を示すために掲載されている。比 較対照を目的として、このインデックスはフルに投資されており、インカムの再投資を含む。インデックス・リタ ーンは、取引費用、運用報酬その他費用を減額していない。 5. 年次リターンの散らばりは、その1年間を通じてコンポジットに組み入れられていたポートフォリオの等加重平 均リターンの標準偏差により測定している。 6. 過去のパフォーマンスは将来の実績の指標とはならない。現時点で適用される標準的なフィーは、総資産 に対して2.5%である。 -19- 付属資料 B GIPS 用語集からの抜粋: バンドル・フィー 複数のフィーを束ねて(「バンドル」して)一括りに表示されるフィー。バンド Bundled Fee ル・フィーは、運用報酬、取引費用、カストディ・フィー、その他の管理報酬 の任意の組み合わせからなる。代表的なバンドル・フィーの例として、ラップ フィーとオール・イン・フィーの2つがある。 オール・イン・フィー(All-In Fee) ユニバーサル・バンキング・システムのあるいくつかの国では、多くの場合、 資産運用、ブローカレージ、およびカストディのサービスは同一会社により提 供される。これにより銀行は報酬体系の多様な選択肢を顧客に提供できる。顧 客にはバンドルされたあるいは個別に課された、多数の報酬モデルが示される。 オール・イン・フィーには、運用報酬、取引費用、カストディ・フィーその他 の管理報酬の任意の組み合わせがある。 ラップフィー(Wrap Fee) ラップフィーは、特別な投資プロダクトに固有のものである。米国証券取引委 員会(SEC)の定義によれば、ラップフィー口座(今日ではより一般的にセパレ ートリー・マネージド・アカウントまたは SMA として知られる)とは、 「投資アドバイ ザリー・サービス(ポートフォリオ運用、または他の投資アドバイザーの選択 に関する助言を含む)と顧客取引の執行に対して、顧客口座における個別取引に 基づかない特定の報酬を顧客に課すアドバイザリー・プログラムのすべて」で あるとされる。典型的な SMA には、投資アドバイザーであるスポンサー(通常 はブローカーまたは独立の業者)、一般にサブアドバイザーとして登場する資産 運用会社、その他のサービス(カストディ、コンサルティング、レポーティン グ、パフォーマンス、マネジャー選択、モニタリング、売買執行)、販売会社、 および顧客(ブローカレージの利用者)に係る、 (報酬を含む)1つないし複数 の契約が存在している。ラップフィーは、すべてを含んだ、資産額ベースのフ ィー(運用報酬、取引費用、カストディ・フィーその他の管理報酬の任意の組み合わ せからなる)である。 -20- 付属資料 C フィー控除前リターンおよびフィー控除後リターンの計算例 非ラップ 既存のラップフィー/SMA スポンサーおよび顧客に 見込みのラップフィー/SMA スポンサーおよび顧客 対する提示 (ラップフィーの分解が可能であり、分 に対する提示 解を選択する場合) リターン (Return on Assets) リターン(「純粋なフィー控除前“Pure Gross”」)** リターン(「純粋なフィー控除前“Pure Gross”」)** - 取引費用 - ラップフィーのうち分離可能な取引費用を含む フィー控除前リターン フィー控除前リターン - ラップフィーの最高値 - 運用報酬 - ラップフィーのうち分離可能な運用報酬を含む - 実際のラップフィー フィー控除後リターン フィー控除後リターン - 管理報酬 - ラップフィーの残りの部分(がある場合) 部分 または 部分 フィー控除前リターン および 顧客リターン* 顧客リターン* フィー控除後リターン および 顧客リターン* * 顧客リターンは GIPS 基準では必須ではなく、ここでは、既存顧客にとって有益と思われる追加的な 情報として示されている。 ** 「純粋なフィー控除前(pure gross)」リターンは GIPS 基準では必須ではなく、勧奨もされていない が、補足情報として提示することが可能である。 -21-