...

参考資料5 ガス安全小委員会報告書参考資料(PDF形式

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

参考資料5 ガス安全小委員会報告書参考資料(PDF形式
参考資料5
ガス安全小委員会報告書
参 考 資 料
参考資料5−1
これまでのガス安全に係る制度見直しの概要
・・・
1
参考資料5−2
ガス事業法に基づくガス工作物及び消費機器等に係る安 ・・・
全規制の概要
3
参考資料5−3
ガス事業法の需要家保安関係部分
・・・
5
参考資料5−4
需要家保安に関する一般ガス事業及び大口供給の保安 ・・・
規制の比較
10
参考資料5−5
一般ガス事業者の使用量別需要家数(需要家件数上位1 ・・・
0社計)及び事故の状況
11
参考資料5−6
平成4年から平成16年までの年間ガス使用量10万 m3 ・・・
以上のガス需要家に係る事故概要
12
参考資料5−7
現行の大口需要家(50 万m3以上)の保安管理状況に関 ・・・
する調査結果
13
参考資料5−8
自由化拡大範囲の需要家(10 万∼50 万 m3/年)の事業形 ・・・
態とガス使用状況
14
参考資料5−9
大口供給の自由化範囲拡大に関する個別需要家調査の ・・・
結果
18
参考資料5−10
需要家保安の体系
・・・
20
参考資料5−11
ガスを使用する建物の区分
・・・
21
0
参考資料5−1
これまでのガス安全に係る制度見直しの概要
1.大口ガス事業の創設等(平成7年改正)
総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会の下に設置されたガス基本問題検
討小委員会で検討され、昭和45年以来、25年ぶりの法改正が行われた。
(1)大口需要家向けガス供給に関する規制緩和(大口ガス事業の創設)
従来、一般ガス事業者は料金規制や供給区域内の需要家に対する供給義
務が課せられ、供給区域外への供給が禁止されていたが、本改正により、契
約年間ガス販売量 200 万立方㍍/年以上の大口需要家への供給について、
料金規制の緩和、参入規制の緩和が行われるとともに卸供給規制の見直しや
託送供給ガイドラインの策定など関連する諸制度が整備された。
(2)保安規制の見直し
大口ガス事業の創設に伴い、所要の改正が行われた。ガス供給設備につい
ては、一般ガス事業者と同様の規制を課しているが、大口需要家自身が有す
る保安能力を勘案して、消費機器に関する周知及び調査等については免除し
ている。また、行政改革の一環として、ガス主任技術者試験の事務を民間に委
託した。
2.大口需要家向けガス供給に係る規制緩和等(平成11年改正)
都市ガス事業構造改革研究会(公益事業部長の私的研究会)の論点提起及び都
市熱エネルギー部会の中間報告を受け、事業規制の緩和が行われた。
主な変更点は、①大口需要家向けガス供給に関する規制の緩和(200万m3 /年
→100万m3/年)、②一般ガス事業者及び簡易ガス事業者の料金規制の緩和、及び
③卸供給その他の規制の緩和である。
3.自己責任原則に則った新たな安全規制体系の構築(平成12年改正)
安全水準の向上や規制改革の流れを受け、「ガス合同安全小委員会報告書(平成
10年12月)」を踏まえガス事業法が改正された。
(1)事業者の自己責任を原則とし、国の関与は最小限
従来、国が直接実施してきたガス工作物に係る事前の許認可等を廃止し、
原則、事業者等の自己責任による安全性の確認に移行した。また、重要なガス
工作物については、第三者機関による検査を義務付けた。
(2)事後規制の機動的・効果的発動
事業者による自発的な安全性確認のための取組を促進若しくは担保するた
1
め、立入検査等の事後的規制を機動的・効果的に発動できるようにするととも
に、報告徴収を充実した。また、法人重科等の罰則の強化が図られた。
(3)技術基準の性能規定化
安全性の水準を具体的な数値、構造等の仕様により規定している従来の技
術基準は、新技術、新材料あるいはJIS、国際規格等の迅速な採用に関して
硬直的となりがちであることから、技術基準を「性能規定化」することにより、ガ
ス工作物等の設計の柔軟性を確保することとした。
4.ガス導管事業の創設等(平成15年改正)
「今後の望ましいガス事業制度の骨格について(平成15年2月)」を踏まえ、効率
的なガス供給基盤の整備と有効利用及びガスの需要家の選択肢の拡大の観点から、
平成15年6月にガス事業法が改正された。
(1)効率的なガス供給インフラとその有効利用の促進
我が国のガス市場の活性化と公正な競争の促進のため、一般ガス事業者
以外の者が設置する導管網を活用してガスの取引を活性化させるため、国産
天然ガス事業者や電気事業者などガス供給用の導管を自ら維持し、及び運用
する事業者を新たにガス導管事業者として位置付けた。
(2)小売自由化範囲の拡大等
小売り自由化範囲の拡大(100万m3/年 → 50万m3/年)及び簡易ガス事
業における原料選択の拡大が行われた。また、10万m3/年以上の需要家まで
の自由化範囲の拡大についても、所要の制度上の検討及び整備を今後詳細
に行った上で、50万m3/年までの拡大による評価を反映し、平成19年を目途
に行うことが適当であるとされた。
(3)ガス事業制度改革を踏まえた保安規制の整備
上記のガス事業制度改革を踏まえ、所要の整備が行われた。ガス導管事業
者及び簡易ガス事業者のうち天然ガス転換による一般ガス事業の許可を受け
る者には一般ガス事業者と同様の保安責任を課すことになった。
5. 産業保安監督部の設置に伴う権限関係の整理(平成16年改正)
従来、経済産業局が所掌していた産業保安規制事務について、産業保安監督
部を設置し、原子力安全・保安院長の指揮監督下に置くことにより、その責任の一
元化・明確を図った。これに伴い、ガス事業について、事業規制は経済産業局が、
保安規制は産業保安監督部がそれぞれ分担して所掌することとなった。
2
参考資料5−2
ガス事業法に基づくガス工作物及び消費機器等に係る安全規制の概要
1.ガス工作物の設計・工事に関する規制
(1) 工事計画の届出(第36条の2)
ガス工作物の設置又は変更の工事の計画(設計)について、経済産業大臣に
届け出ることをガス事業者に義務付けている。計画が技術上の基準に適合して
いないときは、経済産業大臣による工事計画の変更又は廃止の命令が可能で
ある。
(2) 使用前検査(第36条の2の2)
工事計画の届出をしたもののうち、重要な設備については、そのガス工作物の
工事が計画どおりに施工されていること及び技術上の基準に適合していること
について、ガス事業者による自主検査及び経済産業大臣が認定する認定ガス
工作物検査機関の検査を受けるべきことを義務付け、これに合格した後でなけ
ればガス工作物を使用することができない。また、自主検査の記録を作成し、保
存しなければならない。
2.ガス工作物の維持・運用に関する規制
(1) 技術基準適合維持義務(第28条)
ガス工作物を技術上の基準に適合させるように義務付けるとともに、公共の安
全の維持、災害防止のため緊急の必要がある場合は、ガス事業者にガス工作
物の移転、使用の停止等必要な命令をすることができる。
(2) 保安規程の作成、届出及び遵守義務(第30条)
ガス工作物の工事、維持及び運用に必要な保安規程の作成、届出及びその
遵守をガス事業者に義務付けている。
(3) ガス主任技術者の選任等の義務(第31条、第33条の2、第34条)
ガス事業者は、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせ
るため、有資格者からガス主任技術者を選任し、その旨の届出を義務付けてい
る。
なお、ガス主任技術者試験は指定試験機関が行い、免状交付事務についても
指定試験機関に委託することができることとなっている。
(4) 定期自主検査(第36条の2の4)
ガス工作物を定期的に検査することをガス事業者に義務付けている。また、検
3
査の記録を作成し、保存しなければならない。
3.消費機器に関する周知及び調査
(1)消費機器に関する周知(第40条の2第1項)
ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項を需要家に周知する
ことをガス事業者に義務づけている。
(2)消費機器に関する調査(第40条の2第2項及び第3項)
消費機器が技術基準に適合しているかどうかを調査し、適合していない場合
は、需要家に対しとるべき措置等について通知することをガス事業者に義務づ
けている。
4.その他
(1)緊急時対応(第40条の2第4項)
需要家から、ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある旨通知さ
れた場合等に速やかに対応することをガス事業者に義務づけている。
(2)熱量等の測定(第21条)
供給するガスの熱量等について測定し、その結果を記録することを義務づけて
いる。
(3)ガスの成分の検査(第29条)
供給するガスの成分のうち、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるお
それがあるものの量が一定数量を超えていないかどうかを検査し、その結果を
記録することを義務づけている。
4
参考資料5−3
ガス事業法の需要家保安関係部分
(1) 保安規程の作成、届出及び遵守義務(法第30条)
ガス工作物の工事、維持及び運用に必要な保安規程の作成、届出及びその遵守
をガス事業者に義務付けている。大口供給であるか否かを問わず、ガス事業者に義
務付けている。
法第30条(保安規程)
一般ガス事業者は、一般ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関す
る 保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、事業(第三十
六条の二の二第一項の自主検査を伴うものにあっては、その工事)の開始前に、経済産業大
臣に届け出なければならない。
2 一般ガス事業者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を経済産業大臣に
届け出なければならない。
3 経済産業大臣は、一般ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する
保安を確保するため必要があると認めるときは、一般ガス事業者に対し、保安規程を変更すべ
きことを命ずることができる。
4 一般ガス事業者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。
(2) ガス主任技術者の選任等の義務(法第31条等)
ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、有資格者か
らガス主任技術者を選任し、その旨を届け出ることを義務付けている。大口供給であ
るか否かを問わず、ガス事業者に義務付けている。
第三十一条(ガス主任技術者)
一般ガス事業者は、経済産業省令で定めるところにより、ガス主任技術者免状の交付を受
けている者であって、経済産業省令で定める実務の経験を有するもののうちから、ガス主任技
術者を選任し、一般ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安の
監督をさせなければならない。
2 一般ガス事業者は、前項の規定によりガス主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨
を経済産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
(3) 技術基準適合維持義務(法第28条)
ガス工作物を技術上の基準に適合させるように義務付けるとともに、公共の安全
の維持、災害防止のため緊急の必要がある場合は、ガス事業者にガス工作物の移
転、使用の停止等必要な命令をすることができる。原則として大口供給であるか否か
を問わず、ガス事業者に義務付けている。
5
法第28条(ガス工作物の維持等)
一般ガス事業者は、一般ガス事業(一般ガス事業者がガス導管事業又は大口ガス事業を行
う場合にあつては、そのガス導管事業又は大口ガス事業を含む。以下この節において同じ。)
の用に供するガス工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなけ
ればならない。
2 経済産業大臣は、一般ガス事業の用に供するガス工作物が前項の経済産業省令で定める
技術上の基準に適合していないと認めるときは、一般ガス事業者に対し、その技術上の基準に
適合するようにガス工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止す
べきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
3 経済産業大臣は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認
めるときは、一般ガス事業者に対し、そのガス工作物を移転し、若しくはその使用を一時停止す
べきことを命じ、若しくはその使用を制限し、又はそのガス工作物内におけるガスを廃棄すべき
ことを命ずることができる。
(4) 熱量等の測定(法第21条)
ガスの熱量等は、一定の範囲のものが供給されないと危険を生ずることがあるた
め、その供給するガスの熱量等について測定し、その結果を記録することをガス事業
者に義務付けている。大口供給を行う場合については義務付けていない。
法第21条(熱量等の測定義務)
一般ガス事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その供給するガスの熱量、圧力及
び燃焼性(以下「熱量等」という。)を測定し、その結果を記録しておかなければならない。
規則第21条 (熱量、圧力及び燃焼性の測定方法)
法第21条の規定による熱量、圧力及び燃焼性(以下「熱量等」という。)の測定は、次の各号
に掲げるところにより行わなければならない。ただし、特定ガス発生設備であつて液化石油ガス
法第13条第1項に規定する液化石油ガスの規格に適合する液化石油ガスを充てんした容器
(以下「特定容器」という。)を使用するものに係る場合にあつては熱量を、特定ガス発生設備に
係る場合又は液化石油ガス(プロパン、ブタン、プロピレン及びブチレンを主成分とするガスを
液化したものをいう。以下同じ。)を原料としてガスを発生させ、これをその成分に変更を加える
ことなく供給する場合(特定ガス発生設備に係る場合を除く。)にあつては燃焼性を、大口供給
を行う場合にあつては熱量等を、特定導管(ガス導管事業の用に供されているものに限る。)が
託送供給の用に供されていない場合にあつては当該特定導管について圧力をそれぞれ測定
することを要しない。
(5)
ガスの成分の検査(法第29条)
ガス中には、その原料によっては有害成分が含まれていて、人体に危害を及ぼし、
又は物件に損傷を与えるおそれがあるため、天然ガス及び液化石油ガス並びにこれ
6
らを原料として製造したガスを除き、硫黄・硫化水素・アンモニアの量について検査し、
記録することをガス事業者に義務付けている。専用の導管により大口供給を行う場
合については義務付けていない。
法第29条(ガスの成分の検査義務)
一般ガス事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その供給するガスの成分のうち、
人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがあるものの量が経済産業省令で定め
る数量を超えていないかどうかを検査し、その量を記録しておかなければならない。
規則第29条(成分の検査方法)
法第29条の規定によるガスの成分の検査は、次の各号に掲げるところにより行わなければ
ならない。ただし、ガス中の硫黄全量、硫化水素及びアンモニアの成分が原料の種類に照らし
て一定数量以下であることが明らかであるとして経済産業大臣(一般ガス事業者であつて、そ
の事業の用に供するガス工作物の設置の場所が一の産業保安監督部の管轄区域内のみにあ
るもの(供給区域内におけるガスメーターの取付数が百万個を超えるものを除く。)に係る場合
は、産業保安監督部長。以下この項において同じ。)の承認を受けた者がその承認を受けたと
ころに従つてガスの製造を行う場合及びガスの使用者に対し専用の導管により大口供給を行
う場合にあつては、検査することを要しない。
(6) 消費機器に関する周知(法第40条の2第1項)
消費機器の管理、点検、使用場所の環境及び換気等のガスの使用に伴う危険の発
生の防止に関し必要な事項を需要家に周知することをガス事業者に義務付けている。
大口供給を行う場合については義務付けていない。
法第40条の2第1項
ガス事業者は、経済産業省令で定めるところにより、ガスを消費する場合に用いられる機械又
は器具(附属装置を含む。以下「消費機器」という。)を使用する者に対し、ガスの使用に伴う危
険の発生の防止に関し必要な事項を周知させなければならない。
規則第106条
法第40条の2第1項の規定による周知は、次の各号に掲げるところにより行うものとする。ただ
し、大口供給を行う場合は、周知を要しない。
一 ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な周知事項は、次のとおりとする。
イ 消費機器の供給するガスに対する適応性に関する事項
ロ 消費機器の管理及び点検に関し注意すべき基本的な事項
ハ 消費機器を使用する場所の環境及び換気に関する事項
ニ ガス漏れを感知した場合その他供給するガスによる災害が発生し、又は発生するおそれ
がある場合におけるガスの使用者の採るべき緊急の措置及びガス事業者に対する連絡に関する
事項
ホ ガスを新たに使用しようとする場合におけるガス事業者への連絡に関する事項
ヘ 消費機器が第108条に定める技術上の基準に適合するようにするために採るべき措置及
7
びその措置を採らなかつた場合に生ずべき結果に関する事項
ト イからヘまでに掲げるもののほか、ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項
二 ガス事業者は、ガスの使用に伴う危険の発生を防止するため、次に定めるところにより前号
に掲げる事項を周知させなければならない。
イ その供給区域又は供給地点のガスの使用者に対し、三年度ごとに一回(告示で定めるガ
スを使用する建物ごとの区分(以下「建物区分」という。)のうち特定地下街等、特定地下室等、超
高層建物又は特定大規模建物にあつては毎年度一回)以上前号イからニまで及びトの事項を記
載した書面を配布する。ガスの使用の申込みを受け付けたときも、同様とする。ただし、ロに掲げ
る場合はこの限りでない。
(以下、略 )
(7) 消費機器に関する調査(法第40条の2第2項及び第3項)
特定地下街等・特定地下室等に設置された消費機器、及び屋内設置された不完全
燃焼防止装置が付いていない風呂釜、湯沸器等の給排気設備等が一定の技術基準
に適合しているかどうかを調査し、適合していない場合は、需要家に対し採るべき措
置等について通知することをガス事業者に義務付けている。大口供給を行う場合に
ついては義務付けていない。
法第40条の2第2項
ガス事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その供給するガスに係る消費機器が経
済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、
その消費機器を設置し、又は使用する場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の
承諾を得ることができないときは、この限りでない。
法第40条の2第3項
ガス事業者は、前項の規定による調査の結果、消費機器が同項の経済産業省令で定める
技術上の基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するよう
にするためにとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又
は占有者に通知しなければならない。
規則第107条
法第40条の2第2項の規定による調査は、次の各号により行うものとする。ただし、大口供
給を行う場合は、調査を要しない。
一 調査は、次の表の上欄に掲げる消費機器の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる
事項について四十月に一回以上行うこと。ただし、経済産業大臣の承認を受けた場合は、この
限りでない。
消費機器の種類
調査を行う事項
イ ガス湯沸器及びガスふろがま(不完全燃焼する状
態に至つた場合に当該消費機器へのガスの供給を自
動的に遮断し燃焼を停止する機能を有すると認めら
れるもの及び密閉燃焼式のものであつて特定ガス消
費機器の設置工事の監督に関する法律(昭和五十四
年法律第三十三号)第六条に規定する表示が付され
ているものその他これと同等の安全性を有すると経済
産業大臣が認めたものを除く。)並びにこれらの排気
1 屋内に設置されている燃焼器に係る
ものにあつては、次条第一号、第二号イ
(1)から(4)まで及びロ(1)(イ(1)及び
(4)に係る部分に限る。)、第三号ハ、第
五号並びに第六号ハ及びニに掲げる基
準に関する事項
2 屋外に設置されている燃焼器に係る
ものであつて排気筒又は給排気部が屋
8
筒及び排気筒に接続される排気扇
内に設置する部分を有するものにあつて
は、次条第七号イ及びロ(第二号イ(1)
(屋内に設置されている部分に限る。)及
び(4)に係る部分に限る。)並びにハ(第
六号イ(屋内に設置されている部分に限
る。)、ハ及びニに係る部分に限る。)に
掲げる基準に関する事項
ロ (一) 建物区分のうち特定地下街等に設置されて 次条第八号及び第九号に掲げる基準に
いる燃焼器
関する事項
(二) 建物区分に定める特定地下室等に設置されて
いる燃焼器
二 前号に規定する調査の結果、法第40条の2第3項の通知をしたときは、その通知に係る
消費機器については、イ及びロに掲げる措置を行わなければならない。
イ 毎年度一回以上、当該消費機器の技術上の基準に適合するようにするために採るべき
措置及びその措置を採らなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知するこ
と。ただし、その所有者又は占有者が技術上の基準に適合するようにするために採るべき措置
を採つた場合は、この限りでない。
ロ その通知の日から一月を経過した日以後五月以内に、再び調査を行うこと。ただし、前
号に規定する調査を行う以前から当該消費機器についてイの通知をしている場合であつてイ
のただし書に規定する場合に該当しないときは、この限りでない。
三 経済産業大臣が消費機器を使用する者の生命又は身体について当該消費機器の使用に
よる災害が発生するおそれがあると認める場合において、当該災害の拡大を防止するため特
に必要があると認めるときは、前二号の規定にかかわらず、経済産業大臣の定めるところによ
り、調査を行わなければならない。
四 調査を行う者(以下「調査員」という。)は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求
があつたときは、これを提示すること。
(8) 緊急時対応(法第40条の2第4項)
需要家からガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある旨通知された場
合等に速やかに対応することを義務付けている。大口供給であるか否かを問わず、
ガス事業者に義務付けている。
法第40条の2第4項
ガス事業者は、その供給するガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に
おいて、その供給するガスの使用者からその事実を通知され、これに対する措置をとることを
求められたときは、すみやかにその措置をとらなければならない。自らその事実を知つたときも、
同様とする。
9
参考資料5−4
需要家保安に関する一般ガス事業及び大口供給の保安規制の比較
内
ガス事業法
容
一般ガス事業
大口供給
法30条
○
○
法31条等
○
○
技術基準適合維持(ガス工作物)
法28条
○
○
熱量等の測定
法21条
○
−
ガス成分の検査※1
法29条
○
−※4
消費機器に関する周知※2及び調査※3
法40条の2
○
−
緊急時対応
法40条の2
○
○
関係条文
保安規程の作成、届出、遵守
ガス主任技術者選任等
※1 天然ガス及び液化石油ガス並びにこれらを原料として製造したガスについては、検査を要しな
い。
※2 「消費機器に関する周知」とは、消費機器の管理、点検、使用場所の環境及び換気等のガス
の使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項を需要家に周知すること。
※3 調査の対象は、特定地下街等・特定地下室等に設置された消費機器、及び屋内に設置された
不完全燃焼防止装置が付いていない風呂釜、湯沸器等及びこれらの給排気設備。
※4 専用の導管により大口供給を行う場合については義務付けていない。
一般需要家における保安責任区分
ガス工作物
供給管
消費機器
灯内内管
灯外内管
M
本支管
G
ガスメーター ガス栓
敷地境界
需要家
(資産区分)
需要家
(保安
責任)
ガス事業者
○技術基準適合維持
○保安規程 ○ガス主任技術者 ○技術基準適合維持
○熱量等測定 ○ガス成分検査
10
ガス事業者
○周知及び調査
○緊急時対応
参考資料5−5
一般ガス事業者の使用量別需要家数(需要家件数上位10社計)及び事故の状況
需要分布
(万m3/年)
件数
(件)
事故の状況(平成4年から平成16年)
販売量
(比率) (上より累積)(千m3/年) (比率) (上より累積)
主な用途
44.3%
大学病院、環境関連施設(ゴミ焼
却場、下水処理場等)、大規模工
44.293% 場全般
1,089,243
4.6%
48.889% 大規模商業施設、製造業全般等
816,781
3.4%
52.335% 学・金属工業等
6.5%
病院、ホテル、大規模空調需要、
温水プール、食品・機械・繊維工業
58.878% 等
200 ∼
936
0.005%
0.005% 10,497,610
770
0.004%
0.009%
1,131
0.006%
0.014%
100 ∼
総計 家庭用 業務用 事故のあった業務用機器の内訳
2
2 ガラス溶融機(1)、コジェネレーション
(1)
1
50 ∼
大規模病院、シテイホテル、化
10 ∼
7,308
0.037%
0.051%
1,550,802
1 ∼
1
食品加工機器(1)
0
1
1
温水ボイラー(1)
20
57,817
0.289%
0.340%
1,583,391
6.7%
物販店、外食産業、オフィス空調需
65.559% 要、小規模製造業等
7.2%
事務所・飲食店等の中小口業務
用需要、クリーニング、食品加工
72.801% 等の商・工業用需要
0.1 ∼
917,443
4.590%
4.930%
1,716,326
100.000%
0 ∼
(平成16年度、46.04655MJ/m3ベース)
19,000,778 95.070%
100.000%
6,446,305
27.2%
39
297
家庭用
274
ゆで麺器(4)、ボイラー(3)、こんろ
(2)、大型湯沸器(2)、ストーブ(1)、蒸
20 し器(1)、回転釜(1)、吸収式冷温水
器(2)、食器洗浄器(1)、陶芸釜(1)、
パン焼き器(1)、オーブン(1)
大型湯沸器(11)、パン焼き器(7)、こ
んろ(3)、オーブン(5)、ボイラー(2)、ガ
39 ス栓(2)、フライヤー(5)、食器洗浄器
(1)、湯煎器(1)、餡練器(1)、コンセント
継手(1)
大型湯沸器(7)、こんろ(4)、オーブン
(2)、ふろがま(1)、小型湯沸器(2)、ガ
23 ス栓(1)、ブンゼンバーナー(1)、接続具
(3)、開放式ストーブ(1)、饅頭蒸器
(1)、
100.0%
360 274
86
合 計
19,986,183 100.000%
23,700,458
出所:(社)日本ガス協会
注1)平成16年度末の販売量全体に占める需要家戸数上位10社計のシェアは、86.5%
注2)10社:東京、大阪、東邦、西部、京葉、北海道、広島、仙台市、北陸、静岡
注3)卸は除く
注4)200万m3以上の2件の事故は、工業用機器の改造作業中の事故であり、通常のガス使用時における事故ではない。
注5)10万m3以上50万m3未満の1件の事故は、新潟県中越地震に起因し発生した事故であり、通常のガス使用時における事故ではない。
11
参考資料5−6
平成4年から平成16年までの年間ガス使用量10万m3以上のガス需要家に係るガス事故概要
器 具
ガスタービン
コジェネレー
ションシステ
ム
発生場所
愛知県
月 日
事故の概要等
建物区分
業態
(ガスタービン)工場敷地内のコジェネレーションシステム増設
工事現場にて、工事事業者が器具用遮断弁を開いたため放
平成6年3月 出されたガスに溶接の火花が引火して火災になった。
工業用建物 家電製造業
東京都
ガラス溶融炉用のバーナー配管からガスが漏れ、何らかの着
火源により燃え上がり、作業員が火傷(顔面2度)を負った。ま
ガラスびん
工業用建物
平成14年4月 た、天井の一部が焼損した。
製造業
原因は当事者が区分バルブを閉止しないまま配管撤去工事
を行ったものと推定される。
桜餅皮焼器
東京都
製パン工場の作業場において、季節稼働させている桜餅皮焼
器を使用中に作業員1名が気分が悪くなり救急車にて病院に
工業用建物 パン製造業
平成16年3月 搬送された。同所で作業していた他の1名は特に問題はな
かった。バーナ上部で300∼500ppmのCOが検出された。
原因は調整不良による不完全燃焼と推定される。
温水ボイラー
ホテル屋上に設置してあるボイラーより出火。
原因は、新潟県中越地震によりボイラーのガス用フィルターが
破損してガスが漏洩し、温水ボイラーの電磁弁配線のショート
商業用建物
新潟県 平成16年10月 によるスパークが着火源となり引火したものと推定される。
ガラス溶融炉
死亡 中毒 負傷
備 考
年間ガス消費量
男性4名
-
-
3
4
200万m 以上
男性1名
天井の一部焼損
-
-
200万m3以上
1
男性1名
-
1
-
100万∼200万m
温水ボイラーの
一部焼損
ホテル
-
-
10万∼50万m3
-
【参考:平成17年1月以降の事故】
器 具
発生場所
月 日
事故の概要等
建物区分
染色工場において染色用機械を運転中、突然、爆発・火災が
発生した。原因は、調査中であるが機械内部において都市ガ
平成17年8月スのほか、染料に含まれた溶剤等を要因とする爆発と考えら 工業用建物
れるが特定に至っていない。
染色用機械
静岡県
アルミ保持炉
アルミ保持炉を使用中に保持炉の土台部分で小爆発が起
こった。
原因は、器具ガバナーから保持炉までの床下埋設配管(消費
埼玉県 平成17年9月 機器の一部)にて漏洩があり、間仕切りされた土台部分の空 工業用建物
間にガスが充満し、溶解炉の熱により爆発したものと推定され
る。
12
業態
死亡 中毒 負傷
備 考
年間ガス消費量
女性1名
繊維
−
−
50万∼100万m3
1
アルミ保持炉の
土台間仕切り壁
の一部破損
金属
−
−
−
200万m3以上
3
参考資料5−7
現行の大口需要家(50 万m3以上)の保安管理状況に関する調査結果
1. 調査の内容
原子力安全・保安院は、これまでの大口供給の自由化範囲(年間契約ガス使
用量 50 万m3以上)における需要家の保安管理状況を把握するため、大口需要
家(合計9件)を訪問し聞き取り調査を行った。主な聞き取り内容は、ガスの
用途と年間契約量、主なガス消費機器、需要家の保安管理体制、ガス事業者に
よる保安措置に関する意見等であった。
2.調査の結果
需要家が使用している消費機器としては、ボイラー、工業炉、冷温水発生器、
業務用給湯器等が多く、これ以外に厨房機器にガスを利用しているケースも見
られた。
訪問調査を行った全ての需要家において防火管理者が設置されており、また
使用する消費機器に応じて高圧ガス取扱主任者、電気主任技術者、ボイラー取
扱作業主任者等の公的資格を有する者が配置されていた。消費機器の保守管理
については、メーカーとの間でメンテナンス契約を結んでいる形態が一般的で
あり、日常の運転・維持管理については自社又は外注の管理会社が行っている
ケースもある。また、内管の漏えい検査等については、法律に基づきガス事業
者が実施しているほか、個別契約に基づき、より高い頻度で検査を行っている
例も見られた。
ガスの熱量、成分等の情報については、官公庁への環境関係の届出を行う際
の基礎データ等として必要とする需要家もあったが、必要に応じガス事業者か
ら入手できるとしてガス事業者への義務付けは「必要ない」とする需要家が多
かった。また、消費機器に関する周知及び調査については、
「あった方がよい」
とした需要家が多く見られたが、特にガス事業者に義務付けをしなくても必要
があればガス事業者との契約又は依頼によりサービスを受けることができると
の回答であった。
3.まとめ
訪問調査を行った範囲では、現行の大口需要家においては適切な保安管理体
制の整備が行われており、また免除されているガス事業者の保安措置について
も実態的には特段の不都合はないとしている。従って、これまでの自由化範囲
の拡大に関する需要家の保安管理状況については、特段の問題は見当たらない。
13
参考資料5−8
自由化拡大範囲の需要家(10 万∼50 万 m3/年)の事業形態とガス使用状況
(1) 拡大範囲の対象となる需要家数
大口供給の自由化範囲が年間契約ガス使用量 50 万 m3 以上から 10 万 m3 以上ま
で拡大されると、その対象となる需要家数は、これまでの約3千から約1万へと3倍以
上に増加することとなる(参考資料5参照)。
(2) 拡大範囲の需要家の事業形態と保安管理体制
①需要家の事業分野
年間契約ガス使用量が 50 万 m3 以上の需要家については、工業用が6∼7割を占
めるのに対し、10 万∼50 万 m3 の需要家では、商業用 41%、工業用 35%、公用(学
校・官公庁)13%、医療用 11%と、工業用分野より商業用分野の割合の方が大きくな
り、また医療用及び公用の割合も増加する。
50 万 m3 以上の需要家の事業分野
医療用
8%
公用
5%
10 万∼50 万 m3 の需要家の事業分野
公用
13%
商業用
21%
医療用
11%
商業用
41%
工業用
35%
工業用
66%
注:一部大手ガス事業者のデータを基に作成
②需要家の事業形態
拡大範囲の需要家(10 万∼50 万 m3)のガス使用形態及び保安管理状況に関し、
(社)日本ガス協会がサンプル調査を実施した。
調査地域は全国に亘っており、調査対象総数は約 340 件である。業種毎の調査対
象数は、偏りを極力無くすため実際の業種別需要家数の割合と概ね一致するように
なっている。
14
調査対象となった需要家の事業形態を細かく見ると、会社・事務所、大規模商業施
設、病院、学校・官公庁の割合が多くなっており、また 50 万 m3 以上の需要家では殆
ど見られない卸・小売、料理・飲食、理容・美容等の事業がある程度含まれる。従って、
10 万∼50 万 m3 の需要家については、50 万 m3 以上の需要家に比べ、事業形態が多
様化するとともに多くの一般公衆が出入りする建物の割合が相対的に増加する傾向
にあるものと考えられる。
用途別のサンプリング件数
0
10
20
30
40
50
50
会社・事務所
41
大規模商業施設
25
ホテル・旅館
22
娯楽場
8
その他
4
4
料理・飲食
卸・小売商店
クリーニン グ
2
27
食品
16
15
金属
機械
12
11
印刷
塗装・メッキ
7
化学
繊維
ガラ ス、窯業
その他
60
5
4
10
40
41
病院
学校・官公庁
また、統計的なデータに拠って示すことは難しいが、年間契約ガス使用量 50 万 m3
以上と 10 万∼50 万 m3 の同じような事業形態の需要家を比較すると、事業規模にあ
る程度の差異が認められる。
【事業規模の違いの例】
<ホテル> ・50 万 m3 以上: 大きな宴会場がある客室数200室以上のシティーホテル
・50 万 m3 未満: 駅前の宿泊に特化したホテルや、大きな宴会場があっても客室
が100室程度のホテル
3
<病院> ・50 万 m 以上: ベッド数 500 床以上の規模の大学病院や地域の中核的総合病院
・50 万 m3 未満 : ベッド数 300 床以下程度の総合病院や、規模の大きな専門病院
15
③需要家の保安管理体制
サンプル調査における需要家の保安管理体制の状況を見ると、拡大範囲の需要
家(10 万∼50 万 m3)の多くが防火管理者の選任が必要な建物、または、安全管理者
の選任が必要な事業所等に該当するものの、50 万 m3 以上の需要家では、その殆ど
が防火管理者及び安全管理者を設置しているのに比べると、その割合が低くなって
いる。
・ 防火管理者(消防法)※1 : 約 9 割
・ 安全管理者(労働安全衛生法)※2 : 約 7 割
・ 自衛消防隊(消防法)※3 : 約 7 割
・ 燃焼機器に関する管理者※4 : 約 6 割
※1 防火管理者 : 飲食店、百貨店、ホテル、学校などにあっては、収容人員(勤務、居住
する者を含む)が30人以上、工場その他にあっては50人以上の建物に
選任が必要。消防計画の作成、通報及び避難訓練の実施、火気の使用
又は取扱いに関する監督、その他防火管理上必要な業務を行う。
※2 安全管理者 : 製造業、小売業、旅館業などであって常時労働者が50人以上の事業
所に選任が必要。労働者の危険を防止するための措置、安全のための教
育、労働災害の原因の調査及び再発防止対策のうち安全に係る技術的
事項の管理を行う。
※3 自衛消防隊 : 百貨店等物品販売店舗で延床面積 5,000m2以上、旅館、ホテルは同
3,000m2以上、病院等は同 10,000m2以上かつ収容人数 500 人以上の建
物に設置。
※4 燃焼器の管理者 : ボイラ取扱作業主任者、電気主任技術者、炉設備作業主任者等
また、ガス使用量別に細かく見ると、ガス使用量が減少するにつれて、保安関係の
公的資格保有者等の設置率も低くなる傾向が見られる。例えば、40 万∼50 万 m3 の
需要家の防火管理者の設置は 100%に近いが、10 万∼20 万 m3 の需要家では 90%
程度に減少する。
16
年間ガス使用量別公的資格者設置状況
1
0.8
0.6
0.4
0.2
防火管理者
安全管理者
自衛消防隊
燃焼器に関する管理者
0
50∼40万
40∼30万
30∼20万
20∼10万
(㎥/年)
(データ提供:(社)日本ガス協会)
以上のことから、拡大範囲の需要家(10 万∼50 万 m3)の多くは、50 万 m3 以上の需
要家と同程度又はそれに準じる保安管理体制を有しているが、一方で保安管理体制
が整っているとは必ずしも言い切れない需要家が含まれ得るものと考えられる。
17
参考資料5−9
大口供給の自由化範囲拡大に関する個別需要家調査の結果
1.調査の目的と方法
原子力安全・保安院は、大口供給の自由化範囲拡大に係る需要家保安のあり
方の検討に当たり、拡大範囲の需要家(10 万∼50 万m3)の保安管理体制、ガ
ス事業者による需要家保安措置の実態を把握するため、サンプリングした需要
家(合計34件)を個別に訪問し、次のような点について情報収集を行った。
(調査項目)
○ ガスの用途と年間使用量
○ 主なガス消費機器
○ 需要家の保安管理体制
○ ガス事業者の需要家保安措置に関する要望
○ その他ガス安全に関する意見等
2.調査結果の整理と分析
(1) 主なガス消費機器
需要家が使用している消費機器としては、吸収式冷温水発生器、ガスエンジ
ン・ヒート・ポンプ(GHP)、ボイラー、発電機(コジェネ用)等の大型機器
のほか、業種・業態の多様化を反映して各種厨房機器が多く見られた。大型の
消費機器の定期点検等については製造したメーカー等が行っている形態が一般
的であるが、湯沸器、ガスコンロ等については自ら管理しているケースが多い。
(2) 需要家の保安管理体制について
需要家の保安管理体制の指標のひとつとして捉えることができるものとして、
消防法に基づく防火管理者及び自衛消防隊、労働安全衛生法に基づく安全管理
者、その他消費機器に対応した保安の公的資格者等の設置状況について聞き取
りを行った。
訪問調査を行った全ての需要家において消防法に基づく防火管理者が設置さ
れ、また自衛消防隊も殆どの需要家が設置していることが確認された。労働安
全衛生法に基づく安全管理者については、設置している需要家と設置していな
い需要家が混在していた。また、ガス保安に関することは殆どガス事業者に任
せているとした需要家が一部に見られるとともに、ガス事業者と需要家の保安
責任分界点を明確に把握していないか又は誤認している需要家が多く見られた。
以上の点を総合すると、拡大範囲(10 万∼50 万m3)には現行の大口需要家
(50 万m3以上)と比較して同程度又はそれに準じる保安管理体制を有している
需要家が多いが、保安に対する認識に不安がある需要家が相当程度含まれ得る
18
ことも否定できない。
(3) ガス事業者による需要家保安措置の要否について
ガス事業者による熱量等測定及びガス成分検査については、
「必要」と回答し
た需要家と「不要」と回答した需要家が混在していた。
「必要」であるとする理
由としては、保安の観点ではなく、官公庁への環境関係の届出を行う際の基礎
データ等として使用するためとした需要家が大半であった。
消費機器に関する周知については、一部の需要家が「不要」と回答したが、
多くの需要家は「必要」と回答し、その理由として安全に関する従業員の教育
への利用、安全確保に関する情報の入手などを掲げる需要家が多く見られた。
また、消費機器に関する調査については、そもそも調査対象となる消費機器を
有する需要家が少なく、調査対象となるか否かを認識していない需要家もあっ
たが、調査対象機器を有する需要家は、保安確保の観点からガス事業者による
調査を希望している。
以上の点を総合すると、ガス保安の観点からは、殆どの需要家が熱量等測定
及びガス成分検査についてはガス事業者への義務付けの必要性を感じていない
が、消費機器に関する周知及び調査については、ガス事業者による保安措置に
期待している状況が明らかとなった。
(4) その他ガス安全について
大口供給の自由化範囲の拡大に関しては、自由化によるコスト削減に関心を
示す需要家がある一方で、ガス事業者の保安責任が一部免除された場合に需要
家の責務が増大することへの不安や、保安業務を外注することに伴うコスト増
を心配する声もあった。
19
参考資料5−10
需要家保安の体系
1.現行の需要家保安の体系
保安措置
係主
すに
る供
保給
安段
措階
置に
関
(大口供給)
50万m3
10万m3
保安規程の作成、届出、遵守
ガス主任技術者選任等
技術基準適合維持
(ガス工作物)
係主
す に 熱量等の測定
る 消 ガス成分の検査
保費
安段
措 階 消費機器に関する周知・調査
置に
関
ガス事業者の義務は
免除されるが、必要
に応じ個別契約で
サービス内容を決
定。
緊急時対応
:ガス事業者に義務づけ。
2.自由化範囲の拡大に伴う需要家保安の体系
(大口供給)
10万m3
保安措置
係主
すに
る供
保給
安段
措階
置に
関
措主
置に
消
費
段
階
に
関
係
す
る
保
安
50万m3
保安規程の作成、届出、遵守
ガス主任技術者選任等
技術基準適合維持
(ガス工作物)
熱量等の測定
ガス成分の検査
ガス事業者の義務は
免除されるが、必要
に応じ個別契約で
サービス内容を決
定。
工業用建物
消費機器に関する周
知・調査
工業用建物以
外の建物
緊急時対応
:ガス事業者に義務づけ。
20
参考資料5−11
ガスを使用する建物の区分について
ガスを使用する建物については、告示(「ガスを使用する建物ごとの区分を定める件(昭和
60 通商産業省告示第四百六十一号)」)により、以下のように定められている。
区
分
一 特定地下街等
各号の建物の概要
特定用途(劇場、公会堂、飲食店、百貨店、マーケット、ホテル、病院、老人
福祉施設、幼稚園等多数の一般公衆の利用を目的とするもの)に供される
建築物につながる一定規模以上の地下街等。
二 特定地下室等
特定用途に供される建築物の一定規模以上の地階(前号に掲げるものを
除く。)。
三 超高層建物
高さが 60mを超える建物(前二号に掲げるものを除く。)
四 高層建物
高さが 31mを超える建物(第一号から第三号まで及び次号に掲げるものを
除く。)
五 特定大規模建物
ガスメーターの使用最大流量が毎時 180m3 以上の建物であって、特定用途
から病院、老人福祉施設、幼稚園等を除いた用途の建物(第一号から第三
号までに掲げるものを除く。)。
六 特定中規模建物
前号に掲げる用途に供されるガスメーターの換算使用最大流量が毎時最
大 30 m3 以上の建物(第一号から第五号までに掲げるものを除く。)
七 特定公共用建物
ガスメーターの換算使用最大流量が毎時最大 30m3 以上の建物であって病
院、老人福祉施設、幼稚園等公共の建物(第一号から第六号までに掲げる
ものを除く。)。
八 工業用建物
製品を製造又は加工するための用途に供されるガスメーターの換算使用
最大流量が毎時最大 90m3 以上の建物(第一号から第七号までに掲げるも
のを除く。)
九 一般業務用建物
住居の用以外の用に供されるガスメーターが存する建物(第一号から第八
号までに掲げるものを除く。))
十 一般集合住宅
ガスの使用者が2以上であって、かつ、ガスメーターの個数が2以上の建物
(第一号から第九号までに掲げるものを除く。)
十一 一般住宅
第一号から第十号までに掲げるもの以外の建物
21
Fly UP