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第31章 地域・工業団地概要:タミル・ナドゥ州

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第31章 地域・工業団地概要:タミル・ナドゥ州
第31章 地域・工業団地概要:タミル・ナドゥ州
1. 地域概要
(1) 概要
① インドにおける経済的地位
タミル・ナドゥ州は、インド南東部にある州であり、面積は 13.0 万㎢(全国土の約 4.0%
に相当)、州人口は約 6,770 万人(全人口の 5.6%に相当)である。同州はインド亜大陸の
最南端に位置し、北にアンドラ・プラデシュ州、西にカルナタカ州及びケララ州、南にイ
ンド洋、東はベンガル湾に面している。州は山岳地帯、森林地帯、乾燥地帯、肥沃地帯、
沿岸地帯と 5 つの地形区分を持つ。気候は年間を通じて高湿度の暑さが続き、最も暑い時
期は 4 月~6 月である。
同州の政治は、独立から 1967 年まで国民会議派が政権を担っていたが、1967 年以降は
ドラヴィダ進歩同盟(DMK)と全インド・アンナ・ドラビダ進歩連盟(AIADMK)が交互
に政権を担っている。現在は、2011 年 4 月~5 月に行われた州議会議員選挙で勝利した
AIADMK の J・ジャラリータ氏がタミル・ナドゥ州の州首相を務めている。
同州の主要産業は自動車・自動車部品、IT、エレクトロニクス、繊維、セメント、化学
製品等である。特に自動車関連産業は自動車メーカーが 11 社集積しており、同州の自動車
生産高はインド全体の 25%、自動車部品生産高はインド全体の 35%にあたる。ソフトウェ
ア産業は隣接州のカルナタカ州バンガロールに次いで国内第 2 位の拠点である。同州は
2011 年度でインド全体の GDP の 8.3%(国内第 3 位)を占め、FDI は同国の中で 8.7%(国
内第 6 位)を占めている。
投資促進政策として州政府は、大企業優遇の傾向を見せており、特に大きな投資が見込
まれる企業については電力の安定供給を保障している。電力が不安定な同州において電力
の安定供給は重要であり、現時点ではルノー・日産、現代などの十数社が電力の安定供給
を受けていると言われている(図表 31-2 参照)
。
また、日印ではチェンナイ・バンガロール産業回廊構想(CBIC)に関する両政府の対話
が進んでおり、2011 年 12 月の日印首脳会談では CBIC の重要性を再認識し、可能な限り
前倒しで作業を進めていくよう、共通認識を両政府で得ている。そして、2012 年 12 月の
日印外相電話会談では、CBIC の両国間の協力拡大について触れ、2013 年 5 月の日印共同
声明では、2014 年度末までに計画を進展させることに合意した。今後、南インドのインフ
ラ整備が加速することが見込まれている。
また、同州政府は 2023 年までに達成する政策目標及びそのために必要な戦略、インフラ
投資の内容を定めた構想「Tamil Nadu Vision 2023」を公表している。当構想の実現に向
け、2023 年までに累計 15 兆ルピー規模(電力:4.5 兆、交通:3.8 兆、都市インフラ:2.75
兆、産業・商業:1.5 兆、一般・社会インフラ:1 兆等)の投資を見込んでいる。
232
図表 31-1 インド南部におけるタミル・ナドゥ州の位置
チェンナイ
タミル・ナドゥ州
図表 31-2 タミル・ナドゥ州の投資優遇措置例94
適用条件
最低投資額
印紙税
電気税
補助金
メガプロジェクト未満
10 億ルピー以
下(3 年)
10~20 億ルピ
ー(3 年)
3 年間免除
300 万又は
600 万ルピー
4 年間免除
メガプロジェクト
20~35 億ルピ
ー(3 年)
50%免除
5 年間免除
1,000 万ルピー
中間購
入時
付
加
価
値
税
完成品
販売時
電力供給
ウルトラメガプロ
ジェクト
400 億ルピー
以上(7 年)
100%免除
10 年間免除
1,500 万ルピー
なし
なし
機械・資
本財購
入時
35~150 億ル
ピー(3 年)
スーパーメガプロ
ジェクト
150~400 億
ルピー(5 年)
なし
なし
完成品販売
時と同様
州政府により VAT 又は中央販売税につき、以
下のいずれかの優遇措置を得られる
①21 年間の税額払い戻し
②税額分を 0.1%金利、返済期間 21 年間のソフ
トローンとして受け取る
最初の投資から 5 年以内の
VAT を全額還付(ウルトラメガプロ
ジェクトは 7 年以内)
州政府との個別交渉により、電力の安定供給
を得られる可能性あり
(出所)JETRO チェンナイ事務所より作成
94
優遇措置の適用可否は州政府との交渉次第であり、業種や地域によって取扱いが異なる場合がある。ま
た、免除額には上限があることに留意。なお、印紙税の免除はタミル・ナドゥ州産業振興公社(SIPCOT)
が提供する土地に入居した場合のみであり、補助金交付は一定数以上の直接雇用者数を確保している場合
のみに適用される。
233
② 工業団地・日系企業進出動向
州政府工業団地には、オラガダムやイルンガッツコッタイ等の工業団地があるが、現在
は空きがないところが多く、新たに入居することは難しい。そのため、現在、開発中のオ
ラガダム・フェーズⅡ(約 600 エーカー)、ヴァラム・ヴァダガル(約 1,780 エーカー)
、
チャヤール(約 2,300 エーカー)といった工業団地に注目が集まっている。ヴァラム・ヴ
ァダガルにはヤマハ発動機が入居予定となっている。
また、
チェンナイ近郊の民間工業団地としては Sri City や Mahindra World City がある。
Sri City には、コベルコ、IMOP、パイオラックス、ユニ・チャーム等が入居しており、2013
年 6 月時点で若干の空きありと言われている。一方、Mahindra World City には、ルノー・
日産テクノロジー・ビジネスセンターや、NTN 等が入居しており、ほぼ 100%の入居率と
言われている。民間工業団地として現在開発中の工業団地として、Ascendas、IREO、みず
ほ銀行、日揮が共同開発している、Integrated Industrial Township があり、約 1,500 エー
カー規模の工業団地となっている。また、双日、Motherson が共同開発している、Sojitsu
Motherson Industrial Park(SMIP)があり、約 285 エーカー規模となっている(詳細後
述)
。どちらも日系企業による工業団地開発であることから注目を集めている。
在インド日本国大使館によれば、2012 年 10 月時点でタミル・ナドゥ州に進出している
日系企業の拠点数は 344 拠点であり、2008 年時点から約 2.4 倍に増えている(図表 31-3
参照)
。拠点数増加の背景には「インドのデトロイト」と呼ばれるように、自動車関連企業
が集積していることや、チェンナイ港やエンノール港といった港湾が近く、東南アジアや
日本への輸出拠点としても利便性が高いことから進出企業が増加していると考えられる。
同州進出済みの日系企業としては、日産自動車、コマツ、味の素、日本郵船、ローム、東
芝、旭硝子等がある。
図表 31-3 タミル・ナドゥ州進出日系企業の拠点数推移
(拠点数)
400
344
350
286
300
240
250
200
150
169
143
100
50
0
2008
2009
2010
2011
2012
(年度)
(出所)在インド日本国大使館「インド進出日系企業リスト(2012 年 11 月)
」より作成
234
(2) 進出日系企業から見た事業・生活環境やコスト
図表 31-4
タミル・ナドゥ州に進出した場合のメリットと留意点
メリット
留意点
 港湾が近く、輸出拠点として利便性が高い。
 電力供給が不安定であり、計画停電は頻繁に
 優れた理工系の人材が豊富であり、温厚・勤
勉なタミル人の気質は日系企業に合いやす
発生し、5~6 時間停電が続くこともある。
 毎年 2 桁に上る高い賃金上昇率、ジョブホッピ
い。
ングによる頻繁な離職。
 各国の完成車メーカーが集積しているため、
 各港湾までのアクセス道路の渋滞、橋梁の耐
投資環境が整備されつつある。
荷重の問題。
① インフラ・物流
【道路】
・ チェンナイ近郊では、5 つの幹線道路がコルカタ、バンガロール、ティルッチラーッパ
ッリティルヴァッルール、パーンディッチェーリへと放射状に広がっている。チェンナ
イ・バスターミナルは、数多くの都市間を結ぶ中・長距離バスの終着点となっており、
南アジア最大のバスターミナルと言われている。現在、7 つの交通公社が都市間バスを
運営しており、その他にも多くの私営のバス会社が都市間・州間バスの始発・終着点と
して利用している。
・ チェンナイ近郊では道路の整備状況に差があり、舗装されている道路もあれば、ほとん
ど土漠状態の道路もある。また、港湾までのアクセス道路が整備不良なため、大渋滞を
引き起こしている。チェンナイ日本商工会は 2012 年 10 月に、日系企業の多くが主要港
としているエンノール港の主要アクセス道路である NCPTS Road や TPP Road の整備
を含む建議書を当州政府に提出し、早期改善を求めている(図表 31-5 参照)
。
図表 31-5 第 2 回建議書の道路・港湾に関する建議事項の概要
1.
エンノール港アクセス道路、主要道路、港湾利用の問題の 2013 年末までに解決を要請
・チェンナイ港~エンノール港までの道路拡幅工事(四大大橋を含む)の完了
・チェンナイ港のオペレーション改善のための専門家チーム編成・早期アセスメントの実施
・オラガダム周辺の渋滞緩和
・エンノール港のサービス向上(港湾利用料引き下げ等)
2.
道路渋滞解消のために特に重要な道路整備計画の早期実現を要請
・チェンナイ外環道路の早期完成
・北部港湾アクセス道路の早期着工
・チェンナイ港高架道路の早期再開
・チェンナイ外縁道路(マハバリプラム~エンノール港までの環状道路)整備構想の早期実現
3.
チェンナイ・バンガロール産業回廊構想(CBIC)マスタープランの早期策定・実施へのタミル・ナド
ゥ州政府の強い関与を要請
(出所)チェンナイ日本商工会より作成
235
【空港・港湾】
・ 当州にはチェンナイ国際空港があり、市内から 17km ほど南方にある。格安航空会社の
エア・デカンの本拠地であったが、エア・デカンがキングフィッシャー航空と合併した
為、本拠地がベンガルール国際空港に変更された。
・ 当州には、チェンナイ港、エンノール港、カトゥパリ港があり、当州近郊にはクリシュ
パトナム港(アンドラ・プラデシュ州)がある(図表 31-6 参照)
。なお、今後開発予定
の港として、MARG グループが開発予定のムガイユール港がある。
・ チェンナイ港はコンテナ、バルク、完成車等を扱う総合港であり、コンテナ貨物に関し
てはマハラシュトラ州のナバシェバ港(ジャワハルラル・ネルー港)に次いでインド第
2 位の取扱規模である。日系企業は主にコンテナの輸出入として利用している。図表
31-5 にある建議書の建議事項にも記載があるが、チェンナイ港には 11 ヶ所のゲートが
あるものの、24 時間利用可能なゲートは港最北部の 1 ヶ所のみ、第 2 ゲート及び第 10
ゲートは深夜帯に限って利用可能となっており、それ以外のゲートは利用されていない
ため、アクセス道路の渋滞が問題となっている。
図表 31-6 チェンナイ近郊の港湾
港湾名
チェンナイ港
エンノール港
カトゥパリ港
クリシュパトナム港
概要
 多くの日系企業がコンテナ貨物の輸入港(能力 300 万 TEU/年)として活用。現代など一
部企業は輸出港としても活用。
 キャパシティ不足、アクセス道路未整備を背景とした物流の滞留等が課題。
 完成車メーカーでは現代のみが車両輸出港として活用。
 ルノー・日産、トヨタ等の完成車メーカーが車両輸出港として活用。2012 年 1 月に車両専
用船入港のためのバース整備、車両保管場(小型車 9,000 台)等の整備完了。
 国際比較で相対的に高額な港湾利用料95、アクセス道路の未整備等が課題。
 L&T Shipbuilding(L&T と TIDCO の JV)が設立。
 コンテナ(120 万 TEU/年)等を取扱い、2013 年 1 月より供用開始。
 Navayuga グループが設立。現状、コンテナ輸出入、石炭輸入等中心に一部稼働。将来
的には、コンテナ貨物 600 万 TEU/年、年間貨物取扱規模 2 億トンまで開発する予定。
(出所)JETRO チェンナイ事務所ヒアリングより作成
図表 31-7 チェンナイ港の様子
95
港湾利用料は 2012 年 10 月に従来価格から 2 割値下げ、2013 年 1 月にも値下げがされている。
236
【電力】
・ 企業集積に伴って電力需要も増しており、電力供給状況は不安定であるため、進出企業
はバックアップ電源を用意しているのが通常である。特に当州は計画停電も多いため、
電力コストによって赤字になってしまう企業もあるようである。
・ インド中央政府による送配電公社(会社)ランキングにおいて、同州の Tamil Nadu
Generation and Distribution Corporation Ltd.は 6 段階評価(A+~C)のうち、上か
ら 4 番目の B 評価を受けている(詳細は第 21 章図表 21-7 参照)
ひとくちメモ(34):タミル・ナドゥ州の停電
タミル・ナドゥ州では以前から、電力供給能力の不足が深刻な問題となっている。タミル・
ナドゥ州の電力ピーク需要は 12,000MW に対し、平均的に約 8,000MW しか供給されていない
と言われている。現状、3,000~4,000MW の供給不足に陥っている。そのため、州政府は電力
需給ギャップを補うために計画停電等の電力供給制限措置を講じている。具体的には、チェン
ナイ市内で 2 時間、その他地域では 3 時間の計画停電を行っている。さらに、高電圧を利用す
る工業及び商業に対して、企業の要求電力の 60%程度のみ電力を供給し、毎日午後 6 時から 10
時までの間は、要求電力の 10%に限り電力を供給している状況である。
タミル・ナドゥ州に進出している日系大手企業は州政府と電力の優先供給を保証する契約を
結んでいるため、停電による生産停止は発生しない。更に現在、タミル・ナドゥ州では投資優
遇措置が取りまとめられており、3 年間の投資額が 35~150 億ルピーとなるメガプロジェクト
以上の場合、電力の安定供給を得られる可能性が出てくる。しかし、州政府とこのような交渉
ができない中小企業は長時間の停電が課題となっている。実際、サプライヤー工場が停電にな
った場合、大手企業の生産も止まってしまうことになる。高コストとなるディーゼル自家発電
のみに頼ることなく、限られた電力事情のもと、サプライヤーにおける生産能力改善活動に取
り組む事例もある。
タミル・ナドゥ州政府では、2016 年度の電力需要が約 18,000MW まで増えると予測してお
り、電力供給能力の増強に取り組んでいる。直近では、2013 年 8 月 14 日にインド原子力発電
公社はタミル・ナドゥ州にあるクダンクラム原発1号機の運転開始に成功したと発表した。ク
ダンクラム原発は 1,000 MW 原子炉 2 台のキャパシティで、この内 925 MW はタミル・ナドゥ
州に配電される。更に、2013 年 6 月にタミル・ナドゥ州は 1,177 MW の電力を他の州から購入
する契約を結んでいる。これらの電力は現在の供給量 8,000MW に上積みされるため、安定した
電力供給を受ける日は少しずつであるが、近づいている。
【通信】
・ 他州と比較すると整備されているものの、通信環境が不安定な場合がある。
237
【不動産】
・ 企業集積に伴って土地・不動産価格は高騰しているが、工業団地の土地購入価格はデリ
ーやムンバイ等に比べると低い(具体的なコストは第 22 章図表 22-5 参照)
。
② 労働事情
【人材】
・ 優れた理工系人材が多い。また、温厚で勤勉なタミル人の気質は日本人の気質に近く、
日系企業に合いやすい。
【賃金】
・ 不動産価格と同様に、企業集積に伴って賃金は上昇傾向にあるが、デリーやムンバイ等
に比べると低い(具体的なコストは第 22 章図表 22-5 参照)
。なお、賃金上昇率自体は
デリーと同程度の伸びを示している。
③ 生活環境
【気候】
・ 基本的には、年間を通じて高温多湿な地域であり、5~6 月を中心に酷暑となるが 1 月~
2 月頃は暑さが和らぐ。なお、10~11 月を中心に雨期となるが、それ以外の時期には雨
が降らない。
【教育】
・ チェンナイには日本人学校はないが、チェンナイ補習授業校と呼ばれる準全日制の補習
授業校がある。
・ インド国外から来た子供たちはインターナショナルスクールに通うのが一般的である。
【医療】
・ 他州と同様、日本人駐在員は、シンガポールやバンコクの病院、または日本に帰国した
際に病院にかかる人が多い。但し、アポロ・ホスピタルズなど医療機関、医療大学とも
に充実しており、日系企業が現在もっとも注目している州といえる(図表 31-8 参照)
。
図表 31-8
タミル・ナドゥ州における医療インフラの整備状況
医療インフラ(主要機関数) 括弧内は充足率(%)
Sub-C
8,706(123.4%)
公立病院総数
581
PHC
1,277(108.9%)
都市部
48
CHC
156(87.4%)
農村部
533
25(4 位)
医療大学数
(出所)Census of India, Mo Home Affair, ”National Health Profile(2009)”、National Rural Health
Mission より作成
238
【治安】
・ チェンナイは比較的安全で、ムンバイやコルカタなどの都市よりも犯罪率は低い。同州
におけるほとんどの犯罪は、主要観光地や交通の要所などでのスリである。
・ 街中でスクーターを利用する女性を多く見かけることができる。
【住居】
・ 不動産価格と同様に、企業の集積に伴って住居費用は上昇傾向にあるが、デリーやムン
バイ等と比べると低い(具体的なコストは第 22 章図表 22-5 参照)
。
【日本食品】
・ 他州と同様、同州で日本食材を調達することは困難である。このため、日本本社からの
送付制度やバンコクへの買出し休暇制度などを設ける日系企業も見られる。
・ 日本食レストランは複数店舗あり、中華や韓国料理などを食べられるレストランもある。
【金融】
・ IT 関連企業、自動車産業の集積に伴って、金融業も集積している。
2. 主要工業団地
(1) チェンナイ総合工業団地
アセンダス(シンガポール政府系ディベロッパー)、IREO(外資不動産ファンド)
、みず
ほ銀行、日揮が共同開発している、Integrated Industrial Township(仮称)はチェンナイ
市内より約 50km 南に立地しており、持続可能な次世代の工業団地をコンセプトに産業区、
オフィス、レジデンシャル、商業施設、学校等を含めた総合開発を行っている。投資規模
としては 7 億ドル、14 万人の雇用創出が期待されている。現在、工業用地第 1 期造成中な
らびに契約締結中。
239
図表 31-9 Integrated Industrial Township
コンセプト
立地
予定主要イ
ンフラ及び
サポート施
設













(仮称)の概要
持続可能な次世代の工業団地:事業展開・居住空間をミックスした総合開発。
製造業への工業インフラ:自動車部品産業、電機・電子、食品飲料、物流等を対象。
ビジネスパーク&サポート施設:団地内で生産活動に従事する企業を対象としたサポート施設。
ライフスタイル&社会インフラ:ホテル、トレーニング学校、医療施設、公園、居住施設などの国際
水準の施設を予定。
団地内管理運営サービス提供により、良好な品質を維持。
立地:OMR(オールド・マハバリプラム道路)直結
鉄道:チェンナイ・セントラル駅(約 55km)、チェンガラペット駅(約 27km)
空港:チェンナイ空港(約 55km)
港湾:チェンナイ港(約 57km)、エンノール港(約 70km)
団地内インフラ、オープンスペースに開発面積の 30%を割当。
電力:タミル・ナドゥ州電力局からの供給。チェンナイ市の電力事情は悪いため、入居企業で発電
装置を用意することが必須。団地内全体の電力供給容量:191MVA。
給水:33MLD 給水。
団地内道路・歩道、ストームウォーター排水管、給水管、下水管、通信ネットワーク、団地内消防
施設、バスターミナル、団地内共有エリアにて消火栓・セキュリティーシステム完備。
(出所)ヒアリング結果より作成
図表 31-10 当工業団地の位置。写真は団地内道路の様子(2013 年 7 月末時点)
住居
大学
商業施設
病院
スポーツ・エンターテイメント施設
(出所)アセンダス日本代表事務所より提供
240
(2) 双日・マザーソン工業団地
双日、マザーソングループが共同で開発している双日・マザーソン工業団地(SMIP:Sojitz
Motherson Industrial Park)はチェンナイ市南西 45km のカンチープラム地区に設立予定
であり、総開発面積は 115 ヘクタール(分譲面積は 75 ヘクタール)である。総事業費は約
50 億円。SMIP は団地内に日本人スタッフを常駐する管理事務所、集中排水処理設備、倉
庫・物流施設、レンタル工場等のサービス施設の設立を検討しており、入居企業は 30 社程
度を予定している。2015 年に造成工事着工、2016 年内に工場操業開始を予定している。
図表 31-11 双日・マザーソン工業団地の概要
立地
予定主要イン
フラ及びサポ
ート施設
 チェンナイ市中心部まで約 45km
 チェンナイ港まで約 55km
 チェンナイ国際空港まで約 40km




電力:タミル・ナドゥ州電力局より供給予定
水:地下水、雨水の利用及びリサイクル中水利用予定
施設:レンタル事務所、レンタル標準工場、排水処理場、物流倉庫他を予定
双日日本人社員が常駐。その他、様々な付帯サービスの実施を検討中
(出所)ヒアリング結果、双日ホームページより作成
241
(3) 主要工業団地
図表 31-12 主要工業団地の概要(2012 年 10 月時点)
工業団地名
開発主体
アクセス方法
土地価格
現状の
進出余地
総面積:約
10,000 エーカ
ー(うち 4,000
エーカーは開
発中)
空き区画:空
きあり
進出済主要
日系企業
コベルコクレ
ーン、コベル
コ建機、日下
部電機 、三
井住友建
設、パイオラ
ックス、メタ
ルワン、ユ
ニ・チャーム
スリ・シティ
(SRI CITY)
Sri City (P)
Limited
・国道 5 号線
沿い
・チェンナイ市
中心部より約
65Km
500 万ルピー/
エーカー
(1,235 ルピ
ー/㎡)(土地
価格のみ)※
顧客毎にイン
フラを整備。
最終的には
2,000 万~
2,500 万ルピ
ー/エーカーで
の仕上がり
テルバイ・カンディガイ
(THERVOY
KANDIGAI)
SIPCOT
・チェンナイ市
中心部より北
西約 50Km
385 万ルピー/
エーカー(951
ルピー/㎡)
総面積:約
800 エーカー
空き区画:空
きあり(250~
300 エーカー)
なし
グンミディプーンディ
(GUMMIDIPOONDI)
SIPCOT
・国道 5 号線
沿い
・チェンナイ市
中心部より約
45Km
300 万ルピー/
エーカー(741
ルピー/㎡)
ミツバ
SIPCOT
・国道 4 号線
沿い
・チェンナイ市
中心部より約
35Km
600 万ルピー/
エーカー
(1,482 ルピ
ー/㎡)
ピライパッカム
(日産サプライヤーパーク)
(PILLAIPAKKAM)
SIPCOT
800 万ルピー/
エーカー
(1,976 ルピ
ー/㎡)
スリペルンブドル
(SRIPERUMBUDUR)
SIPCOT
・国道 4 号線
沿い
・チェンナイ市
中心部より約
50Km
・国道 4 号線
沿い
・チェンナイ市
内より約 45K
m
オラガダム
(ORAGADAM)
SIPCOT
・州道 48、57
号線沿い
・チェンナイ市
内より約
40Km
600 万ルピー/
エーカー
(1,482 ルピ
ー/㎡)
総面積:約
1,242.72 エー
カー
空き区画:入
居率ほぼ
100%
総面積:約
1,513.54 エー
カー
空き区画:入
居率ほぼ
100%
総面積:約 40
エーカー
空き区画:空
き有り(約 20
エーカー)
総面積:約
938.34 エーカ
ー
空き区画:入
居率ほぼ
100%
総面積:約
850.64 エーカ
ー
空き区画:入
居率ほぼ
100%
イルンガトゥコッタイ
(IRUNGATTUKOTTAI)
242
600 万ルピー/
エーカー
(1,482 ルピ
ー/㎡)
旭硝子、日
立アロカメデ
ィカル、三桜
工業、前川
製作所
ヨロズ、日産
自動車
ニチアス、ジ
ェイテクト
日本精工、コ
マツ、 日産
自動車、タチ
エス、ユニプ
レス、信越ポ
リマー、日本
特殊塗料、カ
ツシロマテッ
クス
マヒンドラ・ワールド・シティ
(MAHINDRA WORLD
CITY)
Mahindra
Group
マヒンドラ・ワールド・シティ
第 2 フェーズ
(MAHINDRA WORLD
CITY
Phase Ⅱ)
Mahindra
Group
ヴァラン・バダガル
(VALLAM VADAKAL)
SIPCOT
オラガダム
第 2 フェーズ
(ORAGADAM PhaseⅡ)
SIPCOT
双日・マザーソン工業団地
(Sojitz Motherson)
双日・マザーソ
ン
チェヤール
(CHEYYAR)
アセンダス・日揮・みずほ銀
行工業団地
(Chennai Integrated
Industrial Township)
・国道 45 号線
沿い
・チェンナイ市
内より約
55Km
グンミディプー
ンディ工業団
地南周辺
3,500 万ルピ
ー/エーカー
(8,648 ルピ
ー/㎡)
総面積:約
1,550 エーカ
ー空き区画:
僅かにあり
未定
・州道 48 号線
沿い
・チェンナイ市
内より約
60Km
・マヒンドラ・
ワールド・シテ
ィ北
東 10Km 付
近
・国道 45 号線
沿い
チェンナイ市
南西 45Km
(カンチープラ
ム地区)
未定
総面積:約
1,000 エーカ
ー土地収用
中。2013 年 3
月頃から販売
開始予定
総面積:約
1,780 エーカ
ー土地収用完
了。販売開始
時期未定
総面積:約
600 エーカー
2012 年 12 月
までに土地収
用完了予定
SIPCOT
・州道 5 号線
沿い
・チェンナイ市
内 90Km
未定
アセンダス・日
揮・みずほ銀
行
チェンナイ市
内より南へ約
50Km
公示不可(ア
センダス社へ
要問合せ)
未定
未定
総面積:約
280 エーカー
土地収用中。
2015 年度か
ら販売開始予
定
総面積:約
2,300 エーカ
ー土地収用完
了。販売時期
未定
総面積:約
1,500 エーカ
ー土地収用完
了。2013 年
12 月完成予
定。2014 年夏
頃より操業開
始予定
フジテック、
武蔵塗料、
JSP、SMC、
坂崎彫刻工
業、NTN
なし
なし
なし
なし
なし
なし
(出所)JETRO「日系企業が進出している主要工業団地及び今後進出が有望視されている工業団地」より
作成
243
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