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超音波レーダと電灯線通信を 用いた見守り介護支援システム
超音波レーダと電灯線通信を 用いた見守り介護支援システム 山口大学大学院理工学研究科 教授 田中幹也 研究開発の背景 4000 3500 認知症患者の増加 ・身体拘束の禁止 ・単独で離床し転倒 介護現場:離床検知通報 人 数 (万 人 ) 3000 400 高齢者人口 認知症患者数 300 2500 250 2000 200 1500 150 1000 100 500 50 0 システムの需要が増大 350 0 1995 2000 2005 2010 2015 2020 年 独居高齢者の増加 ・2006年:410万人(高齢者世帯1829万世帯のうち約22%)が独居 (H20高齢社会白書) 遠隔地家族:安否確認システムの需要が増大 人 数 (万 人 ) 高齢社会の進行 従来の離床検知通報システム ・CCDカメラによる画像処理を用いた方法: プライバシ保護,照明,高価格 ・赤外線レーザを用いた方法: 赤外線の照射範囲が狭いため設置時の調 整困難や誤報 → 現場ではあまり普及していない マットセンサ+ナースコール:マットを踏むと圧力を検知しナースコール で介護者に通報:安価でメンテナンスフリー → 現場の需要大 [問題点] ・ナースコールのない小規模施設,一般家庭では導入が困難 ・マットに躓いたり,マットごと滑って転倒する事故 ・汚れやすく,故障が多い 超音波レーダと電灯線通信を 用いた離床検知通報システム マットセンサの問題点を解決 → 超音波レーダ(USR):離床検知 電灯線通信(PLC):通報・警報 ↓ ・安価:超音波センサ,PIC,既設電灯線 ・非接触:メンテナンスフリー,清潔,壊されない ・安全:転倒しない ・電灯線の利用:ナースコールのない小規模施設や一般家庭で導入可能 超音波レーダ 超音波レーダ 電灯線 離床検知通報システム USR USR 11 PLC PLC 送信機 Transmitter 1 1 USR 22 USR PLC 送信機 2 検知装置 PLC PLC 受信機 Receiver ・・・・ ・・・・ USR USR NN 電灯線 PLC PLC 送信機 Transmitter N N 通報装置 ・システム構成 検知装置:超音波レーダ(USR:Ultra Sonic Radar) 通報装置:PLC送信機,PLC受信機 電灯線通信(PLC:Power Line Communication) 警報装置 警報装置 Alarm Device 超音波レーダ(USR) ・構成 ・超音波センサ:周波数40kHz 超音波センサ 送信素子 ・送信回路,受信回路 受信素子 ・PIC(Peripheral Interface Controller :周辺機器接続制御用IC) ・外形寸法:123(W)× 67(D)×37(H)mm PIC16F873A → 超音波レーダ T 距離L 対象物 電灯線通信(PLC) +12V AC 100V Power Line Power Supply UNIT GND ECHELON PLT-22 Power Line Transceiver Neuron Chip ECHELON 3150 Coupling Circuit Set Switch ・電灯線を通信回線として利用する 技術 ・既存の電灯線配線を利用 ・導入コストが安い ・低速PLCを採用: 5400bps,安全性, ノイズロバスト性(電磁ノイズに強 い) ・NeuronチップとPLCトランシーバ ・2相位相変調方式 ・選択型シングルキャリア方式: 132[kHz],115[kHz] +12V AC 100V Power Line Power Supply UNIT GND ECHELON PLT-22 Power Line Transceiver Coupling Circuit Neuron Chip ECHELON 3150 ID Set Switch VST0001 PCB Ass'y VST0001 PCB Ass'y Signal Input 1 Signal Input 2 Buzzer Signal Input 3 7seg. LED LED PLC受信機 PLC送信機 低速PLC (従来から認可) 10kHz 450kHz 中波放送 高速PLC(2006.10から認可) 2MHz 短波放送・航空・海上通信 30MHz 離床検知システムフィールド試験 ・特別養護老人ホーム「むべの里」(宇部市) ・試験期間:2007年3月21日~30日 毎日夕食後19時より翌朝7時まで ・被験者:女性2名(A:100歳, B:93歳) No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 USRA~配電盤~PLC受信機までの距離:約100m USRB~配電盤~PLC受信機までの距離:約70m 14 15 16 17 18 接続されていた家電機器一覧 品名 数量 6 パソコン ラジカセ 炊飯ジャー 食器洗い機 電子レンジ 冷蔵庫 換気扇 テレビ 給茶器 電動ベッド 自動水栓 電気ポット 洗濯機 電磁調理器 加湿器 ドライヤー 消毒器 カラオケ装置 1 1 1 3 3 4 20 2 7 2 2 3 1 2 1 3 1 離床検知システムフィールド試験結果 日付 実験結果 作動回数 A B 2007.3.21 0 0 2007.3.22 1 0 2007.3.23 2007.3.24 1 4 0 1 2007.3.25 1 0 2007.3.26 2007.3.27 0 0 0 0 2007.3.28 1 1 2007.3.29 1 0 2007.3.30 1 1 試験期間:2007年3月21日~30日 ・計13回警報装置が作動 ・警報直後,介護者が状況を確認 ・離床動作を検知 ・誤報・誤動作なし ・未検知なし ・同ホームにはナースコールも設置されてい るが,試験に用いた離床検知システムの導 入を希望された USR+PLC型離床検知通報システムの有用性を確認 独居高齢者用安否確認システム ・超音波レーダ ・トイレの安否確認 ・PLC送受信機 ・制御装置 ・小型コンピュータ(Linux) ・安否確認情報をサーバへ送信 ・人体検知情報をファイルに書込 ・無線パケット通信装置端末 ・FOMAパケット通信に対応 制御装置 無線パケット通信装置端末 インターネット網 電灯線 情報通信装置 超音波レーダ PLC受信機 サーバ 無線パケット通信端末 制御装置 PLC送信機 安否確認システムフィールド試験結果 0.8 人体検知範囲 0.7 測定距離 [m] 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 human boby detection self-checking 0.1 0 0:00 4:00 8:00 12:00 16:00 20:00 利用回数 時刻 1回目 3:32 2回目 12:40 3回目 16:27 4回目 18:45 5回目 21:11 24:00 時間[h] ・被験者:男性(24歳) ・測定日時:2008年3月20日 0:00-24:00 ・ 人体検知範囲:0.20~0.65m ・測定結果 ・トイレの利用回数:5回 ・誤動作なし サーバに蓄積された安否確認情報 携帯電話からサーバーにアクセス 超音波レーダの非干渉化 ・超音波レーダを用いた離床検知システム ・単一の超音波センサで,着床や起床イベントのみ検知できる ・詳細な着床・起床位置の特定は困難 ・従来技術で複数の超音波レーダ ・異なる周波数を有する超音波センサーが必要 ・信号処理回路が複雑化し価格も高くなる ↓ ・同一の周波数を有する複数の超音波センサを個別識別可能 ・ベッド上の起床位置の特定が可能 → 落下防止システム ・介護施設の大部屋etc.で,複数の離床検知システムを使用可能 非干渉化の方法:時分割方式 複数のセンサで同期をとり,各センサの送受信の 時間帯が重複しないようにする 送信波 受信波 ・基準センサの発信・受信パルス S1 ・送受信時間幅:T1 T1 ・センサS2の発信・受信パルス S2 ・送受信時間幅:T1 T1 ・センサS3の発信・受信パルス S3 T2 ・送受信時間幅:T2 非干渉化の方法:パルス変調方式 送信波 S1 受信波 1.基準センサの発信・受信 パルス波 S2 2.各センサごと発信パルス 波の大きさを変える S3 3.各センサごと発信パルス 波の長さを変える S4 4.各センサごと同じ大きさの 発信パルス波をランダム に組み合わせる S5 5.各センサごと大きさ,長さ の異なる発信パルス波を ランダムに組み合わせる 非干渉化技術:落下防止システム ・USRを2個以上ベッド頭側に設置 ・ベッド上の起床位置を検出可能:中央,右側,左側 ・ベッドからの落下危険度を予測し通報可能:右側,左側 起床通報 就寝状態 中央で起床 落下警報 落下警報 左側で起床 右側で起床 非干渉化技術:複数離床検知システム 有線 マスタUSR ・時分割法方式 ・超音波レーダ(USR):超音波センサ+PIC ・マスタUSRで残りのスレーブUSRと同期をとる ・各USRを有線,無線,赤外線通信,Bluetooth etc.で接続 ・複数のUSRを使用可能 ・パルス変調方式 ・超音波レーダ(USR):超音波センサ+PIC ・各USRが同時にパルス波を送受できる ・各USRを接続する必要なし ・複数のUSRを使用可能 ・安価 非干渉化技術:安否確認&セキュリティ 遠隔地家族 独居高齢者在宅時:安否確認システム 本人 ・USR+PLC:ベッド,キッチン,トイレ,玄関,居室の状態を検知 緊急時通報 ・情報処理装置,サーバーで生活パターンの以上の有無を検出 ・異常時に通報YM → 遠隔地家族,セキュリティ企業etc. 独居高齢者留守宅:セキュリティシステム ・USR+PLC:窓,玄関,ベランダetc.の侵入者を検知 ・異常時に通報YM:本人,遠隔地家族,セキュリティ企業etc. USR USR USR USR USR USR USR USR USR 在宅時 USR USR USR USR 管理センタ USR:超音波レーダ USR USR USR YM 留守宅 PLC:電灯線通信装置 USR USR 侵入者検知 YM:ユビキタスモジュール 企業への期待 ・基礎技術は完成しているので,事業化を前提に企業との共同 研究を希望 本技術に関する知的財産権 ・発明の名称:超音波レーダによる人体検知システム ・出願番号:特願2007-272458 ・出願人:山口大学 ・発明者:田中幹也 お問合せ先 山口大学 産学連携コーディネータ 浜本俊一 TEL(0836)85-9985 FAX(0836)85-9952 E-mail: [email protected]