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マルチセンサを用いたインタラクティブアートの制作

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マルチセンサを用いたインタラクティブアートの制作
平成 22 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 183
マルチセンサを用いたインタラクティブアートの制作
D-6
An Interactive Art using Multiple Sensors
三浦 有希人† 洲崎 佐保† 恩田 大河†† 根本 翔多†† 小坂 直敏†
Yukihito MIURA† Saho SUSAKI† Taiga ONDA†† Syota NEMOTO†† Naotoshi OSAKA†
†東京電機大学 未来科学部
††東京電機大学大学院 未来科学研究科
† Faculty of Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki University
†† Graduate School of Science and Technology for Future Life, Tokyo Denki University
1 はじめに
3.1 センサ部
近年,アップル社のiPadや任天堂株式会社のWiiな
「秘密基地」は,Arduino Duemilanoveに接続さ
ど,センサ技術が盛り込まれた様々なツールが普及し れた距離センサを搭載し,観測された値を「観測点か
ている.これらのセンサ技術は色々な面で我々の日常 らの距離」として各処理部に送る.また,回転装置に
生活を豊かにしているが,メディアアートの分野にお は1周ごとに反応するスイッチを装着し,レーダの初
いては以前から作品を表現する手段として多く用いら 期化のタイミングを知らせる.
れている.センサを用いることで外界の認識や動作主
コントローラには,Arduino FIOに接続された3軸
体の振る舞いの識別などに応用でき,メディアの生成 加速度センサとタッチパネルが搭載されている.これ
時の制御 に用いることで,インタラクティブな場で らのセンサによってコントローラの傾き,上下に振る
の実用が期待できる.
動作,タッチペンでパネルに触れた位置情報を検知し,
われわれは,人の日常動作などを入力とするフィジ 音合成部,映像部に送っている.
カルコンピューティングのためのプラットフォームで
なお,本作品は通信距離が2m程度であるため,
あるArduino[2]を利用し,センサを用いたインタラク XBeeと呼ばれる無線モジュール[3]を用いた無線通信
テ ィ ブ サ ウ ン ド イ ン ス タ レ ー シ ョ ン 「 Location を行い,ケーブルの使用の煩雑さを除去している.
Note」の制作を行ったので以下に報告する.
3.2 音合成部
2 作品概要
音合成部ではUSB接続された2つのXBeeから,各
今回制作した「Location Note」は人の位置情報と センサ部から送られる値を受け, それらをパラメー
コントローラの操作情報を映像及び音として出力する, タとしMax/MSPを用いて音合成を行っている.
「秘密基地の監視レーダに対する抵抗」をコンセプト
人の位置情報は,Scanned Synthesisによって音波
とした作品である.
形に変換される.3軸加速度センサの各軸の値および
作品は回転する「秘密基地」に搭載した距離センサ タッチパネルの情報は各種エフェクトのパラメータに
で観客の位置情報を展示場の壁にレーダのように表示 利用され,位置情報から生成された波形に対し,様々
し,その位置情報から波形を生成し発音する.また, なエフェクトをかけられる.
専用のコントローラや,コントローラに取り付けられ
3.3 映像部
ているタッチパネルを操作し,映像及び音にエフェク
映像部では,Processingを用いてレーダ映像を生成
トをかけられる.図1に「秘密基地」の全体像と壁に している.2つのXBeeから,各センサ部の値を受け取
投影したレーダの映像を示す.
り,それらの値を用いて生成されたレーダ映像に対し
て観客の位置や視覚エフェクトを付加する.
位置情報は,距離センサの値と対象が観測された際
の時間を用いて計算し,平面上に人の位置を円形のオ
ブジェクトで表す.3軸加速度センサの値は,設定さ
れた閾値以上で視覚エフェクトが発生する.エフェク
トの付加にはOpenGLの加算効果を用いる.タッチパ
ネルは,タッチペンで描いた軌跡と対応した線を描く
図1. 「秘密基地」全体像(左),レーダ映像(右)
事ができ,ペンを離すと描画した線が徐々に消える.
4 まとめ
3 システム構成
本制作では,センサ技術を用いたリアルタイム処理
本作品は大きく分けて,センサ部,音合成部,映像 による映像生成,音合成を利用したサウンドアートの
部の3つで構成される.構成図を図2に示す.
制作を行った.
今後は,より幅広いセンサの知識をベースにして,
コンセプトを明確化した作品制作を展開していく.
参考文献
[1] ICC ONLINE,
http://www.ntticc.or.jp/index_j.html
[2] Massimo Banzi 著,船田巧 訳 “Arduinoをはじ
めよう”オライリー・ジャパン,2009.
[3] 小林茂 “Prototyping Lab 「作りながら考え
る」ためのArduino実践レシピ”オライリー・
図2. システム構成図
ジャパン,2010.
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