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日本語版(817KB) - アリアンツ生命保険株式会社
アリアンツ・グループ 調査レポート デモグラフィック・パルス (人口動態の鼓動を探る) www.allianz.com 2010 年 8 月 第3号 F2-00197-0(1102) すでに大規模だが、今後さらに巨大化 金融危機にもかかわらず、世界の退職関連市場は 2020 年までに 36 兆ユーロに拡大する見通し 2008 年の金融危機の影響に もかかわらず、世界の退職 金融危機および財政危機は、年金資産 全体に対して甚大な影響を及ぼしまし た。このところの危機の短期的な影響 関連市場は 2020 年までに は別にして、最も重要な問題は、今後 66%拡大すると予想されて 10 年にわたって年金の資産構成に対 おり、年間成長率は 4.7%の 見通しです。年金資産の合 して危機が長期的にどのような影響を 及ぼすかということでしょう。 多岐にわたる退職後の収入源 退職関連資産の規模を確定する主な 要因の 1 つは、多岐にわたる退職後の 収入源を探ることです。退職後の生活 において、公的、企業(職域)、そし て民間の収入源が組合わさって収入源 のポートフォリオが形成され、そして 世界の退職関連資産はかなり不均衡 公的な柱が主として一定の生活水準 に分配されています。2009 年におけ を実現するためにさらにどれくらいの 兆ユーロに増加する見込み る世界全体の退職関連資産の合計額 資金が必要となるのかを見極めます。 です。 である約 22 兆ユーロの半分強を占有 したがって公的な柱が大きくなればな している米国が、世界で最も退職関連 るほど、 そして手厚くなればなるほど、 資産を保有しており、つぎに 11.5% 積立て年金方式を縮小しなければなり の英国が続きます。西欧各国の退職関 ません。 計額は 22 兆ユーロから 36 連資産の合計額は 20%強でした。豪 州および日本は世界全体の同市場に おいて 3%を占めています。アジアの 新興市場、そして中欧および東欧 (CEE)はまだ各個人による積立て年 金方式制度を構築している初期段階 なので、わずかなシェアしか占めてい ません(それぞれ 1.8%と 0.4%)。 1 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 豪州 3.5% 日本 3.2% アジア新興国 1.8% 3.0% その他 11.5% 英国 20.1% 西欧 米国 3.1% 北欧 0.3% 南欧 0.4% 中欧および東欧 (CEE) 画像©スティーブ・ノークス、 2010/シャッターストック ドイツ 世界の退職関連市場は大小さまざま 50.5% 出典:アリアンツ、OECD、各国中央銀行、各国国家統計局 2009 年の世界の退職関連資産は合計 22 兆ユーロ この 20 年間は世界中で年金改革の波 が見られました。改革の原動力と目標 は先進国と発展途上国で異なりますが、 どの改革方式も退職関連市場に甚大 な影響を及ぼしました。高齢化する人 口により公的な賦課方式制度がどのよ うにして形骸化する可能性があるのか が理解されるにつれて、主として公的 な制度で賄っている国の政策決定者は、 よりバランスの良い、そして持続可能 なアプローチを達成するために積立て 方式年金を強化し始めました。一方で、 新興国の政策決定者は公的制度の土 台作りおよび拡充と、積立て方式年金 の制度化を実施しました。 一段と厳しい打撃を受けた米国 金融危機および財政危機は、年金資産 全体に対して甚大な影響を及ぼしまし た。2008 年の年末時点で、年金資産 の合計額はおよそ 20 兆ユーロでした。 2007 年の年末(23.2 兆ユーロ)から およそ 15%減少しました。世界で最 大規模の年金市場を誇る米国は 22% 減となり、一段と厳しい損失を被りま した。総じて、2008 年の金融危機の 全体的な影響は株式へのエクスポー ジャーに比例して異なります。米国で 損失が最も大きかったことは、米国の 一般家庭の年金プランが西欧各国(特 に欧州大陸諸国)の一般家庭よりも株 世界中で年金制度の最善の事例は、 式および投資信託へのエクスポー 持続可能な公的な柱と強力な積立て ジャーがかなり高いという事実によっ 方式年金の柱を組合せることであると て容易に説明することができます。 いうコンセンサスができつつあるよう です。 退職関連資産は 2009 年に株式市場が 非常に堅調な立ち直りを示したことに より 22 兆ユーロに回復しましたが、 それでもまだ 2007 年の水準には届き ませんでした。 2007 年以降の損失を取り戻すために、 一般家庭は市場の回復だけを当てにす ることはできないので、定年後の生活 に向けていっそう貯蓄しなければなり ません。こうしたことは今後、成熟し た積立て年金方式制度がある国(米 国・英国・オランダ・スイス)だけで 起きるのではなく、おそらく賦課方式 年金制度の改革により、年金を十分な 生活水準を維持するために資金を確保 することで、埋め合わせる必要のある 水準に引上げることになるであろう国 においても起こるでしょう。同様のこ とが東欧およびアジア新興国といった 一般家庭が貯蓄を開始したばかりで、 拡大する繁栄と共存するために資産を 蓄えている地域にも当てはまります。 ほとんどの国では今後、貯蓄率が過去 数年よりも上昇するでしょう。欧州、 アジア太平洋の多くの国々そして米国 においては、このような定年後に向け た蓄えが金融資産の発展の原動力と なるでしょう。 2 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 ドイツ すでに大規模で今後さらに巨大化の見通し―2020 年までの退職関連資産 中欧および 東欧(CEE) 画像©クレトル、2010 シャッターストック 年間成長率 アジア新興国 豪州 南欧 北欧 西欧 米国 英国 日本 2009 年から 2020 年にかけて資産増加(10 億ユーロ) 出典:アリアンツ、国際年金部門 丸の大きさは 2020 年の推定資産規模を表している さまざまな成長のシナリオ 世界全体の年金資産のトレンドは向こ う 10 年にわたって変わらない可能性 が高いです。当然のことながら年金資 産の蓄積が最も低い地域であるアジア 太平洋および中欧・東欧(CEE)は、 最大の成長を経験することになるで しょう。これらの地域はともに新しい 形式の年金制度を導入しており、向こ 弊社では、中欧・東欧(CEE)の経済 持続可能な年金制度はリスクを分散 圏もほとんどの国が過去 10 年で積立 するために強力な積立て方式の柱を必 て方式年金の枠組みを義務化している 要とするので、社会の高齢化など長期 ので、アジアと同水準のダイナミック 的なトレンドが金融危機の厳しい影響 な成長となると予想しています。中欧 よりも大きな影響をおよぼす可能性が および東欧は 2020 年まで年間成長率 高いでしょう。 が 15.5%を達成する見込みです。仮に それを実現したとしても、現時点での スイスの市場規模に届きません。 う 10 年において予想通りに資産が累 先進国経済における退職関連市場は 積することになるでしょう。アジア太 現時点での規模と成熟度を考慮すると、 平洋および CEE における資産の増加 それほど高い成長率とはならないと予 により、退職後に向けた貯蓄の拡大に いっそう拍車がかかるでしょう。 2020 年までの年間成長率が 4.7%とす ると、世界の退職関連市場はそれまで に合計で 66%拡大すると予想されま す。年金資産が最もダイナミックな成 長を見せるのはアジア太平洋および中 欧・東欧(CEE)の新興市場において でしょう。アジア新興国は 2020 年ま での年間成長率が 16.8%、合計額が 2.2 兆ユーロと、2008 年の英国市場 と同規模になると予想されています。 世界の退職関連市場において、状況お よび資産には大きな格差があるので、 弊社では以下のように地域別での詳し い見通しを検証しました: • 米国 想されます。先進国においては、成長 • 西欧 率は主として高齢化に伴う国の年金給 • 中欧および東欧(CEE) • アジア太平洋 付の低下を埋め合わせる必要性がある ことによって伸びるでしょう。米国の 退職関連市場は、向こう 10 年に関し てはたとえ複合年間成長率(CAGR) が 3.6%に過ぎないとしても世界の年 金市場で依然として優位性を保つと予 想されます。米国は向こう 10 年にお いて低成長だとしても純増分だけで現 時点の欧州大陸国の合計額に匹敵す ると思われます。 3 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 地域別の見通し ドイツ 現時点および 2020 年:米国は依然として世界最大規模の退職関連市場 画像© vblinov、2010 シャッターストック 兆ユーロ 米国:退職関連市場は 依然として金融危機前 の水準を下回っている 出典:アリアンツ、国際年金部門 2020 年予想退職関連資産(米国) 年金制度のトレンド: 年金市場のトレンド: 米国の年金制度は著しい変化にさらさ 現時点では、ほとんどの米国の労働者 れています。米国の公的な柱はある程 は一義的なものとして、もしくは退職 度ベースとなる退職後の収入を提供し 後のプランに限定して 401k プランで ており、それは平均所得者の退職前の 資金が運用されています。401k に参 収入の 38.5%に相当します。ベビー 加するかは任意であり、雇用者と従業 ブーム世代の到来を控えて、米国の社 員はともに 401k に天引きされる分は 会保障制度は今後深刻な難問に直面 課税されません:天引きされた分は従 することになります。 業員の裁量で運用され、そして定年後 今後 20 年にかけて、1946 年から 1964 年の間に生まれた 7,800 万人のべビー ブーム世代が定年に達することになり ます。増える一方の社会保障における 給付金の支払いを補うために、政府支 出は著しく拡大し、現在の社会保障に おける黒字分を目減りさせ、また連邦 予算の重い負担となるでしょう。2006 年に制定された年金保護法(PPA)は、 企業年金において大きな変化をもたら し、そして確定給付型(DB)年金プ ランの資金調達および資産評価に関し て新たな規制を導入し、雇用者が提供 する確定拠出型(DC)年金プランへ の自動的な加入の道を開き、そして情 報公開基準を改善しました。 2020 年まで複合年間成長率(CAGR) が 3.6%、そして市場規模が 16.3 兆 ユーロに達すると予想されています。 これは 5.2 兆ユーロの純増を意味しま す。退職資産は 2013 年あたりで過去 最高の 13.1 兆ユーロ超を記録した 2007 年の水準に回復するだけでなく (第 3 四半期において)、その数字を こえると予想されています。 に、労働者は退職金を一括支払いで受 取ります。401k は米国において確定 拠出型(DC)制度の成功の根幹です。 401k は確定給付型(DB)から確定拠 出型(DC)へのシフトにおいて重要 な引き金となりましたし、そして定年 後の貯蓄の「個人化」をもたらしまし た。 2020 年における退職資産: 政府、企業および民間の年金プランが 金融危機および財政危機によって被っ た損失は、これらプランの将来の発展 に大きな意味合いがあります。退職関 連市場は 2009 年に急速な回復を示し、 その年の年末には 11.1 兆ユーロに達 しましたが、米国の退職関連市場全体 では損失をすべて取戻し、そして 2007 年の水準に戻るにはあと 2、3 年必要 となる可能性が高いです。年金資産は 4 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 地域別の見通し 西欧: 2020 年までの過去最大規模となる退職関連市場 年間成長率 ギリシャ オーストリア スウェーデン イタリア フランス スペイン 英国 ドイツ デンマーク スイス 西欧: 過去最大規模となる 退職関連市場 年金制度のトレンド: 高齢化は、65 歳以上の人口比率が 17%から 2050 年までに 30%に上昇す る西欧の年金において深刻な問題です。 欧州各国の年金制度はそれぞれ根本 的に異なります。欧州の一部の国にお いては公的な年金が非常に高い置換率 (定年前の収入と定年後の支給額の 比率)を示しています。イタリア、ス ペイン、ポルトガル、ギリシャおよび ルクセンブルグはその典型例といえま す。オランダや英国のようなほかの国 においては公的年金の給付額はずっと 低く、定年前の収入のごく一部にしか 過ぎません。 年金市場のトレンド: 過去 10 年におけるさまざまな改革の 取組みは、新たな積立て方式年金プラ ンを導入し、そして全般的に積立て方 式の柱を強化することによって、将来 の定年後の収入を多様化させるという 共通の目標を共有しています。新たな 企業年金プラン全体に関連する際 立った特徴の 1 つとなるのは、それら のプランが従業員に対して義務化され ているかどうかです。オーストリアと 2009 年から 2020 年にかけて資産増加(10 億ユーロ) 出典:アリアンツ、国際年金部門 2020 年予想退職関連資産– 西欧 とんどの年金プランは任意で運営され 2008 年の金融危機および財政危機は ています。ベルギーのように一部の年 年金資金に壊滅的な影響を与えまし 金プランはセクター別で企業年金の支 たが、多柱型の制度によって積立て方 給を推進しようとしています。またフ 式の要素を強化する方向性のトレンド ランスの PERCO のように個別の雇用 は各国の政府債務が悪化し、また高齢 者をターゲットとしている年金プラン 化が進行している中で継続すると予想 もあります。米国と同じように西欧に できます。債務悪化と高齢化が進めば おいては、確定給付型(DB)から確 全体的に第 1 の柱の年金制度を維持す 定拠出型(DC)年金プランへの明確 ることは難しくなり、そして改革が覆 なシフトが行なわれています。 される可能性は低くなります。した 2020 年における退職資産: がって弊社では、今後 10 年内に関し て退職資産は年率 4.7%のペースで成 2008 年の西欧の退職関連市場の合計 長し、2020 年までに 13.66 兆ユーロ 規模(*)は 7.59 兆ユーロで、8.05 兆ユー に達すると予想します。 ロと高かった 2007 年から 5.8%減少 しました。2009 年の金融市場の回復 により資産規模は 2007 年の水準を超 えました。退職資産は 2009 年の年末 時点で 8.26 兆ユーロに達しました。 西欧全体の年金資産の 3 分の 1 を占 め、欧州の退職関連市場で最大規模な ギリシャなど年金改革を始めたばかり の国は、積立て方式の要素を制定し始 めたばかりです。ギリシャは非常に低 い水準から開始しているので、最終的 に年間成長率が最も高くなる(9.7%) と予想されます。 のは英国で、その後にフランス、ドイ ツ、オランダそしてスイスが続きます。 後者の 2 国は比較的小さな国ですが、 その強力な積立て方式の企業年金に より、欧州の退職関連市場において非 (*) 西欧において生命保険商品は民間 の年金支給と密接に関連している ので、退職関連市場はより幅広い 意味で定義されています。 常に重要なプレイヤーとなっています。 ノルウェーでは強制的な第 2 の柱とな る年金プランが導入されましたが、ほ 5 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 地域別の見通し 中欧および東欧(CEE): 2020 年までの堅調な成長予想 年間成長率 ルーマニア スロベニア ブルガリア スロバキア共和国 クロアチア ハンガリー ポーランド チェコ共和国 中欧および 東欧(CEE): 堅調な成長予想 2009 年から 2020 年にかけて資産増加(10 億ユーロ) 出典:アリアンツ、国際年金部門 2020 年予想退職関連資産–中欧および東欧(CEE) 年金制度のトレンド: 年金市場のトレンド: 中欧および東欧(CEE)は高齢化が急 CEE において義務化された第 2 の柱 速に進んでおり、西欧と同じくらい人 は年金市場における中心的な要素です。 口動態の変化に影響を受けやすくなっ 第 3 の柱である任意での年金貯蓄は、 ています。CEE の現行の年金制度は 義務化された枠組みがない国を除いて、 鉄のカーテンが崩壊した後にようやく かなり未開発のままとなっています。 制定されました。当時、これらの国は、 第 2 の柱は、社会保障システムを担当 時代遅れの年金制度を改革する手ご する政府機関が民間の年金提供者に わい課題に直面しました。冷戦時代の 支払う社会保険料によって賄われます。 政権下において CEE の年金は国の独 国がこの制度を設けて関与するので、 占的な責任であり、そして現在の人口 この柱はしばしば国による年金制度の 動態の発展にも新しい経済環境にも合 一部とみなされます。 致していませんでした。 CEE 諸国は最終的に定年の年齢を引 上げ、早期退職のインセンティブを減 らし、支払いと給付のつながりを強化 し、そして要求される支払い期間を延 長しました。しかしながら、改革はそ れよりもかなり先まで進みました。ほ とんどの CEE 諸国において、完全積 立て方式で個人別となった確定拠出 型(DC)の勘定となる強制的な第 2 の柱の枠組みが導入され、非常に強力 な積立て方式の年金の柱が構築されま 年間成長率は向こう 10 年にかけて 15.5%となり、2020 年には 3,840 億 ユーロとなる見通しです(2009 年は 784 億ユーロ)。この増加分の大部分 はポーランド、ハンガリー、そしてチェ コ共和国が占めると思われます。この 3 国は人口では CEE の 55%に過ぎま せんが、退職資産の合計額は予想され る市場規模の 77%に相当すると予想 されています。 ポーランド、ハンガリー、 そしてチェコ共和国に続くのはスロバ キアとクロアチアです。新しく EU 加 盟国となったブルガリアとルーマニア 2020 年における退職資産: は最も高い成長率を示す可能性が高 ほとんどの CEE 諸国において退職関 いです。 連市場は依然として初期段階ですが、 その年金制度の積立て方式の柱は過 去 6 年間で資産の成長が年率でおよそ 30%増と堅調に推移しています。中欧 およびクロアチアを加えた東欧(*)の EU 加盟国の年金資産は 2009 年末ま (*) ブルガリア、チェコ共和国、 エストニア、ハンガリー、 リトアニア、ラトビア、 ポーランド、ルーマニア、 スロベニア、スロバキア共和国 でに 784 億ユーロに達しており、そ の中でもポーランドが最大のシェアを 誇っています(442 億ユーロ)。 した。 6 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 地域別の見通し アジア太平洋: 2020 年までに予想される急成長 年間成長率 タイ 韓国 中国 インド 台湾 香港 豪州 シンガポール 日本 アジア太平洋: さまざまなペースで 堅調な成長 2009 年から 2020 年にかけて資産増加(10 億ユーロ) 出典:アリアンツ、国際年金課 2020 年予想退職関連資産–アジア太平洋 年金制度のトレンド: アジア太平洋の年金制度は大きく 2 つのグループに分類することができま す。豪州、日本そしてシンガポールは、 安定的かつ包括的で、成熟した制度を 運営しています。アジアの新興市場は 公的な年金制度を構築している途中か、 開始してまだ数年の段階です。正しく 機能する年金制度は、新興市場の人口 動態の状況が悪化した際に極めて重要 となるでしょう。 により、他国の年金改革推進者に指針 を示しました。1990 年代後半以降、 中国、香港、インドそして台湾はすべ 2020 年における退職資産: てさまざまな設計の確定拠出型(DC) 2009 年、焦点となっているアジア太平洋 の枠組みを導入しており、そしてタイ 市場全体の資産を合わせると1兆8,530億 も同様のことを実施する計画です。 ユーロが管理下に置かれています。アジア 一般的に、アジア太平洋における年金 制度の設計は国によって異なり、単一 の一貫性のあるモデルはありません。 豪州および日本は成熟した多柱型の制 度を運営しています。シンガポールは アジアの平均余命は著しく上昇しまし たが、その伝統的に高い出生率は産業 化および都市化の過程で劇的に低下し ました。香港、日本、韓国そして台湾 は急速に高齢化が進行しており、2050 年までに世界で最も高齢化が進んだ社 会に位置されることになるでしょう。 中国も急速に追いついています。伝統 的にアジアの定年後の収入の主な要素 は家族のサポートです。 しかしながら、 急速な経済の発展と社会的な流動性が 高まったことにより、こうしたモデル は深刻な圧力を受けています。 さまざまな目的に対して単一のファン 年金市場のトレンド: 豪州はこの地域において先駆者です。 豪州は 1992 年に義務化された確定拠 出型(DC)の枠組みを導入したこと 導入しました。 ドによる 1 つの柱の制度を運営してお り独特です。中国は多柱型の制度を導 入している途中段階です。インドは確 定拠出型(DC)の制度を支持して公 務員の年金を改革しました。この制度 はすべての国民に適用され、そして定 年後に向けた貯蓄を推進する試みです。 香港は 2000 年、義務化された職域の 枠組みである MPF(強制性積立金) 太平洋の年金関連資産は、金融危機および 財政危機の悪影響を受けずにはすみません でした。成熟した市場が大きな損失を被り (豪州は 11%減、日本は 18.7%減)、ア ジア太平洋全体で 2007 年から 2008 年に かけて退職資産は 10.2%減少しました。 他 方で、アジア新興国は 17%の増加を記録 しました。CEE 諸国と同様に、アジア新 興国の制度において純流入が資産の著しく 大きな割合を占める一方で、パフォーマン スは同等には貢献していません。市場の堅 調な回復により、豪州は 2007 年の水準を 越え、アジア太平洋地区全体の退職市場の 資産規模は以前の成長のペースを取戻しま した。 を導入しました。韓国は 1998 年、包 今後の展望に関しては、弊社では焦点 括的な公的年金制度を制定し、そして となっているすべての新興国の年金資 退職金制度を公的な職域の枠組みへ 産が向こう 10 年にかけて年間成長率 と切替えている途中段階です。台湾は 16.8%となり、2020 年までに合計額 最近、新しい社会的セーフティー・ネッ が 2 兆 1,580 億ユーロに達すると予想 トだけでなく、民間の従業員を対象と しています。 した新たな確定拠出型(DC)制度を 7 デモグラフィック・パルス(人口動態の鼓動を探る) 2010 年 8 月 第 3 号 編集者: レナーテ・フィンケ博士およびアレキサンダー・ボルシュ博士、シニア年金アナリスト、国際年金部門 発行人: アリアンツ SE、ドイツ ミュンヘン 80802 28 Königinstrasse | クラウディア・モー・カリー、[email protected] | http://www.allianz.com なぜアリアンツは人口動態を 重視するのですか? なぜ人口動態の変化はジャーナリストや 一般市民にとって重要なのですか? 世界的な金融サービス会社であるアリアンツ は、人口動態の変化が著しく重要であると考 えています。人口動態の変化は時代の大きな 流れの 1 つといってもよく、健康、高齢化に 向けた準備、教育、消費に関することであれ、 または資本市場に関することであれ、差し迫 る多くの社会的な問題を左右する鍵となるで しょう。 人口動態の変化は多くの点で今日の社会に難 問を突きつけています:高齢化が進んでおり、 そしてこのことは、例えば介護や認知症の長 期化といった問題を引起こします。さらに今 後、世界中の市場において労働力の著しい低 下という問題が予想されます。この問題はた とえば、年金資金の確保が困難になるなどの 難問を引起こします。この話題に関する情報、 認識、そして議論だけが問題に取組む姿勢、 行動そして状況を変え、そしてその結果、急 を要する問題を解決し、そして革新的な解決 策を見つけ出すことを促してくれることを願 います。 その他詳細情報: アリアンツ・グループ エコノミック・リサーチ&コーポレート・デベロップメント https://www.allianz.com/en/economic_research/publications/index.html アリアンツ・グローバル・インベスターズ 国際年金部門 http://publications.allianzgi.com/en/PensionResearch/Pages/PensionResearch.aspx アリアンツ・ナレッジ・サイト http://knowledge.allianz.com/ アリアンツの「デモグラフィック・ パルス(人口動態の鼓動を探る)」は どのような利益をもたらしてくれますか? アリアンツの「デモグラフィック・パルス(人 口動態の鼓動を探る)」は、人口動態の変化 のさまざまな側面に対する最新の調査に基づ いています。アリアンツの専門家が実施し作 成したこのレポートは、現在のそして世界的 に関連した人口動態のデータに焦点を当てて おり、そして世界経済および社会に対する洞 察力を提供しています。この分野における大 きな進展に関する最新の報道が確実になされ るようにするために、アリアンツの「デモグ ラフィック・パルス (人口動態の鼓動を探る)」は 定期的に出版されるので、私たちが住む世界 を形作っている大きなトレンドに関して継続 的かつ詳細な情報を提供することになります。 コメント、提案、または質問は ありますか?弊社は皆さんからの フィードバックを歓迎いたします! 連絡先: クラウディア・モー・カリー ++49 89 3800 18797 [email protected] 以上の予想は、従来どおり、下記の免責規定の対象となります。 将来の予測情報に関する注記:本書に含まれる記載の一部は、将来の予想ならびに経営陣の見解および推定にもとづくその他の将来の予測情報であり、実 際の結果、業績または事象が、当該記載に明示または黙示されたものと大幅に異なる既知・未知のリスクおよび不確実性を伴います。文脈上将来の予測情 報となるものに加えて、「可能性がある」、「するつもりである」、「だろう」、「見込まれる」、「計画する」、「意図する」、「期待する」、「確信 する」、「見積もる」、「予測する」、「潜在的な」または「継続する」といった言葉および類似の表現は将来の予測情報を表します。実際の結果、業績 または事象は、地方、国および/または世界レベルでの(i)一般の経済状況(アリアンツ・グループの主要事業および主要市場の特定の経済状況を含みます)、 (ii)新興市場を含む金融市場の業績(市場のボラティリティー、流動性および信用事由を含みます)、(iii)付保対象損害事由の頻度および重大性(自然災害 に起因するものおよび損害に伴う経費拡大を含みます)、(iv)死亡率および羅病率の水準および傾向、(v)継続率の水準、(vi)クレジット・デフォルトの範 囲、(vii)金利水準、(viii)ユーロ対米ドル相場を含む為替相場、(ix)競合企業の水準の変化、(x)金融収斂および欧州通貨連合(EMU)を含む法令の変更、 (xi)中央銀行および/または外国政府の政策の変更、(xii)買収の影響(関連する統合問題を含みます)、(xiii)再編成措置ならびに(xiv)一般的な競争要因に より(ただし、これらに限りません)、当該記載とは大幅に異なる可能性があります。これらの要因の多くは、テロ行為およびその結果によって生じる可 能性が高く、または顕著に現れます。当社は、本書に記載された将来の予測情報を更新する義務を負いません。 更新義務を負わないこと:当社は、本書に記載された情報を更新する義務を負いません。 8