Comments
Description
Transcript
納得のいく死に方 - 東洋経済 ONLINE STORE
表紙から 2016 9/24 CONTENTS 氾濫するテレビや雑誌の 高齢者向け医療情報。健 康欲の過剰な刺激は何を もたらしているのか。 28 © hiroki taniguchi 【第1 特集】 納得のいく死に方 医者との付き合い方 30 36 40 ルポ 死と向き合う人々 30 Ⅰ章 納得のいく死に方 INTERVIEW│ 『おひとりさまの最期』 著者 上野千鶴子 ● 東京大学名誉教授 「家で死ぬということ」 は可能だ 山崎章郎 ● ケアタウン小平クリニック院長 42 Q&A 終末期医療 7つの素朴なギモン 45 46 48 50 54 56 60 62 64 66 68 72 76 INTERVIEW│横倉義武 ●日本医師会会長 「リビングウィル普及はまだまだ」 「死の質」 で世界トップ 自分らしく の英国式ケア INTERVIEW│どう迎える? 終末期 石飛幸三 ● 特別養護老人ホーム・芦花ホーム医師/会田薫子 ● 東京大学大学院特任准教授 Ⅱ章 医師・薬と正しく付き合う 『週刊現代』医療キャンペーン記事の教訓 がん「よい手術」 「悪い手術」の見分け方 偽陽性、過剰診断リスクに要注意 高齢者に 「がん検診」は必要か 多剤投与、残薬をどう防ぐ? 日本のクスリの使われ方は非常識 健康でも幸せでない高齢者 「長生き」志向は間違っている! 認知症薬も「減薬」 「節薬」 が必要だ 薬との正しい付き合い方 INTERVIEW│現場からの警告 濱邊祐一 ● 東京都立墨東病院救命救急センター部長 患者は65歳以上が過半 年間医療費1.6兆円 人工透析が課す難題 どこで最期を迎える? 高齢者医療は維持不能に 図解 日本の医療を取り巻く三重苦 つい すみ か 超高齢社会の 「終の住処」選び INTERVIEW│ここが問題!日本の医療制度 濃沼信夫 ● 東北医科薬科大学医学部教授/土居丈朗 ● 慶応義塾大学経済学部教授 救命救急センターに運ばれる高齢者が急増している 上野千鶴子 36 東京大学名誉教授 「家族に反対され ても、自宅で死にたい と 言いなさい」 ■ 2015年には70代が最多に ─東京都立墨東病院救命救急センター (→P64) 収容患者の年齢構成─ (人) 500 400 ■ 1992年 ■ 2002年 ■ 2015年 300 200 100 0 20∼ 30∼ 40∼ 50∼ 60∼ 70∼ 80∼ 90∼ 29歳 39 49 59 69 79 89 (出所)東京都立墨東病院 CONTENTS ニュース最前線 深層リポート 大黒柱「スーパードライ」が減速 90 アサヒ 欧州ビール巨額買収の焦燥 18 シャープ戴に忠誠誓う 新体制で高まる緊張 国内ビール市場の王者・アサヒグループ ホールディングスがついに本格的な海外 展開へ動きだす。 その第 1 弾が欧州ビール4社買収である。 小路明善 ●アサヒグループホールディングス社長 兼 COO 「規模で何番目というメーカーは目指さない」 9 | 経 済 を 見 る 眼 |グローバルメリトクラシー/苅谷剛彦 11 | こ の 人 に 聞 く |高原豪久 ● ユニ・チャーム社長|日本製おむつ人気が逆風 中国で巻き返しに全力 27 | 少 数 異 見 |象徴天皇制の維持には女性・女系天皇の容認こそ必要 この人に聞く ユニ・チャーム社長 高原豪久 9 経済を見る眼 苅谷剛彦 97 98 100 102 104 106 107 108 109 110 115 118 ガスの参入障壁は高い? 東電が東ガスに物言い 24 50年ぶり山手線新駅 品川― 田町間に街出現 22 LI NEが格安スマホ 楽天とガチンコ勝負へ 25 新日本を東芝株主が提訴 東芝刑事事件にも発展か |ニュース戦 11 特別リポート 閉店ドミノが始まった 78 ブックス& トレンズ 『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』 山崎繭加 97 ニュース戦記 星浩 百貨店が消える日 訪日外国人の 「爆買い」減速が合図だった。百貨店が郊外型店舗の閉店を相次いで決定した。 街から百貨店が消えていく 「閉店ドミノ」 。 84 110 | 知 の 技 法 |日ロ首脳会談と北方領土を考える②/佐藤 優 | 中 国 動 態 |もう潮時?「脱中国」図るKFC、マクドナルド/田中信彦 新生セブン&アイが改革へ そごう・西武 果てなく続く苦境 記 |加藤紘一の挫折と自民党の変質/星 浩 85 I NTERVIEW 三浦 展●カルチャースタディーズ研究所主宰「プロのバイヤーが百貨店を渡り歩く」 | グ ロ ー バ ル ア イ|仏イスラム水着禁止論は危険な「空騒ぎ」だ/イアン・ブルマ ほか | フ ォ ー カ ス 政 治|北方領土問題進展なるか 対ロ外交が猛烈な加速/歳川隆雄 | 株 式 観 測 | 為 替 観 測 深層リポート |円高でも上昇する株式市場 9月の日銀会合の重要性/居林 通 異次元緩和もお手上げ |高まらない潜在成長率 緩やかな円高圧力が続く/内田 稔 | マ ク ロ ウ ォ ッ チ |日銀が歪めた株式市場から個人投資家が逃げ出した | 投 資 の 視 点 |再増額|割安銘柄の仕込み時 ゼネコンに上振れ期待 |ブックス &トレンズ|『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』を書いた山崎繭加氏に聞く ほか | Readers & Editors|読者の手紙、編集部から |生 涯 現 役の人 生 学|歴史に逆注入する藤井さん/童門冬二 PR 5 12 94 119 20 I NTERV IEW 92 2016 9/24 ビジネスアスペクト ティア/葬儀社「ティア」が今夏、東京に本格進出 BRIDGE 大和ハウス工業 2020年 中小企業が勝ち残るための絶対条件 BUSINESS WAVE collect サンライズ・アカウンティング・インターナショナル 図表作成:小堺賢吾 本誌の記事は「日経テレコン」 「G-Search」 「ELNET」 「FACTIVA」等のデータベースに収録されており、フリーキーワードで検索、購入できます。 86 外食デフレ再襲 89 今は「デフレではない」 。政府・日銀 はそう強調するが、消費の最前線で ある外食の現場では、異なる様相が 広がる。 I NTERVIEW 堀埜一成 ●サイゼリヤ社長「デフレの申し子だなんて心外だ」 理想の「最期」に悩み、がん検診 に煩わされ、救命救急センターに 殺到するお年寄りたち。高齢社会 ニッポンの「今」を報告する。 本誌:筒井幹雄、平松さわみ、山川清弘、 山田徹也 レビをつければ、高齢者向け の 健 康 情 報 番 組 が 氾 濫 し、 一断面なのだろう。 を飾る。これも高齢社会ニッポンの 療特集が毎週のように週刊誌の誌面 ﹁飲んではいけない薬﹂といった医 テ デザイン:池田 梢 進行管理:下村 恵 納得 のいく 死に方 しかし、医療技術が進歩し、健康 寿命が延びても、人はいずれ老い、 死に至る。 ﹁不 老長寿﹂ ﹁不 老不死﹂ した日本に必要なのは、とどまると は幻想なのだ。世界一の長寿を達成 ころを知らない高齢者の長寿・健康 志向を抑制することと、世代間負担 の公平化を図るギアチェンジだ。 日本はこれから本格的な多死社会 を迎える。2025年には 歳以上 人に1人が 歳以上という、人類が の人口は2200万人弱に達し、5 75 経験したことのない超高齢社会に突 入する。このまま高齢者の長寿志 向、健康欲を野放しにしておいては らかだ。 日本の医療制度がもたないことは明 良識ある、鋭敏な一部の医師たち は﹁貴重な医療資源は高齢者でなく 若い人に振り向けよ﹂と、異口同音 に声を上げ始めた。 現状、年間 兆円もの医療費の相 当部分を借金︵赤字国債︶で賄い、 いる。財源として消費増税や高齢者 将来世代にその費用のツケを回して の負担増を議論しようものなら、上 を下への大騒ぎだ。貴重な公共財で ある日本の医療制度を次の世代にき ちんと引き渡すために、いま私たち に何が必要なのだろうか。 28 2016.9.24 週刊東洋経済 ⓒ ZAMA/orion/amanaimages 週刊東洋経済 2016.9.24 29 医者 との 付き合い方 誰しも納得する 「最期」 を迎え たいと望むが、現実にはなか なか難しい 75 40 第1特集 特集/納得のいく死に方 医者との付き合い方 撮影:尾形文繁、今井康一 「会 社から説明があったのは閉 店の報道があった当日だ が、どこか心の準備はできていた。 お客様も、何年も前から﹃危ないの では﹄とうわさしていたから⋮⋮﹂ 。 千葉市にある三越千葉店。半年後の 閉店が発表された9月上旬、同店の 販売員は焦燥した表情で語った。 商圏人口240万人弱の千葉市 で、駅から徒歩5分。立地はそう悪 くないはずだが、休日に訪れても店 内は閑散としている。衣料品フロア には空きテナントがちらほら。飲食 店では、客が声をかけて初めて、厨 房から店員が姿を見せた。この空間 には、もう何ともいえない緩い空気 が流れている。 はなかった。1991年のピーク時 この店の売上高はここ数年、前年 実績を割り込んだまま浮上すること には507億円程度あったが、足元 では4分の1ほどに落ち込んだ。収 益的にも、三越伊勢丹ホールディン グスの運営する百貨店の中では最大 の営業赤字店舗だ。 これまでは、徹底したローコスト 運営で何とか営業を継続させてき た。追加の設備投資も極力抑えた。 営業時間は通常より早い 時まで 店が 年に駅直結の立地へ移転した 越の隣で営業していたそごうの大型 構える。千葉駅周辺でも、かつて三 モールやアウトレットモールが店を 競争環境の激変が苦戦の背景にあ る。幕張地区には大型ショッピング 海外高級ブランドは 次々とそごうへ 断行することになった。 約期間満了を1年前倒しして閉店を 西洋社長︶と判断し、ビルの賃貸契 将来の収益改善が見込めない﹂ ︵大 伊勢丹はついに﹁追加投資をしても が、それでも展望は開けない。三越 で、光熱費や人件費も削減した。だ 19 にある千葉パルコも、すでに今年 月の撤退を決めている。 ない。ある 代の女性はこう話す。 地元住民から、閉店を惜しむ声は 聞こえてくるが、冷静な声も少なく 11 越からさらに5分歩いた中心市街地 口集中はさらに進むとみられる。三 2018年には建て替え中の駅ビ ルが全面開業するため、駅前への人 越からそごうへと移っていった。 た海外のハイブランドも、続々と三 イ・ヴィトンやティファニーといっ ことで、百貨店の客が流れた。ル 93 た 百貨店が 消える日 っ ま 始 が ノ ミ ド 店 閉 ﹁閉店は当然だと思いますよ。だっ では入っているブランドが全然違 て、同じ三越でも日本橋店と千葉店 う。高級感があるわけではないの に、かといって安くもない品が多く て、全然わくわくしない﹂ 。数年前 から、百貨店を利用するときは、地 元の千葉でなく東京まで行っていた 78 2016.9.24 週刊東洋経済 週刊東洋経済 2016.9.24 79 70 特別リポート 百貨店が消える日 訪日外国人の 「爆買い」 減速が合図だった。百 貨店が郊外型店舗の閉店を相次いで決定し た。 街から百貨店が消えていく 「閉店ドミノ」 。 本誌:印南志帆、又吉龍吾 年に入って消費性向が極め 入。客単価を カ月間にわたり前年 ンで節約志向の強い子連れの主婦客 が減っている﹂と指摘する。回転ず る。厳 し い 上 半 期 ︵1∼6月︶だ っ 売り上げ、客数にも影響を与えてい 同社の谷社長は﹁過去3年間は、 含み資産を持ったシニアを相手に高 期に最高益を更新した。 同期比で上昇させ、業績も 年 月 た﹂ 。すかいらーくの谷真社長は8 単価商品を提案することで業績を伸 だ。2000円を超えるステーキの て停滞しており、わが社の 月の決算会見でそう唇をかんだ。 ばしてきた﹂と振り返る。 ほか、日本各地の食材を盛ったフェ しや焼き肉、コンビニエンスストア 2016年春以降、外食業界では 既存店売上高が前年同期を下回るチ o壱番屋が 年3月にトッピング7 そのほかにも食材価格や人件費の 高騰を理由に、カレーハウスCoC ドッグといったメイン商品を ∼ 年の1041円から 年末に121 アメニューを打ち出し、客単価は 09 打撃を受けたのが高価格路線のチ ェーン。代表格がロイヤルホスト に流れている事情がある。 財布のひもは今なお緩んでいない。 きた。日本フードサービス協会の調 円値上げするなど、外食業界では 6円にまで上昇した。しかし、 年 15 月から今年6月まで カ月連続で 14 キ﹂や﹁フォアグラ﹂といった希少 業態・ガストでは﹁ミスジステー らーくもその一つだ。収益柱である リストは、﹁特にファミリーレストラ 外食動向に詳しいエヌピーディ ー・ジャパンの東さやかシニアアナ 顕著となっているのだ。 に、価格は499円と据え置きなが ガストは2月以降、メニューを刷 新。ランチでは主要客の女性向け へと舵を切っている。 異 次 元 緩 和 も お 手 上 げ 食材を使った期間限定メニューを投 し、従来の客単価重視から客数重視 能。絶対的な客数を取りにいく﹂と は、 ﹁客単価を上げ続けるのは不可 生などが離れ始めたという。谷社長 すかいらーく系列のガストでも、 従来の中心顧客である若い家族や学 ルホスト事業は減収減益となった。 既存店の客数が減少。 年のロイヤ 15 19 品を ∼ 円値上げ。モスバーガー が 年 月にハンバーガーやホット べでは、外食全体の客単価はリーマ 〝値上げラッシュ〟が続いていた。 イナスが続いたが、アベノミクスが 始まった 年以降はプラスに転じて 30 しかし、今や風向きは変わってい る。 年以降、消費者の節約志向が 節約志向が顕著に 一転値下げラッシュ ンショック後の 年以降、前期比マ これまで外食産業は物価情勢と連 動し、値下げと値上げを繰り返して ェーン店が目立っている。消費者の 「今 44 15 32 5 外食デフレ サイゼリヤ 税込み500円のランチメニューをサラダとスー プ付きに変更 16年2月∼ ガスト 価格を据え置いてハンバーグを2割増量するな ど、2月にランチ、6月に通常メニューを刷新 16年4月 吉野家 牛丼より50円安い豚丼(並盛330円)を約4年ぶ りに復活させる 16年6月 かっぱ寿司 平日1皿100円から90円への値下げキャンペー ンを一部店舗で本格展開 16年9月 マクドナルド ハンバーガーとドリンクで400円の平日ランチ 限定セットを発売 今は「デフレではない」 。 政府・日銀はそう強調するが、 消 費の最前線である外食の現場では、 異なる様相が広がる。 本誌:常盤有未 年は客数以外増えたことを考えると 単価がいずれも前年同期比減少。 テコ入れ効果は物足りない。 やした。通常メニューでも価格を変 えずにハンバーグを150㌘から1 らサラダに使用する野菜の種類を増 80㌘に2割増量するなど実質的な 吉野家では豚丼復活 マックはお得ランチ投入 〝値下げ〟を断行した。 などグリル商品の価値を上げること ーは若い家族客が多い。ハンバーグ 帯収入300万円未満の層が増えて リストは﹁低価格のファミレスは世 線を従来貫くチェーン店だ。東アナ 競合の苦戦を尻目に、好調を維持 する外食チェーンもある。低価格路 ガストメニュー開発グループの小 野崎敬弘ディレクターは、 ﹁ディナ うことが大事﹂と企画意図を説明す 低価格チェーンの代表格、サイゼ リヤは 年に入っても客数、客単価 いる﹂と指摘する。 で、この値段ならお得と感じてもら る。 ﹁店を選ぶときに単価は大きく 影響する﹂と谷社長も話す。 しかし、 〝実質値下げ〟でも苦戦 は続いている。ガストは 年1∼8 月累計で既存店の売上高、客数、客 ともほぼ前期比プラス基調を維持し ている。顧客から支持される秘訣 マクドナルドでは割安な昼メニューが約1年ぶりに復活 ボリューム重視のガストの新メニュー (左) 12 20 12 22 15 16 09 実際、 年以降に客単価を上げた 外食チェーンは少なくない。すかい いた。 13 13 2015年7月 再襲 割安メニューを相次ぎ投入 ─外食企業の昨今の価格戦略─ 86 2016.9.24 週刊東洋経済 週刊東洋経済 2016.9.24 87 16 サイゼリヤは低価格を貫き好調を維持。写真右上は新業態 「スパゲッティ マリアーノ」 吉野家は牛丼より50円安い豚丼 (並盛 330円) を約4年ぶりに復活させた 15 16 内容 チェーン名 時期 15 深層リポート 外食デフレ再襲 撮影:今井康一 撮影:風間仁一郎