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参考資料 - 経済産業省

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参考資料 - 経済産業省
事業再生人材育成講座
地方公企業の再生と将来展望
参考資料
NPO法人
行政再生
理事
桐明幸弘
経済産業省平成18年度事業
「事業再生人材育成促進事業」
目 次
はじめに
A. 公企業を取り巻く環境と問題点
1.公企業の定義
2.地方における「公企業」の定義と範囲
3.公企業の現状と問題点
その(1)第三セクターについて
その(2)地方公営企業について
その(3)病院(医療法人)について
その(4)学校法人について
その(5)交通事業について
B. 公企業の再生実践と事例研究
4.公企業早期再生の必要性
5.地方公社・第三セクター等の再生実践
(参考資料1−5)
6.地方公企業再生の事例研究
C. 公企業再生の将来展望
7.地方財政からみる公企業再生と課題
8.公企業再生の新たな試み
2
はじめに
zメガバンクの不良債権処理が終結に向かい、民間事業部門における大規模
な過剰債務問題は解決されつつあるが、日本全体の不良債権の問題と比較し
たときにはほんの一部の解決策がスタートしたに過ぎないともいえる。
z今後は、地方銀行を中心とした不良債権処理の進行に応じ、地方企業や地
方自治体関連の公企業の不良債権問題がクローズアップされてくるものと思
われ、とりわけ公企業については各地の住宅供給公社や三セク等の問題をみ
ても、その金額の大きさや関係者の複雑さなどから問題は民間事業会社より
も一層困難を極めることが予想される。また、民間企業の経営であっても交
通機関、病院や学校のように地域住民にとって重要であり公的な性格を持つ
事業も同様の問題が存在し、これらも広い意味で公企業として認識し、その
具体的な再生方法を検討することが大変重要である。
z今回は、こうした社会的な影響の大きい公企業の再生とその実践について
の問題点を検討し、今後の予想される不良債権処理の過程におけるソリュー
ションとその為の人材育成について検討してみたい。
3
A. 公企業を取り巻く環境と問題点
4
1.公企業の定義
z
公益法人 − 民法第34条「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益に関する社団又は財団にし
て営利を目的とせざるものは主務官庁の許可を得て之を法人と為すことを得」
①
公益事業、②
非営利、③
主務官庁許可、④
社団又は財団
社団法人、財団法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、医療法人、更生保護法人、特定非営利活
動法人
z
地方公営企業
地方公営企業法
第二条 この法律は、地方公共団体の経営する企業のうち次に掲げる事業(これらに附帯する事業を含む。以下「地方
公営企業」という。)に適用する。
一 水道事業(簡易水道事業を除く。)
二 工業用水道事業
三 軌道事業
四 自動車運送事業
五 鉄道事業
六 電気事業
七 ガス事業
2 前項に定める場合を除くほか、次条から第六条まで、第十七条から第三十五条まで、第四十条から第四十一条まで
並びに附則第二項及び第三項の規定(以下「財務規定等」という。)は、地方公共団体の経営する企業のうち病院事業に
適用する。
3 前二項に定める場合のほか、地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例(地方自治法 (昭和二十二年法律第
六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)又は広域連合(以下「広域連合」と
いう。)にあつては、規約)で定めるところにより、その経営する企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用するこ
とができる。
z
公企業
とは?
地方公社・第三セクター
地方自治法第232条の2「普通地方地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附
又は補助をすることができる」が根拠となり、地方公共団体が出資をする法人で地方自治体の活動と
深い関わりを持つ組織。総務省では、このうち地方公共団体が25%以上を出資している民法法人ま
たは会社法にいう会社を「第三セクター」と呼んで毎年の「第三セクターの状況に関する調査」の対
象としている
5
2.地方における「公企業」の定義と範囲
定義:公企業とは、主として地方において公的サービスを提供している各種公益
法人、地方公営企業、地方公社・第三セクター等などを総称して指す
ものとし、場合によっては民間事業体であっても交通、医療、学校等を営む
会社・団体をその範囲として含めるものとする。
対象範囲イメージ図
国の特殊法人、公益法人等
のうち地方に関わる法人
(例) 学校、病院など
民間企業のうち
公的性格の事業等
(例) 都市バス
私立病院
私立学校等
病院、学校
交通(バス、渡
船等)など
地方自治体の第三セクター等
(例) 財団法人健康増進
土地開発公社
株式会社XX港開発
6
3.公企業の現状と問題点
その(1)第三セクターについて
1.第三セクターに関する指針(平成11年5月20日 自治省)
2.行政改革大綱(平成12年12月1日 閣議決定)
・地方分権の推進
第三セクター、地方公社、地方公営企業の改革
3.第三セクターに関する研究会報告書
(平成15年3月 財団法人 自治総合センター)
・金融機関の姿勢変化(金融再生プログラム、リレーションシップ
バンキングの機能強化等)
・点検評価や事業の見直し
・緊急経済対策、構造改革の基本方針(民間委託)
・企業・産業再生に関する基本方針
・現状認識の為の、監査、点検評価及び情報公開
・経営悪化時の地方公共団体対応と再建手法
7
3.公企業の現状と問題点
その(1)第三セクターについて2
社会経済情勢の大きな変化
厳しさ増す第三セクターの経営状態
9 不良債権問題の解決に向けた取り組み
9 バブル崩壊に伴う資産運用悪化
9 国、地方公共団体の財政状態の悪化
9 過去の過剰な設備投資の結果としての
深刻な債務超過の存在
9 高度化、多様化する行政ニーズ
地方公共団体が出資等を行っている第三セクターの早期運用改善等に積極的
に取り組むことが喫緊の課題
第三セクターに関する指針の改定
(平成15年12月)
・外部専門家活用等による監査体制の強化
・政策評価の視点も踏まえた点検評価の充実
・第三セクターの経営状況等についての積極的な情報開示
・統廃合や完全民営化の積極的な推進
・法的整理の実施や民間業者の積極的な活用
(会社については事業用資産の減損会計の適用にも留意が必要)
8
3.公企業の現状と問題点
その(1)第三セクターについて3
<三セクの現状>
<問題点>
‹平成16年3月末現在、全国の第
三セクター・地方公社などの合計
9,947法人のうち、会社法による会
社は3,823社(38.4%)
¾三セクの約3割強が赤字であ
り、5.7%が債務超過(平成17年3月2
‹90年代の伸び率では、情報処理、
観光・レジャー、運輸・道路等の分
野が大きい
‹1996年から2000年までに解散
(倒産含む)した三セクは約80法人
でその半数は観光・レジャー関係
‹損失補償契約等にかかる債務の
残高は10兆4千億円
8日「第三セクター等の状況に関する調査結果」)
とされているが、資産を時価評
価するとさらに債務超過の法人
が増加すると想定される
¾90年代設立の観光・レジャー
産業関連三セクの解散が最も多
く、不良債権が隠れている
¾未だ実数としては倒産などが
多くは感じられないが、相当の
倒産予備軍が予想される
¾公共関与により問題が先送り
となり損失が膨らむ可能性大
9
3.公企業の現状と問題点
その(2)地方公営企業について
(1)地方公営企業の概念
地方公営企業とは、地方公共団体が経営する企業活動全般を総称して
おり、上下水道事業、交通事業、病院事業がその代表的なものである
が、その他にも、電気(卸売り)・ガス事業や土地造成事業を行うな
ど、その事業種別は多種多様。
(2)地方公営企業の役割
地方公共団体が行う一般的な行政活動とともに、地域住民への水の供
給や公共輸送の確保、医療の提供、下水の処理など生活や地域発展に
不可欠なサービスを提供する様々な事業活動を行う。
(3)地方公営企業の経営環境
平成15年度の事業数は全国で12,476社で、その決算規模(総
費用及び建設改良費等の合計額)は20兆3,070億円。全体では
1,482億円の黒字だが赤字の事業が全体の12.4%あり、赤字
額の合計は4,228億円、不良債務額が3,481億円で事業別の
収支状況に格差がでている。特に病院事業は赤字額・職員数ともに他
の事業と比較して圧倒的に多く、昨今の自治体病院の存続懸念が現実
のものとして感じられる。
10
3.公企業の現状と問題点
その(2)地方公営企業について2
主な事業における地方公営企業が占める割合
事業
対象指標
(国内全体)
水道事業(簡易含む) 給水人口1億2千万人中
地方公営企業
が左記に占め
る割合
99.3%
下水道事業
汚水処理施設整備人口9,900
万人中
90.6%
交通事業(地下鉄)
年間輸送人員48億1千万人中
56.9%
交通事業(バス)
年間輸送人員47億8千万人中
26.0%
病院事業
病床数164万床中
14.5%
ガス事業
企業数229社中
25.3%
総務省等資料より作成
11
3.公企業の現状と問題点
その(2)地方公営企業について3
決算規模
事業
事業数
決算規模
(億円)
総収支額
(億円)
職員数
水道事業(簡易含む)
3,542
46,018
1,871
62,135
工業用水道
152
2,573
164
2,784
交通
120
13,330
△754
35,609
病院
754
47,355
△1,013
236,254
4,965
69,878
765
40,083
675
12,713
264
3,190
その他
2,277
11,203
185
26,441
合計
12,476
203,070
1,482
406,496
下水道
宅地造成
総務省等資料より作成
12
3.公企業の現状と問題点
その(2)地方公営企業について4
平成17年12月27日
地方公営企業の経営基盤強化への取組状況 (平成17年11月1日現在調査)
o
総務省では、地方公共団体に対し、地方公営企業の経営の総点検、サービス供給のあり方の再検討、民間的経営手法
の導入促進、計画性・透明性の高い企業経営の推進等について努めるよう要請しているところです。※
o
今般、平成17年11月1日現在で地方公営企業の経営基盤強化への取組状況について調査し、その結果を取りまとめま
した。
※「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針の策定について」(平成17年3月29日付け総務事務次官通知)・
「地方公営企業の経営の総点検について」(平成16年4月13日付け総務省自治財政局公営企業課長通知)をご参照くださ
い。調査項目
1)経営基盤強化のための計画策定及び情報提供の状況
2)民営化・民間譲渡の実施状況
3)指定管理者制度の導入状況
4)アウトソーシング(外部委託)の実施状況
5)PFI(民間資金等活用事業)の導入状況
6)地方独立行政法人制度の導入状況
7)業績評価手法の導入状況
8)新たな会計手法の導入状況
総務省ホームページより抜粋
13
3.公企業の現状と問題点
その(2)地方公営企業について5
1.総務省の指導等によ
り民営化や外部委託、
あるいはPFIの活用など
が急激に進展している。
2.一方で交通事業や
病院事業など単純に民
営化ができないものが
あり、過去の蓄積債務
の整理の問題を含め、
新たなPPP(Public
Private Partnership)の
取り組みが必要である。
14
3.公企業の現状と問題点
その(3)病院(医療法人)について
日本のヘルスケア産業の現状
1.医療費ベースの市場規模は現在の30兆円から2025年には約70兆円産業に拡大(主要因
は高齢化の進展)(出所:帝国データバンク)
2.病院数は約9,000(20床以上)、診療所約9万箇所のうち約70%は赤字経営(出所:全国
公私病院連盟と日本病院協会による調査)、公的病院は約80%が赤字といわれている
3.1990年から2002年までの主な倒産要因(61%)は、「放漫経営」・「設備投資の失敗、経
営計画の失敗」である。近年「販売不振」といった倒産要因が約30%まで上昇。(出所:帝
国データバンク)
4.医療費の個人負担が増えたことによる、医療機関内の競争激化
5.患者満足度が他国に比べて低く(日本:67%、英:87%、米:88%、独:92%など)、最近は
医療ミスやインフォームドコンセントの不徹底など医師と患者の期待格差が拡がっている
出所:2006年11月21日「ターンアラウンドマネジメントフォーラム」講座資料より
15
3.公企業の現状と問題点
その(3)病院(医療法人)について2
地方病院(自治体病院を含む)事業の問題点
1.恒常的な赤字経営体質、中小企業(家業的)体質
・医業の公益性を医師の倫理に求める一方で、医療法人の個人所有を事実上認め
ているため、家業的で経営についての実態的なガバナンスが存在していない。
2.非営利性と医療サービス充実のジレンマ
・自治体病院の医師絶対数不足
・労働負荷と適正賃金のギャップ(小児科医など)
・技術向上のためのインセンティブ欠如 etc.
3.施設・設備維持費用負担能力
・非営利性と課税事業の矛盾
・施設への設備投資不足と大量の建替需要
4.適切な資金調達方法の未整備
・土地・建物に担保を設定しても実際に担保権行使は困難
5.公的な病院の民営化についての誤解や理解不足
16
3.公企業の現状と問題点
その(4)学校法人について
2005年春の私立大(4年制)の
地域別定員充足率
学校法人の現状
2007年度の「大学全入時代」を
迎えて私立大学の定員割れが深
刻な状況となっています。(右図ご
参照)専門学校や予備校にしても
18歳人口の減少は入学生徒数の
絶対数が減少することになり、学
校法人は従来の経営をそのまま
継続することが非常に困難になっ
てきている。
山口県の萩国際大学が定員割れ
による経営破たんに至ったことが
象徴するように、収入のほとんど
を授業料に依存する大学や学校
法人は若年人口の減少が外部環
境変化として不可避のものとなる。
この環境変化への対応のための
経営再建・法人再編などの学校法
人の再生が今後は増加することと
思われる。
北
海
東
大学数
定員充足
率
前年比増
減
道
23
101.80
0.75
北
29
110.16
0.40
北
関
東
22
101.26
▲1.56
南
関
東
69
114.01
▲2.33
京
105
114.26
▲0.32
越
20
104.9
▲1.84
北
陸
10
104.7
4.72
東
海
63
107.23
0.21
京 都 ・ 大 阪
66
113.01
▲1.17
近
畿
39
105.70
▲0.99
中
国
34
94.73
▲0.41
四
国
8
94.22
▲2.50
九
州
54
103.76
1.17
542
109.90
▲0.59
東
甲
信
計
<2005年7月26日日経記事より>
17
3.公企業の現状と問題点
その(4)学校法人について2
z
東北文化学園大が民事再生法を申請、大学経営法人で初の申請
z
千代田学園に都が異例措置、「解散命令」を検討
z
留学生不法就労問題の酒田短大、法人に初の解散命令
z
大学定員割れで初の再生法申請
大学開設時の虚偽申請や多額の債務が表面化して経営企業にに陥った学校法人「東北文化学園大
学」(仙台市)は、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。系列の法人を含む負債総額は約300
億円。同大は授業を継続し、大阪府で医療法人などを経営する藍野グループの資金支援を受け再
建を目指す。(2004年6月22日日経記事)
乱脈経営の末、元理事長らが背任容疑で逮捕され、学校法人として全国初の民事再生手続きが行
われた「千代田学園」に対し、東京都私学部が「再生認可時の条件を守らず、学校教育法の設置基
準にも違反している」として法人を解散させる命令を検討していることが分かった。(2004年7月7日
東京新聞記事)専門学校経営の学校法人「千代田学園」に対し、都は「土地や校舎が売却されており、
学校としての実体がない」として法人の解散命令を命じた。(2004年12月18日産経記事)
多数の中国人留学生の不法就労問題で経営難に陥り、事実上の閉鎖状態にある酒田短期大学を経
営する学校法人「瑞穂学園」に対し、文部科学省は解散命令を出す方針を固めた。同省が学校法人
に解散命令を出すのは初めて。(2004年7月14日日経・産経記事)
定員割れで経営難に陥った大学としては初めて、山口県の4年制大学、萩国際大が民事再生法の
適用を東京地裁に申請することが明らかになった。1999年の開校以来定員割れが続いており、負
債総額は30数億円とみられる。(2005年6月20日日経記事)
18
3.公企業の現状と問題点
その(4)学校法人について3
学校法人経営の問題点
z
私立学校法の改正、国立大学法人法
・理事会・理事長の権限の明確化
・学長の権限の強化
・大学淘汰の時代における経営責任の明確化と迅速な社会環境変化への対応
z
学校法人会計基準の一部を改正する省令(平成17年3月31日)
・基本金取り崩し要件の緩和(活動の一部又は全部を廃止した場合、経営の合理化など)
・計算書類の末尾に記載する注記事項の追加(引当金や保有有価証券の時価など)
・企業経営手法の導入による大学経営能力の強化の必要性
z
特区など新たな学校法人のあり方に関する試み
・小泉首相の総合規制改革会議における特区での学校経営の株式会社参入承認
・経済活性化戦略のうち、「地域力戦略」における公的サービスの民間への開放
z
学校法人再編手法の整備
・大学の経営破綻の増加懸念に対する文部科学省の対応スキーム
(①従来通りの学生募集の停止と閉校、②破産法に基づく清算、③私的整理(特定調停など)、④民
事再生法の申請、⑤事業悪化前の大学同士の統合(救済合併)
・経営不振大学の米国大学への身売り相談
・銀行の学校法人経営再生への取り組みなど
19
3.公企業の現状と問題点
その(4)学校法人について4
最近の学校関連M&A事例一覧
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
1994/12/16
1995/10/3
1996/1/19
1996/10/9
1996/12/2
1997/8/1
1997/8/29
1997/9/10
1999/9/21
1999/12/22
2000/1/28
2001/4/23
2002/9/25
2003/5/1
2003/12/9
2004/6/23
2006/11/20
(参考)
1999/10/27
1999/8/22
(学)鶏鳴塾予備校
鳥取県
あすなろ予備校
㈱栄光
東京都
TAP(エスエス製薬)
㈱全教研
福岡県
福陵館
㈱昴
鹿児島県
旭ゼミナール
㈱ジオス
東京都
セント・マークス国際カレッジ
㈱第一教研
大阪府
㈱学育社
㈱栄光
東京都
中央総合教育研究所
ベルリッツ(ベネッセコーポ) 岡山県 ELSエデュケーショナルサービス
㈱四谷アカデミー
東京都
修学社
㈱全教研
福岡県
佐世保進研予備校
(学)佐野学園
東京都
ILCP(日本信販)
㈱早稲田アカデミー
東京都
秀文社
㈱リソー教育
東京都
伸芽会
(学)河合塾
愛知県
日本情報学園
(学)東筑紫学園
福岡県
労働福祉事業団
(学)藍野学院
大阪府 (学)東北文化学園大学
(学)慶応義塾
東京都
(学)共立薬科大学
(学)鎌倉女子大学
(学)都築学園
神奈川県
福岡県
松竹大船撮影所
岩田屋本館・新館
合併
資本参加
買収
営業譲渡
買収
合併
買収
買収
資本参加
営業譲渡
営業譲渡
資本参加
買収
営業譲渡
営業譲渡
買収
合併
N.A.
47
100
N.A.
254
N.A.
177
11,300
870
15
10
200
600
N.A.
600
1200+
N.A.
規模拡大
規模拡大
地域戦略
地域戦略
海外進出
地域戦略
規模拡大
海外進出
業務提携
地域戦略
規模拡大
地域戦略
業務分野拡充
規模拡大(破綻先再生)
規模拡大
規模拡大(破綻先再生)
戦略提携
土地買収
施設買収
10,800
20,500
施設拡充
施設拡充
新聞記事より講師作成
20
3.公企業の現状と問題点
その(5)交通事業について
1.公営・三セク鉄道の経営は、沿
線開発の見込み違いや建設時の
過大投資のツケに苦戦している。
2.民営化や経営形態の変更など
が検討されているが、有効な解決
策が見当たらない現状にある。
3.公営バスの現状も厳しい状態で
あり、独立採算制の維持が困難な
ことから民間企業への移管が加速
している。しかし、民間企業の路線
バス経営も苦戦している状態で、地
方における交通事業全体を戦略的
に運営する新たな官民協力が求め
られている。
地方財政白書より
21
3.公企業の現状と問題点
その(5)交通事業について2
都市高速鉄道事業においては、経常損益は678億円の赤字[1,040億円の赤字]となっている。
また、累積欠損金は2兆832億円で、前年度と比べると15.1%減となっており、不良債務は925
億円で、前年度と比べると1.4%増となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字
事業数及び黒字・赤字額は、下表のとおりである。
地方財政白書より
22
3.公企業の現状と問題点
その(5)交通事業について3
バス事業においては、料金収入の減少等により、経常損益は65億円の赤字となっている。また、
累積欠損金は1,956億円で、前年度と比べると0.9%減となっており、不良債務は859億円で、
前年度と比べると8.2%減となっている。なお、純損益、経常損益における黒字・赤字事業数及
び黒字・赤字額は、下表のとおりである。
地方財政白書より
23
3.公企業の現状と問題点
その(5)交通事業について4
地方の交通事業の問題点
z 特別会計のガバナンス不備からくる鉄道事業等大規模投資事業における
計画性の欠如、バランスシート感覚の欠如
z 過去の過大債務への損失補償による債務整理の困難性、従って民営化
は非常に困難であることの基本的な認識欠如
z 住民にとって重要な生活インフラにも関わらず民間企業であっても採算面
から事業継続が不可能になりつつあり、補助金が無限大に膨らむ可能性
z 地域再生計画のなかでバス事業振興策などが取り上げられているが、
ファイナンスの重要性を理解していない可能性が高く、実効性のある計画が
作成されていない
24
B.公企業の再生実践と事例研究
25
4.公企業早期再生の必要性
・公企業の経営悪化による地方公共団体への財政負担が増大する
(出資者及び債権者としての側面、行政サービスの追加負担等)
・地方への税源移譲等の環境変化に伴い、行政の情報開示と説明責任が必要
・地方金融機関をはじめ関係者が複雑であり、それらへの連鎖を予防する必要がある
極力早い段階でのTurnaround
(事業再生、経営再建等)による
自治体負担の軽減
私的整理・法的整理
業績低迷(赤字がでる)
資本の部が実質的に毀損
(不良資産・過剰債務問題)
損益計算書の
問題
資金繰りに窮する
バランスシートの
問題
破綻
破綻
キャッシュフローの
問題
26
5.地方公社・第三セクター等の再生実践
第三セクターに関する指針の改定による指導
(平成15年12月)
<運営の指導監督>
<経営悪化時の対応>
監査
・みなし大会社としての会計監査
・外部監査制度の活用等
再建
・定期的な経営診断や専門家等の第三
者による監査の結果を踏まえ、適切な
経営努力の方策を講じるべき
点検評価(予備的診断)
・外部第三者による評価
(例) 県出資団体のあり方に関する
提言(長崎県出資団体あり方
検討委員会)
三重県外郭団体自立育成指導
事業調査報告書(朝日監査法人)
札幌市出資団体評価システム等
再建手法の選択
・原則として法的整理(会社更生法、民
事再生法等)又は「私的整理に関する
ガイドライン」の適用
・債務整理の際の過度な負担の回避
・首長をトップとする事業評価委員会など
アドバイザー制度の検討
・第三セクターの運営に関する指導監
督等を行なう地方公共団体に対するア
ドバイザー制度の検討
27
5.地方公社・第三セクター等の再生実践
第三セクターに関する指針の改定による指導
(平成15年12月)
公企業の財務・事業診断
公企業の再建具体策
1.目的適合性
事業の内容と設立目的の適合性
1.自治体無償融資
2.計画性
設立目的の各種計画への反映、実行の
適切性
3.営業譲渡、合併等(M&A)
3.経済性
事業の採算性、収益性、収支バランス等
5.事業収入支援
4.効率性
組織の管理運営における経営資源の
有効活用の度合
5.健全性
組織・人事・財務等の内部管理体制の
適切性及び外部の利害関係者との適切性
2.資産(土地)買収
4.自治体補助金交付、貸付、損失
補償等
6.会社更生、民事再生による再生
7.特定調停
8.私的整理
清算手続き
1.破産手続き
2.特別清算手続き
3.任意整理
4.清算手続き
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<参考資料1> 一般的な企業再生支援サービスのフロー
再生支援アドバイザー
会計
税務
フィナンシャル
アドバイザリー
マネジメント
コンサルティング
法律
ビジネス
パートナー
との連携
(9は特に関与大)
再生迄の多様な段階における全体の
窓口として一貫した支援を行う。
アドバイザーの役割
ビジネスパートナー
ファーム
(ファンクション)
Note:
充実のネットワーク
会計
税務
MC *
FA *
法律
再生対象企業
の精査
Phase 1
再生プラン・スキーム
策定支援
Phase 2
財務・税務・事業・システム等
様々な観点から再生対象企
業の実態を正確に把握
MC=マネジメントコンサルティング, FA=フィナンシャルアドバイザリー
9
9
9
9
9
Phase 3
再生プラン
実行支援
Phase4
再生手段としてのM&A、事業・
資産売却等の財務リストラクチャリング
をサポート
精査を踏まえた上で、利害関係のない
第三者として、説得力のある再建計画
策定を支援
9
9
9
ディール
実行支援
コスト削減・業務プロセスの
再構築等、事業リストラクチャリング
の達成を強力にサポート
9
9
9
9
9
29
<参考資料2> 第三セクター等の再生プロセス
地方公共団体
1.調査依頼
4.調査結果に基づく
方針の提案、指示等
アドバイザー
3.調査結果報告
経営改善方針決定支援
5.支援依頼
アドバイザー
2.調査実施
① 事業診断
(ビジネスデューデリジェンス)
② 財務内容調査
(財務デューデリジェンス)
③ 法務内容調査
(リーガルデューデリジェンス)
対象法人
(三セク等)
6.経営改善計画策定支援
清算等の整理実行支援
① 経営改善計画の立案支援
② 撤退整理業務支援 等
<再生・撤退支援フェーズ>
<事業診断・資産評価フェーズ>
30
<参考資料3> 三セクの再生プロセス総定例
事業の存続が危うくなった三セク等の会社建て直しのプロセスは、あたかも人が医者の診断を
受け、処方箋をもらい、治療を行ってリハビリに向かうというプロセスに似ている。
三セクの施設経営主体が破綻必至となった場合の再生プロセス想定例
経営会議
経緯診断
行政評価
経営会議
再スタート
議会承認
事業診断
処方箋
治療
事業評価
事業再建計画策定
新事業者決定
z 過去のプロジェ z 事業の存続可能性
クト経緯を検証 診断
し、また今後の z 市の二次損失リス
クの見積もり
事業維持の観
点から、市によ
る施設買取の
必要性につい
て診断する
z 負債の整理をどう
行なうのか?
z 経営新体制はどう
するのか?
z 賃貸、売却等の選
択は?
z 今後の市の関与、
責任はどうなる?
z 実現可能な事業再
生計画の策定
リハビリ
モニタリング
z 新規事業者の募集 z 包括外部監査等
、選定、契約等の z キャッシュフローモニタ
支援
リング支援等
31
<参考資料4> 三セク事業再生計画策定手順例
事業継続が困難と思われた時点で早急に対応する部分
Phase1
Phase 3
Phase2
事業・財務状況の
事業・財務状況の
精査・検証
精査・検証
事業再建計画と事業再構築スキームの策定
事業再建計画と事業再構築スキームの策定
Phase 4
事業再建計画
事業再建計画
実行支援
実行支援
施設売却
又は賃貸
①財務DD
④事業継続のための資産・負債・資本検討
リファイナンス
①資産DD
③市の施設買取
判断材料のご提供
②事業計画
の検証
③契約内容に
ついてのDD
(弁護士の補佐)
⑤事業再建計画・アクションプランの策定
⑥事業再構築
スキーム
及び
事業再建計画
新SPC
事業者選定
事業委託契約
モニタリング
32
<参考資料5> 三セク事業再生のためのデューデリジェンス
デューデリジェンス(財務・税務・ビジネス・IT・環境・人事)
限られた時間の中で、最も戦略的に重要な問題にフォーカスし、集中的かつ効率的なデューデリジェンスを行う必
要があります。この過程で、各事業の現在および将来を分析することにより、将来性のある事業、および隠れた不
採算事業等を明確にすると同時に、再建プラン策定/検証に繋がるイシュー(不稼動資産、削減可能なコスト等)
の洗い出しを行います。
市場・
事業
システム・環境・人事
デューデリジェンス
‹
‹
‹
システムの効率性・有効性の評価
環境関連(土壌汚染等)リスク評価
人事制度・人件費項目のレビュー
ビジネスデューデリジェンス
‹
ファイナンシャル
デューデリジェンス
‹
‹
‹
‹
不良資産の存在
簿外負債の有無
履行可能性の高い保証債務
顧客の集中度
追徴課税される可能性
過 去
‹
‹
外部環境分析(業界・競合・顧客等)
事業毎の収益の源泉を把握
組織・業務プロセスの実態把握
経営者の資質
企業再生を
目的とする
デューデリで
は、最も重
要な視点
財務
‹
‹
現 在
将 来
33
6.地方公企業再生の事例研究
第三セクターの債務整理事例
地域
対象企業
再生手法
(依頼時期)
東京都
臨海関連
三セク3社
大阪市
大阪ワールドト
レードセンター
等3社
福岡市
株式会社サン・ 民事再生法申請
(05年9月)
ピア博多
民事再生法申請
(06年5月)
特定調停
(03年6月)
負債総額又は
債務超過額(億円)
3,400
580
(申立時債務超過額)
39
結果又は現状
・金融機関に約2,050億円の債権
放棄要請
・都が98年に行った無利子融資
のうち100億円を放棄
・資本金546億円(都の出資は2
81億円)の100%減資、その後
都は底地を現物出資
・三セク3社は合併、持株会社を
設立し、他の三セクを併合予定
・大阪地裁の調停案は金融機関
に2,064億円のうち926億円の債
権放棄を求める一方市に対して
追加出資など約470億円の負担
と損失補償を要請
・再生計画案を策定、平成18年
1月に裁判所に提出
新聞記事より抜粋
34
6.地方公企業再生の事例研究
住宅供給公社の債務整理事例
地域
北海道
負債総額
(億円)
1,339
申立時期
03年6月
再生スキーム
(調停成立時期)
特定調停
(04年2月)
債権放棄・損失補償等
(億円)
金融機関債権放棄 452
道損失補償 228
金融機関債権放棄 63.8
長崎県
308
03年10月
特定調停
(05年2月予定)
県債権放棄 25.7
県低利融資 57
金融機関債権放棄 321
千葉県
911
04年2月
特定調停
(05年1月)
県債権劣後化 47
県低利融資 300
新聞記事より抜粋
35
6.地方公企業再生の事例研究
病院の再生スキーム想定例
(ポイント)
・病院とコンサルタントが再生計画
を策定したうえで、銀行から債権
を適正時価で購入
・ファンドは不動産を医療法人から
買取、リースバックする
・コンサルタント会社がファンドから
アセットマネジメントを受託し
同時に病院のキャッシュフローの
モニタリングを行う
・病院の場合にはエクイティの所有
者が存在しないために、債権と不
動産資産によるガバナンスの整備
が重要となっている
①債権売却
銀行
②不動産譲渡
医療機関
総合支援ファンド
病院土地・建物
④アセット・
マネジメント契約
③賃貸契約
医療法人社団
YK会
医療機関
経営サポート
コンサルタント
⑤経営支援、モニタリング
36
6.地方公企業再生の事例研究
交通事業の再生事例
z
埼玉県高速鉄道株式会社
z
東京地下鉄と埼玉県、川口市、浦和市(現さいたま市)、鳩ヶ谷市の三セク。2500億円
の累積投資があるが営業収入が当初計画比で半分以下。県北部への延伸による需要
拡大で黒字転換を計画するが県と沿線3市の300億円にのぼる財政支援が必要。更
に銀行からの延伸費用調達の目処もたっていない。(2003年報道)
z
長野県の三セク鉄道である「しなの鉄道」の再建(黒字転換)に成功した杉野正氏を社
長として招聘、「改革プラン」を発表して経営再建に乗り出す。プランの中心はコスト削
減と増収策。1500億円に上る有利子負債とそれに伴う利払い費が赤字部分の大半を
占める「構造的問題」の改革は第二弾のプランとなる。(2004年報道)
(1)コスト削減策 − 人員カット、給与見直し、仕入れ・保守管理等の契約改定、経費
見直し、ダイヤ改正など
(2)増収策 − 駅の遊休スペース活用、旅行業への進出、東横線・みなとみらい線へ
の乗り入れ、広告媒体の開拓、埼玉スタジアムとの連携など
z
2005年3月総務省の「地下鉄事業経営健全化対策」の支援団体指定により、地方債
を発行して出資(約193億円)及び補助(約67億円)を受ける。この条件として、自らの
徹底的な経営健全化努力及び地方公共団体による経営健全化支援の実施による単年
度資金不足の抑制又は防止が必要。
37
C.公企業再生の将来展望
38
7.地方財政からみる公企業再生と課題
„自治体財政は過去最悪の状態
„三位一体改革で地方交付税の削減警戒
„地方債公募化の動きのなかで投資家の
関心は、自治体関連団体の隠れ債務や含
み損に敏感(公債費負担比率には一般会
計のみが用いられているが、特別会計の
費用を含めた実質公債費比率が注目され
ている。)
„公企業の再生処理について各自治体で
統廃合を含めた見直しが行われているが、
処理方法を誤ると自治体の財政政策に大
きな影響を及ぼす恐れがある
„従って、迅速かつ抜本的な改革(債務の
整理)を行えるかが問題である
地方財政白書より
39
8.公企業再生への新たな試み
病院事業再生における様々な取り組み
1.自己経営改善
・香川県坂出市立病院の改革
・岡山市3つの市立病院の経営を「病院事業管理者」に集約
・福岡県「県立病院改革小委員会」で民営化を提言
2.資金調達手法の多様化
・病院債の発行等金融機関の取り組み
(1)河北総合病院とみずほ銀行(05年8月)
(2)新生銀行が病院診療報酬債権流動化プログラム開発(04年11月)
・PFIの導入
(1)高知医療センター
(2)近江八幡市民病院整備運営事業
3.病院再生投資ファンド
・あおぞら銀行の病院再生ファンド構想
・AIPジャパン(医療機関総合支援ファンド)と再生支援アドバイザー
40
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