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温室効果ガス亜酸化窒素の 効率的除去・再資源化
温室効果ガス亜酸化窒素の 効率的除去・再資源化 安田昌弘 (大阪府立大学 大学院 工学研究科 准教授) コーディネータ: 亀井政之 (大阪府立大学 地域連携研究機構 リエゾンオフィス 統括コーディネーター ) 平成26年11月27日 1 窒素酸化物とは? NOX:一酸化窒素と二酸化窒素 NO N2O NO2 N2O3 N2O4 N2O5 N2O2 内燃機関や燃焼プロセスの排ガス 化学工場などのオフガス 人体に有害 酸性雨や光化学スモッグの原因 窒素酸化物の酸化数 0 +1 +2 +3 N2 N2O NO HNO2 +4 +5 NO2 HNO3 ・酸化数の最も小さな窒素酸化物 ・一酸化炭素と同じく支燃性 ・筋肉弛緩(麻酔効果) ・ニトログリセリンの心筋効果の主成分・筋肉緊 3 張(バイア○ラの有効成分) 亜酸化窒素 N2O:一酸化二窒素とも言う 2N 2O 2N 2+O2 300o C以上 空気の代わりに用いると燃焼効率を 上げることができる(NOS®システム) 大気中の寿命は炭酸ガ スに比べて非常に長く、 温室効果も炭酸ガスの 310倍に昇る。 笑気ガスとして知られ、全身麻酔に 用いられる。副作用が起こらず、鎮 痛効果が高い 安定で腐食性がなく、プラズマ等で 半導体製造に用いられる 4 亜酸化窒素の特性 無色の気体 融点 ‒90.8oCと沸点 ‒ 88.5oC 密度 1.91 g/dm3(0oC,1 atm) 1Lの水に0.5962 L溶ける。(25℃) Henry定数 4000 kPa・L/mol(J.Chem.Eng.Data 1994, 39, 817-822) エタノール,エーテル,硫酸に溶解 約500℃に熱すると窒素と酸素とに分解し、 アルカリ金属や多くの有機化合物と反応 5 亜酸化窒素の発生源 ①化学プロセス 合成反応の副産物として ②医療利用後のオフガス ③燃焼系排ガス 酸素不足下での燃焼反応 ④生物代謝 下水処理場などの嫌気処理 低濃度大量であるため回収コストがかかり、用途も限られて いることから、処理が進んでいない。 炭酸ガス排出量×温室効果300倍<亜酸化窒素の発生量 6 従来技術 乾式プロセス 1) 亜酸化窒素は自燃するため燃やして熱回収 問題点: 高濃度でないと意味が無い,NOxが発生する 2) 触媒を用いた分解 問題点: 高価な金属触媒が必要 湿式プロセス 1) 生物化学処理 問題点: 大きな処理施設が必要、水に溶解させる必要あり 2) ゼオライトを用いた亜酸化窒素吸着 亜酸化窒素を回収し、リサイクル できれば環境調和型ゼロエミッションプロセス 亜酸化窒素を他の物質に分解したりするだけでエネルギーがかかるのなら、その まま精製して再利用した方が良いと思われる。 7 硫酸や有機溶媒等を吸収液として用い た亜酸化窒素吸収装置 利点 高効率で亜酸化窒素を吸収 N Oガス させ、熱により放散 2 他の窒素酸化物も除去 亜酸化窒素の水への溶解度は約0.6 L/L-water 吸収液 処理ガス 亜酸化窒素溶解液 吸収装置の課題 低濃度の窒素酸化物を吸収する際、 濃度が低いため 高濃度に濃縮できない 実際の排ガスを処理するには装置1つ当たりの処理能 力が低く、スケールアップが困難 圧力を上げた方が溶解度が高くなるが、コスト高 吸収装置 例えば高流速で流すと (20 m3/hr) 接触時間 8 sec 2000ppm→1700ppm 接触時間を長くしないといけない NOxガス吸収装置の能力 処理能力 10~20[㎥/h] 除去率 60~95% フィルター1つ当り →大量のガスを圧力損失を少なく、簡便に処理、濃縮できる プロセスが必要 窒素酸化物の濃縮プロセスの提案 工場、燃焼プロセス など ガス吸着塔 ゼ オ ラ イ ト 脱着ガス 濃度:低 ガス流量 :大 浄化ガス ゼオライトとは 結晶構造に0.1 nmオーダーの細孔が存在 ケイ酸塩、アルミニウムから成る結晶 成分、結晶構造等の違いで多種多様 医療用途や 燃焼助剤とし ての利用 参考:吸収装置写真 11 吸着装置 吸着剤充填層 NOガスボンベ ガラス 球充填 層 混合槽 空気ポンプ 吸着塔 計測器 出口 入口 12 13 吸着剤のスクリーニング ●17検体(種々のゼオライト) ●実験条件: 亜酸化窒素の濃度:103~113 [ppm] ゼオライト吸着塔を60 mmΦのプラスチック製吸着塔に約50 g いれ、6 L/minの流量にて、終末点を入り口濃度の90%として破 過時間と吸着量を測定 120 吸着剤B 濃度 [ppm] 100 吸着量: 最高で6.18×10-4g-N2O/gゼオライトと依然低い 吸着剤C 80 吸着剤A 60 40 20 0 0 500 1000 1500 2000 時間 [s] 2500 3000 3500 4000 14 亜酸化窒素の吸脱着 大気圧下、常温で低濃度N2Oに対して吸着 速度が速いものの、 亜酸化窒素吸着量が 0.0006 g-N2O/g-担体 亜酸化窒素に金属を担持するとN2Oの吸着 量が向上する 処理ガス量を2~20 L/minと変化させても吸 着量は変化せず 300oCにて加熱すると完全に脱着し、450oC にて強熱すると窒素と水蒸気に分解 NOx存在下での吸着 800 NOxを10%含む700ppm の亜酸化窒素ガスを処理 700 濃度 [ppm] 600 亜酸化窒素を選択的に除 去 500 400 300 200 100 0 0 200 400 600 800 時間 [s] 1000 1200 1400 亜酸化窒素吸着の課題 亜酸化窒素吸着量を最高で0.002 gN2O/g-担体とできるものの、実用化に 向けて、金属の担持量を上げて吸着量 の向上を図る 亜酸化窒素の用途展開を考え、資源 循環に向けた取り組みが必要 企業への期待 亜酸化窒素の新しい用途も踏まえて一 緒に研究 亜酸化窒素の排出量の経時変化や他 の窒素酸化物の夾雑など、対処法が 多岐にわたるため、排出源の実情を一 緒に研究 亜酸化窒素の熱源としての利用 本技術に関連する知的財産権 発明の名称:NOxを含有する被処理ガスの脱硝方法 出願番号 :特願2011-137278 発明者 :藤田富雄、長尾仁、山内四郎、 安田昌弘(大阪府立大学)、浅野秀昭 発明の名称:脱硝方法及び脱硝装置 出願番号 :特願2013-123703 発明者 :安田昌弘(大阪府立大学)、浅野秀昭 など この他、2件の特許を出願または出願中 19 お問い合わせ先 公立大学法人 大阪府立大学 大学院 工学研究科 物質化学系専攻化学工学分野 准教授 安田昌弘 TEL: 072-254-9299 FAX: 072-254-9911 E-mail: [email protected] 関連HP:http://www.chemeng.osakafuu.ac.jp/student_company/chemical_reaction.html 地域連携研究機構 リエゾンオフィス 統括コーディネーター 亀井 政之 TEL: 072-254-9872 FAX: 072-254-7475 E-mail: [email protected] 20