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レスポンスチェッカー レスポンスチェッカーRC
レスポンスチェッカーRC レスポンスチェッカーRCRC-1 によるオーディオシステムの測定 1.序文 (株)日本オーディオの加銅氏のご好意により、同社製のレスポンスチェッ カー RC-1(以下”RC-1”と省略する)を使ってみる栄誉に恵まれたので、 その感想を記す。これはオーディオ用のいわゆるトーン・ジェネゼネレータ ーとオッシログラフに相当する記録計、マイクロフォン等の必要なもの一式 を非常にコンパクトにまとめたものである。通常これらのものを別々に買っ て、使いこなそうとすると数十万円の費用がかかり、ある程度の専門的な知識が無いと使いこ なせない。それに対して RC-1 はオールインワンで128,000円、アマチアにはちょっと 高いがプロにとっては安いものでる。今回の私の経験では説明書を2-3分間斜めに読んで早 速対象のオーディオ装置に CD を入れて、RC-1 本体の電源の SW を入れたら、1-2分後にもう 下図1のようなチャートが出てきた。 昔々オッシロぐらいは使ったことがあるが(ただ し趣味のオーディオではなく、分析機械のチェッ クの為)、かなり説明書と首っ引きで試行錯誤繰 り返さないと、まともな測定できないと覚悟して いたがいきなり綺麗なチャート図1が出てきた のにはビックリした。 ――図1―― ちなみに使用したオーディオ装置は一ヶ月ほど前に買ったもので: 1. CD プレーヤー: CD17Da(マランツ) 2. DA コンバーター:DA-2000(日本オーディオ、定価¥680,000) 3. プリアンプ: SS-500G(日本オーディオ) 4. アンプ;25W+25W、OTL アンプ(日本オーディオ、定価350,000円)片チ ャンネルあたりウエスチングハウスのテレビの水平出力管26LW6を4使用、低インピ ーダンスの OTL としては小さめにまとまっているが、トランジスターアンプとは外見も 存在感が違う 5. アンプ:L-501s(ラックスマン) 6. スピーカー:スターリング(タンノイ) 7. オンキョーミニコンポ FR−7(s) 2−4までは日本オーディオからお借りしたもので、本来の私の所有するアンプは L-501s で ある。 建物の構造:ALC 壁構造の 9 畳の居間と 6 畳のダイニングが1.8mの開口部でつながって 建物の構造 いて、更に直角に位置に 3 畳の台所が1.2mの開口部でつながっている。リスニングポジシ ョンはスピーカーから約2.5m。 余談はこの位にして、この RC-1 はライン入力とマイクロフォン入力の2種の方法で測定でき、 他に残響時間も測定できる。 2.ライン入力による測定 ライン入力には 0.3、1、3V の3つのレンジがあって、通常のオーディオの、例えば CD プ レーヤー、プリアンプ、メインアンプの特性を計るにはこれで十分と思うが、特殊な目的の場 合は、プリアンプかアッテネーターを用意すると良い。測定のやり方は至って簡単で。測定し たい対象に入力コードをつないで、レンジを暗算で合わせて、付属の CD のピュア−トーン(サ インウエーブ)を再生すれば、測定開始のトリガートーンも入っているので、自動的に測定を 開始して、1分後に測定結果がプリントアウトされる。 右の図2はどこかで見たような曲線と直ぐお気づき と思うが、ラウドネスコントロールをオンにした時 のメインアンプの出力をスピーカー端子から取った ものである。 ――図2―― 下の図3は上から CD プレヤ−(CD17Da)の出力とメインアンプ(L-501s)の出力である。 最近のものは余りにも平ら過ぎてちょっとコメントの書きようが無いので困る。 ― ――図3―― 3.マイクロフォン入力による測定 これをやるにはまず、上記の“2.ライン入力による測定 2.ライン入力による測定”を先にやって電気系に異常がない 2.ライン入力による測定 事を確認しておくことをお勧めする。実を言うと私も近道と思っていきなりマイクロフォン入 力による測定からはじめて、低音と高音が6DB 前後持ち上がっていてまる1日首を捻ったが、 良く見てみたらトーンコントロールがオンになっていたと言うのが先に示した図2である。 測定のやり方はライン入力による測定と同様に非常に簡単で、異なるのは入力に付属のマイク ロフォンを使うことと、ピュアトーンの代わりにワーブルトーン(ピンクノイズ)を使うだけ である。これにもレンジが3段あるが私は真中の80DB を使った。 (マイクロフォンによる測 定にピュア−トーンを使うと反射をまともに拾って、ぎざぎざの測定結果になる) 4.測定距離を変えた場合とバスレフポートの測定 ――図4―― 50cm 1.0m 2.5m バスレフポート 図 4 の左上から50cmではスピーカーからの直接音、左下の図1mでは周りの反射を拾っ て220Hz にディップができている、右上の図2.5mはリスニングポジションで500Hz あたりに少しディップがあるが100Hz 以下の低域を除けば、±3∼6DB に収まっていて、 平らな方か。100Hz 以下の低域の盛り上がりは、良く低音が出ているねという程度で不快 感は無い。右下の図はバスレフポートから30cmの距離で計ったもの、バルレフポートから の低音がその上の2.5mの位置での低域の盛り上がりにつながっているのが良く判る。 下の図5は4mはなれた隣の部屋のダイニングで 測定したもの、これが一番フラットで50cmの 位置とほぼ同じである。やはりスターリングはサ ロンスピーカーでダイニングで美味しいワインを 飲みながらターフェルムジークでも聞くと一番似 合うスピーカーか。 ――図5―― 5.部屋の残響の測定 これを測定するには、音源として CD の代わりに RC-1 の Tone Generator を使用する。LC-1 の Out Put 端子を付属の RCA ピンケーブルを使ってアンプの Line In に接続します。他の 測定が方チャンネルだけで行ったのに対し、L、R の選択は L+R で行いました。スピーカー を破損しないように、RC-1 およびアンプのボルームは絞った状態から、Input Level 緑色の ランプが適正を示すまで徐々に上げて行きます。緑色のランプがついたら Start SW を押す と測定が始まり、125Hz から8KHz まで測定毎に順番に下図 7 左のような 7 枚プリントア ウトされます。それをマニュアルのしたがって整理したものが右の図8です。我が家の場合何 れの周波数でも0.3∼0.4秒で平均的なデッドな日本の家屋といってよいのだろうか。 ――図7―― ――図 8―― 6.トランジスターアンプと真空管 OTL ア の比較 ンプ OTL の比 較 右の図9がスピーカー出力端子での比較である。 TR アンプは全くフラットなのに対し、OTL アン プは高域に行くにしたがって僅かだがだらだらと 下がっている。この違いはフィ−ドバック量の違 いによるものか、これが聴感に影響するか、もっ と研究してみないとわからない。 ――図9―― 右の図10は2.5mの位置からマイクロフォンで 測定したもの。殆ど同じといってしまったほうがよ いのか。この OTL アンプは300B シングルの柔 らかい丸みのある音とは異なり大変歯切れが良い。 スターリングでの聴感では、TR アンプに比べて OTL アンプの方が音がしっとり落ち着いていてか つ歯切れが良い。これが出力の F 特と関係あるかど うかは今回の実験では結論を出せない。 ――10―― 右の図11は OTL アンプにノーチラス805 ノーチラス805を ノーチラス805 つないだときのスピーカー端子の出力と1mの 距離での音圧だが、どう言うわけか右下がりに なっている、この影響の為か音圧レベルも同じ ような右下がりになっているが、こんな小さな スピーカーで35Hz からきっちり出ていて、高 域も20000Hz 出ているとはさすが立派なものである。 ――図11―― ノーチラス805がつや OTL アンプでは、今まで何をつないでもなかなかまとまらなかったノーチラス805 ノーチラス805 やかで、しっとり落ち着いて、しかも力強い音でなり、したがって安心して聞ける。 この OTL アンプはチャンネル当たり25W と見かけ上の出力はトランジスターアンプに比べ て数分の一しかないが、スターリンでもノーチラスでもフルオーケーストラまたはオルガン曲 を大音量で鳴らしてもパワー不足は感じない。おなじ20W クラスの FR-7 ではかなりパワー 不足が気になるが、同じ出力でも真空管アンプとトランジスターでは異なるのか。 7.その他気のついたこと z マイクは本体に直付けするよりも、付属のアダプターで三脚に取り付けて、同じく付属の ケーブルでつないだほうが、マイクの場所・高さが自由になるので使いやすい。 z 欲張ると USB 接続でパソコンにデータを取り込むことができるとデータの整理に便利だ が。 8.後記 このレスポンスチェッカーLC-1 は大変な優れもので、全く何の熟練も無しに誰でも直ぐに使 えて、しかも z アンプ、CD プレーヤー等の電気系のチェク z スピーカーのチェック z 部屋の残響時間の測定 z 上記を合わせたオーディオシステム全体の測定 と1台で3役をこなし、価格はわずか128,000円と安い。 (アマチアには高いが、機能 から見て他の測定器に比べると) プロのオーディオ評論家は当然、オーディオショップ、投稿するオーディオファン(個人で買 うには高いのでグループで)ぜひ備えて欲しい物である。私の持論はオーディオは鳴らすとこ ろまでは発明者であるエジソンに敬意と感謝の念をこめてサイエンス&テクノロジーの世界、 鳴り出したらすばらしい音楽を提供してくれた作曲家と演奏家に感謝してアートの世界、こう で無いと困る。オーディオの製作なり、設定はあくまで科学的なデータに基づき行い。しかる 後に聴感に基づき微調整やるべきものではないか。科学的な前段を省略すると分けの判らない ことになる。この前段の目的の為にはこの RC-1 は大変使いやすく、価格も比較的安く、非常 に有用なツールである。 9.おまけとしてミニコンポの測定(オンキョーFR 9.おまけとしてミニコンポの測定(オンキョーFRFR-7s) オンキョーのミニコンポ FR−7を参考の為に 測定してみたが、SP 端子で下の図12の通り± 0.5DB 以内に収まっていて殆ど完全にフラッ トであって、値段の割には大変優秀なアンプで ある。聴いていると高級アンプに比べれば若干 ぎすぎすし、フォルテが潰れているような気がするが。 ――図12―― スターリングは効率が高いほうではないので(91DB) 、効率が高いスピーカーならもっと良 いかもしれない。 FR-7 のスピーカー部の測定結果を右図13に示 すが、このスピーカーはおとなしいが、なんとな く音が沈んで前へでてこない、バイオリンの低音 部が鳴らない。測定結果を見るとこのくらい違う と F 特と聴感が一致してくる。間違いなく音が 沈んで前出てこないのは中音部の大きなディッ プの為である。今まで S. Bass on、TC を+4DB で聴いていたが、これでかなりは良くなりこのク ラスで40Hz から出ているのは立派なものか。 高音部は非常に綺麗だが、ウーハ−の出来が余り 良くない。折角 CD プレーヤー、アンプ、ツイー ターまで良いものを作ったのだからウーハ−に もう一工夫あって欲しい。そうすれば業界をダン トツでブッちぎる素晴らしいなミニコンポにな る。 ――図13―― オンキョーは外見から判断するとツイーターはほぼ共通、ウーハー、キャビネット、ネットワ ークを変えて色んな機種を作っていて、これはその中の最廉価版。以前からやろうと思ってい たが、ウーハ−だけ別のユニットに交換してテストしてみたい。