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今日は,みなさんに絵を紹介します。
11月全校集会_校長講話 今日は,みなさんに絵を紹介します。 花の絵ですね。とてもきれいですね。こんな絵もあります。 この絵を描いた人は, 「星野富弘」さんといいます。知っている人は手をあげてください。知らなかった人 は手をあげてください。 さて,こんな素敵な絵を,星野さんは「どのようにして」描いたのでしょう。 実は,星野さんは,口に絵筆を咥えて絵を描いたのです。手ではありません。 星野さんは,首から下の身体を動かすことができません。24才の時に,頸髄損傷という大きな怪我をし て身体を動かすことができなくなったのです。長い入院生活を送りました。 星野さんは中学校の体育の先生でした。小さいころから体を動かすことが大好きで,運動神経が良く,ス ポーツ万能の人でした。小さかった頃からなりたかった体育の先生になって,毎日生徒と一緒に元気に仕 事をしていましたが,ある時,部活動の指導中,器械運動の演技をしていて,怪我をしてしまったのです。 それまで,身体を動かして運動をすることが何より大好きだったのに,その時を境に,手も足も,身体も 全く動かすことができなくなりました。それまで当り前にできていたことが,全くできなくなってしまっ たのです。運動はもちろん,一人で歩いたりご飯を食べたりすることも,トイレへ行くことも,なにもか もです。本当につらくて,そして,悲しいことだったと思います。星野さん自身も,そのときは生きてい く目標もなくしてしまったと,あとになって言っています。 そんな星野さんでしたが,病院で一日中ベッドの中で寝ていたときに,枕元にあった一輪の「花」に心を ひかれます。元気だったときには,あまり気にかけてじっくりと眺めることもなかった道端に咲いている 花の美しさにも,目が留まるようになったと言っています。 そして,つらくて何もする気が出なかった星野さんが,口に絵筆を咥えて,絵を描くようになったのです。 最初は,うまく筆を動かすことができなかったり長い間口に咥えていたりすることができませんでした。 線を引くのでさえ,何時間もかかったといいます。でも,星野さんは,あきらめずに口を使って,絵を描 き続けました。 今まで気付かずに過ごしていた,自分の周りにあった小さな花の美しさを,どうしても絵に描き表わしか ったのだと校長先生は思います。 そして,やがて,手を全く使わずに,こんな綺麗で素敵な絵を,描くことができるようになったのです。 星野さんは,こんな風に言っています。 「手や足が使えなくなって,できなくなったことはたくさんありますが,できるようになったことも たくさんあります。絵を描いたり,詩を書くようになったのもその一つです」 「身体は動かすことができなくなりました。不自由になりました。でもこの不自由が,私に花の美し さを教えてくれました」 この絵にはこんな詩が添えられています。 「この花はこの草にしか咲かない」 「そうだ私にしかできないことがあるんだ」 とてもとてもつらい出来事があったのに, 「自分にしかできないこと」を見付けた。そして,自分にしかで きないことを増やそうと,前向きに一生懸命に努力した。 星野さんはそんな人なのだと,校長先生は思います。 今日は星野富弘さんのお話をしました。 9月にお話しした「自分を伸ばすこと」 。 この後も, 「自分を伸ばす」2学期にしていきましょう。そして, 「自分にしかできないこと」を見付ける ことができると,素敵ですね。