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学位・論文って何(芸大生への説明Powerpointから)?

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学位・論文って何(芸大生への説明Powerpointから)?
自然科学は、自分で実践(実験)をおこなうが、
人文学は、他人のテキストを対象にし、
しゃかい(科)学は、実践に対する調査を対象にする。
むろん混じっているものや実践者と研究者の二足のわらじを履く場合もある。
政治学者が政治家になることも、作家が文学を研究したりその逆
をしたり…
例えば、
U.エコは、「バラの名前」で有名だが、イタリアの文学や記号論の学者が本業
「フィデルマ」シリーズのP.トレメインは、古代アイルランド伝承の研究者
芸術の学位は、芸術の実践ではなく、芸術の実践を外から見た研究に与えられ
る。
技術に対しては、「マイスター」[達人」「人間国宝」とかいった観点が、システムと
して正しい。
うちの大学の「学士と修士」はこの点で、システムに適合していない。
技術に対しては、「マイスター」[達人」「人間国宝」とかいった観点が、システムと
して正しい。
研究・論文って
研究・論文の最低レベル・常識を知る。
人文の論文の記号などは、斉藤孝参照
エーコのは、まず7章まとめから読む←訳は古臭いので、意味だけ取る。単語に
こだわらない。
読ませる文章
正しい日本語。
焦点の絞られた文章。
指導教員に推薦してもらう。輪読などが読み間違いを修正できるので良い。
書けばなんでもいいわけではない。
長い文章が論文ではない。
やれば研究ではない。
04/19/98
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根拠が、事実ではなく意見。
歴然たる事実(観察結果、実験結果、文献)
偶然の事実(個人的な経験、見かけの事実)
蓋然性の高い事実(記録、文献、伝承)
理性的な演繹(真理の枠組み、偏見)
誰かの見解(風聞、都市伝説、伝聞、多数意見、常識と呼ばれるもの)
自分の意見(個人の希望、偏見)
自然科学>>>>社会科学>>>人文科学 という順に根拠の客観性や確実
性が曖昧になる。
「感性」を対象にする学問も、努力によって上記の社会科学のレベルにできるが
...思想や文学では、「私が思うから、こうなると思う」という無根拠な自家撞着が
許されている。
調査には「ランダムな人」と「権威者・見る目のある人」を場面に応じて使い分け
る
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自然の本当のしくみは、決して知りえない。
ハイゼルベルグの不確実性、観測者問題、動物はしゃべらない
etc.
モデルを法則・理論と呼ぶ
一種の関数と考えて良い
何かに対して、決まった何かの反応を示す。
現象を説明し、予測を提供する。
自然が予測と同じ働きをするなら、
「しくみが本当は違ってていると拙い」とは考えない。
実情に合ってて便利ならそれでいい。
科学のモデルは反証(検証)可能でなければならない(例外を許す法則は無意
味)。
正しいことの証明はできない。
モデルは、それが打ち出す予測によって自身を確かめていくことになる。
これを他人に分かる形で確かにする(自分のアイデアが正しいこと)ことが実験
である。
事前の研究や体験
大学以降の実験に成功や失敗はない。「実験の成功・失敗」が言えるのは、前も
って結果を知っている時だけ。
実験の中で「何かの検出に失敗」することがあっても、実験自体は「この実験系
では検出できないことが分かった」という成功である。
1579-1644フランドルの錬金術師(医者・化学者)
ヤン・パブティスタ・ファン・ヘルモント(Jan Baptista van Helmont )
・自然発生実験(ハツカネズミは、小麦と汚れたシャツと油と牛乳から…)
・ガスの単語を作った。浸透の概念を確立
・植物は水からできてる実験 5年間柳を育てて、増えた重量を量った(約70kg
増えて、土は100g減った)。
・水が木の全てを作ったことを示した実験
・アリストテレスの四元素説やパラケルススの「三元素説(塩・イオ
ウ・水銀)」を批判していた。
・「水と空気の2要素、空気は様々な物質の物理的母体ではある
ものの、化学変化によって水が全てを作る」 というアイデアを示したかった。
つまり「小学校の朝顔の観察」は、研究という意味では、観察ではない。
たくさんの証拠で蓋然性の高さを示す。←自然科学や科学哲学から見ると明ら
かに方針が間違えているが...
強い根拠弱い根拠を分けて、強い根拠で証明していることにする。←この判別
自体が...
他人の意見を評価し、自分の意見を全ての研究中(全ての研究者、歴史etc.)
に位置づける
死ぬほど文献を読め!
指導者を利用せよ!
指導者は、グループのメンバーだから、そのグループの常識を知
っている
ソムリエ資格のようなもの、味覚・嗅覚や色の識別能力の検定もある。要はテレビ
でやってた「芸能人格付けチェック」みたいなもの。
一般人に分からない点を評価するには、「権威者・見る目のある人」に識別能力
が実在し、それが複数の評価者で共通することを示すことが正しい学問では絶
対必要。←宗教をやりたいなら…
共通の価値が、実際には教育や文化による幻想であることも多い点に注意!
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近代的な書き方では、
・材料法法が付録になっていたり
・結果と考察が渾然一体になっていたり。
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仮題名・仮概要と仮目次(本論の構成)を最初につくる←作れないときは、自分
のアイデアが固まってない
04/19/98
生物系だけでも、週に6000から1万の論文
目立つこと
内容が明確であること
何を研究したのか?
どういう結果を得たのか?
一般性を持たせすぎない。題名は、内容を正確に伝えることが一番大事なので、
必要十分な単語を使うようにする。一般性より具体性が大事。
「陶磁器の研究」<<<<<越えられない壁<「磁器の形態に関する研究」<「近代の
瀬戸磁器の形の研究」
↑どんな大著だっつーの。「アホ」「自意識過剰」「誇大妄想狂」と思われ
かねない。
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材料と方法は
会ったことの無い人間が、実験をもう一度やり直せるように書く
量・時間・操作の手順
対象は自分と同レベルを想定する
結果は
何がどの程度おきたのかわかるように書く
機械の測定値
コントロールとの比較(統計処理)
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無理に考察しない
・「何かがわかるかもしれない」では、何もいってないのと同じ。「こうなるはず」と
書かないと、仮説検証できない
科学は「反証可能性」を、それ以外は「検証可能性」を問題にする
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レビューだけで資料を済ませない!必ず一次文献に当たる。でないと都市伝説
や誤解・引用間違いをやらかしかねない。
新聞記事には、事実(時間と場所など)確認以外に価値はない。一次資料を探
す!
知っている合戦に価値を認めるような古い体質の分野(文学やその仲間)では、
亜流や二番煎じや怪しい資料も触れないと…
大抵の言語の論文で英語アブストラクトをつけるのは、それでないと無視されて
も文句が言えないから。
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他人に読んでもらう
non omnia possumus omnes
「あいまいな言語」を使って、「正しい伝達」はできない。
正しい伝達ができない言語は、長い歴史の中で滅びている。しょっちゅう誤解や
行き違いがあるようでは、社会が成立しない。
読んで分からない文章の理由
・(読者のレベルが低い)←これもあるが、考えないことにする
・簡潔な文章にできていない=著者、翻訳者が低脳
文章が絡まっている
単語・慣用句・言い回しが間違っている
言いたいことが書けていない(翻訳の場合、文意がとれてない)
・世界が違う
用語が普通の意味ではない(専門用語)
読者があやまった常識にとらわれている(ex、進化のしくみ、相対
論)
無自覚な習慣ができてる
言葉の置き換え
ミネラル【mineral】
・鉱物。無機物。
・栄養素として生理作用に必要な無機物の称。
ふつう無機塩類の形で摂取される。
V.原子量50.94,原子番号23の第一系列主遷移元素.生体内では+3価~+
5価の原子価をとりうる.ヒヨコやラットにおいて生元素であることが判明した.海
藻のブロムペルオキシダーゼ,藍藻やバクテリアのニトロゲナーゼの補欠分子
族.ホヤ類のなかには,バナジウム細胞(バナドサイト)中に海水の約1000万倍の
350mM濃度のバナジウムを濃縮,含有する種がある.しかしホヤにおけるバナ
ジウムの生理的な役割は不明(→生物濃縮).五価のバナジウムは燐酸化型
ATPアーゼを特異的に阻害する.糖尿病のラットにバナジウム化合物を投与す
ると血糖値が低下するが,詳細な作用機序は不明.
日本語として大丈夫か?
範囲が広すぎる単語を、その文専用に定義しても元の意味が強すぎて混乱の
元になる
「ガラス器具」「試験管」は良くない。「測定用容器」「旋光度測定器」などの
方が良い
「試薬」「溶液」は良くない、「試薬A」「緩衝液A」「PBS」は良い
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字面が「~なので、~である」になっていても、根拠と主張がひっくり返っていて
は馬鹿の文章になる。
行間を読むことを強制しない!
作者が論文にいつでもひっついて行けるわけではない!全ての読者の家に説
明しに行くのか?
自分の扱える範囲を超えない
・単語や言い回しは、正しく使えるものだけを使う。
辞書を引くだけではなく、ちゃんと用例も調べる。
・短い文で簡潔に書く。
長い複雑な構造では、間違いを犯しやすく、他人も誤読しやすい。
・あいまいな(伝聞、一般論)知識・理屈を使わない。
自分の理屈・知識になっていないものは、他人を動かせるほどの力にはならな
い。
・「性質」:何かが持つ、固有の振る舞いのこと。
「性質が違うので、旋光性が...」とやると、「性質が違うので、性質が違う」と堂々
巡りの文になってしまう。
・「片方」では、二つあるもののどちらかわからない。ちゃんと特定できるように書
く。・「反対」だけでは、どの方向とも決まらない。
「~を挟んで~と反対」というように、基準点が二つある(方向がある。ベクトル)
か、または始めから二つの場所しかない場合にしか、「反対」は意味を持たない
。
・「特定の~」というのは、「ある~」「ひとつの~」と同じ意味で、具体的に何も言
ってないことになる。
関係は、「何と何がどういう点で」の三点を明らかにする。
変化は「何かから何かに」と二つの間の移り変わりのことで、変化後のことを指してはいな
い。
「の」は便利だが、連発しがちなので注意!助詞として使うことは正しいが、「こと」の替わ
りに使うことは話し言葉なので注意する。
「関係性」←意味不明用語の代表。どうしても使うなら使う前に説明せよ!
こいつは、特殊用語:業界用語で、「みたいない」「ひっくるめて」という「曖昧化」「メタ化」
用の言葉という自覚を持つべき。できれば使うな。
自分の国語力を無駄に高評価しない。
複雑になると、注目していない部分や細部に目が届かなくなる。
句読点、並べ替えを駆使して誤解を回避する。
他人の読解力と自分の思い込みがシンクロするなどと思わない。
同じ格助詞を一つの文章に複数詰め込まない。
「~を~を」や「~が~が」は、文として良くない。こういうことは、複
数の文を一つにまとめているために起こることが多い。単純な文に分けてみる。
「言えると思う」はだめ、「思うと思う」と同じことなので、不必要なまでに婉曲で、
主張がない。
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