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File Code: TOC1-01-01-013J
SIEVERS TOC分析計技術資料
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TOC1-01-01-013J
回収水系における有機汚染物の効果的な管理
Hai Wei Zhu, John DeGenova*, Carl Craig, Richard Godec
Sievers Instruments, Inc., 6185 Arapahoe Ave., Boulder, Colorado USA
* Sematech, 2706 Montopolis Drive, Austin, Texas 78741-6499
摘要
21世紀に向かい半導体工場のウェハー製造設備におけるプロセスリンス水のリサイクリングは益
々重要になりつつある。水のリサイクルで最も関心があるのは、ウェハープロセスで使われる超純
水の汚染である。ウェハープロセスでは非常に多様な有機物が用いられるが、この潜在的な汚染源
がリサイクルシステムにとって一番の脅威であるかも知れない。汚染源となる物質にはアルコー
ル、有機酸、溶剤、界面活性剤等が含まれる。これらのあるものは、通常の分析計器では検出が困
難なものもある。
水の中の有機物を効果的に監視することがリサイクルシステムの運転にとって重要であり、またそ
のシステムを、自信を持って運転するためにも大切である。正確で迅速に汚染物を定量出来ること
がリサイクルシステムを防護することであり、しかして超純水の供給を守ることである。
本稿では、この様な有機汚染物を十分にレビューし、高速オンラインTOC分析計を使ってこれらの
汚染物をいかに監視することが出来るかについてとりあげる。
緒言
半導体製造工程で再使用のために使用済みのリンス水をリサイクルすることは、最近、米国の半導
体工業において大きな注目を集め始めている。リンス水のリサイクルは世界のある地域においては
現在既に行われている。例えば台湾では、半導体工場で使われる水の70%以上は再使用することが
法律で求められている。日本やヨーロッパのいくつかの国々でも水のリサイクルに関心を示してい
る。しかしながら、米国では今日まだ幅広く受け入れられ、行われていると言う訳ではない。半導
体製造に関わる他の種々のコストに比べると、水及び排水のコストが比較的割安であることが、超
清浄ウェハーの製造に使用済みの純水を使用するのかと言う考えと相まって、水を再使用すると言
う考えを遠ざけてきた。
しかしながら、最近の半導体工業の発展、及びウェハー工場建設の増加と共に、水資源不足が非常
に深刻になりつつある。過去の傾向に基づけば、ウェハーサイズが大きくなるに連れ、水使用は更
に増加していく。
多くの地域社会において、ウェハー工場は市の水道設備から供給される水の、最大の使用者である。
これらの工場では平均して一日当たり2∼3百万ガロン(7,570∼11,355m3)の水を使用している。
1サイトで3つも4つも工場を持っている様な場所ではこの水量は優に1千万ガロン(37,850m3)
/日を越える。工場を拡張することは、水不足及び排水処理能力のために厳しく制限されていると
ころが多い。更に、市の水道局が水の需要に応えようとする場合、水源の切り替えを行わねばなら
ないことがよくある。或る水源の水位が下がると、水質レベルが異なる他の水源が使われることに
なる。水道施設は薬品処理プロセスを変えなければならないかも知れないし、配管の切り替えを行
わなければならないかも知れない。これらのことがウェハー工場への給水水質を簡単に変えてしま
うことがあり得る。このような変化の一つ一つが半導体工場の運転に重大に関わって来るのであ
る。地表水水質の季節的な変動でさえ超純水処理プロセスの性能に大きく影響を与え、超純水の最
終水質に影響してくる。このことが今度は、ウェハープロセスの運転に影響を与える様になる。水
質が変わったために、過去幾多の工場でウェハープロセスのシャットダウンを引き起こし、今日も
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SIEVERS TOC分析計技術資料
また将来においても、繰り返されることであろう。殊に市水供給能力が満杯または満杯に近い地域
では可能性が高い。米国の飲料水基準には適合していても、工場へ供給される水質についての仕様
は無いのである。
リサイクルについては別のリスクもある。半導体プロセスで生成した不純物で汚染された可能性の
ある使用済みリンス水を再使用するために、超純水システムに水を戻すことは、新たな余り知られ
ていないリスクとチャレンジをもたらすことになる。「知られていない」問題と言うこと自身がリ
サイクル問題の大きなリスクである。更に、過去に半導体工場で水のリサイクルに取り組んだが、
不首尾な結果に終わったプロジェクトもあった。これらの中には、工場のシャットダウンを引き起
こし、大きな経済的ダメージを与えたものもある。この様な結果のために、市水供給よりも工場設
備に集中したトラブルに対する支出が発生し、リサイクル個々の問題の原因はしばしば解決されな
いままとなっている。工場の排水処理設備の出口側で処理排水のリサイクルを検討したプロジェク
トが多い。この様な水は処理後のpHは中性であっても、半導体プロセスで生成された、濃縮した使
用済みケミカル浴からの廃液を含むものが多い。この様な汚染物は使用済みのリンス水で希釈され
ているとは言え、超純水設備における分離プロセスにとっては大きな負荷である。これ以外の良く
知られたトラブルとして、分析能力の欠如によるものがある。殊に有機物検出の面においては、現
在利用可能な分析計では個々の有機物種を検知することが出来ず、低導電率の水に対してはうまく
働かず、あるいは不具合が生じる前に適切なアクションを取るには動作が遅すぎると言った問題が
あった。
一方、無機分析は、導電率とpHによりほとんど瞬間的に行うことが出来る。応答の早い有機物分析、
また、ウェハー工程で使われる全ての有機物種に対応出来ると言うことがリサイクルシステムにと
って、またそのシステムを自信を持って運転するために最も大切なことである。
汚染源
使用済みのリンス水に含まれる有機汚染源は主に2つのウェハー処理工程で生成される。フォトリ
ソグラフィー工程とウェットエッチング工程である。表1はこれらの工程で一般的に使用される有
機物のリストである。これらの有機物の中には、フォトリソグラフィー工程で使用されるテトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)や塩素や、乾燥剤として使われるイソプロピルアル
コール(IPA)等があり、また、FC93パーフルオロアルキルスルホン酸やOHSアルキルフェノキシポ
リグリシドルの様なウェハー洗浄剤がある。
最近のTOC技術開発
TOC分析計が初めて市販されてから30年である。ほとんどのTOC分析で、有機物は酸化されて二
酸化炭素を生成し発生したCO2の量が測定される。CO2を測定する従来の方法は非分散型赤外線吸
光方式(NDIR)である。この方式は有機物濃度が低いときに精度が低い。CO2を測定するより新しい
方法として直接導電率測定方式が開発された。しかしながら、この技術は低有機物濃度の脱イオン
水についてのみ有効であり、かつ有機物の中にはハロゲン、窒素、硫黄または燐の元素は含まれて
いてはならない。最新のCO2測定技術はガス透過膜式導電率測定技術を用いている。このガス透過
膜式導電率測定技術は全てのハロゲン、窒素、硫黄及び燐の測定妨害物質を本質的にカットしてし
まうものである。リサイクル水のTOCを効果的にモニターするためには正確で、高速なオンライン、
リアルタイムTOC分析計が必要である。
Sievers Instrumentsではこの度、特に使用済みリンス水のリサイクルシステムのTOC監視用に新しい
高速オンラインTOC分析計を開発した。TOC810 Turboと呼ぶこの新しい分析計はCO2ガス透過メン
ブレンとUV+湿式酸化(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)方式を採用している。このTOC分析計
は図1に示される様に3.5秒毎に測定データを出力し、測定遅れ時間は3.5分である。
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TOC Response (ppb C)
バッチサンプリングとは違い、TOC810Turboではリアルタイム分析が行われる。連続分析により、
Turbo は 1
Sievers Turbo TOC Response
分間以内
3000
90% Response
に起こっ
た TOC の
2500
変動(スパ
2000
イク)を捉
えること
1500
が可能で
ある。図2
1000
は 1.25ppm
Start Spiking
10% Response
のIPAによ
500
End Spiking
り1分間、
2分間、3
0
分間スパ
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
Time (min)
イクさせ
た時の結
果である。
図1
Sievers TOC 810 TurboのTOC測定応答時間例
Turboの酸化分解能力を評価するために、ウェハー工程で一般的に使われる各種の有機物が分析さ
れた。これらの有機物のあるものは分解が容易であり、あるものは難しい。また非イオン性有機物
とイオン性有機物がどちらも含まれている。溶液は全て2ppmCとなるように調製された。この2ppmC
というTOCレベルはリンス水をリサイクルしているほとんどのシステムにおいて最大のTOCレベ
ルである。
表1には18種の有機物に対する分解回収データが示されている。
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TOC of IPA (ppb as C)
1600
1 minute
1400
2 minute
3 minute
1200
1000
800
600
400
200
0
0
5
10
15
20
25
30
35
Time (min)
図2
1.25ppmCのIPAで1分間、2分間、3分間
スパイク時のTOC測定結果
総括
半導体製造技術の急激な発展と共に、ウェハー処理工程における超純水の需要は劇的に増加してい
る。リンス水を半導体製造工程でリサイクル使用することは水源が限定されている以上益々重要に
なってきている。水のリサイクルにおける大きい関心事は、ウェハー処理プロセスで用いられる種
々の有機物による汚染から、超純水システムをいかにして守るかと言うことである。
使用済みのリンス水中の有機汚染物を効果的にモニターすることはリサイクルシステムの運転上
重要であり、そのことによりシステムの運転を自信を持って行うことが出来る。
TOC810 Turboが評価された。TOC810 Turboは高速、リアルタイム、オンラインTOC分析を可能にす
る。TOC810 Turboは、ほとんどの有機物に対して優れた分解回収を行い、純水装置が有機汚染から
守られていると言う安心感をオペレータに与えるものである。
著者略歴
Dr. Hai Wei Zhu holds a BS in Semiconductor Material Science from the University of Science and
Technology of Shanghai in Shanghai, China, a MS in Chemistry from Eastern Michigan University
in Ypsilanti, Michigan, and a Ph.D. in Environmental Engineering from the University of Colorado
at Boulder, Colorado.
Dr. Hai Wei Zhu is a product specialist in Sievers Instruments, Inc. He is engaged in the
development of Total Organic Carbon analyzers for Sievers Instruments. Dr. Zhu has over five
years experience in processing and manufacturing in semiconductor industry. He has five years
research experience in drinking water treatment and drinking water disinfection by-products.
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SIEVERS TOC分析計技術資料
(SPWCC1998に於けるSievers発表文献”Effective Monitoring Organic Contaminants in Water Recycling
Systems”をセントラル科学が翻訳 文責/松永広助 2000年9月27日)
本翻訳文はセントラル科学社内用としての翻訳であり、他への流用においての責任は負いかねます。
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SIEVERS TOC分析計技術資料
Table 1 TOC Recovery *
Organic Family
Alcohols & Ketones
Semi-VOC’s
Acetates/Esters
Miscellaneous
Surfactants
*
Chemicals
Formula
M.W. Carbon (%) Recovery (%)
Methanol
CH3OH
32
37.5
103
Isopropyl Alcohol (IPA)
CH3CHOHCH3
60
60.0
99
Acetone
C3H6O
58
62.0
100
Cyclohexanone
C6H10O
98
73.5
102
Methyl Ethyl Ketone (MEK)
CH3COCH2CH3
72
66.6
101
N-Methyl Pyrrolidine
CH3N(CH2)4
85
70.5
100
Phenol
C6H5OH
94
76.6
100
Amyl Acetate
CH3COOC5H11
130
64.6
99
Butyl Acetate
CH3COOC4H9
116
62.0
99
Ethyl Ethoxy Propionate
C2H5OCH2CH2CO2C2H5
146
57.5
105
Ethyl Lactate
CH3CHOHCOOC2H5
118
50.8
102
Propylene Glycol Methyl Ether Acetate (PGMEA)
C6H12O3
132
54.5
103
Choline
HOCH2CH2N+(CH3)3
104
57.7
112
Tetramethyl Ammonium Hydroxide (TMAH)
(CH3)4NOH
91
52.8
99
Ethylene Glycol
HOCH2CH2OH
62
38.7
106
Trimethyl Amine
(CH3)3N
59
61.0
102
OHS Alkyl Phenoxy Polyglycidol
5.73
104
FC-93 Perfluoroalkyl Sulfonate
13.7
96
The recoveries obtained are based on measuring 2 ppm as carbon solutions.
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