Comments
Description
Transcript
直列回路や並列回路での,全体の抵抗について調べる ~放電記録
直列回路や並列回路での,全体の抵抗について調べる ~放電記録テープを抵抗として~ ● 実験 概要 合成抵抗は生徒にとって,なかなか理解しにくい内容である。その原因として,オーム の法則を用いた計算値にとらわれすぎて,電流が流れを意識できていないことがあげられ る。ここでは,運動の学習で使われる放電式記録タイマーの放電記録テープを抵抗として 用いることで,抵抗と電流の流れをモデル化し,解釈させることが容易になると考えた。 ●材料と費用 (一組分) 製 品 名(必要個数) 放電記録テープ(1) マグネットクリップ(4) ホワイトボード(1) ACアダプタ(1) L字型ヒートン(2) 電流計 電圧計 導線 メーカー,製造番号,入手先等 ナリカ,10 ㎜× 40m ダイソー 〃 アズマ マルチ AC アダプタ AC-M1000, マルヤマ商事株式会社,WEB 通販 ダイソー 値段(単価) 4500 円(10 巻) 105 円(3個) 105 円 約 2000 円 105 円(20 個) ●手順 ①ACアダプタのつまみを3Vにする。 ②基準となる10㎝の放電記録テープをクリップにはさみ,電流,電圧を測定する。 ③クリップに放電記録テープをはさみ,直列や並列に配線し,電流,電圧を測定する。 ④放電記録テープを変えて繰り返し実験を行う。 ⑤放電記録テープのつなぎ方と,電流,電圧の関係について考察する。 ←ACアダプタ ホワイトボード→ ←放電記録テープ 表側に触れすぎると,抵抗が大きなり,測定がうま くいかなくなる。 裏側に基準となる10㎝をはかり,クリップではさ む分をとって,線を引いてある。 -1- ←基準として扱う10㎝1本 マ グネットクリップには電流の流れを意識 できるよう,矢印をつけた。 マグネットクリップをホワイトボードに 貼り付けて固定することによって,ショ ート回路を防いでいる。 ←10㎝2本の並列 ←L字型ヒートン拡大 ●結果 ACアダプタのつまみを「3V」にしているので,電圧計は常に3Vを示す。電流は, 基準とした10㎝1本に対して,10㎝2本を直列につなぐと基準の大体半分,10㎝2 本を並列につなぐと基準の約2倍となる。 このことから,抵抗を直列につなぐと回路全体の抵抗は大きくなり,並列につなぐと回 路全体の抵抗は小さくなることを見いだすことができる。 ●時間 ◇実験をはじめてから終わるまでの時間 ◇後片付けに要する時間 20分 5分 ●総括 実際の授業では,直列,並列の時間を分け,10㎝1本と10㎝2本の測定が終わった 組は,放電記録テープのを自由に切り,様々な長さで実験を行わせた。また,考察させる 場面では,文章だけではなく図や絵などを用いて,電流の流れを表現させた。生徒は,電 流 の 流 れ を 車 に ,抵 抗 を 通 行 を 邪 魔 す る 岩 に 例 え て 表 現 し た り ,階 段 を 昇 る 人 に 例 え た り , いろいろな方法で解釈をしていた。 また,放電記録テープを縦に半分に切り幅を半分にしたり,セロハンテープで貼り付け て幅を2倍にしたりした組もあった。 放電記録テープは,抵抗値を求めるには誤差が大きく適さないが,電流が流れるイメー ジ,電流の流れを邪魔する抵抗のイメージが,視覚的なものからつかみやすいと考えられ る。 (文責 -2- 島田直也)