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大西 隆之

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大西 隆之
通信ネットワーク利用放送技術
主役登場
通信ネットワークが拓く
新たな映像文化へ
大西 隆之
NT Tサイバースペース研究所
社員
グーテンベルクの活版印刷に始まり,ラジオ音声から
代替という現状の価値だけでは,お客さまへの訴求力がま
TV映像へ….マスメディアの歴史は,より速く,そして
だ弱いようです.近い将来,通信ネットワーク放送が高い
豊かな情報媒体を求める歴史でもありました.そして今,
リアルタイム性と安定性を実現し,現行の番組放送に
IPネットワークの驚くべき進歩により,通信ネットワーク
VOD(Video On Demand),さらに双方向コミュニ
を利用した情報メディアも,EメールやWebからIP電話,
ケーションを含めたユビキタスなワンストップ・サービス
そしてビデオコミュニケーションへと急激な進化を遂げ,
を提供可能となったとき,いよいよIPTVは主要なメディ
わずか十数年で「先輩」に追いつくかのような発展をみせ
アインフラとして,信頼ある地位を獲得できるのではない
ています.
かと考えています.
そのような中,放送と通信を隔てる技術的な垣根はずい
もちろん,IPTVは既存の放送システムをすべて置き換
ぶん低くなりました.ディジタル衛星放送で新たに開始さ
えるのではなく,むしろ補完するかたちで機能していくこ
れた双方向サービスのように,放送の付加価値向上は,今
とでしょう.若者から熟年世代まで,人々のライフスタイ
後さらに通信との親和性が高い分野で図られると予想され
ルはますます多様化し,さまざまな興味や視聴行動をサ
ます.そこで私たちは,現在の電波放送で実現されている
ポートするきめ細やかな映像サービスが要求されます.光
映像品質や安定性,リアルタイム性や匿名性などの特徴を
ファイバの余裕あるビットレートと,IPネットワークなら
受け継ぎつつ,通信ネットワークを基幹としたTV放送
ではの汎用性と拡張性が,映像コンテンツの新たな消費文
サービスの実現に向けた各種要素技術の研究開発を行って
化を大いに促進していくことが期待されます.
きました.
今後,通信ネットワークはますます進化し,より高度な
ブロードバンドのアプリケーション不足が叫ばれるな
アプリケーションの登場が予想されます.しかしながら,
か,IPTV(IPネットワーク利用TV)はもっとも期待のも
リッチメディアの1つの完成形である高品質映像通信は,
てるサービスとして,早くから注目を集めてきました.最
ブロードバンド社会を下支えする基盤的なツールとして,
近では,多チャネルの映像配信サービスも各社より相次い
その役割を果たし続けることでしょう.次世代のコミュニ
で発表されていますが,本格的な普及にはまだまだ厚い壁
ケーション文化を担う要素技術の研究と開発を,今後も継
があります.これには著作権法上の制限などの難しい問題
続していきたいと考えています.
も影響していますが,いずれにせよ,レンタルビデオ店の
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NTT技術ジャーナル 2005.7
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