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赤と裸
屋上緑化及び高反射塗料の 表面熱収支測定結果 神戸大学工学部建設学科 竹林英樹,野上 摂 森山正和,佐野公俊 研究目的 ヒートアイランド現象の対策として屋上緑化 や高反射塗料が注目されている.本研究 では,実測及び熱・水分収支の解析を行い, 屋上表面からの顕熱抑制効果の観点から ヒートアイランド緩和効果について考察を 行った. 実験施設 植栽ユニット 2 3 5 4 7 8 6 9 塗料ユニット 10 11 12 1000×2 5,500 1 942×3 7,800 屋上実験施設写真 屋上実験施設平面図 測定面の概要 ユニット番号 1 2 9 11 12 実験対象 裸地面(軽量土壌) 芝生面(軽量土壌) コンクリート 高反射塗料・白 高反射塗料・灰 測定項目 植栽ユニット 温度測定点(熱電対) 含水率測定点(TDR) 熱流測定点(熱流板) 気象条件 ・日射量,赤外放射量 ・風向,風速 ・気温,湿度 ・雨量 測定点 土層 ・温度(熱電対,放射温度計) ・熱流 保水・排水層 ・放射収支 ・土壌含水率(植栽ユニットのみ) コンクリートスラブ ・排水量 21cm 4.2cm 20cm 塗料ユニット 各面の日射反射率 10cm モルタル 測定面 20cm コンクリートスラブ 裸地 日射反射率 0.17 芝 0.15 コンク 高反射 高反射 リート 白 灰 0.37 0.74 0.36 表面温度の測定結果 (2004年8月27日~29日,放射温度計による測定) 裸地 反射性塗料白 高反射塗料白 温度(℃) 45 芝生 コンクリート 反射性塗料灰 気温 高反射塗料灰 コンクリート 高反射灰 裸地 芝生 高反射白 気温 40 35 30 25 20 15 0:00 12:00 8/26 0:00 12:00 8/27 0:00 12:00 8/28 0:00 12:00 8/29 スラブ内温度の測定結果 温度(℃) コンクリート(2004年8月27日~29日) 表面温度 スラブ上 スラブ中 スラブ下 (0cm) (10cm) (20cm) (30cm) 44 42 40 38 36 34 32 30 28 26 24 22 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 8/27 8/28 8/29 2次元的な影響の確認 計算方法 2次元非定常熱伝導(前進差分) 対象面 低温側:高反射塗料白,高温側:高反射塗料灰 境界条件 上側:高反射塗料白,灰の表面温度の実測値 下側:スラブ下温度の実測値(高温側,低温側ともに同じ) 左右両側:上下の境界条件を元に1次元の計算より算出 差分間隔 10cm 時間間隔 1分 対象期間 2004年8月10日(計算結果は低温面40℃,高温面50℃の時間帯のもの) 0.0 (cm) 48 42 36 30.0 0.0 30 25 50 75 30 100 35 40 125 45 150 50 (℃) 175 200 (cm) 表面熱収支の検討 Rn = A + V + lE Rn:正味放射量(W/m2) A:伝導熱流(W/m2) V:顕熱流(W/m2) lE:蒸発潜熱(W/m2) 顕熱流 伝導 V = αc (Ts − Ta) αc:対流熱伝達率(W/m2K) Ts:表面温度(℃) Ta:気温(℃) 土壌面の熱収支・・・1次元非定常方程式 ∂θ 液体水: ∂t 蒸発量 E = β ⋅ α w (x s − x a ) αw = αc C pa β:蒸発比(-) αw:湿気伝達率(kg/m2h(kg/kg)) Xs:表面の飽和絶対湿度(kg/kg) Xa:外気絶対湿度(kg/kg) 熱収支: ∂T ∂t m ∂θ 2 ∂T 2 ∂K = Dθ 2 + DT 2 + ∂z ∂z ∂z = m λ ∂T 2 c ∂z 2 K:透水係数(m/s) Dθ:水分に依存する分子拡散係数(m2/s) DT:熱に依存する分子拡散係数(m2/s) λ:熱伝導率(W/mK) c:体積熱容量(J/m3K) 蒸発量の推定方法 蒸発量=雨量(潅水量)-排水量-土壌内の水分の増加量 含水率変化×水密度×層体積 土壌を数層に分けて,各層の含水率は一様と仮定 蒸発は表面のみで生じる(土中では生じない)と仮定 実測値と計算値の1日の積算蒸発量が 合うようにβを推定する β=1 g 0.35 0.3 E =αw(xs − xa ) 0.25 0.2 TDRによる測定結果 0.15 0.1 0.05 TDR土壌含水率計 水分移動 0 18:30 -0.05 -0.1 22:30 2:30 6:30 10:30 14:30 18:30 22:30 芝生面からの蒸発量(g/s) 2:30 TDRによる含水率測定 ロガー 誘電率 水:80 土粒子:3 真空:1 金属ロッドに電磁波を流し, 電磁波の反射時間を測定することで 土壌の誘電率を評価し,含水率を求める. ロッド 測定範囲:0~50%(体積含水率) 測定精度:±0.05% TDRによる含水率の測定結果 体積含水率(%) 芝生面(2004年8月27日~29日) 2cm 11cm 24 4cm 16cm 6cm 21cm 21cm 16cm 11cm 6cm 4cm 2cm 22 20 18 16 14 12 10 0:00 12:00 8/27 0:00 12:00 8/28 0:00 12:00 8/29 TDRによる含水率の測定結果 芝生面と裸地面(2004年11月5日~7日) 2cm 4cm 6cm 11cm 16cm 21cm 22 芝生面 20 18 16 14 12 10 0:00 11/5 12:00 11/7 11/6 0:00 12:00 0:00 12:00 2cm 裸地面 体積含水率(%) 体積含水率(%) 24 21 19 17 15 13 11 9 7 5 6cm 11/5 0:00 12:00 16cm 11/7 11/6 0:00 12:00 0:00 12:00 熱伝導率,体積熱容量の推定 微分方程式を差分化し,温度と熱流の測定 値を用いて熱伝導率と熱容量を推定した. 熱流 y = 2.1158x + 2.8404 200 150 100 熱伝導率 50 Ts A T1 Δz λ T A = −λ Δ = (Ts − T1 ) Δ z z Δ 0 -40 -20 -50 0 20 40 60 80 Δθ/Δz T -100 体積熱容量 1000 ∂T ∂ 2T λ 2 =C ∂t ∂x 500 0 T − Tm Tm − Tm +1 (T − Tm ) − ( m −1 )=c m λ Δz1 Δz 2 Δz 1 Δz 2 Δt + 2 2 1 y = 2E+06x - 30.888 1500 * -0.001 -0.0005 -500 -1000 -1500 0 0.0005 0.001 差分近似の誤差について 0cmと20cmの測定値と,5cmと15cm計算値の 温度を用いた熱伝導率の推定 コンクリート内10cmの熱流(W/m2) 160 -40 (0cm-20cm) y = 2.12x + 2.84 R = 0.98 120 80 (5cm-15cm) y = 2.16x + 2.73 R = 0.99 40 0 -20 0 20 40 60 -40 -80 0cm-20cm 5cm-15cm ΔT/Δz 線形 (0cm-20cm) 線形 (5cm-15cm) 80 熱伝導率,体積熱容量の推定 土壌の場合(土壌の熱伝導率と熱容量は含水率を考慮 した文献データ(近藤純正:水環境の気象学)を利用) . 熱伝導率の推定 熱容量の推定 4000 3000 2000 1000 0 -1000 -0.003 -0.002 -0.001 0 -2000 -3000 -4000 -5000 150 熱流 (W/㎡) y = 0.2789x - 20.028 100 50 0 -50 0 50 100 150 200 250 -50 -100 体積熱容量 熱伝導率λ(W/㎡) 0.45 0.4 0.35 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 5 10 15 20 25 30 35 体積含水率θ(%) 40 土壌の熱伝導率(確認) 45 0.001 0.002 0.003 C (θ ) = (1 − θ SAT )C SOIL + θCWATER λ = 0.025 + 0.5θ 1 / 3 0 y = 2E+06x - 291.33 50 3.5E+06 3.0E+06 2.5E+06 2.0E+06 1.5E+06 1.0E+06 5.0E+05 0.0E+00 0 5 10 15 20 25 30 35 体積含水率θ(%) 40 スラブの熱容量(確認) 45 50 蒸発比の推定 Rn − A = V + lE ⎧ ⎫ 1 = α ⎨(Ts − Ta ) + l ⋅ β ⋅ ( Xs − Xa)⎬ Cp ⎩ ⎭ この式でβを仮定するとαが求まり,各熱収支成分(lEなど)が計算できる. 計算されたlEとTDRより推定したがlEが一定期間の積算値で合うようにβを推定 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 β =0.14を採用 β 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 蒸発量の実測値と推定値の差 土壌内含水率の計算結果 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11/50:00 11/60:00 11/7 11/8 11/90:00 11/10 0:00 0:00 0:00 16cm 16cm 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 11/50:00 11/60:00 11/7 11/8 11/9 11/10 0:00 0:00 0:00 0:00 6cm 6cm g/㎡・s 0.022 0.02 0.018 0.016 0.014 0.012 0.01 0.008 0.006 0.004 0.002 11/5 11/6 11/7 0 0:00 0:00 0:00 % % 計算値 実測値 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 11/60:0011/7 11/90:00 11/10 0:0011/5 0:00 0:0011/8 0:00 4cm 4cm % 体積含水率(%) (2004年11月5日~10日) 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11/50:00 11/60:00 11/70:00 11/80:00 11/90:00 11/10 0:00 11cm 11cm 計算値 測定値 11/8 0:00 11/10 11/9 0:00 蒸発量の比較 0:00 表面熱収支の計算結果 (2004年8月27日~29日) 正味放射量 顕熱流 W/㎡ 800 伝導熱流 蒸発潜熱 W/㎡ 800 600 600 400 400 200 200 0 0:00 -200 12:00 8/27 W/㎡ 800 0:00 12:00 0:00 8/28 芝生面 12:00 8/29 0 0:00 -200 600 400 400 200 200 12:00 0:00 12:00 8/27 W/㎡ 800 600 0 0:00 -200 12:00 0:00 12:00 8/29 8/28 8/27 高反射塗料灰 0 0:00 -200 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 8/29 8/28 コンクリート面 0:00 12:00 0:00 12:00 8/29 8/28 8/27 高反射塗料白 計算結果の顕熱流の比較 (2004年8月27日~29日) W/㎡ 500 反射性塗料灰 高反射塗料灰 反射性塗料白 高反射塗料白 コ ン クリー ト コンクリート 芝 生 芝生 400 300 200 100 0 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 -100 -200 8/27 8/28 8/29 まとめと今後の課題 まとめ 芝生,土壌面と高反射塗料面における温度,熱流,放射収 支の測定を行った. 土壌含水率の測定から蒸発量の推定を試みた. アルベドは,高反射塗料白,高反射塗料灰,コンクリート,芝 生の順に高い. 夏季の昼間では,高反射塗料白,芝生,高反射塗料灰,コン クリートの順に,夜間では芝生の顕熱抑制効果が大きい. 今後の課題 植栽での表面温度の測定方法(今回は放射温度計を利用) 蒸発量の推定方法(今回は土壌含水率を利用)