...

大阪府道路公社経営改善方針(平成24年2月策定)

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

大阪府道路公社経営改善方針(平成24年2月策定)
大阪府道路公社
経営改善方針
平成24年 2 月
目
次
はじめに
Ⅰ.大阪府道路公社経営の現状と課題
・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・
2
(2)有料道路事業制度・資金構成
・・・・・・・・・・
5
(3)大阪府道路公社経営の現状
・・・・・・・・・・
7
・・・・・・・・・・
9
(1)事業計画と実績交通量の乖離
・・・・・・・・・・
9
(2)現行有料道路制度における課題
・・・・・・・・・・ 10
1.現状
(1)路線の概要
①鳥飼仁和寺大橋有料道路
②堺泉北有料道路
③第二阪奈有料道路
④南阪奈有料道路
⑤箕面有料道路(箕面グリーンロード)
2.課題
Ⅱ.大阪府道路公社経営改善に向けた今後の取り組み方針 ・・・・ 11
1.利用促進及び経費縮減に向けた取り組み ・・・・・・・・・ 11
(1)利用促進の取り組み
・・・・・・・・・・ 11
(2)維持管理経費の縮減
・・・・・・・・・・ 12
(3)資金コストの抑制
・・・・・・・・・・ 14
(4)人件費の削減
・・・・・・・・・・ 15
(5)効果の点検
・・・・・・・・・・ 15
2.現行制度の改善等に関する取り組み
・・・・・・・・・・ 16
(1)国等からの借入金返済期間の見直し・・・・・・・・・・ 16
(2)料金徴収期間の弾力化
・・・・・・・・・・ 16
(3)料金プール制の導入
・・・・・・・・・・ 17
3.
「都市高速道路の一体的運営構想」の具体化
参考資料
・・・・・・・ 18
・・・・・・・・・・ 参考-1
はじめに
大阪府道路公社は、大阪府の区域及びその周辺の地域において、その通行又は利用
について料金を徴収することができる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を
総合的かつ効率的に行うことにより、この地域の幹線道路の整備を促進して交通の円
滑化を図り、もって住民の福祉の増進と産業経済の発展に寄与することを目的とし、
昭和 58 年に地方道路公社法に基づく法人として大阪府により設立されました。
道路公社は、道路公社及び有料道路制度を定めた道路整備特別措置法に基づき、府
議会の議決を経て道路管理者である大阪府知事の同意ならびに国土交通大臣の許可
を得た事業計画に基づき事業を実施しており、安心・安全で利便性の高い道路サービ
スを提供することはもとより、有料道路事業の仕組みである「建設費を、料金収入と
維持管理費・借入金利息の差額によって、料金徴収期間内に償還すること」が経営の
基本です。
道路公社の料金収入のもととなる 5 路線の交通量については、最近の経済情勢等を
反映して、平成 21 年度を底とし平成 22 年度は増加傾向にありますが、直近の H17 道
路交通センサスによる自動車交通量の長期的な予測によれば、平成 17 年に対し平成
42 年には、大阪府域で 4%の減少が見込まれており、料金収入は将来的には暫減傾向
になるものと予想されます。
一方、支出については、安全で安心して通行していただける道路サービスを提供す
るための維持管理費用が必要です。
道路公社の管理道路のうち、特に堺泉北有料道路と南阪奈有料道路は大部分が高架
の橋梁形式であるため、道路の経年に対応した的確・適切な維持管理が必要であり、
また、第二阪奈有料道路と箕面有料道路は、5km を超える全国有数の長大トンネルで
あることから、交通安全対策や防災対策のための設備の運用・更新が必要となります。
このような事業環境のもとで、責任ある道路の維持管理を行うとともに、建設費の
着実な償還を行って良好な経営状態を維持するため、維持管理経費のコスト削減に努
めるとともに、組織や運営体制の合理化を図り人件費の縮減に取り組んでまいります。
また、建設費の計画的な償還を図るため、大阪府と道路公社とが協力し、有料道路
制度の運用改善に向けた検討も行ってまいります。
以上のような取り組みや検討の方向を位置づけるため、
「大阪府道路公社経営改善
方針」を策定いたしました。
1
Ⅰ.大阪府道路公社経営の現状と課題
1.現 状
(1)路線の概要
道路公社の事業計画の5路線の建設は完了し供用しており、現在は維持管理が主
たる業務内容になっています。
図表-1 路線の概要
路線名
鳥飼仁和寺大橋
有料道路
供用年月
昭和 62.2
堺泉北有料道路
平成 3.3
第二阪奈有料道路
平成 9.4
南阪奈有料道路
平成 16.3
箕面有料道路
(箕面グリーンロード)
平成 19.5
施設の概要
摂津市鳥飼中~寝屋川市仁和寺本町
0.7 ㎞
堺市中区平井~高石市綾園
4.7 ㎞
事業費
(億円)
102
208
東大阪市西石切町~奈良市宝来町
府域 1,242
(全体 13.4 ㎞) 大阪府域 3.8 ㎞
(全体 2,345)
堺市美原区丹上~羽曳野市蔵之内
4.6 ㎞
箕面市萱野~箕面市下止々呂美
6.8 ㎞
合計
647
500
20.6 ㎞
2,699
(全体 30.2 ㎞)
(全体 3,802)
注)全体は、第二阪奈有料道路の奈良県域分を含む。
図表-2
路線の位置図
2
<各路線の建設の経緯と交通量の状況>
①
鳥飼仁和寺大橋有料道路
(建設の経緯)
大阪府下の淀川に架かる各橋梁における交通量が非常に多く、特に淀川新橋
(茨木寝屋川線)での渋滞が著しいことから、大阪府において千里丘寝屋川線
の整備を進めていました。その中で事業費が膨大である当該路線の渡河部を有
料道路事業として早期に整備することとしました。
(交通量の状況)
供用開始から平成 7 年度まで増加傾向にあり、その後減少に転じましたが、
平成 12 年度に再度増加に転じ、平成 14 年度に交通量のピーク(日平均交通量:
15,690 台/日)として、その後再び減少傾向にあります。
日平均交通量
(台/日)
②
H20
H21
H22
12,453
11,811
11,365
堺泉北有料道路
(建設の経緯)
大阪南部地域から都心部への交通が南北方向の路線に集中することで、著し
い交通渋滞が発生していました。これらを臨海部、内陸部へ分散させるため、
阪和自動車道と阪神高速湾岸線を結ぶ区間を、両高速道路の開通時期に合わせ
るべく有料道路として早期に整備することとしました。
(交通量の状況)
供用開始以来順調に推移し、平成 8 年度に交通量のピーク(日平均交通量:
43,556 台/日)として、その後減少傾向に転じますが、現在は、41,000(台/日)
前後で推移しています。
日平均交通量
(台/日)
③
H20
H21
H22
41,079
40,534
42,430
第二阪奈有料道路
(建設の経緯)
大阪・奈良間を結ぶ現道(大阪生駒・奈良生駒線、国道 308 号)は、地域開発
の進展に伴う交通渋滞や幅員狭小などの課題を有しており、増大する阪奈間の
交通需要へ早期に対処する必要がありました。そこで、多額の事業費を要する
長大トンネルを含むバイパスを有料道路として早期に整備することとしました。
3
(交通量の状況)
平成 9 年の供用開始から平成 13 年度まで、毎年、計画交通量を少し上回るペ
ースで増加を続け、平成 13 年度に交通量のピーク(日平均交通量:38,993 台/
日)として、それ以後は漸減の傾向となり、
平成 22 年度の日平均交通量は、
34,784
(台/日)となっています。
日平均交通量
(台/日)
④
H20
H21
H22
32,731
35,056
34,784
南阪奈有料道路
(建設の経緯)
阪奈間を結ぶ主要な幹線道路である西名阪自動車道では、日交通量が10万
台超と交通に支障をきたすなど、交通環境の改善が急務となっていました。
そのような状況から、日本道路公団(現:西日本高速道路㈱)と連携して、
阪和自動車道から分岐し、大阪府南東部を経て奈良県南部に至る新たな路線を
有料道路として早期に整備することとしました。
(交通量の状況)
交通量は、供用開始後の平成 16 年度の日平均交通量は、13,734(台/日)で
あり、その後徐々に増加し平成 22 年度の日平均交通量は、24,248(台/日)と
なっています。
日平均交通量
(台/日)
⑤
H20
H21
H22
20,223
21,945
24,248
箕面有料道路(箕面グリーンロード)
(建設の経緯)
箕面市北部地域、豊能町、能勢町では、大阪方面への交通の多くが国道 423
号を利用していましたが、本路線は狭小、屈曲、急勾配区間を多く有し、また、
国道 173 号と合流する池田市内において著しい渋滞が発生していました。
新名神高速道路や箕面森町事業の関連事業として、当該地域と大阪都心部を
短時間で結び、現道の渋滞緩和を図るため、多額の事業費を要する長大トンネ
ルを含むバイパスを有料道路として早期に整備することとしました。
4
(交通量の状況)
交通量は、平成 19 年度、20 年度と計画に対し 70%台で推移していましたが、
平成 21 年 7 月に料金割引社会実験を導入し交通量は大幅に増加しました。
平成 22 年度の日平均交通量は、5,343(台/日)となっています。
H20
日平均交通量
(台/日)
H21
3,594
4,402
H22
5,343
・公社管理5路線計
H20
日平均交通量
(台/日)
H21
110,080
113,748
H22
118,170
※各路線の交通量の推移については、
【参考資料】を参照。
(2)有料道路事業制度・資金構成
道路は、公共事業により建設され、無料で通行できるのが基本ですが、有料道路制
度は、整備の必要性の高い道路について、財源不足による建設の遅延を避け、緊急に
整備するためのものであり、道路の建設費は借入金、出資金等で賄い、それらを完成
後に通行する車両から徴収する料金収入で償還するというものです。
地方道路公社が運営する有料道路にあっては、路線ごとに採算性を確保することを
原則とし、料金徴収期間は 30 年間~40 年間とされています。
また、料金の額は、通行する車両が受ける利益(燃料費等の節約額や時間短縮によ
る節約額)の範囲内において、料金徴収期間、推計交通量等を考慮して、有料道路の
建設費を、料金収入と維持管理費及び借入利息等の差額で償還できるように定められ
ています。
5
図表-3 建設資金の構成
建
設 時
大阪府出資金
911億円
34%
総事業費
2,699 億円
政府借入金
(無利子)
1313億円
49%
有利子資金 439 億円
大阪府借入金
(無利子)
36億円
1%
無利子資金 2,260 億円
金融機関等借入金
51億円
2%
地方公共団体金融
機構借入金
388億円
14%
(注)5 路線の建設時の資金構成の合計である。
平成 22 年度末
大阪府出資金
911億円
47%
政府借入金
(無利子)
564億円
29%
出資金及び
借入金
1,951 億円
地方公共団体金融
機構借入金
136億円
7%
大阪府借入金
(無利子)
36億円
2%
金融機関等借入金
304億円
15%
6
(3)大阪府道路公社経営の現状
道路公社が管理する有料道路は、各年度の収入(料金収入等)と費用の差額を建
設資金の借入金の返済に充当しており、平成 22 年度の返済額は 57 億円でした。
5 路線の建設時の借入金合計は 1,787 億円でしたが、平成 22 年度末までの返済額
は 748 億円(返済率 42%)であり、平成 22 年度末の借入金残高は 1,040 億円となっ
ています。
図表-4
平成 22 年度末における路線別経営状況
有料道路名
鳥飼仁和寺
大橋
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
箕面
料金徴収期間
30年
40年
30年
40年
40年
料金徴収満了期限
H29.2
11,365
(50%)
H43.3
42,430
(98%)
H39.4
34,784
(80%)
H56.3
24,248
(66%)
H59.5
5,343
(104%)
118,170
(78%)
3.7億円
16.0億円
46.8億円
17.1億円
10.0億円
93.6億円
1.6億円
5.6億円
16.3億円
6.7億円
6.6億円
36.8億円
2.1億円
10.4億円
30.5億円
10.4億円
3.4億円
56.8億円
81.6億円
141.7億円 818.6億円 420.5億円 325.0億円 1,787.4億円
42.3億円
(51.8%)
115.2億円 467.3億円
(81.3%)
(57.1%)
39.3億円
26.5億円
351.3億円 331.9億円 290.8億円 1,039.8億円
20.4億円
66.4億円
423.0億円 226.4億円 175.0億円
59.7億円
92.9億円
774.3億円 558.3億円 465.8億円 1,951.0億円
交通量(台/日)
(対計画比)
平
成
22
年
度
収入
①
費用
②
収支差
①-②
建設資金借入金合計
③
返済済額(H22年度末) ④
(返済率)
未返済額(H22年度末)
⑤=③-④
大阪府出資金
⑥
未返済額・出資金・運営資金
借入金の計 ⑦=⑤+⑥
図表-5
88.6億円
(21.1%)
34.2億円
(10.5%)
平成 22 年度の収支状況
支出総額
9,359 百万円
維持管理費, 2513
収入総額
9,359
借入金の返済, 5670
百万円
借入金利息, 917
一般管理費, 259
7
合計
747.6億円
(41.8%)
911.2億円
図表-6
道路公社の営業収入と支出の推移
百万円
10,000
箕面供用
第二阪奈供用
8,000
6,000
4,000
南阪奈供用
鳥飼仁和寺大橋供用
堺泉北供用
収入
支出
2,000
0
61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
8
年度
2.課
題
(1)事業計画と実績交通量の乖離
各路線の当初計画における収支見通しは、計画策定時直近の道路交通センサス(概
ね 5 年に 1 度の調査)に基づく将来交通量予測をもとに、接続する道路計画や関連す
る地域開発計画等による利用者増を見込んで算定しており、過去の道路交通センサス
に基づく将来交通量予測は右肩上がりの予測でしたが、供用後の経済情勢や人口構造
の変化等により、実際の交通量と比較すると、各路線とも計画との乖離が生じていま
す。
図表-7
平成 22 年度各路線の計画交通量と実績との比較
線 名
鳥 飼
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
箕 面
合
計画交通量(台/日)
22,916
43,466
43,456
36,498
5,136
151,472
実績交通量(台/日)
11,365
42,430
34,784
24,248
5,343
118,170
計画交通量比
49.6%
97.6%
80.0%
66.4%
104.0%
78.0%
路
図表-8
計
大阪府における予測交通量と実績交通量について
【出典:国土交通省発表資料より作成】
(注 1)例えば、平成 2 年道路交通センサスに基づく発生交通量の平成 17 年予測
値(1619 万台 TE/日)と平成 17 年の実績値(1163 万台 TE/日)を比較すると約 3
割の乖離が生じていることがわかります。
9
(注 2)将来交通量予測
○交通量推計について・・・道路交通センサス(自動車利用実態調査)結果から
国土交通省において示される、全国の自動車交通量の
発生集中量の推移と見通しに基づき、交通量を推計。
これは、道路公社路線の事業計画のみならず全国の交
通需要予測や高速道路の将来交通量予測にも採用され
ています。
(H17 センサスに基づく予測:「2030 年全国将来車種別BゾーンOD表
(H17 センサスベース H42 推計)」( H21.1 月公表)より)
○道路公社路線の H17 センサスに基づく予測交通量と実績交通量との比較
・ H17 センサス基づく伸び率は、H17→H22 の 5 か年で-0.47%(-0.1%/年)
・ 道路公社路線の実績交通量(※)は、同 5 か年で+3.2%(+0.6%/年)
※H19 供用の箕面道路を除く 4 路線の実績交通量
・ 道路公社収支予測では、実績伸び率(+0.6%/年)ではなく、H17 センサスベースの
予測値(-0.1%/年)を適用し、減少予測としています。
(2)現行有料道路制度における課題
有料道路事業の計画では、料金徴収期間を制度上 30 年から 40 年とし、その期間中
の「料金収入の総額」と「料金徴収期間中の総営業費用(維持・管理費、支払い利息
等)」との差額が建設費に等しくなるよう設定されています。
有料道路の料金徴収期間は、制度上 30 年から 40 年であるのに対して、建設資金と
して借り入れた国からの無利子借入金及び地方公共団体金融機構からの借入金の返
済期限は 20 年とされています。
これは、当初計画から国より借り入れている無利子資金を民間金融機関に借り換え
ることを前提とした償還計画であり、計画に対する実績の乖離により交通量が計画に
達しない場合、民間金融機関の有利子資金への借り換えが増加し、公社経営を圧迫す
ることになります。
10
Ⅱ.道路公社経営改善に向けた今後の取り組み方針
1.利用促進及び経費縮減に向けた取り組み
一日に 10 万台を超える利用台数がある道路公社の有料道路の維持管理費用の見直
しを進める際には、道路公社が培ってきたノウハウを活用しながら日々変化する状況
を的確に把握し、現状に応じた柔軟な対応に努めてまいります。
また、有料道路事業は建設費償還を料金徴収期間内に行う事業でありますが、経費
縮減に向け計画期間 3 年間の中期的な維持管理計画をローリングしながら、経営管理
を行っていくこととしています。
道路公社としましては、経営方針に基づき、効率的で信頼される経営を目指すとと
もに、収支の改善を図り、建設費の着実な償還を進めていきます。
具体的には、利用促進の取り組みを進めるとともに、日常的な維持管理業務の更な
るコスト縮減に努めることとし、22~24 年度の 3 か年の維持管理経費の縮減目標達
成に向けた取り組みを進めています。
(1)利用促進の取り組み
収入の根幹をなす通行料金収入の基となっている交通量は、社会経済情勢の影響を
受けて増減するため、独自に増収を図ることが難しい状況ではありますが、道路公社
では、有料道路利用者の新規拡大を図るため、
「道路の名前を知っていただき」
「道路
の快適性・利便性を理解していただき」「道路を利用していただく」ことを目指し、
積極的に広報活動やキャンペーンなどによる利用促進に取り組んできました。
特に箕面有料道路、南阪奈有料道路、第二阪奈有料道路の3路線につきましては、
地域の活性化と沿線の魅力を発信するため、観光施設や飲食店とタイアップしたキャ
ンペーンを地元の協力を得て実施してきました。
また、ホームページのリニューアルや路線案内リーフレット等の作成・配布を通じ
て、有料道路の最新の情報を発信してきました。
11
図表-9
路線名
全般
利用促進の取り組み状況
これまでの利用促進の取り組み
・ホームページのリニューアル、各種施設との相互リンク
・各種イベントに参加し、有料道路をPR
・路線案内リーフレットの作成・配布
箕面有料道路
・沿線集客施設のチラシへの広告掲載(H20~H23)
・料金割引社会実験の実施と PR(H21~H23)
・地元中学校への出前講座(H21)
・ゴルフ場、温泉とタイアップしたキャンペーン(H21~H23)
南阪奈有料道路
・西日本高速道路㈱と共同で観光施設等とタイアップしたドライ
ブキャンペーン(H18~H23、アンケート付き)
第二阪奈有料道路
・奈良県道路公社と共同で観光施設等とタイアップしたドライブ
キャンペーン(H21~H23、アンケート付き)
上記のような利用促進に取り組むとともに、利用者や協力施設に対するアンケート
調査等を行い、ニーズや要望を把握したうえで、企画、実施、検証、改善を重ねるこ
とで、これまでにアプローチしきれなかった新たな利用者の確保を目指してきました。
また、キャンペーンの継続的な実施や地道な営業活動を続けてきた結果、沿線施設
のホームページや広告チラシにおける有料道路を利用したアクセスの紹介や、民間企
業による有料道路料金キャッシュバックキャンペーン、民放ラジオ局による道路公社
キャンペーンの紹介など、幅広い波及効果的な広がりも生まれてきました。
さらには、箕面有料道路のゴルフ場とタイアップしたキャンペーンリーフレット
(平成 22 年 12 月作成)で有料広告主の募集を行ったところ、複数企業から応募があ
り、公社として初めて広告収入による財源確保を実現しました。
今後も、引き続きホームページの充実や、各種キャンペーンを地元及び関係機関と
ともに企画し、各路線のイメージアップに努め、利用者の増加を目指します。
(2)維持管理経費の縮減
収支改善に向け縮減目標を 17%とした現行の「維持管理経費縮減の取り組み」を検
証し、短期(1 年ごと)の点検と平成 24 年までの実績の検証を行うことにより、平成
25 年度以降の維持管理経費の段階的かつ継続的な縮減に取り組んでいきます。
有料道路には、施設を良好な状態に維持するために不可欠な機器設備が多く設置さ
れており、これらを維持するには多額の費用が必要となります。特に、土木構造物や
特別高圧受電設備、遠方監視制御盤をはじめとする大規模な設備や、利用者サービス
12
を向上させるために必要な「有料道路自動料金収受システム(ETC)」の更新や維
持管理などには多額の費用が必要となるため、定期点検や年次点検の結果をもとに適
切な整備・メンテナンスを実施して各種構造物・設備の延命化(長寿命化)を図るな
ど、常にコストを意識しながら効率的な維持管理を行い、経費の縮減に努めることが
重要です。
また、災害時の相互協力や将来の維持管理の効率化のため、ネットワークしている
高速道路会社との連携について検討を開始しています。
【安全通行を守ることを前提とした見直しにあたって】
安全・安心を守る事を前提として取り組むため、物価の上昇などの外的要因や
機器の故障・耐用年数の限界等による改修工事費の支出など、計画どおりに目標
を達成しきれない場合も予想され、見直しの限界があることも念頭に置いて取り
組んでいきます。
ⅰ)定例作業内容の見直し
道路清掃回数の見直しや維持補修費の一律 10%カットを行いますが、塵やほこ
りなどによる悪影響が認められた時には、すみやかに改善します。
ⅱ)経常的費用の削減
負荷の軽減による契約電力の見直しを行い、電力基本料金及び事務費の削減を
行います。
ⅲ)設備の更新時期見直し
機器ごとの限界を十分認識しながら、多額の費用がかかる設備機器の更新時期
の見極めを行います。
ⅳ)仕様の見直しによる削減
経常的に多額の費用が必要となる交通管理管制業務や料金徴収業務の委託内
容を毎回検証し、業務処理に影響を与えない範囲の見直しを行います。
13
図表-10
路線別縮減計画(平成 22 年~24 年)
(単位:億円)
路
線 名
鳥飼仁和寺
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
7.2
18.3
42.2
17.1
(縮減率)
(△47%)
(△9%)
(△26%)
縮減見込額
3.4
1.6
10.9
維持管理経費
計画額
大橋
図表-11
箕面
計
20.9
105.8
(△4%) (△10%) (△17%)
0.6
2.0
18.5
項目別縮減計画(平成 22 年~24 年)
(単位:百万円)
概
要
項
縮減額(※) 縮減額小計
目
受電設備やトンネル設備の大規模設備更新時
長寿命化による
縮減
継続的に縮減を
実施するもの
期の見直し(鳥飼・第二阪奈・箕面)
1,267
橋梁塗装実施時期の見直し(鳥飼・堺)
229
橋梁等補修時期の見直し(南阪奈・箕面)
102
清掃回数の見直し(4割減)
25
補修費用の見直し(計画に対し 10%減)
10
交通管制、料金徴収業務の見直しに伴う縮減額
縮減額計
1,598
1,850
252
217
※各路線の維持管理計画における維持管理経費に対する縮減額
(3)資金コストの抑制
建設時に借り入れた国からの無利子借入金及び地方公共団体金融機構からの借入
金が、5 年据え置き、15 年均等返済(20 年で返済完了)となっており、毎年度の営業
収支差による返済では不足する額を民間金融機関からの資金に借り換える計画とな
っています。そのため交通量が計画に達しない年度には、民間金融機関からの借換え
が増加することとなり、支払利息が公社経営を圧迫することになります。
借り換えのための民間金融機関から資金調達による支払利息の増加を抑制するた
め、この資金調達に大阪府の債務保証を付するとともに、現在の低金利水準を踏まえ、
変動金利による借入れと固定金利による借入れを組み合わせることにより、資金コス
トの抑制と将来の金利上昇リスクに対応することとしています。
14
(4)人件費の削減
道路公社では、常に効率的な運営・管理体制の実現に取り組んできましたが、今後、
更に交通管制業務をはじめとする業務委託にかかる人件費について、安全・安心を確
保できる範囲で業務内容を見直すことで縮減できる業務を検証するなど、道路公社業
務全体の人件費縮減に取り組んでいます。
大阪府派遣職員についても、平成 21 年 12 月に決定された「団体派遣職員の見直し
について」に基づき、大阪府道路公社の平成 21 年度の派遣職員数 33 名から 3 年間を
目途に引揚げを行うこととしたうえで、平成 24 年度に派遣職員数を 12 名に削減しま
す。
この見直し計画を踏まえて、プロパー職員として府人材バンクを活用し、府 OB 職員
等に振替雇用するなど、人件費を縮減する予定です。
(5)効果の点検
道路公社では、効率的な運営・管理体制の取り組みに対し、毎年の成果について点
検を行い、達成状況をホームページ等を活用して公表していきます。
15
2.現行制度の改善等に関する取り組み
大阪府道路公社の収支改善に向けた取り組みとして、日々の利用促進や経費縮減を
進めていくと同時に、一層の収支改善を図るためには、社会経済情勢を踏まえた柔軟
な制度へと改善する必要があります。
大阪府の地方有料道路は、著しい渋滞の早期解消や大幅な時間短縮など、その整備
効果から有料道路としての交通需要が期待できることを前提に整備を進めてきまし
たが、供用後の社会経済情勢変化を受け、計画交通量と実績交通量とに乖離が生じて
おり、収支改善に向けた取り組みが急務となっています。
このため、各路線の今後の収支見通しを踏まえ、将来リスクの増大を回避するため
の対応方策や、収支改善に向けた現行制度枠内での料金徴収期間の延長などについて
早期に検討を進めていくとともに、2-(1)で示しました「国等からの借入金返済期
間の見直し」や「料金徴収期間の弾力化」と経営効率化に資する「料金プール制の導
入」など、地方有料道路の運営改善・強化に向け、社会経済情勢変化に柔軟に対応す
るための制度改善を国に対し引き続き働きかけていきます。
(1)国等からの借入金返済期間の見直し
現在の制度においては、有料道路料金徴収期間は 40 年間を最長として設定すること
になっていますが、国等からの建設資金借入金の返済期限は 20 年間と設定されてい
ます。
このため、国等への借入金の返済について営業収支差による返済では不足する額を、
民間金融機関からの資金調達により対応する償還計画となっています。
こうした前提であることから、社会情勢の影響などにより交通量が計画交通量に満
たない場合、道路供用開始後の国等への建設資金返済を計画どおりに行うためには、
即時金融機関等からの借入金の増加により対応することが必要となります。そのため
道路供用開始後の早い段階で、国からの無利子借入金が金融機関からの有利子借入金
にとって代わることになり、道路公社管理路線の収支の悪化を招く要因のひとつとな
っています。
このことを解消するために、国の建設資金借入金の返済について、返済期間の延長
や返済猶予などが可能となるような運用の改善が必要となります。
(2)料金徴収期間の弾力化
近年の社会経済状況から、各路線の当初計画時点における将来交通量の予測と、実
際の交通量との間に乖離が生じています。そのため、道路公社管理の路線では「現行
収入が計画収入を下回る」路線が発生しており、国等に対し契約どおりに建設資金償
16
還金を返済するため、金融機関等からの借入れで対応している状況です。
大阪府道路公社の管理する 5 路線では料金徴収期間が 30 年~40 年に設定されてお
り、その料金徴収期間内の収入で、建設資金償還金の返済と出資金の返済に見合う金
額を確保する必要があり、現行収入が計画収入を下回っている路線によっては、料金
徴収期間の延長により対応することが考えられます。
このような情勢の変化に対応し、各路線の収入を確保することで良好な公社経営を
実現するため、料金徴収期間について現行制度上最長期間である 40 年間を、交通量
や維持管理状況など各路線の経営状況に見合った通行料金徴収期間の年数に柔軟に
設定できるような制度改善が必要となります。
(3)料金プール制の導入
道路公社の管理する路線において、現在の制度では路線ごとに採算性を確保する必
要があります。そのため、路線間において経営状況に格差が発生し、採算性の低い路
線が道路公社の経営を圧迫する状況となっています。
大阪府道路公社が管理している 5 路線は、各路線の一本一本の収支として考えるの
ではなく、5 路線を総合的に考える方が大阪府道路公社の経営に対して、より合理的
であると考えられます。
したがって、地域の道路形態や経営体制に応じた、各路線間の収支を統一して公社
経営に充てる「料金プール制」の導入が必要となります。
17
3.
「都市圏高速道路の一体的運営構想」の具体化
大阪府では、道路公社の現行制度における課題に対し、それぞれ制度改善を求めて
いく必要がありますが、道路公社管理路線だけでなく、阪神都市圏を成長へ導くため
の、地域主権による高速道路政策に関する新たな提案として、国に対し「都市圏高速
道路の一体的運営構想」
(ハイウェイオーソリティ構想)を提案しています。
現在、阪神都市圏の高速道路において、複数の運営主体と料金体系が混在し、利用
者にとって非常に分かりにくく、均一料金区間の利用状況によっては、料金の不公平
感がある区間もあります。
また、高速道路のミッシングリンク(未接続区間)が存在することから、道路ネッ
トワークが有効に機能していない状況にあります。
本構想は、これらの課題を解決するために、阪神都市圏の高速道路及び地方有料道
路を一体的に運営することにより、料金体系の一元化による公平で利用しやすくわか
りやすい料金体系を実現することで一層の「利用促進」を図り、地域自らが地域の実
情を踏まえた料金設定や戦略的な整備・維持管理を行う新たな枠組みです。
今後、道路公社の経営改善を図りながら、ハイウェイオーソリティ構想に組み入れ
られるよう、国と地方の検討会で道路公社も含めた具体的な枠組みについて検討して
いきます。
図表-12
18
構想概要
【参考資料】
○大阪府道路公社管理道路の収支目標
※試算条件
1.将来交通量推計については、道路交通センサス(自動車利用実態調査)結果から国土交
通省において示される、全国の自動車交通量の発生集中量の推移と見通しに基づき、交通
量を推計。
(全国の交通需要予測や高速道路の将来交通量予測にも採用)
「2030 年全国将来車種別BゾーンOD表(H17 センサスベース H42 推計)」
( H21.1 月公表)
2.借入金の借換え資金の金利水準は、年3%と仮定。
3.箕面グリーンロードの予測における、新名神高速道路の開通は平成 28 年度として試算。
以上の条件を基に、各路線の料金徴収期間完了までの収支予測を試算。
①
H22 年度決算を元に、3 ヶ年維持管理経費の縮減を反映した料金徴収期間満了時の
路線別収支見通し
路線名
鳥飼仁和寺
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
箕面
料金徴収期間
H29 年 2 月
H43 年 3 月
H39 年 4 月
H56 年 3 月
H59 年 5 月
△375 億円
△383 億円
△241 億円
△55 億円
満了時の残額
②
△1,054 億円
H33 償還完了
料金徴収期間
合計
0円
H25 以降の経費の見直しによる路線別収支目標
・堺泉北の償還完了時の損失補填引当金 59 億円を運用
・設備の更新計画の見直し及び利用者の安全・安心に影響を与えない範囲内での経費
の縮減により、約 100 億円の維持管理コスト縮減を目指す。
路線名
鳥飼仁和寺
料金徴収期間
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
箕面
合計
△323 億円
△419 億円
△174 億円
△911 億円
H37 償還完了
△54 億円
満了時の残額
(損補金 59 億円)
(注)本経営改善方針に基づく取組みを着実に進めていくこととあわせ、公社借入金に
対する信用の供与(信用保証)や、料金徴収期間終了時に償還する出資金の活用に
よる金利負担軽減などについて、設立団体である大阪府の協力支援を含めて目標
達成を図る。
③
第二阪奈の料金徴収期間を 10 年間延長することによる路線別収支目標
鳥飼仁和寺
堺泉北
第二阪奈
南阪奈
箕面
(30 年)
(40 年)
(30⇒40 年)
(40 年)
(40 年)
△50 億円
△435 億円
△186 億円
路線名
合計
料金徴収期間
H37 償還完了
△54 億円
満了時の残額
(損補金 59 億円)
参考-1
△666 億円
○路線別
概
維持管理費縮減 3 か年計画
要
項
目
受電設備やト
縮減額(※)
(単位:百万円)
鳥飼仁和寺
1,267.3
堺泉北
第二阪奈
22.0
南阪奈
箕面
1,062.7
182.5
電気設備の更
排風機、ポン
新時期を 25
プ分解整備を
年度以降に見
25 年度以降
直し
に見直し
ンネル設備の
大規模設備更
気象機器更新
①
新時期の見直
縮減内容
し(鳥飼・第二
を部品交換に
変更
延命化によ
阪奈・箕面)等
り縮減(実施
183.2
229.2
延期)可能と
橋梁塗装塗替
なった工種
橋梁塗装塗替
橋梁塗装塗替
え実施時期の
え開始時期
え開始時期を
② 見直し(鳥飼・
堺)
46.0
(経過観察
縮減内容
23 年度から
25 年度以降
分)を 24 年
度から 25 年
に変更
度以降に変更
橋梁補修、点検
102.1
③ 方法の見直し
等
2.0
続的に実施
清清掃回数等の見
④
直し(4割減)
55.8
13.2
5 年毎の詳細点検を、5 年毎の予備点検と 10 年毎の詳細点検に見直し
緊急性の高いものから補修を実施
縮減内容
する工種
1.8
10.5
4.8
清掃回数
清掃回数
清掃回数
12 回
18 回
15 回
⇒6 回
補修費用の見
15.5
縮減内容
25.2
縮減を継
15.6
9.6
⇒12 回
1.5
清掃回数
2.1
0.9
清掃回数
12 回
⇒12 回
2.1
7.2
4 回
⇒8 回
⇒2 回
1.8
2.1
⑤ 直し(計画に対
し 10%減)
交通管制、料金
縮減内容
日常パトロールにより道路の安全確保を行うことで、小規模補修の 10%減
217.1
128.4
88.4
0.3
業務内容の見
業務内容の見
業務内容の見
直し
直し
直し
徴収委託業務
⑥
の見直しに伴
縮減内容
う縮減額
合計
1,850.4
338.9
参考-2
162.7
1,085.4
64.8
198.6
○各路線交通量の推移
鳥飼仁和寺大橋有料道路
(千 台 /年)
9,000
8,000
7,000
6,000
軽車両
5,000
大型車等
4,000
3,000
普通車
2,000
計画交通量
1,000
0
S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
堺泉北有料道路
( 千 台 /年)
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
大型車等
8,000
普通車等
6,000
計画交通量
4,000
2,000
0
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
第二阪奈有料道路
( 千 台 /年)
18,000
16,000
14,000
12,000
大型車等
10,000
軽自動車他
8,000
6,000
普通車
4,000
計画交通量
2,000
0
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
参考-3
H18
H19
H20
H21
H22
南阪奈有料道路
( 千 台 /年)
14,000
12,000
10,000
大型車等
8,000
軽自動車他
6,000
普通車
4,000
計画交通量
2,000
0
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22
箕面有料道路
( 千 台 /年)
2,500
2,000
大型車等
1,500
軽自動車他
1,000
普通車
計画交通量
500
0
H19
H20
H21
H22
参考-4
Fly UP