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第7回 TEACCH Supported Employment Weeklyレポート②
[TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] 2010 年 5 月 15日(土) 高橋亜希子 ★今週の一言 SE での研修 2 週目が終わりました。あっという間に 1 週間が過ぎ去り、こんな調子で 2 カ月過ぎて いくのかと思うと、目も耳もかっぽじって吸収せねばと思っています。 今週は、ロングターンサポート(日本的に言うと、フォローアップ)の担当のキムさんと、1to1モ デルの現場担当のクリスティンさんに同行し、いろんな職場を見せてもらいました。このロングターン は「長期間」という意味ですが、本当に長期間なのに驚きです。長い人で 20 年、10 年と就労を継続し ています。この謎に迫っていきたいと思いますが、まだまだ序の口の気がしています。 さて、職場を見せてもらった中で、ちょっとうれしくなったエピソードを紹介します。L さんは、後述 しますが輸入雑貨や家具・食品を取り扱うお店で働いて 10 年になります。前日のうちに、JC のキムさ んが、インターンの日本人が一緒に行くということを伝えていてくれ(そらそうですね、事前情報が大 切です)また、L さんも日本に興味を持っていたようです。 休憩時間、向かい合って L さんと座りましたが、人がいると 前を向いて座れないようで、悪いなぁと思いながら話しかけて みました。 「働いて何年になるの?」と聞くと「10 年」と答え てくれ、同時に L さんはポケットからメモを取り出し「書いて」 と言うので見ると、質問がいくつか書かれていました。 (これに はちょっと笑ってしまいました、予め質問を用意してはった! 上段の濃く小さい字がLさん)→写真 また、L さんは「こんにちは、どうもありがと、お元気です か」とちょっと自慢げに言ってきれました。私がどこに住んで いるかを聞いて、大阪だと答えると「ショウゴ(か、ショウコ か聞き取れませんでしたが)という友達が神奈川にいる」と教えてくれました。そして、 「アキコも友達 になってくれるか?」 「もちろん!」というやり取りを交わしました。L さんにとって「友達」というの が何かキーワードのようで、ちょっと会ってお話ししただけですが、「友達ができた」ととても喜んで、 私もこの NC の地に来てそんなことを言ってもらえるなんて、うれしく思いました。お店で扱っている 商品でキティちゃんのお菓子があったのですが日本のものと知っていて「かわいい~」と言ってニヤリ としていました。 が、帰り際Lさんがもぞもぞしていて、何かと思ったらJCのキムさんに「アキコの携帯番号を聞い ていいか?」と確認していました。 「アキコに聞いてみて」と言ってすかさずキムさんが私に目配せした のがわかったので、 「携帯電話の番号を教えてください」と言われましたが「私は電話ではうまく英語が しゃべれないの」とお断りしたという結末です。 でも、本当に一応緊急用に使い捨ての携帯電話は持っていますが、英語がうまく聞き取れないし、し ゃべれません。いかに、言語以外のものに頼ってコミュニケーションしているかということですね。 1 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さて、今週は、いろいろ JC の方に質問して TEACCH 部 SE のセクションの組織図と体制がわかっ たので、まずそれを報告します。全体のクライアントの数や現況と今後のビジョンみたいなことはまだ よくはつかめていませんが、おいおい核心に迫っていきたいと思います。 ■TEACCH Supported Employment Program ・ディレクター 1 ・コーディネーター 1 ・JC 8 グループシェア/1to1(ピンク)4 パートタイマー 役割・担当名 ディレクター (オレンジ)1 ロングターンサポート (紫) 2 実習・トレーニング (緑)1 説明 サポーテットエンプロイメント全体の管理・責任者。 企業や外部機関との交渉。 コーディネーター クライアントおよび JC のコーディネーター。主に JC・クライアントのスケジュ ールの管理と個別目標の設定と進捗管理。企業や外部機関との交渉。 ※一般的には、このコーディネーターが広義の JC にあたります JC グループシェア 基本的にいつも現場を担当している JC。 /1to1/モー グループシェアのサイトは 2、1to1 のサイトは3、モービルクルーは 8 件 ビルクルー(4) ※JC(TEACCH では狭義の JC の意味合いで使われています) ロングターン 個別就労をしているクライアントのフォローアップ。 サポート(2) 2 名で 40 ケースほど担当。1 日に3~4件回る。 ※Employment Specialist(TEACCH ではロングターンサポートの担当を指す) 実習・トレーニ お会いしていないので、不明です。 ング(1) ※Vocational Rehabilitation 担当。 上記のように、JC はグループシェア担当と、ロングターンサポートの担当(フォローアップ)、実習 あるいはトレーニング担当と別れているようです。 全体のスケジュール管理とクライアントの目標設定と進捗の管理を、コーディネーターのジェイソン さんが行っていて、SE 全体の週間スケジュールを作成し、それをもとに JC は動いています。 2 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] グループシェア担当の JC は、曜日ごとに担当するサイトがほぼ決まっていますが、JC が休暇をとった り何か別の仕事があったりすると、実習・トレーニング担当かロングターンサポート担当の JC がカバ ーするそうです。 一方、ロングターンサポート担当は、個別就労のフォーアップが中心でほとんどが週に 1 回、いくつ かのケースが 2 週か 3 週に 1 回の訪問をして維持しているそうです。 1、1to1モデル 1to1モデルは、利用者と JC が 1 対 1 の形態です。日本では、このスタイルで長期間続けている というのはほとんどないように思うのですが、しばらく(このしばらくがどのくらいかは未だ不明) こういった就労形態を経て、個別就労で週何回かのフォローアップに移行していくようです。 ・ASNC(ノースカロイナ自閉症協会) 自閉症協会は、ラーレイの街の郵便局の入っているビルの2F にあります。組織的にも大きく、 スタッフも 10 名位いて、それぞれ従業員は個室で仕事をしています。 (アメリカの場合、ほとんど オフィスは1従業員に 1 部屋です)TEACCH とも協力関係にあり、TEACCH の出版している書 籍や検査キットを協会が運営する本屋さんで販売している他、キャンプ場やディプログラ(Creative Living)をもっています。また、後述しますが、協会のキャンプ場でも TEACCH の SE がサポー トし、就労しています。 協会のオフィスでは、55 歳の M さんが午前中3時間、月・水・金の 3 回/週のパートタイムで 働いています(9h/W)。M さんの勤務日は、JC のクリスティンさん担当で、毎回同行していま す。M さんは、ASNC で働いて 2 年と少しになるそうで、以前は他の仕事をしていたそうですが、 年齢のこともありこの仕事に移ったそうです。 M さんの主な業務は、シュレッター、複数のリーフレット のセット・または分解、オーダーシートの指示に従って内容 物をそろえてパッキングし郵便局へ出す、トイレの洗剤・ペ ーパータオルの補充です。 業務にあたっては、クライアントが自分で視覚的構造化の ジグやツールを用意して、自分で片付けるようになっていま す。M さんは、真面目なのですがスケジュールやルーティン が抜けやすく現物に反応してしまい、時々介入が必要なよう です。封筒に数種類のリーフレットを入れる作業の際、細か い材料を入れる箱と完成品を入れる箱を忘れて、作業を初め ていました。それを JC は、この作業のセッティング指示書 を指し「何か忘れているものはない?」と気づかせていまし た。すると、M さんは「あっ!」と気づき、箱を取りにいっ ていました。 リーフレットも 1 枚ずつ入れたら OK ではなく、50 部とか 3 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] 25 部という単位がほとんどで、M さんはジグを使って数えますが、JC はダブルチェックをするよ うに指示をしていました。 また、郵送するものを郵便局へ持っていくのも M さんの仕事ですが、郵便局の窓口の人も「M さ ん、おはよう、ご機嫌いかが?」と声をかけていて、周囲のナチュラルサポートが伺えました。 ・Trader Joe’s(トレーダージョーズ) オーガニックでありながらしかも低価格でとても人気のスー パーです。エコバックのデザインもかわいくて、私もお気に入 りのお店の一つです。カルフォルニアの発祥の店らしくハイビ スカスの花がお店のロゴにもなっていますし、マネージャーと 管理職らしき数人のおじさん従業員はアロハを着て南国ムード な店内です。 チャペルヒルのこのお店では、午後 1 時~5 時の 4 時間、5 日/週、A さんが働いています。 A さんの業務は、商品棚の前だし・整列と店内の冷凍庫や冷蔵庫のガラス拭き、トイレ掃除、ゴ ミの回収カートの整理です。冷凍庫や冷蔵庫のガラス拭きは、曜日毎にどこのセクションを拭くの かが決められています。また、A さんは 30 分だけですが「2ベルタイム」の対応もしています。 「2 ベルタイム」は、レジスタッフがヘルプの時に鳴る合図で(2回はヘルプスタッフを呼ぶ、3回は マネージャーを呼ぶ合図)ヘルプの内容は、主に商品の交換などです。2ベルが鳴ると、「ヘーイ、 2ベル」と言って、声を出して指を2にして上にあげレジへ向かいます。そこで、レジの人のオー ダーを聞いて動くという流れです。A さんが行うには 30 分だけなので(練習中)、毎日 1 回あるか ないかくらいだそうです。その間は、レジ付近の棚の前だし(正面を向ける作業)をします。 A さんは高機能自閉症で、とても記憶がよくほとんど自立して作業しますが、ペースがゆっくり で、店内のお客さんに話しかけられると話題が広がってしまうこともあり「しゃべるのは休憩時間」 とリマインダーが貼られていました。視覚的な構造化は、スケジュールと各作業の手順書が一体化 したものを使っていました。 A さんは、ルームメイトとルームシェアをして生活されているそうで(JC のクリスティンも少し 珍しいケースと教えてくれました)月曜日は業務終了後、買い物をして帰るのが日課になっている とのことでした。 また、感情のコントロールが課題のようで、イライラした時になぜイライラするのかを書くシー トや、JC への質問を書くシートが用意されていました。私が日本から来たインターンだということ を JC のクリスティンが説明すると、 「質問があります」といって「日本の国はいつできましたか? 文字は左から右に書きますか?」と聞かれました。日本の国はいつできたか?なんて…ちょっと思 考が止まってしまいましたが、約 2000 年前といい加減に答えてしまいました(笑)。 ・Wald Market(ワールドマーケット) 輸入雑貨や家具、輸入食品・酒類を取り扱うお店です。ここでは、L さんが朝 9 時~午後 1 時ま での 4h、3 回/週働いています。L さんはもう 10 年働いているそうです。Lさんは、店内全体の 4 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] ゴミ集め、掃き掃除、モップかけ、トイレ掃除とペーパーの補充、コーヒーと紅茶つくり、品だし です。品だしまでは、ほとんど朝のルーティンワークになっていて、10 時までに終わらせます。 10 時~13 時までの 3 時間が品出しです。 朝到着したら、まずは体調チェックをします。時々調子悪いことがあるから体調チェックをして るんですか?JC のキムさんに聞くと「時々じゃなくて、よくあるから」と教えてくれました。もし、 体調が悪く仕事できそうにない時は、家に帰るという判断をJCがしているそうです。 朝の日課の流れは、Lさんの勤務する火・金と木とでは違うので、スケジュールで示されていま す。エプロンのポケットに入れていて、終わったらチェックマークを終わりに移すような形態です。 1 日同行してみてわかったのは、お客さんから○○はないか、 これはいくらかなどの質問をされることが多いのと、商品を出す 際におおよそこのエリアかというのは分かるようですが、既にス トックがたくさんあって棚に並びきらない、どんな風なレイアウ トで置けばいいかなど、コミュニケーションを要する事柄と判断 を必要とすることに関しては、JC のサポートが必要でした。そ のことをJCのキムさんに確認すると、 「That’s right」。Lさん は話しかけられても答えなかったり無視したりがあるし、品出し については自立していない、という答えでした。Lさん自身も、 分からない時・困った時は同僚のキャシーさんに尋ねるということは理解しており、レジ係のキャ シーさんのところへは行きますが、キャシーさんもお客さん対応をしていると作業が停止してしま います。そのために、JCがコミュニケーションと判断の部分のサポートをしているということで した。それでも 10 年続けられているのは、すごいと思いました。日本だと絶対に人件費や本人・ JC にとってもメリットがあるかどうかをすぐに考えてしまうよなぁと思った次第です。 2、グループシェアモデル(ディスパースド エンクレーブ) 先週のレポートの冒頭に就労形態を説明しましたが、ちょっと補足しておきます。このエンクレーブ はグループシェアモデルとも言い、確かに日本でも「グループ就労」と言うのと似ています。昔の書籍 では、エンクレーブとしか書いていなかったように思うのですが、TEACCH のホームページにもリーフ レットにもグループシェアモデルもしくはディスパースド エンクレーブとなっていて、1 か所だけでな く同じ会社の中でも違うポジションで働いていて(会社に JC が 1 名いる)という意味合いです。この 違いを発見したので、お伝えしておきます。 3、個別就労/標準モデル このモデルは、基本的にロングターンサポートの JC が担当です。エンプロメントスペシャリストの キムさんに 3 日間同行して、いろんなサイトのフォローアップに出かけました。1 日に多い時には 5 件 回るそうですが、平均3~4件が平均だそうです。それにしても、車での移動中常に電話をして、トラ ブルのあったクライアントの話を聞いたり、就労している人のお母さんから電話があったりで、本当に 5 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] 忙しくされていました。車でクライアントの就労先から就労先へ移動なので、営業マンのように車がオ フィスのような感じです。また、キムさんは、26 歳になる高機能自閉症の息子さんのお母さんでもある というので、本当にスゴイの一言でした。 ・ノースカロライナ大学 メールルーム 大学内の郵便物が集まる部屋で S さんが働いています。S さんは、月~金 5 日/週の朝 8 時~ 12 時の4h 働いています。もう 10 年半、働いているそうです。 S さんの業務は、出版社などから送られてきた束になった雑誌類をほどいて、まずはサイズと厚 さで仕分けます。規定サイズのものは、ソートする機械にかけるので、機械の前まで運び、大きい サイズのものも仕分けるコーナーへ運びます。それと、量が多い雑誌についてはリサイクルへ回す 流れです。 JC は、ざっとクライアントの働きぶりを見たら、クライアント のスーパーバイザーと(こちらでは、企業側の窓口あるいは担当者 をスーパーバイザーと呼んでいます)に声をかけ様子を聞いていま した。 また、S さんとはコーディネーターが用意した質問シートを使っ て、生活の聞き取りをしてるとのことでした。健康、安全、セキュ リティ、運動、ネグレクト、将来の目標などテーマに質問が 5 つ 程あり、それに沿って聞き取りをしているそうです。時には S さんの仕事終わりに、一緒にランチ をして話を聞くこともあるそうです。 S さんは、とても余暇が充実しており、スポーツが大好きで、スペシャルオリンピックに出場も しているそうです(しかもいろんな競技で) 。ちょうど訪問した前日に携帯が壊れてしまい、新しい 携帯のアラームの操作がわからなかったらしく、JC のキムさんが、朝起きる時間と、仕事の終了 5 分前のアラームセットをしてあげていました。 ・カフェ カロライナ 地元で人気のサラダやタコス、サンドイッチなどのファミレスっぽいお店です。ランチタイムに 訪問したのですが、とても混雑していました。 ここで働く J さんは、 ゴミ捨てと空いたテーブルとイス拭きの業務に携わり 10 時~15 時の5h、 5 日/週で、もう 4 年半になるそうです。J さんのお母さんから JC のキムさんに連絡があり、最 近ランチを食べずに帰ってきているとのことで、その確認の話をマネージャーとしていました。 ・MI(メジャーメント有限会社) ダーラムにある教育関係の調査をしている会社で、8 時半~15 時まで 5 日/週、R さんが 8 年 働いています。主な業務は荷物の仕分けです。9:45、10:45、14:00 とチェックの時間が決まっ ていて、1 日3回の仕分けと、掃除機かけ、キッチンのシンクの掃除を担当しています。 この時間内でちゃんとできているかどうかチェックリストがあるのですが、それがちゃんと書か れていない日がいくつかあり、キムさんはそれを指摘し、本当の時間を正確に書くように促してい 6 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] ました。Rさんのスーパーバイザーのジェフさんは、とても面倒見がいいそうでとても親切とおっ しゃっていました。 R さんも野球や F1、ゴルフ、バスケが大好きで、地元の DUKE 大ブルーデビルの大ファンで、 彼のデスクはそれ一色です。 (大阪でいうと大の阪神ファンですね)同僚の方も、地元での試合の情 報のチラシを R さんに持ってきて見せて、職場に馴染んでいることが伺えました。 ・ノースカロライナ大学のカフェテリアでも 2 人の方が働いていますが、ちょうど今卒業と学年末試 験のシーズンで休みになっているそうで、訪問することができませんでした。このお二人は、この シーズンは、後述の自閉症協会が運営する「CAMP ROYALL」で働くそうです。 ・CAMP Royall 先述のノースカロライナ自閉症協会が運営するキャンプ場です。チャペルヒルの隣町のピッツボ ロにあります。アメリカでは、6 月から 9 月の新学期開始までの間が夏休みに入り、キャンプ場は 繁忙期になります。自閉症協会が運営していて、子どもから大人まで自閉症の人が利用できるキャ ンプ場です。 (一般の団体なども利用できるかどうかは未確認です) ここには、S さんと L さんの 2 人の自閉症の人が働いていて、6 月からは大学のカフェテリアで 働く 2 人も合流するそうです。 S さんは、アスペルガー症候群で、9 時~3時までのパートタイムで、月~金の 5 日/週でサマ ーシーズンの 5 か月程働いています。主な業務は、キッチンの片づけ(食器洗浄、食器や器材の片 づけ、シンク磨き、食堂のテーブル拭き、掃き掃除)と広いキャンプ場の草刈りと整備です。 S さんは、アパートメントで一人暮らしですが、家族との人間関係がうまくいっていないのと寂 しくて、JC のキムさんと訪問すると立て続けにしゃべっていました。少し郊外にあるので、どのよ うに通勤しているのか聞くと、キャンプ場のトラックが S さんのアパートメントまでピックアップ に来てくれるそうです。S さんは、一時的にストレスがたまると、叫んだりすることがあるようで 感情面でのコントロールとサポートが必要とのことでした。 一方、L さんはオールシーズン、10 時~16 時で、週 4(火曜日が休み)で働いています。体育 館、プール、トイレの掃除と各エリアのゴミ捨てがメイン業務です。年齢を聞いてびっくりしまし たが、60 歳近いということで、最近お父さんが亡くなりアパートメントで一人暮らしだそうです。 バスで通勤していますが、今後グループホームに入ることを検討しているそうです。長年働いてい ても、移動式のチェックオフスケジュールを使っていました。 ・Performance Bike 競技用自転車の部品がパッキングされている倉庫で、 積荷の仕事 を J さんがしています。J さんは正社員で、朝 8 時~夕方 6 時ま での 5 日/週、なんと 20 年働いているそうです。 とてもスマートで穏やかな J さんは、ジョージア大の経済学部 卒業で、 訪問した私にも気の遣ってくださり長年のソーシャルスキ ルの積み上げがある印象を受けました。JC のキムさんが J さんに 7 [TEACCH Supported Employment Weekly レポート② ] 「ポケットの中のものをアキコに見せてあげて」と言って見せてくれたのが、ラミネートされたカ ードで「すみませんが、誰か私を手伝ってください。ありがとうございます。」と書いてあります。 J さんの持ち場は、時々作業が込み合いとても忙しくなるそうです。その時に J さんは、そのカー ドを周囲の誰かに渡して、手伝ってもらうそうです。忙しく余裕がなくなると、なかなかうまく援 助を求め難くなるので、書いてあるものを用意しておくことで安心につながるようでした。 J さんにお仕事は好きですか?と質問してみると「基本的には好きだけど、時々ストレスフル」と のことでした。J さんは、同じ ASD のルームメイトと 12 年一緒に暮らしているそうです。 ・Whole Foods(チャペルヒル店) 先週は、ラーレイのホールフーズに訪問しましたが、チャペルヒル店でも 2 人の人が働いていま した。レポート①でも触れましたが、オーガニックのちょっとリッチなスーパーで、野菜や果物も フレッシュで種類も豊富です。 (余談:本で読んだ情報ですが、テンプル・グランディンさんはホー ルフーズがお気に入りだそうです) 女性の M さんは、フルーツをカットする仕事をしています。朝 9 時から3時までの5日/週で、 バスで通勤しています。M さんは、結婚されていてご主人と暮らしているそうです。ほとんど問題 なく働いているそうですが、時々同僚がスパニッシュでスペイン語しか話せないことがあり、その 場合にコミュニケーションがうまくいかずストレスがたまるのでサポートに入るそうです。マネー ジャーに私もごあいさつしましたが、とてもサポーティブな方でした。 それから、男性の W さんは、店舗清掃(モップかけ)やゴミ捨て、カート整理が仕事で店舗全体 を動き回っているそうです。ちょうど、昨日キムさんのとこへWさんのお母さんから、ある同僚の 一人から文句を言われWさんがひどく怒って帰ってきたという連絡があったそうです。私は、プラ イベートな話なのでカフェで待機していましたが、やはりなんかあるとすぐに出向き対応されてい ました。キムさんは、トラブルがあればすぐに職場へ行き、本人と同僚・マネージャーから話を聞 いて、解決に向けてのフォローすることが重要と教えてくれました。 他にも、IBM などの大きな企業が研究所をもつシリコンバレーのようなトライアングルエリアと いう地域があり、そこエリアの会社で研究の実験動物の檻の掃除をしている人などもいるようです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 本当に就労が長期にわたっていることに、再び驚きました。20 年前は 1990 年ですよ。ずっとサ ポートし続けているのは、「人」ではなく「しくみ」で支えているというのを実感しました。 SEの組織図や、どういうスケジュールでJCが動いているのかがわかり、少し視界が開けた感じ がしました。今週は、コーディネーターのジェイソンが 2 週間の休暇をとってバカンスへ行っている ので、今後コーディネーターの役割についても教えてもらいたいと思っています。また、どういうタ イミングや条件でグループシェアモデルからスタンダードモデルに移行するのかも知りたいと思って います。あと、SEではソーシャルクラブも毎月 1 回開催していたそうですが、大学の予算削減の影 響で今年度から開催できなくなったそうです。その代替案をどんな風に考えているのも聞いてみたい ところです。 来週は、メイカンファレンス(TEACCHの年間の実践報告会)に参加予定です。では、また! 8