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結果公表文書
「厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則の一部を改正する省令 (案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について 平成25年6月3日 食 品 安 全 部 監 視 安 全 課 「厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則の一部を改正する省 令(案)」について、平成 25 年4月 25 日から平成 25 年5月 24 日まで、厚生労 働省のホームページを通じて御意見を募集しましたところ、計 69 件の御意見を 頂きました。 お寄せいただきました御意見と、それらに対する回答について、以下のとお り取りまとめました。なお、取りまとめの都合上、頂いた御意見は適宜要約し ております。 1.省令改正に関する御意見(66 件) 2.地方自治体が行う全頭検査見直しに関する御意見(31 件) 3.その他の御意見(41 件) ※ 1通の意見に複数の項目の内容が含まれている場合、項目ごとに重複し て計上しています。そのため、項目ごとの意見数の合計は、69 件を超え ています。 1.省令改正に関する御意見(66 件) (主な御意見) ・改正は、現時点での科学的な知見に基づく検討の結果として理解できる。 ・非定型 BSE については不明瞭な点が多く、食の安心・安全が確保されないことから、30 か月 齢超を継続し、検証してから月齢引上げを行うべき。 ・検査対象月齢の引上げに反対である。 ・消費者が見直し内容や見直しによる影響を理解・納得できるよう、丁寧にリスクコミュニケ ーションを行ってほしい。 ・今回の規制緩和により、消費者の牛肉に対する信頼が損なわれないよう、検査費用、消費者 への情報公開に伴う費用などの財源確保が必要である。 ・食品安全委員会からの答申を受ける前に、改正省令案にかかるパブリックコメントを実施す ることは、食品安全委員会ひいては消費者を軽視した対応である。 ・TPP 推進がらみの規制緩和を前提にした見直しは認められない。 (回答) BSE 対策の開始から 10 年以上が経過し、国内外の BSE のリスクが低下している状況を踏まえ、 最新の科学的知見に基づき、国内検査体制、輸入条件といった対策全般の再評価を行うこととし、 平成 23 年 12 月、食品安全委員会に諮問しました。このうち、国内措置の検査対象月齢について は、①30 か月齢超に引き上げた場合、②国際的な基準を踏まえてさらに月齢の規制閾値を引き 上げた場合について、食品健康影響評価を依頼しました。昨年 10 月、①について、 「「20 か月齢」 の場合と「30 か月齢」の場合の、リスクの差は、あったとしても非常に小さく、人への健康影 響は無視できる」との評価がなされたことを受け、本年2月、検査対象月齢を 30 か月齢超とす る改正を行ったところです(本年4月1日施行)。今般、更なる審議の結果、②について、 「検査 対象月齢を 48 か月齢(4歳)超に引き上げたとしても、人への健康影響は無視できる」との評 価がなされたことを受け、見直しを行うものです。食品安全委員会では、非定型 BSE も含めてリ スクを評価しています(※)。 (※)食品安全委員会のパブリックコメントへの回答より引用 日本で確認された 21 か月齢(定型 BSE)及び 23 か月齢(非定型 BSE)の BSE 陽性牛につい ては、延髄閂部における異常プリオンたん白質の蓄積が定型 BSE 感染牛と比較して 1/1000 程 度とされており、BSE に感染しやすくなるように遺伝子を改変したマウスを用いた脳内接種に よる感染実験を2世代にわたり実施しても感染性は認められなかったことから、人への感染性 も無視できると考えました。 また、非定型 BSE については、飼料規制等によってほぼ制御された定型 BSE とは異なる孤発 性の疾病である可能性が示唆されており、発生が極めてまれで、そのほとんどが8歳以上(6 ~18 歳)の高齢の牛で確認されています。よって、非定型 BSE の発生を把握することについ ては、48 か月齢(4歳)超の牛を検査することによって、十分にカバーされるものと考えら 1 れます。 さらに、現在開催されている OIE 総会において、5月 28 日に、日本を「無視できる BSE リス ク」の国に認定することが決定されたことを踏まえ、国産牛肉の安全性が国内外で確認されてい る状況についても説明しつつ、科学的評価に基づく見直しであることを御理解いただけるよう、 リスクコミュニケーションに努めます。 今回の見直しに当たっては、説明会を東京及び神戸で開催するとともに、地方自治体が開催す る説明会に職員を派遣することにより、説明の機会を増やすよう努めました。また、今後とも、 リスクコミュニケーションなどの必要な予算を確保するよう努めます。 また、パブリックコメントについて定めている行政手続法では、実施時期については特段定め がなく、公示する命令等の案が具体的かつ明確な内容のものでなければならないと定められてい ることから、今回のパブリックコメントについて、行政手続法上の問題はないと考えています。 パブリックコメントの期間については、一般的な1か月という期間を設定させていただきまし た。ただし、BSE 問題に対する関心の高さを考慮し、パブリックコメントを開始した際には、 「牛 海綿状脳症(BSE)対策の見直しに関する意見募集について」でプレスリリースも行い、なるべ く多くの方に情報提供できるよう努めました。 なお、これらの BSE 対策の見直しについては、TPP を巡る議論とは別に、科学的知見に基づき 進めているものです。 2.地方自治体が行う全頭検査見直しに関する御意見(31 件) (主な御意見) ・科学的に安全であれば、検査費用の無駄をなくすため全頭検査は見直すべきである。全国一 斉の実施が不可欠であり、自治体、業界、国民に対して国の指導力が必要だ。 ・全頭検査のコストはわずかなものであり、BSE の危険性除去のためには無視できる程度のもの である。 ・国の予算で全頭検査を継続してほしい。 ・全頭検査をやめる場合には、消費者に不安と懐疑を起こさせないためにも、消費者への正確 な情報提供と全国で統一された検査実施が行われることが必要である。 ・食品安全委員会が BSE 対策の見直しに係る食品健康影響評価②(案)についてパブリックコ メントを募集しているさなかに、厚生労働省が全頭検査見直しについての通知を出したこと は、国民の意見をないがしろにするものであり、また手続き上からも許されない。 (回答) 食品安全委員会の科学的な評価結果で BSE 検査対象月齢を 48 か月齢超に見直し可能とする評 2 価が出されたこと、及び、現在開催されている OIE 総会において、5月 28 日に、日本を「無視 できる BSE リスク」の国に認定することが決定されたことを踏まえると、引き続き全頭検査を継 続することは、国産牛肉の安全性について誤ったメッセージを発信し、流通に混乱をまねくおそ れがあります。 また、地方自治体からは、全国一斉に全頭検査を見直しが行われるよう国が調整してほしいと の要望がありました。 このような状況を踏まえ、7月1日に予定している対象月齢改正の施行の段階で、全地方自治 体が一斉に全頭検査を見直すよう、農林水産省と連名の通知で依頼を行いました。なお、通知発 出の時期については、地方自治体が全頭検査の見直しを行うためには、検査体制の整備や予算の 準備等があり、見直しについて6月議会の前に検討していただくことが必要であることから、4 月 19 日に発出しました。 3.その他の御意見(41 件) (主な御意見) ① BSE 発生のメカニズムや非定型 BSE について、更なる研究・解明が必要である。(11 件) ② SRM の除去、生体検査といったリスク管理措置を今後とも確実に実施すること。(5件) ③ 輸入規制の緩和に反対である。(12 件) ④ TPP 参加交渉などで海外からの輸入牛肉が増えると言われている現状を鑑み、これまで以上 に厳しく検査を実施してほしい。 (1件) ⑤ SRM の範囲の緩和に反対である。(2件) ⑥ 飼料・肥料の規制緩和に反対である。(1件) ⑦ 牛資源の非食用利用(医薬品・化粧品原料等)の安全確保について、国民にわかりやすく まとめた形で情報を開示すべき。 (1件) ⑧ 消費者の選択に資するため、原料原産地表示について、加工食品の対象拡大や外食などに 適用するとともに、米国等で使用が認められている肥育成長ホルモン剤の使用履歴などの表 示を行う必要がある。(7件) ⑨ 今後の長期的な展望に立ったリスク管理のあり方について、ロードマップを作成し、国民 に説明を行うこと。 (1件) (回答) ① これまでも、関係省庁が研究の推進に取り組んできたところです。 厚生労働省においては、厚生労働科学研究等で研究を行い、その研究成果については食品 安全委員会の審議等に活用されてきました。引き続き、必要な研究を推進していきます。 また、食品安全委員会では、平成 25 年度から「ヒト型遺伝子改変マウスを用いた非定型 BSE の人に対する感染リスクの定量的評価」として、農林水産省では、平成 25 年度から「食品の 3 安全性と動物衛生の向上のためのプロジェクト」により、非定型 BSE のリスク、発生機序、 伝達性解明等に関する研究が行われていると聞いています。 ② 今後とも必要な BSE 対策が適切に実施されるよう対応することとしており、今回の検査対象 月齢の見直しを踏まえ、分別管理等の具体的な管理方法を示したガイドラインについても併せ て改正します。 ③ 今回の検査対象月齢の見直しについては、輸入条件の見直しは含んでおりません。なお、輸 入条件の月齢制限についての「国際的な基準を踏まえてさらに月齢の規制閾値を引き上げた場 合のリスク」については現在諮問中という状況ですが、食品安全規制は科学的な知見に基づい て対応することが必要であり、今後とも食品安全委員会の食品健康影響評価の結果を踏まえ、 適切に対応することとしています。 ④ 牛肉を含む食品の輸入時の検査については、輸入届出に基づく審査のほか、必要な検査を実 施しています。牛肉については輸出国政府が対日輸出条件に適合する旨を証明した衛生証明書 関係情報の審査に加え、必要に応じて現場での SRM の混入の有無の検査、残留物質、病原微生 物に関する検査などを実施しています。 ⑤ 今回の見直しについては SRM の範囲の見直しは含んでおりません。なお、本年2月の見直し については、食品安全委員会の科学的な評価で、 「「全月齢」の場合と「30 か月齢超」の場合 のリスクの差は、あったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」とされた頭部 (扁桃除く。 ) 、脊髄及び脊柱について、見直しを行ったものです。 ⑥ 所管の農林水産省に御意見として伝えます。 ⑦ 牛由来の原材料を利用した医薬品等については、薬事法に基づく生物由来原料基準により、 BSE 発生国等を原産国としたウシに由来する原材料等を医薬品などに使用することは原則と して認められていませんが、薬事・食品衛生審議会で個別に評価を行い、治療上の効果が当該 原材料等を用いることによるリスクを上回ると判断され、やむを得ず使用する場合等について は、その使用が認められております。その場合、当該原材料等を使用した医薬品等の一覧につ いては、厚生労働省ホームページにおいて公表し、逐次更新しているところです。さらに、こ れらの医薬品等を使用する患者への情報提供に万全を期すよう、薬事法を所管する医薬食品局 において関係製造販売業者に指導するなどしています。 ⑧ 所管の消費者庁に御意見として伝えます。 4 ⑨ 今回の BSE 対策の再評価については、平成 23 年 12 月の食品安全委員会への諮問から、その プロセスについて詳細に説明してきたところです。厚生労働省としては、今後とも、措置の見 直しに際しては、必要な情報提供に努めることとしています。 5