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議事録(本文)(PDF/394KB)
2014 年度第 2 回 NGO-JICA 協議会 議事録: 田和(JICA 国内事業部) : 時間になりましたので、これより今年度第 2 回 NGO-JICA 協議会を始めたいと思います。 本日は、NGO の方 40 名、JICA 側 48 名、オブザーバーとして外務省認定室から 1 名、計 89 名の方々 にご参加いただいています。それではまず国内事業部長の岩切より開会のご挨拶を申し上げます。 岩切(JICA 国内事業部) : 本日は高松市の香川大学をお借りしての開催です。今回の開催については、特に四国 NGO ネット ワークをはじめ、JICA の四国支部の皆さまにも色々なアレンジをしていただきました。この場を お借りしまして感謝申し上げたいと思います。 今回はこれまで協議会にご参加されたことのないネットワーク NGO のみなさまにも、数多く参加 していただいていると聞いております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 地域の NGO と国内機関との連携を強化するという今回の協議事項は、我々にとっても非常に重要 なテーマです。この議題を四国で協議するというのは、大変時宜を得たものだと思います。今回の 協議会には四国の NGO と全国のネットワーク NGO の方々にも、また JICA の 15 か所の国内拠点から も参加者がありますので、ぜひ活発的な議論をしていただきたいと思います。 協議事項とも関係しますが、今年の年間重点課題となっている「民間連携の進展について」では、 NGO と民間企業の既存の連携案件について分析し、 さらに進展させるような協議を進めております。 本日は連携事例の紹介などを行う予定ですが、今後 NGO、民間企業、JICA とさらに連携を進めてい けるよう、特に地域の皆さんの声をお聞かせいただければ幸いです。 「防災/減災における NGO-JICA 連携強化について」は昨年度から引き続き議題になっていますが、 特に来年の 3 月に仙台で行われる予定の世界防災会議については双方の取り組み状況等を適宜共 有し、可能な範囲で連携していければと考えています。 最後に、今年は国際協力 60 周年ということで、10 月 6 日に開催されるグローバルフェスタをは じめ、多くの関連イベントが全国各地で開催されます。こうした催し物を通して、国際協力への理 解促進に NGO の皆さまと一緒に取り組んでいきたいと思いますので、引き続きによろしくお願いい たします。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。続いて、今回のホストである JICA 四国支部の水谷所長からも一言い ただきたいと思います。 水谷(JICA 四国) : 本日は日本全国から多くの方々にお集まりいただき、本当にありがとうございます。NGO の皆さ まは明日も会議がありますが、ぜひ高松を楽しんでいただければと思います。準備に至らぬ点もあ るかと思いますが、どうかご容赦ください。本日はよろしくお願いいたします。 ~自己紹介~ 1 田和(JICA 国内事業部) それでは議事次第に従って、早速協議事項に入りたいと思います。1 点目は「国内における NGO-JICA 連携」です。龍田さんお願いいたします。 龍田(名古屋 NGO センター) : 資料 1-2 をご覧ください。まず国内における NGO-JICA 連携について説明したいと思います。 このテーマは 2010 年から 3 年間にわたり、様々な角度で実施した調査、問題提起に基づいて、主 に 1)開発教育、2)地域連携、3)国内外の活動連携、4)人材育成、5)国際協力 PR の 5 項目に ついて話し合いを行ってきました。表 1 にこの期間に得られた成果や改善点がまとまっていますの でご確認ください。 それから 1 年あけて、今年度もまた重点課題として扱うことになっています。今回の目標は、多 くの NGO が会議に実質的に参加できるようになることです。ゆくゆくはこういった協議会の場で、 積極的に発言したり、議題を提案できるような足腰の強い NGO が地域からも出てくれば良いと思っ ています。今年はこのための環境づくりに力を入れていくつもりです。 6 月に行われた第 1 回の協議会では、このテーマを重点課題として扱うということについて承認 を得ました。その際にはこれまでの成果と課題について再確認しました。今回は協議会には初めて する方も多いので議論の内容を再々確認します。そしてどうしたら地域の NGO がこの協議会により 積極的に参画できるになれると思うか、地域の NGO の意見を聞きたいと思います。今日特に議論し たい内容は、地域における地域センターと地域ネットワーク NGO との関係性をどうしていくかとい う点です。これについては中部からの先例があるので、地域の関係促進について報告させていただ きます。今日の議論をふまえて、次回以降の協議会ではこれを達成するための具体案について意見 交換ができればと思います。 まず、2010 年度から 2012 年度までの成果と課題について簡単に報告します。この期間で一番進 展したのは、地域開催や TV 会議の活用を通して、各地域の NGO が本会合に参加しやすくなったこ とです。年に 1 回は戦略的な地域開催を行うということで、2011 年度は仙台と名古屋で、その後 は広島、関西で会議が開催されました。 また、これまで公開されていた逐語版の議事録に先駆けて、ダイジェスト版として議事録の速報 が公開されるようになりました。さらに連携の事例集が公開されました。以上が 2012 年度までの 成果です。 次に残された課題についてです。1 点目は JICA に依存した関係性です。四国や中部などの積極 的に対応してくださる担当者の方だと非常に上手くプロジェクトが進むのですが、そうでない方だ とあまり進まないのが現状で悩みの 1 つになっています。2 点目は 1 点目とも関連しますが、地域 間で連携意識に格差があるという課題です。3 点目は中長期的視野に立った連携の改善です。どう いう点を改善していくのか、何が改善されたのかという、いわゆる PCM のようなものがないことが 課題、という意見もありました。4 点目は、中小 NGO 向けのスキーム、制度の欠如です。今年はこ の点が大きく進みそうで、明日全国 NGO ネットワーク会合で JICA の方々に意見を聞いていただく ことになっています。 次に、各地域のネットワーク NGO が、地域センターとの関係性をどう思っているのかについて、 2 報告します。理想の姿としては、地域の NGO が協議会に多数参加し、意見を言えるようになること、 またミニ草の根など地域の中小規模の NGO の参加が望まれる議題に対して多くの NGO が議論に参加 できる体制をつくることという 2 点があります。特に 2 つ目については少しずつ改善できていると 思います。 この 1,2 か月でアンケートを取ったり、意見を聞いたりした中で、地域のネットワークから聞 かれた意見を大きく 2 つに分けて紹介したいと思います。1 つ目に、協議会の参加についてです。 まず、協議会に参加にどうやったら参加できるのかわからないという声がありました。いざ議論に 参加してみても、すでに議論が進んでしまっていると感じたり、内容が把握しきれず、意見が言え なかったりすることがあるようです。また、ネットワーク NGO は意思決定を加盟団体に諮らなけれ ばならない場合が多く、協議会での即時即決の合意ができないという点です。また、1 つの合意で すべてのネットワーク NGO が合意してしまったという風に受け取られるのは困ってしまうという 意見もありました。NGO やそのネットワークはボトムアップ型で、且つアンブレラのような形にな っていないところが特徴で、わかりにくいかもしれませんが、ぜひ理解していただきたい点です。 地域の声を集約する場として、明日開催されるような全国ネットワーク会合を提供していただけ たのは本当にありがたいことです。しかし、参加者の中には、協議会中に意見を持てたとしても、 それをどこに報告すればいいかわからないという声が聞かれました。また、協議会に当日来ただけ では情報不足で、事前に進捗を共有する機会があれば良いと考えている方が多いことがわかりまし た。 次に 2 つ目は各地域センターとの協働関係についてです。このためには、積極的に地域センター と NGO が結び付く環境をつくっていくことが重要であると考えている方がいました。3 年前も同様 の課題が指摘されており、担当者によって進み具合が違うということがわかりました。また、よく 聞かれたのは、外務省の NGO 相談員を受けている NGO は、受託費によって組織基盤がしっかりして くるが、相談員を受託できていないところはネットワークの基盤強化が課題であるという意見です。 相談員の受託はハードルが高くなっているので、こうした空白地帯になにか支えになるものはない かと考えています。 協議会への実質的な参加については、具体的な方法を聞いてみましたが、中小規模の NGO からは なかなか意見が出せないので JICA の地域センターに積極的に出向いていただきたいという意見が 出ました。また、地域拠点から遠い事務所からも参加できるよう、テレビ会議だけではなく、スカ イプなどの通信機器も使うことはできないだろうかという意見もありました。セキュリティの問題 上難しいというのは伺っていたのですが、外に出た時、例えばこのように香川大学を使っていると きは JICA のセキュリティ関係なく会議を行うことができるのではないかと思います。3 つ目は、 地域センターの存在は非常に重要でそこから意見を吸い上げて全体に伝えてほしいということで す。4 つ目は基盤が脆弱であることをどうにかしてほしい、5 つ目は地域開催を積極的に行ってほ しいというところです。今回様々な意見が出ましたが、今日は特に地域センターとの協働の改善に 焦点を当てて議論していきたいと思います。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございます。今日は北海道から沖縄まで様々なネットワーク NGO の方に参加していた だいています。資料の 1-1 には、それぞれの団体の紹介を掲載しております。龍田さんからもあ 3 りました通り、今回は主に JICA の地域センターと各地域の NGO の協働関係をいかに進展させてい くかというところに焦点をあてて意見交換したいと思います。まずは龍田さんより中部からの連携 事例を紹介いただきます。 龍田(名古屋 NGO センター) : 地域連携についてはそれぞれの地域で工夫があり、良い関係性を作っているので、中部の事例が 特に優れているというわけではなく、中部は中部の事例により、このような状況になっている、と いうことをまず申し上げたいと思います。 中部では比較的早い時期から JICA との連携が活発で、2010 年当時から緊密に中部独自の事業や、 県、市を巻き込こむ事業などを行ってきました。このようにパートナーシップが進展していたにも 関わらず、ある時 NGO と JICA との間でパートナーシップを損なうような事態が起きてしまいまし た。このような事態を防ぐためにも、人が変わっても変わらない関係性が必要だということを双方 が認識し、協議会の枠組みを地域にも活用しようという流れで、地域のネットワーク NGO である名 古屋 NGO センターと JICA 中部が主体となって協議の場を設定することになりました。中部の協議 会では、パートナーシップ、地域社会の課題への取り組みを話し合うことを目的に年に 2 回、意見 交換の場を設けており、これまでに計 5 回の協議会が開催されました。次回は 11 月に開催予定で す。 運営方法は、コーディネーター方式をとっており、コーディネーターが NGO と JICA 間にある課 題を月に 1 回か 2 ヵ月に 1 回程度話し合っています。本会合では JICA 中部側から、所長、次長、 課長、そして市民参加推進課の方々にほぼ毎回出席していただいています。NGO 側も地域の NGO 関 係者、名古屋 NGO センターの理事などが参加しており、議事録は JICA 中部のホームページに記載 しています。これまでの成果としては、協働関係についてのハンドブックが完成したことや、地域 の NGO に適した協働とはなにかという協議が恒常的に行われるようになったこと等があげられま す。また、地域の NGO にアンケートを取ったり、ワークショップ形式での意見交換会を行ったりし ています。 定期的にこのような協議の場があるということは、改善を考える場が日常にあるという点におい てで非常に重要だと思います。先ほど申し上げたアンケートでは、私どもの会員団体含む、50 団 体を対象に、電話や訪問で JICA とのスキーム、在外公館、特定のテーマ、研修などについて聞き 取り調査を実施しました。結果をまとめて JICA 中部との協議会で使ったり、草の根の振り返り分 科会の資料として提供したりしてきました。こういったことも一定の関係改善に役立ったと思いま す。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。では次に JICA 中部のから、JICA 中部の連携促進事業についてコメン トお願いします。 小原(JICA 中部) : 中部での協議会を通して、中部地域のネットワーク NGO である NANGOC さんとは非常に良くコミ ュニケーションがとれており、情報共有も進んでいると感じています。先般実施したアンケートで 4 は、個々の NGO の情報やニーズを把握していただくため、NANGOC さんに大変なご尽力をいただき ました。この実施を通して、個々の NGO に対する理解がすごく深まったのも事実です。一方で、課 題としては、NANGOC さんとの関係は緊密にとれているのですが、個々の NGO にとって JICA 中部が まだまだ敷居が高く、アクセスしにくい状況というのがあると思います。今後は個々の NGO にとっ ても近い存在になるために、何ができるかを考えていきたいと思います。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。続いて、四国の事例をご紹介いただきます。 藤野(四国 NGO ネットワーク) : 現在、四国 NGO ネットワークと JICA 四国で連携関係を促進させるために年 2 回、話し合いの場 を持っています。四国 NGO ネットワークは 2004 年の 10 月、任意団体として設立されました。10 年前から NGO と JICA のお互いの情報共有、情報交換を目的にラウンドテーブルという、まさにテ ーブルを囲んで話し合うパートナーシップの構築を行ってきたと聞いています。年に 1 回の時もあ れば 3 回の時もあり、これまでに計 20 回ほど開催されてきました。ほぼ全回、所長と担当者の方 に参加いただいております。これまでラウンドテーブルでは 7 月と 2 月の第 1 土曜日、または日曜 日に開催することになっており、JICA 側も NGO 側もその予定を空けておくことになっています。 その年の JICA、各 NGO の事業報告や事業計画、JICA の動向、各 NGO のイベントや事業の情報をそ こでアナウンスし、情報共有しています。 竹内(えひめグローバルネットワーク) : 補足させていただきます。最初の頃、四国 NGO ネットワークは JICA との間には緊密な連携関係 があり、大学で協働の国際協力論という授業を行っていました。このような協働の事業が連携を強 化していったように思います。しかし JICA 側の制度変化や、四国 NGO ネットワークが任意団体で あることなどから体制が整わず、継続ができなくなってしまいました。国際協力に資する人材育成 がしたいという目的が組織を超えて共有され、協働事業を行ったこと、また、そこに大学が絡んで いたという点もよかったのではないかと思います。地域の連携を促進していく上でのヒントになる と思います。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。四国支部からのコメントはいかがでしょうか。 尾上(JICA 四国) : 今ご紹介がありました通り、10 年前にラウンドテーブルという話し合いの場が整いました。日 ごろからの緩くつながっておこう、関係を持っておこうという趣旨で始まった試みです。開始から もう 10 年目になりますが、JICA 側にとっても NGO の活動や動向を直接聞けるという点において非 常に有益な機会となっています。普段はなかなかこのような機会のない我々ですが、ラウンドテー ブルを通して、 NGO がどのような活動を行っているのかを知り、連携の機会を探ることができます。 JICA 側からも JICA の活動や最新情報を提供し、 ネットワークの中で共有させていただいています。 5 竹内さんがふれた大学講座における連携は、形こそ変わりましたが今でも残っています。今後何 ができるのか、ラウンドテーブル等の場を通して、検討していきたいと思います。また、名古屋の 事例の話を聞いていて、四国で実施しているラウンドテーブルについて、その意味等を紙にしてお くことの必要性があるのではと感じました。以上です。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。これから意見交換に入りますが、特に地域において NGO と JICA の協 働関係を促進するためのご意見やご質問等ありますでしょうか?他のネットワーク NGO からも、連 携事例があればご紹介をお願いします。 鶴見(JANIC) : 先ほど、本会合が始まる前に NGO 間で話し合い、龍田さんからの問題意識を共有しました。そして 我々NGO の中でも意見を共有できていないことがありましたので、十分に意思の疎通ができる仕組 みを考えなければいけないと考え、これからの協議に参加したいと思いました。 渡部(広島 NGO ネットワーク) : 1 つお聞きします。国際協力推進員が各地にいらっしゃいます。今日も会議にいらしているよう ですが、推進員は私たちにとって一番身近な存在です。国際協力推進員と地域センターの関係や国 際協力推進員の仕事の内容などを教えていただきたいです。もしかすると、色々な地域によって推 進員の仕事の内容が違うのではないかと感じております。中国では青年海外協力隊の募集を熱心に やっておられるのですが、実際の仕事内容はどのようなものなのでしょうか。 田和(JICA 国内事業部) ありがとうございます。国際協力推進員の仕事内容についてのご質問と理解いたしました。JICA 側から返答をお願いします。 尾上(JICA 四国) : なんでもやっています、というのが答えになるかと思います。四国地域には 15 人の推進員がお りますが、高松からは徳島まで 1 時間半、愛媛まで 3 時間半かかるため、直接出向くことはなかな か難しいのが現状です。各県に派遣されている推進員の仕事は、JICA、協力隊等について、地元の 情報を伝えること、また地元の NGO と会って話をすることではないかと思います。もちろん 1 人で 対応できることは限られていますので、何人かで出向いて連携の機会などを作り出していくという ことも仕事だと思っています。 岩切(JICA 国内事業部) : 歴史的に申し上げますと、10 数年前まで推進員の数はそれほど多くはなく、各センターに 1 名 程度の配置でした。しかし、意義が認められ、また、ニーズが高かったこともあったことから、現 在は原則、県に 1 人、政令指定都市等にも 1 人を配置しているケースがあります。メインの仕事は、 各地域に根差した国際協力の推進で、地方自治体、大学、小中高の教育機関との様々な連携、例え 6 ば開発教育の講演、ODA の広報も行っています。これまでは青年海外協力隊の OG、OB が中心に活 躍いただいていたのですが、最近我々が求めるパートナーが広くなってきているので、民間企業で 働いていた人など様々な経歴を持っている方々も採用されているケースが出てきています。任期は 3 年です。 渡部(広島 NGO ネットワーク) : ありがとうございます。私たちのような小さな NGO にとって、推進委員さんはまさに「JICA の 顔」となる存在です。ところが、推進員さんたちはこの協議会で話し合われている内容や JICA 基 金のことを全くご存じないということもあります。推進委員の皆さんが繋ぐ役割だけでなく、私た ちの質問や相談にも答えていただけるような形に少しずつ変えていっていただけるともっと色々 な点での連携が進んでいくのではいかと思います。 岩切(JICA 国内事業部) : 貴重なご意見をありがとうございました。年に 1 回は国際協力推進員の会議を一同に集めて、 JICA の全体の大きな流れなどの共有をしておりますが、今後も情報共有を徹底して行いたいと思 います。経験年数も違うので人によっては対応に不足があったかもしれませんが、JICA としては 国際協力推進員が地域のワンストップサービスになってほしいと考えております。私自身も JICA のすべてをご説明することはできませんので、推進員にもこれを求めることはできませんが、一通 りの説明はしっかりできるようになった上で、それ以外のところは管轄部署に取り次ぐという形で 対応できればサービス向上につながると思います。いただいたご意見はぜひ参考にさせていただき たいと思います。 内藤(JICA 中国) 渡部さんはいつも広島市内で広島の推進員と非常に緊密な連携をとってくださっているように 感じています。推進員と地方センターの役割分担もありますので、中国地域では主な業務として出 前講座を中心とした開発教育と協力隊事業の広報を中心に取り組んでもらっています。たとえば草 の根技術協力事業を始めとする NGO との関係、それから中小企業支援に関することは中国センター の方に繋いでくださいという話をしているので、JICA 基金の話等も詳しいところはセンターにお 問い合わせいただいた方が良いと思います。我々JICA 中国と推進員の間ではそのような整理にな っております。 小俣(横浜 NGO 連絡会) : 龍田さんの資料の中でも、ネットワーク NGO と NGO 相談員の関係、それから JICA との連携の話 がありましたが、私も数年の NGO 相談員を担っており、連携は進んでいると実感しています。推進 員さんとお仕事させていただく機会も増えました。もちろん最初は NGO をご存知でない方も多いの ですが、彼らに NGO のことをお伝えするのもネットワーク NGO の仕事であると考えています。 横浜では名古屋や四国のような地域協議会の開催はありませんが、JICA 横浜と横浜 NGO 連絡会 の間では月 1 回の定例会を開催しています。また、月 1 回のものとは別に、JICA とネットワーク NGO の連携の問題を話し合っています。横浜でも協議会をやりたいという話も出ているので、先行 7 事例から勉強させていただきたいと思いますし、またこのような動きが各地に広がっていけばいい と思います。 新田(セカンド・ハンド) : 前回のラウンドテーブルでも NGO 側の方から JICA の方にお願いしたのですが、推進員にはぜひ 会議に出てきていただきたいと思います。過去にもこのような話が出た時に推進員が ODA の広報や 出前講座に行く際には NGO にも声をかけてほしいとお願いして、一時期はそれが実践されていたの ですが、ここ数年は途切れてしまっています。国際協力の裾野を広げるというのは ODA の広報だけ ではないと思います。講座を受ける側にとっても、地域の NGO を知ることは有益だと思いますので、 ぜひ NGO と積極的に連携していただきたいと思います。 竹内(えひめグローバルネットワーク) : えひめグローバルネットワークでも、外務省 NGO 相談員を受託していますが、今年度は相談員の 方からの要望で、外務省経由で文科省に外務省 NGO 相談員の活用を促すレター出していただきまし た。外務省から文科省へ、文科省から各県に送っているので市長教育委員会に届いていると思うの ですが、四国内の教育委員会から NGO や制度について問い合わせがあり、現場で国際理解教育の一 つとして役立てようという動きが出ている状況です。地域の NGO と推進員が一体となって国際理解 教育を進めていく必要があると思っています。国際の現場は非常に幅広く、先生が困ってしまうの が現状です。地域のニーズにも応えるということで連携を提案したいと思います。 これまで、四国、名古屋での事例、また横浜からも今後地域での定期協議会をやりたいという話 が出ていましたが、これは JICA 全体として進めていくというふうには決まっていかないものなの でしょうか。例えば推進員の皆さんと NGO は連携して国際理解教育やりましょうという合意のよう な、お互いの努力項目として決めていけるようなものは作れないでしょうか。積極的に連携できる ような議題に挙がっていったら良いと思います。 前田(高知希望工程基金会): 先ほどお 2 人がおっしゃった内容について、高地では推進員から提案が来ており、うまくいくの ではないかと思います。NGO にも色々ありますので、推進員が NGO をチェックするという意味でも 有益なのではないかと思います。全国の推進員のユニークな成功例を新任の国際協力推進員の方に 共有してほしいと思います。1 年に 1 回の全国から推進員が集まる場では、定例的なものになって しまいますので、ぜひ具体的な成功例を渡してあげてください。 田和(JICA 国内事業部) : ご意見、ご提案ありがとうございます。それでは JICA 側より返答をお願いいたします。 岩切(JICA 国内事業部) : 竹内さんからのご発言にあった、国際理解教育で NGO と協働するという話は我々も検討しており ます。個人的な意見を申し上げるのもまずいと思うのですが、国際理解教育の在り方そのものを、 私自身も所掌の立場から見た時に、現場の経験を話すのも非常に重要な教育活動の一環だと思うの 8 ですが、国の予算を使いながらこれを行う上では、講座の開催数、対象人数を単純に増やしていく だけではなく、その先の成果、例えば青年海外協力の募集が増えた、あるいは全体的に世論調査で ODA や NGO に対する理解が深まる等が当然求められてきます。したがって、NGO の皆さんと連携し た際に、その相乗効果が一般の皆さんにも説明ができるかどうか、という点も合わせて検討させて いただきたいと思います。その場合、ただ単に ODA そのものを広報するということではなくて、も う一方の担い手である NGO についても合わせて伝えていくという情報伝達の方法も検討したいと 思います。 次に前田さんからのご意見について、引継ぎの課題はよく話に挙がっており、前任から後任への 引継ぎ期間を長くしてほしいという議論が JICA 内でも出ています。予算の都合上、それほど長い 引き継ぎの時間を取れないという現実がありますが、必要最低限度の情報共有はやるようにはして います。推進員によって、それぞれのやり方、エンジンのかかり方の速さ、遅さが様々ですので、 カラーはいろいろ出てくるとは思いますが、あまり個人差が出ないような、一定のクオリティを保 てるような方法を検討させていただいています。これについては次回の協議会の時までに検討し、 また結果を報告したいと思います。 田和(JICA 国内事業部) : 他にはいかがでしょうか? 西井(名古屋 NGO センター): 議論が各地域との連携をどう作っていくかという点に集中していましたが、NGO-JICA 協議会の 実質的な参加ということに関してはどうでしょうか。今後協議をするということでしたが、その方 向性等、事前会議でもし話し合われたようでしたら共有いただけると助かります。 鶴見(JANIC) : 我々サイドでは、NGO 側のネットワークの意思統一、意見を交わすうえでのガバナンスの見直し が必要だという議論がありました。JICA の提携のさらによいパートナーとして、位置づけられる 努力をしようという話です。 龍田(名古屋 NGO センター): ネットワーク NGO 同士、情報共有する場がないのが現状なので、NGO 側の意思を統一しつつ、ま たその際には JICA にもご協力していただくということが挙がりました。 西井(名古屋 NGO センター) : NGO の中での意思疎通を重ねて、各地域からの意見を集約するための組織としての進め方につい て検討、見直しされるということについて期待したいと思います。龍田さんが作られた資料には 様々なネットワーク NGO の声が列挙されていますが、特に共同寄付キャンペーンについて協議を深 めていただいて、齟齬がないようなコミュニケーションをとっていただければと思います。 田和(JICA 国内事業部) : 9 活発なご議論ありがとうございました。国内における NGO-JICA 連携について 1 時間協議してき ましたが、最後に JICA 本部の上級審議役である小西から一言コメントいたします。 小西(JICA 上級審議役) : 今日の皆さんのお話を聞いていてポイントとなるキーワードは 2 点あると考えました。まず 1 点 目はガバナンスの問題です。先ほど、対応者が変われば JICA の対応の仕方が変わる、あるいは推 進員によってはなかなか期待通りの対応をしてもらえないという話がありましたが、ガバナンスに ついては、皆さんの期待により応えられるようになるか検討していきたいと思います。 協議会における NGO 側のガバナンスについても意見がありましたが、これについてはぜひ皆さん の中で情報を共有し、意見交換を活発にできるような体制を整えていただければと思います。 2 点目のキーワードは、情報共有、意見交換、コミュニケーションの重要さです。色々なアイデ ィアがありすでに実践されてきているものも多くあると思います。このようなアイディアはニーズ から出てくるものだと思います。JICA 側から皆さんにご提案するのは難しいと思いますので、む しろ皆さんが、日ごろ活動をされている中で、いろんなアイディアを JICA に持ち込んでいただき、 一緒にできることを探っていく場ができればよいと思います。そういう場ができるようにこちらも 考えたいと思いますが、NGO の皆さんの方で、こういうアイディアがあるのではないかというのを ぜひ積極的にお知らせいただきたいと思います。 最後に私自身の感想ですが、今回初めてテレビ会議に参加してみて、テレビ会議の限界を感じた 次第です。本会合の場に出ていると雰囲気や実感が伝わってきます。もちろん、テレビ会議でも情 報は伝わってくるのですが、やはり少し違うものがあるなと感じました。いつもテレビ会議で参加 されている方々は、私が今感じているような少し離れた感じをいつも感じているのではと思います。 この意味で年に 1 度の地域会合は大変良い試みですので、これからもぜひ有効活用して地域の方々 の声をできるだけ多く拾っていければと思いますし、普段本会議に参加できない方々からは、より 積極的に色んなことを発言いただきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。それではこれより休憩に入ります。 休憩 田和(JICA 国内事業部) : それでは報告事項に移ります。最初に関西 NGO 協議会の村井さんから「防災/減災における NGO-JICA 連携強化について」お願いいたします。 村井(関西 NGO 協議会) : 本議題は、昨年から 2 年連続で重点課題として協議を続けてきたものです。 「防災/減災の主流化」 という言葉が普通に使われるようになってきているように、日本は災害が多く、この分野に関する 知見を多く有する国です。東日本大震災を経て、現在はこの知見を特に海外の途上国において、い かに活かすかが問われています。 10 協議会ではこれまでに JICA、NGO 双方の特性が活かされた本分野の事例を発表し合い、連携の可 能性の洗い出しを行ってきました。最終的には課題を①人材不足、②災害時の際の人材確保改善、 ③世界防災会議に向けた日本からの発信の 3 点に整理し、それぞれにかかる連携分野として、①の 人材不足については、人材育成で JICA が積極的に行っている防災研修にまず NGO が参加させてい ただいて、色々なケースを学ぼうという協議を、また②の災害時の際の人材確保改善については JICA のパートナーというサイトの仕組みを活用して、災害時に適材適所の人材が必要となった場 合に迅速かつ効率的な制度が整えられないか、という協議を行ってきました。また、③の世界防災 会議に向けた日本からの発信については、当初 NGO と JICA が共同提案のようなものができないの かという方向で意見交換をしてきたのですが、現在は防災会議に NGO 側が開催する市民防災世界会 議の中でのイベント共催等が模索されていると聞いています。 私からはまず、①の人材育成について進捗をご報告いたします。資料の 2-2 として、昨年度実 施された JICA 関連の研修のうち、NGO にも有益と思われるプログラムをピックアップしていただ いたものをお配りしています。たとえば、コミュニティ防災については、これを得意とする神戸市 が実施している災害に強いまちづくり戦略などに参加することによって、大きな学びを得られるの ではないかと思います。 ただ参加するにあたっては、いくつかの条件、お互いの遵守事項のようなものが必要だと思いま すので、今後はそのあたりを次回のコーディネーター会議等で話し合い、第 3 回の協議会で提案す るという流れになると思います。例えば高知などの視察は人気が高いので、NGO の参加人数に制限 が設けられる可能性が高い等、視察の受け入れ側によって合わせなければいけないという事情があ ります。また研修に参加するにあたって、使用言語は英語であるという条件も挙げられます。希望 としては、今年度中に 1 度、パイロット的に NGO の参加ができるようにお願いしています。 それでは次は②のパートナーの活用と改善について、人材部の宮川さんお願いします。 宮川(JICA 国際協力部) : NGO の皆さまにはいつもパートナーをご利用いただき、ありがとうございます。今回の協議会で は、先回の協議会からの進展、変更について報告いたします。資料 2-3 をご覧ください。前回の話 では、災害が発生したときにこの制度がどのように機能するかをご説明しましたが、その後、個別 協議で検討した結果、災害が発生してから専用ページを立ち上げるのではなく、平時から常設のペ ージを設けておくこととなりました。平時よりパートナートップページから当該ページへアクセス できるようにしておくことで、本制度の存在をより広く周知できると考えます。 平常時に常設サイトには何を載せるのかと申し上げますと、制度の説明、使い方や、防災減災に 関する研修情報を掲載したいと考えております。登録人材には本制度の活用について意志を確認し、 意志があると答えた方々に対しては、研修情報に更新があれば 1 日に 1 回、既存のパートナーエク スプレスを活用して情報がまとめて送られるという仕組みになります。 パートナーでは、あくまで自己申告で経歴等を登録いただいていますが、本制度を提案された際 のもともとの意図は「災害時に経験がある方を迅速かつ効率的に集めたい」ということでしたので、 猫の手も借りたい、といったような募集ばかりが掲載されるという状況を避けるという意味で、災 害時に必要とされる人材の質や能力も合わせて掲載したいと考えています。これらを読み、十分に 制度の趣旨や求められる資質をご理解いただいた方に、参加の意志表明をいただきたいと思ってい 11 ます。 発災時に制度事務局からトリガーが引かれると、常設ページには研修情報のほかに求人情報が掲 載され、パートナーを通して求人情報が逐次更新されていくという仕組みです。現在、東日本大震 災に関する求人を集めた特設のページがあるのですが、現状では求人情報をただ並べている状態な ので、常設サイトでは、職種等についても使いやすく分類して掲載する案も出ています。 平常時の求める人材像の案や研修情報や求人情報の掲載方法に関しては、今後制度事務局の方々 と話し合い、詰めていきたいと思っています。また、常設サイトが完成した暁には、是非 NGO の皆 さんの間でもこういう制度が出来上がったということを宣伝していただきたいと思います。JICA でも、パートナーのメルマガ等をつかって広く広報したいと考えています。以上です。 山口(JANIC) : ありがとうございます。制度事務局については、本制度の提案者である JANIC が務めることが先 回の協議会で合意されています。また、首都直下型地震等で関東圏が被災して JANIC が機能しなく なった場合の補強として関西 NGO 協議会や名古屋 NGO センターにも協力していただくことになって います。この制度は、東日本大震災の時に、NGO が迅速かつ効率的に人材確保が出来なかったとい う課題を元に JICA に協力をお願いし、具体化が進んできました。この場をお借りして、御礼申し 上げます。次にいつ起こるかわからない大規模災害に備えるシステムができることに非常に期待し ています。 村井(関西 NGO センター) : ありがとうございました。話が前後してしまい申し訳ありませんが、①の研修での連携について も、JICA 側から何か補足等があればお願いいたします。 酒本(JICA 関西) : 村井さんの説明で内容はほぼ網羅されていたのですが、少し補足させていただきますと、私たち の基本的な姿勢は、NGO の方に有益と思われる部分にオブザーバーとして参加いただくということ に歓迎で、NGO の能力強化に多少なりともつながるのならば是非有効に活用していただきたいと考 えています。 当初は最初から最後まで参加するという提案もありましたが、NGO の方も 1 か月、2 か月 JICA の 研修に張り付きで参加するのも難しいと思いますし、すべてのプログラムが日本の NGO にとって有 益かというと、そうでない部分もあると思いますので、ご要望を伺いながら、有益と思われる部分 をピックアップし、参加いただくという形で整理しています。ただ、これらの研修は主に途上国の 行政官を対象として組んでいるので、必ずしも日本の NGO の関心に沿うかどうか我々にもわかりま せん。従って、まずはパイロット的に参加していただき、このようなコマなら参加しなくてよかっ た、こういうコマも作ってほしいなどの意見を交換できる場を作れればと思っています。JICA 関 西で行うプログラムに関しては、基本的に特に参加費は発生しません。しかし、地方視察などで移 動や宿泊が伴う場合は、自己負担で参加していただくことになります。参加にあたっては保険をか けたり、お互いの合意のために一筆交わしたりというような事務的な手続きが必要になりますので、 細かい調整を進めております。以上です。 12 村井(関西 NGO センター) : ありがとうございました。それでは最後に③の世界防災会議に向けた日本からの発信について、 JCC2015 の合田さんお願いします。 合田(2015 防災世界会議日本 CSO ネットワーク) : JCC2015 では、国連防災世界会議の中の目玉企画の 1 つとして、市民防災世界会議の開催を企画 しています。前回の会議で、JANIC の田島さんから紹介があったと聞いていますが、今日はその後 の進捗について個別協議の報告をいたします。 JCC2015 は、東北で活動した日本にベースを置く 95 団体によるネットワークです。来年 3 月の 会議に向け、東日本大震災の現場で行った市民の声を世界の防災に活かしたいというところから、 これまで様々な関連の国際会議に参加しつつ準備を進めてきました。JANIC、CWS Japan、ピースボ ート災害ボランティアセンター、ふくしま地球市民発電所の 4 団体を共同事務局とし、幹事団体、 参加団体等がいます。また、海外のパートナー団体として、防災の NGO ネットワークでは一番大き く約 90 カ国のネットワークである GNDR、アジア地域の防災ネットワークである ADRRN、コミュニ ティレジリエンスに特化している Huairou Commission とも協定を結び、来年 3 月の会議に向けて 活動しています。これまでアジア閣僚級会議やジュネーブの準備会合では日本からの声をまとめて 海外のパートナー団体と共同で世界の市民のポジションペーパーを作り、ポスト兵庫行動枠組み (HFA2)に市民の声が反映されるよう働きかけています。メジャーグループのオーガナイジングパ ートナー、つまり NGO 側の公式開催パートナーとして、ISDR や日本含む 11 か国の議長国と一緒に 話し合いながら HFA2 の策定に向けて話し合いを進めています。 国連防災世界会議ではクローズドなセッションと合わせて、一般市民が参加できるパブリックフ ォーラムというものが開催されますが、これについては現在、国際センター、展示施設、またパブ リックフォーラムという複数の施設に分かれてプログラムが策定されているところです。国連主導 の会議の内容と市民社会側の取り組みに分断がないように、また国連の会議には世界から 5 千人か ら 8 千人くらい防災の関係者が来日されるということですので、その方々の知見をパブリックフォ ーラムでも披露してもらう、また反対に日本の市民からの発信も見ていただこう、という方向で調 整が進んでいます。 先回の国連防災世界会議は 2005 年に神戸で行われましたが、課題として防災関係者だけの会議 になってしまったということが挙げられます。同じように日本のホストで開催されたのが京都での 地球温暖化会議ですが、京都議定書は一般の市民からの認知度も比較的高いに比べ、HFA はほとん ど知られていません。先回の会議をきっかけに市民側で、国連とのパートナーについての防災 NGO ネットワークを作るという動きがあり GNDR ができました。防災会議は日本がホストであったのに も関わらず、GNDR には参加している日本の団体は去年までゼロで、十分に主導権を持ちきること ができなかったというのが反省点です。今回の会議ではこれを挽回したいと考えています。 もう 1 点、2005 年の会議と少し違うのは、当時は 1995 年の阪神淡路大震災の 10 周年だったこ ともあり、復興も多少落ち着いて、防災に目がいきやすい状況だったのに比べ、今回東北の、特に 沿岸部の方と話していると、まだまだ復興の方が目前の関心事項となっている点です。従って、会 議の内容に自分たちの東北の復興のために何が学べるのかといった視点を入れ込まなければ、住民 13 感情と離れた会議になってしまうことが予測できます。これを解消する方法として、市民防災世界 会議では「女性と防災」 、 「市民協働と防災」という 2 つのテーマ館を作っていますが、これは仙台 市の準備室から民間に委託されている施設で、自由度も高いため、市民の声をここで出していくべ きだろうと思っています。日本では防災、減災について自助・共助・公助のバランスを保たなけれ ばいけないという考え方が定着しています。自助や共助は民間や市民が参加するからこそ成り立つ ものですが、これらのアクターが参加しない、できない会議になってしまえばこの部分があまり議 論されない会議になってしまいます。この意味からも、国連世界防災会議を市民にも開かれた、参 加しやすい会議にしていきたいと思っています。 市民防災と協働のテーマ館は、仙台市の市民サポートセンターという建物全体を会場とし、会議 期間中には地域の NPO や自治会が色々なイベントを開催します。研究者が発表するパブリックフォ ーラムよりも、より地域向けの内容で、14 日、15 日、16 日の会議の初めの 3 日間、1 日 3 枠ずつ の「市民防災世界会議」を実施したいと考えています。例えば初日は世界の災害と日本の災害の類 似点、相違点をもとに、世界の防災と日本の防災を繋げるような内容にできればと考えています。 東北の復興の話は本体会議では出ないと思われますので、この市民防災世界会議の中でディスカッ ションのテーマとしたり、世界の市民の対話の場になるような 3 日間にしたいと思います。 最終日には、メインイベントとして、1000 人規模の会場を借り、パブリックフォーラムを開催 する予定です。このパブリックフォーラムでは震災で復活した、子どもたちの伝統芸能などの披露 を挟みつつ、被災した若者の発表やシンポジウムを行い、可能であれば最後に「仙台市民防災世界 宣言」というような市民側の宣言を取りまとめたいと考えています。世界防災市民会議に関しては、 まだまだこれから詳細を詰めていく段階ですが、仙台市とは既に話をしており、実施自体は決まっ ています。この中で、例えば JICA 側からパネリストを出していただきたいところや、海外からゲ ストの招聘、展示物を決めていく中で、協力してもらいたいこと、逆にこちらからできることをこ の後の個別協議で出していければと思います。以上です。 村井(関西 NGO センター) : ありがとうございました。特にこの本協議会のテーマである、NGO と JICA という部分では、最 後に説明のあった市民防災世界会議の中でどのように JICA と協働できるか個別協議が持たれてい ると聞いています。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。今のご発表内容について、ご質問ある方はいらっしゃいますでしょう か? それでは報告事項の 2 番目「民間連携の進展について」JICA 国内事業部の中山さんお願いいた します。 中山(国内事業部) : 資料 3-1 をご覧ください。先回は外務省が実施したニーズ調査の結果、JICA が実施する制度の 紹介を行いました。今回は具体的な事例紹介と、今後実施するアンケート、ヒアリング調査の概要 を報告します。第 3 回では、アンケートヒアリング調査の結果を分析した上で、今後どういったア 14 プローチで企業や NGO に調査結果を紹介していけばいいのか、民間連携事業部会内での議論結果を 共有したいと思います。また、アンケートの結果も踏まえて NGO、企業向けのセミナーを開いてい きたいと考えておりますので、第 4 回ではこの報告を行いたいと考えています。 今後実施する調査は対象別に大きく 2 つに分かれており、すでに企業との連携案件を持つ団体へ のアンケートと、今後のポテンシャル層に対するアンケートです。前者については、すでに情報が そろっているものも多いため、必要に応じてこれを補完するようなヒアリングを実施します。 それではアンケートの前段階として、どのような既存の案件があるか、2 件の事例をご紹介した いと思います。1 つ目は、喜多機械産業株式会社という徳島の企業、コンサルタントとして四国電 力株式会社、そして NGO の ICAN が連携しているものです。フィリピンでは未電化村落が多くあり、 電気料金が高いティーゼル発電に依存しているため、住民の家計を圧迫しているという状況があり ます。この事業では未電化の村落に小水力水車発電機を設置し、電化することによって地域開発を 行うことを目的にしています。小水力水車発電機の他にも、小規模飲料水浄化システムや LED ライ トの設置が予定されています。NGO との連携内容としては、電力機材の維持管理の方法、共同利益 の管理となっています。この案件における連携の特徴としては、NGO が外部人材として参画してい ることが挙げられます。1 月/人程度、フィリピンのマニラ在住の ICAN の方が入っています。ICAN はフィリピンの、特に村落地域での開発プロジェクトを多数手掛けており、一方で企業側は営業拠 点が四国であり、海外での経験が多くはないと聞いております。したがって、この事業を実施する にあたっては、政府や村の住民との対話を行う際のノウハウや、村民の組織化を含む機材設備設置 後の維持管理方法を検討するうえで、ICAN の知見が活かされています。 事例 2 つ目は、山口県の多機能フィルターという 50 名弱の企業と山口大学、バリ島の森を考え る会の連携による事業です。特徴としては、事業の枠外でバリ島の森を考える会と連携している点 が挙げられます。多機能フィルターが製造している商品の中に斜面に施工する雨風から土壌の保護 するフィルムシートがあります。フィルムシートには種バッグがついており、荒廃地の緑化にも貢 献するつくりになっており、洪水や地滑りが頻繁に発生するインドネシアではこれが自然災害の対 策にもなります。多機能フィルターは、現地住民の環境教育の一環として植樹祭を実施し、その際 にバリ島の森を考える会と連携しました。バリ島の森を考える会は、植林事業をメインに行う団体 なので、植林にかかる技術、ノウハウを提供したり、従来団体が有していたネットワークを活かし て、現地の高校生や住民の参加を促したりしています。 資料の 3-3 に連携案件の一覧をまとめています。これらの案件を中心に調査、分析を行い、連 携の経緯や企業、NGO のメリットを把握することで連携のパターン化のようなものができればよい と考えています。それでは次に民間連携事業部からの発表です。 神谷(JICA 民間連携事業部) : BOP ビジネスの実現に向けて実施している協力準備調査(BOP ビジネス連携促進)において、民 間企業と NGO/NPO が連携している事例をご紹介いたします。資料 3-3 の裏面をご覧ください。民 間連携事業 17 件ほどリストアップしてありますが、その中の 17 番、富国生命保険総合会社がバン グラデシュで行っているマイクロ保険事業にかかる事業準備調査についてご紹介します。この事業 は、BOP 層を含めニーズが増えている規模の小さいマイクロ保険を現地のマイクロファイナンス機 関と連携し提供するもので、プラネットファイナンスジャパンが事業主体として富国生命と事業に 15 参画しています。 次の 18 番の事例は、高付加価値農産加工品事業準備調査というもので、愛知県の三井食品工業 株式会社がラブグリーンジャパンと連携している事例です。ラブグリーンジャパンは、草の根技術 協力の事業で現地の野菜栽培の指導に取り組んでいるのですが、この事業で生産された野菜を三井 食品業株式会社の加工技術を活用し、BOP 層を含む一般市民向けに販売を行うという連携です。NGO の知見を活用し、現地の人々が生産技術を高めることによって加工食品の販売を展開できるように すること、また質の良い野菜の確保や野菜のロス削減を目的としています。以上です。 鶴見(JANIC) : 事例を 4 件ご紹介いただきましたが、私からはアンケート調査の概要とその設問内容案について 簡単にご紹介します。資料の 3-4-1 をご覧ください。調査の目的は、NGO・NPO と民間企業の連 携を促進するために有効な連携方法や課題を特定することです。先ほど中山さんからもあった通り、 アンケートの対象は 2 種類で、すでに実績のある企業、NGO 宛にやる設問と、実績のないところに 宛ての設問があります。それぞれ 3 つの視点、計 6 点の視点から NGO と JICA で意見を踏襲して作 成したアンケート設問案を 3-4-2 に掲載しています。時間の関係上、内容をご紹介することは避け ますが、ぜひ一度お読みになり、ご意見や修正案を 10 月の末までにメールでいただきたいと思い ます。いただいたご意見を元に最終化し、アンケート、ヒアリングを実施したいと思います。最後 に、JICA の方にお願いしたいことがいくつかあります。今回実績をご紹介いただきましたが、平 成 25 年、26 年の採択件数について、実際にどれくらいの申請があって、どれくらい採択されたの か、承諾されなかった案件とその理由、コンサルの利用状況はどうなのか、また申請から許可まで のプロセスでおそらく委員会というものがあると思いますが、あまりよく見えない部分もあります ので、次回の時にぜひ教えていただければ幸いです。また、評価手法がアウトプット評価なのか、 インパクト評価なのかについても教えていただけますと幸いです。以上です。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。時間の関係上、報告事項についてのご質問、ご意見は全ての議題が終 了した際にまとめて受け付けたいと思います。 それでは次に、草の根 10 年の振り返り分科会について、田和から報告いたします。資料 5 をご 覧ください。この分科会は一昨年に、NGO-JICA 協議会の協議を踏まえて設置されたもので、草の 根技術協力事業の 10 年を振り返り、成果と課題を明らかにして、NGO と JICA のより効果的な協働 に向けた今後の展開を検討すること、またその成果をこの協議会で提案することを目的としていま す。 分科会が設置されてから今日までの活動を簡単にご紹介します。分科会ではまず、支援型とパー トナー型の全受託団体と JICA 関係部署を対象に、アンケート調査を実施しました。次にこの調査 結果の分析を踏まえ、深掘りする必要があると判断された視点について、該当する案件を持つ個々 の NGO にインタビュー調査を実施しました。アンケート調査・インタビュー調査の結果については、 今年の 1 月に開催した公開シンポジウムで報告を行いました。その後はさらに議論を深めるべきと 合意された論点について、委員の間で意見交換を持っています。これまでに検討してきた論点は資 料をご参照ください。分科会での議論は終盤に差し掛かっていますので、最終的な報告書を、でき 16 れば次回の協議会で提出できるように頑張っているところです。 報告書には、事業の歴史、分科会の背景、目的、スケジュールや実施体制、分析の手順、方法と いったような制度および分科会の概要に続き、第 2 章にではアンケート結果、インタビューの結果、 シンポジウムの結果を記載する予定です。次いで第 3 章は今後の草の根技術協力事業の制度及び運 営上の課題と提言をまとめます。 次に第 3 章執筆に向けて、どのような議論がなされているかをこの場で簡単に報告したいと思い ます。まずは連携の意義を明らかにするという、根本的な課題です。分科会の会議で議論された双 方にとってのメリットをいくつかご紹介しますと、例えば「現地政府が機能していない国や地域に おいて協力ができる点」や「現地政府の行政に基づく事業では対話困難な課題、あるいは JICA の 重点分野には一致しない課題を ODA 事業として取り込むことができる点」 、また「海外での事業の 経験をもとに国内での課題解決に貢献しうる点」といったような点が挙げられています。 また、NGO にとっての連携意義としては、活動地域の成功例を「政府レベルのアジェンダに発展 させる可能性がある点」や「組織強化、ステップアップに貢献する可能性がある点」、 「開発途上国 政府からの信頼向上、国内からの支援者拡大に貢献しうる点」等が議論されてきました。一方、JICA にとっての連携意義としては、例えば「技術協力の向上や市民参加の拡大に貢献する点」といった 内容が挙げられています。 こうした連携意義をどのように高めるか、いかにしてポテンシャルを最大限に活かすか、という 方法論については、1 月に開催したシンポジウムのように草の根技協の成果の広く発信をすること や、連携の意義を再確認し、双方が戦略的に草の根技協を活用していくことの必要性が指摘されて います。JICA の課題としては市民参加事業そのものの位置づけ、狙いをより明確にすることであ るといったような意見も出ています。 「一定の水準の質を担保するために何をするべきか」という点については、グッドプラクティス を共有する場の提供や、NGO 同士でピアレビューの実施をしてはどうか、といったような意見が出 されています。 また、制度そのものについても何点か議論がなされており、1 点目は、より多くの団体に参加し てもらうためにはどうすればいいかという点についてです。これについては、全国の中小規模の団 体の声を聞くことの重要性や、現行のパートナー型、支援型に「敷居が高い」と感じている団体と の連携を促進するために、別のメニューを設置する必要があるのではないかという議論もなされて います。また、制度改編に関連し、対象団体の考え方、応募回数制限をどうするか、中小規模の団 体向けのメニューを新設した場合の金額設定をどうするかについても JICA 内部で検討が進んでい ます。これらの変更は次年度から反映したいと考えていますが、遅くとも今年度第 2 回の草の根の 募集の時期にホームページなどで告知をしたいと思っています。その後、実施団体の規模に応じた 適正規模や外務省の NGO 支援や補助金との重複に係る検討などを踏まえ、どのように JICA 事業の 特徴を打ち出していくか検討したいと思っています。 今後の発展の方向性については、草の根技協の対象となる事業内容の範囲や、団体のステップア ップに資する制度にするための方策、いわゆる 1 号業務への参画促進の方法、JICA 全体における 事業の位置づけをどうするかといったことについて議論がなされています。最終的には年内には報 告書にまとめ、提出したいと思います。私からは以上です。補足があればお願いします。 17 山口(JANIC) : 当初、分科会の活動期間は 1 年間とされ、報告書ももっと早くまとめられる予定だったのですが、 より深い分析が必要となったこと、さらに行政レビューに関する対応をしなければならなかったこ とにより、作業が後ろ倒しになっています。 分科会は NGO-JICA 協議会の枠組みの中で設置されているものですので、報告書のドラフトが出 た段階で、皆さんに共有し、最終化したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。それでは続いて「世界の人びとのための JICA 基金」について、櫻井 さんお願いします。 櫻井(JICA 国内事業部) : 前回の NGO-JICA 協議会では基金の広報拡充について合意しましたので、今回は先回からこれま での進捗を報告します。 1 点目は、活動提案事業の募集についてです。今年度は 6 月から 8 月まで活用事業を募集しまし た。 広報ツールとしては、 これまでやってこなかった試みとして JICA 本部及び国内機関の Facebook と Twitter、JICA の各種メールマガジンへの掲載に加え、ネットワーク NGO を通じて加盟団体への 応募勧奨を計 2 回ほど発信いただきました。その結果、去年の約 3 倍の応募があり、現在はその審 査にあたっています。 次に、ホームページの修正についてです。JICA 基金への寄附が日本の NGO への支援に活用され るという点がサイトからはわかりづらいというご指摘をいただいたため、JICA の寄付金のページ のトップに寄附が活用されるまでのフロー図を追加しました。また、JICA 基金の活動提案事業を より多くの NGO の方に知っていただくため、JICA のサイト内にある「NGO の皆さまへ」というペー ジで、草の根技術協力事業と並ぶ形で基金を掲載しました。 3 点目は NGO との共同寄附キャンペーンについてです。現在、国際協力 60 周年をきっかけとし て国際協力の認知度を上げること、国際協力への参加方法の一つとして寄附を提示することを目的 に、全国のネットワーク NGO と JICA による共同キャンペーンを行うことを計画しています。 別添の資料に載っているパンフレットは今印刷中で、10 月のグローバルフェスタでを皮切りに、 全国の国際協力イベントで配布します。また、同様の内容を JICA ホームページにも掲載する予定 です。パンフレットの 2 ページ目には協力いただいた全国のネットワーク NGO の名前や連絡先を紹 介させていただいております。印刷が完了したら各団体様宛に随時発送したいと考えておりますの で、よろしくお願いいたします。JICA 基金および本キャンペーンについては、グローバルフェス タの JICA イベントテントや JICafe という常設のテントでも、他の寄附事業と併せて紹介する予定 です。以上です。 田和(国内事業部) : ありがとうございました。それでは次に「RBA の理解促進について」JVC の平野さんより、個別 協議の結果をご報告いただきます。 18 平野(日本国際ボランティアセンター) : この議論を初めて聞く方もいるので、簡単に説明します。発端は 2012 年度の NGO-JICA 協議会で の JICA も RBA を取り入れてはどうかという NGO 側からの提案でした。2013 年度にこれを重点課題 とし、JICA 企画部が中心となって関西学院大学の川村先生がたたき台を作り、NGO 関係者、大学関 係者からインプットを得て、RBA の理解促進のための手引きが作られました。これが 2013 年度の 大きな成果でした。 CSO の開発効果にかかるイスタンブール原則においても RBA は原則の 1 番目として取り上げられ ており、NGO にとってはすべての活動の基本となるアプローチです。今後もこの RBA への理解促進 に NGO、JICA 双方で取り組んでいくことが必要である、という認識のもと、今年度に 7 月に個別協 議を持ちましたのでその報告をいたします。 手引きにも書かれている通り、RBA には世界共通の定義があるわけではありません。したがって、 まず NGO と JICA の連携促進において、RBA をどう定義するのか、言葉の理解を揃える必要があり ました。協議の結果、NGO-JICA 間の対話においては、RBA を「事業を実践していく中での権利保有 者、義務履行者、双方への働きかけによって開発課題を持続的に解決していくためのアプローチで ある」と捉え、この理解を促進していくことを合意しました。 NGO は一般的に草の根レベルで村の住民、つまり権利保有者への働きかけに強みを持っています。 一方、JICA の場合は当該国の政府、つまり義務履行者との調整や、彼らへの働きかけに強みを持 っています。このような異なる強みを持つ両者が互いの長所を発揮し、事業の質や効果を高めてい くことが連携の意義として位置づけられるのではという考えも共有しました。実際に RBA を用いて 設計されたプロジェクトがまだ沢山あるわけではないので、そういった事例から集めていくところ から始めていこうと思います。 小林(JICA 企画部) : 平野さんからご紹介いただいた通り、昨年度 JICA では RBA の理解促進のための手引きを作成し ました。これまで、JICA のウェブサイトへの掲載等を行ってきましたが、今年はもう一歩進み、 コンサルタントに向けた能力強化研修で関西学院大学の川村先生に RBA について講義いただきま した。私もオブザーバー参加させていただきましたが、コンサルタントの方のフィードバックを拝 見すると、チャリティーベースやニーズベースではないアプローチを知ることができて大変有意義 だったという声がありました。他方で、経済インフラ開発において具体的に環境社会配慮に落とし 込んでいくコンサルタントの方々からは、理解はできたものの、実際にこれをどう活用すればよい のかいいのかという疑問の声も上がりました。JICA としても、まだまだ勉強中というのが現状な ので、現場での落とし込みについて等は、今後一緒に勉強させていただきたいと思っています。 田和(JICA 国内事業部) : ありがとうございました。次に「活動の質向上に向けた NGO の取り組みについて」JANIC の伊藤 さんより報告をお願いします。 伊藤(JANIC) : 資料 7 をご覧ください。ODA の質を問う議論は昔から盛んでしたが、現在私たち NGO の活動の質 19 はどうなのか、アカウンタビリティをどう担保するのかという議論が世界的に進んでおり、これに JANIC がどう取り組んでいるかを報告します。 まず 1 点目に緊急人道支援の国際基準、Sphere スタンダード、HAP 基準についてです。1994 年 にルワンダの虐殺が起きた際、虐殺から逃れ、難民キャンプに辿り着いたにも関わらず、そこでの 支援が不適切であったために、数万人規模で死亡者が出てしまったということがありました。この 反省をもとに、国際基準を作るという動きが生まれ、完成したのが先にご紹介した基準です。現在、 欧米では色々な助成金の申請書に、これらの基準を守っているかを問う欄が設けられています。日 本でもジャパンプラットフォームの申請書に同様の欄ができてきており、この流れを汲んで JANIC では、研修を実施しています。2012 年から年 3 回から 4 回ほど研修をコーディネートしており、 これまでに 400 人以上の方が受講しました。対象には NGO だけでなく、医療福祉職、地区町村の防 災担当者、自衛隊、海外では軍の方も含まれています。JICA の職員や、荒川区の町内会の方が参 加するというケースもありました。今年度は大阪で開催し、東京で 2 回、11 月には岩手県でも実 施します。11 月の岩手県の研修には JICA 東北の応援をいただきます。 次に国際基準への統合の議論への参加についてです。現在、色々な分野でそれぞれの国際基準が 存在していますが、いくつもあって煩雑になっているため、共通部分については統合をはかろうと いう動きが出てきています。この動きに対し、大規模災害を経験した日本からもインプットできる こと、すべきことがあるという考えから、関連の国際会議に参加者を送っています。来月も Sphere の会議に日本から NGO の職員を派遣して、日本の経験を国際基準作りに活かしていこうと考えてい ます。また、海外で行われる関連の研修に日本の NGO 職員を派遣したりもしています。詳しくは JANIC のサイトをご覧ください。2 点目については山口から報告します。 山口(JANIC) : CSO の開発効果に関しては以前から報告してきましたが、今回は地域開催、また全国のネットワ ーク NGO も集まっているということで、再度冊子を配布しています。世界の NGO/CSO の間では、い かに自分たちの開発効果を高めるか議論が進み、イスタンブール原則という 8 つの原則がまとめら れました。JANIC ではこれに対する理解や原則の実践を促進するための研修、また自身の活動を振 り返るためのツール作成等に取り組んでいます。 これに加え、今年度は 10 月 31 日から 3 日間にわたり、開発効果に関する世界的なネットワーク である CPDE(CSO Partnership for Development Effectiveness)の北東アジア地域会合を日本で 開催します。モンゴル、韓国、台湾、中国から参加者を招いて、開発効果の現状や、各国の取り組 み状況等を共有し、意見交換を行います。現在出席者を募集中ですので、ご関心ある方は JANIC に お問い合わせください。以上です。 田和(国内事業部) : ありがとうございました。報告事項がすべて終わりましたので質疑応答に入りたいと思います。 前田(高知希望工程基金会): 本日は資料をたくさんいただきましたが、地域にいると、情報や知識が大分かけてしまいます。 今日の議題について、勉強した場合等に、例えばどういう本を読んだらよいのか、どのような勉強 20 をすれば良いのかを共有いただければ幸いです。 伊藤(JANIC) : NGO は、勉強しなければいけないことがあってどこから勉強したらよいのか、どこにコンタクト したらいいのか色々迷うことがあると思います。JANIC では今、研修の体系化を行っており、キャ リア別、スキル別に、どういう能力が必要でどういう研修があるのか、どうやったら受けることが できるのかというのを、まとめて分りやすく発信したいと思っています。こうした情報を発信して いくのがネットワーク NGO の責任だと思っていますので、ぜひ活用いただければと思います。 藤野(四国 NGO ネットワーク) : 草の根事業の 10 年の振り返りについて質問です。報告書は冊子で発行されるということでよろ しいのでしょうか。地域の NGO もその冊子を入手したいなと思うのですが、これは国内機関に問い 合わせすればよいでしょうか。報告書のアウトラインということで、括弧書きで団体名と対象国が 記載されていますが、自治体が実施する草の根に関しては、今後どういう風に考えているのか教え てください。 田和(JICA 国内事業部) : 報告書は冊子として作成し、国内機関を通じて皆さまのお手元にも配布する予定です。 岩切(JICA 国内事業部) : 草の根の自治体の部分については昨年度、一昨年度の補正で、地域活性化特別枠という形で予算 がつき、従来あった地域提案型草の根技術協力と同じものを実施しています。 既に見直しが始まっていますが、草の根技術協力については若干交通整理が必要と感じています。 また、パートナー型または支援型への NGO からの応募が非常に少なくなっていることに危機感を感 じています。これについては NGO の皆さんの問題というよりも、むしろ我々が設定する敷居が高す ぎるのかもしれないという問題意識を持っていますので、どのような形で制度設計をすれば、皆さ んにとって応募しやすいのかという観点から、今後検討していきたいと思います。また国内事業部 全体に課せられているもう 1 つのミッションである、地方自治体、大学教育機関、あるいは中小企 業、民間企業等、新たなパートナーを広く開拓するという観点から、来年度、あるいは今年度後半 に向けて自治体向けの草の根技術協力について、どのような形でやっていくのか良いかを検討して いるところです。次回の協議会の場では、我々が考えているアウトラインを提示できればと考えて います。 田和(国内事業部) : ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか? これをもって全議題事項が終了しましたので、えひめグローバルネットワークの竹内さんより、閉 会のご挨拶をいただきたいと思います。 竹内(えひめグローバルネットワーク) : 21 今回は、四国まで足を運んでくださり、本当にありがとうございました。このような会議に四国 の NGO のメンバーと参加させていただく機会ができたこと、心から感謝申し上げます。内容的は一 杯一杯で、もっともっと議論がしたいところ、かなり我慢して座って聞いていました。明日は全国 ネットワーク会合が開催されますが、今日議論できなかった点を含め、その場での意見交換会を楽 しみにしております。夜の懇親会の方も楽しみにしておりますので自由に意見交換したいと思いま す。その中から良い意見がでてきたら、次回以降の協議会に繋ぎ、より良い関係を作りながら国際 協力活動が日本全国にとっても身近なものになるように努めていきたいと思います。本日は皆さま、 どうもありがとうございました。 田和(国内事業部) : ありがとうございました。これにて 2014 年度第 2 回 NGO-JICA 協議会を閉会いたします。 閉会 22