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平成20年度独立行政法人国立健康・栄養研究所プログラム/センター報告

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平成20年度独立行政法人国立健康・栄養研究所プログラム/センター報告
平成20年度独立行政法人国立健康・栄養研究所プログラム/センター報告
平成 21 年 3 月 18 日
【プログラム名】栄養教育プログラム
【プロジェクト名】
○栄養ケア・マネジメントプロジェクト
○生活習慣病予防プロジェクト
○食育プロジェクト
【中期目標・計画における主要事項・数値目標等】
○生涯を通じた健康づくりを実施する上で、各ライフステージにおける栄養教育に必要な科学的根拠を確
立し、栄養教育に携わる実施者に情報提供を行うための調査・研究を行う。
○食育プロジェクトでは、食育の現状解析と評価法について研究すると共に、食育を実践するための科学
的根拠を明かにするための研究を実施する。子供、成人、高齢者それぞれのライフステージにおける食生
活および食習慣と健康に関する問題を明らかにし、効果的な食育(栄養教育)のあり方について研究する。
特に、食育の教育方法や評価法の開発に重点をおく。また、海外での食育の現状を把握するため、海外の
食育に関する論文をレビューし、日本と海外の食教育に関する意識の差異について比較する。
○生活習慣病プロジェクトでは、肥満者を対象に運動および栄養教育による介入研究を実施し、肥満にか
かる要因を検討し、効果的な栄養教育の方法や成果にかかる評価指標について研究する。大規模コホート
を設定し、肥満や糖尿病などのリスク因子抽出のための縦断研究を行い、肥満や糖尿病予防のための栄養
教育法を確立する。
○栄養ケア・マネジメントプロジェクトでは、今後増大する高齢者の食事のあり方や、介護食や嚥下困難
食などの食事について研究する。現在高齢者施設における食事に関連する問題を把握するために、大規模
調査を実施し、咀嚼・嚥下困難食の今後の在り方について研究する。
【中期目標・計画には個々に明示されていないが、研究所の本来業務として重要な研究及び業務等】
○食育プロジェクト
日本人の「食生活」・「食育」に関する Cultural Domains(社会文化的な認識領域)を検証する。
また、食育の Cultural Domains に関する個人差やグループ差(例えば年齢、性別、社会的ステータス、教
育レベル、食生活パターン、食育に関する知識や経験の差など)も分析する。
バーカーは、出生児の低体重が心臓血管疾患の死亡率を増加させるという仮説を提唱し、その後
Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)仮説としてより幅広い概念となっている。本研究
では母子健康手帳に焦点を当て、10歳児の出生時の状況を母子健康手帳から収集することにより、出生
時体重が小児肥満、大人の肥満/メタボリックシンドロームに繋がるかどうかという仮説を検証する。
○生活習慣病プロジェクト
メタボリックシンドローム予防のための特定健診・保健指導をより効果的に進めるための効果的な教育
法の検討を行う。従来の対面式の栄養指導のほか、IT 技術を用いた栄養教育や効果的な栄養教育のための
環境整備について検討する。
○栄養ケア・マネジメント
高齢者の食介護における問題点を現場で食介護に携わる多職種と共有し、高齢者の食提供の在り方につ
いて共通認識を確立し、普及させるための場を提供するためのワークショップを開催する。
【平成 20 年度計画】
○食育プロジェクト
①食(教)育に関する問題(原因、改善策、結果)と健康に良い食生活に対する共通認識を調査する。
・Cultural Domains を把握するため、Consensus Analysis (共通認識分析 Weller2007)を行う。
・若年成人における朝食欠食に関する要因を解析するため、親子を対象としたアンケート調査を実施
する。
②DOHaD 仮説を検証するため、母子健康手帳を可能な限り収集し、以下の点を明らかにする。
・出生時の低体重(母体の栄養状態/血圧/妊娠経過も含む)が成長期の肥満および大人の肥満/メ
タボリックシンドロームの要因になり得るのか否か。
・低出生体重児の次の世代の子供も低出生体重児となり、母親の身体・栄養状態は第2世代および第
3 世代にまで影響するのか否か。
授乳/離乳食の状況がその後の生活習慣(食生活、生活活動)および肥満/メタボリックシンドロー
ムの要因となるか。
③海外の食育に関する論文のレビューを用いて、日本と海外の食育に対する意識の比較し、その結果を
国際学会で発表する。
○生活習慣病予防プロジェクト
①平成 18 年度から継続して行っている減量プログラムのフォローアップ調査を実施する。減量成功と不
成功にかかる要因、リバウンドにかかる要因を明らかにするために、質的研究と量的研究の両面から明
らかにし、介入後の体重維持へ向けたアプローチ(フォローアップ)を明らかにする。
②大規模コホートを設定し、肥満および糖尿病のリスク因子解析のためのデータ収集とデータベース作
成を行う。
③特殊環境での生活習慣病予防のための栄養教育の在り方について明らかにするために、南極越冬隊及
び長期航海船舶での食事のあり方と隊員(船員)を対象とした食生活と健康状態についての調査を行う
(食育プロジェクトと共同)。
○栄養ケア・マネジメントプロジェクト
①高齢者施設における咀嚼・嚥下困難者に対する食介護に関する調査データを解析し、その成果を学会
および論文等の発表を行う。
②ワークショップを開催し、食介護の観点から咀嚼・嚥下困難者に対する食事提供の在り方を確立する。
【平成 20 年度における進捗状況及び成果】
○食育プロジェクト
①食育に関する問題把握及び背景調査に関わる準備を行った。
・Cultural Domains 調査についてはアンケート調査票およびフリーリストを作成し、パイロットテ
ストを実施し、有効性を検証した。
・若年成人(20歳代)の朝食欠食の要因を明らかにするために、親子を対象とした食意識・食態
度、親の子どもへの食育・食事提供態度(CFSQ)などの項目を含むアンケート調査票を作成し、フ
ィールドの設定を行った。
②DOHaD 仮説を検証するため、現在の肥満の有無と出生およびその後の体格・生活状況との関連につ
いて母子手帳およびアンケート調査を行うために、フィールドの設定等を行った。
③海外の食育に関する論文をレビューするとともに食育を国際学会において紹介した。
・食育に関するキーワードを使って海外の論文を検索し、総括した。
・わが国における食育について国際学会(ICD)で紹介した。
④内閣府における食育推進のための企業との連携のあり方についての提言づくりを行った。
○生活習慣病予防プロジェクト
①佐久肥満克服プログラムにおいて、B 群(RCT 対照群)に対して1年間観察後の教育介入を終了した。
A 群(RCT 介入群)における 1 年後フォローアップ調査を実施した。現在データベースの更新を行って
いる。また、対象者における肥満に関連すると報告されている遺伝子多型解析を継続実施し、女性に
おいて血清グレリン遺伝子多型と肥満とのあいだの関連性について明らかにした。減量成功と不成功
における意識やストレスの有無などとの関連について明らかにし、国際学会において発表(2 件)を
行った。
②フロースタイル大規模コホートを確立し、肥満および糖尿病のリスク因子解析のためのデータ(食
生活、生活活動、ストレス、身体計測、血液検査データ等)の収集を開始した。
③特殊環境における食事のあり方と健康との関連性を明らかにするために、2研究所と共同で(南極
昭和基地:国立極地研究所との共同研究、航海中船舶:航海訓練所との共同研究)、給食内容および摂
食状況等に関する調査研究の準備を行った。
(南極越冬隊における給食調査は来年1月下旬から開始予
定。)
○栄養ケア・マネジメントプロジェクト
①平成 19 年度全国 6 ブロックで高齢者施設を対象として実施した食介護に関するアンケートのデータ
ベース作成を終了し、その結果を集計中である。その一部の結果を国際学会及び国内学会シンポジウ
ムにおいて発表した。現在、高齢者施設の食介護の現状及び問題についてデータ解析を行っていると
ころである。
②国の咀嚼・嚥下困難者を対象とした特別用途食品の基準見直しに際し、これまでワークショップを
通じて検討してきた基準を元に、科学的根拠を提供するとともに、嚥下困難者用食品WG委員として新
たな基準作りに関わった。
③平成 19 年度のワークショップの成果を普及するため、書籍として出版した。また、第3回ワークシ
ョップを 12 月に開催したところであり、その成果をもとに新たな咀嚼・嚥下困難者用食品の基準の普
及に努めている。
【研究成果】
●学術的業績
(原著論文)
欧文: 4編
(その他論文(総説))
和文: 1編
(シンポジウム・教育講演)
国内: 4件
国外: 4件
●社会・行政的貢献等
○行政委員会、学会、併任等
7件
・薬事・食品衛生審議会専門委員
・企業分野等食育活動検討会委員
・栄養成分等情報提供検討会委員
・特別用途食品制度のあり方に関する検討会(高
齢者用食品 WG 委員
・特色ある JAS 企画検討委員会
・食育学会総務委員
・高崎健康福祉大学大学院併任(教授)
○セミナー主催・共催
3件
○研修会講師等(研究所外) 30件
●知的財産(特許等)
○実用新案
1件
○意匠登録
1件
【研究費】 注:競争的研究資金において、研究代表者の場合のみ獲得額のうち自己配分額を()書きにて記載。
●交付金予算(執行額)
8.9百万円
研究・業務経費
食育プロジェクト
2.8 百万円
生活習慣病予防プロジェクト
4.1 百万円
栄養ケア・マネジメントプロジェクト 2.0 百万円
獲
得
額
(うち自己配分額)
3.1百万円( 3 . 1 百 万 円 )注
●競争的研究資金(総額)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1)‘Developmental Origins of Metabolic Syndrome’(2.5($25,000 USD))
2)ヒト放射線誘発がんの分子機構に関する研究(厚労科研費(がん研究助成金)・班友・0.5)
3)肥満発症に対するタウリンの新規機能の解明(科研費・分担・0.1)
0.2百万円
●受託収入等(総額)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1)南極越冬隊員の生活習慣と健康状態との関連に関する予備的研究(国立極地研究所・代表・0.2)
【平成21年度計画】
生涯にわたる健康づくりを実践するための栄養教育を食育・生活習慣病予防・栄養ケア・マネジメント
の 3 プロジェクトで研究する。生活習慣病予防プロジェクトでは、肥満者を対象に運動および栄養教育に
よる介入研究を実施し、疫学的デザインに沿って栄養教育の効果を検討し、特定保健指導等における効果
的な栄養指導法およびその評価法について研究する。栄養ケア・マネジメントプロジェクトでは、今後増
大する高齢者の介護食(咀嚼・嚥下困難者用食)についての研究を行う。特に高齢者施設における入居者
の摂食・嚥下状態に見合った適切な食事を提供するための評価法について研究を行い、高齢者のQOL保
持に有効な食介護の方法を探索する。
○食育プロジェクト
食育プロジェクトでは、食育の実践者へ向けて科学的根拠となる情報を提供する為の研究を行い、食育
実践者への情報提供を行うと共に、食育推進および評価のために行政へのサポートを行う。
①「日本人の食育の意識に関する研究(食育の文化的な分野の統一見解分析)」を実施する。日本人の
「食生活」・「食育」に関するCultural Domains(社会文化的な認識領域)を把握するため、共通認識分
析を使って、食育に関する問題(原因、改善策、結果)と健康に良い食生活に対する共通認識を調査す
る。また、食育のCultural Domainsに関する個人差やグループ差(例えば年齢、性別、社会的ステータ
ス、教育レベル、食生活パターン、食育に関する知識や経験の差など)を分析し、食育に関連する社会
文化的要因を明らかにする。
②若年成人の朝食欠食に関わる要因(親の食習慣や食育実施状況を含む。)を検討するため、若年成人
とその親を対象とするアンケート調査を実施する。若年成人の朝食欠食の背景を親子関係から明らかに
し、食育の方法を検討する。
③平成20年度に設定したフィールドにおいて、小中学生とその保護者を対象として、現在の肥満の有無
と出生及びその後の体格、生活状況との関連について母子対象やアンケート調査結果をもとに検討する。
④食育の推進のための食環境整備の一環として、消費者にわかりやすい栄養表示を目指して、パーッケ
ージ表面に表示する栄養表示(フードアイコン)を食育ツール(コミュニケーションツール)として開
発し、その効果を検討する。
○生活習慣病予防プロジェクト
生活習慣病予防プロジェクトでは、疫学的デザインに沿って栄養教育の効果を検討し、特定保健指導等
における効果的な継続的栄養指導法およびその評価法について研究する。
①佐久総合病院人間ドック科と共同で肥満克服プログラムを実施しており、本年度は試験最終年度にあ
たり、フォローアップを実施する。これまでの介入結果のデータベースに基づき、効果的な指導法につ
いて検討する。
②2009年1月より、人間ドック受診者を対象者とした多目的大規模コホートを設定し、肥満や糖尿病など
のリスク因子抽出のための、フロースタイルコホートによる縦断研究を開始しており、本年度において
も継続的なデータ収集を行い、肥満や糖尿病などのリスク因子抽出のためのコホートデータベースの構
築を行う。
③高ストレス下にある状況において、肥満や生活習慣病予防のための食事のあり方について、国立極地
研究所との共同研究で南極越冬隊の食事および身体活動と健康との関連性を明らかにする。(食育プロ
ジェクトと共同)
○栄養ケア・マネジメントプロジェクト
高齢者を含む摂食・嚥下困難者に対する食介護の観点から、適切で安全な食事提供をするための食形態
のあり方について検討し、その結果をワークショップ(第4回)において、介護に関わる多職種の専門家と
情報を共有化し、今後の食介護のあり方について検討する。
①19年度~20 年度に実施した食形態実態調査のデータベース化を行い、食形態決定に関する問題点を
明らかにし、論文として発表する。
②特に高齢者施設における入居者の摂食・嚥下状態に見合った適切な食事を提供するための評価法につ
いて高齢者施設での食事提供の具体的評価法について調査を実施する。
③摂食・嚥下障害に関するワークショップを開催し、介護に関わる多職種の専門家と情報を共有化し、
高齢者施設での食介護における食種決定に関わる問題点およびその方策について検討する。
④ワークショップでの成果を書籍として出版し、摂食・嚥下障害のための食事のあり方について情報を
発信する。
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