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背景 分析 ミリマン・アウローラ・サービス 商業ビルの将来キャッシュフロー

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背景 分析 ミリマン・アウローラ・サービス 商業ビルの将来キャッシュフロー
ミリマン・アウローラ・サービス
商業ビルの将来キャッシュフロー予測
背景
分析
商業ビルの将来収益を予測することは
背景
簡単ではありません。テナントが解約
するタイミングやその頻度、新規テナン
トが入居するまでの期間といった不確
定要素を将来にわたって予測する必
要があるからです。
東京都内の山手線駅近くの繁華街に実在する商業ビル(1987年竣工、地上8階建、延床面積
2900㎡、入居テナント:飲食店/カラオケ店/一般企業等、分析時点の空室率30%)について、将
来キャッシュフローの10万本のシナリオ平均結果は以下のとおりです。当初数年における空室率
の大幅な改善、その後の経年劣化の影響によるテナント誘致率の下降・修繕費の高騰、
(単位:百万円)
減価償却費の変動が収支に大きく影響しています。
また、賃料を上げるべきか下げるべき
かという経営判断を迫られた場合、賃
料を下げることで、1テナントあたりの
賃料収入は減少しますが、解約が抑
止され、また、新規テナント誘致期間
が短縮されることにより結果的には賃
料収入の改善が見込まれる可能性が
あります。しかしながら、解約や新規テ
ナント誘致の改善が少なければ、賃料
収入は減少します。賃料を上げた場合
にも、同様の影響があります。したがっ
て、有益な収支予測を行うためには、
賃料と解約率・テナント誘致率との連
動を考慮したモデルの作成が必要とな
ります。
本分析では、実在する商業ビルの過
去の実績に将来の見込みを加味して、
テナント解約率、テナント誘致率、事業
費率および税率の前提条件を作成し、
その前提をもとに、10万本のシナリオ
で30年間に渡って将来キャッシュフ
ロー予測を行いました。また、各前提
が変動することでどの程度の影響があ
るのかを把握するための感度分析も
行いました。
各種分析によって、賃料の設定、コス
ト削減のための施策、テナント解約率・
誘致率改善のための設備拡充等の経
営判断に資する新しい知見を提供い
たします。
ミリマン・アウローラ・サービスでは、不
動産の詳細なデータに基づいた将来
キャッシュフロー分析を行います。
≪ご注意いただきたい点≫
分析結果は前提に依存します。本分
析結果が一般的にあてはまるわけで
はありません。
1 賃料/共益費/敷金償却/運用収入
2 管理費/維持費/人件費/損害保険料/修繕費/
光熱費
3 固定資産税/償却資産税/法人税
4 管理費/維持費/人件費/修繕費/光熱費
シナリオ平均
2013
(1) 収入1
2014
2015
2016
2017
2018
~
2022
2023
~
2027
2028
~
2032
2033
~
2037
2038
~
2042
110
124
132
133
133
647
600
549
496
440
(2) 諸経費2
67
73
76
77
78
399
404
407
409
408
(3) 税金等3
14
16
18
15
15
63
41
41
34
22
(4) 減価償却費
18
18
18
26
28
141
141
70
30
13
(5) 税引後利益
11
17
21
15
12
44
14
31
24
▲3
(6) 累積税引後利益
11
29
50
64
76
120
135
166
189
186
(7) 空室率
25.3% 18.1% 14.3% 12.0% 11.0% 10.2% 11.2% 12.8% 14.9% 17.7%
解約率・テナント誘致率の10万本シナリオに対する30年後の累積税引後利益の分布
8000
平均 186百万円
上位10% 256百万円
6000
下位10% 112百万円
4000
上位1% 301百万円
下位1% 39百万円
2000
0
-150
-100
-50
0
50
100
150
200
250
300
350
このグラフから、将来の利益の変動リスクを定量的に把握することが可能になります。
例えば、10%の確率で30年後の累積利益が112百万円以下にまで下がることがわかります。
次に、各種前提が累積税引後利益にどの程度影響を与えるかをみてみます。
テナント獲得率の増減、事業費の変動が重要なファクターといえます。
感度
分析
(単位:百万円)
シナリオ平均
累積税引後利益の差額
5年後
解約率1.5倍
解約率0.5倍
テナント誘致率1.5倍
テナント誘致率0.5倍
事業費41.2倍
利回り+0.5%
賃料
設定
賃料
-10%
-8%
-6%
-4%
-2%
0%
+2%
+4%
+6%
+8%
+10%
解約率
0.80倍
0.84倍
0.88倍
0.92倍
0.96倍
1.00倍
1.08倍
1.16倍
1.24倍
1.32倍
1.40倍
10年後
▲7
7
17
▲ 31
▲ 56
2
15年後
▲ 19
21
31
▲ 66
▲ 116
6
20年後
▲ 32
36
45
▲ 99
▲ 178
13
25年後
▲ 46
51
57
▲ 129
▲ 242
22
30年後
▲ 59
67
69
▲ 157
▲ 307
33
▲ 72
82
81
▲ 183
▲ 373
44
さらに、賃料を変化させた場合の将来キャッシュフロー分析を行ってみます。
解約率とテナント誘致率は、賃料の変化に連動させています。
テナント
誘致率
1.20倍
1.16倍
1.12倍
1.08倍
1.04倍
1.00倍
0.92倍
0.84倍
0.76倍
0.68倍
0.60倍
30年後の累積税引後利益(百万円)
400
上位1%
300
上位10%
200
平均
100
下位10%
0
(100)
(200)
下位1%
-10 -8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
賃料の変動率(%)
グラフから、賃料の変動率をプラスにした場合(賃料を上げた場合)、+4%までは平均累積税引後
利益の上昇が見込まれますが、収益のぶれは激しくなっています。収益と安定性のバランスを考
慮した賃料設定が必要となります。
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