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米国農務省(USDA)
Ⅰ 穀物 1 小麦 (1) 国際的な小麦需給の概要(詳細は右表を参照) 表-1 世界の小麦需給(米国農務省) (単位:百万トン) <米国農務省(USDA)の見通し> 年 度 【生産量】 2016/17年度 前年度比 前月比 生産量は、EUでフランスの多雨により減少、中国でも減少するものの、ロシアで 好天に恵まれて史上最高、米国でも冬小麦の単収が史上最高となり増加すること等か ら、世界全体では743.4百万トンと4年連続で史上最高を更新する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、ロシア、米 国、カナダで上方修正、EUで下方修正された。 【消費量】 2016/17年度 前年度比 前月比 消費量は、米国、中国で飼料用需要、インドで食料用需要が増加すること等から、 世界全体では732.5百万トンと4年連続で史上最高を更新する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、ロシア、米 国、エジプトで上方修正された。 【貿易量】 2016/17年度 前年度比 前月比 世界全体の貿易量は、前年度より増加し、170.7百万トンとなる見込み。 国別には、輸出国では、米国、ロシア、豪州で増加し、EU、ウクライナ等で減少 する見込み。輸入国では、トルコ等で増加し、インドネシア等で減少する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、輸出国ではロシア、ウ クライナ、カナダ、豪州、米国で上方修正、EU、アルゼンチンで下方修正、輸入国 ではEU、エジプト、アルジェリア、トルコで上方修正された。 【期末在庫量】 2016/17年度 前年度比 前月比 期末在庫量は、前年度より増加し、世界全体で史上最高の252.8百万トンの見込み。 国別には、インド、EU、イランで在庫が取り崩されるものの、中国、ロシア、米 国等で積み増しされる見込み。世界全体の期末在庫率は34.5%と前年度より上昇する 見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、ロシア、中国、イラン で上方修正、EU、米国で下方修正された。 図-1 世界の小麦のシェア(2016/17年度) 輸出量 1.7億トン 生産量 7.4億トン カザフスタン 5% その他 21% 豪州 4% ウクライナ 4% カナダ 4% EU 20% アルゼンチン 5% 中国 17% 米国 8% ロシア 10% インド 12% その他 10% ロシア 17% ウクライナ 8% EU 16% 豪州 11% カナダ 13% 生 産 量 EU 中国 インド ロシア 米国 カナダ パキスタン 消 費 量 うち飼料用 EU 中国 インド ロシア 米国 パキスタン エジプト 貿 易 量 (輸出) EU ロシア 米国 カナダ 豪州 ウクライナ アルゼンチン (輸入) エジプト インドネシア アルジェリア EU 日本 ブラジル トルコ 期末在庫量 中国 米国 EU インド イラン ロシア カナダ 期末在庫率 201 4/15 2015/ 16 (見 込 み ) 727 .9 156.9 126.2 95.9 59.1 55.2 29.4 26.0 705 .6 131.6 124.7 116.5 93.1 35.5 31.3 24.5 19.1 164 .4 734.8 160.0 130.2 86.5 61.0 55.8 27.6 25.1 709.0 135.7 129.9 112.0 88.6 37.0 31.6 24.4 19.2 170.6 35.4 22.8 23.5 24.2 16.6 11.3 5.3 159.1 11.3 7.5 7.3 6.0 5.9 5.4 5.9 216 .1 76.1 20.5 12.7 17.2 7.9 6.3 7.1 30. 6% 33.8 25.5 21.1 22.0 16.0 17.2 9.1 169.1 11.9 9.9 8.2 6.7 5.7 6.0 4.4 241.9 97.0 26.7 15.7 14.5 8.2 5.6 4.6 34. 1% 201 6/17 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 7 43.4 147.5 130.0 88.0 72.0 63.2 30.0 25.3 7 32.5 146.5 129.3 117.0 93.1 38.5 37.2 24.5 19.8 1 70.7 4.9 ▲ 9.0 7.0 1.6 1.0 3.2 2.1 1.0 1.0 0.1 2.3 1 .2 ▲ 7.8 ▲ 0.1 1.7 18.0 13.1 8.7 0.8 3 .3 8.0 ▲ 0.5 4.5 5.0 4.1 17.8 0.4 3.1 0 .1 27.0 30.0 25.9 21.5 18.5 14.5 8.0 166.7 12.2 9.1 8.2 6.0 5.8 6.0 5.0 2 52.8 112.7 29.9 12.9 11.0 6.0 9.6 4.8 34.5% ▲ 7.0 4.5 0.7 1.0 1.0 2.0 ▲ 1.0 2.5 0.2 0.2 0.5 0.2 ▲ 0.9 0.2 ▲ 0.1 ▲ 4.5 0.1 1.0 ▲ 0.3 ▲ 20.1 17.6 22.6 ▲ 2.3 15.6 ▲ 15.7 ▲ 12.1 ▲ 1.4 2.5 ▲ 8.1 ▲ 10.4 1.5 14.1 4 .5 16.2 12.1 ▲ 17.8 ▲ 24.1 ▲ 26.9 71.0 4.2 0 .4 予測値 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) 米国 15% - 1 - (2) 小麦の主要生産・輸出国等の需給状況 ア 米国 【需給状況】(詳細は右表を参照) 我が国の輸入先国シェア1位(2015年数量ベース 50.5%) 世界の生産量シェア 5位(2016/17年度 8.5%) 輸出量シェア 3位(2016/17年度 15.1%) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積が減少するものの冬小麦の単収が史上最高となること 等から前年度より増加し、63.2百万トンとなる見込み。 消費量は、飼料用需要が増加すること等から前年度より増加し、37.2百万 トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より増加し、25.9百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は47.5%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の輸出量、輸入量で上方修 正、消費量で下方修正、2015/16年度の消費量で上方修正、輸出量、輸入量 で下方修正、2016/17年度の生産量、消費量、輸出量で上方修正、輸入量で 下方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 米国の小麦生産量の約7割を占める冬小麦は、大平原を中心に各地で栽培さ れ、例年、播種は9~10月頃、収穫は翌年6~7月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は2015年9~11月に行われた。大平原では高温・乾燥、 中西部では降雨過多により播種や初期生育が阻害されたが、春季以降は総じて 温暖湿潤型の天候に恵まれた。雨がちな天候で収穫開始が遅れたものの6月末 には遅れを取り戻した。単収は史上最高が見込まれる一方、たんぱく含有量は 前年度を下回ると見られる。収穫作業は太平洋岸北西部を除いてほぼ終了し、 米国農務省(USDA)「Crop Progress」によれば、8月14日現在、収穫進捗率は97% と過去5年平均(95%)を上回るものの前年同期99%を下回っている(図-2)。 春小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃 に行われる。2016/17年度は、播種以降早いペースで生育が進展し、6月の乾燥 の影響が懸念されるものの、単収は前年度を上回る見込み。収穫作業は7月下 旬から開始され、USDA「Crop Progress」によれば、主要6州の8月14日時点の収 穫進捗率は48%と前年同期(46%)、過去5年平均(30%)を上回っている(図- 3)。一方、作柄評価は良/やや良が66%と前年同期(70%)を下回っている。 表-2 米国の小麦需給(市場年度:6月~翌年5月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2 0 1 4 /1 5 2015/16 (見込み) 55.2 31.3 55.8 31.6 2 0 16 / 1 7 予測値 63.2 37.2 3.1 3.7 9.0 23.5 4.1 20.5 37.3% 21.1 3.1 26.7 50.7% 25.9 3.1 29.9 47.5% 50 40 8月14日 8月7日 7月31日 7月24日 7月17日 7月10日 7月3日 6月26日 6月19日 6月12日 6月5日 2016年 30 2015年 過去5年平均 20 写真-1 米国中西部 0 7月31日 8月7日 資料:USDA「Crop Progress」(2016.8.15)をもとに農林水産省で作成 - 2 - 13.1 17.8 0.8 144.7 0.7 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 1.5 22.6 2.0 12.1 ▲ 3.2 -収穫後の冬小麦を貯蔵バッグに入れる様子- 貯蔵バッグ ↓ 写真提供:Kallan Bahnmiller氏 8月14日 1.6 1.0 ▲ 6.4 20.8 モンタナ州中部(2016年7月30日撮影) 2016年 2015年 過去5年平均 10 対前年度 増減率(%) (参考) 収穫面積 (百万ha) 18.77 19.06 17.84 単収(t/ha) 2.94 2.93 3.54 0.09 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) 図-2 冬小麦の収穫進捗率(主要18州) 図-3 春小麦の収穫進捗率(主要6州) (%) (%) 100 80 60 40 20 0 前月予測 からの変更 イ カナダ 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、春小麦が減少するものの冬小麦が増加することから前年度より 増加し、30.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より増加し、8.8百万トンとなる見込み。 輸出量は、生産量が増加するものの前年度からの繰越在庫が少ないことか ら前年度より減少し、21.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も15.7%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、生産量、輸出量で上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 2016/17年度の春小麦の播種作業は、2016年4月下旬から開始され、6月上旬 にほぼ終了した。収益性が高いデュラム小麦の播種面積は前年度を上回るもの の、春小麦は豆類、粗粒穀物、デュラム小麦へのシフトにより減少。6月のプ レーリー(アルバータ州南東部からマニトバ州南西部の平原)西部の土壌水分量 は適度な状態が保たれ、発芽や初期生育が進展した。 米国農務省(USDA)「Wheat Outlook」(2016.8.16)によれば、適期の降雨と平 年並みの気温に恵まれて、ほぼ全ての小麦産地で作柄は良好となっている。主 産地のプレーリーでは単収が平年を上回ると見られる。 州別の作物報告によれば、サスカチュワン州では、多雨型の天候が続き、8 月15日時点の土壌水分過多の割合は24%に達しているものの、作柄は総じて良 好と見られ、単収は過去5年平均や過去10年平均を上回る見込み。春小麦の収 獲作業はまだ開始されていない。アルバータ州では、8月上旬から収獲作業が 開始され、8月19日時点の進捗率は2.5%。雨がちな天候となっているものの作 柄評価は良/やや良の割合が84%と良好な状態が維持されている。マニトバ州で も、雨がちな天候となっているが、8月上旬から収獲作業が開始されている。 我が国の輸入先国シェア2位(2015年数量ベース 29.2%) 世界の生産量シェア 6位(2016/17年度 4.0%) 輸出量シェア 4位(2016/17年度 12.6%) 表-3 カナダの小麦需給(市場年度:8月~翌年7月) (単位:百万トン) 20 15/16 2 014/15 (見 込 み ) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 29.4 9.1 27.6 8.6 - 3 - 予測値、( ) はAAFC 30.0 8.8 3.8 3.4 3.6 24.2 0.5 7.1 21.3% 22.0 0.5 4.6 14.9% 21.5 0.5 4.8 15.7% (28.5) (8.5) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 1.0 - 8.7 2.3 (3.8) - 5.9 (20.5) (0.1) (3.8) (13.1%) 1.0 ▲ 0.5 ▲ 2.3 4.2 0.8 (参考) 収穫面積 (百万ha) 9.48 9.60 9.30 (9.21) 単収(t/ha) 3.10 2.88 3.23 (3.09) 0.11 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) AAFC 「Outlook For Principal Field Crops」(18 July 2016) 写真-2 ▲ 3.1 12.2 カナダ西部 アルバータ州(2016年8月2日撮影) -登熟期を迎えた春小麦。降水量は少ないが、生育は順調- 一方、冬小麦の播種作業は2015年9月頃から行われ、主産地オンタリオ州の 播種条件が良好であったこと等により、カナダ全体の播種面積は前年度比24.5 %増の69.8万ヘクタールとなった。主産地での生育は総じて順調で、予想を上 回る単収が期待されている。6月以降の高温乾燥型の天候を受けて登熟が進展 した。現地調査会社によれば、オンタリオ州では、6月末頃から開始された収 獲作業が8月半ばにほぼ終了した。 【貿易情報・その他】 カナダ穀物協会(CGC)「Grain Statistics Weekly」によれば、2015/16年度( 2015年8月~2016年7月)の輸出量は、累計で普通小麦16.4百万トン(対前年度 比7.1%減)、デュラム小麦4.4百万トン(同5.4%減)となった。また、2016/17年 度(2016年8月~)の輸出量は、2016年8月14日時点で42.1万トン(対前年同期比 49.9%減)、デュラム小麦8.2万トン(同64.8%増)となっている。 2016/1 7 写真提供:Gerry Good氏 ウ 豪州 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、生育条件が良好で単収が上昇することから前年度より増加し、 26.5百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より増加し、7.5百万トンとなる見込み。 我が国の輸入先国シェア3位(2015年数量ベース 16.3%) 世界の生産量シェア 8位(2016/17年度 3.6%) 輸出量シェア 5位(2016/17年度 10.8%) 表-4 豪州の小麦需給(市場年度:10月~翌年9月) (単位:百万トン) 輸出量は、生産増に伴い前年度より増加し、18.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は26.8%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の生産量、期末在庫量で上 方修正、2015/16年度の期末在庫量で上方修正、輸出量で下方修正、2016/17 年度の生産量、輸出量で上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修 正された。 【生育進捗状況及び作柄】 豪州の小麦は、主に西部や南東部で栽培され、播種は例年4~6月頃、収穫 は10月~12月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は2016年4月から開始され、6月末にほぼ終了した。 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2 01 5/ 16 2 01 4/ 15 (見 込 み ) 23.9 7.2 24.5 7.2 2 01 6/ 1 7 予 測 値 、( ) は ABARES 26.5 7.5 3.8 3.8 4.0 16.6 0.2 4.8 20.3% 16.0 0.2 6.3 26.9% 18.5 0.2 7.0 26.8% (25.4) (…) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 1.0 - 8.2 3.2 (…) - 5.3 (17.2) (…) (…) (…) 1.0 0.4 0.5 15.6 11.0 ▲ 0.2 (参考) 収穫面積 (百万ha)※ 12.38 12.80 12.80 (12.72) 単収(t/ha) 1.93 1.91 2.07 (2.00) 0.08 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) ABARES「Agricultual commodities」(21 June 2016) (※ABARESは作付面積) 豪州気象局(BOM)「Monthly Summary」(2016.8.1)に よれば、7月の豪州全体の降水量は例年を61%上回 り、過去117年間で14番目に雨量が多くなった。地 図-4 降水量平年比較(2016年7月上旬) 域別には、クイーンズランド州、北西部以外のビク -7月はクイーンズランド州、ビクトリア州等で トリア州等では、降水量が平年を上回った(図-4)。 降水量が平年を上回った- このため、現地調査会社によれば、雨量が多い地域 では、病害の増加が懸念されるとともに、ほ場によ っては冠水するおそれもある模様。 写真-3 ニューサウスウェールズ州グリフィス市 -順調に生長し、穂孕期~出穂期を迎えた小麦畑- (2016年8月4日撮影) 米国農務省(USDA)「World Agricultural Producti on」(2016.8.12)によれば、5月頃に播種した小麦は 9月に開花期を迎える予定であり、土壌水分量はほ ぼ全ての小麦産地で乾燥型の天候に見舞われた昨年 度に比べて大きく改善しているが、春(9~11月)の 気温上昇に伴う作物のストレスを減らすには9月以 降の降雨が必要となってくる。 【貿易情報・その他】 USDA「Wheat Outlook」(2016.8.16)によれば、20 16/17年度の輸出量は、生産量の増加、高品質小麦 の高値が期待できること、収獲面積及び生産量が下 方修正されたアルゼンチン産小麦との間でアジア市 場での競争が緩和すること等から、前月から1.0百 万トン上方修正され、18.5百万トンとなる見込み。 資料:JAXA提供「降水量(GSMaP)偏差」 注:赤色の地域が平年より高い 写真提供:Australian Crop Forecasters - 4 - 8.4 エ EU 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積が増加するものの、フランスで多雨により減産となる こと等から前年度より減少し、147.5百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、129.3百万トンとなる見込み。 我が国の輸入先国シェア5位(2015年数量ベース 1.8%) 世界の生産量シェア 1位(2016/17年度 19.8%) 輸出量シェア 2位(2016/17年度 15.8%) 表-5 EUの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 輸出量は、生産減に伴い前年度から減少し、27.0百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度より減少し、6.0百万トンとなる見込み。 2015/16 2 014/15 (見 込 み ) 年 度 期末在庫量は前年度より減少し、期末在庫率も8.3%に低下する見込み。 生 産 量 消 費 量 なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の生産量、消費量で上方修 正、期末在庫量で下方修正、2015/16年度の消費量、輸出量で上方修正、期 末在庫量で下方修正、2016/17年度の輸入量で上方修正、生産量、輸出量で 下方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 【生育進捗状況及び作柄】 2016/17年度の生産量は、播種時期の好天により収獲面積が増加するものの主 産地で開花期の悪天候により単収が低下すること等から前年度を下回る見込み。 欧州では、2015年8月~11月半ばの播種以降、冬季及び春季は総じて温暖湿 潤型の天候となっていたところ、2016年5月下旬から6月にかけてフランス、 スペイン、ルーマニア及びハンガリー等で平年を上回る降雨が観測された。 うち飼料用 156.9 124.7 160.0 129.9 2 016/17 予測値、( )はEU 147.5 129.3 (153.5) (131.2) ▲ 9.0 - ▲ 7.8 ▲ 0.5 55.0 60.0 59.0 (58.0) - ▲ 1.7 33.8 6.7 15.7 9.6% 27.0 6.0 12.9 8.3% (30.3) (5.3) (12.9) (8.0%) ▲ 7.0 0.5 ▲ 4.5 ▲ 2.4 ▲ 20.1 ▲ 10.4 ▲ 17.8 ▲ 1.3 (参考) 収穫面積 (百万ha) 26.75 26.79 26.93 (26.48) 0.07 0.5 単収(t/ha) 5.87 5.97 5.48 (5.80) ▲ 0.35 ▲ 8.2 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) EU 「Balance Sheets For Cereals and Oilseeds and Rice」(28 July 2016) 図-5 日射量平年比較(2016年6月) -主産地フランスでは、6月は日照不足となっていた- フランス農産物統計局(AgriMer)によれば、同国の軟質小麦の作柄評価は、多 雨に見舞われたことから6月以降下がり続けており、5月30日時点では良/やや 良の割合が81%であったところ、8月1日時点では前年同期(77%)を大きく下 回る35%となった。 収獲作業は6月半ばから開始されており、USDA「World Agricultural Weather Highlights」(2016.8.12)によれば、雨がちな天候が続いたフランス、英国南 東部でも7月以降は乾燥型の天候に転じ、作業が本格化している。一方、欧州 北東部では8月初旬の大雨により作物の登熟や収穫作業が阻害されている模様。 【貿易情報・その他】 - 5 - 対前年度 増減率(%) 35.4 6.0 12.7 7.9% 米国農務省(USDA)「World Agricultural Production」によれば、スペイン、 ルーマニア及びハンガリーではこれが適期の降雨となり、豊作が見込まれてい る。また、欧州南東部のブルガリアやスロバキア等でも適期の降雨と温暖な天 候に恵まれている。一方、主産国のフランスでは、開花期の5月末~6月に多 雨型の天候で日照不足となったため(図-4)、生育が阻害されて単収・品質が ともに悪化し、多雨によるほ場の冠水やサビ病、穂発芽も発生している。この ため、生産量は2003/04年度以降で最低の31.5百万トンまで減少する見込み。 欧州委員会「Export and import commitments」によれば、2016/17年度(2016 年7月~)の小麦輸出量は、2016年8月16日時点で前年度同期を上回っており、 軟質小麦(小麦粉を含む)は374.8万トン(対前年度同期比24.5%増)、デュラム 小麦は18.1万トン(同8.0%増)となっている。 前月予測 からの変更 資料:JAXA提供「日射量平年対比(MODIS)」 オ 中国 カ (世界の生産量シェア 2位(2016/17年度 17.6%)) 表-6 中国の小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) インド (世界の生産量シェア 3位(2016/17年度 11.9%)) 表-7 インドの小麦需給(市場年度:4月~翌年3月) (単位:百万トン) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2 01 4/ 15 20 15/ 16 (見 込 み ) 2 016 /1 7 予測値、( )はIGC 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) - ▲ 0.1 4.5 126.2 116.5 130.2 112.0 130.0 117.0 (126.0) (118.1) 16.0 10.5 15.0 (17.5) - 42.9 0.8 1.9 76.1 64.9% 0.7 3.5 97.0 86.1% 0.8 3.5 112.7 95.7% (0.4) (3.2) (89.8) (75.8%) 0.2 0.2 9.6 0.6 16.2 9.6 - 0.7 ▲ 0.7 (参考) 収穫面積 (百万ha) 24.07 24.14 24.30 (24.30) 単収(t/ha) 5.24 5.39 5.35 (5.19) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 2 014 /15 95.9 93.1 2 015/ 16 (見込み) 86.5 88.6 2 016/ 17 予測値、( )はIGC 88.0 93.1 4.5 4.2 4.5 3.4 0.1 17.2 17.8% 1.1 0.5 14.5 16.2% 0.4 2.0 11.0 11.8% 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) - 1.7 5.0 (90.0) (92.4) (4.0) - 7.1 (0.3) (1.0) (12.8) (13.8%) - ▲ 62.3 325.5 ▲ 24.1 ▲ 4.4 - ▲ 5.3 7.3 (参考) 収穫面積 (百万ha) 30.47 31.47 29.80 (29.30) 単収(t/ha) 3.15 2.75 2.95 (3.07) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) 【生育進捗状況及び作柄】 中国の小麦生産量の95%超を占める冬小麦は、主に華北平原で栽 培され、例年、播種は10~11月、収穫は翌年5~6月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は2015年9~11月頃に行われ、大部分の 産地で総じて温暖湿潤型の天候に恵まれ、生育が順調に進展してい たが、主産地で登熟~収穫期に大雨に見舞われ、単収・品質が低下し た模様。収穫作業は2016年5月から開始され、6月下旬に終了した。 春小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は5~6月頃、収穫は10 ~11月頃に行われる。2016/17年度の播種作業は2016年3~5月に 行われた。中国中央気象台によれば、7月下旬頃から収穫作業が開 始され、8月20日には大半で作業が終了したが、西南地区の一部では まだ開花期、西北地区及び華北地区の一部では乳熟期にある。 中国国家穀物油糧情報センター(CNGOIC)(2016.8.8)によれば、 2016/17年度の冬小麦の生産量は122.6百万トン(対前年度比5.8% 減)、春小麦は6.0百万トン(同1.9%増)となる見込み。 国家糧食局の2016年夏収穫の小麦品質調査報告(2016.8.8)によれ ば、主要9省平均の容積重は783g/ℓ(対前年比6g/ℓ減)、3等以上の 割合は90.3%(同4.7ポイント減)、不完全粒の割合は7.1%(同1.6ポ イント増)等と、品質が前年度を下回っている模様。 【貿易情報・その他】 中国税関(海関)統計によれば、2016年1~7月の小麦輸入量累計 は208.1万トン(対前年同期比22.7%増)となった。国別内訳は、豪州 92.5万トン(シェア44.4%)、カナダ60.7万トン(同29.2%)、米国 31.3万トン(同15.1%)、カザフスタン23.6万トン(同11.3%)等。 - 6 - 【生育進捗状況及び作柄】 インドの小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は10~12月頃、 収穫は翌年4~5月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は、2015年10月中旬~2016年1月末頃に 行われた。モンスーン期到来の遅れに伴う前作(米)の収穫遅延によ り、小麦の播種作業の開始が遅れたこと等から播種面積が減少した。 その後も乾燥型の天候が続いて初期生育が阻害されたものの、シー ズン後半には比較的冷涼湿潤型の天候となり作柄が改善したことか ら、単収は前年度を上回る見込み。収穫作業は5月上旬にほぼ終了 した。 インド農業省は、第4次生産量予測(2016.8.2)において、2016/17 年度の生産量を前年度(86.5百万トン)を上回る93.5百万トンと発表 した。 【貿易情報・その他】 インド食料公社(FCI)によれば、2016/17年度の小麦の政府買入 数量は、22.9百万トンと前年度(28.1百万トン)を下回った。これ は、一般市場での取引価格が比較的高く、農家が政府機関よりも 民間取引業者に販売する傾向にあるためと見られる。 インドは、10月1日時点の政府在庫に関し、政府備蓄3.0百万ト ン、緩衝在庫17.5百万トンの計20.5百万トンを目標としている。 FCIによれば、2016年8月1日時点の政府在庫量は、前年同期 (36.8百万トン)を下回る26.9百万トンとなっているものの、10月 1日時点の目標は上回っている状況。 キ ロシア 【需給状況】(詳細は右表を参照) 世界の生産量シェア 輸出量シェア <米国農務省の見通し> 生産量は、冬小麦の単収が上昇するとともに春小麦の播種面積が拡大する ことから、史上最高の72.0百万トンとなる見込み。 消費量は、飼料用需要増に伴い前年度より増加し、38.5百万トンの見込み。 輸出量は、生産増に伴い史上最高の30.0百万トンとなり、EUを抜いて世 界第1位となる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も14.1%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2015/16年度の輸出量で上方修正、期末 在庫量で下方修正、2016/17年度の生産量、消費量、輸出量で上方修正され た。結果として、期末在庫量が上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 ロシアの小麦生産量の約7割を占める冬小麦は、主に欧州に近い南部や西部 で栽培され、例年、播種は8~10月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は2015年8~10月に行われた。南部では温暖湿潤型の 天候に恵まれて作柄は非常に良好。西部の中央連邦管区及び沿ヴォルガ連邦管 区では、2015年秋の乾燥で発芽や初期生育が阻害されたものの、春の降雨と平 年を上回る気温を受けて初期生育の遅れを取り戻して作柄が改善。ロシア気象 センターによれば、収穫作業は6月下旬から開始され、一部で7月中・下旬の 降雨で作業が中断したものの、南部では7月末にほぼ終了、西部でも進展中。 春小麦は主にシベリア連邦管区及び沿ヴォルガ連邦管区等で栽培され、例年、 播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃に行われる。2016/17年度の播種作業は 2016年3~6月に行われた。ロシア気象センターによれば、7月末現在、主産 地では乳熟期、播種が早かった西部では完熟期を迎え、収穫が開始されている。 ロシア農業省(速報値)によれば、8月16日現在、冬小麦・春小麦を合わせた 収穫予定面積は27.7百万ヘクタール、収穫進捗率は51%、収穫済面積は14.1百 万ヘクタール(前年同期12.9百万ヘクタール)、収穫量は51.7百万トン(同42.0百 万トン)、平均単収は3.67トン/ヘクタール(同3.26トン/ヘクタール)。 【貿易情報、その他】 8月16日、ロシア穀物同盟のズロチェフスキー会長は、今年の穀物の総収穫 量は114~118百万トンに達する見通しで、越年在庫(1.6百万トン)を考慮すると 現状のままでは保管能力が不足することになると述べた。また、品質が保てる 倉庫の保管能力は必要量の40%以下である旨も発言。 一方、トカチョフ農相は、同日、総収穫量が115百万トンになった場合はシベ リアの一部で倉庫不足が発生する可能性があるものの、同省の現時点の収穫予 測は110.0百万トンであり、倉庫不足は生じないとの見方を示した。 ロシア連邦税関局によれば、2015/16年度(2015年7月~2016年6月)の小麦輸 出量は、累計で24.3百万トン(対前年度比12.5%増)となった。国別内訳は、エ ジプト6.0百万トン(シェア24.7%)、トルコ3.1百万トン(同12.8%)等。 - 7 - 表-8 4位(2016/17年度 1位(2016/17年度 9.7%) 17.6%) ロシアの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 20 15/ 16 20 14 /1 5 (見 込 み ) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 59.1 35.5 61.0 37.0 20 16/ 17 予測値、( )はIGC 72.0 38.5 13.0 14.0 15.5 22.8 0.3 6.3 10.8% 25.5 0.8 5.6 9.0% 30.0 0.5 9.6 14.1% (67.5) (37.2) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 7.0 1.0 18.0 4.1 (14.6) 1.0 10.7 (27.6) (0.5) (9.2) (14.2%) 4.5 1.0 0.4 17.6 ▲ 37.5 71.0 5.1 (参考) 収穫面積 (百万ha) 23.64 25.58 26.60 (25.50) 0.60 単収(t/ha) 2.50 2.39 2.71 (2.65) 0.21 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) 図-6 4.0 13.4 ロシア産小麦の月別輸出量の推移 2015/16年度の輸出量は、月によりばらつきがあるものの 最終的には前年度を上回った。 (万トン) 400 2013/14年度 2014/15年度 2015/16年度 300 200 100 0 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 資料:ロシア連邦税関局のデータをもとに、農林水産省で作成 ク ウクライナ 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、単収が好天に恵まれて上昇するものの、収獲面積が減少するこ とから前年度より減少し、27.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度並みの12.5百万トンとなる見込み。 我が国の輸入先国シェア4位(2015年数量ベース 2.1%) 世界の生産量シェア 7位(2016/17年度 3.6%) 輸出量シェア 6位(2016/17年度 8.5%) 表-9 ウクライナの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) (単位:百万トン) 輸出量は、生産減に伴い前年度より減少し、14.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も10.6%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2015/16年度の輸出量で上方修正、期末 在庫量で下方修正、2016/17年度の生産量、輸出量で上方修正された。結果 として、期末在庫量が下方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 ウクライナの小麦生産量の95%以上を占める冬小麦は、主に南部や中央部で 栽培され、播種は例年8~9月頃、収穫は7~8月頃に行われる。 2016/17年度の播種作業は2015年9~11月に行われ、2016年6月下旬から開始 された収穫作業は、8月半ばにほぼ終了した。 昨年秋の播種時期に乾燥型の天候に見舞われたため、作業が遅れて播種面積 が減少するとともに、発芽や初期生育も遅れ気味となったものの、休眠明けの 2016年3月上旬以降は温暖湿潤型の天候に恵まれて作柄が改善した。5月下旬 から7月半ばにかけて天候が不安定で突風、雷雨や雹を伴う強い雨が散発的に 観測され、一部で倒伏が見られた他、病虫害も発生した。しかしながら、作柄 は総じて良好/並の状態が維持された。 ウクライナ農業政策食料省によれば、8月12日時点の収穫進捗率は前年同期 並みの99%に達し、収穫量は26.3百万トン(前年同期26.6百万トン)、収穫面積 は6.14百万ヘクタール(同6.75百万ヘクタール)、平均単収は4.28トン/ヘクター ル(同3.93トン/ヘクタール)となっている。 ウクライナ国営の分析会社ゴスブネシネインフォルム(2016.7.20)によれば、 2016/17年度は生育期間中の気象条件が良好で単収が上昇したことから、食用小 麦の割合が55%と前年度(45%)を上回る見込み。 【貿易情報・その他】 ウクライナ税関によれば、2015/16年度(2015年7月~2016年6月)の小麦輸出 量は、累計で対前年度比55.3%増の16.9百万トンととなった。国別内訳は、エ ジプト2.6百万トン(シェア15.6%)の他、タイ2.2百万トン(同13.0%)、インド ネシア1.7百万トン(同10.3%)、バングラデシュ1.4百万トン(同8.4%)、韓国 1.1百万トン(同6.7%)等のアジア向けも多い。 - 8 - 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 20 16/ 17 20 15/ 16 20 14 /1 5 (見 込 み ) 24.8 12.0 予測値、( )はIGC 27.3 12.5 27.0 12.5 4.0 4.5 4.5 11.3 0.0 5.2 22.3% 17.2 0.1 2.8 9.4% 14.5 0.1 2.9 10.6% 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 2.0 - ▲ 1.0 - (25.0) (12.4) (4.0) - - (12.1) (…) (3.9) (15.9%) 2.0 ▲ 0.2 ▲ 1.6 ▲ 15.7 1.8 1.1 (参考) 収穫面積 (百万ha) 6.30 7.12 6.50 (6.35) 0.20 単収(t/ha) 3.93 3.83 4.15 (3.94) 0.18 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) 写真-4 ウクライナ南部 ▲ 8.7 8.4 オデッサ港(2016年8月1日撮影) -輸出する穀物を船に積込む様子- ケ カザフスタン 【需給状況】(詳細は右表を参照) (世界の輸出量シェア 7位(2016/17年度 <米国農務省の見通し> 表-10 生産量は、収穫面積が減少するものの好天に恵まれて単収が上昇すること から前年度より増加し、15.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度並みの6.9百万トンとなる見込み。 輸出量は、生産増に伴い前年度より増加し、8.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も18.3%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2015/16年度の輸出量で上方修正、期末 在庫量で下方修正、2016/17年度の生産量、輸出量で上方修正された。結果 として、期末在庫量が上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 カザフスタンの小麦生産量の9割以上を占める春小麦は、主に北部(アクモラ 州、コスタナイ州、北カザフスタン州)で栽培され、例年、播種は5~6月頃、 収穫は8~10月頃に行われる。 4.7%)) カザフスタンの小麦需給(市場年度:9月~翌年8月) (単位:百万トン) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 20 15/ 16 20 14 /1 5 (見 込 み ) 13.0 6.8 13.8 6.9 20 16/ 17 予測値、( )はIGC 15.0 6.9 2.0 2.1 2.1 5.5 0.6 3.3 26.3% 7.6 0.1 2.6 17.7% 8.0 0.1 2.7 18.3% (13.5) (6.7) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 2.0 - 9.1 - (2.0) - - (7.0) (…) (2.4) (17.3%) 1.0 0.9 5.2 5.3 ▲ 25.0 6.2 0.6 (参考) 収穫面積 (百万ha) 11.92 11.57 11.00 (12.00) 単収(t/ha) 1.09 1.19 1.36 (1.13) 0.18 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) ▲ 4.9 14.3 2016/17年度の播種作業は、南部で2016年3月から、主産地の北部では4月下 旬から開始され、一部で降雨により作業が停滞したものの6月中旬に終了した。 写真-5 カザフスタン国家気象局によれば、5~6月は比較的温暖となり生育が進展。 7月は短期間の強い雨もあって土壌水分量が上昇して生育進展に寄与したもの の、一部では、倒伏が見られたり、土壌水分過多により雑草が繁殖しやすい状況 となり、病害や虫害が発生している模様。 7月中旬時点で、主産地の北部では出穂期~乳熟期を迎え、作柄は良好/並と なっている。一方、播種が早かった南部のクズロルダ州では7月中旬から収穫作 業が開始されている。 大部分の作柄は良好(写真上)だが、一部で7月末の大雨で雑草が繁殖 (写真下) カザフスタン農業省のアイトゥガノフ第一次官は、8月5日時点で北部と東部 では大半で開花期~黄熟期を迎えており、一部産地で豪雨や低温の影響で生育が 遅れていることから、例年8月末から開始される本格的な収穫時期が今年は9月 初めにずれ込む可能性があると述べた。 同省によれば、麦類全体(小麦、ライ麦、大麦、えん麦等)の収穫面積は15.27 百万ヘクタールとなる見込みであり、8月15日時点の収穫済面積は82.0万ヘクタ ール(前年同期85.3万ヘクタール)、収穫量は176.7万トン(同142.1万トン)、進捗 率は 5.4%(同5.8%)となっている。 【貿易情報・その他】 カザフスタン財務省税関監督委員会によれば、2015/16貿易年度 (2015年7月 ~2016年6月)の小麦輸出量(関税同盟加盟国(ロシア、ベラルーシ)向けを除く) は、累計で358.8万トン(対前年度比13.7%増)となった。国別内訳は、ウズベキ スタン149.4万トン(シェア41.6%)、タジキスタン92.9万トン(同25.9%)と中央 アジア諸国が上位を占めており、次いで中国28.8万トン、アフガニスタン28.5 万トン等となった。 - 9 - カザフスタン北部コスタナイ州(2016年8月10日撮影) -黄熟期を迎えた春小麦畑- コ アルゼンチン 【需給状況】(詳細は右表を参照) (世界の輸出量シェア 7位(2016/17年度 <米国農務省の見通し> 表-11 生産量は、輸出規制撤廃に伴う生産意欲拡大により収穫面積が増加するこ とから前年度より増加し、14.4百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より増加し、6.3百万トンとなる見込み。 輸出量は、輸出規制撤廃に伴い前年度より増加し、8.0百万トンとなる見 込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も6.7%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の生産量、期末在庫量で下方 修正、2015/16年度の輸出量で上方修正、期末在庫量で下方修正、2016/17年 度の生産量、輸出量で下方修正された。結果として、期末在庫量がわずかに 上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 アルゼンチンの小麦は、主に南部のブエノスアイレス州、コルドバ州、サン タフェ州等で栽培され、例年、播種は5~7月頃、収穫は11月~翌年1月頃に 行われる。 2016/17年度の播種作業は、2016年4月下旬の大雨による前作(大豆)の収穫遅 延に伴い作業の開始が遅れ、5月中旬から開始された。 アルゼンチンの小麦需給(市場年度:12月~翌年11月) (単位:百万トン) 20 15/ 16 20 14 /1 5 (見 込 み ) 年 度 生 産 量 消 費 量 うち飼料用 輸 出 量 輸 入 量 期末在庫量 期末在庫率 13.9 6.4 11.3 6.2 20 16/ 17 予測値、( )はIGC 14.4 6.3 0.3 0.1 0.1 5.3 0.0 4.8 41.2% 9.1 0.0 0.9 5.6% 8.0 0.0 1.0 6.7% (14.6) (5.8) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) ▲ 0.6 - 27.4 2.4 (0.5) - - (8.8) (…) (1.0) (6.8%) ▲ 1.0 0.0 0.6 ▲ 12.1 11.6 1.1 (参考) 収穫面積 (百万ha) 4.96 3.77 4.80 (5.04) ▲ 0.20 単収(t/ha) 2.81 3.00 3.00 (2.90) 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(12 August 2016) IGC 「Grain Market Report」(28 July 2016) 27.3 - 写真-6 アルゼンチン ブエノスアイレス州(2016年8月2日撮影) -順調に生長し、分げつ期を迎えた小麦畑(播種:6月24日)- ブエノスアイレス穀物取引所週報によれば、コルドバ州南部、ブエノスアイ レス州南部・南東部では、悪天続きで路面状態が悪く、ほ場にアクセスできな い等の理由で播種作業が遅延していたが、同国中部では7月下旬以降、ブエノ スアイレス州南部では8月上旬以降の晴天で土壌水分過多の状態が改善して作 業が進展。8月11日時点のアルゼンチン全体の播種済面積は4.18百万ヘクター ル、進捗率は97.3%となり、作業がほぼ終了した。最終的な播種面積は 4.3百 万ヘクタールと前年度(3.6百万ヘクタール)を19.4%上回る見込み。 【貿易情報・その他】 2015年12月17日、アルゼンチン政府は、農産物の輸出税を撤廃・引下げる旨 を公示し、小麦輸出税(23%)は撤廃された。また、12月29日には穀物・油糧種 子の輸出登録制度(ROE)も廃止されたことから、2016年以降の輸出量は前年に比 べて増加している。 アルゼンチン農産業省農畜食糧衛生品質管理センター(SENASA)によれば、 2016年1~6月の小麦輸出量累計は631.7万トン(対前年同期比127.1%増)とな った。国別内訳は、隣国ブラジルが214.0万トン(シェア33.9%)と最も多く、こ の他、インドネシア119.3万トン(同18.9%)、タイ69.9万トン(同11.1%)、韓国 60.4万トン(同9.6%)、ベトナム46.4万トン(同7.3%)等とアジア向けも多い。 写真提供:Agustin Rocha氏 - 10 - 4.7%))