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「プロジェクト成功の鍵となる 書化 法」
■PMAJ 第210回例会 2016年5⽉27⽇(⾦) 「プロジェクト成功の鍵となる⽂書化⼿法」 〜結果を出す⽂書化(ドキュメンテーション)とは〜 業務コンサルタント・myコンテンツ⼯房代表︓ 丸⼭ 有彦 © 2016 Naohiko Maruyama 1 ■業務コンサルタントとは… 【主な仕事】 業務を記述することで、 業務を整理し 業務改⾰を促すお⼿伝い ↓ (1) 業務改⾰を進めたい組織 (2) 業務システムを構築する組織 © 2016 Naohiko Maruyama 2 内 1 容 マネジメントにおける⽂書化(ドキュメンテーション) 「機能」と「⽬的」の確認とその対策 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション 「スピード」と「実質」のある形式をどう作るか 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 「⾒える化」「知識化」「構造化」をどう⾏うか © 2016 Naohiko Maruyama 3 1 マネジメントにおけるドキュメンテーション 「機能」と「目的」の確認とその対策 © 2016 Naohiko Maruyama 4 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■記述することの意義 ⾔葉による記述があってはじめて事実は 存在することになって、論争が始まるんですね。 ですから、全ての学問の基礎になり、 社会⽣活の基礎になるのは記述なんですね。 ⼭崎正和 『⽇本語の21世紀のために』 © 2016 Naohiko Maruyama 5 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■ドキュメンテーションの定義 ⽂書化(ドキュメンテーション)とは、 情報を⽂書(ドキュメント)に記述すること 実質的には…⽂書化とは、 データ・情報の断⽚を組み合わせて、 思考を⾒える構造にすること *データ︓⽂字、符号、数値の集合 *情報︓⼈が解釈したり、⼈に意味を与えるもの © 2016 Naohiko Maruyama 6 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■⽂書化⼿法の変化 ドキュメンテーション(⽂書化)の⼿法が変化 ↓ (1) グローバル化の影響 「世界の中での競争 +国内の競争」 (2) 電⼦化の影響 ↓ ⽂書…スピード重視、実質的内容の重視 © 2016 Naohiko Maruyama 7 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■すでに起こった未来︓Eメール ⼿紙からEメールへ 圧倒的なスピード + 実質的内容の重視 ↓ (1) ⽂字修飾なしのテキスト⽂書︓ 挨拶なし (2) 電⼦画⾯で読む * ツイッターの140⽂字…ビジネスでは不⾜ © 2016 Naohiko Maruyama 8 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■ビジネス⽂書︓変化の要因 なぜ スピード、実質的内容 を重視するのか︖ グローバル化時代になって、 ビジネスのモデルチェンジが早くなったため ↓ ビジネスモデル・業務の構築が重要 ↓ ビジネス⽂書のあり⽅が変わるのは当然 © 2016 Naohiko Maruyama 9 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■「業務の構築」の位置づけ 業務の3ステップ 業務の構築 ⇒ 業務の運⽤ ⇒ 業務の改善 ⽇本⼈の 得意なところ vs 不得意なところ ・「業務の改善」は世界でもトップ ・「業務の運⽤」もトップクラス ・「業務の構築」は苦⼿ cf. 『日本の競争戦略』マイケル・E. ポーター、 竹内 弘高:2000年 © 2016 Naohiko Maruyama 10 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■業務の構築に必要なこと 業務の構築をするためには、 新しい業務の仕組みを考えることが必要 ↓ 思考を明確化し、記述することによって 業務として定着する (「業」…反復性) cf. 業務改⾰の際に業務の記述が必要不可⽋ © 2016 Naohiko Maruyama 11 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■ビジネス⽂書︓作成の変化 Amazon︓社内のプレゼン…PPT禁⽌ テキスト形式の⽂書6ページの報告書を黙読 ベソスCEO 図表や、簡単な箇条書きを作っても 発表者の思考を深めることにつながらない ↓ ⽂字で作成の資料は作成過程で思考が深まる http://www.philanthropydaily.com/jeff-bezos-powerpoint-prohibition/ © 2016 Naohiko Maruyama 12 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■思考の「⾒える化」 「考える」とは、つまるところ「⾔語化」であり、 ⾔語化する作業が、<思考の「⾒える化」>で ある。 (1) ⽂章中⼼でいく 図表化は、本質をついた⾔葉にかなわない (2) 絵や図表の⽅がわかりやすい場合のみ例外的に使⽤ 遠藤功 『「⾒える化」勉強法』 (2010) © 2016 Naohiko Maruyama 13 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■図解はわかりやすいのか︖ + © 2016 Naohiko Maruyama 14 1︓マネジメントにおけるドキュメンテーション ■PPT不使⽤の傾向 「パワーポイントを使うようになって 資料が増え、深く考えなくなった」 -2008年5⽉ 発⾔- 渡辺 捷昭(わたなべ かつあき・トヨタ⾃動⾞元社⻑) 『AERA』「パワポバカになるな」 2012. 2. 27号 *PPTの使⽤制限をする会社が多くなっている © 2016 Naohiko Maruyama 15 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション 「スピード」と「実質」のある形式をどう作るか © 2016 Naohiko Maruyama 16 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■マネジメントの基本構造 「⽬的」 ⇒ 「⽬標」 ⇒ 「⼿段」 ⽬的を具体的な⽬標に絞りこみ、 ⽬標達成のための⼿段を考える ↓ 「⽬的」⇒<戦略>⇒「⽬標」 「⽬標」⇒<戦術>⇒「⼿段」 © 2016 Naohiko Maruyama 17 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■ビジネス構築の基本戦略 「誰に」 「何を」 「どう売るか」 ⇒ ⽬標の決定 4P︓マーケティング戦略との関係は︖ (1) (2) (3) (4) 製品 ︓Product 価格 ︓Price 流通 ︓Place プロモーション︓Promotion © 2016 Naohiko Maruyama 18 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■ビジネス構築のフレーム 「誰に」 「何を」 顧客 「どう売るか」 モノ・サービス 価格 (Price) (Product) 流通 (Place) プロモーション (Promotion) © 2016 Naohiko Maruyama 19 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■ビジネス⽂書作成の「戦略」 「誰に」 「何を」 「どう伝えるか」 対象者 内容 (テーマ) レベル (初/中/上級) フォーマット・分量 シナリオ *業務の構築と同じ思考のプロセス © 2016 Naohiko Maruyama 20 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽂書作成と「創造」の「⼿段」 ⽂書化︓「データ・情報の断⽚を組み合わせて、 思考を⾒える構造にすること」 創造 ︓ 「要素を組み合わせて、ある機能を 果たす構造を作り上げること」 畑村洋太郎『創造学のすすめ』講談社 (2003 ) © 2016 Naohiko Maruyama 21 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■モノ・サービスの創造過程 ◆「要素」×「構造」⇔「機能」 「要素」 ⾃動⾞なら、ボルトや⾞軸などの部品 「構造」 部品の組み合わせ⽅ 「機能」 「要素」「構造」で成⽴した「⾛る・⽌まる」 © 2016 Naohiko Maruyama 22 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽂書作成の過程 論⽂の書き⽅︓ベートーヴェン式 (1) 散歩しながらメモをたくさん書き、 (2) メモから主題等の部品を選び、配列を考え、 (3) 頭の中で組み替え、その作業を繰り返して ⾳楽を完成するベートーヴェン式作曲法 諏訪邦夫 『論⽂を書いてみよう︕』克誠堂出版 (2005) © 2016 Naohiko Maruyama 23 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■ビジネスとビジネス⽂書の⼀体化 1 ビジネスの戦略︓⽬的を⽬標に変える 誰に・何を・どう売るか 誰に・何を・どう伝えるか 2 業務の構築︓仕組みにする戦術 機能 ⇔ 要素 × 構造 © 2016 Naohiko Maruyama 24 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽬標の設定 (1) ゴールとなる⽬標の設定 (2) プロセス毎の⽬標の設定 =マイルストーン © 2016 Naohiko Maruyama 25 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽬標の管理︓2つの⽅法 ◆基本発想︓サイバネティックス ① ⽬標を決め、⾏動を開始 ② ⾏動の結果を測定 ③ ⽬標と⽐較 N・ウィーナー︓ The Human Use of Human Beings (1950, 邦訳『人間機械論』 ) © 2016 Naohiko Maruyama 26 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽬標管理︓フィードバックの環 情報 ⾏動 ⽬標 情報 測定 情報 ⽐較 © 2016 Naohiko Maruyama 27 2 強い組織作りのためのドキュメンテーション ■⽬標管理の道具︓⽂書 【⾏動】⇒【測定】⇒【⽐較】 情報を回すとは…文書を回すこと ↓ 目標管理の道具は原則として文書 ⇒簡潔・的確な文章が必要 © 2016 Naohiko Maruyama 28 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 「⾒える化」「知識化」「構造化」をどう⾏うか © 2016 Naohiko Maruyama 29 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■「⾒える化」の⽅法 思考を⾔語化する作業が「⾒える化」 ↓ 思考を簡潔・的確に⽂章化すること cf. 操作マニュアルがわからないと⾔われる原因 ⇒ 3分の2が⽂章表現のまずさにある ↓ ときどきプリントアウトして わかりやすい⽂章かどうか⾃⼰チェック © 2016 Naohiko Maruyama 30 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■記述︓簡潔・的確な⽇本語 「法律家としての⽂章書きのトレーニング法 としては、むしろ主語・述語のはっきりし ている外国語⾵の⽂章を書くように努⼒し、 いったんそれが⾝についたら、またそれを ⻑い年⽉かけて崩していく、という⽅法を とるべきであると思う」 ⻄原春夫 ⻄原春夫ほか『短⽂・⼩論⽂の書き⽅』有斐閣新書(1978) © 2016 Naohiko Maruyama 31 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■知識化のサンプル︓報告書の基本形式 知識化とは、使える形式に記述すること ↓ 報告書は⽬標管理のツール (1)⾏動(実⾏)のTPO (2)実⾏内容が測定できる記述 (3)⽬標値と実⾏の⽐較 (4)問題点の指摘 [⇒改善] ↓ 必要項⽬を使える形式で⽰す © 2016 Naohiko Maruyama 32 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■構造化︓ビジネス⽂書作成の基本 STEP1 伝えたいことを明確にする 「誰に」 「何を」 「どう伝えるか」 (テーマ) (レベル/形式/シナリオ) STEP2 内容が伝わるように構成する 要素(素材)× 構造(組み合わせ)⇔ 機能 © 2016 Naohiko Maruyama 33 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■要素と構造の把握の仕⽅ 伝えたいことの内容・レベルから… どのくらいの素材(要素)があって、 どういう並び(構造)にすればよいか …がわかることが重要 ↓ 練習が必要 © 2016 Naohiko Maruyama 34 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■サンプル︓構造化の練習 新聞の社説 (約1000字)から構成を探る (1) 社説をブロック分けする (2つか3つのブロックに分かれる) (2) ブロックを形成する材料をチェック (ポイントになりそうな箇所に線引き) (3) ブロックごとに⼩⾒出しをつける (4) 社説全体の構成メモを作る (5) 構成メモから100字要約を作成 © 2016 Naohiko Maruyama 35 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■サンプル︓ポイントに線を引く © 2016 Naohiko Maruyama 36 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■サンプル︓構成メモ 1 合成の誤謬の否定 ⾃由な社会なら多様性がある ↓ 多様性があれば合成の誤謬は成⽴しない 2 組織の社会的正統性の根拠︓ドラッカー 「私的な強みは公益となる」(1973) ↓ 組織内で各⼈が強みを⽣かすことによって 個⼈で⾏うより、組織のほうが⼤きな活動ができる © 2016 Naohiko Maruyama 37 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■サンプル︓100字の要約 ドラッカーは1973年に、「私的な強みは公益と なる」がゆえに、組織に社会的正統性があると ⾔った。多様性を認める社会なら、組織は個⼈ の強みを⽣かして、個⼈の活動の総和を超える 成果を上げられるためである。 © 2016 Naohiko Maruyama 38 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■⾃⼰検証︓要素と構造の把握 要素と構造の把握が出来ているのか… 正解がないので不安 先輩に⾚を⼊れてもらえなくなった ↓ ⾃⼰検証が重要 100字要約でチェックできる ! ぴたりと当たれば、⾃分でわかる © 2016 Naohiko Maruyama 39 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■うまくまとまった…という感覚 100字要約がうまくまとめられたなら、 その前の段階も外れていない ↓ うまくまとまった…という感覚が 持てるまでガマンして継続する ↓ 実際に体感すること︕ © 2016 Naohiko Maruyama 40 3 結果を出すドキュメンテーションの⼿法 ■「⾒える化」「知識化」「構造化」 (1) 「⾒える化」︓思考を⾔語化=⽂章化 ⇒ 記述の形式…簡潔・的確 (確認が重要) (2) 「知識化」 ︓使える形式に記述すること ⇒ ⽂書の内容…⽬的に適った要素を盛り込む ビジネス上の要請…スピード・実質的内容の重視 (3) 「構造化」︓要素×構造 ⇔ 機能 ⇒ 創造の過程と同じ⽂書作成(練習が有益) © 2016 Naohiko Maruyama 41 ありがとうございました。 丸⼭ 有彦 ブログで情報発信中 mycontentslabo.com/ ご質問は…<[email protected]> © 2016 Naohiko Maruyama 42