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日本の味「ふりかけ」をつくり続けて1世紀新工場建設を機に「健康食品

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日本の味「ふりかけ」をつくり続けて1世紀新工場建設を機に「健康食品
本 社 広島県広島市西区東観音町3-22
代表者名 代表取締役社長 田中茂樹
資 本 金 1,000万円
従 業 員 145名
事業内容 ふりかけ等の製造・販売
創 業 明治34年(1901年)
ホームページ http://www.tanaka-foods.co.jp
田中食品株式会社(広島県広島市)
海軍からの要請で開発したロングセラーふりかけ
“旅行の友”
原爆投下によって多くの命が一瞬にして奪われ、廃墟となった広
島だが、戦後、中国・四国地方の経済文化の中核を担う国際平和都
市へと発展した。
この広島市にあって、深刻なデフレ不況下にもかかわらず、ここ数
年着実に売り上げを伸ばし、利益を増大させている企業がある。明
治34
(1901)
年の創業以来今日まで、
日本人の食卓に欠かせない
「漬
物」や「ふりかけ」の製造・販売を行ってきた田中食品株式会社だ。
同社の100余年にわたる歴史を振り返りながら、今後の成長に向け
た経営戦略について田中茂樹社長に伺った。
億円。単純計算で
年間約 億円といわれる。田中食品
“ふりかけ”。その市場規模は
きたての白いご飯によく合う
朝食にパンを食べる“モダンガール”
んは、当時では珍しくベッドに寝て、
保太郎氏を盛りたてた夫人のトモさ
め る 味 噌 汁 を 作 っ た ア イ デ ア マ ン。
化。保太郎氏は総白木造りの 坪の
もに、広島漬物製造株式会社に法人
は田中商店は広島に拠点を移すとと
行の友」
は売れに売れる。昭和3年に
なじみの深い味であることから、
「旅
の売り上げは約
%のシェアを有する業界第3位の
のが始まりだ。
を製造・販売する田中商店を開いた
ときに、呉市の中通りで漬物や缶詰
アオサ
(のり)
を加えた
の作り方をベースに、魚粉にゴマと
を工場ごと買い取り、大正5年、だし
する店があった。保太郎氏はこの店
した、インスタントだしを製造・販売
この要請に保太郎氏は応える。田
中商店の向かいには煮干しを粉末に
を作れないかという要請があった。
持ちがする、しかも栄養価の高い食品
の製造法が記された書類は、金庫も
ろうとするがうまくいかない。漬物
創業者のあとを継いで会社の再建
を図る耕輔氏であったが、漬物を作
ゼロからものづくりを始めた。
に復員し、
廃材でバラック工場を建て、
た保 太郎氏の次男耕輔氏は、一年後
他界していたが、トモ夫人が原爆に
しかし昭和 年、原爆ですべて灰
になってしまう。保太郎氏はすでに
大邸宅を構えるまでになった。
保太郎氏は、明治以降、軍都・広
島に隣接する軍港として栄えた呉市
「ふりかけ」
の商品化に
ろとも溶けてしまっていたからだ。
老舗企業だ。
で、漬物だけでなく、缶詰に味噌と
成功する。今日まで売
代表取締役社長 田中 茂樹(たなか しげき)
昭和49年、立教大学卒業後、当社に入社。東京都内の食品問
屋の営業を経て、平成4年、代表取締役社長に就任。
現在の“旅行の友”
20
よって亡くなる。ジャワで終戦を迎え
26
同社の創業は明治 年。田中茂樹
社長の祖父・田中保太郎氏が 歳の
ネギ、麩を入れて、兵隊が戦地で飲
れ続けている超ロン
これを機に、徐々に漬物から撤退
し、昭和 年には社名を田中食品株
て 何 よ り、 日 本 人 に
し か っ た こ と、 そ し
加工食品の走りで珍
軍によって大量に
一括購入されたこと、
昭和初頭の工場の様子と
当時の“旅行の友”パッケージ
グセラー商品
「旅行の
18
800
56
400
式会社に変えた。
34
14
友」
の誕生だ。
ある日、トモ夫人の知人の海軍将
校から、軽くて持ち運びが便利で、日
だった。
炊
広島市内にある田中食品の本社社屋
13
2010.11 JFC 中小企業だより
中小企業事業
14
ー老舗企業に学ぶー
社 名 田中食品株式会社
日本の味
「ふりかけ」をつくり続けて1世紀
新工場建設を機に「健康食品」企業へ!
お 客 さ ま
訪問レポート
多品種少量生産に対応するため、何台もの自動包装機が
ひとつの梱包ラインに繋がっている
年代末に放映され
本が高度経済成長に向かい始
めた昭和
業容拡大に伴い問題となったの
が、深刻な人材不足だった。中途採
学を訪ね、時間をかけて教授との人
各地を回ったとき、必ずその地の大
考えた末に4種類のふりかけを小
さなパック詰めにした「ミニパック
中小企業だからこそ人材育成に力を注ぐ
日
ていったという。
間関係を作り、一人、二人と確保し
いく。新卒採用のため大学回りをし
用した社員が3ケ月くらいで辞めて
発売したところ大ヒット。
「作っても
ても「あなたのところに回す学生は
シリーズ」を携帯用
(弁当用)として
組のスポンサーだった業界最大手の
作っても生産が間に合わない」ほど
4月名古屋営業所開設
昭和40年 全国衛生優良施設工場とし
て厚生大臣賞受賞
54
昭和48年 広島区西区に本社ビル竣工
現
年に稼働を始
在 同 社 は、 東 広 島 工 場( 東 広
島 市 )と 平 成
体制で生産を行っている。工場では、
PEC産業教育センターの山田日登
志所長が提唱するトヨタ生産方式に
基 づ く「 カ イ ゼ ン に よ る ム ダ と り 」
が行われ、製造工程の徹底した効率
化が図られている。
フ ォ ー ド 型 の 分 業 シ ス テ ム か ら、
一人の従業員が一つの製品を仕上げ
る“セル生産方式”に移行すること
で、作業効率が大幅にアップするだ
けでなく、機械の生産効率も向上し、
機械自体がコンパクトになったとい
う。 ム ダ な 在 庫 も 溜 ま ら な い た め、
工場に %もの空間が生まれた。
しかし、田中社長は現状に満足し
ていない。来年の夏頃完成を目指し、
広島工場敷地内に新工場を建設する
予定だ。新工場では、最新鋭の多品
種少量生産に対応可能な自動化ライ
ンの導入と、昆虫や異物の混入を完
全に防ぐ無人化生産システムへの切
り替えが狙いだ。
こ う し た 設 備 導 入 に あ た っ て は、
これまで公庫の資金を活用してき
た。
「公庫の担当者からは、財務面や
コスト面での改善
すべき点を、率直に
指摘してもらえる
のがありがたい」と
田中社長は話す。
新工場の建設と
同時に、同社は商品
構成を大きく変え
る予定だ。現在のふ
り か け 類 は、 半 分
以上が天然素材を
け”になる。そして新たにサプリメ
ント的な健康飲料の製造・販売に乗
り出す。
「 カ イ ゼ ン で ム ダ を な く し た こ と
で利益は上がってきた。これからは
若い人の感性を活かした商品開発に
だ。研修で仕事の仕方がわかってくる
と、社員が定着するようになった。
社員だけではなく、田中社長自身
も多くのコンサルタント会社の研修
に 積 極 的 に 参 加 し、「 た く さ ん の コ
ンサルタント会社のいいとこ取り」
をしたオリジナル社員教育マニュア
ル を 作 っ た。「 若 い 人 は 精 神 論 だ け
ではついてこない。マニュアルに基
づいて指導した方が動く。社員の親
御 さ ん か ら、『 田 中 食 品 に 入 っ た か
らこんなに立派に育った』と言われ
るような教育をしたい」と田中社長
は言う。
自身が心がけているのは“謙虚で
あれ”ということだ。若い時に問屋
やスーパーの経営者に会った際、立
派な経営者ほど挨拶をするとき深く
頭を下げることに気づいたからだ。
田 中 社 長 は、「 ご 飯 に か け て 食 べ
たら、健康管理ができて肥満になり
は、ズバリ“食べて健康”だ。
田中社長の商品開発のコンセプト
社員にエールを送る。
もって努力することが大事だ」と
ハ ー ド ル で は な い が、「 現 状 維 持 で
今 後 の 目 標 に 掲 げ る。 決 し て 低 い
億 円、 利 益 1 割 以 上 を
ません、心臓病にも糖尿病にもなり
売り上げ
ません、といえるようなふりかけを
「 私 が 4 代 目 の 社 長 に 就 任 し た の
が 平 成 4 年。 先 代 か ら 受 け 継 い だ
たいまつ
消 す わ け に は い か な い 」。 田 中 社 長
の将来への意気込みは力強い。
創業者の経営理念を継承しながら、
時代が求める新商品の開発に取り組む
周 年 を 迎 え る 同 社 は、
は 社 員 が 希 望 を 持 て な い。 目 標 を
作らないといけない。人々の健康に
松明は赤々と燃えている。その火を
来年創業
命」と強調する。
役立つ製品を作るのが食品会社の使
取り組まなければならない」と話す
会社の研修に社員を次々と送り込ん
丸美屋食品がふりかけのCMを流し
6月東京営業所開設
使った“健康ふりか
平成22年 広島市より
「ザ・広島ブラン
ド」
の認定を受ける
ところが、今度は入った社員を教
育する人間がいない。コンサルタント
昭和3年 広島漬物製造株式会社とし
て法人化
めた広島工場(廿日市市)との2工場
はつかいち
16
平成16年 廿日市市の広島工場が
本格稼働
余っていない」と言われる。営業で
ふりかけ
「旅行の友」発売
工場を建設するきっかけになった。
平成元年 株式会社サンリオとの
ライセンス契約
の売れ行きで、これが昭和 年に新
大正 5年 呉海軍御用達、海軍軍需部
納入。 “健康ふりかけ”で売り上げ倍増にチャレンジ
昭和26年 田中食品株式会社へ
社名変更
なった」と田中茂樹社長は語る。
田中社長は、その 年後の昭和
年に大学を卒業し田中食品に入社。翌
ような大手と同じものを作っても東
こで、業界の先輩から「丸美屋さんの
年、東京の食品問屋に修行に出た。そ
10
京では売れない」と助言される。
原爆被災により工場焼失
昭和20年
当社が初めて商品化した
人気のミニパックシリーズ。
昭和50年 日本で最初にミニパック
シリーズを発売
49
た。 あ れ で ふ り か け 業 界 が 明 る く
た人気TVアニメ『エイトマン』。「番
30
明治34年 呉で味噌・漬物・瓶・缶詰の
製造、販売
中小企業だからこそ、社員教育マニュアルを
整備し、人材育成に力を注ぐ
「カイゼンによるムダとり」で
徹底した効率化を図る
15
2010.11 JFC 中小企業だより
中小企業事業
16
天然素材、着色料・保存料無添加で作られた
新製品の「しぜんのおいしさでつくりました」
シリーズ
昭和38年 2月大阪営業所開設
50
商品は過去の販売数からランキングされ、販売実績が高いほど
入口付近にストックされる。出荷効率を高めるカイゼンの一例
100
昭和54年 東広島市吉行工業団地に
東広島工場を新設
老舗企業に学ぶ
ここがポイント
110
1
2
3
田中食品略年表
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