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アプリケーションスペシャリスト

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アプリケーションスペシャリスト
アプリケーションスペシャリスト
3.5
(1) モデルキャリアパス(基本パターン)
※ このモデルキャリアパスは、今回の調査対象となった
10名のキャリアパスを参考に作成したものです。
【アプリケーションスペシャリスト】 モデルキャリアパス (基本パターン)
<凡例>
High
・システム開発の全体の流れを理解す
ることにより自分が担当している工程
及び業務の位置付けを理解する
キャリアパス上の
その時期における
業務内容や役割など
・リーダとして、シス
テム全体の上流
工程から本番稼
動までを担当
テキスト入力
・顧客との接点、マ
ネジメント業務が
拡大
レベルアップのために
重要なポイント
レベルアップのために
重要なポイントの解説
Middle
システム開
発の流れ
APSとしてシステ
ム開発技術の基
本を修得
比較的早い段階で
基礎技術の
レベルアップ
修得
・軸となる業務領
域を持ち業務シ
ステムの設計を
テキスト入力
担当
・小規模チームの
リーダを担当
・リーダとして、サブ
システムの上流工
程(要件定義・基本
設計等)から担当
テキスト入力
・顧客との主体的な
折衝機会が多くなる
・PM業務も一部担当
主にプログラ
ムの製造/
テキスト入
テストを担当
保守業務を
力
担当するケー
スもある
Entry
将来の希望
APS
テキスト入力
PMテキスト入力
EDU
テキスト入力
CONS、SALES
テキスト入力
業務知識
(顧客同等)
顧客への付
加価値提案
・豊富な業務知識を駆使し、顧客の情報化
戦略に則った業務構築を提案。
・顧客要求の分析・取り纏め等で経営レベル
の顧客との折衝能力を身につける。
業務知識
(システム全体)
ヒューマン
スキル
・担当業務範囲の拡大に伴い広く深い業務知識
を身につける。
・顧客要求の引き出しや調整など高度なコミュニ
ケーション能力を身につける。
・プロジェクト間調整、協力会社管理、品質管理
などの高度なマネジメントスキルを修得する。
業務知識
(サブシステム)
マネジメントスキル
・主に顧客へのインタビューから、担当
範囲の業務知識を修得する。
・PMや上級管理者の指導を受け基本的
なマネジメントスキルを修得する。
レベル1
社会人経験年数
・複雑で難易度の高い
業務システムを担当
・業務の専門家として
コンサル的役割も増
テキスト入力
加
・関連業務を合わせた
全体最適化を考慮
1∼5年目
6∼10年目
11∼15年目
16∼20年目
21∼25年目
26∼30年目
31年目∼
プロファイル
APS
職 種
APS
PM
役 職
担当
サブリーダ
言語、開発ツール
研修等
リーダ
課長/上級専門職
マネジメント研修
設計技法、開発方法論
適用業務研修
ヒューマンスキル研修
図 3-95
モデルキャリアパス(基本パターン)
① モデルキャリアパス(基本パターン)解説(図 3-95)
1)
キャリアアップの特徴、成長のパターンなど
インタビュー調査では、ほとんどはエントリ時からアプリケーションスペシャリストに
就いているが、業務スキルをもって、ユーザ企業から転職する例が存在する。
また、ミドル以降は、アプリケーションスペシャリストとプロジェクトマネジメントを
兼ねる場合が多い。ただし、プロジェクトマネジメントといっても、ものづくりの視点が
ベースとなった設計・開発リーダとしてのマネジメントが中心となっている。
レベル4以上では、アプリケーションスペシャリストとしてキャリアアップする以外に、
プロジェクトマネジメント、エデュケーションなど、様々な職種に分化していくのがアプ
リケーションスペシャリストの最大の特徴となっている。
2)
スキルの獲得時期、方法、内容
レベル1∼2は、エントリレベルとしてひとくくりとした。アプリケーションスペシャリ
ストは、この期間は上位者の指導のもとで主にプログラム製造に関する業務を担当する。
3-71
期間的には3∼4年くらいまでであり、システム開発に関する基本的なスキルをこの時期に
獲得していく。
レベル3でほぼ一人前のアプリケーションスペシャリストとなり、設計を担当するように
なる。
小規模であればチームのリーダを担当し、
レベル4の土台ができる。
開発方法論など、
システム開発に関するスキルはひととおり身につく。
8年目くらいからは、リーダ(レベル4)としての立場でメンバを指導しつつ、上流から
の設計業務を担当する。業務の範囲が広がり、経験した領域の業務がスキルとして固まり
始める。また、設計・開発リーダとして、一部のマネジメント業務を任されることが多く、
マネジメントのスキルも獲得していく。さらに業務領域が拡大し、工程も顧客の要求を定
義するところから、本番稼動までの全体を担うようになる。
レベル5では顧客との接点が広がり、ヒューマン系のスキルが重要となる。
レベル6になると、複雑で難易度の高い業務システムを担当する。業務の専門家としてコ
ンサル的な役割も担うようになり、顧客への付加価値提案なども業務として行う。
インタビュー調査では、
業務スキルの重要性が示されたが、
そのスキルの獲得には通常、
比較的長い期間を要することも示された。今回のモデルのように、いかに早い時期に業務
スキルを獲得するかが、アプリケーションスペシャリストとしてのキャリアアップのポイ
ントとなっている。また、スキルは主に実践で身につけていくが、実践だけでは限られた
範囲となるため、研修受講、独学、コミュニティ活動、蓄積されたノウハウの再利用など
でその周辺のスキルを獲得していく。
② 検討経緯、分析内容
1)
人選の検討経緯
• アプリケーションスペシャリストは、他職種の業務と兼任するケースが多く、純粋なア
プリケーションスペシャリストの比率は低い。特に、ハイレベルにおいては人数が非常
に少ないため、今回はハイレベルまでアプリケーションスペシャリストで通した方を含
める人選とした。
• アプリケーションスペシャリストには「業務システム」「パッケージ適用」の専門分野
がある。近年はパッケージ開発の比率が高まっていることから、今回は「パッケージ適
用」の専門分野からも、バランスが偏らないように選出した。
• 女性は、家庭をもちながら活躍している人も含む人選とした。
2)
インタビュー対象者 10 名の職種遷移
インタビュー対象者の現在の職種と将来の希望から、職種遷移について分析した。また
エントリ、ミドル、ハイの時期の、他職種への遷移や兼務状況を整理した(図3-96、図3-97)
。
3-72
事例
事例
エントリレベル
エントリレベル
ミドルレベル
ミドルレベル
ハイレベル
ハイレベル
将来の希望
将来の希望
若手1
若手1
APS
APS
APS+PM
APS+PM
APS+PM
APS+PM
人材育成
人材育成
トップ1
トップ1
APS
APS
APS
APS
APS
APS
人材育成
人材育成
トップ2
トップ2
APS
APS
APS
APS
APS+SALES
APS+SALES
SALES
SALES
若手2
若手2
APS
APS
APS
APS
PM
PM
女性1
女性1
APS
APS
APS
APS
APS
APS
女性2
女性2
APS
APS
APS
APS
ITA
ITA
若手3
若手3
APS
APS
APS
APS
APS
APS
APS
APS
トップ3
トップ3
APS
APS
APS+PM
APS+PM
APS+PM
APS+PM
人材育成
人材育成
女性3
女性3
APS
APS
APS+コンサル
APS+コンサル
APS+コンサル
APS+コンサル
コンサル
コンサル
女性4
女性4
APS
APS
APS+SALES
APS+SALES
APS+SALES
APS+SALES
インタビュー10事例の職種遷移と将来の希望
エントリはAPSで共通だが、しだいに自分の目指す領域が見え始め、将来の希望は様々な職種に分化する
図3-96
インタビュー対象者10名から見たアプリケーションスペシャリストの職種遷移
エントリレベル
エントリレベル
ミドルレベル
ミドルレベル
ハイレベル
ハイレベル
(基本パターン)
APS
<上位者の指示に基づきプログ
ラム(機能)単体に関する品質
責任を負う>
・上位者の指導のもと、主にプロ
グラム設計・製造・テスト、また
は保守を担当する
・業務知識の獲得や顧客との接
点はあまり発生しない
<リーダの立場でサブシステムに対す
る品質責任を負う>
・担当する業務の範囲が広がり主に設
計業務などの上流工程を担当する
・システムの難易度が高くなる
・メンバーや顧客との接点が発生する
ユーザ企業
PM
マネジメント領域を拡
大しPMを担当
ITS
テクノロジの一部の
専門分野を強化しIT
Sとして活躍
分化のパターン
兼務のパターン
(他業種からの転換)
<管理者を兼ねる立場でシステム全体に
対する品質責任を負う>
・要求分析工程から本番稼動までを担当
する。業務の専門家としてコンサル的役
割も増加する
・システムは複雑で難度の高いものとなる
・要求分析等において顧客との接点が拡
大しプロジェクト内のステークホルダも多
様化する
PM
難易度の高いプロジェクトの
PMを担当
EDU
IT人材育成カリキュラムの作
成、研修講師等を担当
その他(CONS、ITA
SALES等、多様)
図3-97
モデルキャリアパターン
一般的にもエントリ時にはプログラム開発を担当、その後システム設計を担当するとい
う形で、職種としてアプリケーションスペシャリストを経験して自己の適性を見出し、他
職種へ遷移するという事例が非常に多い。
そのため、アプリケーションスペシャリストを中心としたキャリア遷移について検討し、
整理した(図3-98)
。
3-73
PM
High
APS
マネジメントやITSの業務兼
任は継続するが徐々に分化
運用系からのシフト
PM
ス
PM
CONS
ITA
ITSM
EDU
SALES
設計リーダ
キ
APS
ル Middle
マネジメントやITSの業務兼
任は継続するが徐々に分化
レ
運用系からのシフト
ベ
ITS
ル
APSは自分探しの職種
APS
Entry
設計リーダ
全職種に占めるAPSの比率大
マネジメント、ITSの業務を兼任
運用・保守
①職種分化するまでAPSの比率は大きい。特にエントリは大きな割合をしめる
②実態としてはシステム設計のリーダとしてのマネジメントやITSを兼務するケー
スが多く、これはミドルレベルくらいまでは継続される
③個人の適正により多くの職種へ分化していく
④どの職種に遷移しても、顧客の立場にたった業務構築の視点を持ち続ける
ITS
時間軸
図3-98
3)
アプリケーションスペシャリストを中心とした職種遷移のパターン
レベルアップの時期
他の職種に比較して、成長の速度が速すぎないかという議論がAPS部会でなされた。特
に、専門分野が「パッケージ適用」の場合は、特定の業務について、早い段階で深い知識
を獲得し、数年でレベル4に達している。
検討の結果、今回のモデルは「その職種の成功者のモデルであり、成功した人はこうや
ってきた」ことが読み取れるものとするため、10事例からのモデルをそのまま適用した。
4)
キャリアパス上のその時期における業務内容や役割など
当初は、
「役割」と「担当工程」で端的にアプリケーションスペシャリストの成長を表す
のがわかりやすいのではないかと考えたが、プロジェクトの規模により担当する工程が変
動すること、また業務領域の広さや難易度、メンバとのコミュニケーション能力なども表
現しないと、アプリケーションスペシャリストのキャリアを説明できない。
そこで最終的には「役割」
「担当工程」のほかに「業務領域の広さ、難易度」
「提供でき
る成果物」
「顧客との接点」を組み合わせて表現した。
5)
習得すべきスキル
必要となるスキルが多岐にわたるため、アプリケーションスペシャリストに必要なスキ
3-74
ルを、キャリアの説明に合わせ「システム開発スキル」
「業務スキル」
「ヒューマンスキル」
で表現した。
成長のパターン
6)
10事例を分析した結果、成長のパターンは①固定業務邁進型②業種固有業務特化型③短
期専門分野特化型に大別できた。(図3-99)
これは今回のインタビュー調査からまとめたものであるが、アプリケーションスペシャ
リストの成長パターンとしても、現実にも近いものである。
成長パターン
①
固定業務邁進型
成長パターンの特徴
自分の興味のある業務領域に特化し、ユーザ以上の業務知識を獲
得
業務スキルの修得が先で開発スキルをおっかけ修得
②
業種固有業務特化型
業種を固定し集中的に担当することにより業種固有業務を早期に広
範囲に理解する
コツコツと業務スキルを蓄えるやり方でAPSの王道
③
TO−BEモデル理解とFIT/GAP開発により早期に専門化の道を切り
開く
短期専門分野強化型
・早期に業務分野を特定し一気に専門分野を形成
アプローチは違うが
共通なのは適用業務
スキルの充実度が高
い点
また下記のスキルが
高い
・顧客要求の引出し
・顧客要求を満たす
新業務の定義
・顧客との合意形成
・ERPによる標準的業務構築アプローチを修得
今回の10事例にはないが若手の技術者が陥りやすいパターン
伸び悩みのパターン
(現実にも一番多い)
図3-99
・与えられた通り下工程から経験し徐々に上流工程にシフト
・業務領域は特定せずに割り当てられた業務を担当
→経験と共に開発スキルを獲得し、最初はレベルも上がる。
ただし、業務スキルの獲得が遅れ、伸び悩む
インタビュー10事例から考えられる成長パターン
ただし、各パターンによって役割や担当工程などが大きく変わる部分は少ないので、一
つのモデルで表すこととした。
7)
レベルアップのきっかけ、転機
ほとんどのアプリケーションスペシャリストは、業務の全体像を把握できる立場で開発
を担当したとき、あるいは上流工程からシステムの立ち上げを一貫して担当したときを境
に、レベルアップしていることがわかった。また、自分の開発した成果物が顧客や利用者
に喜ばれたときや認められたときなどに生きがいを感じ、モチベーションが高まっている
ことも次なるレベルアップへの引き金になっている。
3-75
(2) モデルキャリア(レベル 4 を目指して)
●APSの保有スキル
•
•
APSとして備えるべきスキルを分類し、APSという職種に
ある人が身に付けるべきスキルを「コアスキル」、APS固
有のスキルではなく、他の職種でも必要なスキルを「周辺
スキル」と定義します。(右図参照)
さらに、APS技術者の得手、不得手を考慮し、あるいは強
み、弱みを踏まえて、必ず備えているべき「必須スキル」と
他のAPS技術者との差別化を計る「差別化要因スキル」
を定義します。
コアスキル
次ページ以降の表の
各象限の意味
周辺スキル
コアスキ ル
コアスキ ル
( IT A )
(A PS)
コアスキ ル
(PM )
差別化要因スキル
必須スキル
A領域
C領域
そのレベルで保有必須でありかつ
APS固有のスキル
周辺スキル
そのレベルで保有必須な他職種で
も必要なスキル
そのレベルでは必須ではないが、備
えていると差別化できるAPS固有の
スキル
そのレベルでは必須ではないが、備
えていると差別化できる他職種でも
必要なスキル
D領域
B領域
図 3-100 モデルキャリア(レベル 4 を目指して)の座標軸の解説
① モデルキャリア(レベル 4 を目指して)の座標軸の解説
レベル3の条件を満たしているという前提で、レベル4になるために必要なスキルを2つの
軸で分類し、4つの領域に整理した。
• 縦軸:アプリケーションスペシャリストにとってコアスキルかそれ以外(周辺スキル)
か
• 横軸:アプリケーションスペシャリストにとって必須スキルかそれ以外(差別化スキル)
か
図3-100に読み方の解説も含めてあらかじめ説明した。
3-76
必須スキル
差別化要因スキル
コアスキル
C領域
A領域
開発方法論
業務パッケージ
適用設計
外部設計
品質管理
技術検証手法
データモデリング
オブジェクト指向
設計技術
見積り作成
納期管理
オブジェクトモデリング
標準化
セキュリティ管理
他の担当者への
指導
技術問題
解決手法
リーダシップ
ヒヤリング
情報処理
(ミーティング含む)
ネットワーク
分散コンピュー
ティング
コスト管理
開発環境設計
周辺スキル
問題解決技法
プライバシ
関連技術
システム
チューニング
システム運用
管理技術
D領域
B領域
図 3-101 アプリケーションスペシャリスト保有スキル(レベル 4)
② アプリケーションスペシャリスト保有スキル(レベル 4)
図3-101の左側(A領域、B領域)はすべて必須スキルであり、レベル4になるためには不
可欠のものであるが、若手技術者に向けてわかりやすいメッセージを伝えるために、必須
かつコアである左上のA領域のスキルを、重要スキルとして説明を加えた。
• 開発方法論:リーダの立場になり、担当する開発工程が広がるため、チームの作業およ
び成果物を管理するときに必須スキルとなる
• 業務パッケージ適用設計:顧客とのフィット&ギャップ分析を行う立場となり、その手
法や要件のまとめ方が必要になる
• 外部設計:システム開発の上流工程が主な役割となり、必須スキルとなってくる
• 品質管理:リーダとしてチーム成果物に責任をもつようになり、科学的品質管理手法の
実務能力が必要となる
• データモデリング:主に概念データモデルの作成や検証が求められる立場となり、必須
スキルとなる
• 納期管理:ある領域のシステム開発をリーダの立場で担う役割となり、チーム全体の成
果物納期に責任をもつ立場となる
• 見積り作成:システム開発のリーダとして、チームの作業計画から必要リソース量、作
成すべき成果物量を見積もる立場となる
• 標準化:リーダとしてチームメンバに作業指示を与え、また管理する立場となることか
3-77
ら必須スキルとなる
• セキュリティ:情報セキュリティリスクの増大に伴い、今や業務設計上セキュリティは
必須項目となる
③ アプリケーションスペシャリスト保有スキル(レベル 1∼3)
図 3-101 の前提となる、レベル 3 までに獲得すべきスキルについても、同形式で整理し
た。
コアスキル
必須スキル
下記のスキルをレベル3までに保有していることが、前提条件になります
差別化要因スキル
A領域
C領域
ユーザインターフェース
設計
レビュー手法
開発支援ツール
バックアップ・
リカバリ設計
内部設計
再利用方法
テスト技法
プログラム設計
デバッグ技法
プログラミング技術
他の担当者への
指導
ドキュメンテーション
論理的思考
カスタマイズ
アプリケーション保守
2WAYコミュニケーション
セキュリティ実装
周辺スキル
データベース
ミドルウェア
フレームワーク
自己スケジュール管理
プラットフォーム技術
B領域
D領域
(*点線枠内はAPSのエントリ時点(レベル1,2)で保有しておくべき基本的なスキルです)
図 3-102 アプリケーションスペシャリスト保有スキル(レベル 1∼3)
レベル1∼3のスキルが満たされていない場合は、レベル4に向かっての土台ができあがっ
ていないため、スキル獲得の順番は図3-102のスキルが先となる。
その中でも、アプリケーションスペシャリストのエントリ時期に獲得すべきスキルにつ
いては、点線枠で区別できるようにした。
④ 検討経緯・分析内容
当初は、技術者に必要なスキルを「システム開発スキル」「業務スキル」「ヒューマン系
スキル」の3つに分類し、スキルの割合を面積で表したり、重み付けして表現できないかと
考えた。
3-78
検討の結果、レベル4に向けて端的なメッセージ発信とすることとし、過去に検討1した
「アプリケーションスペシャリストのレベル別の保有スキル」を最新化し、それに説明を
加えて表現することとなった。レベル4に必要なスキルだけを表現すると、その前に獲得し
ておくべきスキルについては伝わらなくなるため、レベル3までに獲得すべきスキルも、前
提条件として提示することとした。
1
検討資料:
「IT スキル標準改善提案報告書」2004 年度版プロフェッショナルコミュニティアプリケーションスペシャ
リスト委員会
3-79
(3) 個人キャリアパス事例
アプリケーションスペシャリスト①
安藤秀樹氏
(日本システムアナリスト協会 会長)
ソフトウェアエンジニアリングが自分のキャリアの原点
25年の経験を積み、現在はプロジェクトマネジメントの業務が多くなっていますが、仕事を振り返っ
てみると、アプリケーションスペシャリストとして、アプリケーションの設計に長年関わって、ソフトウェ
アエンジニアリングを深く理解していることが、現在のプロジェクトマネジャとしての強みになっている
と思います。分析やモデリングの方法論はユーザ要求を引き出す重要なテクニックです。
最初の配属では、何事も1人で担当する状況で、仕事を教えてくれる人がほとんど誰もいませんで
した。しかし、ユーザが社内にいたこともあり、常にユーザを意識して仕事をすることに慣れていきま
した。作ったシステムはユーザに使ってもらい、書きあげたドキュメントはユーザに読んでもらってこそ、
意味のある成果物なのです。直にユーザと会話をすることで、ソフトウェアエンジニアリングの本質を
身を持って学びながら、アプリケーションスペシャリストに必要なスキルを独力で身につけることがで
きました。
ユーザに近い導入や運用のプロセスから、システム開発の本質の多くを学ぶことができるものです
から、そういった部分をおざなりにして欲しくないと思います。
日本システムアナリスト協会
会長
研究所の社内情報システム部門に配属され
開発支援システムの導入・構築に関わり、ほ
とんど独力でシステム開発を学ぶ。早くから
チームリーダとして活躍していたこともあり、
顧客サービス部門に異動した後は、大規模な
システム開発にPMとして数多く参画した。
現在は製造業を中心にトラブルプロジェクト
の支援も行うなど、大規模プロジェクトに欠
かせない存在。
また、数多くの社外団体に参加し、日本シ
ステムアナリスト協会会長、IIBA
(International Institute of Business
Analysis)日本支部 総務担当理事などの重
職を務める。社会人25年目。
IT業界の仕事はとてもおもしろい 「サービス業」 のひとつ
IT業界といっても、情報技術がすべてではありません。ITスキルの伸び悩みを苦にする必要は
まったくないのです。 ITを使いながらどうやって顧客の問題を解決するのかが、IT業界の仕事の
本質です。例えば、Javaを100%理解することが大事なのではなくて、顧客の要望をかなえるため
に、Javaの何をどう利用できるかを勉強すべきなのです。顧客の組織や人をよく観察する習慣を
つけることも重要です。
顧客の要望を汲み取り、自分のツールを用いて解決策を提供するのがビジネスモデルだと考え
れば、それはサービス業であると言えます。このサービス業は本当にエキサイティングであること
を、多くの人に伝えたいと日々感じています。
図 3-103 個人紹介①
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ① (社会人経験年数:25年)
レベル7
プロジェクト
顧客向けSI
マネジメント
プロジェクト
テキスト入力
テキスト入力 ツールの導
(製造業)の
入コンサル
転機
PM
ティング
プロジェクトリーダとして
プロジェクトリーダとして
チーム運営を学ぶ。
チーム運営を学ぶ。
High
日本システムアナリスト協会や日本技術士
会など社外活動を活発に行う。
日科技連のソフトウェア
品質管理研究会への
参加や学会関係者との
共同執筆などをする。
顧客向けSIプロジェクト(製
テキスト入力
造業)のリーダおよびプロ
ジェクトマネジメント
当初は、SEとしての
当初は、SEとしての
キャリアではなかった。
キャリアではなかった。
何事も1人で担当する
何事も1人で担当する
状況で、自分ですべて
状況で、自分ですべて
覚える必要があった。
覚える必要があった。
社内向けソフ
トウェア品質
テキスト入力
管理システム
の設計・開発
オブジェクト
指向など
研究室からは工場
研究室からは工場
プラントや精密機
プラントや精密機
械分野に進む人も
械分野に進む人も
いたが、IT業界を
いたが、IT業界を
当初から希望。
当初から希望。
Entry <学校での専攻>
レベル1
ソフトウェア
品質管理、
GUI、DB設計
ソフトウェア製品
開発部門の開発
現状を理解
組織改編があり、社内
組織改編があり、社内
の情報システム部門と、
の情報システム部門と、
顧客向けサービス部門
顧客向けサービス部門
の両方があった。顧客
の両方があった。顧客
向けの仕事が面白いと
向けの仕事が面白いと
同僚に誘われた。
同僚に誘われた。
この人こそ
この人こそ
PMの師匠と
PMの師匠と
思える出会
思える出会
いがあった。
いがあった。
1∼5年目
6∼10年目
プロファイル
職 歴
コンサルタントとの協
コンサルタントとの協
業を経験。職位はPM
業を経験。職位はPM
だが、アプリ設計に関
だが、アプリ設計に関
与する場合はAPSと
与する場合はAPSと
して振舞う。後半は、
して振舞う。後半は、
PMとして従事。
PMとして従事。
PDM(プロダクトデー
PDM(プロダクトデー
タマネジメント)分野
タマネジメント)分野
で、営業支援や、ト
で、営業支援や、ト
ラブル時の支援な
ラブル時の支援な
どを担当。
どを担当。
マルチベンダの開発にお
マルチベンダの開発にお
いて、クロスベンダでの
いて、クロスベンダでの
データモデリングなど、
データモデリングなど、
アーキテクト的な領域を担
アーキテクト的な領域を担
当。統括プロジェクトマネ
当。統括プロジェクトマネ
ジメントを行う。
ジメントを行う。
11∼15年目
2005年
16∼20年目
21∼25年目
2010年
26∼30年目
2015年
31年目∼
PM
APS
APS
APS
プロジェクト
スペシャリスト
役 職
研修等
データ
モデリング
3D-CADなど
2000年
1995年
1990年
1985年
職 種
今後の目標
1つの顧客に約4年間従事し、新しいことをやりたいと感じ始めた
中で、システムアナリスト、中小企業診断士や技術士などを受験
して合格できた。新たな視点を得ることで、プロジェクト開始前の、
要求定義のプロセスにもっと関わるべきだと感じた。
工学部
数理工学科
社会人経験年数
PDM分野の
テキスト入
営業支援や
力
トラプルプロ
ジェクト支援
経験やノウハウを、社内の
後進に伝えるだけでなく、
社外の団体活動において
も、を広く展開すること。
プロジェクトマネジメント
のスキル
Middle
ソフトウェア開発
テキスト入力
支援環境の構築
と運用
PM管理
ツール
顧客向けSI
プロジェクト
テキスト入力
(製造業)の
プロジェクトマ
ネジメント
SE研修など
社外シンポジウムなど
アドバイザリプロジェクトマネジャ
企業マインドと経営戦略思考、
経営センス開発コースなど
プロジェクトマネジメン
トに関する研修
顧客との対話・
交渉術の研修
大手ベンダ
研究所
(出向)
図 3-104 個人キャリアパス事例①
3-80
92
アプリケーションスペシャリスト②
飯塚貴之氏
(日本オラクル株式会社)
大切なのは自分がやりたいことができるように、
必要なスキルセットを身につけること
3年目の夏、アメリカで行われる新製品リリース前のテストに参加した時に、「これがキャリアの節
目なのかな」と感じました。アプリケーションコンサルタントとしてその製品の第一人者となり、新規
展開するという責任を負うことになったのです。社会人になって初めて「大きな仕事を任されている
な」と思いました。具体的には導入コンサルタントの仕事だけでなく、営業とともに顧客にアプロー
チするようになったのです。これによって仕事の領域が相当拡がったと思います。それまでは誰か
が受注した後の工程のみを担っていたわけで、ここに来て仕事の全工程に携われるようになりま
した。
日本オラクル株式会社
アプリケーションコンサルティング
統括本部
アソシエイトコンサルタント
かつて、パッケージのフィット率が悪く、大規模な開発をしなければならないプロジェクトに携
わっていた頃、「システム開発に関する知識だけを蓄積していっても自分の付加価値が上がらな
い」と思いました。そこで中小企業診断士の資格取得を目指して勉強をはじめ、自分を高めること
でその頃抱えていた閉塞感を乗り越えようとしたのです。「自分がやりたいことができるように、必
要なスキルセットを身につける」ということはとても大切なことだと思います。
社会人3年目。主に製造業を対象としたS
CM領域のERP導入プロジェクトに複数参画。
現在は、プロセス生産系の顧客に対するER
P導入プロジェクトに従事する一方、新製品
のマーケティング活動と新規顧客への展開に
携わっている。
配属当初は仕事にやりがいを見出せず悩む
ものの、やがてこの時期の経験を活用した問
題解決や顧客とのセッションに仕事の魅力を
見いだす。
現在担当している新製品については、US
開発チーム主催のリリース前のテストから参
加、ビジネスレベルでの英語力を高める必要
性を痛感した。将来的にはITアーキテクト、
PMという道も意識している。
知識欲、好奇心を満たしてくれる業界
IT業界は知識欲、好奇心を満たしてくれる業界です。新しい技術や製品が次々出てくる業界で
あり、それに関する知識をどんどん吸収して顧客に提供できる点に楽しさが感じられる業界でもあ
ります。IT業界というとずっとパソコンの前にいるイメージがあるかもしれませんが、入ってみると
そのイメージとは全く違います。実際にはお客様やプロジェクトメンバと接していることのほうがは
るかに多いのです。
この業界で大切なのは自主性、能動性です。社内で後輩たちを教育する機会があるのですが、
「自ら考え、行動する」ことを促すようにしています。
図 3-105 個人紹介②
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ② (社会人経験年数:3年)
レベル7
今後の目標
将来的にはプロジェクトマネージャ
が目標。具体的には、まず技術や
顧客の業務を理解してマネジメント
をするPMに、さらにはいろいろな分
野を関わっている人たちを束ねたプ
ロジェクトのPMをイメージしている。
High
先のプロジェクト経験を活用し、
先のプロジェクト経験を活用し、
独力で問題解決、セッションの
独力で問題解決、セッションの
運営を実施し自信を深める。
運営を実施し自信を深める。
Middle
顧客と会話をするために業務知
顧客と会話をするために業務知
識が必須であることを認識する。
識が必須であることを認識する。
Entry
<学校での専攻>
製造業顧客のERP導入プロジェクトにおいて、
生産計画領域を担当
経営工学
SCMモジュール全般の製品知識
今まで携わったことがない業
今まで携わったことがない業
界かつ全く知らない製品を導
界かつ全く知らない製品を導
入するプロジェクトでそれま
入するプロジェクトでそれま
での経験を活用することがで
での経験を活用することがで
きなかった。
きなかった。
計画領域のモジュールに
対する深い理解
セッションをリードし顧客に
理解してもらえるようなコ
ミュニケーション能力
製造業顧客のERP導入プ
ロジェクトにおいて、販
売・物流計画領域を担当
転
機
ビジネスレベルでの英語
ビジネスレベルでの英語
力の必要性を痛感
力の必要性を痛感
社内外への新製品の
展開 / プロセス生産
系の顧客に対するERP
導入プロジェクトにおい
て、生産領域を担当
卸売業顧客向けの提
案、要件定義に参加
・新製品知識
・部門や立場によって考え
方や目標が異なるため、
それぞれの主張の背景に
あるものを理解しようとす
る考え方
CRM系モジュールの
概要
見積時の社内オペレー
ション
新製品に関するマーケティング活動と
新規顧客への展開を任され「大きな仕
事を任されている」と実感。
レベル1
社会人経験年数
2007年
2008年
1年目
2009年
1∼3年目
2年目
プロファイル
職 種
APS
役 職
アソシエイトコンサルタント
2010年
3年目
4年目∼
研修等
大手ソフトウェアサービス
職 歴
教育部門
アプリケーションコンサルティング部門
図 3-106 個人キャリアパス事例②
3-81
89
アプリケーションスペシャリスト③
神崎和洋氏
(株式会社CSKシステムズ)
業務アプリケーションが会社を変える
業務アプリケーションが変わることによって、お客様の業務内容やビジネススタイルが大きく変わ
ることがあります。例えば銀行や証券の合併において、業務アプリケーションが統合できなければ、
合併自体が白紙に戻ることもあります。それだけ業務アプリケーションは、お客様の企業経営に影
響を与えるものです。
アプリケーションスペシャリストは、お客様の経営ビジョンや企業戦略をふまえた上で、お客様の
業務の課題や要望を引き出し、ITを駆使した最適な業務アプリケーションを設計する職種です。お
客さまの経営に直接繋がる業務設計をする仕事で、大変やりがいがあります。
株式会社CSKシステムズ
またお客様の経営環境とともにITも日々変化しています。過去の固定概念でアプリケーションス
ペシャリストの仕事内容を決めることはできません。その意味で多くの新しい可能性をもつ職種で
あることがいえます。
製造グループ部
第二開発部 主事
入社後、製造業の業務アプリケーションを
中心に担当するアプリケーションスペシャリ
スト。入社4年目からはプロジェクトマネー
ジャも兼ね、現在は数十億規模のプロジェク
トを担当。
アプリケーションスペシャリストの役割は、
お客様の要望を業務アプリケーションにより
実現すること。そのためにはシステム開発能
力に加え、お客様の話を聞き理解する力、課
題を引き出す力などのヒューマンスキルが大
事。「お客様の良い評価が自分に達成感を与
えてくれる。今後は後進のアプリケーション
スペシャリストの育成にも力を入れたい」と
語る。社会人19年目。
良い業務システムは、お客様が使い易いシステム
お客様が望む良いシステムとは、見た目が凝ったシステムでなく、お客様が使い易いシステム
のことを言います。お客様が使い易いシステムを設計するためには、その業務を十分に理解し、
お客様の要望を聞き出し、その内容をアプリケーション設計に反映させる必要があります。
アプリケーションスペシャリストに必要な能力としては、コンピュータに関する知識よりも、「お客
様の要望を引き出す聞く能力」「要望を文章に落とす書く能力」「解決策を説明する能力」などの
ヒューマンスキルのほうが重要です。このような能力は、不断の努力と仕事の積み重ねによって
身につけることができます。
担当した業務の周辺業務にも興味を持ち、資料を集め見て、聞いて、擬似体験して、自分の業
務知識を広めることもアプリケーションスペシャリストにとって重要なことです。
図 3-107 個人紹介③
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ③ (社会人経験年数:19年)
レベル7
High
トラブル対応も多く不安を感じ
トラブル対応も多く不安を感じ
ていた
ていた
社内研修と他のプロジェクトの
社内研修と他のプロジェクトの
事例を参考にPM知識を蓄積
事例を参考にPM知識を蓄積
ユーザとの折衝によりコミュニ
ユーザとの折衝によりコミュニ
ケーションスキルを修得
ケーションスキルを修得
Middle
転
機
・国際物流や生産計画業
務などの要件定義から
詳細設計、および大型E
RPパッケージ導入をPM
として担当
・社内認定レビューアとし
て年間20件以上のプロ
ジェクトを擬似体験
顧客への質問、現場・工
顧客への質問、現場・工
場見学および自己啓発
場見学および自己啓発
により生産管理などの
により生産管理などの
業務知識を取得。
業務知識を取得。
業務知識、システム
開発方法論
Entry
・トラブル対応の困難さ
・トラブル対応の困難さ
および精神的・肉体的
および精神的・肉体的
ダメージの大きさを痛感
ダメージの大きさを痛感
・社内認定レビューアとし
・社内認定レビューアとし
てのプロジェクトの擬似
てのプロジェクトの擬似
体験はPMスキル向上
体験はPMスキル向上
に大変有効
に大変有効
<学校での専攻>
工学部
サブシステム
の主担当から
PMに昇格
小規模案件で
経験を積む
生産管理シス
テムなど様々な
システム設計を
担当。1年目後
半からサブシス
テムの主担当
・生産管理システム
など大規模プロ
ジェクトのPMおよ
び業務コンサル
を担当
・部門のラインマネ
ジメントを担当
・同業の複数
メーカの生産
管理業務およ
び上流工程の
品質チェックを
担当
・数十億規模の
プロジェクトの
PMを担当
80人/月規模の大規模プロ
80人/月規模の大規模プロ
ジェクトのPM
を経験したことに
ジェクトのPMを経験したことに
より、自分のマネジメントスキ
ルに自信を持てた。
APS的には、一気通貫で業務
APS的には、一気通貫で業務
アプリケーションを設計できた
経験が大きかった。
・広範囲のヒューマン
スキル
・大規模システムの本
番移行スキル
PM認定
資格
APS・PMの
モチベーションが
上がる社内評価
および人材育成
体系を構築したい
今後の目標
・複数の同業メーカの業務を担当した
・複数の同業メーカの業務を担当した
ことにより、業種、業界、企業ごとのビ
ことにより、業種、業界、企業ごとのビ
ジネスモデルの違いを理解
ジネスモデルの違いを理解
・数十億規模(160人規模)の大プロ
・数十億規模(160人規模)の大プロ
ジェクトの設計から導入まで経験
ジェクトの設計から導入まで経験
・生産管理の全領域の業務知識を習得。
・生産管理の全領域の業務知識を習得。
・業務コンサル手法を習得
・業務コンサル手法を習得
・大規模プロジェクトのマネジメント手法を
・大規模プロジェクトのマネジメント手法を
習得
習得
・協力会社との協業など組織運営の手法
・協力会社との協業など組織運営の手法
を習得
を習得
・マネジメントスキル
・ヒアリング能力などの
ヒューマンスキル
マネジメント
スキル
コミュニケー
ション
スキル
レベル1
1990年
社会人経験年数
プロファイル
職 種
役 職
研修等
職 歴
1995年
1∼5年目
2000年
6∼10年目
APS
2010年
16∼20年目
21∼25年目
26∼30年目
31年目∼
APS / PM
担当
自己啓発
2005年
11∼15年目
主務∼主査
PM
関連
研修
ERP
導入コン
サル研修
主査∼主事
主事
(課長)
PM認定
資格取
得研修
ITベンダ
システム開発部門(製造グループ)
図 3-108 個人キャリアパス事例③
3-82
91
アプリケーションスペシャリスト④
冨田律子氏
(SAPジャパン株式会社)
転職によって出会った新しい仕事の魅力
私は、卒業後に入社した企業のシステム部門で、固定資産管理システムの開発を担当していま
した。しかし、景気の影響によってシステム部門が縮小され、4年目に管理部門への異動すること
になりました。このとき、自分のキャリアについて悩んだのですが、ITに携わりたいという気持ちと、
1990年代から世の中に出始めたERPシステムという新しいものに挑戦したいという気持ちから、現
在の会社への転職を決意しました。
転職前は、社内向けの仕事だったので、受け身の姿勢で仕事に取り組んでいました。しかし、転
職後、社外に出てお客様と向き合うことで、自分から攻める姿勢で仕事に取り組むようになりまし
た。また、財務会計コンサルタントとして仕事をしていると、経理・会計部長クラスの方と仕事をする
機会があります。この職業でなければ出会えない方々と一緒に仕事をすることができ、普段聞け
ないような話をうかがえることは、転職によって新たに出会えた仕事の魅力だと感じています。
SAPジャパン株式会社
インダストリコンサルティング
シニアコンサルタント
ITに興味を持ち、システム部門への配属を
希望して、非IT企業に入社。そこで3年間、
固定資産管理システムの開発に携わる。しか
し、システム部門の縮小により、4年目に管
理部門へ異動となり、自らのキャリアを改め
て考える機会を得る。
1990年代に出始めていたERPシステムと
コンサルティングという仕事に興味を持ち、
現在の企業への転職を決意。転職後は、財務
会計コンサルタントとしてERPパッケージ
の導入に携わる。社会人18年目となる現在
は、自社プロジェクトのチームリーダとして
複数のコンサルタントを束ね、難易度の高い
案件を担当している。
大変な仕事ほど、やりがいも大きい
特に、パッケージの導入という形でサービスを提供する場合、カスタマイズされたシステムとは
異なり、必ずしもお客様の要望に応えられないことがあります。そのようなときは、納得していただ
けるまでお客様との交渉を積み重ねます。お客様の納得を得ることは大変な作業ですが、ここが
コンサルタントとしての腕の見せ所です。
システムを作るにしても、モノを作るにしても、何かを成し遂げようとする場合は、その過程で大
変な苦労をしたり、辛い思いを味わうこともあります。しかし、苦労した分だけ、ゴールにたどり着
いたときの達成感は大きいものです。だからこそ私は、大変な仕事にも、いつも攻める気持ちで取
り組んでいます。それは、大変な仕事ほど達成感が大きいことを知っているからなのです。
図 3-109 個人紹介④
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ④ (社会人経験年数:18年)
レベル7
コンサルタントとしてお客様に直接
コンサルタントとしてお客様に直接
会うようになり、仕事に積極的に
会うようになり、仕事に積極的に
取り組むようになる。
取り組むようになる。
また、固定資産部門の人員が少
また、固定資産部門の人員が少
ないため、本業以外にも様々な仕
ないため、本業以外にも様々な仕
事を経験する。
事を経験する。
管理部門への異動をきっかけに自分
のキャリアについて考える。ITに携わり
たい、ERPシステムという新しいものに
取り組みたいと思い、転職を決意する。
High
ERPの財務関
テキスト入力
連機能のコン
サルタント
転機
Middle
エンドユーザーから
見たシステム
Entry <学校での専攻>
レベル1
理学部
応用物理学科
プロファイル
職 種
職 歴
プロジェクト
マネジメント
チームリーダとしてメン
チームリーダとしてメン
バに先を見越した仕事
バに先を見越した仕事
の取り組みを指導。
の取り組みを指導。
従事
ERPのほかの財務関連機
ERPのほかの財務関連機
能に仕事の幅を拡げる。
能に仕事の幅を拡げる。
顧客対応力がつき、コン
顧客対応力がつき、コン
サルとしての自信を得る。
サルとしての自信を得る。
顧客提案
景気の影響によりシステ
景気の影響によりシステ
ム部門は縮小。管理部門
ム部門は縮小。管理部門
へ異動となる。
へ異動となる。
1∼5年目
2000年
6∼10年目
APS
2005年
11∼15年目
2010年
16∼20年目
2015年
21∼25年目
2020年
26∼30年目
31年目∼
APS
コンサルタント
役 職
研修等
自社主導プロジェクトの
チームリーダ
テキスト入力
高難易度のスポット対応
セリング活動の支援
ERP製品知識
フィット&ギャップ
テキ
固定資産
テキスト
システムの スト入
力
開発に
入力
1995年
社会人経験年数
セリングに重点を置くことで、お客様
の悩みを的確に理解し、正しいソリュ
ーションを提案・提供できるコンサルタ
ントとなる。
システム開発の基本
データの 入力業 務
など
システム部門
システム部門
に配属、研修
に配属、研修
とOJTでシス
とOJTでシス
テム開発手法
テム開発手法
を学ぶ。
を学ぶ。
ERP導入コンサル
タント
テキスト入力
固定資産モジュー
ルを担当
今後の目標
製品
研修
開発研修
非IT企業
検証マシンを用
いた製品学習
外資系パッケージ販売・コンサルティング会社
システム部門 管理部門
インダストリコンサルティング
図 3-110 個人キャリアパス事例④
3-83
93
アプリケーションスペシャリスト⑤
長坂宏毅氏
(SAPジャパン株式会社)
高いハードルと向き合うことで、スキルアップを図る
自分の実力の一歩上の高いチャレンジをしていくことが重要です。そのためには、やれといわれ
た事だけするのではなく、プロジェクト全体を見渡す広い視野を持ち、「何のためにやるのか」を考え
ながら仕事をしていくことが重要です。仕事に限らず、もの事を成すにあたってのスタンスを確立し、
考えながら事に当たる人間になって欲しいと思っています。
立場や職種が変わっても、今までの経験や知識は必ず自分の財産、自分の付加価値になってい
ます。 IT業界は様々なステークホルダとコミュニケーションが取れる機会が多く、特に同僚や顧客と
SAPジャパン株式会社
の仕事を離れた交流が大事です。そこから得られる知識や情報は公私ともに有用であると感じます。
横のつながり、人脈を造ることで様々な知識と情報に接することができます。
フィールドサービス コンサルティ
ングセールス ソフトウェア&ソフ
トウェアサービス ビジネス・ディ
ベロプメント・マネージャ
ITの面白さは新しい仕組みづくり
現代社会では、多くの業界でIT無くしては業務の遂行ができません。ITの面白さは、ITを使って
大学時代、ERPに関する講義を受講し、そ
の考え方に共感。将来はERPの仕事に就くと
心に決めこの業界に飛び込んできた。大学を
休学し、ベンチャービジネスに携わるなど、
旺盛なチャレンジ精神をもつ。財務・会計分
野のソリューション構築の専門家として経験
を積み、現在はソリューション営業として、
自らシステムの構築・導入する立場から、顧
客への提案活動主体の立場となる。プロとし
ての意識を持ち、顧客に最高のサービスを提
供することに喜びを感じる、社会人6年目。
顧客の業務をどれだけ効率よくできるのかというアイディアを考え、新しい仕組みを作っていくこと
です。そして、顧客と同じ土俵に乗って考えること、顧客が継続して自分の構築した仕組みを使っ
ていてくれることが達成感となっています。ITは、ものづくりです。ものづくりの面白さはどの業界で
も変わりありません。
キャリア形成やスキルは、会社の用意したキャリアパスに乗るのではなく、自分で選択し獲得し
ていくものだと思います。一方、転職とは職種の転換であり、会社を変わること(転社)だけではあ
りません。社内の違う部署は、転職先の最も有力かつ重要な候補であるはずです。社内のほか
の職種を見渡してから、転職を考えるべきであると思います。
図 3-111 個人紹介⑤
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑤ (社会人経験年数: 6年)
レベル7
・チーム間のコミュニケー
・チーム間のコミュニケー
ション不足から多々の手戻
ション不足から多々の手戻
りが発生。
りが発生。 マネジメント
マネジメント
チームへの報連相の重要
チームへの報連相の重要
性を理解した。
性を理解した。
・チーム内でのコミュニケー
・チーム内でのコミュニケー
ションはさらに重要。
ションはさらに重要。
・進捗を把握し、調査のマイ
・進捗を把握し、調査のマイ
ルストーンを見据えてお客
ルストーンを見据えてお客
様をコントロールすることの
様をコントロールすることの
重要性を認識。
重要性を認識。
High
・営業支援∼導入∼保守・サ
・営業支援∼導入∼保守・サ
ポートまでを教育の一環とし
ポートまでを教育の一環とし
て体験した。
て体験した。
・プロジェクトの流れや全体像
・プロジェクトの流れや全体像
が見えないままで苦労した。
が見えないままで苦労した。
・ERPの考え方に共鳴し入社し
・ERPの考え方に共鳴し入社し
たが、本当に顧客のためにな
たが、本当に顧客のためにな
るのかが見えず、PJをまわす
るのかが見えず、PJをまわす
ことのみが目的化してしまっ
ことのみが目的化してしまっ
ていると感じていた。
ていると感じていた。
財務会計知識
Entry<学校での専攻>
経済学
レベル1
専門商社 向けシステム開
発における 財務領 域の業
テキスト入 力
務設計から本
番 稼働まで
の工程を 担当
Middle
・国内初導入のシス
・国内初導入のシス
テムの導入。
テムの導入。
・顧客に設計思想を
・顧客に設計思想を
理解いただき、標準
理解いただき、標準
テンプレート内での
テンプレート内での
業務システム構築
業務システム構築
を実現。
を実現。
専門商社の財
務会計システ
テキスト入力
ム開発にて、
財務領域
を担当
海運業の業
務系システ
ム開発PJ、
社内銀行シ
テキスト入力
ステムの開
発と稼働後
サポートを
担当
パートナー会社から、大手アプリケー
ションベンダへ転職。リーダとしてプロ
ジェクトをリードする立場となる。顧客
との信頼関係が醸成されたことを実
感する。
転
機
・製薬業の業
ソリューショ
務システム開
APSとしては、顧客にソリュー
ン営業として、
発において、
顧客プロ
ションを提供する立場を維持し
財務会計チー テキスト入力
ジェクト・運
つつ、新しいビジネスモデルを
ムのリーダを
用の最適化
テキスト入力
模索し、展開させていきたい。
担当
を提案
・顧客のシステ
ム全体をERP
今後の目標
パッケージで
構築
他社の商品知識
転
機
ソリューション営業として、自ら開
発する立場から、ゼロから顧客
に提案する立場となる。
アプリケーションの
設計思想、PMスキル
チームマネージメントと
コミュニケーション
・自分の経験してきたプロジェクトが自分の付加
・自分の経験してきたプロジェクトが自分の付加
価値になっていることに気づきだした
価値になっていることに気づきだした。
。
・パッケージベースのソリューション提供において、
・パッケージベースのソリューション提供において、
構築・導入よりもパッケージをどう使っていくか
構築・導入よりもパッケージをどう使っていくか
をアドバイスすることが重要であることを認識。
をアドバイスすることが重要であることを認識。
・プロジェクトを通じて経験を積むことが、自分の
・プロジェクトを通じて経験を積むことが、自分の
財産となっていったと感じられるようになってき
財産となっていったと感じられるようになってき
た。
た。
2005年
社会人経験年数
2010年
1∼5年目
プロファイル
職 種
6∼10年目
職 歴
11∼15年目
2020年
16年目∼
APS
APS
ソリューション営業
役 職
研修等
2015年
マネージャ
財務会計に
係る研修
SIer
PM研修
大手アプリケーションベンダ
ソリューション提供部門
99
図 3-112 個人キャリアパス事例⑤
3-84
アプリケーションスペシャリスト⑥
中野ひなつ氏
(株式会社野村総合研究所)
システム構築はチームプレイ
システムの構築は、チーム単位で作業をします。1人でできることは限られていますが、チームを
組み、各メンバが役割を分担することによって、お客様の業務に欠かすことのできない重要で大き
なシステムを構築することが可能になるのです。
私は、8年目にアプリケーションスペシャリストと兼任でプロジェクトマネージャを担当することにな
り、プロジェクトメンバのモチベーションの維持、限られたリソースで最高のパフォーマンスを出す
方法などの課題に対し、試行錯誤の毎日でした。しかしメンバが力を合わせ仕事をやり遂げ、お客
様から良い評価をいただけた時、何物にも代えがたい達成感と満足感をチーム全員で味わうこと
ができたのです。
株式会社野村総合研究所
人事部
採用課長
顧客の信頼は、十分な業務知識と誠心誠意な心から
入社後、一貫して証券業界の業務分析・シ
ステム開発を担当。証券業界の豊富な開発経
験と業務分析力が武器のアプリケーションス
ペシャリスト。
入社8年目からは、中規模、大規模のプロ
ジェクトマネージャも兼務し、自らのスキル
アップを実現している。12年目からは、シス
テムコンサルタントとして、アプリケーショ
ンスペシャリストの視点から次世代システム
のIT企画や要件定義に従事。
現在は、人事部で採用業務を担当。「毒を
食らわば皿までも」が座右の銘の社会人19年
目。
お客様に喜ばれるシステムを構築するためには、お客様とアプリケーションスペシャリストとの信
頼関係が不可欠です。その信頼関係を築くためには、お客様の業務の状況を傾聴して理解し、そ
れを客観的に分析し、お客様と対等に議論できることが不可欠です。またお客様のメリットを誠心
誠意考えて対応することも必要です。この「業務を理解・分析する姿勢」と「誠心誠意の心」があっ
てはじめて、お客様もしっかり向き合ってくれ、満足度の高いシステムが構築が可能になるのです。
つまりアプリケーションスペシャリストには、常に業務知識を得るための地道な努力とお客様か
らニーズを引き出すためのコミュニケーション力、そして誠心誠意考える姿勢が求められます。お
客様は、我々にビジネス戦略を実現するための助言を期待しています。我々は、その期待に答え
るための知識とスキルを常に修得することが必要となるのです。
図 3-113 個人紹介⑥
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑥ (社会人経験年数:19年)
レベル7
・自分の信念と誠実さがチー
・自分の信念と誠実さがチー
ムを動かし、プロジェクトを成
ムを動かし、プロジェクトを成
功に導くことを学ぶ。
功に導くことを学ぶ。
・業務知識を修得することが、
・業務知識を修得することが、
顧客の信頼につながることを
顧客の信頼につながることを
確信。
確信。
・品質確保の重要と品質維持
・品質確保の重要と品質維持
の難しさを知る。
の難しさを知る。
大きなプロジェクトのプロ
ジェクトリーダとして、業務
を完遂できたことが大きな
自信なった。
High
転
機
複数の開発案件を担当す
複数の開発案件を担当す
ることによりプロジェクトマ
ることによりプロジェクトマ
ネジメントの基礎を修得。
ネジメントの基礎を修得。
外資系証券会
社向けの共同
利用型システ
テキスト入力
ム開発をチー
ムリーダとして
担当
Middle
証券会社海外
拠点のバックオ
テキスト入力
フィスシステム
のエンハンスを
担当
PM
スキル
社会学
システム開発
のフレーム
ワーク
1990年
社会人経験年数
1995年
1∼5年目
プロファイル
職 種
役 職
コミュニケー
ションスキル
・証券会社の大規
模プロジェクトの
PMを複数担当。
テキスト入力
・次世代システム
構想のPMOとして
プロジェクト全体
を支援
証券会社の次
世代システ
テキスト入力
ムのIT企画、
要件定義策
定を支援
証券会社
の中規模
テキスト入
開発プロ
力
ジェクトの
PMを複数
兼任
今後の目標
APSの視点から経営課題に踏み
込んだ業務分析をしたい。
情報化戦略のスペシャリストを
目指したい。
利害関係者の多い大規模プ
利害関係者の多い大規模プ
ロジェクトにおける目標設定、
ロジェクトにおける目標設定、
スケジュール管理などのコ
スケジュール管理などのコ
ミュニケーション技術を修得。
ミュニケーション技術を修得。
特に情報連携、伝達の難しさ
特に情報連携、伝達の難しさ
を感じる。
を感じる。
プロジェクト
におけるコ
ミュニケー
ションスキル
システムコンサルタントとし
システムコンサルタントとし
て、形のないニーズを要件
て、形のないニーズを要件
として表現する難しさを学ぶ。
として表現する難しさを学ぶ。
また経営層の考え方を把握
また経営層の考え方を把握
することの重要性を知る。
することの重要性を知る。
限られたリソースで最高のパ
限られたリソースで最高のパ
フォーマンスを出すためのノ
フォーマンスを出すためのノ
ウハウを修得。
ウハウを修得。
2000年
6∼10年目
副主任/専門職
2005年
11∼15年目
APS
担当
経営戦略分析
情報化戦略分析
開発の手順や開発方
開発の手順や開発方
法論など、システム開
法論など、システム開
発の基礎を新人研修、
発の基礎を新人研修、
OJTを中心に修得。
OJTを中心に修得。
Entry<学校での専攻>
レベル1
証券会社のシ
ステム再構築
の新規プロ
ジェクトにて、
テキスト入力
要件定義から
導入までをプ
ロジェクトリー
ダとして担当
大規模プロジェ
クトのマネジメン
トスキル
APS / PM
主任/上級専門職
2010年
16∼20年目
21∼25年目
26∼30年目
31年目∼
APS / CONS
グループ
マネージャ
OJT
研修等
入社時研修
自己啓発
研修
ITベンダ
職 歴
エンハンスなど
要件定義∼導入
IT企画・要件定義
図 3-114 個人キャリアパス事例⑥
3-85
97
アプリケーションスペシャリスト⑦
原 加奈恵 氏
(日本ユニシス株式会社)
自分の役割より一つ上を目指す
今まで、仕事で「やっていけない」と思ったことはありません。システムに関する知識が特別あっ
たわけではありませんが、目の前のことにこだわって知識や技術を習得した結果、スキルアップを
図れたと思っています。そして、いつも自分の身近に目標となる先輩がいたため、目指す像をはっ
きり描くことができました。「自分の役割より一つ上を目指す」。これは先輩から教えられたことであ
り、常に心がけていることです。
システムの構築は、要件定義、設計・・・と各フェーズがきちんと分かれているので、プロジェクト
日本ユニシス株式会社
を通して小さい達成感を沢山味わえるのが醍醐味です。最近はリーダを任される機会も増え、
SW&サービス本部
I&Cソリューション第二統括プロジェクト
小売ソリューション基盤プロジェクト
チーフSE
チームで成し遂げる大きな達成感に喜びを感じるようになりました。
ずっと成長し続けられる環境
振り返ると、職場環境にはとても恵まれていたと思います。とはいっても、知識習得の場は研修
小売業をメインに、システム開発から導入、
そしてパッケージ化まで、一連の工程を担当。
企業の生命線を担う大規模プロジェクトや、
オフショア利用開発などでは、未経験ながら
現場を通して必要なスキルを習得しながら、
チームをまとめるリーダとしての手腕も発揮
する。
仕事に取り組む中で嬉しいのは、「自分好
き」なので、成長したと思える瞬間に出会え
ること。
最近は悩んだ時、疲れた時こそ、思いっきり
運動したい!というアクティブ派。
現在、社会人11年目。
ではなく、OJTがメインでした。与えられたプロジェクトに積極的に関わり、必要に迫られて身につ
けた経験が今の土台になっています。忙しく、ついていくのに必死な時期もありましたが、自分が
成長し続けられる職場だと自信を持ってお勧めできます。
アプリケーションスペシャリストは、誰でもチャレンジできる良い職種です。ものづくりの現場なの
で、何かに熱中・集中できる人は向いているのではないでしょうか。ITの知識は会社に入ってから
身につけるので十分。逆に、ITを学んできた人は、その経験をぜひ職場でアピールし、還元してほ
しいですね。そして、まとまった時間がとれるうちに、興味があることにチャレンジしてください。
図 3-115 個人紹介⑦
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑦ (社会人経験年数:11年)
レベル7
以前は言われたことを忠
実にこなしてきたが、この
プロジェクトからは自分の
範囲を成功させるために、
アイディア、要望を提言す
るようになった。そのため、
広い視野で物事を捉えら
れるようになり、立場も
リーダへと変わった。
同時期に、SWDを経験。
同時期に、SWDを経験。
要件定義から製品リリースま
要件定義から製品リリースま
で一連のプロセスをメンバとし
で一連のプロセスをメンバとし
て担当。パッケージ開発を通
て担当。パッケージ開発を通
して業務理解を深めることが
して業務理解を深めることが
できた。
できた。
High
企業の生命線を担う短期
企業の生命線を担う短期
間、且つ大規模開発であり、
間、且つ大規模開発であり、
その一部を担うことで精神
その一部を担うことで精神
面において成長できた。
面において成長できた。
Middle
Entry
後輩の育成や大規模なオ
後輩の育成や大規模なオ
フショア開発を通じて、
フショア開発を通じて、
チームで成果を出すことを
チームで成果を出すことを
心がけるようになった。
心がけるようになった。
プロジェクト内の自分の位
プロジェクト内の自分の位
置づけを常に意識していた
置づけを常に意識していた
が作業内容の位置づけが
が作業内容の位置づけが
分からないことが多かった。
分からないことが多かった。
業務知識の必要性を痛感
業務知識の必要性を痛感
した。
した。
内定後、
情報処理試験
(Ⅱ種)を受験
<学校での専攻>
理工学部
レベル1
基幹業務シス
テムで開発や
結合テストな
テキスト
どを担当
転
機
アパレル業基幹業
務支援製品、小売業
販売分析システムの
テキスト入力
製品開発をチームメ
ンバーとして担当
入力
アーキテクチャを
独学で習得
開発ツールの構築に
関わる
2000年
社会人経験年数
プロファイル
職 種
職 歴
顧客(小売業)への
基幹業務システム
適用プロジェクトで、
テキスト入力
設計から本番を
チームリーダとして
担当
・小売業顧客への基幹業務システム適用プ
ロジェクトにおいて要件定義から本番支援
までをチームリーダとして担当
テキスト入力
・卸売業顧客のBPRで設計から本番支援
までをチームメンバーとして担当
システムアーキテクトを
目指したい。
技術者として、ハイレベルを目指すに
技術者として、ハイレベルを目指すに
は、小売業全体を理解する必要がある。
は、小売業全体を理解する必要がある。
今後、小売業向け汎用パッケージの構
今後、小売業向け汎用パッケージの構
築にも関わることから、ステップアップ
築にも関わることから、ステップアップ
ができるチャンスだと感じている。
ができるチャンスだと感じている。
大規模プロジェクト向け
PM研修では、技術面とと
もに、気を配るポイントを
学べ、実践でも役に立って
いる。
外部研修に参加し、最適な
技術を模索しながら進めた。
2005年
1∼5年目
今後の目標
大規模プロジェクト
のプロマネを経験
当時例がない大規模なオフショア開発を経験。
方法論などなく手探りで開拓。
2010年
6∼10年目
2015年
11∼15年目
16年目∼
APS
SWD
チーフSE
役 職
研修等
前任者を引き継ぎ、大規模プ
前任者を引き継ぎ、大規模プ
ロジェクトで、チームリーダを
ロジェクトで、チームリーダを
経験。プロジェクトマネジメント
経験。プロジェクトマネジメント
の重要性を認識した。一方、
の重要性を認識した。一方、
顧客のニーズに応える場が多
顧客のニーズに応える場が多
く、自身の成長を感じとれなく
く、自身の成長を感じとれなく
なってしまった。
なってしまった。
外部研修(技術)
社内研修(技術)
PM研修
大手ITベンダ
小売業向けシステム
図 3-116 個人キャリアパス事例⑦
3-86
99
アプリケーションスペシャリスト⑧
廣瀬由紀 氏
(株式会社山下設計)
一つ一つの課題をクリアする。これが夢への最短距離。
今取リ組んでいる建築に関わる「構造計算」は、長年関わりたいと思っていた分野でした。
構造計算は、建物を設計する時に強さを求めるもの。そのシステムを取り扱うには、自らの経験・
知識だけでなく、技術の革新や、法律の改正など情報収集を怠らない必要があります。だからこ
そ、システムが完成した時、大きな達成感を感じます。
「転職」で掴んだこの夢ですが、構造計算に関する実務知識は入社してから学びました。一方、
ITスキルは前職で培ったものをそのまま活用することができ、一つ一つ積み重ねたものが役に
株式会社山下設計
構造設計部
立ったと実感できました。今後は、建築設計の「付加価値」にこだわった情報システムを、社内・社
主管
外に向けて提案していけたらと思っています。
大手建設会社の情報システム部門で、社内
情報システムの開発や、CADシステムの開
発などのプロジェクトマネジメントを経験後、
構造計算分野ができる環境へ転職。
現在は、社内の構造計算に関するシステム
を一手に引き受け、最新の建築に対応する構
造計算システムの進化を支えている。
技術士としても活躍しており、情報交換会
や、学生へのフォロー活動も実施。
趣味は「韓国」。料理や語学など広範囲に
わたり、技術士として日韓交流会に参加した
りと興味から始めた趣味が実務にも役立って
いる。今後は業務・システム分野においても
韓国と何か繋がりができれば・・・と話す。
女性として、子育ても仕事も両方できたこ
とに満足。現在、社会人25年目。
目先の条件に捉われないことで、可能性が広がる。
ITはどんな業種においても無くてはならないものです。その中で、アプリケーションスペシャリストは、
自分の工夫が形になって現れ、毎日違う仕事ができる魅力的な仕事だと思っています。仕事では
チームメンバと協力して成し遂げる場面が多くあります。学生の方が、サークル活動などで仲間とと
もに何かをやり遂げる経験は、社会コミュニケーションを学ぶ良い機会になるのではないでしょうか。
アプリケーションスペシャリストは業務に密着した仕事のため、 ITのスキルはもちろん、 IT以外の
知識も非常に重要と感じています。そのため、限定された情報だけで判断するのではなく、体験した
り、人に聞いたり、何事も幅広い視野でとらえることが大切です。そうした経験を通しながら、自身の
興味を伸ばしていくと、目先の条件にとらわれない進路が開けてくると思います。
図 3-117 個人紹介⑧
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑧ (社会人経験年数:25年)
レベル7
・構造計算システムに関する知識は
・構造計算システムに関する知識は
仕様書や周囲から習得。
仕様書や周囲から習得。
・技術的スキルは前職での経験が
・技術的スキルは前職での経験が
役に立った。
役に立った。
・業務内容は変わらないが、リーダ
・業務内容は変わらないが、リーダ
的な仕事が多くなった。
的な仕事が多くなった。
・チーム全体の進捗管理を意識し
・チーム全体の進捗管理を意識し
始めた。
始めた。
High
全社の情報システムでは
なく、「技術計算」を取扱
いたかったため転職
リーダの突然の転勤により、
リーダの突然の転勤により、
小規模(2∼3人)なプロジェ
小規模(2∼3人)なプロジェ
クトのリーダを経験した。
クトのリーダを経験した。
Middle
社内情報システムの開発
社内情報システムの開発
は、要件定義から詳細設
は、要件定義から詳細設
計と幅広い分野に及んで
計と幅広い分野に及んで
いたので、開発の流れを
いたので、開発の流れを
学ぶことができた。
学ぶことができた。
卒論でプログラムを
作成
転
機
・既存
システムの
テキ
保守
スト入
・新規CAD
力
システムの
開発
Entry
レベル1
工学部
建築学科
社会人経験年数
・既存システムの
テキスト入力
類似システムの
設計を担当
構造計算
テキスト
システムの
入力
機能拡張
CAD+データ
テキスト入力
ベースシス
テムの開発
・Windows環境でのシステム開発
・社外ユーザとの折衝力
・社内情報システ
ムの開発を担当
<学校での専攻>
CADシステムの開発
構造計
テキ
算システ
構造計
ムの
スト
算システ
UNIXへ
ムの機
入力
の移行
能拡張
・Linux+Windowsへの
移行 テキスト入力
・部門内のPCヘルプデスク
・部門サーバの維持管理
・今までの業務のほかに、ヘル
・今までの業務のほかに、ヘル
プデスクや、サーバーの管理を
プデスクや、サーバーの管理を
することで、社内ユーザの業務
することで、社内ユーザの業務
支援の重要性に気づいた。
支援の重要性に気づいた。
・現業務の継続では業務を掘り
・現業務の継続では業務を掘り
下げることはできるが、幅は広
下げることはできるが、幅は広
がらないと思っている。
がらないと思っている。
Linux + Windows
サーバ運用
・UNIX
・技術士合格
社内で同じ業務をしている
人が少ないので、技術士
の交流会などに積極的に
参加している。
家庭と仕事の両立を考え、
裁量の幅がある子会社へ転職
データベース基礎知識/
第4世代言語
1985年
1990年
1995年
2000年
2005年
2010年
2015年
1∼5年目
6∼10年目
11∼15年目
16∼20年目
21∼25年目
26∼30年目
31年目∼
プロファイル
職 種
APS
主任
役 職
主管
技術士活動
研修等
職 歴
建築設計の「付加価値」
にこだわった情報システ
ムを、社内・社外に向け
て提案する
構造計算プログラムの大
構造計算プログラムの大
臣認定制度などを学ぶ。
臣認定制度などを学ぶ。
転
機
同業務を
テキ
リーダー
スト入
の立場で
力
遂行
今後の目標
大手建設会社
情報システム部門
(左記会社の) 子会社
情報システム部門
設計事務所の子会社
情報
システム部門
(左記会社の親会社)設計事務所
構造設計部門
図 3-118 個人キャリアパス事例⑧
3-87
106
アプリケーションスペシャリスト⑨
森田浩司氏
(日本電気株式会社)
多くの業種・業界を擬似体験することが可能
アプリケーションスペシャリストの主な仕事は、お客様の業務ニーズを実現するために、最適な
ソリューションを提案しシステムとして実現することです。そのためには、現行業務を十分分析して
課題を把握した上で、お客様と議論しながらソリューションを導出し、新しいシステムを設計する必
要があります。
そして、そのプロジェクトが終わると、また別のお客様のシステム構築を担当し、その業務を分析
することになります。
このようにアプリケーションスペシャリストは、仕事を通じて、多くの業種や業界の業務を分析す
日本電気株式会社
ることになります。視点を変えれば、多くの業種や業界を擬似体験することが可能なのです。私も、
電機業界、金融業界、広告代理店など数多くの業種・業界の業務を擬似体験してきました。その
度に新しい発見、気づきがあり、非常に刺激的な仕事だと思っています。
EBIソリューション事業部
エキスパート
コンサルティング会社などを経て、パッケ
ージソフトを活用したソリューションを専門
とするアプリケーションスペシャリスト。
入社直後から短納期と高品質と低コストを
求められるスクラッチ開発の苦労を体験し、
入社3年後には「これからのシステム開発は、
パッケージソフトによる”独自には作らない”ソ
リューション」と考え、自己啓発と業務の経
験を積んだ。現在は、総額400億円規模の
パッケージ導入プロジェクトの販売コンサル
リーダとして参画。
「よく働き、よく遊ぶ」がモットーで、週に
5、6冊の本を読む若きアプリケーションス
ペシャリスト。社会人14年目。
未来を信じ、未来に生きる
人は、思い通りにいかないことがあると悩みます。現在の状況・境遇を自らの意思や権限で変え
ることが出来ればよいのですが、そう簡単にはいきません。まず、現在の状況・境遇を素直に受け
入れ、未来において自分の思いが叶うよう、今から行動することが大事だと思います。
「未来を信じ、未来に生きる」
アプリケーションスペシャリストの世界においても、技術の進歩によりお客様の要望に対応する
ためのソリューションも大きく変化します。現状をふまえながら、常に未来を見つめる姿勢が今後
のアプリケーションスペシャリストには求められるでしょう。
図 3-119 個人紹介⑨
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑨ (社会人経験年数:14年)
レベル7
・チームリーダとしてのマネジメントや、メンバーだけ
・チームリーダとしてのマネジメントや、メンバーだけ
でなく顧客への教育スキルを学んだ。
でなく顧客への教育スキルを学んだ。
・運用全般の業務知識を修得した。
・運用全般の業務知識を修得した。
・資格を取得することにより標準的な手法を修得した。
・資格を取得することにより標準的な手法を修得した。
→ITコーディネータで導入プロセス手法
→ITコーディネータで導入プロセス手法
→PMPで、プロジェクト管理手法
→PMPで、プロジェクト管理手法
→ITILで、システム運用方法
→ITILで、システム運用方法
High
ノンプログラミングや
開発期間短縮など、
パッケージを活用した
システム開発の将来
性を感じたこと。
転
機
Middle
Entry
作業計画の立て方や
作業計画の立て方や
システム導入ステップ
システム導入ステップ
などのシステム開発
などのシステム開発
方法論を新人研修、
方法論を新人研修、
OJTを中心に修得。
OJTを中心に修得。
<学校での専攻>
産業社会学
レベル1
プログラミングを
数ヶ月経験後、基
テキスト入力
本設計などを担当
個人事業主と
して独立
ERP販売領域
テキスト
のコンサルタ
ントの立場で、
入力
システムの立
ち上げサポー
トなどを担当
大手電機メーカの基幹
システム導入のプロジェ
クトにおいて、受注から
請求業務までを範囲と
する販売チームのリー
テキスト入力
ダとして、要件定義から
導入までを担当。
海外展開向けのテンプ
レートの作成を担当
広告代理店の基幹シス
テム導入プロジェクトに
おいて、受発注業務を
テキスト入力
範囲とするリーダとして、
要件定義から導入、保
守運用までを担当
転
機
テキスト入力
ジスティクス系コンサルリーダと
して主に概要設計を担当
今後の目標
APSとしての専門性
を高めたい。
システムの見積りを
人工(にんく)ベース
でなく、提供する付加
価値ベースで算出す
る手法を構築したい。
システム開発における
新しい見積方法を検討
し始めたこと
PMP
ITILファウンデーション
会計知識
パッケージ導入の担当
業種を拡大できたこと
ITコーディネータ
エンドユーザと直接会話をすることで、
エンドユーザと直接会話をすることで、
システム設計・開発をユーザの視点
システム設計・開発をユーザの視点
で見れるようになった。
で見れるようになった。
自費でERPの研修を受講。パッケー
自費でERPの研修を受講。パッケー
ジを活用して業務の標準化を図るシ
ジを活用して業務の標準化を図るシ
ステム導入手法を修得。
ステム導入手法を修得。
システム開発方法論
社会人経験年数
2000年
1∼5年目
2010 年
2005年
6∼10年目
プロファイル
職 種
11∼15年目
16年目∼
APS
担当
役 職
職 歴
大手電機メーカの基幹システム
導入のプロジェクトにおいて、ロ
パッケージ活用手法
ERPの販売関連コンサル資格
1995年
研修等
転
機
課長
リーダ
OJT
入社時研修
自己啓発
コンサルティング会社
システム設計
個人会社
テスト∼導入
ITベンダ
導入サポート
要件定義∼導入
図 3-120 個人キャリアパス事例⑨
3-88
ITベンダ
要件定義∼導入
103
アプリケーションスペシャリスト⑩
A氏
(ITベンダX社)
※ 氏名・所属企業非公開
ちょっとしたアイディアで世界を変えられる
アプリケーションスペシャリストは、お客様の要望する業務を実現するためのシステムを、ITを利
写真
(非公開)
活用して設計します。そしてITは常に進化しています。インターネットのような軍事目的のちょっとし
たアイディアが世界を変えるインフラに発展したように、ITには無限の可能性があります。
アプリケーションスペシャリストの仕事も同様で、我々の設計するシステムにちょっとしたITのアイ
ディアを付加することにより、お客様の業務を変化させ、世界を変えることにも繋がっていく可能性
もあるのです。このようにアプリケーションスペシャリストは、非常に夢のある職種なのです。
ITベンダX社
製造メーカを経て、一貫して製造業の業務
アプリケーションを担当するアプリケーショ
ンスペシャリスト。
「すべて自分が設計したものを作りたかっ
た」との動機でIT業界のドアをたたく。その
後ユーザ以上の業務知識を修得するとともに
システム開発に関わるフレームワークのゼロ
からの開発、業界初のCADのダウンサイジ
ング化を担当するなど、研究心と技術力に富
むエンジニアとしてユーザの信頼を得ている。
「今後は後進の育成に貢献するとともにアプ
リケーションエンジニアとしてやりたい仕事
をもっとやっていきたい」と語る。社会人
32年目。
アプリケーションスペシャリストは、自分が主役になれる職種
アプリケーションスペシャリストは、業務システムを構築するために、業務分析から、システムの
設計、開発、導入まで一貫して行う、つまり自分が主役になれる非常にやりがいのある職種です。
自分が主役になるためには、お客様と多くの時間をかけ議論をし、目指すシステム像を共有す
ることにより、お客様との信頼関係を築くことが大事です。そのためにはお客様の業務内容を十
分に把握し、日々進歩するITにキャッチアップする必要がありますが、勉強も仕事もポジティブに
取リ組めば確実に身につきます。
そして自分が作った業務システムに対し、多くのお客様に良い評価を頂いた時、アプリケーショ
ンスペシャリストとしての達成感、満足感、幸福感など大きな喜びを感じることができるのです。
図 3-121 個人紹介⑩
【アプリケーションスペシャリスト】 キャリアパス事例 ⑩ (社会人経験年数:32年)
レベル7
システムデザインをOJTで修得
システムデザインをOJTで修得
コンピュータの処理速度が低い時
コンピュータの処理速度が低い時
代なので、自らアルゴリズムを工
代なので、自らアルゴリズムを工
夫し対応。エンジニアとしての努
夫し対応。エンジニアとしての努
力がすぐに結果に結びつき、高い
力がすぐに結果に結びつき、高い
モチベーションを維持
モチベーションを維持
High
Middle
エンジン設計・テスト
エンジン設計・テスト
技術の修得
技術の修得
Entry <学校での専攻>
各種シミュ
レーション
テキスト入力
ソフトの
開発など
数学
レベル1
自動車
テキスト
工場の
入力
現場の
体験
・ITベンダに転職
・自動車業界担当のSEと
テキスト入力
して従事
・主にCADによるアプリ
ケーション開発を担当
・150人月規模のシ
ステムの要件定義
から開発・テストま
でをサブリーダの立
テキスト入力
場で担当
・現在のフレーム
ワークに相当する
機能の設計・開発を
担当
・システムデザイン
・Unix
ホスト系OS、グラフィック系
アルゴリズム、オブジェクト
開発手法
APSのトッププレーヤと
して、ユーザとの共同に
テキスト入力
よるCADシステムの開発
を担当
・リーダの立場で要件
定義から開発・テスト
までを担当
テキスト入力
・部下の管理など、ラ
インとしての業務も
担当
APSのトッププレーヤと
して、システム設計・開
テキスト入力
発に加え、コンサルテー
ションも担当
後進の人材育成
に役に立ちたい。
また自分が「やり
たい仕事をやり
たい」と思う気持
ちは忘れずにし
たい。
社内認定制度に
てITSSレベル7相
当の資格を取得
テーラリングにより、アプ
テーラリングにより、アプ
リケーションシステムを設
リケーションシステムを設
計・開発する必要性を認
計・開発する必要性を認
識。
識。
業界初の大規模なCADシ
業界初の大規模なCADシ
ステムのダウンサイジン
ステムのダウンサイジン
グを担当
グを担当
企業会計の知
識を修得したこ
とにより、システ
ムの会社の価
値としてとらえ
ることが出来、
その後の業務
に役立った
パッケージ製品
パッケージ製品
を利用したシス
を利用したシス
テム開発の限
テム開発の限
界(ユーザの要
界(ユーザの要
求を反映できな
求を反映できな
い)を強く感じる
い)を強く感じる
複数のパッ
複数のパッ
ケージ製品を
ケージ製品を
モデル駆動で
モデル駆動で
連携するシステ
連携するシステ
ムを提案・開発
ムを提案・開発
*テーラリング:システムの開発を
標準にしたがって全て行うのでは
なく顧客の状況、システムの状況
によりカスタマイズすること
1980年
1∼5年目
1985年
6∼10年目
1990年
11∼15年目
プロファイル
職 種
1995年
16∼20年目
2000年
2005年
21∼25年目
26∼30年目
2010年
31年目∼
APS
担当
役 職
サブリーダ
入社時研修
研修等
職 歴
転
機
業務知識、機械設計
1975年
社会人経験年数
・企業会計
・PDMシステム
転
機
・コンピュータシステムの基礎から
・コンピュータシステムの基礎から
アプリケーション開発まで、CADシ
アプリケーション開発まで、CADシ
ステムを中心に幅広く経験
ステムを中心に幅広く経験
・OSのロジックをマニュアルなどに
・OSのロジックをマニュアルなどに
より独学で修得
より独学で修得
製造現場の業
製造現場の業
務知識を修得
務知識を修得
今後の目標
システムの全体と細部
を同時に見ながら設計
する経験がその後の業
務に役立だった。
トップダウンの視点で
物事を見ることを学ん
だことが大きかった
リーダ
OJT
本部長
社内認定制度
自己啓発
自動車メーカ
ITベンダ
工場
製造業向けシステム設計
図 3-122 個人キャリアパス事例⑩
3-89
105
(ページ調整)
3-90
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