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水の世紀に我々は 何をすべきか

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水の世紀に我々は 何をすべきか
2009年11月6日
環境省 水・大気環境局
局長 鷺坂 長美
1.世界の水事情
地球上の水
淡水資源の内訳
塩水
97.5%
淡水
2.5%
氷河な
ど
69.8%
地下水
29.9%
湖、河川
再生可能な水資源
0.3%
全体の
約0.01%
- 青い惑星といわれる地球は、その70%が水に覆われているが、地球上に存在
する水 のうち97.5%は海水で、淡水は残りの2.5%のみ
- その淡水のうち、おおよそ70%は南極大陸とグリーンランドの氷であり、残り
のほとんどは土中の水分あるいは地下深くの帯水層の地下水
- 人間が直接利用できる河川、湖沼等の水は、地球上の水のわずか約0.01%
であり、この水だけが、降雨や降雪で再生され、持続的に利用可能
出典: UN Economic and Social Council, Comprehensive Assessment of the Freshwater resources of the World Report of the Secretary-General, 1997
1.世界の水事情
水の世紀の現状
世界では、
y 約11億人が安全な水を確保できない(※)。
(※) 水源から1km以上離れ、1日の水の使用量が20リットル以下であり、その水は安全ではない。
y 約26億人が衛生設備がない地域に住んでいる。
y 毎年180万人の子供が水と衛生の問題により死亡。
↓
人類の最も重大な問題のひとつ。
出典:UNDP「人間開発報告書2006」
1.世界の水事情
今後の見通し
y 人口増加
y 地球温暖化(IPCC)
y 新興国の成長(工業用水需要の増大) 等により、
2080年に更に18億人が必要な水を利用できないストレ
スにさらされる可能性。
出典:UNDP「人間開発報告書2007/2008」
●「20世紀の戦争が石油を巡る争いであるなら、21世紀
は水を巡る争いの世紀になる」 (世界銀行の副総裁
イスマイル・セラゲルディン氏が1995年に予測。『エコノミスト』より)
1.世界の水事情
水と衛生の問題はアジアに集中
y 世界で安全な水と衛生施設が利用できない人は、
アジアに集中。
安全な水を利用できない人々
2004年(百万人)
合計11億人(うちアジアは約6億人(63%))
アジア
地域
不衛生な状況に置かれている人々
2004年(百万人)
合計26億人(うちアジアは約19億人
(74%))
アジア
地域
出典:UNDP「人間開発報告書2006」
1.世界の水事情
今後アジアでは水需要が増大
水需要の見通し
出典:国土交通省平成19年版「日本の水資源」
3. 国際的な動向
MDGs(国連ミレニアム開発目標)
2000年9月ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サ
ミットにおいて採択された国連ミレニアム宣言と、
1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択
された国際開発目標を統合し、一つの枠組みとしてまとめ
られたもの。
2015年までに達成すべき8つの目標を掲げている。
y2015年までに安全な飲料水と基本的な衛生施設
へのアクセスができない人々の割合を半減する。
3. 国際的な動向
今後の取組の方向
y 世界の水問題に対する協調的取組
y 水環境ガバナンスの強化
y 技術協力
y 地球温暖化防止
y 低炭素社会の構築
y 環境負荷の低い地産地消の食生活
y 水環境保全・普及啓発
y 政府・事業者・市民が一体となった水環境の保全活動
y 先進的取組の発信・普及
4. 環境省における取組
環境省における水の国際協力
○深刻な公害問題を克服してきた経験。
○水質汚濁防止に関する法制度、高いレベルの水処理技術、
水環境分野の専門的知識と経験を有する技術者の蓄積。
①途上国における水環境ガバナンスの強化
②浄化槽等の日本独自のし尿・生活排水処理技術の移転
③地球温暖化対策と水質保全対策の良好に貢献する
コベネフィット技術の展開
世界の持続可能な発展、水の安全保障に貢献
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4. 環境省における取組
水環境ガバナンスの向上
水質汚濁問題が深刻な途上国において水環境ガバナンスの向上は、水環境保全施策
を推進する上で不可欠なものであり、途上国での水ビジネスを展開する場合の基礎とな
る。
東アジア地域の水環境ガバナンスの強化を目指し、関係国の水環境情報を収集した
水環境データベースの構築や人材育成、中国における総量規制制度の導入支援等の
取組みを実施している。
窒素・りんの水質総量削減に係る日中共同研究
アジア水環境パートナーシップ事業
日本の経験
・30年に渡るCODの総量削減
・2001年からのN,Pの総量削減
アジアモンスーン地域における
水環境ガバナンスの強化・向上
・水質総量削減制度導入指針
を作成
・日本の総量削減の法制度、経緯
や中国に有益な技術情報の提供
情報共有
・中国政府関係者の
意見交換
キャパシティビルディング
政策担当者の能力向上支援
人材育成
韓国
情報基盤整
備
◆国際フォーラム
・水関係ステークホルダーの情報共有
及びネットワーク構築
WEPA
データ
ベース
◆二国間会合
・水環境問題の現状とニーズの把握
・水環境情報・データの収集
タイ
マレーシア
中国
ラオス
・11次五計からのCODの総量削減
日本の専門家チーム
政策展開の支援
政策展開
中国の経験
ベトナム
アジア・モンスーン地域11ヶ国
日中共同研究
中 国
中国の専門家チーム
・日本の水質総量削減の研究
・中国の国情を踏まえた
N・P総量削減の課題等検討
・N・P総量削減実施方針検討
・モデル水域でのFS調査
日中の水質総量削減に関する日中共同研究レポート作成
2011年の第12次五カ年計画におけるN・Pの総量削減の実施
水域の富栄養化の改善
4. 環境省における取組
浄化槽等の分散型排水処理技術の移転
我が国は様々な社会の発展段階における独自のし尿・生活排水処理シス
テムのノウハウを有しており、農村地域等における排水処理が喫緊の課
題となっている途上国の実情に応じた技術支援が可能。
・設置費用が下水道等に比べて安価、かつ短時間で整備可能
・し尿と雑排水を併せて衛生的に処理
・分散処理により地域の水資源が確保(処理水をその場で還元)
浄化槽
(排水)
BOD20mg/L以下
分散型排水処理施設
(河川放流)
ど
河川な
放流
排水処理施設
・集落単位毎の処理施設のモデル事業実施
・管理指針等の研究を取りまとめ支援
礫間接触酸化法
回転円板処理法
散水ろ床処理法
4. 環境省における取組
コベネフィット型排水処理技術の推進
○経済発展が著しいアジア地域をはじめとする新興途上国においては、大気汚染
や水質汚濁等の環境汚染問題が深刻化。同時に増大傾向が著しい温室効果ガ
スの排出量を抑制することが求められている。
我が国は、このような環境汚染問題と温暖化対策に同時に貢献する取り組みを
「コベネフィット・アプローチ」として推進している。
○ 水処理においても、メタン等の温室効果ガスの排出を削減しつつ、排水の水質
改善や悪臭を防止するコベネフィット型の技術の普及を進めることが重要。
【コベネフィットCDMモデル事業】
「(タイ) エタノール工場排水によるバイオガス発電事業 H20~21」
温暖化対策
環境汚染対策
温室効果ガス(メタン)の排出削減
工場排水の水質改善、悪臭改善
工場敷地内に広がる排水
(嫌気性オープンラグーン)
【概要】
工場排水が敷地内のオープンラグンに排水され、地下水・河川水質の汚濁、悪臭の原因とな
っている。 そこで、嫌気性発酵槽を導入し、メタンガスを回収し発電燃料として利用する。これら
の処理過程で排水内の有機汚濁物質が回収されるため、排水水質等が改善される。
Thank you for your attention.
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