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浦安市クリーンエネルギービジョン

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浦安市クリーンエネルギービジョン
浦安市クリーンエネルギービジョン
平成 19 年 3 月
浦
安
市
目
1.
2.
3.
4.
次
クリーンエネルギービジョンの位置付け............................................................................................... 1
1.1
クリーンエネルギービジョン策定の背景............................................................................................................1
1.2
クリーンエネルギービジョンの目的 .....................................................................................................................3
1.3
クリーンエネルギービジョンの位置づけ ............................................................................................................3
1.4
環境アクションプランを活用した環境保全行動推進の展開......................................................................4
クリーンエネルギービジョン策定の考え方.......................................................................................... 5
2.1
クリーンエネルギービジョンにおいて重視した点...........................................................................................5
2.2
クリーンエネルギービジョンを検討する上でのアプローチ .........................................................................6
基本方針 ............................................................................................................................................................ 7
3.1
クリーンエネルギービジョンの基本目標............................................................................................................7
3.2
クリーンエネルギービジョン推進のための基本方針....................................................................................8
3.3
基本方針に基づく取り組みを促進する上での仕組みの考え方 ..............................................................9
3.4
クリーンエネルギービジョンの基本施策......................................................................................................... 10
市の率先行動推進方策 ............................................................................................................................20
4.1
重点プロジェクト 総合体育館への ESCO 事業 ......................................................................................... 20
4.2
総合体育館以外の施設・設備の省エネ対策の推進................................................................................. 23
4.3
市の環境配慮指針….平成 19 年度(2007 年度)から活用..................................................................... 23
4.4
総合体育館以外の施設への ESCO 事業導入・ESCO 事業によらない施設・設備の省エネ改修
の検討.......................................................................................................................................................................... 25
5.
4.5
公共施設の管理運営における省エネチューニングなどの省エネ手法の検討............................... 27
4.6
CASBEE 等の建築物環境性能評価やガイドライン的な活用の推進 ................................................. 27
クリーンエネルギービジョンの推進体制 ............................................................................................27
資料編
1.
温暖化を取り巻く状況 ........................................................................................................................資-1
2.
本市のエネルギーの需給構造 ......................................................................................................資-9
3.
省エネルギーの可能性検討 .........................................................................................................資-18
4.
新エネルギーの可能性検討 .........................................................................................................資-26
5.
新・省エネルギー対策 ......................................................................................................................資-43
6.
公共施設の省エネ改修の検討 ....................................................................................................資-47
7.
建築物エネルギー対策メニュー、チューニング項目 ..........................................................資-58
8.
グリーン化技術....................................................................................................................................資-66
9.
CASBEE ..............................................................................................................................................資-69
10. 総合体育館の ESCO 事業の検討資料 ....................................................................................資-72
11. 単位換算 ................................................................................................................................................資-90
1. クリーンエネルギービジョンの位置付け
1.1 クリーンエネルギービジョン策定の背景
今日の環境問題において、後世に良好な地球環境を継承するためには、地球温暖化を防止す
ることが、今日を生きる私たちに課された大きな責務となっています。
地球温暖化防止を国際的な協調により推進することを目指した京都議定書が平成 17 年
(2005 年)2月に発効し、各国で取り組みが進められていますが、この議定書には、アメリ
カが批准していないことや、中国等の発展途上国が枠組みとして入っていないなどの問題も抱
えています。
また、日本においても、平成 20 年(2008 年)から平成 24 年(2012 年)までに温室効果ガ
スを平成 2 年(1990 年)比で6%削減する国際的な義務を負っていますが、平成 17 年度
(2005 年度)速報値では 90 年比で8.1%も増加しており、目標達成のためには平成 17 年度
(2005 年度)比で 14.1%削減しなければならない状況となっています。
市においても一事業者としてのエネルギー消費量は増加傾向にあり、第 1 次浦安市地球温暖
化対策実行計画で掲げた市公共施設からの温室効果ガス排出量を平成 11 年度(1999 年度)比
で平成 17 年度(2005 年度)までに 3.5%削減するという目標を達成することは出来ず、逆に
13.6%増加という結果となりました。このような結果を踏まえて、市では新たな目標と実現す
るための取り組みの方向を定めた第 2 次地球温暖化対策実行計画を平成 17 年度(2005 年度)
に策定しました。
産業:工場など
3.2%減
民生業務:
オフィスビル、百貨
店など
42.2%増
運輸:トラック、マイカ
ーなど 18.1%増
家庭:
給湯、冷暖房、冷
蔵庫、照明など
37.4%増
図 1-1 日本の部門別二酸化炭素排出量の推移
出典:2005 年度(平成 17 年度)の温室効果ガス排出量速報値について
-1-
表 1-1 部門別温室効果ガス排出量*1
単位:百万トン CO2
部門
1990 年度
増減率
%の数字は、基準年比削減(増減)率
2005 年度
目標までの
2010 年度
(速報値)
削減率
目安としての
目標*1
産業
482
-3.2%
466
-6.4%
435
運輸
217
+18.1%
257
-3.2%
250
民生業務
164
+42.2%
234
-42.1%
165
家庭
127
+37.4%
175
-29.9%
137
*1:「日本国の割当量に関する報告書 2006.8」によれば温室効果ガスは、①新しい算定方
法の適用、②新規排出源区分の追加、③データの改訂が行われた場合、当該カ所につい
て過去に遡って排出量、吸収量の再計算を行っている。そのため、目標達成計画時の数
値と速報値とは整合していない。表中の削減率についても同様。
千kg-CO 2
8,000
45%
CO2排出量
対基準年度比
目標値:6,143 千 kg-CO2
40%
7,233
35%
6,963
7,000
6,777
(平成 11 年度比 3.5%削減)
6,662
30%
6,437
6,366
25%
6,000
20%
13.6%
15%
9.4%
6.4%
5,000
10%
4.6%
5%
1.1%
0.0%
0%
4,000
H11
H13
H14
H15
H16
-5%
H17 年度
出典:平成 18 年版浦安市環境基本計画年次報告書
図 1-2 本市公共施設の温室効果ガス排出量の推移
■
市の公共施設からの温室効果ガス排出量(「第1次地球温暖化対策実行計画」対象施設)
項
目
指
標
公共施設の温室
平成 11 年度比で平成 17 年度
効果ガス排出量
までに 3.5%削減
平成 11 年度
平成 17 年度
(基準年)
(現況)
6,366(千 kg-CO2)
7,233(千 kg-CO2)
(基準年比 13.6%増)
*kg-CO2:温室効果ガスに地球温暖化係数をかけて CO2 に換算した単位。
■
市の公共施設からの温室効果ガス排出量(「第2次地球温暖化対策実行計画」対象施設)
項
目
指
標
公共施設の温室
平成 16 年度比で平成 22 年度ま
効果ガス排出量
でに 6%削減
平成 16 年度
平成 17 年度
(基準年)
(現況)
14,036(千 kg-CO2)
14,067(千 kg-CO2)
(基準年比 0.5%増)
*第 2 次地球温暖化対策実行計画の対象施設は第 1 次地球温暖化対策実行計画の対象施設に、
小・中学校等を加えました。
出典:平成 18 年版浦安市環境基本計画年次報告書
-2-
1.2 クリーンエネルギービジョンの目的
クリーンエネルギービジョンは、省エネルギーを推進するためのハード、ソフト面での取り
組みや、新エネルギー設備導入などについての市・市民・事業者・滞在者等(以下「各主
体」)の方針や方策を示すものです。
1.3 クリーンエネルギービジョンの位置づけ
クリーンエネルギービジョンは、各主体が日常生活や事業活動の中で環境に配慮すべき事項
や、これらを活用して各主体の積極的かつ連携した取り組みを促進するための効果的な仕組み
づくりをまとめた環境配慮指針とともに環境アクションプランに含まれます。
環境アクションプランは、「もったいないプロジェクト」を推進する上で、浦安市環境基本
計画の実行計画的な推進方策に位置づけられるとともに、第2次浦安市地球温暖化対策実行計
画に掲げる市公共施設からの温室効果ガス削減目標の達成を目指すとともに、各主体の環境保
全行動を促進するものです。
市では、ワンガリ・マータイ氏が世界に発信している「もったいない」という言葉の
「ものの本来の価値を無駄にすることなく、生かしていこう」とする精神をコンセプト
に、市の率先行動をはじめとする地域全体の環境保全の取り組みを、「もったいないプ
ロジェクト」として平成 18 年度(2006 年度)から展開しています。
このプロジェクトでは、特に近年の環境問題における主要課題である地球温暖化対策
と廃棄物の削減・資源化を始めとする、環境への負荷を低減するための行動を、市が率
先して進めるとともに市民・事業者・滞在者等の取り組みを促進することにより、持続
的発展が可能な社会の形成を地域全体で目ざすものです。
なお、クリーンエネルギーに関する技術については、開発途上のものが多く、また、普及さ
れていないものもあります。クリーンエネルギービジョンは、今後の技術革新や国の政策方針
や法制度の整備の進展などに伴い改訂する必要があります。本ビジョンについては、概ね5年
ごとに見直しを行うものです。
-3-
1.4 環境アクションプランを活用した環境保全行動推進の展開
クリーンエネルギービジョンを含む環境アクションプランの活用を中心に、地域における環
境保全行動推進の展開イメージは次のとおりです。
浦安市環境基本条例
平成 15 年(2003 年)10 月制定
浦安市環境基本計画
平成 17 年(2005 年)1月策定
もったいないプロジェクト
地球温暖化防止
廃棄物削減・資源化
市・市民・事業者・滞在者等
環境保全行動の推進
環境保全行動に係る情報共有
環境アクションプラン
平成 18 年度(2006 年度)に策定し、平成 19 年度(2007 年度)から事業展開
環境配慮指針
クリーンエネルギービジョン
省エネルギーを推進するためのハー
ド、ソフト面での取り組みや新エネル
ギ ー設 備導 入な どに ついて の市 ・市
民・事業者・滞在者等の方針や方策
市の施設
行動メニュー
効果的な活用の仕組み
PDCA の仕組み
情報共有の仕組み
市民向け配慮指針
事業者向け配慮指針
各主体による
(滞在者等の指針含む)
・施策
重点プロジェクト
子ども向け配慮指針
・方向性
市の配慮指針
・行動メニュー
○事務事業編・公共施設の運用編
○公共施設の計画・施工編
ESCO 事業の導入
その他市・市民・事業者・滞在者等の協働で推進する環境保全施策全般
公害防止
生活衛生
廃棄物の削減・資源化
その他環境保全に係る施策
市・市民・事業者・滞在者等の
協働による取り組みの推進
持続可能な社会の形成
図 1-3 環境アクションプランを活用した環境保全行動推進の展開
-4-
2. クリーンエネルギービジョン策定の考え方
2.1 クリーンエネルギービジョンにおいて重視した点
クリーンエネルギービジョンは、浦安市環境基本計画の実行計画的な推進方策を示す環境ア
クションプランに包含されることから、クリーンエネルギービジョンにおいて重視した点は、
環境アクションプラン全体の視点となっています。
①地球温暖化防止の推進
今日の環境問題における地球温暖化防止の重要性を鑑み、地球温暖化防止に寄与
する方針や方策を中心に検討を行いました。
②行動の推進
平成 17 年(2005 年)1 月の環境基本計画策定後、各主体の環境保全のための行動
を促進するための施策の早期の稼動の重要性から、各主体が行動に移し、効果を上
げることを視野に方針や方策の検討を行いました。
③市の率先行動を推進
市では、第1次地球温暖化対策実行計画において、平成 11 年度(1999 年度)比で
平成 17 年度(2005 年度)までに公共施設からの温室効果ガス排出量を 3.5%削減す
ることを目指し、省エネなどの取り組みを進めてきましたが、平成 17 年度(2005 年
度)は 13.6%増加という結果となりました。
増加の背景としては、市役所の日曜開庁をはじめとする公共施設の開館日数・開
館時間の増加・施設の稼働率の向上などが主な要因と考えられますが、市の実効性
のある取り組みとそれに伴う効果の実現や目標の達成が、地域における各主体の取
り組みを牽引する上で重要であることから、市の率先した行動と効果の達成を重視
し、特に、クリーンエネルギービジョンと市の環境配慮指針においては、市の実効
性のある省エネルギーのための手法を中心に検討を行いました。
④市民・事業者・滞在者等の行動の促進
各主体の行動を促進する手法は、環境基本計画推進に係るサポーター会議でお聞
きした市民・事業者の意見と合わせて環境配慮指針に反映させるように検討を行い
ました。
-5-
2.2 クリーンエネルギービジョンを検討する上でのアプローチ
本ビジョンにおいては下記の2つのアプローチから検討します。
1) 部門別のアプローチ
我が国の温室効果ガス排出量の約9割を占めるエネルギー起源二酸化炭素は、統計上、産
業部門、民生業務部門、民生家庭部門、運輸部門及びエネルギー転換部門の5部門に分ける
ことができます。エネルギー転換部門は本市には少ないと考えられることから、本ビジョン
では、現状と課題、対策等を、エネルギー転換部門を除く4部門に分けて検証を行います。
2) エネルギーの需給サイド別のアプローチ
エネルギー使用に伴う温室効果ガスを削減する手法としては、エネルギーの需要サイドの
側面と供給サイドの側面から削減するアプローチがあります。
本ビジョンでは、需要サイドにおいて、エネルギー需要の量を削減する「省エネルギー」
と、エネルギーの供給サイドにおいて、使用に伴い発生する温室効果ガスの排出量が化石燃
料に比べて少ない代替エネルギーの中でも、特に「新エネルギー」の両面から、可能性や施
策などを検証します。
◎「省エネルギー」
省エネルギーは、施設などで使用する電力やガス、油、その他のエネルギー消費量そ
のものを削減することで、その方法には、冷暖房温度設定を変更するなど人の行動、環
境に依存する方法、高効率の機器導入やシステム変更により室内環境を変更せずに使用
量を減らす方法などがあります。省エネルギーは、使用するエネルギーそのものを減ら
すことで、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を削減することにつながるものです。
◎「新エネルギー」
新エネルギーは、自然の力を利用したり、今まで使われずに捨てていたエネルギーを
有効に使ったりするもので、「新エネ法」(新エネルギー利用等の促進に関する特別措
置法)の対象となるエネルギーが定義されています。(*:使い方によっては化石燃料を
含むものもあります)
新エネルギーを導入することで、エネルギー消費量は変わらないものの、エネルギー
源がクリーンなものに転換されるため石油等の化石燃料の消費を削減し、排出されてい
た二酸化炭素の排出量を減らすことができる等のメリットがあります。
-6-
3. 基本方針
3.1 クリーンエネルギービジョンの基本目標
市の環境基本計画の方向や国の動向、また、本市のエネルギー需給の状況、省エネルギー・
新エネルギーに関する特性と課題、市のエネルギー対策の課題等をふまえ、ビジョンの目指す
目標を次のように定めます。
市・市民・事業者・滞在者等の各主体の行動と協働の推進により
地球温暖化防止に寄与する持続可能な社会を形成する
-7-
3.2 クリーンエネルギービジョン推進のための基本方針
クリーンエネルギービジョンの基本目標を達成するため、省エネルギーを推進するためのハ
ード、ソフト面での取り組みや、新エネルギー設備導入などについての各主体の方針を次のよ
うに定めます。
1.市の率先行動の推進
我が国では、民生業務部門、民生家庭部門や運輸部門など、二酸化炭素排出量が近年急増
傾向にある部門の対策強化が急務となっています。浦安市においても、特に第 3 次産業の占
める割合が大きいことから、民生業務部門のエネルギー需要の大きさが特徴となっています。
また、率先して省エネを実施すべき市もこれまで結果を示すことができませんでした。
このような現状の中で、まずは、市が率先的に省エネルギー・新エネルギー対策に積極的
に取り組み、効果を示すことで、市民や事業者の意識を高め、行動を促進することを目ざし
ます。
市が率先的に行う対策の中では、技術的・経済的観点から即効性・実効性のある省エネル
ギー対策に重点を置きます。
2.市の率先行動の実効性の確保
省エネルギー対策の推進には、職員一人ひとりに対策内容を周知するだけでなく、実際に
行動を促進することが重要です。市のこれまでの取り組みの課題を踏まえると、実効性を確
保する対策の充実強化が不可欠となっています。効果的な省エネルギー手法やマネジメント
の仕組みを構築し、対策の実効性を確保します。
3.市民・事業者・滞在者等の取り組みの促進
我が国では、民生業務部門、民生家庭部門や運輸部門など、二酸化炭素排出量が近年急増
傾向にある部門の対策強化が急務となっています。
本市においては、第 3 次産業の占める割合が大きいことから、民生業務部門のエネルギー
消費量は本市全部門の 36%(全国における割合は 15%)を占めるなど、その割合の大きさが
顕著な特徴の一つとなっています。
本市の民生家庭部門のエネルギー消費量は 13%を占めており、全国の割合とほぼ同じと
なっていますが、本市の世帯構成では、若いファミリー世帯が多く、今後も人口の伸びや子
どもの成長、更にはライフスタイルの変化などとともに、この部門でのエネルギー消費量は
今後も伸びることが考えられます。
本市の運輸部門のエネルギー消費量は、全部門の中では最も小さく、また、本市の全部門
に占める割合も全国の割合より低いものの、本市は、市外からの来訪者や通過交通が多いこ
とや、今後も人口が増加することが予想されることなどから、自動車におけるソフト・ハー
ド面での省エネルギー対策や、公共交通機関や自転車等の利用促進が課題の一つとなってい
ます。
本市の産業部門のエネルギー消費量は全国の割合(48%)に比較すると低いものの(35%)、
民生業務部門と合わせて、事業者の行動を促進することが課題の一つとなっています。
このような状況をふまえ、民生業務部門、民生家庭部門、運輸部門、産業部門についても、
各部門において取り組みを促進する対策を推進します。
-8-
3.3 基本方針に基づく取り組みを促進する上での仕組みの考え方
基本方針に基づき、各主体の取り組みと協働を推進するために、下記の基本的な仕組みの考
え方を反映します。
1.PDCA サイクルによる取り組みの推進
クリーンエネルギービジョンに掲げられた施策の中でも、特に、市・市民・事業者(滞
在者等含む)・子ども向けの環境配慮指針では、地球温暖化の問題や解決に向けた行動に
ついて学び、行動を実行し、その結果を点検・評価し、次の行動に反映していくという
「学び」を起点とする PDCA サイクルにより、各主体の取り組みを促進していきます。
2.情報共有の推進
市・市民・事業者(滞在者等含む)・子ども向けの環境配慮指針では、各主体の取り組
みの情報を共有する仕組みを推進していきます。
また、環境配慮指針に基づく取り組みだけでなく、地域における環境保全行動に係る情
報を積極的に共有できるように仕組みを作り、活用していきます。
-9-
3.4 クリーンエネルギービジョンの基本施策
基本方針をふまえ、基本施策を次のように掲げます。
基本方針1
市の率先行動の推進
①公共施設の計画時における建築物構造上の工夫による省
エネ対策
1)省エネルギー・
新エネルギー
対策(ハード)
②公共施設への太陽光発電等新エネルギーの率先導入
③公用車を購入する際の低燃費車、クリーンエネルギー自
動車への転換
④CASBEE 等の建築物環境性能評価やガイドライン的な活
用の推進
⑤研修、情報提供、協議などを通した施設の計画・施工に
携わる担当者の意識の向上、活用の促進、進行管理
⑥公共施設の管理運営における省エネ手法の検討
⑦総合体育館以外の施設への ESCO 事業導入の検討
⑧ESCO 事業によらない施設・設備の省エネ改修の検討
2)省エネルギー
対策(ソフト)
①公共施設や事務事業における職員の省エネ行動の推進
②自動車利用に係る省エネルギー対策の推進
③施設管理における市民との協働による省エネ取り組みの
推進
3)重点プロジェクト
①総合体育館への ESCO 事業導入推進
ESCO 事業実施
基本方針2 市の率先行動の実効性の確保
①市の公共施設における ESCO 事業の実施
②市の環境配慮指針(事務事業編・公共施設運用編)の活用
⇒省エネを中心に省資源などの対策も含めて次のような仕組みで環境負荷低減のた
めの取り組みを促進
・行動メニューの充実
・職員研修の強化
・各部署・施設毎の主体的なPDCAサイクルによる取り組みの推進
・行動メニューの重点化
・施設を利用する市民への啓発などをとおした省エネなどへの協力の促進
・取り組み状況やその効果などのホームページ等による情報共有の促進
③市の環境配慮指針(公共施設の計画・施工編)の活用
⇒公共施設の計画・施工段階における環境負荷低減のための取り組みを次のような
仕組みで促進
・施設の計画・施工段階における配慮メニューの作成と各部署における活用の促進
・職員研修の実施
- 10 -
基本方針3
市民・事業者・滞在者等の取り組みの促進
①市民向け環境配慮指針の活用促進
⇒市民向け環境配慮指針の活用をとおして、市民の省エネ行動や省エネ機器
への買い替えなどの取り組みを次のような仕組みで促進
・自治会や団体等への講座の実施や市民リーダー育成と講座等における活
用をとおした学習機会の提供
・省エネを中心とした行動メニューや省エネ機器への買い替え等に関する
情報等の提供
・行動の効果を点検できる仕組みの提供
・国の「我が家の環境大臣」事業の活用をとおした情報共有の推進
民生家庭
部門
②子ども向け環境配慮指針の活用促進
⇒子ども向け環境配慮指針の活用をとおして、省エネ行動を中心とした子ど
もの環境保全行動を次のような仕組みで促進
・簡単に取り組める行動メニューを学校をとおして子どもに配付
・学校における総合的な学習などでの活用
・市ホームページ等を活用して環境学習・活動等の情報共有の促進
③その他イベントや啓発等をとおして省エネ行動や省エネ機器などに関する情
報提供の推進
④住宅用太陽光発電システム補助制度の継続
①事業者向け環境配慮指針の活用促進
⇒事業者向け環境配慮指針の活用をとおして、事業者の省エネ行動や省エネ
機器への買い替えなどの取り組みを中心とした環境配慮を促進
民生業務
⇒市内を訪れる観光客を中心とした滞在者等の環境配慮を促進
部門
・事業者への環境配慮行動や省エネ機器に関する情報提供
産業部門
・事業者が簡易的なPDCAサイクルで取り組みを進められる仕組みの提供
・観光事業者向けの行動メニューにおける滞在者等の協力を促進するメニュ
ーの提示
・市ホームページ等における事業者の取り組みの情報共有
②省エネに関する市・事業者の情報共有と連携の推進
③その他イベントや啓発等をとおして省エネ行動や省エネ機器・省エネ改修な
どに関する情報提供の推進
①公共交通機関の利用促進
運輸部門
②自転車利用の促進
③低燃費車やクリーンエネルギー自動車に関する情報提供
④自動車利用時におけるエコドライブ、アイドリングストップの促進
- 11 -
「基本方針1 市の率先行動の推進」に基づく基本施策
温暖化問題への対策を強化し、特に浦安市においてエネルギー需要の大きい業務部門の温室
効果ガス削減を牽引するため、まず、市の率先行動を推進します。具体的には、以下の「省エ
ネルギー・新エネルギー対策(ハード)」「省エネルギー対策(ソフト)」「重点プロジェクト
ESCO 事業実施」の3つを柱として取り組みます。
なお、本ビジョンにおいては、市の率先行動の推進を重視していることから、「4 市の率
先行動推進方策」に市の取り組みの中で重点的に取り組む施策の方向性を具体的に記述してい
ます。
(1)省エネルギー・新エネルギー対策(ハード)
省エネルギー・新エネルギー対策として、まず、施設の新築時や設備の新規導入時、あるい
は施設の改築、設備の更新時等のタイミングを捉えて、省エネ機器や新エネルギー利用機器を
積極的に導入していきます。特に、初期段階では、まだ十分に省エネ対策技術そのものに関す
る基礎的な知識や意識が庁内に浸透していない現状を踏まえ、省エネ対策技術に関する基礎的
な情報を庁内で共有していくことに重点を置いていきます。
なお、より具体的な対策技術メニューについては、本ビジョンの資料編や、市の公共施設の
計画・施工編において示します。
(主な施策)
・公共施設の計画時における建築物構造上の工夫による省エネ対策の推進
- 建物配置の工夫、外壁や屋根・床の断熱、窓の断熱
- 局所空調や局所排気、エネルギー損失の低減
- エネルギーの有効利用、効率的利用(コージェネレーションシステムや CO2 冷媒ヒートポ
ンプ等の採用)
- 負荷の平準化(超高効率変圧器やデマンドコントロールシステムの採用)
- 搬送エネルギーや照明エネルギーの最小化
- 公共施設の計画時における自然採光、自然通風等の率先導入
・公共施設への太陽光発電等新エネルギーの率先導入
・公用車を購入する際の低燃費車、クリーンエネルギー自動車への転換
・公共施設の計画・施工に携わる担当者へのクリーンエネルギービジョン及び環境配慮指針の
配付、周知徹底と活用方法の協議
・研修、情報提供、協議などを通じた、施設の計画・施工に携わる担当者の意識向上、技術力
向上、進行管理の仕組みの段階的な検討
・CASBEE 等の建築物環境性能評価やガイドライン的な活用の推進
- 12 -
(2)省エネルギー対策(ソフト)
省エネルギー対策として、日頃のこまめな省エネ行動の実践や、設備運用の工夫、公共施設
を利用する市民等との協働による省エネ行動の実践等、ソフトによる対策も積極的に推進しま
す。特に、これまでは、省エネルギーを図るための運用が十分でなかったことを踏まえ、省エ
ネ診断等の実態把握とその結果を活かした管理運用等に重点を置いていきます。
なお、より具体的な対策技術メニューについては、本ビジョンの資料編や、市の事務事業
編・公共施設の運用編において示していきます。
(主な施策)
・公共施設や事務事業における職員の省エネ行動の推進
・自動車利用に係る省エネルギー対策の推進
- 職員によるエコドライブの実践
- 公共交通機関利用や自転車利用の促進
- 通勤時ノーカーデーの設定
・施設管理における市民との協働による省エネ取り組みの推進(ちらし・パンフレットの配付、
協働による取り組みを進める施設を公表する仕組みの構築)
・省エネ行動の推進
- 庁舎等における照明や OA 機器、冷暖房などの利用の仕方の工夫の徹底
- 施設管理における空調設備の設定・運転、熱の有効利用、照明エネルギーの最小化、給
水・給湯設備の効率化等の推進
等
(3)重点プロジェクト ESCO 事業実施
市民・事業者の意識・行動を促すためにも(1)、(2)の対策を着実に推進していくとともに、
さらに、率先行動の重点的な取り組みとして、ESCO(Energy Service Company)事業を実
施します。ESCO 事業は、省エネルギー保証を伴うスキームであり、即効性あるエネルギー対
策の代表的なものです。また、省コストにもつながり、市内の事業者に広報することで、
ESCO 事業の手法を利用した省エネが各地で広がることが期待できます。これを活用すること
で、確実なエネルギー使用の削減を見込むとともに、事業実施を通じて得られた情報・ノウハ
ウを市民・事業者への省エネルギー対策促進に活かしていきます。さらに、公共施設における
省エネルギー診断も積極的に実施していきます。
ESCO 事業の具体的な内容や方向性については、「4
します。
- 13 -
市の率先行動推進方策」において示
「基本方針2 市の率先行動の実効性の確保」に基づく基本施策
エネルギー対策については、市職員一人一人の努力、市民や事業者の努力が不可欠であり、
それには、単に実施すべき対策内容を示すだけではなく、実際の取り組みを促すことができる
実効性確保策が必要です。
特に、率先行動を進めるべき市においては、これまで地球温暖化対策実行計画に基づき取り
組みを進めてきましたが、確実な実行にまで至っていませんでした。確実な効果を生む手法と
しては、前述の ESCO 事業も実効性確保策の一つとなりますが、さらに、地球温暖化対策実
行計画に基づくこれまでの取り組みにおける課題(研修の不足、各課・各施設におけるエネル
ギー使用量の分析と次の取り組みへの反映などの不足など)を踏まえ、研修の強化、実行部門
の推進体制の強化を含めた環境配慮指針(事務事業編・公共施設運用編)(公共施設の計画・
施工編)を地球温暖化対策実行計画・環境マネジメントシステムと合わせて活用します。
なお、市民・事業者・滞在者等の取り組み促進の実効性を確保する対策としては、次の「基
本方針3
市民・事業者・滞在者等の取り組みの促進」において記述する「(仮称)浦安エコ
ファミリー事業」、「(仮称)浦安エコカンパニー事業」を活用します。
・市の公共施設における ESCO 事業の実施
・市の環境配慮指針(事務事業編・公共施設運用編)(公共施設の計画・施工編)の活用
- 市職員への研修の強化(専門家による省エネ等講座の開催、市内企業とのタイアップによ
る省エネ等講座の開催)
- 市の実行部門の推進体制の強化(環境管理推進員の役割強化)
- 市の実行部門におけるエネルギー使用量の把握・分析・課題の抽出の徹底
- 市の事務局におけるデータ分析と次期に強化すべき取り組みの抽出の徹底
- 市の実行部門における取り組みの情報の公開・共有
- 14 -
等
「基本方針3 市民・事業者・滞在者等の取り組みの促進」に基づく基本施策
地域におけるエネルギー対策の推進には、市を始め、市民、事業者、滞在者等の取り組みの
促進が重要です。
(1)民生家庭部門
国の家庭部門における方向性には、省エネルギーに関して国民の意識向上や、住宅やエネル
ギー消費機器の性能向上、効果的な助成制度が挙げられています。また、新エネルギーについ
ては新車販売の多くをハイブリッド化することなどが挙げられています。
本市の民生家庭部門のエネルギー消費量は 13%を占めており、全国の割合とほぼ同じとな
っていますが、本市の世帯構成では、若いファミリー世帯が多く、今後も人口の伸びや子ども
の成長、更にはライフスタイルの変化などとともに、この部門でのエネルギー消費量は今後も
伸びることが考えられます。
本市において推進されるべき家庭部門における対策の中心としては、ハード面での対応より
は市民向けのソフト対策として各種の支援を行うことを考えています。
住宅内での省エネルギーが対象であることから、市が市民(子どもを含む)向けにエネルギ
ー対策に関する情報を提供していくことが望まれます。家庭でのエネルギー対策の多くは人の
行動に依存したものとなり、家庭で使用する電気製品の買い換え時の省エネルギー指標による
選択や住宅の改修に伴う技術的情報なども含まれます。
・市民向け環境配慮指針と子ども向け環境配慮指針を活用して市民と子どもの行動を促進
・家庭でできるこまめな省エネ対策(待機時消費電力削減、冷暖房設定温度の工夫等)に関す
る情報の提供、普及啓発
・住宅や設備機器の省エネ性能向上に関する情報提供
・住宅用太陽光発電への助成継続
・学校や地域の活動などを通じて、省エネルギーなどに関する学習に取り組める場の提供や、
学習ツールの提供
- 15 -
(2)民生業務部門
本市のエネルギー需要においては、民生業務部門が最も大きな割合を占めています。
市内の事務所ビルや商業施設、ホテルなどの宿泊施設などにおいても、積極的に省エネ対策
を行っている事例もありますが、全体的には省エネ・新エネに関して十分な情報やノウハウを
有していない中小事業者が多いことなどから、先進的な取り組みを行っている事業者の省エネ
に関する情報の共有を進めるとともに、事業者の行動を促進できる仕組みである環境配慮指針
の活用を促進します。
・事業者向け環境配慮指針を活用して事業者の行動を促進
・事業者向け環境配慮指針の中の仕組みにより滞在者等の行動を促進
・オフィスや店舗内でできるこまめな省エネ対策(クールビズ・ウォームビズ、パソコン・コ
ピー機等の節電、不必要な照明の削減等)の促進
・建築物や設備機器の省エネ性能向上に関する情報提供
・ESCO 等の省エネビジネスに関する情報提供
・太陽光発電等新エネルギーに関する情報提供
・市と市内の事業者による省エネに関する取り組みの情報共有の推進
- 16 -
(3)運輸部門
運輸部門における国の取り組みの方向性は、主にバイオマス由来の燃料利用など供給サイド
に重点が置かれていますが、本市の場合は、需要サイドからできる取り組みを推進します。
特に自動車等の運輸におけるエネルギー対策として、公共交通機関の利用促進、クリーンエ
ネルギー自動車の率先導入を推進するほか、市民、事業者にエネルギー効率の高い車両導入や、
アイドリングストップなどのエコドライブに関する情報を広く提供し、普及を促進していきま
す。
・市民・事業者向け環境配慮指針を活用して、市民・事業者のアイドリングストップなどのエ
コドライブの促進
・路線バスや市の「おさんぽバス」などの公共交通機関の利用促進
・環境に配慮したエコドライブに関する情報提供、普及促進
・低燃費車やクリーンエネルギー自動車に関する情報提供
・市内への出入りの多い運送事業者に対するアイドリングストップを始めとするエコドライブ
に関する情報提供、普及促進
(4)産業部門
産業部門における国の取り組みの方向性には、トップランナーにおける省エネ水準の明記や、
ESCO 事業のような省エネ促進ビジネスへの支援等が示されています。
市内の工場等は全体的には省エネ・新エネに関して十分な情報やノウハウを有していない中
小事業者が多いことなどから、民生業務部門の事業者であっても先進的な取り組みを行ってい
る事業者の省エネに関する情報の共有を進めるとともに、事業者の行動を促進できる仕組みで
ある環境配慮指針の活用を促進します。
・事業者向け環境配慮指針を活用して事業者の行動を促進
・工場等でできる省エネ対策・省エネ機器に関する情報の提供
・太陽光発電等新エネルギーに関する情報提供
・市と市内の事業者による省エネに関する取り組みの情報共有の推進
- 17 -
「基本方針3 市民・事業者・滞在者等の取り組みの促進」に基づき
市民・事業者・滞在者等の行動の実効性を確保する手法
(1)∼(4)の個々の促進策の実効性を確保するため、市民向けの環境配慮指針((仮称)浦安エ
コファミリー事業)と、事業者向け環境配慮指針((仮称)浦安エコカンパニー事業)の活用
を平成 19 年度(2007 年度)から開始します。
<(仮称)浦安エコファミリー事業>
市民向けの仕組みとして、「(仮称)浦安エコファミリー事業」(詳細は市民向け環境配慮
指針)を構築します。
(仮称)浦安エコファミリー事業
学ぶ
考える
見直す
行動する
点検・評価する
市の広報・ホームページや
家族
全国
環境省の「我が家の環境大臣」等
をとおした情報提供と共有
市
自治会
協働による取り組みの推進
図 3-1 (仮称)浦安エコファミリー事業
「市 民向け環境配 慮指針( (仮称)浦 安エコファミ リー事業)」 は、
○家族を中心に環境に配慮した取り組みを行っていただく仕組みとして(仮称)浦安エコファ
ミリーへの参加を呼びかけます。
○(仮称)浦安エコファミリーを活用して、次のような仕組みで取り組みを促進します。
・自治会や団体等への講座、市民リーダーの育成及びリーダーとしての活用をとおした学習
機会の提供
・行動がもたらす CO2 や光熱水費などの削減効果などを分かりやすく示した行動メニュー
の提示
・電気・ガスなどの使用量から CO2 排出量を計算できる環境家計簿などを活用した行動の
点検・評価の手法の提供
・国の「我が家の環境大臣」事業の活用をとおした市民の取り組みの状況とその効果などに
関する情報共有の促進
「子 ども向け環境 配慮指針 」は、
○市内小学生(4年生)を対象に、環境に配慮した取り組みを行っていただく仕組みとして
(仮称)浦安エコチャレンジへの参加を呼びかけます。
・子どもが簡単に取り組める行動メニューを学校を通して子どもに配付し、総合的な学習な
どで活用していただくことにより子どもの環境配慮行動を促進
・市ホームページ等を活用して学校等における環境学習・活動等の情報の共有の促進
- 18 -
<(仮称)浦安エコカンパニー事業>
事業者向けの仕組みとして、「(仮称)浦安エコカンパニー事業」(詳細は事業者向け環境
配慮指針)を構築します。エコファミリーと同様、メニューを示すだけでなく、確実にそれら
を実行に移す事業所が増えるよう、情報提供・情報共有を通じて学び実践していける仕組みと
して、PDCAの運用(宣言−試行−認定−活動−報告−見直し)を取り入れます。
ステップ1
ステップ2
ステップ3
宣言する
試行する
認定を受ける
市に宣言書を
提出。
2 ヶ月間、強
化宣言項目を
実践し、報告
レポートを提
出。
ステップ4
ステップ5
ステップ6
活動を継続する
報告する
見直して継続する
強化宣言項目
の実践と、エ
ネルギー消費
量のチェック
を実践。
1 年間に 1
回、報告レポ
ートを提出。
報告時の反省
点などを生か
して、さらに
活動を継続。
市から認定証
を受領。
図 3-2 (仮称)浦安エコカンパニー事業のイメージ
「事 業者向け環境 配慮指針 」は、
○中小規模の事業者でも取り組みやすい簡易的な仕組みとして、(仮称)浦安エコカンパニー
への参加を呼びかけます。
○(仮称)浦安エコカンパニーは次のような仕組みで取り組みを促進します。
・事業者への環境保全行動に関する情報提供による行動の促進
・認定した事業者が特に力を入れる項目を宣言し、簡易的なPDCAサイクルで取り組みを
進められる仕組みによる行動の促進
・観光事業者向けの行動メニューにおける滞在者等の協力を促進するメニューにより滞在者
等の行動を促進
・市ホームページにおいて認定事業者の事業者名、宣言項目などを公表
- 19 -
4. 市の率先行動推進方策
クリーンエネルギービジョンでは前述のように、市の率先行動を推進するための取り組みにつ
いて省エネルギー対策を中心に重点的に検討することとしました。
4.1 重点プロジェクト 総合体育館への ESCO 事業
4.1.1
ESCO 事業とは
ESCO 事業とは、ESCO 事業者が省エネルギー改善に必要な、技術・設備・人材・資金な
どすべてを包括的に提供するビジネスです。
省エネ効果を ESCO 事業者が保証し、省エネルギー改修に要した投資・金利返済・ESCO
の経費等は、全て省エネルギーによる経費削減分でまかなわれる仕組みです。
ESCO 事業の一般的なメリットとして次のような点があげられます。
①ESCO 事業者により光熱水費などの経常経費の削減が確実に担保される。
また、省エネルギーを実現できることに伴い温室効果ガス排出量削減も期待できる。
②事業者側からの新たな提案により、市が検討するよりも更に効率的なエネルギー、コ
スト削減の手法と効果が期待できる。
③仮にシェアードで行えば資金調達を外部にゆだねることができる。
④市として、省エネを推進していることを、取り組み姿勢と効果の実現により、市民・
事業者にアピールすることができる。また、これにより、市民・事業者の省エネ対策
を促進することが期待できます。
ESCO の事業手法には下記のようなものがあります。
ESCO 事業の手法は大きく分けるとシェアード・セイビングス方式とギャランティード・
セイビングス方式の二つに分けられます。
シェアード・セイビングス方式は ESCO 事業者が事業資金を調達する方式です。したがっ
て、ESCO 事業者は顧客から支払われるサービス料から、省エネ改修費用を回収する形にな
ります。
一方、ギャランティード・セイビングス方式は、顧客が事業資金を調達する方式です。し
たがって、顧客は省エネ改修にかかる初期投資を必要とします。
両手法の主な違いは下記のとおりです。(自己資金による省エネ改修との対比も含む)
表 4-1 ESCO 事業の手法による違い
自己資金
シェアード
ギャランティード
(ESCO 事業)
(ESCO 事業)
資金調達
市
事業者
市
設備所有
市
事業者⇒契約期間終了後
市
市に引き渡し
省エネメニュー 市
事業者
事業者
効果保証
なし
あり
あり
事業規模
小 規 模 ( 数 百 万 円 ) ∼ 中規模(数千万円)∼
小規模(数百万円)∼
大規模(数十億円)
大規模(数十億円)
大規模(数十億円)
- 20 -
4.1.2
ESCO 事業の位置づけ
地球温暖化防止対策の現状と ESCO 事業の位置づけを下記のように概観できます。
○京都議定書の目標と現状
•
温室効果ガス: 平成20年(2008年)∼平成24年(2012年)の平均で平成2年度
(1990年度)比で6%削減。
•
しかしながら、平成17年度(2005年度)では平成2年度(1990年度)比で8.1%
増。平成17年度(2005年度)比で14.1%削減することが必要となっている。
•
平成17年度(2005年度)は、市が入る「民生業務部門」は平成2年(1990年)比で
42%と大幅に増加。目標達成のために42%削減することが必要となっている。
○京都議定書目標達成計画における民生部門における主要な対策
・
住宅・建築物の省エネ性能向上(民生における約45%)
⇒その一つにESCO事業
・
4.1.3
官庁施設からの CO 2 削減のための手法の一つとしてESCO事業の検討。
総合体育館への省エネルギー診断実施の経緯
本市では、平成 17 年(2005 年)1月に策定した浦安市環境基本計画に示した省エネルギ
ーの実践による地球温暖化防止対策を早急に推進するために、平成 18 年度(2006 年度)に
総合体育館、総合福祉センター、美浜公民館の 3 施設について省エネルギー診断を実施し、
ESCO 事業の導入検討も含めて今後の本市の公共施設における省エネ改修について検討する
こととしました。
4.1.4
総合体育館への省エネルギー診断で想定された手法と効果
総合体育館における省エネ診断結果から、省エネ効果が高いことが予測されました。
省エネ診断では、省エネルギー対策として効果の高いと考えられる熱源装置の省エネルギ
ー手法について、コージェネレーションとヒートポンプの二通りの場合で予測効果を検証し
ました。これらの対策では、省エネ率は概ね 20%、光熱水費の年間削減額は 5 千万円以上と
の予測結果が出されました。実際の効果は、応募してくる事業者の提案内容で変わりますの
で、省エネ診断の数値は参考として捉えるものですが、予測効果そのものは高いと考えられ
ます。
(高い効果が予測された背景と施設の特性)
・施設規模が大きい
:延床面積 21,687 ㎡
・エネルギー使用量が大きい:平成 17 年度(2005 年度)
年間エネルギー使用量(原油換算)1,850kl
(第二種エネルギー指定事業所(年間エネルギー使用量が
電気・熱を合わせて原油換算で 1,500KL 以上)に該当)
・年間 CO2 排出量が大きい
:平成 17 年度(2005 年度)
3,049t-CO2
(第 1 次地球温暖化対策実行計画の対象施設における約
16%を占める。*屋内水泳プール分を除く)
- 21 -
4.1.5
総合体育館への ESCO 事業導入に関する市の考え方
これまでの検証から得られた高い省エネ効果の可能性を踏まえ、まずは、本市施設の中で
最もエネルギー使用量が多い総合体育館への ESCO 事業導入をできるだけ早い時期に開始し
ます。
導入によって得られる効果について、次のように考えられます。
・早期に事業を開始できると、総合体育館の CO2 排出量と光熱水費などのコストの低減
効果が早く現れる。
・事業推進のための関係課の連携をとおして、施設の設計・建設・管理運営における省
エネ意識が高まる。
・市民、事業者に市の省エネに対する姿勢を示すとともに、CO2 排出量削減の効果を実
現することにより、市民・事業者等の関心を高め、行動を促進することが期待でき
る。
・ESCO 事業による効果や手法等の情報を事業者に提供することにより、事業者の ESCO
事業導入やその他ハード面での省エネ手法の取り組みを促進することが期待できる。
- 22 -
4.2 総合体育館以外の施設・設備の省エネ対策の推進
施設・設備に係る省エネを推進する上で、「建築物の省エネ性能の向上」、「省エネ機器へ
の更新」、「エネルギー管理を伴う省エネ行動の推進」などの効果が大きいとされています。
市では、総合体育館への ESCO 事業導入以外にも、省エネ対策の積極的な推進に向けて検
討を進めていきます。
総合体育館への ESCO 事業以外に下記の手法について活用および検討を進めて行きます。
〔平成 19 年度(2007 年度)から実施していくもの〕
①市の環境配慮指針(事務事業編・公共施設運用編)の活用
②市の環境配慮指針(公共施設の計画・施工編)の活用
〔平成 19 年度(2007 年度)以降継続的に検討を続けていくもの〕
①総合体育館以外の施設への ESCO 事業導入の検討
②ESCO 事業によらない施設・設備の省エネ改修
③公共施設の管理運営における省エネチューニングなどの省エネ手法の検討
④CASBEE(建築物環境性能評価システム)の活用
4.3 市の環境配慮指針….平成 19 年度(2007 年度)から活用
4.3.1
環境配慮指針の目的と種類
市職員自らの率先行動をこれまでより効果的に推進し、省エネルギーなどによる環境負荷
の低減を現実のものとすることにより、地球温暖化防止などに寄与するとともに、市域にお
ける環境保全の取り組みを牽引するため、下記の環境配慮指針を作成しました。なお、この
取り組みは、市が率先行動を推進しながら、市民・事業者と協働で地球温暖化防止などを推
進する「もったいないプロジェクト」として推進します。
現段階の仕組みやメニューは、これまでの取り組みを強化する上での初期段階として活用
するもので、今後、省エネルギーに関する法律などの変更や、技術の変化、実行することで
明らかとなる課題などを踏まえて、仕組みやメニューは適正化していくこととします。
①事務事業編
②公共施設の運用編
③公共施設の計画・施工編
- 23 -
4.3.2
「事務事業編・公共施設の運用編」
(重視した点)
・研修・教育の強化(意義と手法を理解することが重要)
・施設を管理する部署は、環境への配慮の観点では施設を一事業所として捉え、エネル
ギー管理と削減努力を主体的に推進するための施設主体の PDCA サイクルの構築
・市民との協働による環境負荷低減の仕組みづくり
・取り組みメニューの重点化
・情報の共有化(市職員及び市民・事業者)
(環境配慮指針の運用)
事務事業編・公共施設の運用編は、環境マネジメントシステムや地球温暖化対策実行計
画と合わせて、PDCA サイクルで運用します。
なお、将来的には、現状の環境マネジメントシステムに代えて、独自のシステムとして
市の環境配慮の取り組みを推進していくことを視野に入れ、当配慮指針を活用・運用して
いきます。
このようなことから、当配慮指針の初期の段階では、地球温暖化対策実行計画に示され
た配慮メニューなどを中心に配慮項目を盛り込んでいますが、今後、運用を行いながら、
環境マネジメントシステムに盛り込まれている配慮項目や考え方を反映し、独自のシステ
ムの構築を図っていきます。
4.3.3
「公共施設の計画・施工編」
(重視した点)
・施設の計画・施工段階における配慮メニューの作成と各部署における活用の促進
・職員研修の実施
(環境配慮指針の運用)
施設の計画・施工という初期段階から、環境配慮を組み込んでいくための仕組みを段階
的に浸透させていきます。計画・施工段階については、その進行管理の仕組みとして、定
性的なチェックや半定量的なチェック(簡易な点数付け等によるチェック)、あるいは
CASBEE の活用等が考えられますが、当面は配慮メニューの周知徹底に力点を置き、進行
管理の仕組みは、活用を進めながら検討していきます。
- 24 -
4.4 総合体育館以外の施設への ESCO 事業導入・ESCO 事業によらない施設・設備の
省エネ改修の検討
総合体育館以外の施設への ESCO 事業導入や ESCO 事業によらない施設・設備の省エネ改修に
ついては、平成 18 年度(2006 年度)及び平成 19 年度(2007 年度)に実施する省エネ診断の
結果や、総合体育館への ESCO 事業導入に伴う情報の収集・課題の整理、既存施設の情報整理
や改修に関する方向性などと調整を行いながら、検討を進めます。
4.4.1
省エネルギー診断結果の検討への反映
平成 18 年度(2006 年度)に行った省エネルギー診断の結果を踏まえ、省エネ効果の規模
や ESCO 事業を行うにあたっての事業成立可能性などを総合的に検討して、総合体育館への
ESCO 事業導入を開始することとしています。
省エネルギー診断では、例えば、総合体育館では、既存熱源の代替システムをはじめ照明
器具の省エネ型への更新、動力装置の回転数制御、節水コマの設置等、幅広い対策が提案さ
れています。また、総合福祉センターや美浜公民館についても、幅広い対策メニューに基づ
き、一定の省エネ効果は提示されましたが、これらの施設はエネルギー使用量が比較的小さ
いことから、今後、この診断結果を基に、総合体育館以外の施設に対する省エネ改修のあり
方の中で検討していくこととします。
4.4.2
平成 19 年度(2007 年度)の省エネ診断の反映
市公共施設の中で温室効果ガス排出量が、総合体育館に次いで 2 番目になる特別養護老人
ホームに対する省エネルギー診断を平成 19 年度(2007 年度)に実施し、平成 18 年度
(2006 年度)に行った総合福祉センター、美浜公民館の診断結果を含めて、総合体育館以外
の施設に対する ESCO 事業等の検討を引き続き進めていきます。
4.4.3
総合体育館への ESCO 事業導入に伴う情報の反映
総合体育館への ESCO 事業導入に向けて進める中で、事業手法をはじめとする様々な情報
を収集するとともに、課題やその解決方策も明らかになるとも考えられ、これらの情報も総
合体育館以外の施設に対する ESCO 事業を含む省エネ改修のあり方の検討に反映していくこ
ととします。
- 25 -
4.4.4
公共施設の情報の整理
本市の公共施設のエネルギー消費量は総合体育館が最も大きく、そのエネルギー消費量の
大きさから ESCO の事業性が高い結果が出ていますが、その他の施設については、本市で 2
番目に消費量が大きい特別養護老人ホームでも総合体育館の約3分の1であること、その他
の施設についてはその規模から ESCO 事業については事業手法や組み合わせなどについて検
討していく必要があります。
今後は、上記の手法に下記の手法も加えて、検討していきます。
①施設の年間エネルギー消費量
②施設のエネルギー消費原単位
③施設・設備の省エネ対策検討手法に基づく情報の整理
・建物用途・立地
・建物規模
・建物・設備の老朽度
・省エネルギー改修時期
④省エネルギー改修の手法の検討
・対象施設・設備の選定及び組み合わせ
・改修時期
・改修の事業手法(ESCO におけるギャランティード又はシェアード、自主財源など)
- 26 -
4.5 公共施設の管理運営における省エネチューニングなどの省エネ手法の検討
近年、「省エネチューニング」が建物の管理運営における省エネ対策として効果があると言
われ、注目されています。
既存の建物、施設においてチューニングの重要性を再認識し、建物の運用実情を最も把握し
ている施設管理者が主体となり、建物毎の省エネルギー実行組織を作ると共に省エネルギー運
転の実現を目指すことは重要であり、市の環境配慮指針(事務事業編・公共施設の運用編)に
おいて対策メニューを示しています。
ただし、チューニングを行うには、ある程度の専門的知識と、個々の機器にしても、それら
の運用状況・今後の運用の方向などを考慮する必要があることから、省エネルギーを促進する
活動を行っている NPO や団体、(財)省エネルギーセンター等が実施している専門家派遣によ
る省エネ行動促進のための研修等を開催することも検討します。
4.6 CASBEE 等の建築物環境性能評価やガイドライン的な活用の推進
近年、国や他の自治体において、自ら建築物の環境性能の評価に取り組んだり、地域におい
て一定規模以上の建築物を作る際には環境性能評価を義務づけるなどの取り組みが始まってい
ます。建築物単体での環境性能を高めることで都市全体の環境を底上げにつながるという効果
も期待できます。
平成 13 年(2001 年)以降、産、官、学共同プロジェクトにより、建築物総合環境性能評価
システム(CASBEE;Comprehensive Assessment System for Building Environmental
Efficiency)の開発が進められ、既に完成されています。
市では、建築物の計画・施工において CASBEE は、建築物の環境性能評価及び環境配慮を
行う上で有効であると考えることから、この活用について検討を進めます。
5. クリーンエネルギービジョンの推進体制
本ビジョンにかかげる個々の施策・事業は、全体としては、環境基本計画の進行管理の仕組み
を活用して、進捗状況を管理します。
環境審議会や環境基本計画推進に係るサポーター会議の意見をお聞きするとともに、本ビジョ
ンの庁内における全体的な連携による横断的な取り組みを推進するために、庁内に設置している
「環境基本計画推進会議」を活用します。
本ビジョンにおいて市の環境保全行動を推進する環境配慮指針については、現段階では環境マ
ネジメントシステムと地球温暖化対策実行計画と合わせて、活用と進行管理を行います。
これらの進行管理体制により、庁内において省エネルギーを始めとした環境配慮を推進すると
ともに、環境基本計画や地球温暖化防止対策実行計画などの関連施策との相互連携を図りつつ、
市の率先的な取り組みを進めるとともに、市民・事業者・滞在者等の取り組みを効果的に推進し
ます。
なお、本ビジョンは5年ごとに見直しを行います。
- 27 -
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