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第4章 広がる行政書士の業務

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第4章 広がる行政書士の業務
第
₄ 章 広がる行政書士の業務
1 広がる行政書士の業務分野
行政書士は、その他一般の文書や図面作成を主たる業務とする代書人として出発した資格であり、
1951 年(昭和 26 年)成立の「行政書士法」により、官公署に提出する書類の作成業務を行う資格です。
そして、これまで述べてきた通り、行政書士法1条の2、1条の3とを合わせて考えると、行政書士
の業務は、紛争性のない法律事務全般ということですから、その業務分野はかなり多岐にわたってい
ます。現在、行政書士の業務分野となっているもののうち、主なものとしては以下のようなものがあ
ります。
業務分野
業務内容
自動車車庫証明・自動車登録業務
自動車に関する代表的な手続である車庫証明手続や自動車登録業務に関
して、アドバイスをしたり、書面作成・代理申請を行う業務
宅地建物取引業免許申請関連業務
宅地建物取引業を行うのに必要な免許の申請を行うことを基本に宅建業
にかかわる手続のサポートを行う業務
農地の売買・転用などの許可申請業務
農地売買・農地転用の許可申請手続を行ったり、これに関連する手続で
ある開発行為許可申請手続などを行う業務
風俗営業許可申請業務
接待飲食店・風俗営業の許可申請手続を行う業務
産廃業許可申請業務
産業廃棄物や一般廃棄物の処理に必要な手続を行う業務
建設業許可申請業務
建設業法に規定されている一般建設業や特定建設業の許可申請などを行
う業務
入管関係(国際関係)業務
外国人の在留許可申請を行うことを中核業務としつつ、広く外国人の日
本での生活のサポートや、外国人を雇用する会社のサポートをしたりす
る業務
会社設立業務
会社の設立を行うだけでなく、その後の許認可の取得を手助けしたりす
るなど設立後も見据えたコンサルティングを行う業務
一般社団/一般財団法人設立業務
設立に際して官公庁の認可が必要な一般社団・一般財団法人の設立手続
を行う業務
離婚業務・相続業務
紛争に至っていない離婚関係・相続関係問題全般の法律関係を取り扱う
業務
消費者問題
内容証明書の作成を行ったり、本人にさまざまな法的アドバイスを行う
などして、消費者を手助けする業務
知的資産経営支援業務
近年注目されている知的資産経営を支援する業務
知的財産分野に関する業務
主に著作権にかかわる文化庁への著作権登録申請手続や著作使用許諾契
約書の作成を行う業務
裁判外紛争手続(ADR)
ADR 法の下で認められた調停・和解による当事者間の紛争の解決を行
う業務
ペット法務
ペットに関するさまざまな法律関係を取り扱う業務
日本行政書士会連合会 HP http://www.gyosei.or.jp/ などを参考に作成
以上の業務分野は一例に過ぎません。行政書士の業務分野はどんどん広がっており、
多岐にわたります。
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2011士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
そして、現実に、官公署に提出する書類作成および申請業務自体が、非常に複雑化し、専門化して
きていると言われていることを背景に、行政書士の業務範囲はどんどん広がっています。例えば、建
設業許可申請分野においては、単に申請書類作成を行ったり、代理申請を行うだけでなく、依頼人に
対するさまざまなコンサルティングを行うようになっているなど、行政書士の業務範囲は大きく広が
っています。
また、行政書士は、依頼人からのニーズに応えるかたちで、また、時代のニーズに応えるかたちで、
行うようになった業務もあります。例えば、現在、行政書士の代表的業務である入管(国際関係)分
野は、これに当たります。今から約 20 年前、当時大手町にあった入国管理局で行政書士が無料相談を
行い、そこで信頼を得た結果、行政書士が行うようになった業務です。 さらに、行政書士が、時代のニーズを先取りするようなかたちで開拓することによっても生じた業
務分野もあります。例えば、知的資産経営サポート業務はまさにそれに当たります。ここに至っては、
知的資産経営報告書などの書類作成は多くある中の一業務にすぎず、むしろ、中小企業の経営全般に
対するコンサルティング業務が業務の中核になっています。
以下、①伝統的な業務分野において業務範囲が広がった例として、建設業許可申請分野を、②時代
のニーズに応えるかたちで行うようになった業務として出発し、業務範囲が広がった例として、入管
(国際関係)分野を、③行政書士が時代のニーズを先取りするようなかたちで開拓し、広がった業務分
野として、中小企業の知的資産経営サポート業務などいくつかの業務について紹介します。
2 伝統的な業務分野における広がり
~建設業許可申請分野の業務内容とその広がりを例に~
建設業とは、「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う
営業」を言います(法第2条)。この建設業に対する規制をした法律が、建設業法です。
建設業法は以下のような規定になっています。
※建設業法 第 1 条~第 3 条 建設業法の目的・定義・建設業の許可
(目的)
第1条 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ること
によつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全
な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第1の上欄に掲げる
ものをいう。
2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、
建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3 この法律において「建設業者」とは、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
4 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者
と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契
約をいう。
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行政書士
5 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注
文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、
「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。
(建設業の許可)
第3条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、2
以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるも
のをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一
の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業
所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定
める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請
け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事
に係る下請契約が2以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上
となる下請契約を締結して施工しようとするもの
2 前項の許可は、別表第1の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に
掲げる建設業に分けて与えるものとする。
3 第1項の許可は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その
効力を失う。
4 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下「許可の有効期間」という。)
の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効
期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
5 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可
の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
6 第1項第1号に掲げる者に係る同項の許可(第3項の許可の更新を含む。以下「一般建
設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第1項第2号に
掲げる者に係る同項の許可(第3項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」と
いう。)を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効
力を失う。(許可の条件)
(許可の条件)
第3条の2 国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第1項の許可に条件を付し、及びこれを変
更することができる。 前項の条件は、建設工事の適正な施工の確保及び発注者の
保護を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な
義務を課することとならないものでなければならない。
建設業法の目的は、1条で定められている通り、2 つあります。第1は、建設工事の適正な施工を
確保し、発注者を保護することにあります。第2は、建設業の健全な発達を促進する、ということです。
この目的を実現するために、建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、および、建設工事の請負契
約の適正化等を図るための規定を設けています。そして、建設業を営む者の資質の向上を図るために、
3条において、建設業を営もうとする者は、1 件の請負代金が 500 万円未満(建築一式工事以外の場合)
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2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
の工事など軽微な建設工事を除いては、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要と規定し、建
設業の許可制を定め、別表が定める業種ごとに都道府県知事または国土交通大臣の許可を受けなけれ
ばならないとしています。建設業許可申請を専門としている行政書士の主な業務は、この建設業許可
を受けるために必要な申請書類の作成および代理申請を行うことにあります。
建設業許可の要件は、一般建設業と、工事の全部または一部を、下請代金の額(その工事に係る下
請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結し
て施工しようとする者に工事を下請けに出すこともできる特定建設業に分けて規定されています。一
般建設業の許可に関しては、5条・6条・7条・8条にて、特定建設業の許可要件は、15 条・17 条にて、
規定されています。
※建設業法 第7条・第8条・第 15 条・第 17 条 一般建設業・特定建設業の許可について
(許可の申請)
第5条 一般建設業の許可(第8条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」とい
う。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、2以上の都道府県の
区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、1の都道
府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所
在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなけれ
ばならない。
一 商号又は名称
二 営業所の名称及び所在地
三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。以下同じ。)及び役員の
氏名
四 個人である場合においては、その者の氏名及び支配人があるときは、その者の氏名
五 許可を受けようとする建設業
六 他に営業を行つている場合においては、その営業の種類
(許可申請書の添付書類)
第6条 前条の許可申請書には、国土交通省令の定めるところにより、次に掲げる書類を添付し
なければならない。
一 工事経歴書
二 直前三年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面
三 使用人数を記載した書面
四 許可を受けようとする者(法人である場合においては当該法人、その役員及び政令で
定める使用人、個人である場合においてはその者及び政令で定める使用人)及び法定
代理人が第8条各号に掲げる欠格要件に該当しない者であることを誓約する書面
五 次条第一号及び第二号に掲げる基準を満たしていることを証する書面
六 前各号に掲げる書面以外の書類で国土交通省令で定めるもの
2 許可の更新を受けようとする者は、前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号ま
でに掲げる書類を添付することを要しない。
(一般建設業の許可の基準)
第8条
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることが
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行政書士
なくなつた日から5年を経過しない者
八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規
定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成
3年法律第 77 号)の規定(同法第 32 条の2第7項の規定を除く。
)に違反したことによ
り、又は刑法(明治 40 年法律第 45 号)第 204 条 、第 206 条、第 208 条、第 208 条の3、
第 222 条若しくは第 247 条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正 15 年法律
第 60 号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又
はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
九 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号の
いずれかに該当するもの
十 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号
から第八号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第
29 条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者につ
いてはその者が第 12 条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前か
ら、第六号に該当する者についてはその者が第 29 条の4の規定により営業を禁止され
る以前から、建設業者である当該法人の役員又は政令で定める使用人であつた者を除
く。)のあるもの
十一 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第八号ま
でのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第 29 条の規定に
より許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者
が第 12 条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該
当する者についてはその者が第 29 条の4の規定により営業を禁止される以前から、建
設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
(特定建設業の許可の基準)
第 15 条 国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる
基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 第7条第一号及び第三号に該当する者であること。
二 その営業所ごとに次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。ただ
し、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識
及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を
考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする
者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定
により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でな
ければならない。
イ 第 27 条第1項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けよ
うとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令
の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定め
るものを受けた者
ロ 第7条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係
る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以
上であるものに関し2年以上指導監督的な実務の経験を有する者
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2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
三 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを
履行するに足りる財産的基礎を有すること。
(準用規定)
第 17 条 第
5条、第6条及び第8条から第 14 条までの規定は、特定建設業の許可及び特定建設業
の許可を受けた者(以下「特定建設業者」という。
)について準用する。この場合において、
第6条第1項第五号中「次条第一号及び第二号」とあるのは「第7条第一号及び第 15 条
第二号」と、第 11 条第4項中「同条第二号イ、ロ若しくはハ」とあるのは「第 15 条第
二号イ、ロ若しくはハ」と、「同号ハ」とあるのは「同号イ、ロ又はハ」と、同条第5項
中「第7条第一号若しくは第二号」とあるのは「第7条第一号若しくは第 15 条第二号」
と読み替えるものとする。
建設業許可申請を行う行政書士は、建設業の許可を受けたい業者のために、5 条・6 条・17 条にした
がって、所定の事項を記載した許可申請書を作成し、それを必要な添付書類とともに代理申請を行う
ことが業務となります。
以上から見ると、建設業許可申請を行う行政書士は、まず、建設業法に熟知している必要があるこ
とが分かります。法の規定に従って、正確に許可申請書を作成し、必要な添付書類を準備し、代理申
請を行わなければなりません。
そして、建設業許可申請書類の作成や代理申請手続はそもそも単純な業務ではありません。まず、
建設業許可を受けることを希望している業者が、自ら行いたい営業を行うのに必要な種類の許可がい
かなるものかを 28 業種の中から判断し、業者にアドバイスする能力が行政書士には求められます。ま
た、建設業の許可については、国土交通大臣許可と都道府県知事許可がありますが、許可申請が下り
るまで、前者の標準処理期間は 90 日であるのに対して、後者は 30 日になっています。そのため、早
急に許可をとって事業を開始しなければならないという状況の下では、許可申請が下りるまでの期間
が短い都道府県知事許可申請を選ぶべきです。しかし、都道府県にまたがって営業所の多店舗展開を
行う場合には、国土交通大臣許可が必要です。個別のケースにおいて、申請を行う企業の事情をしっ
かり把握し、その企業が保有する材料を踏まえて、そもそもどのような許可申請を行うべきかを申請
者に適切にアドバイスすることが必要です。
また、行政書士は、許可申請書の作成や必要な添付書類を準備するに当たって、当該業者に対して、
ヒアリングや調査を行い、当該業者が、上記、7条・8条・15 条の許可要件を満たすかどうかを事前
に判断することになります。そして、要件を満たしていない事項について、どのような条件を整えれ
ば要件を満たすのかを当該業者に対してアドバイスするなどして、要件クリアのための手助けをしま
す。例えば、建設業許可を受けるための要件基準の中には、経営業務の管理責任者は、5年または7
年以上の経営経験ある者で常勤であることという要件があります(7条1号・15 条1号)。経営経験
については、個人事業主、法人の取締役、政令使用人、執行役、執行役員、準ずる地位、外国会社に
おける経営経験と、さまざまなケースがありますので、該当者の過去の経歴をよくヒアリングする必
要があります。また、営業部に常勤している必要があるという常勤性についても、許可行政庁の判断
基準と各企業の考え方が異なる場合がありますので、事前のヒアリングと説明、そして裏付け資料の
十分な調査が必要です。
以上のように、建設業許可申請を行う行政書士は、許可申請にかかわるものだけとってみても、単
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行政書士
純な書類作成業務とは言えません。企業の状況を把握する能力、適切なアドバイスを行う能力など、
高度な能力が求められる業務と言えます。また、行政書士は、新規許可申請をきっかけに、継続して、
許可後も事業年度終了報告書の作成・提出(毎年決算終了後4ヶ月以内に提出)、役員、専任技術者等
の変更届等、その会社の建設業法関係の各種手続を行います。さらに、公共工事を受注しようとする
企業には、経営事項審査、入札指名参加申請を提案します。そして、昨今では、それにとどまらず、
建設会社との間で顧問契約を締結し、コンプライアンスの為に必要な相談・指導を継続的に行うなど、
さまざまな法的コンサルティングを行うケースも増加しています。建設業を営む会社にとって、建設
業許可はその会社の生命線であることから、建設業許可申請を行う行政書士の業務は、建設会社の経
営自体にかかわる業務とも言えます。
建設業許可申請の分野自体は、古くからあるものであり、目新しい分野ではありません。しかし、
建設業許可申請制度における現実の需要に応えるかたちで、行政書士の果たすべき役割はどんどん広が
っています。そして、現在では、単に、建設業許可申請などの書類作成や申請手続を行う存在ではな
くなっており、建設業許可申請業務を中核としながら、建設会社の経営に深くコミットする存在として、
建設業界において、なくてはならない存在となっていると言えます。
3 ニーズに応えるかたちで広がる業務
~入管(国際関係)分野の業務とその広がりを例に~
入管業務とは、一般的には、出入国管理及び難民認定法(以下入管法といいます。)に基づいて、入
国管理局へ申請する書類の作成及び申請の取次を外国人本人に代わって行政書士が行うことをいいま
す。このような入管業務は、20 年前に当時大手町にあった入国管理局で行政書士が無料相談を行い、
それにより信頼を得て、行政書士の業務となりました。いわば、行政書士が勝ち取った業務といえます。
入管業務は、具体的には、日本に入国しようとしている外国人の入国のサポート(在留資格認定証
明書交付申請)や、日本に滞在している外国人の在留資格の変更申請や期間更新申請を行い、在留中
の外国人が日本に在留することに関するさまざまなサポートを行います。
例えば、日本の大学に留学している外国人が保有している在留資格は「留学」と呼ばれるものです
が、大学を卒業してその後日本の会社に就職する場合には、「留学」 の在留資格では仕事を行うこと
はできません。その際には活動内容にあった在留資格に変更する必要があります(例えば、日本の会
社でIT技術者として働く場合は「技術」という在留資格、また、通訳として働く場合には「人文知識・
国際業務」という在留資格へ変更する必要があります。)。すなわち就労の態様に応じて変更申請する
必要があります。また、日本人と婚姻した外国人の場合には、「日本人配偶者等」という在留資格に変
更申請する必要があります。
すなわち、外国人が日本に在留するためには入管法の定める「在留資格」に必ず該当する必要があ
ります。その在留資格と在留の為の手続を定めているのが入管法です。そして日本に在留し活動する
ための身分や地位の種類である在留資格は 27 種類あります。これら入管法の知識及び申請書類の書式
は非常に複雑で、さらに、在留資格の種類も多岐にわたっており、その在留資格によって就労できる
内容が異なるため、活動内容にあった在留資格に適合するような申請である必要があります。しかし、
このような外国人の在留の制度は専門家でなければ正しく理解することは難しいと考えられ、また、
申請する主体は外国人であり言葉の壁という障害もあるため依頼人である外国人のために申請書類の
作成を行ったり、申請手続の代理を行ったりすることは外国人にとっては、日本に滞在するための手
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2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
続を行う行政書士は非常に重要な業務をおこなっています。
以下参考までに在留資格について定めた規定を挙げます。
参考)管理及び難民認定法における在留資格を定めた条文
(在留資格)
第2条の2 本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定が
ある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取
得に係る在留資格(技能実習の在留資格にあつては、別表第一の二の表の技能実習
の項の下欄に掲げる第一号イ若しくはロ又は第二号イ若しくはロの区分を含む。以
下同じ。)又はそれらの変更に係る在留資格をもつて在留するものとする。
2 在留資格は、別表第一の上欄(技能実習の在留資格にあつては、二の表の技能実習
の項の下欄に掲げる第一号イ若しくはロ又は第二号イ若しくはロの区分を含む。以
下同じ。)又は別表第二の上欄に掲げるとおりとし、別表第一の上欄の在留資格を
もつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる
活動を行うことができ、別表第二の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留
資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者
としての活動を行うことができる。
【在留資格の一覧】
在留資格
日本において行うことができる活動
該当例
外交
日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構
成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除
外国政府の大使
を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員とし
ての活動
公用
日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する 国際機関から公の用
者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
で派遣される者
教授
大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研
大学教授
究の指導又は教育をする活動
芸術
収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動
宗教
外国の宗教団体により派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上
宣教師
の活動
報道
外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動
投資・経営
貿易その他の事業の経営を開始し若しくはこれらの事業に投資して
その経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又はこれらの事業
の経営を開始した外国人若しくはこれらの事業に投資している外国 外資系企業の経営者
人に代わってその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活
動
法律・会計業務
外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が
弁護士
行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動
画家、音楽家
外国の記者、カメラ
マン
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行政書士
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医療
医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされてい
医師、看護師
る医療に係る業務に従事する活動
研究
公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動
教育
小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学
中学高校等の語学教
校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機
師
関において語学教育その他の教育をする活動
技術
公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の
プログラマー
分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動
人文知識・国際業務
公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他
の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に 通訳、デザイナー
基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
企業内転勤
本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の
職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所におい 外国事業所から転勤
て行うこの表の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げ した者
る活動
興行
演劇、演芸、演奏、スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能 俳優、プロスポーツ
活動
選手
技能
公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟
外国料理の調理師
練した技能を要する業務に従事する活動
技能実習
日本の企業において
事業所において業務に従事して行う技能、技術若しくは知識の習得
技術を習得、習熟さ
をする活動等
せる実習生
文化活動
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化
若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を 日本文化の研究者
受けてこれを修得する活動
短期滞在
短期間滞在して行う観光、保養、スポ―ツ、親族の訪問、見学、講 観光客や企業の会議
習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
参加者
留学
大学若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国におい
て 12 年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するため 大学等の学生
の教育を行う機関又は高等専門学校において教育を受ける活動
研修
公私の機関により受け入れられて行う技術、技能又は知識の修得を
研修生
する活動
家族滞在
在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行 外国人が扶養する配
う日常的な活動
偶者や子
特定活動
特定研究活動、特定研究事業活動や、法務大臣が個々の外国人につ
ワーキングホリデー
いて特に指定する活動
永住者
法務大臣が永住を認める者
日本人の配偶者等
日本人の配偶者若しくは民法 817 条の2の規定による特別養子又は
日本人の配偶者
日本人の子として出生した者
永住者の配偶者等
永住者の在留資格をもつて在留する者若しくは特別永住者の配偶者
又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留し 永住者の配偶者等
ている者
定住者
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認 日系三世、中国残留
める者
邦人
2011士業最前線レポート 行政書士編
研究者
永住許可を受けた者
第4章 広がる行政書士の業務
⑴ 行政書士が外国人在留手続に関して行う業務(申請取次制度の概要)
入国管理局に対する申請は、外国人本人が行うのが原則となります。申請する外国人の同一性と申
請の意思を確認し、申請内容に関連して不明な点があれば質問するなど、外国人の在留の適正な管理
1
のため、申請人の出頭が必要だからです。しかし、その例外として行政書士には「申請取次」の制度
が認められています。行政書士等であらかじめ入国管理局長が適当と認める者(申請取次者)は申請
人に代わって申請書等を提出することが認められています。
行政書士が取り次ぐことのできる、申請人本人の出頭が免除される手続は以下のようなものです。
・在留資格認定証明書の交付
・資格外活動の許可
・在留資格の変更許可
・在留期間の更新許可
・在留資格の変更による永住許可
・再入国の許可
など
行政書士が取り次ぎを行うことにより、外国人本人が申請を行うデメリットを解消することができ
ます。例えば、外国人本人が入国管理局へ出頭する必要があるため仕事や学業に専念できなくなった
り、また、外国人が日本の入管法を正確に把握していない場合には、申請不備の書類が提出される結果、
入国管理局の事務処理が増大し、申請窓口の混雑が予想されますが、出入国管理業務を理解し、知識
を有した申請取次者として行政書士が業務を行うことによりこれらのデメリットを解消することがで
きることになります。
⑵ 入国管理局の役割
① 出入国管理業務は、法務省の内部部局として入国管理局が設置され、また、法務省の地方支分部
局として、全国8つの地域ブロックごとに地方入国管理局、支局及び出張所が設置されています。
それぞれ法令に基づいて、出入国審査、在留審査、退去強制手続、難民の認定といった出入国管理
の様々な業務を行っています。
2
【入国管理局の組織】
法 務 省
入 国 管 理 局
(地方支分部局)
福岡入国管理局
高松入国管理局
広島入国管理局
大阪入国管理局
名古屋入国管理局
東京入国管理局
仙台入国管理局
札幌入国管理局
1 申請取次は、あくまで「取次」なので、申請人である本人に代わって申請人本人の署名欄に署名することなどはできません。
2 入国管理局HP参照
2011士業最前線レポート 行政書士編
31
行政書士
② 在留審査は主に以下の点においてなされます
・旅券が真正かつ有効であることの確認
・入管法第5条に定める上陸拒否事由(違法な活動をする者など)該当者でないこと
・申請人の活動が法務省基準省令等に合致していること
・申請人から提出された書類が適切かつ真正であること
③ 在留資格の発給が拒否される場合
・入国目的に疑義がある場合
(観光目的の申請であるのに、就労を意図しているなど)
・旅券が真正でない場合
(氏名や生年月日を改ざんしている場合など)
・提出された真正書類等が偽造、変造である場合
⑶ 外国人の入国から滞在までの手続
外国人が日本に上陸するためには、原則として日本の大使館や領事館が発給した査証の記載のある
有効な旅券(パスポート)を入国港で入国審査官に提示して上陸の申請をし、上陸許可の証印を受け
る必要があります。これが上陸手続です。その手続が迅速に行われるように、「在留資格認定証明書」
を事前に取得しておくことができます。
在留資格認定証明書とは、法務大臣が発行する証明書のことで、外国人が日本で行おうとする活動
が上陸のための条件に適合しているかどうか、法務大臣が事前に審査を行い、この条件に適合すると
認められる場合に交付されます。
この証明書をそえて外国にある日本大使館や領事館で査証発給の申請を行います。在留資格に関す
る上陸のための条件は法務大臣の事前審査を終了していると扱われるために、査証の発給審査が迅速
に行われます。
例えば、外国にいる外国人が就労のため日本へ入国するには、在留資格の取得手続をしなければな
りません。外国人を日本に呼ぶための一般的な手続が、先述した「在留資格認定証明書」の取得です。
例えば、中国料理のお店を経営するのに、中国から中国人の調理師を呼び寄せたいと考えた場合に、
中国人調理師を受け入れたい日本の企業が、日本国内で法務大臣に「在留資格認定証明書」の交付を
申請します。外国人コックの場合はさきほどの在留資格では、「技能」という査証にあてはまります。
申請後、
「在留資格認定証明書」の交付を受けたら、その証明書を中国側に送付します。受け取ったそ
の証明書を添えて、中国国内の日本の大使館や領事館に査証(一般的にビザとよばれているもの)申
3
請を行い、査証の発給を受けて、日本へ入国、上陸 し滞在するというものです。
⑷ 日本に上陸した外国人が引き続き日本に滞在する場合
その場合、査証の「更新」手続をしなければなりません。通常、査証は1年もしくは3年の期間を
区切って発行されます。ですから、在留期限の来る前に、その査証を更新する手続をする必要があり
ます。例えば、日本の企業で外国語の「通訳」として仕事をする場合には、「人文知識・国際業務」の
在留資格を取得する必要があります。在留資格には期限があり、人文知識・国際業務は「1年」か「3年」
3 入国と上陸は一般的には同じように扱われていますが、法律上は区別して使われています。
「入国」とは、日本の領海内に入ることをいいます(現実的には、日本の海岸線から 12 海里の範囲内に入ったとき)。
「上陸」とは、字義通りですが、日本の陸に上がることです。船の場合であれば、船から下りて陸に上がること。航空機の場合であれば、
上陸審査等を過ぎれば上陸となります。
32
2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
の期限です。この在留期限を過ぎると不法滞在になります。そこで、引き続き日本に滞在するためには、
在留期間の更新手続が必要となります。
⑸ 日本の国籍を取得する際のサポート業務(帰化申請)
日本で生まれ育ったり、日本人と結婚したりした外国籍の人の中には、日本の国籍取得を希望する
人もいます。そのような場合には、窓口を法務局とした帰化申請の手続が必要です。申請の際には、
本人の面接の他、帰化許可申請書や身分関係を証明する書面、履歴書、収入に関する証明書等、多く
の書類が必要になります。そこで行政書士が帰化申請をサポートするという業務が非常に重要となり
ます。
帰化に関する業務は申請先は入国管理局ではなく、法務局に対して行います。「帰化」と聞いて、外
国籍のサッカー選手が日本に帰化して日本代表としてプレイすることなど、スポーツの世界での帰化
をまず思い浮かべる方が多いと思います(サッカーでは、過去にラモス選手、闘莉王選手などが帰化
申請して日本代表としてプレイしています。)。では実際に帰化とはどのような手続で、どのような業
務なのでしょうか。
帰化に似たものに「永住」というものがあります。帰化と永住の違いは、永住は外国人であること
に変わりはなく、在留中の活動の制限はなくなりますが、日本国籍を取得するものではありません。
これに対して帰化は外国国籍を喪失して、日本国籍を取得し日本人になることをいいます。国籍法に
は「外国人は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。」(国籍法4条1項)と規定され
ています。
帰化は、法務省の法務局を経由して法務大臣の許可を得なければなりません(国籍法施行規則1条
2項)
。そして帰化に関する業務とは、帰化申請に関する書類作成業務を一般に指しています。そして、
帰化申請は入国管理局に対する申請と異なり、申請取次ぎが認められておらず、届出をしようとする
ものが自ら出頭して行う必要があります(国籍法施行規則1条3項)。 では、外国人に求められる帰化の要件にはいかなるものがあるのでしょうか。この点、国籍法に規
定があります。引き続き5年以上日本に住所を有すること。20 歳以上であること。素行が善良である
こと。自己または生計を一つにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことが
できること等です。
そして、帰化をするには様々な書類を作成して添付書類として提出しなければなりません。必要な
書類として帰化許可申請書、親族の概要を記載した書面、自筆で書いた動機書、履歴書、宣誓書、生
計の概要を記載した書面、在勤等の証明書、居宅や勤務先の略図、本国の身分関係を証する書面、外
国人の登録原票記載事項証明書、納税証明書、家族のスナップ写真、卒業証明書等です。なお、特別
永住者の方は、帰化の動機書、卒業証明書は不要となっています。
これらの書類を外国人本人がそろえるのは非常に手間と時間がかかりますので、行政書士はこれら
の書類作成のサポートを行うことになります。そして、法務局にこれらの書類を申請する際に、行政
書士等の同席を認められていないので、申請書類を作成した後には、帰化申請者である外国人と事前
に十分な打ち合わせをしておく必要があります。
さらに、平成 23 年3月に策定された「第4次出入国管理基本計画」(外国人の入国・在留の管理に
関する施策の基本となるべき計画であり、①入国・在留する外国人の状況、②外国人の入国・在留管
理の指針、③その他の施策を法務大臣が定める計画。)では、当面5年の期間を想定し、我が国の社会
が活力を維持しつつ持続的に発展するとともに、アジア地域の活力を取り込んでいくとの観点から、
積極的な外国人の受入れ施策を推進していくという方針を打ち出しています。したがって今後は日本
2011 士業最前線レポート 行政書士編
33
行政書士
に入国する外国人も増えることが予想され、その点でも行政書士の業務範囲は広がりをみせることに
なるでしょう。
以上のように外国人に関する業務としては日本に在住する外国人のトータルサポートが行政書士業
務の範囲となっています。
平成 22 年の国籍・地域別外国人の入国者数
※法務省入国管理局パンフレット「出入国管理」より
入国者総数
入国者総数
約 940 万人
(内訳) 韓国
約 268 万人
28.5%
中国
約 166 万人
17.6%
中国(台湾)
約 131 万人
13.9%
米国
約 75 万人
8%
中国(香港)
約 48 万人
5.1%
※以後、タイ、オーストラリア、英国、フィリピンと続く。
34
%
2011士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
4 時代のニーズを先取りするようなかたちで広がる業務
~中小企業支援・知財分野・成年後見などを例に~
⑴ 中小企業の知的資産経営サポート業務
知的資産とは、企業が有する人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等、財務諸表
には表すことのできない、表れない、目に見えない資産のことです。これは、特許やノウハウなどの
知的財産だけを意味するものではありません。組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資
産を総称する幅広く含む概念です。
近年、企業の競争力の源泉となっている知的資産を認識し、有効に組み合わせて活用していくこと
を通じて収益につなげる経営、すなわち知的資産経営の重要性が言われています。そして、この知的
資産経営を行おうとする中小企業をサポートする業務が、行政書士の新規業務分野として注目されて
います。
知的資産経営は、①知的資産に基づく会社の強みを整理し(知的資産経営の棚卸)、②自社の強みが
どのように収益につながっているかを関連付け、管理指標を特定し(管理指標の特定)、③管理目標を
特定して経営を行い(知的資産経営の実践)、④この価値創造プロセスを文書化を行い(知的資産経営
報告書の作成)
、⑤それをステークホルダーに目的に応じて戦略的に開示するという過程を踏みます。
行政書士は、中小企業がこの知的資産経営の①~③の過程を踏む手助けをまず行います。そのうえで、
知的資産経営報告書の作成を行います(④)。さらに、作成した知的資産経営報告書を、各種財務報告
書とともにステークホルダーに対して戦略的に開示し、企業が、新たな取引先を確保したり、金融機
関からの融資を獲得したりすることを狙い際の手助けをします(⑤のサポート活動)。
行政書士は、権利義務あるいは事実証明にかかわる書類作成を業としており、知的資産経営報告書
の作成は、まさにこの書類作成に当たります。行政書士が有している法的知見の能力は、文書化のノ
ウハウを活かして、知的資産経営報告書の作成を行うのです。そして、この知的資産経営報告書の作
成の前提として、行政書士は、当該企業の知的資産の棚卸が的確に行い、知的資産と収益のつながり
を正しく把握していなければなりません。その上で、知的資産と収益につながりをより強くするため
の助言も行います。知的資産経営サポートを行う行政書士は、知的資産経営がうまく行われているか
どうかという観点から、会社経営に対するコンサルティング業務を行うことになります。
行政書士は、建設業許認可申請分野に見られるように、会社の根幹にかかわる許認可申請業務を通
して、中小企業を中心に、会社の経営コンサルティング的業務を行ってきていました。しかし、この
知的資産経営サポート業務における、経営コンサルティング的業務の特殊なところは、知的資産経営
報告書の作成という書類作成業務は、業務のごく一局面に過ぎず、むしろ、中小企業の知的資産経営
の全過程(前述①~⑤の全過程)のすべてにコミットし、会社経営をサポートするという、より広い
意味での経営コンサルティング業務を行っているところにあると言えます。その意味で、これまでと
は違った新しい行政書士の業務分野と言えます。
⑵ 中小企業の事業承継業務への行政書士の進出
昨今、中小企業の経営者の平均年齢が上がってきており、事業承継対策が現実的になってきている
中小企業が多いという現状があります。この中小企業の事業承継業務が行政書士の業務分野となって
きています。
建設業、運送業、飲食業など許認可事業に関しては、もともと法令で許認可申請の際に、責任者を
2011 士業最前線レポート 行政書士編
35
行政書士
申請しています。したがって、手続を適切に行わなければ、許可の効力を失ったり、許認可が得られず、
結果、事業承継に失敗するような事態も考えられます。許認可関係の法令に通じている行政書士が必
要不可欠と言えます。また、事業資産の相続のみならず事業そのものを継続させることが目的である
事業承継は親族の内外を問わず後継者候補に会社業務を理解してもらうことが必要な場合が多いと言
えます。そのため、遺言・相続などの法制度に精通しているだけでなく、普段から、企業の内情に精
通している行政書士が必要となるのです。
実際に、事業承継に当たって行政書士が行う業務は、経営承継に伴う許認可・承認、届出手続にと
どまらず、事業承継の計画を立てる段階から関与し、経営承継に伴う実施計画書を作成したり、経営
承継後に備えた定款や経営承継に伴う事業譲渡、合併、分割等にかかわる契約書等の作成などその業
務も多岐にわたります。これを行うためには、幅広い専門的能力と相当の時間が必要です。さらに、
事業承継自体、企業の長期経営計画の側面も有していることから、企業経営コンサルティングの側面
を有しています。近年広がっている行政書士の新しい業務分野と言えます。
⑶ 知的財産分野への行政書士の進出
行政書士の知的財産業務(知財業務)として、まず挙げられるのは、文化庁への著作権登録申請手
続です。業として行う場合には、行政書士の独占業務です。この他、行政書士は、著作権に関する契
約書作成業務にかかわっています。
著作権における登録制度は、権利発生のためではなく(著作権自体は創作すれば自然に権利が発生
する)
、取引の安全や事実関係の公示を目的とする制度です。したがって、あまり利用されていないの
で、行政書士の業務として、現在ではあまり重要なものではありません。
むしろ近年拡大してきている業務分野は、著作権に関する使用許諾契約書の作成業務です。書籍、
映像、写真、ソフトウエア、イラスト、漫画、工業デザイン、音楽など使用許諾契約書の対象となる
著作物は多岐にわたっています。また、使用場面も、Web コンテンツ、携帯電話コンテンツ、スマー
トフォンアプリケーションなど、やはり多岐にわたってきています。
事案の性格上、これまで前例のない契約も多く、一から契約書を作る必要があります。著作物の性格
やその利用場面などに関して情報収集を行い、的確な契約書を作成することが要求されます。また、近
年はデジタルコンテンツが急速に進歩してきており、デジタルコンテンツをとりまくさまざまな知識も
身につけなければなりません。そういう意味で、今後も広がっていく業務分野と言えます。
⑷ 成年後見分野への行政書士の進出
成年後見制度とは、認知症、知的障害などによって物事を判断する能力の十分でない方について、
本人の権利能力を守る者を選任し本人を法的に支援する制度として、2000 年4月の民法改正によって
できた制度です。成年後見人等に望まれるのは、成年後見人等としての自らの役割と立場、取るべき
態度を常に自制する自己規制です。成年後見人が本人の意思を無視するような行動をとれば、本人の
生活と権利を擁護するどころか、権利侵害にもなりかねません。しかし、逆に必要なときにしっかり
と支援しなければ、本人を保護することはできなくなります。後見人として、自己規制をしていくこ
とが、判断能力の低下した者への援助にあたる成年後見人等にとって、必要不可欠な基本態度となり
ます。
成年後見には、大きく分けて2種類あります。判断能力が不十分になる前に、あらかじめ誰にどの
ような支援をしてもらうかを契約により決めておく制度(任意後見)と、判断能力が不十分になって
から成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を家庭裁判所の審判によって選任する制度(法定後見)
36
2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
です。本人の判断能力の低下の度合いに応じて,「後見」「保佐」「補助」の3つの類型にわかれていま
す。いずれも、判断能力が十分でない方の日常生活を、本人の意思を最大限尊重しながら支援してい
く制度です。
法定後見の場合、後見人の選任は家庭裁判所が審判により最も適任だと思われる方を選任します。
本人の親族等が選任されることが多いのですが、後見人には財産管理等の法律行為を行うことが求め
られるので、法的な知識をもったものが選任される方がよい場合があります。また、親族等のいない
場合や親族と疎遠となっている者もおり、親族が後見人になることができない場合などの場合(本人
に親族がいないときには、市区町村長が申立てを行う制度があります。)、第三者後見として行政書士
が後見人に就任するケースが増えているのが現状です。
⒜ 成年後見人の役割について
ア 法定後見制度
成年後見人等の役割は、本人の意思を尊重し、さらに本人の心身の状態や生活状況に配慮し
ながら、本人に代わって財産管理をしたり本人に必要な契約を代わって結んだりして、本人を
保護、支援します。すなわち、成年後見人の仕事は本人の財産管理や法律行為に関するものに
限られており、食事の世話や実際の介護などは成年後見人の仕事ではありません。例えば、本
人が病院に通院するという場合、本人を病院に車で連れて行くことは成年後見人の仕事ではあ
りません。後見人はかかった医療費の支払いを本人に代わって行うことがその役割となります。
また、後見人は本人の利益のために、本人の財産を適切に維持し管理する義務を負っていま
すので、本人の財産を投機的に運用することや自らのために使用すること、遺産分割協議の際
に法定相続分を下回る相続を承認するなどは原則として認められません。
選任されてからの具体的な仕事は、本人の財産目録を作り、今後の予定(本人の意向に沿う
ような形の支援や財産管理や介護、入院、債務があれば弁済するなど)を立てます。また、本
人の預金通帳などを管理し、収入や支出の記録を残します。また財産が大きくあれば、銀行の
貸し金庫などを借りて保管するなども必要となります。さらに、家庭裁判所に対して行った仕
事の報告を行い必要な指示等があればその指示を受けます。
以下で、法定後見をもう少し詳しく見て行きましょう。
①後見
後見は、精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者を保護するため、本人に成年後見
人を付する制度です。本人が自ら行った法律行為に関しては、日常生活に関するものを除いて、
取り消すことができます。また、成年後見人は、本人の財産を管理しその財産に関するすべて
の法律行為を代理します。
本人が自ら行った法律行為は、取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他の日
常生活に関する行為については取消を行うことはできません。本人の「自己決定の尊重」及び
「ノーマライゼーションの理念(障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるような社会を
作るという理念)」から、法律はそこまでは介入しないで、日常生活に関する行為については取
り消すことができないとしたものです。また、身分行為(婚姻、認知、嫡出認否等)等の一身
専属的な行為も、取消権の対象とはなりません。
②保佐
保佐は、精神上の障害によって判断能力が著しく不十分な者を保護するため、本人に保佐人
を付する制度です。本人が自ら行った重要な法律行為(民法 13 条1項各号)に関しては、取り
2011 士業最前線レポート 行政書士編
37
行政書士
消すことができます。
また、家庭裁判所は、保佐人に対して、申立権者の申立てにより、特定の法律行為について、
代理権を与えることができます。
民法 13 条1項各号の規定する「同意」を要する行為とは、例えば、①元本の領収、又は利用
すること。「元本の領収」とは、利息、家賃、地代が生じる財産を受領することや預貯金の払戻
しや弁済金の受領をいいます。「元本の利用」とは、法定果実の取得を目的とした、利息付金銭
消費貸借による金銭の貸付け、不動産の賃貸等です。②借財又は保証をすること。「借財」とは、
消費貸借契約により金銭を借り受けること、「保証」とは、借入金債務の保証人として保証債務
を負担すること等です。③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をす
ること。売買、用益物権又は担保物権の設定、賃貸借契約・使用貸借契約の締結及び解除、雇
傭契約、委任契約、寄託契約、介護契約、施設入所契約等です。
③補助
補助は精神上の障害によって判断能力が不十分な者を保護するため、本人に補助人を付する
制度です。補助人には、申立権者の申立てにより、特定の法律行為について、同意権又は代理
権若しくはその両方を付与することができます。
④法定後見制度を利用するにあたって
本人の状況から、財産管理を必要とするのか、身上監護(施設の入所契約や介護に関する契
約等)を必要とするのか、あるいは、その両方を必要とするのか等を把握する必要があります。
法定後見制度の利用を希望する理由は、認知症の進行、遺産分割の必要性等、様々なケースが
あります。本人以外にも、親族や施設関係者等からも要請があると考えられます。そのため、
相談者がどのような実情で利用を希望するのか確認する必要があり、行政書士はその本人の状
況を正確に把握することから業務が始まります。
なお、法定後見開始の審判(後見開始の審判、保佐開始の審判、補助開始の審判)の申立てには、
医師の診断書が必要となります。
⑤成年後見人等の報酬
家庭裁判所の許可なしに、本人の財産から報酬を受けることは認められていません。報酬は
1年間成年後見人等として仕事を行った後、後見人の仕事量や本人の財産などを総合的に加味
して家庭裁判所が報酬額を決定します(報酬付与の審判といいます)。
イ 任意後見
任意後見制度とは、あらかじめ任意後見契約を締結しておくものです。そして委任者が受任
者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になった場合の生活、療養
看護及び財産管理に関する事務の全部または一部を委託し、その委託した事務について、受任
者に代理権を付与する制度です。任意後見制度は、判断能力が低下した段階で、場合によって
は広汎な権限を与えるものであるため、適正な運用が図れるよう厳格な手続が必要です。そこで、
適法かつ有効な契約の締結を担保する等の観点から、任意後見契約は公証人の作成する公正証
書によって行うことが求められます。
また、任意後見契約は締結した段階では効力が発生せず、本人の判断能力が低下した段階で、
家庭裁判所において任意後見人を監督する者(任意後見監督人)が選任されることによって、
効力が生じます。つまり任意後見監督人が選任された時点で、任意後見受任者は任意後見人と
なり、任意後見人の職務が開始されます。
一方、任意後見監督人の職務は、任意後見人が契約どおりに後見事務を行っているかどうか
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2011 士業最前線レポート 行政書士編
第4章 広がる行政書士の業務
を監督することがその職務となります。
法定後見制度では後見監督人の選任は任意ですが、任意後見制度では必ず選任されることに
なります。
任意後見制度は、将来、判断能力が不十分な状態になったときに備えて、本人に十分な判断
能力があるうちに、事前に自らが選んだ代理人に自分の生活、療養看護や財産管理に関する事
務について代理権を与える契約を公正証書によって結んでおくものです。ですから、自分の信
頼できる方に後見人を依頼できるというメリットがあります。
⒝ 行政書士の成年後見に対する役割と期待
街の法律家として行政書士が地域の福祉に参画し社会貢献をすることは非常に重要です。また、
行政書士は地域偏在が少ないといわれており、地域密着度の高い行政書士は、その地域に積極的
に関わることが期待されます。
⒞ 成年後見関係事件の概況~平成 22 年 最高裁判所事務総局家庭局より~
成年後見関係の申立件数は、平成 19 年は 24,727 件で、平成 22 年では、30,079 件で対前年比 9.8
%の増加となっており、年々増加していることがわかります。また、申立ての動機としては、財
産管理処分が最も多く、次いで身上看護(医療や介護等に関する契約)となっています。成年後
見人等と本人との関係をみると配偶者、親、子、兄弟姉妹、その他の親族が成年後見人等に選任
されたものが全体の 58.6%を占めています。
親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは全体の約 41.4%、であり、その内訳は弁
護士が 2,918 件、司法書士が 4,460 件、社会福祉士が 2,553 件といずれも対前年比で増加傾向とな
っています。しかし、この統計に行政書士は登場しておらず、「その他」の受任者の中に行政書士
の受任件数が含まれていることになります。
以上の統計からわかるように成年後見の申立て件数と第三者後見は増加傾向にあり、行政書士
が受任する機会も今後は一層増加することが予想されます。
しかし、行政書士は統計の中に登場しておらず、成年後見分野への取り組みが他の士業と比べ
て遅れた感が否めない状態ではあります。
⒟ 成年後見に対する行政書士の取り組み
成年後見への取り組みは、神奈川県行政書士会が NPO 法人神奈川成年後見サポートセンターを
設立し、早くから取り組んだ結果、家庭裁判所から成年後見として選任された実績を残していま
す(約 700 件)
。しかし、これらの活動は各地域の単位会ごとの取り組みになっており、全国一律
の行政書士としての取り組みはなされていない状態でした。しかし、先述したように、行政書士
は全国に偏ることなく存在し、地域密着度も高い士業であるので成年後見人として期待される面
が大きいと考えられています。そこで、日本行政書士会連合会が中心となって、平成 22 年8月4
日に一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターを設立しました。そして平成 22 年 10 月 29
日には理事長、専務理事が最高裁判所事務総局家庭局を訪問し日本行政書士会連合会が母体とな
って本法人を設立したこと、設立の趣旨、研修内容等の概略を説明しています。
このような形で、全国的な取り組みとして一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターの
支部を全国に設置し全国的な活動にしていくことが予想されており、他の士業と比較してフットワ
ークの軽い行政書士が成年後見分野でも、今後の活動の範囲を広げていくことが望まれています。
2011 士業最前線レポート 行政書士編
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行政書士
平成 23 年7月 31 日現在で、10 の府県で支部が設立され、会員数は 448 名(入会 456 名、退会8
名)
、会員の成年後見人等受任件数は、平成 23 年7月1日現在 108 件となっております。
また、後見人に就任するのが親族である場合には、本人の財産を自分の財産であるかのように
浪費してしまう事例が発生しており、本人とは、親族関係のない第三者が後見人に就任するのが
望ましいと考えられてきており、その点でも行政書士が後見人に就任する機会が増えることも予
想されます。
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2011 士業最前線レポート 行政書士編
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