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ワイヤレス・パワー伝送システム におけるeGaN® FET

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ワイヤレス・パワー伝送システム におけるeGaN® FET
ホワイト・ペーパー:WP014
ワイヤレス・パワー伝送システムにおけるeGaN® FET
ワイヤレス・パワー伝送システム
におけるeGaN® FET
EFFICIENT POWER CONVERSION
Alex Lidow博士、CEO(最高経営責任者)、Michael de Rooij博士、アプリケーション・エンジニアリング部門エグゼクティブ・ディレクタ
はじめに
無線エネルギー伝送の人気は、ここ数年にわたって高まっており、特に携帯機器の充電を目的とするアプリケーション向けが沸いています。この記事
では、6.78 MHzまたは13.56 MHzの無免許のISM(Industrial, Scientific and Medical)帯 [2] で動作し、A4WP規格 [1] に適した疎結合されたコイルの高共鳴ワイヤレ
ス・ソリューションに焦点を当てます。
無線エネルギー伝送のソリューションの多くは、低プロファイル、高効率で、動作条件の変動に対して丈夫、場合によっては軽量といった機能を必要
とする携帯機器の充電を対象にしています。これらの要件は、高効率で、しかも大型ヒートシンクなしで動作できるようにする設計と言い換えること
ができます。さらに、この設計は、結合や負荷変動の広い範囲にわたって動作することができなければなりません。電圧モードのD級、電流モードのD
級、E級のようないくつかのアンプ構成が考えられます。E級は、非常に高い変換効率で動作することができるので、多くの無線エネルギー・ソリュー
ションの選択肢となっています。
eGaN®[FETは、すでに、電圧モードのD級構成を用いた無線エネルギー伝送への応用で実証されています[[3、4]。そして、最大4パーセント・ポイント
も高いピーク変換効率によって、同等のMOSFETを利用するシステムと比べて優れた特性が示されました。この設計では、12[W以上の出力電力レベル
において、スイッチング・デバイスとゲート・ドライバを冷却するためにヒートシンクが必要でした。加えて、伝統的な電圧モードのD級構成では、
共振コイルがアンプに対して誘導性となる共振以上で動作しなければなりません。これは、アンプがZVSモードで動作することを可能にし、ZCSモード
での動作とは対照的に、デバイスでの大きな損失につながるデバイスの出力容量COSSに対処することが必要です。共振以上でコイルを動作させること
は、コイルの伝送効率の低下、および、無効エネルギーの存在による整合用コイルに関連する大きな損失という代償を払うことになります。
eGaN®[FETは、13.56[MHzで動作すると同時に、最大電力で25.6[Wを負荷に供給で
きるE級構成がChen氏らによって実証されています[[5]。無線エネルギー伝送シ
ステムは、高いQ値の共振を確実にする非常に大きな負荷抵抗(350[Ω)で動作
し、システム効率は、ゲートの消費電力を含めて、測定で73.4%でした。この例
のシャント・コンデンサは、実験のセットアップで使われたデバイスEPC1010に
完全に組み込まれています。つまり、部品点数を少なくしたままでした。
C devs
Lsrc
L devs
L dev
C out
C devp
R DCLoad
コイル・セット
Coil Set
コイルと負荷の単純化
図1に示すように、議論と設計の評価を単純化するために、コイルのセット、デ
バイスの整合、整流器と負荷は、単一のリアクタンス素子(ZLoad)にまとめら
れます。
Z Load
図1 コイル全体のシステムと直流負荷の1つの素
子への単純化
今後のすべての設計や議論は、この1つの素子を利用します。これによって、同等
の負荷条件の下で、さまざまな回路構成の間で同等の比較が可能になります。
E級無線エネルギー伝送
無線エネルギー伝送システムのための理想的なシングル・エンドのE級回路を図
2に示します。この回路で、Csは、アンプに対してコイル回路の実数部だけを生
成するZLoadのリアクタンス成分を共振させるために使われます。
E級アンプの設計と動作は、文献 [6、7、8] に詳しく説明されています。整合回
路網は、ゼロ電圧とゼロ電流のスイッチングのために必要な条件を設定するた
めに、特定の負荷インピーダンスで設計されています。
EPC:GaN 技術のリーダー | WWW.EPC-CO.COM/EPC/JP/ | COPYRIGHT 2016 |
VDD
+
Le
L RFck
Q1
Csh
V/I
Cs
3.56 x V DD
VDS
ID
Z Load
50%
理想的な波形
時間
図2 理想的な波形を備えたE級アンプ
Figure 2. Class-E amplifier with ideal waveforms.
| 1
ワイヤレス・パワー伝送システムにおけるeGaN® FET
ホワイト・ペーパー:WP014
無線エネルギー伝送向けのE級構成を採用することは、コイルに関する詳しい知識と、アンプから見たインピーダンスに負荷がどのように影響を与え
るかの知識が必要です。この設計は、給電コイルと受電コイルとの間の結合、および、負荷の電力需要の変動によって、さらに複雑になります。これ
は、通信ベースの設計において通常は存在しないアンプから見たインピーダンスの変動を導入することになります。アンプ特性に対するこれらの変動
と影響は、E級の設計において考慮される必要があり、この変動が外部の特定のパラメータに影響するなら、特に、デバイスの大きな損失を生じやすく
なります。コイルのセットを調整するために使われた直流負荷の抵抗値に応じて、直流負荷抵抗を変えることで、ZLoadの調整されたリアクタンスを容
量性または誘導性のいずれかにシフトするようにすることができます。
E級アンプの設計
無線E級アンプは、無限のQL値に基づいて設計されました [9]。コイルの間隔と負荷は、信号源インピーダンスの変動を排除するために固定されまし
た。この設計は、以下のコイルに30 Wを供給できます:20.2Ωの直流負荷に対するコイルのインピーダンスZLoad = 14.7Ωと、直列接続された3.1 µHです。
このコイルは、178 pFの直列コンデンサ(Cs)を使って6.78 MHzに同調された結果、アンプから見て、わずか14.7 Ωの実数になります。
14.7 Ωに30 Wを供給するために、E級アンプは、シャント・コンデンサ
(Csh)と110[Vのデバイスのドレイン-ソース間電圧(VDS)にかかるピ
ーク電圧31[Vの電源で動作しなければなりません。この設計には、293[pFの
シャント容量が必要とされ、選択された任意のデバイスは、電荷の値
が等しいか、または低い電荷の容量COSSQでなければなりません。同等
の電荷の容量COSSQは、以下2つのパラメータから決定されなければなり
ません。(1)選択されたデバイスのドレイン-ソース間電圧の関数と
してのCOSSと、(2)デバイスに加わるRMS電圧の2つです。この設計で
は、RMS電圧は78 Vでした。EPC2012 [10] を選択すると、VDSの定格は
200 V、78 Vでの電荷が同等のCOSSは126 pF、したがって、不足分の167
pFの設計を完成するためには、追加の容量が必要で、それがCshです。
最後に、外付けのインダクタンスLeは390 nHと計算できます。
ゲート・ドライバ
eGaN FET EPC2012
シャント・コンデンサCsh
外付けコイルLe
コイルの接続
RFチョークLRFck
図3 E級eGaN FETの実験装置
RFチョークの選択は、要求されたリップルの仕様と最小インピーダン
スの回路への影響に基づいています。この設計例では、150[µHが選択
され、より小さな値も、特性の低下なしに使うことができます。
Cs = 178 pF
Le = 390 nH
Csh = 167 pF
LRFck = 150 µH
Q1 = EPC2012
この設計の分析は、デバイス損失が全負荷条件で250[mW程度であるこ
とが予想されます。これは、ヒートシンクを必要とせずに動作させる
ために、十分に低い値です。
6.87 MHz、20.2 Ω 負荷
84
EPC2012
82
80
効率 (%)
E級の設計をまとめると次のようになります。 FDMC86248
78
76
eGaN FET
MOSFET
74
72
70
0
E級システムの実験による特性
実験用のE級アンプは、RDCLoad = 20.2 Ωに設定した負荷基板において、
米WiTricity社のコイル・セット [11] と整流器に接続することで構成し
ました。アンプ基板を図3に示します(コイル・セットなし)。アダプ
タ基板は、外付けインダクタンス(Le)とコイル・セットとをインタフ
ェースするように設計しました。これは、同じコイル・セットを再調
整せずに他のアンプで使うことができ、これも図3に示されています。
5
10
15
出力電力 (W)
20
25
30
図4 E級の効率測定の結果
LM5113TM
E級アンプの特性を適切に評価するために、デバイスのCOSSが整合回路
で使われたことを考えると、ゲートのために必要な電力も、特性評価
に含めなければなりません。さらに、これは、アンプのMOSFETのバー
ジョンに対する公平な比較を可能にします。
eGaN FETの実験基板の効率は、アンプへの入力電圧を変化させることに
よって、出力電力の関数として測定されます。これを図4に示します。
このテスト中は、この基板を6.78 MHzで動作させました。
EPC2012
図5 RDCLoad = 20.2Ω、VIN = 28 V、POUT= 30 WにおけるE級の熱特性
EPC:GaN 技術のリーダー | WWW.EPC-CO.COM/EPC/JP/ | COPYRIGHT 2016 |
Figure 5. Class-E Thermal performance with
RDCload = 20.2 Ω, VIN = 28 V, POUT = 30 W.
| 2
ワイヤレス・パワー伝送システムにおけるeGaN® FET
負荷変動に対するE級の感度
400
200
0
EPC2012
BVDSS = 200 V
Q OSS = 11.6 nC
Q G = 1.5 nC
R DS(on) = 70 mΩ
FDMC86248
BVDSS = 150 V
Q OSS = 13.2 nC
Q G= 3.7 nC
R DS(on) = 89 mΩ
Figure 6. Soft Switching Figure of Merit comparison for the class-E Amplifier.
コイルは容量性になる
コイルは誘導性になる
VDCin = 20 V
82
15.0
80
14.5
78
14.0
76
13.5
EPC2012
74
13.0
Pout EPC2012
12.5
72
12.0
70
10
15
20
25
30
35
直流負荷抵抗(Ω)
40
45
50
図7 直流負荷抵抗を関数としたときのeGaN[FET
を使うE級システムの実験結果
V DD
+
CS
Q2
V/I
V DD
VDS
ID
L ZVS
ZVS電圧モードのD級無線エネルギー伝送
このセクションでは、伝統的な電圧モードD級のゼロ電圧スイッチン
グ(ZVS)の変形を紹介します。理想的な電圧モードD級アンプは、
負荷ZLoadを駆動するハーフブリッジで構成されています。負荷がCsで
同調されなければならないので、このコンデンサは、アンプの出力に
現れる平均直流電圧を阻止することにも役立ちます。電圧モードのD
FDMC86248
BVDSS = 150 V
Q OSS = 13.2 nC
Q G = 6.4 nC
R DS(on) = 69 mΩ
図6 E級アンプのソフト・スイッチングの性能指数の比較
疎結合の無線エネルギー伝送システムは、負荷の電力需要が変動し、
給電ユニットと受電ユニットとの間の結合が変化するような大きな負
荷変動で動作します。これらの変動は、特定の負荷条件で調整された
アンプに見られるように、コイルのインピーダンス(ZLoad)の変化を
引き起こし、ZLoadの抵抗成分を大きく変化させることに加えて、誘導
性から容量性へとシフトすることもあります。これらの変化は、ワイ
ヤレス・パワー・システムを設計するときに理解され、考慮されなけ
ればなりません。最も重要なことは、これらの変化がデバイスの消費
電力に与える影響です。
アンプへの電源電圧を一定に維持しながら、直流負荷抵抗(RDCLoad)
を変化させた状態で、E級システムをテストしました。図7は、eGaN[FET
を使った場合の直流負荷抵抗を関数としたときのシステム効率の実験
結果です。設計点(この例では20.2[Ω)以下では、効率は負荷抵抗の
減少に伴って急速に低下することが分かります。この状態は、デバイ
スによる負荷電流需要の増加に相当します。直流負荷抵抗の関数とし
て、対応する出力電力も図7にしてあります。
VGS = 10 V
600
出力(W)
出力電荷を比較すると、この差は、さらに小さくなります。しかし、
eGaN[FETは、同じRDS(on)に対して、出力電荷がまだ小さく、MOSFET
よりも電圧定格が大きくなっています。これによって、E級アンプ
は、MOSFETよりも高い電圧で動作することが可能になり、結果とし
て、大きな出力電力が得られます。ゲート電圧6[Vで、MOSFETベース
のアンプを動作させることは、ゲート電荷の性能指数が半分にもかか
わらず、ゲート電圧10 Vでの特性よりも低下します。図4は、ゲート電
圧10 Vで動作するMOSFETベースのE級アンプの特性を示しています。
800
FOM (nC·mΩ)
COSSが整合回路網に含まれていることを考えると、eGaN[FETまたは
MOSFETを使ったE級アンプの特性を比較する方法について多くの質
問がありました。その質問に答えるための最初のステップは、ソフ
ト・スイッチングの性能指数(FoMSS)を見ることです[[12]。図6
は、eGaN[FETのEPC2012 [10] とMOSFETのFDMC86248 [13] の間のソ
フト・スイッチングの性能指数です。この比較は、MOSFETに対して2
種類のゲート電圧の動作条件、すなわち6 Vおよび10 Vで実施されまし
た。これは、eGaN[FETとMOSFETの両方に同じゲート・ドライバを使
用した回路の特性比較を可能にします。図6から、eGaN[FETではゲー
ト電荷が非常に小さいことが分かります。ゲートの電力は、アンプに
よって処理される全電力のかなりの部分なので、低電力コンバータに
は重要な考察です。
Q OSS ·R DS(on)
Q G ·R DS(on)
1000
効率(%)
周囲温度25℃で動作しているとき、ゲート・ドライバとeGaN[FETの温
度は両方とも50℃未満に完全に維持しており、ヒートシンクや強制空
冷は、このテストには使いませんでした。
VDS = 100 V
1200
VGS = 6 V
図5は、20.2Ωの負荷に30 Wを供給する実験回路で動作するeGaN FETの熱
特性です。
VGS = 5 V
ホワイト・ペーパー:WP014
Q1
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C ZVS
ZVSタンク
Z Load
50%
時間
理想的な波形
図8 理想的な波形のZVSのD級アンプ
| 3
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ホワイト・ペーパー:WP014
級は、デバイスの出力容量による大きな損失を招くので、わずかに誘導性になるように調整された負荷で動作させる必要があります。そして、出力イ
ンダクタンスは、出力電圧を自己転流させ、ゼロ電圧スイッチングに必要な条件を提供しています。しかし、負荷を誘導性に調整すると、コイルとア
ンプの間のエネルギー循環の増加によるコイルの伝送効率の低下によって、コイル・セットの共振周波数のシフトが起こります。従来の電圧モードD級
アンプに対するZVSの変形が図8です。この構成では、ZVSタンク回路は、無負荷のバック・コンバータとして動作するアンプの出力に付加されます。
ZVSタンク回路は、共振状態で動作せず、単に、オフ時に出力電圧の自己転流に必要な負のデバイス電流を供給するだけです。容量CZVSは、リップル電
圧成分を非常に小さくするように選択され、多くの無線エネルギー伝送の用途では、約1[µFが一般的です。インダクタンスLZVSの値は、動作電圧VDD、
デバイスのCOSS、遷移時の電圧スルー・レート、同調された負荷インピーダンス(Cs + ZLoad)のシフトのために必要な耐性に依存します。以下の式を使
って計算することができます:
ここで
L ZVS
∆tvt
=
8 ⋅ fSW ⋅ COSSQ
Δtvt = 電圧遷移時間 [s]
(1)
fsw = 動作周波数 [Hz]
COSSQ = 電荷が同等のデバイスの出力容量 [F]
電源電圧VDDは、すでに電圧の遷移時間に含まれているので、式の中に存在しないことに注意してください。すなわち、電圧が2倍になれば遷移時間も
そうなります。負荷インピーダンスのシフトに対する耐性マージンを大きくするには、デバイスのオフ時の電流を増加させるために、LZVSの値を小さく
することができます。標準的な電圧遷移時間は、2 nsから15 nsの範囲で、アプリケーションに依存します。この遷移時間も、負荷のための十分な電圧を
確保するために、できるだけ短く保つべきです。
ZVSの電圧モードD級アンプの設計
LM5113TM
ZVSの電圧モードD級無線アンプは、E級の例と同じコイル・セット
で設計されました。この設計では、以下のコイルに30[Wを供給しま
した。すなわち、コイルのインピーダンスZLoad[=[23.6[Ω、直流負荷[=
12.6[Ω、そして直列に3.1[µHです。このコイルは、176[pFの直列コンデ
ンサ(CS)を使って6.78[MHzに同調され、この結果、アンプには単に実
数の12.6[Ωにみえます。
eGaN FET の EPC8009
ZVSのコンデンサCZVS
12.6[Ωに30[Wを供給するために、ZVSのD級アンプは、電源電圧40[Vで
動作する必要があります。スイッチング素子は、余裕を持って、少な
くとも50[Vのドレイン-ソース間の定格電圧(VDS)を備えている必要
があります。電荷が同等の容量COSSQは、2つのパラメータから決定さ
れなければなりません。(1)選択されたデバイスのドレイン-ソース
間電圧の関数としてのCOSS、および、(2)デバイスに加わる電源電
圧です。このデモ設計については、VDSの定格が65[V、40[Vのときの電
荷COSSQが同等の44.8[pFであるEPC8009[[14][を選択しました。インダ
クタンスを正しく計算するために、両方のデバイスの出力容量を加算
しなければなりません。遷移時間の約1.6[nsに対して、式(1)を使っ
て、ZVSタンク回路のインダクタンスを計算すると500 nHになります。
Cs = 176 pF
LZVS = 500 nH
CZVS = 1 µF
Q1, Q2 = EPC8009
設計の解析では、ヒートシンクを必要とせずに動作させるための十分
に低い全負荷条件の下で、デバイスの損失は、デバイス1個当たり約
148 mWと予測しています。
コイル接続
図9 ZVSのD級の実験用セットアップ
6.78 MHz, 23.6 Ω 負荷
84
82
EPC8009
80
効率(%)
ZVSのD級設計をまとめると: ZVSのコイルLZVS
78
ゲート·ドライバの熱の制限
76
FDMC8622
74
ZVSのD級システムの実験による特性
72
実験用のZVSのD級アンプは、E級の例で使っているものと同じコイル
と、負荷基板を備えた整流器に接続して構成し、RDCLoad = 23.6 Ωに設定
しました。アンプ基板を図9に示します(コイル・セットなし)。
70
68
0
eGaN[FETの実験基板の効率は、アンプへの入力電圧を変化させることに
よって、出力電力の関数として測定されます。これを図10に示します。
EPC:GaN 技術のリーダー | WWW.EPC-CO.COM/EPC/JP/ | COPYRIGHT 2016 |
5
10
15
20
出力電力(W)
25
35
45
図10 ZVSのD級の結果
| 4
ワイヤレス・パワー伝送システムにおけるeGaN® FET
ホワイト・ペーパー:WP014
図11 は、23.6 Ωの負荷に36.4 Wを供給する実験回路で動作する
eGaN FETの熱特性です。
LM5113
ゲート・ドライバとFETの動作温度は、周囲温度25℃のとき
に、両方とも70℃未満です。ヒートシンクも強制空冷も、この
テストでは使いませんでした。ゲート・ドライバICが最も熱く
なる部品で、ある程度は、内部のブートストラップ回路用ダイ
オードの逆回復と、ゲート・ドライバ内のスイッチ・ノードと
接地との間の寄生容量によるものであることは注目に値します
[15]。これらの要因は、付加的な損失を招きます。より高い周
波数で動作するように設計されている将来のゲート・ドライバ
で改善すれば低減することができます。
EPC8009
ZVS =
Class-D thermal performance with
図11 RDCLoad Figure
= 23.6 11.
Ω、V
IN 50 V、POUT = 36.4 WでのZVSのD級の熱特性
RDCload = 23.6 Ω, VIN = 50 V, POUT = 36.4 W.
400
!"##$%&'(")*+
QOSS ·RDS(on)
QG ·RDS(on)
!,$%&'(")*+
300
250
200
150
100
VGS = 5 V
FOM (nC·mΩ)
350
VGS = 6 V
450
VDS = 40 V
VGS = 10 V
500
50
0
EPC8009
BV DSS = 65 V
Q OSS = 1.05 nC
Q G = 0.38nC
R DS(on) = 100mΩ
FDMC8622
BV DSS = 100 V
Q OSS = 7.3 nC
Q G = 5.2 nC
RDS(on) = 43.7 mΩ
FDMC8622
BV DSS = 100 V
Q OSS = 7.3 nC
Q G = 3.0 nC
R DS(on) = 59.9 mΩ
Figure 12. Soft Switching Figure of Merit comparison for the ZVS class-D amplifier
図12 ZVSのD級アンプのソフト・スイッチング性能指数FOMの比較
ここでも、eGaN[FETとMOSFETの特性を比較します。今回はZVS
のD級アンプで比較します。ソフト・スイッチングの性能指数
FOMに戻って、eGaN[FETのEPC8009 [14] とMOSFETのFDMC8622
[16]]との比較を図12に示します。この比較は、MOSFETの2種
類のゲート電圧、すなわち6 Vと10 Vで行いました。これによっ
て、eGaN[FETとMOSFETの両方に対して、同じゲート・ドライ
バを使った回路の特性比較が可能になります。図12から、ここ
でも、ゲート電荷は、MOSFETの場合よりもeGaN[FETのときの
方が非常に小さいことが分かります。
出力電荷を比較すると、この違いは大きく、コイルに印加さ
れる高効率のデューティ比に対応するeGaN[FETの高速な遷移時
間が可能になります。ゲート電圧6[VでMOSFETベースのアンプ
を動作させると、ゲート電荷とオン抵抗の積がほぼ半分にも
かかわらず、ゲート電圧10[Vよりも特性は低くなります。図10
は、ゲート電圧5[Vで動作するMOSFETベースのZVSのD級アン
プの特性です。ゲート・ドライバは、強制空冷しているにも
かかわらず、熱の制限値である85℃を超えたので、実験のセ
ットアップは、出力電力6.4[Wを超えることができませんでし
た。eGaN[FETアンプの測定されたゲート電力は26[mWでした。
これに対してMOSFETでは232[mWとなり、ほぼ10倍の差になり
ました。より高い電力容量ゲート・ドライバを使うと、間違い
なく、MOSFETベースのアンプの出力電力を増加させることが
できますが、システム全体の効率は改善できないでしょう。さ
らに、MOSFETベースのコンバータの13.56[MHzでの動作は、ゲ
ート・ドライバの損失が2倍以上になり、システムの効率を50
%以下に低下させることになるので、現実的ではないかもしれ
ません。
ZVSのD級の負荷変動に対する感度
E級構成のときのように、ここで再び、ZVSのD級アンプの特性に対する負荷変動の感度を見ましょう。アンプへの一定の電源電圧を維持しつつ、直流
負荷抵抗(RDCLoad)を変化させて、ZVSのD級システムをテストしました。図13は、eGaN[FETを使ったときのシステム効率を直流負荷抵抗の関数とした
ときの実験結果です。この場合、出力電力は、直流負荷抵抗と強い相関があり、直流負荷抵抗が増加するに従って、出力電力が増加することが分かり
ます。これは、負荷抵抗が大きくなることで、コイル・セットのQ値が増加することに起因しています。
EPC:GaN 技術のリーダー | WWW.EPC-CO.COM/EPC/JP/ | COPYRIGHT 2016 |
| 5
E級の構成は、eGaN[FETを使う場合、より強化された単純で効率的
な無線エネルギー伝送コンバータとして有望であることが示されて
います。これは、整合回路網の中にCOSSを含んでいるにもかかわら
ず、主に2つの要因によります。すなわち、eGaN[FETの非常に低いゲ
ート電荷と、同等のQOSSに対する低いRDS(on)です。この実施例におい
て、eGaN[FETの定格電圧もMOSFETよりも33%高く、利用可能な出力電
力範囲を一段と拡大します。
ZVSのD級は、同じ負荷条件で動作するとき、E級よりも高いシステム
効率を示しました。これは、ZVSスイッチングと、主な電流経路にお
ける整合用コイルの除去が主な要因です。さらに、eGaN[FETの利用に
よって、低いゲート電荷要件によるこの構成が可能となり、MOSFET
を使ったときは、簡単なブートストラップ電源を使う上側のデバイス
を駆動する難しさがあります。13.56 MHzで、高価で完全に絶縁された
電源を使わないと、上側のデバイスを駆動できないことがあります。
さらに、ZVSのD級構成は、コイル・セットのインピーダンスのシフト
を引き起こす負荷変動への感度が小さいことが実証され、ZVSタンク
回路で設定された十分な電流が得られるので、わずかな容量性負荷を
許容することもできます。
コイルは容量性になる
コイルは誘導性になる
VDCin = 32.5 V
83
27
82
24
81
21
80
18
79
15
出力(W)
結論
ワイヤレス・パワー伝送システムにおけるeGaN® FET
効率(%)
ホワイト・ペーパー:WP014
EPC8009
出力電力
78
12
9
77
10
15
20
25
30
35
40
45
50
直流負荷抵抗(Ω)
図13 直流負荷抵抗の関数としたときのeGaN[FETを使ったZVSのD級シ
ステムの実験結果
参考文献:
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