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小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格 (厚生労働省告示第84 号) 第

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小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格 (厚生労働省告示第84 号) 第
別紙 甲
平成13年7月23日
厚生労働省労働基準局長殿
大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
株式会社 クボタ
代表取締役社長 土橋 芳邦
小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格
(厚生労働省告示第 84 号)
第 32 条に基づく適用除外申請の件
今般、弊社にて輸入販売を行うこととなりました英国のボーマンパワーシステムズ社(Bowman
Power Systems)製マイクロガスタービン・コージェネレーションシステムに使用される廃熱回収用温水
ボイラーについて、当該ボイラーの製作者であるフランスのジアノーニ社(GIANNONI France S.A.)、
ボーマン社及び弊社にて検討・試験を行った結果、厚生労働省告示第 84 号「小型ボイラー及び小型圧力
容器構造規格」の規定に適合するものと同等の性能を有していると判断するに至りました。
つきましては当該構造規格第 32 条に基づき適用除外申請を行いたく、貴殿におかれましては申請内容
を御精査の上、本申請を受理頂きます様宜しくお願い申し上げます。
1.申請の概要
本適用除外申請の対象である VHP 7C 14/10D 型温水ボイラー(以下「申請対象品」と称します。)
はマイクロガスタービンの廃熱回収用に使用されるもので、労働安全衛生法施行令ならびに厚生労働省
令第 37 号「ボイラーおよび圧力容器安全規則」にて定義される小型ボイラーの範疇に属します。この
為、「申請対象品」が厚生労働省告示第 84 号「小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格」(以下「構
造規格」と称します。)の規定に適合していない以下の3点について、「構造規格」と同等の性能を有
していることを確認致しました。
1) 「申請対象品」の材質が米国および欧州規格ステンレス鋼である。(第 1 条)
2) 「申請対象品」伝熱チューブの厚さ(0.8 ミリメートル)が最小肉厚規定の2ミリメートルを満足
していない。(第 3 条)
3) 「申請対象品」の伝熱チューブ及び管寄せの形状が特殊で規定に定められた計算式による強度確認
ができない。(第 4、6、16 条)
上記項目に対して各々以下のような設計健全性評価及び実証試験を行いました。
1) 第1条に対しては「申請対象品」の材質の材料規格と該当する日本工業規格との比較により、同
等以上の機械的性質を有していることを確認致しました。
2) 第 3 条に対しては
① 耐食性に優れた SUS316L 鋼の使用により 90℃温水の使用環境下では腐食減肉がないこと。
② 3 次元モデルを用いた有限要素法強度解析による強度確認。
③ 「構造規格」第 17 条(特殊な形状の鋼製の小型ボイラー等の特例)に基づいた水圧試験(以
下「検定試験」と称します。)の応力測定結果
から同等の強度を有すると判断致しました。
3) 第 4、6、16 条に対しては「検定試験」結果により「構造規格」第 17 条に基づき検定圧力を算出
し、「申請対象品」の最高使用圧力が検定圧力以下であることを確認致しました。
以下、検討内容の詳細をご報告致します。
2.マイクロガスタービン・コージェネレーションシステムの概要
マイクロガスタービンは 300kW 以下の出力を有する小型ガスタービン発電機の一般的な呼称であり、
排気ガスに含まれる有害成分が少ない低価格の発電装置として普及が期待されています。これに温水ボ
イラー等の廃熱回収装置を組み合わせたコージェネレーション装置は、CO2 排出量削減に貢献するクリ
ーンな分散型エネルギーシステムとして注目を集めており、本年4月 25 日付け電気事業法施行規則の
改正によるボイラータービン主任技術者選任の規制緩和をはじめとして、普及に向けた環境整備が進め
られております。
主なマイクロガスタービンメーカは欧米企業であり、
米国においてはタービン発電機単体で供給され、
それに日本国内で廃熱回収装置を付加してコージェネレーション装置としている場合が多いのに対して、
欧州では廃熱回収装置一体のコージェネレーションシステムとして製品が開発されています。弊社が輸
入販売を行うボーマン社の製品も廃熱回収装置が一体となったコージェネレーションシステムでありま
す。
図1にボーマン社のコージェネレーションシステムの構造を示します。これは試作段階の構造図で実
際の製品に使用される温水ボイラー(図中 Boiler/Heat Exchanger と表示)は本図とは異なります。製
品の詳細については添付資料をご参照下さい。
図中の矢印で示すように燃焼用空気が本体側面より入り、別途外部から供給される燃料ガスまたは灯
油と燃焼器内で混合、燃焼が行われます。燃焼で得られた高温の燃焼ガスによりタービンを回転させ、
発電が行われます。タービンから出た燃焼排ガスは燃焼用空気予熱熱交換器(図中 Recuperator と表示)
内にて熱回収され、温水ボイラーにて再度排熱回収された後、装置外に排出されます。「申請対象品」
はこの最終段階の排熱回収で用いられる温水ボイラーであります。
図1.ボーマン社製マイクロガスタービン・コージェネレーションシステムの構造
3.温水ボイラー仕様
「申請対象品」の設計仕様を以下に示します。
1) 製造メーカ:ジアノーニ社(フランス)
GIANNONI France S.A.
Aeropole Centre−29600 Morlaix, France
2) 形 式
:小型貫流ボイラー
3) 型 番
:VHP 7C 14/10D
4) 用 途
:マイクロガスタービン排熱回収用
5) 熱 源
:マイクロガスタービン俳ガス(260℃∼615℃)
6) 供給流体 :温水(最高 90℃)
7) 伝熱面積 :7.2 ㎡
8) 最高圧力 :0.3MPa
9) 耐圧試験圧力:0.45MPa
10) 材 質
伝熱チューブ:ASME SA312 TP316L(米国規格 316L 相当ステンレス鋼)
管寄せ
:EN 10080 No.1.4404(欧州規格 316L 相当ステンレス鋼)
11) 納入実績 :年間 10,000 台以上を家庭用暖房器用にドイツ、英国、イタリアに納入。
(2001 年 7 月時点の実績)
欧州での「申請対象品」取り扱いについて
「申請対象品」は家庭暖房用ボイラーの構成部品(温水熱交換器)として用いられることが一般的
であり、最終製品である家庭暖房用ボイラーに適用される設計基準(例えば添付資料の EN656 等)に
おいては最高使用圧の 1.5 倍で実施される耐圧試験が規定されており、「申請対象品」を含む製品は
これを満足しております。
「申請対象品」の外観写真を図2に示します。
また、以下の資料を参考資料として添付しております。
ジアノーニ社製品カタログ
全体図面
伝熱チューブ外観
管寄せ部の寸法図
図 2. 「申請対象品」の外観写真
4.設計健全性の評価
4.1 材料の比較
米国及び欧州材料規格に基づいた「申請対象品」の主要材料の機械的性質について、「構造規格」で
規定されている当該日本工業規格の規定値との比較結果を表1に示します。
表1.機械的性質の比較
規 格
鋼 種
引張強さ(MPa) 耐力(MPa) 伸び(%)
備 考
JIS G3463
316LTB
480
175
35
ASME SA312
TP316L
485
170
35
伝熱チューブ
1.4404
500
200
40
管寄せ
EN 10088-1,2,3
ここで、
JIS G3463:日本工業規格(ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管)
ASME SA312 :American Society of Mechanical Engineers,
Specification for Seamless and Welded Austenitic Stainless Steel Pipes
En 10088-1,2,3:European Standard
Stainless Steels
以上より「申請対象品」の主要材料は日本工業規格に規定される機械的性質と同等の性能を有して
いると判断されます。尚、ASME312 及び EN10088 規格の詳細は添付規格を参照下さい。
4.2 有限要素法解析による強度評価
「申請対象品」を図3に示す3次元形状に解析モデル化し、有限要素法を用いて最高圧力負荷時に各部
に発生する応力を解析致しました。なお、モデル化にあたっては次の前提条件を設定しています。
1) モデル化は温水圧力の作用する伝熱チューブ及び管寄せのみとし、最外周部の円筒箱はモデル化
から除外する。
2) 「申請対象品」は管寄せ中心線に対して対象である為、片側のみをモデル化する。
3) 伝熱チューブの形状には連続性がある為、一巻き分についてモデル化を行う。
4) 管寄せは長手方向に一様であることから、上記伝熱チューブ一巻き分に相当する長さについてモ
デル化を行う。
「申請対象品」の最高圧力(0.3MPa)負荷時の応力発生状況を図4に示します。最大応力は図中、
赤色で表示しているように、伝熱チューブの短辺中心部の内面に発生しており、その値は89.5MPaで
す。また、図中最上部の管寄せ中心部外面はその次に高いレベルの応力が発生しており、その値は
74.6MPaとなっております。尚、解析の詳細については添付「解析結果報告書」を参照下さい。
本解析結果の妥当性を検証する為に、後述の「検定試験」における0.3MPa負荷時の歪測定結果との
比較を行いました。歪測定場所は最大応力が発生している伝熱チューブ内面が測定不可の為、ほぼ同一
レベルの応力が発生しており、かつ形状が平面的で確実な応力測定が可能な管寄せ中心部外面と致しま
した。表2に比較結果を示します。応力状態として支配的な周方向応力について、解析値は実測値と比
較して25%程度大きくなっております。これはモデル化から除外した外周の円筒箱の影響が強いと思わ
れますが、結果として安全側の仮定となっており、本解析結果は「申請対象品」の強度評価に十分利用
できるものと考えられます。
表2.応力値の比較
解析結果
測定結果1
測定結果2
周方向応力(MPa)
74.6
55.0
59.8
長手方向応力(MPa)
19.6
11.2
12.5
4.3 応力評価
上記最大応力(89.5MPa)を「設計条件」及び「異常時」の2つの場合について、その設計健全性を検
討致します。
(1) 設計条件での検討
「構造規格」で規定される許容応力は引張強さ1/4であり、表1で比較した材料のうち引張強さが最
小であるJIS G3463の場合で120MPaとなりますが、最大応力値は許容応力に対して十分に余裕がある
と言えます。
図4.圧力0.3MPa負荷時の応力状態
(2) 異常時の検討
上記設計条件よりも厳しい条件設定としてボイラー構造規格に基づいた温度条件による許容引張応
力(JIS B8270付表2.1)として比較致しました。ボイラー伝熱面における材料の使用温度は、ボイラー
構造規格第2条より「申請対象品」の最高圧力(0.3MPa)における水の飽和温度135℃に30℃を加えた
165℃となります。JIS B8270付表2.1より、材料温度175℃の場合のSUS316LTB(JIS G3463)の許容
引張応力は、継目無管で109MPa、自動アーク溶接管で93MPaとなりますが、いずれの場合において
も最大応力(89.5MPa)はボイラー構造規格で規定される許容応力以下となります。
4.4 「検定試験」
「申請対象品」について「構造規格」第17条(特殊な形状の鋼製の小型ボイラー等の特例)に基づい
た水圧試験結果より検定圧力を計算し、「申請対象品」の最高圧力(0.3MPa)が検定圧力以下であること
を確認致しました。実施した「検定試験」の内容を以下に概説致します。詳細については添付試験報告
書及び試験証明書を参照下さい。
1) 概 要
試験日時:平成13年4月9日
試験場所:BOWMAN Power Systems 社工場(英国サウサンプトン)
試験品 :GIANNONI社製VHP 7C 14/10D型 温水ボイラー
立会い者:Lloyd’s Register of Shipping R.A. Nuttall 検査官(厚生労働省認定検査官)
2) 試験要領
試験品の外面3ヶ所について長手方向、周方向の2方向に歪ゲージを貼り付け、歪値を測定しな
がら内部の圧力を0.05MPaの増分で上昇させ、上限値で30分間保持後、上昇の場合と同様に
0.05MPa 刻みで0まで圧力を下げました。
「構造規格」第17条においては、歪観察箇所は「最も弱いと認められる箇所」と規定されており
ますが、前述の有限要素法の解析結果より最大応力が発生すると考えられる伝熱チューブ内面は測
定が不可能であります。その為、歪測定箇所を、ほぼ同一レベルの応力が発生しており、形状が平
面的で確実な応力測定が可能な管寄せ中心部外面とし、検定圧力を算出する際に前述の応力計算値
の比(89.5MPa と 73.6MPa)による補正を行いました。
試験圧力の上昇上限値は0.45,0.72,1.00,1.35,1.80MPaの5種類を設定し、段階的に試験を
進めました。
3) 試験要領
a) 試験圧力0.45MPa、0.72MPaにおいて材料の降伏は発生していません。
b) 試験圧力1.00MPaにて歪が降伏点を越え、圧力除荷後に残留歪が認められませんでした。
c) 1.80MPaまで試験圧力を上昇させましたが漏れや変形等は認められませんでした。
4) 試験要領
上記3)b)より試験圧力1.00MPaにて材料の上降伏点に達していると判断されることから、「構
造規格」第17条に基づき次式にて検定圧力Pを求めました。
Poσa
P = λ σ
o
ここで、
Po
最も弱いと認められる箇所が上降伏点に達した時の水圧力:1.00MPa
σa 材料の許容引張応力:121MPa (0.25*485)
σo 材料の下降伏点(引張強さの 60%):291MPa (0.6*485)
λ 応力比:74.6/89.5=0.834
これより検定圧力は 0.347MPa となり「申請対象品」の最高圧力 0.3MPa は検定圧力以下となり
ます。
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