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オフセット印刷ブック (立ち読み)

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オフセット印刷ブック (立ち読み)
前 書 き
オフセット印刷にたずさわって 45 年、時代の移り変わりとともに印刷機印刷に関
わる周辺機器の進化は著しいものがある。特にプリプレスの変化は予想以上に激
しいものがある。
印刷機にもデジタル化の波が押し寄せてきているのは確かだが、どうしても超え
られない一線がある。その一線とはいわゆるアナログ的な部分であり、デジタルで
は解決できない職人的な発想と技を必要とするのが今の印刷機である。
印刷界もご多分にもれず世代交代がクローズアップされている。技術の継承がで
きないと大きく取り上げられている。印刷機がデジタル化される傾向のなかで若い
オペレータは本来一番必要とされているローラ交換と調整等、印刷機のメンテナン
スと管理ができない。また、それを教えられるオペレータも少なくなってきている
のが現状だ。
印刷機がデジタル化されるなかで経験のあるオペレータが苦手意識を持ったこと
も大きな要因の一つである。反面、見当合わせや色合わせが簡単になってしまった
こと、機械メーカが展示会等で「誰でも簡単にできる」というような見せ方をしてい
ること、そしてカラーマネジメント(CMS)で言われている「技術が必要ない」など
の言葉を鵜呑みにして多くのオペレータが大きく勘違いしてしまったことも原因であ
る。印刷技術はそんなに甘いものではないはずである。
品質基準も大きく変わってしまった昨今では、今までクレームもなく納まっていた
製品でも刷り直しや値引きが当たり前になってしまったのも現実である。結果、デジ
タル化と逆行している訳である。本来デジタル化されることにより生産、品質全て
が良くなるはずだが、残念なことに印刷機はアナログの要素が多い。デジタル部分
はほんの一握りであるにもかかわらず、ほとんどのメーカはデジタルがすべての如く
言い続けている。間違いではないと思うが、それはあくまでも印刷機の管理、環
境の管理、オペレータ教育等すべての条件が整って初めて言える言葉だと感じてい
る。もう少し言うなら用紙、インキの標準化ができて完成されるのではないか。
しかし日本の印刷業界を見渡すと中小企業の集団であり、どこまで技術革新を
浸透させることができるかは大変なことではないかと思う。プリプレスメーカ、印
刷機械メーカがデジタル部分を推し進めるのは時代の流れとして必然的なのかも知
れないが、もう少し印刷機のアナログ部分の管理(印刷の原点)を強調していかな
ければデジタル化の利点がいつまでも絵に描いた餅になりかねないと思う。デジタ
ルの世界で完成されているカラーマネジメントが印刷会社でいまだに普及しないの
はなぜか考えなければ今後も真の発展は難しいのではないかと思う。
本書を読んで、見て頂き、印刷にかかわる皆様にもう一度印刷の原点を振り返っ
てアナログとデジタルの良き部分を生かし、より品質の良い製品を世に送り出してい
ただければ幸いである。
印 刷 機と変 動 要 素
(オフセット印刷の管理法)
カラーマネージメント(CMS)
カラーマッチング
ジャパンカラー
自社基準:70%アミ
(12∼15)
品質管理装置
品質管理装置
自社基準
(K C M Y)
カラー反射濃度計
平台 校 正
色調不安定
爪調整
(グリスアップ)
爪台掃除
70%
教育
ローラー目
3ヶ月
ローラー調整
グレージング(グレーズ)
選定(T目・Y目)
3
2
紙粉
1
3 mm∼ 4 mm
ローラーの老化、劣化現象
外気遮断
ここを逃がす
4
1∼4はインキ着けローラー
ニップ幅
水
繊維が短い
(ダブリ)
二重シャッター
ニップ 幅 が均 一
中 央 部 が太 い
ドットゲイン
不良
中 央 部 が細 い
×
ニップ 幅 が細 い
×
色ムラ
ヒッキー(ゴミ)
55%
(± 5%)
×
呼び出し
ココが強いと
ショック目が出る
両 サイド細り( つるつる)
平滑度
○
※ バイブレーションの 調 整 �と� の 着けローラーをバイブレーションから
逃がすことで、�と� のニップ幅がでてくる(半 回 転する黒 印)
ゴムはがれ(ボロボロ)
ショック目
ピッキング
(毛羽だち)
加湿器
25℃
(± 3℃)
呼び出し調整
水交換(汚れ)
接着圧
水ローラーの汚れ管理
水温(10℃)
エマルジョン(乳化)
0
5.5
↑
印
刷
方
向
外気遮断
機械廻り
(35℃∼40℃)
二重シャッター
壁際
湿度
フィーダーストップ
デリバリ不揃い
裏うつり
インキがトロトロ
裏うつり
7
14
ダブリ
しわ
見当不良
水汚れ 吸着マット
機上温度
(40℃∼)
ア
ル
カ
リ
性
ダブリ
しわ
見当不良
波うち
(湿度過多)
T目
トラッピング
逆トラッピング
インキにごり
逆トラッピング
25℃
(± 3℃)
室内温度管理
湿し水
水棒 ローラー硬度
水元 着け ローラー
(23度∼25度)
PH
(エッチ)
エッチ液の添加量
過剰乳化
PH値
転移不良
濃度低下
酸
印 中
性
刷 性
適
汚れ
性
(弱酸性)
からみ
アート コート紙
種類 マット紙 上質紙
特殊紙
用紙管理
ワンプ内湿度(55%)
着けローラーと
バイブレーションの調整
こ
こ
を
逃
が
す
ひ び 割れ
特殊紙用
トラッピング用
機械能力
メンテナンス
ブランケット
印圧
定圧管理
ローラー
(ニップ幅)
水棒 ゴム硬度
インキ着けローラー (27∼30度)
練りローラー (25∼27度)
呼び出しローラー ローラー細り → ゴム質変化
ゴースト
IPA
(5%未満)
8色機用
大豆インキ
(SOYINK) 自社基準
ボケ・ゴミ付き・焼きムラ
見当狂い
休日中の
室内温度管理
(18℃∼20℃)
おちょこ
(湿度不足)
Y目
水の浄化装置
ベタ
図-1 前胴(先刷り)
先刷りの絵柄が
薄く現れる
↑
印
刷
方
向
ドライダウン タック、フロー
添加済
ベタ
ゴースト
ゴースト図
色ムラ、水ムラ、水タレ
ツボが決まらない
光沢
薄ベタ
図-2 後胴(後刷り)
縦目のシワ
グロスゴースト
ゴースト部分
(A)
窓ガラス<結露イメージ>
休日の室内温度
(10℃∼15℃)
ブロンズ
横目のシワ
おちょこのシワ
見当狂い
グロスゴースト図
仕立て
(B)
ゴースト部分
(A)
針
針
(B)
着けローラーのインキ配分量の違いで濃淡が起こる。
(B)の
ベタに(A)のベタのインキが食われ(A)のベタが薄くなる
(一
部の機械メーカーで版の面積と同じ太さの着けローラが装備
されたこともある)
ソフト
セミハード
ブランケット
ハード
紙離れ(ダブリ)
シリンダーゲージ
ブラン選定
図-1 先刷り
咬
(裏)
図-2 後刷り
咬
(表)
アンダーペーパー 張り方(トルクレンチ)
※ は会社が取り組まなければならない事。
オーバーパッキン
へたり
©YOSHIYUKI TERUI TERU-1020
001
絵柄とツボを目で見ながらインキの出す量を
決めるアナログの印刷機
モルトン方式の水棒
作業終了後モルトンに付いたインキと汚れを洗い油で洗浄する
・・・仕上げに水洗いをしてインキと油を落とす
他に水棒の着けローラに紙の素材でできているダンプニングスリーブがある
(モルトンのように毛羽がでない)
010
印刷機の搬入風景
8 色反転機の搬入風景
011
フィルム刷版
墨
4 色重ね
殖版機
012
藍
紅
黄
用紙の厚さを測るマイクロメータ
斤量(Kg)が同じでも紙質の違いで厚さが変わる
マイクロメー タで
正確な厚みを測る
用紙によっては凹凸
があり厚さが正確で
もインキが乗らない
ときもある
*印圧を追い込む
用紙の積み方
・両サイドの紙くせを直す・裏を返しての紙積み
021
フィーダの種類 デキスターフィーダ・ユニバーサルフィーダ
センターセパレートストリームフィーダ (現在)
メーカが違ってもフィーダの基本構造は同じ
エアーバルブカム
第 2 吸い
第 1 吸い
2 枚止め普通紙用
2 枚止め薄紙用
030
長靴
紙さばきエアー
吹足(長靴)
紙さばき
2 枚止め・板バネ
第 1 吸い
横さばき吹口
吹足(長靴)
用紙
紙さばき吹口
2 枚止め
第 2 吸い
横さばき吹口
031
機械に版を付ける
プリプレス(CTP)で焼かれた版・刷版会社で焼かれた
版を印刷機に付ける
1.手動で付ける・
・
・版を万力にはさみ
(入れる)スパナーで万力を引っ
張り締め付けて装着する
2.半自動・・・版を万力にはさみ(入れる)後は自動で版胴に装着
される
3.全自動・・・完全にオペレータが版に触らなくても版胴に装着さ
れる
4.現在では少なくなったが、機械と万力が別になっていて、万力ご
と版に装着する機械もある
印刷の準備 機械に版を取り付ける
1
2
3
手動の版付け・・半自動の版付け・・完全自動の版付けの順
1
056
2
3
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