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野菜の高品質を目指した光を併用する冷蔵法 (光冷蔵)
野菜の高品質を目指した光を併用する冷蔵法(光 冷蔵) 9 野 菜 の高 品質 を 目指 した光 を併用 す る冷蔵 法(光 冷 蔵) 上 田 悦 範 ・ MerryEvelynM.Abit‐Toledo (大阪 府 立大 学農 学生 命 科学 研究 科) は じめ に (3)ビ タ ミ ンCの 直 前 の 前 駆 物 質 で あ る L-galactono-1,4-lactoneを 葉菜 類 は他 の青果 物 に比べ,流 通 ・貯 蔵中 にお た と こ ろ,光 いて水 分の損 失 に伴 う萎 れや緑色 の退色 な ど,品 質の低 下が顕 著で ある。 青果物 につい ては,近 年 葉の 切 片 に添 加 し 照射 の方が よ くアスコル ビン酸 に取 り込 ま れ た 。 以 上 の 結 果 は 下 記 の雑 誌 に発 表 し た 。 では収穫 か ら流通 ・消費 にいた るまで低温 流通 や レascorbicacidmetabolisminspinach 適当 な包装が 行わ れ,温 度湿度 の管理 に注 意が 払 (SpinaciaoleraceaL.)duringpostharvest われ てい る。 これ に対 して,収 穫 後の光 の条件 に storageinlightanddark.(2003) つい てはあ ま り考慮 され ていな い。た とえばス ー パー マーケ ッ トにおいて シ ョー ケース 中で常 に光 に照射 され た り,店 頭で 明るい ところ に置いて い る場合 は葉菜 類の 品質 にどの ように影響 するの か とい う実験例 は少 ない。植 物生理 の基礎 的な研 究 ToledoMerryEvelynA.,YoshinoriUeda, YoshihiroImahori,MitsukoAyaki PostharvestBiologyandTechnology28 47-57 ま た 貯 蔵 中 の光 照 射 に よ る ホ ウ レ ン ソ ウ の 品 質 では強 光で は植物 の葉の緑 色が活性 酸素発 生の 関 保 持 が,貯 係で退 色 し,ま た暗 黒化 において も緑色退 色が起 得 た の で,収 こる ことが知 られ てい る。 この分 野の嗜矢 として, 有 して い る の か を 測 定 し た 。 貯蔵 中の コマ ツナへ の光照 射は緑 色や アス コルビ (1)二 蔵 中の光合成 の結果 であ るとの示 唆を 穫 後の ホウ レンソウが光 合成能力 を 酸 化 炭 素 同 化,酸 素排 出か ら見た光合 成 ン酸 の保持 に良い とい う細 田 らの 報告が ある1∼4}。 能力 は貯蔵 ホウ レンソ ウに存在 していた 。シ ま た最近 富士 原 ら5)の ハ ーブ の低温 保 蔵 に光照 ョ ー ケ ー ス程 度 の 光 源 で も 光 合 成 が 行 わ れ る 射が試 み られ てい る。従 って種 々の葉菜類 で貯蔵 中の光照 射の デー ター を蓄積 す る必要が ある と考 え,無 機養分 と ビタ ミンの給源 として需要 の高 い ホ ウレン ソウを試 した ところ今 まで以下 に示す観 察結果 を得た 。 (1)ホ ウレ ンソウ貯 蔵中 に光照 射(20∼40μ モ ル/m2・ 秒)す る と,ア ス コル ビン酸の保 持 が良か った。 (2)糖 含量 の保 持 も見 られ,貯 蔵 中に も光合成 が行 われ てい るこ とを示 唆 された。 ことを見 出した。 (2)上 記の測 定は気孔 の開 閉に左右 されて 実際 の光 合成能力 を示 さなか った。 (3)光 照射 による葉 の蛍光発 色が光 合成能力 を よく反映 していた。 以 上 の 結 果 を下 記 の 雑 誌 に 発 表 し た 。 貯 蔵 中 の 葉 菜 の 光 合 成 を計 測 し た の は 世 界 で 始 め て で あ る 。 Photosyntheticabilitiesofspinach(Spinacia oleyaceaL.)leavesduringpostharveststorage underlightanddarkconditions.(2003) 10 浦 上財 団研 究 報告 書VoLll(2003) お よび赤 色光(赤 色 ダイ オー ドKENWOODPA ToledoM.E.A.,Y.Ueda,M.Ayaki,N.Yamauchi 70-1Aを 平 板上 に300個 並べ たもの を2機)で5 andK.Abe ∼7μ モ ル/m2・ 秒 の明 るさ の位 置に ホウ レン ソ J.HorticulturalScience&Biotechnology78: ウを置い た。予備 実験 で,上 記の光量 よ り強 い と 375-380. 今 回,奨 励 金をい ただい て青果物 の貯蔵 に光照 実 験1光 質 に よ り貯 蔵 性 が 変 わ る か ど う か を 調 べ る た め に,白 色 蛍 光 灯 と赤 色 発 光 ウ レ ンソ ウの市 販 され て い る形態 (根 付 き,根 グ 等)に 無 し,成 よ り,光 熟 葉 の トリ ミン 照射 の効果が 違 うか 蔵 貯 蔵(2℃,10日 後 の 陳 列(10℃,4日 験 方法 2日 お きに ホウ レンソウの 外観評価(萎 れ程度, てい ない葉),成 熟 葉(最 外葉 を除 く成 熟葉)を サ ンプリ ングし,ア スコル ビ ン酸含量 を測 定 した 。 ア ス コ ル ビ ン酸 の 分 析 に は2.4-dinitrophenyl hydrazine法61を 用いた 。3株 を用い3回 分析 を どうか。 実 験3冷 1.2実 色調変化)を 行 う とともに若 葉(完 全 には展 開 し ダ イ オ ー ドに つ い て 調 べ た 。 実 験2ホ アス コルビ ン酸 の保持 には良 いが,萎 れが激 しく なる ことか らこの光量 で行 うこ ととした。 射 を 応 用 す る た め の デ ー タ ー を 収 集 した 。 間)し,そ 間)し の た場合 行い,平 均値 を出す と ともに,誤 差線 に標準 誤差 を用い た。総 アス コルビ ン酸 と酸化型 アス コル ビ 光 照 射 の 効 果 が どの よ う に な る か つ い ン酸(DHA)が て調べ た。 般に アスコ ルビ ン酸 と称 されてい るもの は還元型 実 験4光 照 射 に よ る ア ス コ ル ビ ン酸 保 持 が 緑 葉野菜 のみに 有効か どうか。 この方 法 に よ り測 定 され る。一 ア ス コル ビ ン酸(AsA)で 総 ア ス コル ビ ン酸か ら酸化 型ア スコル ビン酸 を引 き算 して計算 され る。 この章 では総 アス コル ビン酸 と酸化 型ア スコル ビ 1.実 験1 照射光 質 による貯蔵 ホ ウレン ソウ ン酸 で示 した。 の 品質へ の影響 実 際に貯 蔵庫 中で光照射 す る場 合,光 源 として 蛍光 灯 と赤 色発光 ダ イオー ドが 考え られる。両 光 源 とも消 費電力が 少な く,特 に赤色 ダイオー ドは 他の 発色 ダ イオー ドに比 べて安価 であ る。 1.1実 験材 料お よび貯蔵 条件 実 験に供 した ホウ レンソ ウは近隣の 農家 よ り直 接購 入 した もの で,直 ちに貯蔵 実験 に用いた 。根 はよ く洗 いプ ラスチ ック製の トレー に重な らない ように横 向 きに並 べた。 蒸散 をで きるだけ避 ける た めポ リプ ロピ レン フィルム で上面 を覆 い,下 面 はアル ミホ イルを敷 き,影 の 部分 もある程度 反射 光が 当た る ように した。 対照 区 として暗所区 を設 けた。貯 蔵温 度は20℃ とした。 図1ホ 白色 光(三 波 長型 蛍 光 灯FL-15EX-N-N), ウレンソウの若葉.成k2;hに おける,照 射光質の違いが総 アスコルビン酸含量に与える影f'(20℃ 貯蔵) 野菜の高品質を目指した光を併用する冷蔵法(光冷蔵) 11 コルビ ン酸 が増加す る傾向 が見 られ,特 に白色光 は赤 色光 よ り増加 程度が大 きか った。 一般 に植物 体内 ではア スコル ビン酸が酸化 され る と,生 体 内の図3の ような還元 を促進す る酵素 群が 働い て還元型 アス コルビ ン酸 に戻す ことが知 られ てい る。従 って光照射 下にあ るホ ウレンソ ウ は活 発に アスコ ルビ ン酸 を利用 し,還 元力 が追 い つい てい ない と思 われる。 全体 に総 アス コルビ ン 酸が 多い のはその生 合成 も盛んで ある ことに よる と考 え られ る。 貯 蔵中の外 観品 質に対す る光照射 の影響 では, 白色 光が萎 れを起 こさせ る程度が大 きか った。赤 図2ホ uaysinaLOrage 色光 ではそ の程度 が少な く,暗 所保 蔵が一 番萎 れ ウレンソウの若葉,成 熟葉における,照 射光質の違いが酸 化型アスコルビン酸(DHA)含 量に与える影響(20℃ 貯蔵) の程 度が小 さか った。 しか し,暗 所 で は緑 色が退 色す る 程度 が大 き く特 に 今回 の よう な20℃ 貯蔵 1.3実 験 結果お よび考 察 で は著 しく退色 した。 白色 光は赤外 光の ような熱 図1に 見 られる ように総 アスコ ルビ ン酸含 量は 線 を含み,こ れが 萎れ を激 しくさせ た もの と思 わ 若 葉で多 く,成 熟葉で はやや 少なか った。 暗所保 れ る。実用 的に は,萎 れ防 止に注意 しつ つ,赤 色 存 の もの は総 アス コルビ ン酸 の減少 が大 きかった ダイオー ド光源が 良い と考 え られ た。 が,白 色光,赤 色 光照 射区 と も減 少が抑 え られて 2.実 験2 い た。効 果は 白色光が 赤色光 よ りや や優れ ていた。 図2は 酸 化型 ア ス コル ビ ン酸(DHA)の ホ ウレンソ ウの形態 を変 えて貯蔵 した場合の 光の影響 含量 を示 してい るが,総 アス コルビ ン酸含量 に比 べて ホ ウ レンソ ウが市 販 され てい る形 態 も様々で あ 少 ない ことが示 され た。光照射 す ると酸化 型アス るの で,形 態が変 わった場 合で も光 照射 がアス コ 図3ア スコルビン酸 の代謝図 12 浦上 財 団研 究報 告書VoL11(2003) ル ビン酸保持 に有効 か どうかを調べ た。 2.1実 験材料 お よび貯蔵条件 ホ ウ レンソウは冬 季に最 寄 りの スーパ ーよ り購 入 した もの を用い た。一般 に土耕 のホ ウレ ンソウ は根 を付け たま ま販 売 されてお り,水 耕 の もの は 根 を切 って 販売 されてい るので,根 付 き,根 無 し で光 の影響 が異 なるのか を調べ る必要が ある。従 って根 付 き,根 無 しの状態 に して,ト レーに横 た えて貯 蔵 した。高湿 度冷蔵 庫 を用 い,8℃ で貯 蔵 した。 上面 をポ リプロ ピレ ンで覆 い,下 面は アル ミホ イル を敷い た。光照射 の ものは保水 のため1 日に1度 霧 吹 きで葉 面 に水 を散布 した。 また暗所 保存 の場合 は2日 に1度 散 布 した。光照射 条件 は 白色 光で20∼25μ モ ル/m2・ 秒 と した。 また, 図4ホ ウレンソウの根付き.根 無し貯蔵(8℃,4日 間)に おけ る,光 照射がアス コルビ ン酸(AsA),酸 化型アスコルビン 酸(DHA)含 量に及ぼす影響 図中の0は 貯蔵当 日を,Lは 光照 射下で根付きを,LWRは 光照射下で根無 しを,Dは 暗所での根付 きを,DWRは 暗所 で根無 しを意味する,葉 は成熟葉を使用した。 出荷 の際や 陳列 中に トリミ ングを受け ている こと が多 いので 葉をか な り除 いた ものをつ く り光の 影 hydrazine法 を使用 したが,還 元 型 アス コル ビン 響 を見た。 すな わち成熟葉 あ るいは若葉 をすべ て 酸 をア ス コル ビ ン酸(AsA)と 取 って しまった もので光 を当て てどの ように なる 化型(DHA)も か を調 べた 。 さらに最近 は葉のみ を カッ トして包 て分析 した。3株 を用 い3回 分析 を行い,平 均値 装,市 販 されて いるの を見かけ る(い わゆる カッ を示す と ともに,誤 差 線に標 準誤差 を用い た。 ト野菜)が,そ の よ うな場 合 にも光の効 果が ある か どうか を調べ た。 2.2実 験方 法 ア ス コ ル ビ ン酸 は 同 じ く2,4-dinitrophenyl 図5ホ 2.3実 (1)根 して示 した。酸 測 定 した。 若葉,成 熟葉 に分 け 験 結果 および考 察 の有無に よる光照 射の影響 図4は 根付 き,根 無 しの条 件で ホウ レンソウ を 8℃ で4日 間貯 蔵 した ときの結果 である。 図に見 ウレンソウを トリミングして貯蔵(8℃)し たときの,光 照射がアスコルビン酸(.-11,酸化型アスコルビン酸(B)含 量に及ほす影響 図中の成熟葉 とは若葉を トリミングして成熟葉のみにして貯蔵 した ことを表す。若葉はその逆 の意味 を表す、図中の矢印は成熟葉で 葉先か ら黄化が始まったことを示す。 野菜の高品質をU指 した光を併川する冷蔵法(光 冷蔵) 13 以 上の よ うに市 販 され るホ ウレ ンソウの形態 が どの ようであれ,弱 光の照 射 はアス コルビ ン酸 含 量保 持 に効果が ある ことが 明 らかにな った。 3.実 験3冷 蔵貯 蔵お よび その後昇温 陳列 し たと きの光 の影響 青 果 物 は出荷 調整 な ど によ り,10日 程 度の 冷 蔵貯 蔵の 後に小 売店の店頭 に置 かれ るこ とがあ る が,こ のよ うな場 合 に光照 射の 影響 はど うであ る か調 査 した。 図6カ ッ トしたホウ レンソウ葉のみ貯蔵(8℃,4日 間)し たと きの,光 照射が アスコル ビン酸(黒 い棒グラフ),酸 化型ア スコル ビン酸(斜 め線棒 グラフ)含 量に及ぼす影響 半葉法 を行いた。成熟葉 の片方 を使用 して貯蔵前(o,light または0,dark)の 測定をし,残 りの半葉 を用いてカ ット葉 を作 り,4日 間 光照射下 また は暗所(4.lightま たは4. dark)で 保持 した後アスコルビン酸の測定を行った。 られ る よ う に 根 付 き 根 無 し の 区 別 な く,暗 所貯蔵 3.1実 験 材料お よび貯蔵 条件 冬 季 に小売店 よ り新鮮 なホ ウ レンソウを入手 し, 水 洗 し,根 は水 を含ん だ脱脂 綿で 覆っ た。他の 貯 蔵 方法 は実験1と 同 じである。 光源 も白色光 を用 い20∼25μ モル/m2・ 秒 の明 るさの所 にホ ウ レ の も の よ り光 照 射 区 が ア ス コ ル ビ ン 酸 の 含 量 を保 ンソ ウを横 た えた。 まず10日 間の 冷蔵貯 蔵(2 持 し て い る こ とが 見 られ た 。 ℃)を 行 い,次 いで小売 店 に陳列 され るこ とを想 (2)ト リ ミングを受 けたホ ウレ ンソウの光照 強 い トリミ ングを受け て貯蔵 したホ ウレ ンソウ で も光 に よ る ア ス コ ル ビ ン 酸 の 保 持 効 果 は 良 く見 られ た(図5)。 む しろその 効果 はホ ウ レン ソウ 間保存 した。実 験 区 として は, 暗所 に置 くものを設 け,さ らに冷蔵期 間は暗所 貯 蔵 であ るが陳列 中は光照射 下 に置 くもの も設 けた。 3.2実 験 方法 分析 は貯蔵 開始前,お よび貯 蔵中2回,陳 全 体 を貯 蔵 し た 場 合 よ り 明 らか に現 れ た 。 (3)ホ 定 して10℃4日 冷 蔵,陳 列期 間を通 じて光照射 下に置 くもの と, 射 の効 果 ウ レ ン ソ ウ の カ ッ ト葉 に お け る 光 照 射 の効果 列中 2回 行 った。 また,若 葉,成 熟 葉 に分 けて分析 し た。3株 を用 い3回 分析 を行 い,平 均 値 を出す と 最 近 は カ ッ ト野 菜 が 外 食 産 業 用 の み な ら ず,家 庭 用 と して 市 販 さ れ る こ と が 多 く な っ て い る 。 カ と もに,誤 差線 に標準誤 差 を用 いた。 ア ス コル ビン酸 は前項 と同 じ2,4dinitrophenyl ッ ト し た 葉 の み で 光 照 射 の ア ス コ ル ビ ン酸 保 持 効 hydrazine法 で行 った。 クロ ロフィル含 量はN,N 果 が 出 る か ど う か を 調 べ た 。 この 場 合,葉 dimethylformamideに に よる ア ス コ ル ビ ン 酸 含 量 の ば ら つ き を 避 け る た め,半 葉 切 片 を 暗所 で 浸 漬 し, 脱 色す るまで放 置 し,緑 色 になった溶 媒 を分 光光 葉法 を用い た。す なわち葉 の半分 を直 ちにサ ンプ 度計 で647と664nmで リ ン グ し,残 程 度 を見 る ため にmalondialdehyde(MDA)含 り半 分 は適 当 に カ ッ ト し蒸 留水 (chloramphenicolを い る)に 入 れて 細菌 の 増 殖 を抑 え て 浮 か べ て8℃,4日 結 果 は 図6に お い た もの で あ る 。 示す。 やは り暗所 に置い たもの はア ス コ ル ビ ン酸 の 減 る 程 度 が 大 きか っ た 。 測 定 したr)。脂 質の分 解 量 を測 定 した。 まず 葉組織 を5%TCAで 8),遠 心 分 離 後 の 上 澄 み のMDA含 thiobarbituricacidreagentを 定 量 した9)。 抽出し 量 を 反応 させ る ことで 14 浦上 財 団研 究報 告 書Vol.11(2003) 3.3実 験結 果お よび考察 クロロ フ ィル含 量は図7に 示す よ うに2℃ 貯 蔵, 図9ホ 図7ホ ウレンソウの冷蔵(2℃,10日 間)お よびその後の店頭保 持期間(10℃,4日 間)に おける.光 照射がマロ ンジアルデ ヒド含量に及ぼす影響 図の説明は図7に 同じ ウレンソウの冷蔵(2℃,10H間)お よびその後の 店頭保 持 期間(10℃,4日 間)に おける.光 照射がクロロフィル含 量に及ほす影響 正方形シンボルは若葉を,円 シンボルは成熟葉を示す 。自抜 きシンボルは光照射区を,黒 塗 りシンボルは暗所区を示す, 斜線 シンボルは冷蔵中暗所で冷蔵 し,そ の後の保持期 間を光 照射 下で保存 した ことを示す. す る傾 向に あった。 暗所 に貯蔵 した もの を光照射 10℃ 陳列期 間 とも光照射 区,暗 所 ともに変化 はな 早期 に光照射 を始め る必要 があ ると考え られた 。 く,外 観上 も鮮 度を保 ってい た。 が ってアス コル ビン酸 を高 含量で保 つに は貯蔵 の 脂 質 の酸 化程 度 を示 す といわ れ るMDAの 総 アス コル ビン酸含量 は2℃ 貯蔵 中,光 照 射区 で 高含量 に推移 した(図8)。10℃ 下 に陳列 して もア スコル ビン酸 は減 少 した。 した に昇温 後 の陳 列 中では アス コル ビン酸 はすべ ての実験 区で 減少 含 量 は光 照射す る ことに よ り,貯 蔵 中,陳 列 中 とも に暗 所 よ り確 実 に増 加 した(図9)。 従っ て光 照 射 は活 性酸素 等の増 加が あ りなが ら,そ れを上 回 る アスコル ビ ン酸 の合成 によ り,ア ス コル ビン酸 の保持 が行 われて いる ことが考察 で きた。 4.実 験4 葉 緑体 の有無 が光照射 に よるア ス コル ビ ン酸保 持 に与 え る影 響 今 までの実 験で は緑葉野 菜の ホウ レンソウ を用 いて 実験 して きたが,葉 緑 体を持 たない 野菜で は どうかを調べ た。実 際に貯 蔵 して調 べ るのが本 来 であ るが,今 回は アス コルビ ン酸 の直前 の前駆 物 質 で あ るL-galactono-1,4-lactone(L-GAL)を 野 菜の 小組織(小 花蕾,葉 切 片,果 皮)に 与 えて 光 図8ホ ウレ ンソウの冷蔵(2℃,10日 間)お よびその後の 店頭保 持期間(10℃,4日 間)に おける,光 照射が総アスコルビン 酸含量に及ぼす影響 図の説明は図7に 同 じ 照射 の有無 によ り総 アス コル ビン酸 の含量 が どう な るかで調べ た。以 前の実験 で ホウ レンソ ウ葉 の 切 片にL-GALを 与 え た場合,光 照 射 区で は暗 所 野菜の高品質をH指 した光を併用する冷蔵法(光 冷蔵) 図10プ ロ ッ コ リ小 花 蕾(A>.緑 色 ピ ーマ ンの 組 織 切 片(B)にL-galactono-1.4-lactoneを 添 加 した とき,光 15 照 射 が 総 アス コ ル ビ ン 酸 含量 に 及 ぼす 影 響 イ ンキ ュベ ー トは8℃,8時 間 に比べ て総 アス コル ビン酸 含量が 増加 したの を観 総ア スコル ビ ン酸含量 を測定 した。3回 分析 を行 察 してい る。 い,平 均 値 を出す とと もに,誤 差線 に標準誤差 を 4.1実 験 材料お よび方 法 用い た。 葉緑 体 を有す る組 織 として新鮮 な市販 のプ ロ ッ コ リを用い,小 花 蕾を分離 した。 また ピーマ ンの 4.2実 験 結果 および考 察 図10に 葉緑 体 を含む プロ ッ コリお よび緑色 ピ した もの を ーマ ンを,光 照射 または暗所 下で8時 間置 いて測 用い た。葉 緑体 を有 しない組織 として カ リフラワ 定 した総ア スコル ビン酸含量 を示す 。いず れも光 ー を用い,小 花蕾 を切 り出 した。 また赤 色 ゜ マ 照射 下 で増加 し,L-GALか ンよ り切片 を切 り出 した。 生成が うかが えた。 緑色 組織 を切片(2cm×2cm)に 25mMのL-GALを25m1入 らの ア ス コル ビン酸 っ て い るペ トリ皿 図llに 葉緑 体 を含 まない カ リフラ ワーお よ び に脱 脂綿 を敷い たもの を用 意 し,そ の上 に上記 の 赤色 ピーマ ンの 結果 を 示す。 興 味 のあ る こと に 組織 を 良 く湿 るよ うに並 べ た。光 照射 条 件 は20 L-GALを ∼25μ モ ル/m2・ 秒 とし,8℃ 含量 の増加 は両組織 で見 られるが,光 照射 と暗所 図11カ リ フ ラ ワー 小 花 蕾(A),赤 に 及 ぼす 影 響 イ ン キ ュベ ー トは8℃.8時 で8時 間 保存 し, 色 ピ ーマ ンの 組 織 切 片(B)にL-galactono-1.4-lactoneを 間 添加 す るこ とに よる総 ア ス コル ビン酸 添 加 した とき,光 照 射 が 総 ア ス コル ビ ン酸 含 量 16 浦上 財 団研 究報 告書Vol.11(2003) の差 はなか った。 け る品 質 に 及 ぼ す 光 の 影 響(第1報)コ 以上 の結果 か ら,光 照射 でア スコル ビン酸保持 leaf)の 貯 蔵 中 に お け る 成 分 変 化.食 マ ツ ナ(detached 総 研 報(Rept.Natl. FoodRes.Inst.)38:33-39 効果 のある もの は緑 葉野菜 であ る と考 えられ た。 ま と 2)細 田浩 ・名 和 義 彦 ・黒 木 柾 吉(1981)野 菜の 収穫 後にお け る 品 質 に 及 ぼ す 光 の 影 響(第2報)コ め leaf)の この1年 間,野 菜 の光冷 蔵の可 能性 を考え,実 にお ける外観 上の光 照射効 果 は短 期間 の冷蔵,お よび 陳列で は見 られなか った ものの,人 間に とっ 田浩 入れ る価値 があ るこ とを物 語 ってい る。 ・高 橋 信 典(1983)野 菜の マツナ の 遊 離 糖 お よ び デ ン プ ン含 量 に 及 ぼ す 貯 蔵 温 度 の 影 響.食 総 研 報(Rept.NatLFoodRes.Inst.)42:45-50 田浩 ・名 和 義 彦 ・黒 木 柾 吉(2000)収 葉 の 成 分 変 化 に 及 ぼ す 光 質 の 影 響.日 かっ た。 これは野菜 を高 品質で保 持す るのに,温 度,湿 度 に続 いて光 条件 も貯蔵 条件 として考慮 に ・名 和 義 彦 ・黒 木 柾 吉 収 穫 後 に お け る 品 質 に 及 ぼ す 光 の 影 響(第3報)コ 4)細 て必要 なア ス コルビ ン酸 の保持 に役立つ こ とが わ 総 研 報(Rept.Natl. FoodRes.Inst.)38:40-45 3)細 際的 なデー ター を得 て きた。そ の結果,緑 葉野 菜 貯 蔵 中 に お け る 成 分 変 化.食 マ ツ ナ(attached 穫後 の コマツ ナ 本食品保 蔵科 学会誌 .. 5)富 士 原 和 宏 ・高 久 晃 一 ・飯 本 光 雄(1998)CA,赤 色発光 ダ イ オ ー ド弱 光 照 射 お よ び 養 液 ゲ ル 利 用 が 低 温 貯 蔵 中 の チ ャ ー ビ ル の 外 観 品 質 に 及 ぼ す 影 響 。 一緑 色 植 物 体 の 弱 光 照 今 後,光 条件 を加 味 した家庭 用あ るいは営業 用 冷蔵 庫 を開発す る上 で,さ らに野菜,果 物 の種 類 を増 や して 観察す るこ とと,効 果が アスコル ビ ン 酸保持 だけ でな く,他 の要 素 にも効 いてい るのか を調べ る ことが必要 であ る。消 費者 は必 ず冷蔵 庫 射CA貯 蔵 法 の提 案 一.生 物 環 境 調 節36:201-208 6)Roe.J.H.,M.B.Mills.M.J.OesterlingandC.M.Damron. (1948)Thedeterminationofdiketo-1-gulonicacid. dehydro-1-ascorbicacid,andl-ascorbicacidinthesame tissueextractbythe2,4-dinitrophenyl-hydrazinemethod. J.Biol.Chem.174:201-208 で葉菜 類 を一時保 存 して いるの で,高 品質 に野 菜 7)Moran.R.(1982)Formulaefordeterminationof を貯 蔵で きる光冷 蔵が実 用化で きる ならば,国 民 chlorophyllouspigmentsextractedwithN,N- の栄 養を底 上げす るこ とに もなる と考 えてい る。 dimethylfor皿amide.PlantPhysiol.69:1376-1381 8)Ranwala.A.P.andW.B.Miller.(2000)Preventive mechanismofgibberellin(4+7)andlightonlow- 本研 究の 遂行 に当た り,浦 上 食品 ・食文化振 興 財団 の研究助 成金 を賜 り,大 いに有効 に使用 させ temperatureinducedleafsenescenceinliliumcv Stargaaer.PostharvestBiol.Technol.19:85-92 9)Heath,R.L.andL.Packer.(1968)Photoperoxidationin てい ただ きま したこ とを感謝 申 し上 げます。 isolatedchloroplasts.1.Kineticsandstoichiometryoffatty acidperoxidation.Arch.Biochem.Biophys.125:189-198. 文 1)細 献 田浩 ・名和 義彦 ・黒木柾 吉(1981)野 菜の収 穫後 にお InnovativeRefrigerationwithlightIrradiationonKeepingQualityofGreenVegetables 17 InnovativeRefrigerationwithlightIrradiationonKeepingQualityofGreen Vegetables YoshinoriUedaandMerryEvelynM.Abit-Toledo (GraduateSchoolofAgriculturalandBiologicalScience,OsakaPrefectureUniversity) Temperatureandhumidityconditionshavebeeninvestigatedmanytimesforvegetable storage.Howeverlightexposuretreatmenttothepostharvestvegetablesdidnotpay attentionsomuchcomparedwithothertwo.Thereare,todate,afewworksthat demonstratedpositiveeffectoflightonthequalityofleafyvegetables1∼5)andornamentals$' whenthelightisusedatrelativelylowintensitiesduringthepostharvestperiod. Weobserveddelayofascorbicaciddissipationwhenspinachwasstoredunderweak whitelight,thenfoundthatonestepofascorbicacidbiosynthesis,whichisjustbefore ascorbicacidformation,wasacceleratedbylightexposure.Photosynthesishasbeen suggestedasthemajorfactorinthesenescence-delayingeffectsoflowintensitylight duringpostharveststorageofgreenvegetables.Howeverthecapacityofphotosynthesisin greenvegetablesstoredindarknessorlighthasnotbeendemonstrated.Wepresentedthe changesinphotosyntheticactivitiesofspinachleavesduringstorageinalightanddarkness, bymeasuringoxygenrelease,carbondioxidefixationandfluorescenceemission. Inthiswork,weconcentratedoncollectingdatathatwereapplicableoflightexposure onkeepingqualityofgreenvegetablesdし1ringstorage. 1)Effectsoflightsourceonkeepingqualityofspinach Exposure(5to7,umole/m'/sec)fromwhiteluminescentlamp(threepeakwaves type)andredlightemittingdiode(redLED,KENWOODPA70-1A),werecomparedon thequalityofstoredspinachat20℃. Bothexposureskeptmoreascorbicacidcontentthandarkcondition.Butwiltingwas observedseverelyunderthewhitelightandmediallyunderredLED.So,redLEDmaybe suitablelightsourceforthestoragewithsomemoisturekeepingtreatment. 2)Changesofascorbicacidcontentsinvariousmarketformsofspinachinlightanddark conditions. Leafyvegetablesweresellingmanyforms,suchaswithrootorwithoutroot,trimming treatment,andCUtleaves.Effectoflightexposure(20∼25μmole/m2/sec,8℃)on ascorbicacidcontentsoftheseformsofspinachwasinvestigated. URAKAMIFOUNDATIONMEMOIRSVol.11(2003) 18 Whatevertheforms,lightwaseffectivetomaintainascorbicacidcontent.Itseemsthat lighteffectonmaintenanceofascorbicacidhavemoredistinctiveontrimmedorcut spinachthanonwholeplants. 3)Effectoflightonthequalityofspinachduringcoldstorageandatfollowedshelflife. Cddstorageofspinachat2℃forlOdaysanddisplayattheshelfatlO℃for4days afterthestoragewereconductedinthelight(20∼25μrnole/m2/sec)ordark. Colorandappearanceofspinachweremaintainedfreshduringstorageanddisplay periods.Lightexposuremaintainedascorbicacidcontentshigherthandark.Whenspinach wasstoredinthedarkandthenexposedbythelightatdisplaytime,theeffectoflighton maintenanceofascorbicacidwasnotclear.Weneedtotreatvegetablesbylightatearly periodofstoragetime. 4)Effectoflightexposureonchlorophyllousvegetablesandnon-chlorophylloneson ascorbicacidcontents. Inpreviousreport,wepresentedthatL-galactono-1,4-lactonechangedmoreinto ascorbicacidinthelightthandark.Thecharactermaybeimportantforascorbicacid maintenanceinlightexposure.Greenvegetables,broccoliandgreenpepperswere observedsuchaccelerationofthestepbylight.Ontheotherhand,cauliflowerandred peppersdidnotshowthephenomenainthelight. Theseresultsindicatethatitisworthfultoconsiderlightconditionatrefrigerationof greenvegetablesformaintainnutritionalvalues.