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住民参加型 GIS としての地域 SNS の開発と運用評価

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住民参加型 GIS としての地域 SNS の開発と運用評価
GIS −理論と応用
Theory and Applications of GIS, 2012, Vol. 20, No.2, pp.35- 46
【原著論文】
住民参加型 GIS としての地域 SNS の開発と運用評価
窪田 諭*,曽我和哉**,佐々木雄喜**,三浦友美**,瀧澤寛之***,佐々木敬志****,阿部昭博*****
Development and Operational Evaluation of Regional Social Networking Service
as Public Participation GIS
Satoshi KUBOTA*, Kazuya SOGA**, Yuuki SASAKI**, Tomomi MIURA**,
Hiroyuki TAKISAWA***, Takashi SASAKI****, and Akihiro ABE*****
Abstract: Public participation geographic information systems (PPGIS) are used in regional urban
development and in solving regional problems that affect local communities. In this paper, the development of a Web GIS-based regional social networking service (SNS) is described. The regional
SNS employs PPGIS and supports user activities, GPS-enabled mobile phones, and a reward point
system. The system has four functions: information extraction by user activity area, location-based
information posting, GPS location referencing, and reward points. Furthermore, a PPGIS operational model is proposed for continuously using the regional SNS. In this model, roles are assigned
to local governments, nonprofit organizations, and universities. The proposed system was evaluated
in Takizawa Village, Japan. The system was found to be applicable to PPGIS activities. In addition,
some challenges in implementation and education were identified.
Keywords: 住 民 参 加 型 GIS(public participation GIS), 地 域 SNS(regional social networking
service),Web GIS(Web GIS),運用モデル(operational model)
1.はじめに
GIS)と呼ばれる.本研究では,対象地域に住所があ
住民協働の地域まちづくりや地域コミュニティで
る市民だけでなく,そこに興味がある人および滞在
の課題解決においてGISが利用され,住民参加型GIS
する人も対象とし,これらの人を「住民」と呼ぶ.そ
(PPGIS: Public Participation GIS)として実践,研究され
して,まちづくりや地域づくり,地域コミュニティ
ている.住民参加型GISは米国で市民活動の高まり
の活動支援や課題解決のために利用されるGISに係
とともに研究(Craig et al., 2002.)され,
Sieber(2006)は,
わるシステムを住民参加型GISと定義する.
住民参加型GISは政策決定における住民関与を広げ
住民参加活動においては,GIS を利用するだけで
るために使用し,非政府組織,草の根活動,地域コミュ
なく,コミュニケーションツールとの連携や組織
ニティの目標を達成するためのGISであるとしてい
運営を考える必要がある(今井,2009a).地域 SNS
る.また,今井(2009a)は,広く市民参加型活動で
(Social Networking Service)
(梅田・冨澤,2006;庄
利用されるGISを対象にしたシステムを市民参加型
司ほか,2007)は,地域の課題を解決するためのコ
GISと呼んでいる.一方,発展途上地域や農村集落
ミュニケーションツールとして,多くの地方公共団
における自律的な資源管理を目的に地域開発の意思
体やNPOによって運用されている.地域SNSによっ
決定に用いるGISは,参加型GIS(PGIS: Participatory
て地域を限定して情報を共有することにより,住民
正会員 岩手県立大学 ソフトウェア情報学部(Iwate Prefectural University)
〒 020-0193 岩手県岩手郡滝沢村滝沢字巣子 152-52 E-mail:[email protected]
**
非会員 岩手県立大学 ソフトウェア情報学部(Iwate Prefectural University)
***
非会員 特定非営利活動法人 HCC(Non-Profit Organization HCC)
**** 非会員 滝沢村 商工観光課(Takizawa Village)
***** 正会員 岩手県立大学 ソフトウェア情報学部(Iwate Prefectural University)
*
− 125(35)−
参加活動や地域コミュニティ活動を支援できる.一
して新たな表現(Shiffer, 2002)や評価方法(Barndt,
方,住民参加型 GIS には,インターネットや情報通
2002)について紹介されている.また,Sieber(2006)
信技術を用い,より広範な参加機会を提供するとと
では,住民参加型 GIS における 4 つの主要なテーマ
もに,Web などを通じてインタラクティブ性を持つ
として,場所と人,技術とデータ,プロセス,成
ことも期待されている(瀬戸,2010).地域 SNS で
果と評価について議論が展開されている.さらに,
は特定地域を対象に住民が情報を交換できるので,
Ramasubramanian(2010)で は, 住 民 参 加 型 GIS の
住民参加型 GIS として利用できる可能性があるが,
効果測定や合意形成における検証について述べら
住民参加型 GIS を実現する手段として地域 SNS を見
れている.PGIS においては,立体地形モデルを用
るといくつかの課題がある.
いた参加型地図づくり(Participatory 3-Dimensional
そこで本研究では,住民や地域コミュニティの情
Modeling: P3DM)の事例がある(Yilma, 2011).
報収集と交流を活性化し,地域の情報を地図上で可
視化し共有するために,住民参加型 GIS として GIS
2.2.地域SNS
機能を強化した地域 SNS を開発する.そして,住
地域 SNS は,住民や地域コミュニティの活動に
民参加型 GIS を継続して利用するためには運営体制
おける交流を活性化するツールとして地方公共団
を確立することが必要であるため,その運用モデル
体や NPO によって運用されている(梅田・冨澤,
を提案し,システムの運用によって得られた評価結
2006;庄司ほか,2007).これは,特定地域を対象
果をまとめる.
として,その地域の住民や関心ある人が情報を発信
し,まちづくりや地域活性化のために,インターネッ
2.関連研究
ト上で情報交換するサービスである.地域 SNS の
本章では,住民参加型 GIS と地域 SNS の関連研究
始まりである「ごろっとやっちろ」
(小林,2009)は
を概観し,住民参加型 GIS として地域 SNS を考える
GIS を組み込んでおり,地域 SNS の多くは地図機能
うえでの課題を整理する.
として WebGIS を有している.地域 SNS をまちづく
りに利用した研究として,まちづくり活動における
2.1.住民参加型GIS
地域 SNS の役割を整理した研究(嶺岸・赤川 2008),
我が国における住民参加型 GIS は,1995 年に発生
まちづくりで地域 SNS を運用した研究(水野ほか,
した阪神・淡路大震災における情報発信が最初とさ
2008;森藤ほか,2009)がある.また,GPS 搭載ス
れる(今井,2009a).住民参加型 GIS の関連研究と
マートフォンで位置情報を共有する Foursquare と
して,地図に情報を書き込む掲示板型のカキコまっ
Gowalla は,ゲーム性を有して利用者を増やしてい
ぷ(上田ほか,2003;真鍋ほか,2003),地域コミュ
る(Ebling and Caceres, 2010).
ニティ活動を支援する位置情報ベースのグループ
ウェア(阿部ほか,2004),住民参加によるまちづ
くり点検における GPS 機能付き携帯電話と GIS の利
2.3.現状の課題
住民参加活動は,現地で情報を収集し,戻ってき
用(田中・内平,2008)がある.一方,海外では,
て資料整理やファシリテータの協力による検討を
市民活動が盛んな米国において,住民参加型 GIS が
行い,その結果を WebGIS で発信し,新たな参加者
多く利用され,研究されている(Craig et al., 2002;
を募るというサイクルで行われることが多い(今井
Ramasubramanian 2010; Fu and Sun, 2011).Craig et
2009a).つまり,住民参加型 GIS の主要なフェーズ
al.(2002)は住民参加型 GIS の基本文献とされ,米
は,現地での情報収集,資料の整理と分析,議論・
国内における事例研究(Sawicki et al., 2002)や都市・
合意形成,WebGIS による情報公開と捉えられる.
地域計画,環境保護,地域開発における事例研究
しかし,住民参加活動に取り組む団体では,現地活
(Parker and Pascual, 2002),住民参加型 GIS の将来と
動に関する情報を管理,整理し,その結果を市民に
− 126(36)−
発信する作業が円滑に行えないという問題を抱えて
ミュニティ機能を利用する.なお,本研究では,意
いる(GIS 利用定着化事業事務局,2007).住民参加
思決定場面での利用までには至っていない.
型 GIS を実現する手段として,GPS 機能付き携帯電
話(以下,GPS 携帯電話という),PC 用地図ソフト,
地域 SNS,Web GIS のそれぞれの利用が考えられる
が,これらは個別のツールであるため,住民参加型
GIS の主要な 4 フェーズを総合的かつシームレスに
3.1.システム設計
システム開発にあたり,以下の方針を定めた.
(1)利用者の行動エリアの考慮
地図上に数多くの地域情報が蓄積された場合,住
民や地域コミュニティが必要な情報を効率的かつ効
支援する点で課題がある.
一 方, 瀬 戸(2010)は, 地 理 空 間 情 報 に 係 わ る
果的に抽出するために,頻繁に利用する行動エリア
Web サービスによって,これまで住民参加に必ずし
と情報分類を設定し,これに該当する情報を抽出す
も関与できなかった人々が地域や場所に関する情報
る.これは,前記の(d)地図上での情報の可視化と
を閲覧し,情報提供に簡易に参加できる新たな仕組
共有の機能を強化することにあたる.住民参加活動
みが必要であると述べている.これより,住民の利
において,その活動範囲を行動エリアとして設定
用しやすさを考慮して,Web を用いて地理空間情報
し,地域 SNS に投稿された情報から行動エリアに
を閲覧し,投稿できるシステムを提供することが
マッチした情報を共有し,活動を支援する.Ye et
必要である.この点で本研究が対象とする地域 SNS
al.(2010)では Foursquare のデータを利用して SNS
が有効であると考えられるが,住民参加型 GIS を実
内の友人関係にもとづく情報を推薦しているが,本
現する手段としての地域 SNS には課題がある.そ
研究では住民あるいは地域コミュニティの活動範囲
れは,既存の地域 SNS では,位置情報がすべての
にもとづく情報を抽出する.
利用者から投稿される可能性があるため,一地点に
(2)GPS 携帯電話の利用
大量の情報が登録された場合,利用者が欲しい情報
現地における行動エリアの考慮と(a)容易な情報
が地図上に埋没し,抽出することが難しいことであ
収集のために,GPS携帯電話を用いる.オープンソー
る.また,地域 SNS における位置情報の共有が地
ス SNS の OpenPNE と OpenSNP は GPS に対応してい
域における現実の交流・活動の促進にはつながって
なかったため,GPS 携帯電話版の機能を新規に開発
おらず,位置情報が有効に利用されていないと考え
する.住民参加活動において,利用者が GPS 機能
る.地域 SNS の参加者が位置情報を元に現地に赴
により現在位置にもとづく情報の収集と参照を行
くことにより,交流を活発化することが課題である.
う.さらに,利用者がいつでもどこでも行動エリア
に該当する情報を参照できるようにし,屋外で住民
3.住民参加型 GIS としての地域 SNS の開発
前章の議論より,住民参加型 GIS の機能には,
(a)
現地での容易な情報収集,
(b)空間分析,
(c)ヒヤリ
マップによる安全対策立案,まちの景観検討,清掃
や地域コミュニティの活動に関する情報,店舗やイ
ベントなどの地域情報を抽出する.
(3)ポイント制の導入
5 章で後述するシステム運用において地域 SNS 内
箇所の優先順位付けなどの意思決定のための議論,
の情報交流を活性化させるために,
(a)現地での情
(d)地図上での情報の可視化と共有が求められる.
報収集と積極的な投稿を目的にポイント制を導入す
本研究では,曽我ほか(2008)が開発してきた地域
る.ここでは,
ログインや情報の投稿などのアクショ
SNS 連携マップを住民参加型 GIS として利用するた
ンを起こすことでポイントが貯蓄される.Foursquare
めに,
(a)現地での容易な情報収集と(d)地図上で
やポイント機能を有する地域 SNS(多田ほか,2007;
の情報の可視化と共有の機能を強化する.一方,
(b)
神山,2009)が存在するが,本システムでは住民参
空間分析には既存の商用 GIS ソフトを,
(c)意思決
加型 GIS として,位置情報投稿のポイント配分を高
定のための議論には地域 SNS の標準機能であるコ
く設定し,現地での投稿を促す.また,貯蓄された
− 127(37)−
データベース
SNSサーバ
GPS
行動エリア
Google Maps API
PC
位置情報
Google Static Maps API
投稿情報
SNSエンジン
GPS携帯電話
商用GISソフトに
よる空間分析
SNS DB
図 1 システム構成
図 2 矩形の行動エリアの算出
ポイントは地域の団体が主催するイベントでのみ使
えるクーポン券と交換できるようにし,参加者がイ
d
2
ベントの開催地に赴く行動を促す仕組みとする.
(4)商用 GIS ソフトによる空間分析と地域 SNS にお
( a, b)
( x2 , y 2 )
ける議論
道路
(b)空間分析では,活動の目的に応じた情報の重
1
ね合わせ,レイヤ表示,空間検索や集計を行える必
( x1 , y1 )
要がある.安価で操作の容易な商用GISソフトやオー
プンソースのデスクトップ GIS が存在するため,本
システムには空間分析機能を実装せず,地域 SNS に
図 3 道路に付随する行動エリアの算出
蓄積されたデータをこれらのGISを用いて分析する.
また,
(c)意思決定のための議論には,地域 SNS の
度をもとに緯度・経度の最大値と最小値を求め,そ
標準機能であるコミュニティ機能を用いる.
れらを直線で結んだ範囲を300mずつ拡大して求めら
れる.矩形による行動エリアの算出を図2に示す.図
3.2.機能開発
中の盛岡駅などに配置されたマーカが選定した地点
本研究では,方針(1)∼(3)を実現する機能を開
であり,それらを囲む矩形が行動エリアである.も
発した.システム構成を図 1 に示す.機能開発にあ
う一つは,利用者が通学・通勤路などよく利用する
たり,開発言語に PHP と JavaScript,データベース
道路上の6つの地点を選定し,これらによって結ば
に MySQL,SNS エンジンに OpenPNE 2.12.17 を使用
れる道路に付随する矩形を算出する方法である.道
し た.GIS 機 能 に は,PC 版 で Google Maps API を,
路に付随する行動エリアは,式(1)より算出される.
GPS携帯電話版でGoogle Static Maps APIを利用した.
3.2.1.行動エリア機能
行動エリア機能は方針(1)に対応し,利用者やコ
a = x2 +
b = y2 +
d | y1 − y2 |
( x1 − x2 ) 2 + ( y1 − y2 ) 2
d | x1 − x2 |
(1)
( x1 − x2 ) 2 + ( y1 − y2 ) 2
ミュニティの地図に行動エリア内の情報を抽出し,
図 3 と式(1)より,道路に付随する行動エリアは,
その行動や活動を支援する.行動エリアの算出のた
隣接する二点間の位置 1(x1, y1),位置 2(x2, y2) の 2 点
めに,2つの方法を考案し併用した.一つは,自宅お
から,位置 1 および 2 より道路に対して距離 d=300m
よび通学・通勤先の住所,そして頻繁に利用する任
だけ水平垂直方向にある距離の差分 (a, b) によって
意の3つの地点を選定し,これら計5地点を囲む矩形
算出される.これは,隣接する二点を対象として計
により算出する方法である.矩形は5地点の緯度・経
算されるため,6 地点すべてを包含する.ただし,
− 128(38)−
図 5 GPS 携帯電話版行動エリアマップ
て利用者の現在位置を取得し,そこを中心とする周
辺の投稿情報や公共施設,店舗などの地域情報を抽
図 4 PC 版行動エリアマップ
出するGPSエリア参照機能を開発した.マーカ表示
と地図移動は,行動エリア機能と同様の仕様とする.
利用者が選定する道路上の点は道路上へのマッチン
グを行っていないため,選定した地点によっては直
線が道路上に表示されない.
3.2.4.ポイント機能
ポイント機能は方針(3)に対応し,ポイント貯蓄,
行動エリアマップとして,PC 版を図 4 に,GPS
クーポン管理,ポイント消費の3サブ機能から構成
携帯電話版を図 5 に示す.図中には,矩形による行
される.地域イベントでポイントを利用するだけで
動エリアと道路に付随する行動エリアを算出するた
なく,そこでテーマを与え位置情報を投稿すればよ
めの線を示している.道路に付随する行動エリアに
り高いポイントを得られるように設定を変更できる.
ついては,システム上にはこれを算出するための線
ポイント貯蓄サブ機能では,利用者が地域SNSに入
のみが表示される.
会,友人招待,位置情報投稿,日記投稿,コメント
書き込み,ログイン(1日1回)を行うことにより,
3.2.2.位置情報投稿機能
ポイントが貯蓄される.ここでは,OpenPNEの機能
位置情報投稿機能において,PC 版では地図から
のひとつであるポイント機能に,ログインと位置情
の位置情報投稿,コミュニティ毎の地図作成,日記
報投稿によるポイント貯蓄を拡張した.クーポン管
からの位置情報投稿,位置情報へのコメントの機能
理サブ機能では,地域SNS管理者がクーポン券の登
を開発した.方針(2)に対応する GPS 携帯電話版で
録,削除,編集を行える.ポイント消費サブ機能は,
は,ワード検索投稿,GPS 投稿,位置情報へのコメ
クーポン券を商品と交換する機能である.クーポン
ントの機能を開発した.ワード検索投稿では,利用
券生成時にQRコードが自動生成され,利用者はPC
者がランドマークとなる建物や地名を入力し,これ
と携帯電話でクーポン券を取得する.クーポン券の
から Google Maps API によるジオコーディングを行
読み取りと認証は,認証者の携帯電話のバーコード
い,該当位置を算出する.GPS 投稿では,GPS によ
リーダ機能で行う.バーコードリーダで読み取った
り利用者の現在位置を特定し投稿する.この位置に
情報をSNSサーバに送信して認証を完了し,このと
ズレがある場合は,利用者が手作業により画面上で
きポイントが減算される.
修正する.
4.運用モデルの提案と実践
本章では,窪田ほか(2009)が提案した住民参加
3.2.3.GPSエリア参照機能
GPS携帯電話版では,
方針
(2)
に対応してGPSによっ
型 GIS としての地域 SNS の運用モデルについて述
− 129(39)−
行政【橋渡し役】
・運営主体のサポート
・利用者に安心感を与える役割
運営主体
NPO【調整役・門番】
担当部署
・参加者の募集
・行政情報の発信
・システムの導入・保守
・参加者募集
・利用者の問い合わせ対応
・イベント企画 などの全般的な業務
他部署
機能を積極的に利用し,その利用方法や効果を示す
役割が期待される.行政は,参加者に安心感を与え
る役割を担い,参加者の募集,行政情報の発信,継
続的な運営の支援を行う.大学は,システムプログ
地域SNS運営
・行政情報の発信
・一利用者として参加
・積極的な投稿
画などである.また,まちづくりや地域活動で GIS
ラムの貸与と導入,簡単に利用できる環境の整備と
その教育を担う.コアメンバは,新規参加者のサポー
一般利用者による
コアメンバ【伝道者】
大学【達人】
・システムの導入,運用助言
・投稿データの分析
・運営当初はNPOメンバに期待
・新規メンバの勧誘,返信
・積極的な投稿
図 6 地域 SNS の運用モデル
トやイベント企画を行うこと,さらに GIS の知識と
体験を広げることが望ましい.地域住民がコアメン
バとして運用開始から活動することは難しいので,
当初は NPO がコアメンバの役割を担う.
4.1.2.継続的な運営のための要素
べ,これを実践する.住民参加型 GIS に係わる行政,
(1)運営資金の確保
NPO,大学などの運営体制,組織の役割および継続
システムを長期的かつ継続的に運営し,組織活動
的な運営のための要素を明確にし,地域住民の参加
としての水準を維持するためには,必要十分な資金
意欲を高める工夫を行うことが,情報収集や発言,
を確保することが重要である.そのため,自主的な
地域コミュニティの活性化につながると考える.運
資金を確保する工夫を実践することや行政の支援を
用モデルは,地方自治情報センター(2008)の提案
受けることが考えられる.行政の支援を受ける場合
を住民参加型 GIS の視点で拡張したものである.
は,その効果の測定が求められる.
(2)GIS に関する教育
4.1.運用モデル
地域 SNS のコミュニティ機能を利用するだけで
4.1.1.運営体制
なく,地図上に地域情報を可視化し,その意味を理
住民参加型 GIS としての地域 SNS を継続的に運営
解できる人材や GIS の空間分析機能を利用できる人
するために,複数の関係者による運営体制を構築す
材(今井,2009b)が必要である.GIS の初心者がこ
る.この運用モデルを図6に示す.運用モデルでは,
れを自ら理解し利用することは難しいため,GIS の
運営主体として NPO を考える.NPO が主体となる
知識,機能や操作を学び,体験できる教育を受けら
ことにより,参加しやすい雰囲気を構築でき,柔軟
れる環境と機会を設ける.
な運営を行える.さらに,行政が係わることにより,
(3)システムの導入・保守
住民参加型 GIS をまちづくりや地域づくりに活用す
NPO がシステムのインストール,サーバ保守な
ることを明確にする.庄司ほか(2007)では,ネッ
ど導入・保守の役割を担う.大学は,導入・保守の
トワークを維持・発展させるために必要となる役割
アドバイスや協力を行う.また,GIS 機能を利用す
を示している.提案する運用モデルをこれに当ては
る上で参加者に専門知識が必要となるため,大学は
めると,人のつながりを生み出す“調整役”と情報
参加者への GIS 教育や問い合わせに対応する専門家
の流れと内容を制御する“門番”を NPO,広報を行
としての役割を担う.
う“橋渡し役”を行政,ネットワーク運営や GIS の
(4)場の構築(雰囲気づくり)
専門能力を持つ“達人”を大学,参加者を盛り上げ
住民参加型 GIS が開始してから時間が経過する
る“伝道者”を一般利用者によるコアメンバが担当
と,徐々に停滞する可能性がある.住民参加型 GIS
する.運営主体である NPO の役割は,システムの
を継続的に運営するために,地域 SNS の雰囲気づ
導入・保守,利用者の問い合わせ対応,イベント企
くりは欠かせない要素である.そのため,運営者は,
− 130(40)−
新鮮な情報を提供することや実際に会う場である住
(1)まちづくりに利用できるか
民参加活動やイベントを企画・提供することが必要
(2)他者とコミュニケーションが図れたか
である.また,コアメンバが自発的に,特に新規メ
(3)行ったことのない場所に興味がわいたか
ンバの投稿にメッセージを送る,もてなすなどの取
(4)行動エリアマップがあると便利か
り組み,および,テーマの設定(例えば,
「観光おす
(5)位置情報投稿機能は便利か
すめマップを作ろう」)を行う.
(6)操作はわかりやすかったか
0%
20%
良い
4.2.運用モデルの実践
40%
やや良い
60%
普通
80%
やや悪い
100%
悪い
図 7 PC 版の評価結果
開発した地域 SNS は,岩手県滝沢村をフィール
ドとする「滝沢村地域 SNS」として,2009 年 10 月か
情報が投稿された.投稿の内訳は,地図からの投稿
ら提案した運用モデルに従って運用されている.こ
として駅や店舗などが 33 件,コミュティにおける
の運営主体は NPO であり,滝沢村が運営資金の一
投稿が 12 件,日記からの投稿が 22 件,位置情報へ
部を助成,大学が技術・運営を支援し,これらが活
のコメントは 0 件であった.参加者にアンケートを
用推進ワーキング(WG)を結成して活用促進を図っ
依頼し,滝沢村役場職員 9 名と NPO メンバ 8 名の計
ている.また,前述のように地域住民が地域 SNS
17 名から回答を得た.評価結果を図 7 に示す.シス
と GIS に触れる教育が必要であるため,NPO と大学
テム全体の有用性(1)∼(3)については,評価実験
が大学祭や地域イベントでの広報を行うとともに,
では地図上の投稿数が少なかったため,肯定的な評
2010 年 11 月にはシニア向け ICT セミナーの一環と
価が少なく良好な結果を得られず,各機能を明確に
して,50 歳以上の村民を対象に講習会を実施した.
有用とは判断できなかったが,地域活性化のツール
として活用できるという意見を得られた.行動エリ
5.運用評価
ア機能の有用性(4)については,システム全体と同
5.1.評価概要
様に投稿数が少なかったため,明確な評価結果を得
滝沢村地域 SNS は,2009 年 10 月の運用当初には
られなかった.位置情報投稿機能の有用性(5)につ
PC 版の行動エリア機能と位置情報投稿機能が実装
いては肯定的な意見が 60% 以上であり,位置情報
され,2010 年 1 月に GPS 携帯電話版の各機能の拡張,
を容易に収集し投稿する基礎ができたと考える.操
2010 年 8 月にポイント機能の拡張が行われた.運用
作性(6)については,OpenPNE のインタフェース
前に,PC 版は 2008 年 11 月から 12 月に,GPS 携帯電
が他の商用 SNS と同等であるため,普通という評
話版は 2009 年 12 月から 2010 年 1 月に評価を行った.
価が多くなったと考えられる.これらの結果を受け
行動エリア機能,位置情報投稿機能および GPS エ
て,本システムが滝沢村地域 SNS として利用され
リア参照機能については操作性と機能検証を中心に
ることが決定された.
評価し,ポイント機能については 2010 年 8 月からの
GPS 携帯電話版では,実運用環境において位置
実運用において有用性,操作性,魅力性の観点から
情報投稿,行動エリアおよび GPS エリア参照の各
評価した.
機能を検証した.評価は,大学生 28 名を対象とし
て,2009 年 12 月から 2010 年 1 月に行われた.この
5.2.評価結果
時点で投稿数は 277 件であった.評価者は滝沢村地
5.2.1.システムの機能検証
域 SNS に登録し,PC で行動エリアを設定したうえ
PC 版の位置情報投稿機能と行動エリア機能は
で本システムを利用した.アンケート結果を図 8 に
2008 年 11 月から 12 月の約 1 ヶ月間に,滝沢村役場
示す.操作性(1)∼(3)については,各項目ともに
職員 17 名,NPO メンバ 13 名,学生 8 名を含む 42 名
60% 以上が肯定的であり,利用者が負担を感じるこ
により利用された.その結果,期間中に 67 の位置
となく利用できるといえる.有用性(4)∼(6)に
− 131(41)−
(1)クーポン券をスムーズに取得できたか
(1)行動エリア機能は操作しやすいか
(2)クーポン詳細画面はわかりやすいか
(2)位置情報投稿機能は操作しやすいか
(3)ポイント機能は投稿の動機づけになるか
(3)GPSエリア機能は操作しやすいか
(4)ポイント5倍は投稿の動機づけになるか
(4)行動エリア機能は役に立つか
(5)新規会員数・投稿の増加につながるか
(5)位置情報投稿機能は役に立つか
(6)ポイント交換イベントに参加したいか
(6)GPSエリア機能は役に立つか
(7)滝沢村地域SNSを続けたいか
0%
20%
良い
40%
やや良い
60%
普通
80%
やや悪い
100%
0%
悪い
20%
良い
40%
やや良い
60%
普通
やや悪い
図 8 GPS 携帯電話版の評価結果
図 9 ポイント機能の評価結果
ついても 60% 以上が肯定的であり,特に携帯電話
表 1 滝沢村地域 SNS のログ分析
による位置情報投稿のニーズが高いことがわかる.
GPS 携帯電話版では,PC 版の評価より投稿数が増
えたため,より良好な結果を得られたと考えられる.
期間
ポイント機能導入前
ポイント機能導入後
ポイント5 倍期間中
アクティブ率平均
7.7%
9.2%
16.1%
80%
100%
悪い
日記投稿数平均
0.6 件 / 日
0.5 件 / 日
3.7 件 / 日
以上,PC 版と GPS 携帯電話版の各機能は実運用
の環境で正常に稼働することを検証できた.
ポイント機能に魅力があることを検証できたとはい
えない.アンケートの自由記述には,自分にとって
5.2.2.システム運用
魅力的なイベントであれば参加したいという意見が
滝沢村地域 SNS の運用開始後,新規会員が約 100
あった.参加者が少なかったのは商品の魅力とイベ
名,日記投稿が 1 日 1 件未満と運営者が期待するほ
ントの PR が不足していたためと考えられ,これら
ど増えなかった.そこで,地域 SNS 内の情報交流
を早期に告知する必要がある.
を活発にするために,ポイント機能を 2010 年 8 月に
滝沢村地域 SNS のアクセスログを分析した結果を
導入した.2010 年 10 月 23 日に開催された岩手県立
表 1 に示す.アクティブ率は,3 日以内にログイン
大学大学祭においてクーポン券の交換イベントを開
した利用者の割合を示す.アクティブ率については,
催し,そこで参加者によるアンケート評価を行った.
ポイント機能導入前は平均7.7%,
導入後は平均9.2%,
なお,10月4日から10月23日まではポイント5倍キャ
ポイント 5 倍期間中は平均 16.1% であった.日記投
ンペーン(以下,ポイント 5 倍という)を行い,参
稿数については,ポイント機能導入前は 1 日平均 0.6
加者の投稿を促進するようにした.評価の対象者は,
件,導入後は平均 0.5 件,ポイント 5 倍期間中は平均
地域 SNS の交換イベントの告知を見て集まった既
3.7 件であった.会員数については,ポイント機能
存会員の大学生 6 名と,当日に広告を配り登録した
導入前は 109 名,導入後は 132 名となり,23 名増加
新規会員の高校生 3 名である.
した.システム導入後,アクティブ率はわずかに増
実運用の環境において,ポイント機能は正常に稼
えたが,日記投稿数はあまり変化がなかった.一方,
働したので,機能検証を行うことができた.参加者
ポイント 5 倍期間中はアクティブ率,日記投稿数と
による評価結果を図 9 に示す.操作性に関する質問
もに増加した.これより,ポイント機能が参加者の
(1),
(2)においては,約 8 割が肯定的な評価であっ
動機づけとなり,投稿意欲の促進につながったこと
た.これによりポイント機能を初めて利用する人で
がわかった.ポイント機能は地域 SNS 内の情報交流
も負荷なく操作できるといえる.有用性に関する質
を活性化させる可能性が高いと考える.
問(3)∼(5)においては,約9割が肯定的な評価であっ
た.魅力性に関する質問(6),
(7)においては,約 9
5.3.考察
割が肯定的な評価であったが,実験でイベント告知
5.3.1.有用性
を見て訪れた人は大学生6名だけであった.よって,
本研究では,全国規模の SNS とは異なり地域を
− 132(42)−
限定して対象としており,PC と GPS 携帯電話によっ
5.3.2.操作性
てその地域に愛着を持つ住民が地域の情報を容易に
操作性については,システム全体で 60%以上が
収集して地図上に可視化し,その地域に興味がある
肯定的な評価結果を示したため,利用者が負担を感
人と情報を共有することを目指した.開発したシス
じることなく利用できる.ただし,中高齢者には操
テムは機能検証と運用をとおして,滝沢村地域 SNS
作しづらい点があったため,講習会を開催し,利用
として利用された.これは,評価と運用の結果,行
者の裾野を拡大する必要がある.
動エリアの考慮によって利用者の活動範囲内の情報
本研究ではオープンソースソフトウェアである
を抽出することが容易になること,GPS 携帯電話の
OpenPNE を利用することにより,開発した機能の
利用によって現地での情報収集と投稿を支援できる
移植性を確保した.システム機能を Web API として
こと,およびポイント制によって地域 SNS と地域
開発しているので,OpenPNE を採用する他の地域
イベントなどの参加の行動が促進されることが有用
SNS に機能を移植することができる.
と確認されたためと考える.佐藤(2010)によれば,
地域において住民が簡単に情報を発信,共有できる
5.3.3.魅力性
ツールが求められており,住民がマッピングサイト
システム運用における評価では,滝沢村地域 SNS
作りに参加することで,地域に行ってみたいという
を利用し続けたいという良好な回答が約 9 割であっ
行動レベルの意識を喚起できる.本システムは,住
た.また,ポイント 5 倍期間終了後もアクティブ率
民が簡単に情報を発信,共有し,地図に可視化する
と日記投稿数はポイント機能導入前より高い水準を
ツールのひとつと捉えられ,これを住民参加型 GIS
保っている.したがって,今後もシステムを利用し
として利用できる可能性が高いと考える.ただし,
たいという魅力性が高まったと考える.ただし,地
住民参加活動で各機能を検証し,その有用性を分析
域イベントや住民参加活動のテーマや内容の設定に
する課題が残った.
よって参加意欲が高まる可能性があるため,テーマ
滝沢村地域 SNS の参加者は 2011 年 3 月末現在で
164 名であり,滝沢村人口(約 5 万人)の 0.33% にあ
たる.盛岡市(人口約 30 万人)を範囲とする地域
や内容を工夫するとともに地域 SNS で早めに告知
する必要がある.
地域 SNS や住民参加活動においては,参加者の盛
SNS「モリオネット」の参加者は約 1,100 人(約 0.37%)
り上がりを持続する仕組みが必要であるため,現地
であり,滝沢村地域 SNS の参加者は少なくない.
活動やイベントなどが実施されることが多い.滝沢
滝沢村地域 SNS は情報交流が活発でないという課
村地域SNSでは,盛岡市や北海道小樽市と連携して,
題を抱えていたが,本研究により,徐々に情報交流
宮澤賢治と石川啄木の文学世界のコンテンツを発信
が活性化している.例えば,2011 年 3 月 11 日に発
し,参加者がスポットを巡る旅を行った(地域総合
生した東日本大震災のコミュニティが立ち上がり,
整備財団,2011).このような対面での取り組みが
支援物資や燃料などの情報が交換された.また,3
今後も積極的に実施されることが必要である.地域
次元空間データを用いた歩行空間のカラーユニバー
SNS の対象範囲は広くないが,位置情報をキーにし
サルデザイン支援(窪田ほか,2011)のコミュニティ
て複数の地域 SNS を連携することにより,各地域
で参加者の意見が収集された.これらは,位置情報
の魅力を共有でき,それが地域の問題解決につなが
と親和性が高く,地域 SNS 内での情報交換と議論
ることがあると考える.
に適した事例であり,本システムの活用可能性を示
している.したがって,コミュニティにおいて,参
加者の興味を喚起するようなテーマ設定がなされて
いれば,より多くの投稿が見込まれた可能性がある.
5.3.4.今後の課題
本研究では,住民参加活動や地域コミュニティ活
動を行い,児童の通学時の安全確保,まちの景観や
美化などの課題解決のために,ヒヤリマップによる
− 133(43)−
安全対策立案,まちの景観検討,清掃箇所の優先順
加活動での実証とその積み重ねが挙げられる.滝
位付けなどの意思決定を行う場面での実証には至っ
沢村地域 SNS はテーマを特定した SNS ではないが,
ていない.本システムを用いて,地域課題を現地活
まちの景観や行政施策など特定のテーマを議論する
動,地図上での可視化,空間分析と議論によって解
住民参加活動においてシステムを利用し,住民参加
決する実証が必要である.システムの有用性につい
型 GIS として地域の課題解決を行う実証が必要であ
ては,今後の長期運用を経て詳細に測定していく.
る.そして,システムの長期運用によるデータの分
また,地域の課題解決の場面では,地図上に可視化
析により,その効果を検証する.また,空間的思考
した情報を理解し,空間分析と論理的推論を行える
を有する人材を育成するための教育が必要である.
空間的思考(今井,2009b)を有する人材を育成する
ために,演習と実証の機会を提供する必要がある.
謝辞
一方,住民参加型 GIS としての地域 SNS を継続し
本研究は,岩手県立大学平成 20 ∼ 22 年度全学研
て運営するためには,運用モデルの要素である資
究費(連携研究)の支援を受けて行った.ここに記
金の獲得が課題である.サイトで広告収入を得る
して感謝の意を表します.
ビジネスモデルが考えられるが,地域を限定する
SNS ではまだ現実的ではない.そのため,住民参加
参考文献
活動や地域コミュニティ活動の重要な担い手であ
阿部昭博・佐々木辰徳・小田島直樹(2004)位置情
る NPO が地域 SNS を運営し,当該地域の地方公共
報を用いて地域コミュニティ活動を支援するグルー
団体が資金面で支援することが望ましい.NPO は
プウェアの開発と運用評価.
「情報処理学会論文誌」,
地方公共団体からの支援によって安定して地域 SNS
45(1),155-163.
を運営でき,相互連携して外部の資金を獲得するこ
今井修(2009a)市民参加型 GIS,コミュニケーショ
とができるようになると考える.
ンと GIS.
『シリーズ GIS 第 3 巻 生活・文化のため
の GIS』
(村山祐司・柴崎亮介編),朝倉書店,67-
6.おわりに
81.
本研究では,住民参加型 GIS における住民参加活
今井修(2009b)市民参加活動団体向け GIS 教育の研
動や地域コミュニティ活動の現地での情報収集,地
究.
「地理情報システム学会講演論文集」,18,453-
図上での地域情報の可視化と共有のために,GIS 機
456.
能を強化した地域 SNS を開発し,岩手県滝沢村で
上田紀之・中西泰人・真鍋陸太郎・本江正茂・松川
実運用した.システムでは,利用者の行動エリアの
昌平(2003)時空間ポエマー+カキコまっぷ− GPS
考慮,GPS 携帯電話の利用,ポイント制の導入,商
カメラケータイを用いた WebGIS の構築−.
「信学技
用 GIS ソフトによる空間分析と地域 SNS による議
報」,電子情報通信学会,HIP2003-13,71-76.
論という方針を定め,行動エリア,位置情報投稿,
梅田空大・冨澤眞樹(2006)地域指向型 SNS の提案.
GPS エリア参照,ポイントの各機能を PC 版と GPS
「情報処理学会研究報告」,2006-IS-95,69-76.
携帯電話版に実装した.また,住民参加型 GIS とし
神山卓也(2009)地域 SNS 発のまちおこしに関する
ての地域 SNS を継続的に運営するための運用モデ
事例研究.
「日本情報経営学会誌」,30(2),12-21.
ルを提案し実践した.本システムは,2008 年 11 月
窪田諭・曽我和哉・佐々木敬志・瀧澤寛之・深田秀
から 12 月まで,および 2009 年 12 月から 2010 年 1 月
実・阿部昭博(2009)地域 SNS を核とする住民参加
までの機能検証,そして 2009 年 10 月から滝沢村地
型 GIS の開発とその活用モデルの提案.
「地理情報
域 SNS としての本運用を行った結果より,住民参
システム学会講演論文集」,18,457-460.
加型 GIS として活用できると考える.
窪田諭・関博之・狩野徹・阿部昭博(2011)歩行空
今後の課題として,システム運用における住民参
間におけるカラーユニバーサルデザイン支援シス
− 134(44)−
テムの開発と適用.
「情報処理学会論文誌」,52(1),
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「情
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− 136(46)−
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