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組織再編の意義 事業譲渡(467Ⅰ①)等 「事業の譲渡」の意義 「事業
組織再編の意義� 商法[会社法] • 企業の多角化、大規模化において、事業の再 編が必要になることも →経営判断として経営者に委ねられる面もある が・・・ ����������↓ • 株主の利害に重大な影響を与えるため、原 則として株主総会の特別決議等が必要 • 一定の場合には会社債権者保護手続も� 会社の変更・再編 1 「事業の譲渡」の意義� 事業譲渡(467Ⅰ①)等� 判例:一定の営業(事業)目的のために組織化さ れた機能的財産を一体として移転することであり、 それにより譲受人が営業者たる地位を承継し、 譲渡人が法律上当然に競業避止義務を負うに 至るもの c.f.百選92事件 • 事業全部の譲渡、重要な一部の譲渡 • 他の会社の事業全部の譲受け・賃貸 • 事業全部の経営委任 A社 B社 某事業部門 事業譲渡=「事業」の売買契約 賃貸=賃貸借契約 経営委任=経営委任契約 2 3 「事業の譲渡」の意義� 4 事業譲渡手続 • 多数説:機能的一体としての組織的財産の譲 渡(必ずしも競業避止義務等は要件でない) • 株主への通知・公告(469ⅢⅣ):差止め、株 式買取請求の機会を与えるため • 有力説:営業用財産のみの譲渡でも該当しう る ↑ 株主の保護に重点のある有力説と、機動性・ 取引の安全重視の判例・多数説 • 反対株主の買取請求権(後述) ←譲渡と同時に解散の決議がなされた場合 は請求権なし(496Ⅰただし書) 5 • 事業全部の現物出資:事業譲渡の一種とし て捉える見解も(次スライド参照) 6 1 合併 事業全部の現物出資� • B社がその事業全部を A社に譲渡、A社はそ の株式をB社に交付 ������↓ • B社はA社株式を自社 株主に分配� • 新設合併と吸収合併 A社 A社 B社 A社 B社 B社 C社 B社株主 A社 A社・B社は消滅 A社は存続・B社は消滅 7 吸収合併の利用が多い� 8 合併のメリット� • 新設合併の規定特に設立委員(平成9年改正 前商法56条3項)の権限が不明確であった • 免許事業の場合、新設会社は改めて免許を申 請しなければならない • 当事会社全部が解散すれば、株券を発行して いると回収・交換を全ての会社で行う必要があ る • 上場会社だと株式売買を一時中断し再度上場 申請する必要がある • 規模の経済、範囲の経済 c.f.シナジー効果 • 技術的弱点の相互補完 • 経営の合理化、総合力の強化 • 業績不振の会社の救済 • 購入困難な資産・技術・免許などの入手 • 株式の券面額の引き下げ←額面株式の あった時代 9 合併手続① 10 合併手続②−承認決議等 合併契約締結(748):取締役会の決議を経て、 当事会社の取締役が株主総会の特別決議に よる承認(基本形。簡易・略式組織再編の場合 や、会社形態によって異なる)を停止条件とし て締結 • 合併対価が持分等である場合、新設合併にお いて設立会社が持分会社である場合、簡易組 織再編行為等・略式組織再編行為等である場 合を除き、各当事会社は株主総会の決議必要 ↓ 書面の備置・閲覧等(782・794・803) 承認決議等 11 12 2 合併手続②’−承認決議等 合併手続③ • 原則:特別決議(309Ⅱ⑫) • 消滅会社が、一定の要件を満たす公開会社の とき(同Ⅲ②③) • 消滅会社が、一定の要件を満たす種類株式発 行会社である場合(783ⅢⅣ・804Ⅲ) • 一定の要件を満たす種類株式発行会社が存続 会社の場合(795Ⅳ) • 株主への通知・公告 • 反対株主の買取請求権(後述) • 債権者保護手続(789・799・810)(後述):合併 により債務者としての会社の資力に変化が生じ るため 13 合併手続④−合併の効力発生� • 吸収合併の場合:合併の効力発生日(749Ⅰ⑥・ 751Ⅰ⑦)に消滅会社の権利義務を存続会社が承継、 消滅会社の株主に金銭その他の財産のみを交付する 場合を除いて、消滅会社の株主は存続会社の株主に (750・752) • 新設合併の場合:設立会社は、その成立の日に消滅 会社の権利義務を承継し、消滅会社の株主に金銭そ の他の財産のみを交付する場合を除いて消滅会社の 株主は設立会社の株主に(754・756) 14 合併手続⑤ 合併事項書面の備置(801ⅠⅢⅣ・815ⅠⅢⅣ) 合併登記(921・922) ・吸収合併:効力発生日から2週間以内に、存 続会社は変更登記、消滅会社は解散登記 ・新設合併:事情により異なる起点から2週間 以内に、設立会社は設立登記、消滅会社は解 散登記 を本店所在地で 15 合併対価の柔軟化① 通常は存続会社、新設会社の株式 →財産の種類が限定されておらず、存続会社の 親会社、子会社、関連会社の株式・社債等の有 価証券も(749Ⅰ②・751Ⅰ③) A社の 親会社 A’社株式:柔軟化によ り可能となる対価 B社 B社株主 A’社 A社 A社 A社株式が一般的 な対価 A社とB社による(Aを存続会社とする)吸収合併17 16 合併対価の柔軟化② • いわゆる「三角合併」(前のスライド参照)に企 業は戦々恐々 ※「スクイーズアウト」は可能か • 理論上は可能 ↓ただし • 少数派株主締出しを主要目的とする現金対価 合併にかかる契約書の承認決議は決議取消 原因ありとする見解も 18 3 合併の効果� 合併の効果� 効力発生と同時に、存続会社・新設会社以外 の会社は解散、存続会社は存続、新設会社は 成立 →合併の効力発生は、新設合併にあっては登 記の日(49)、吸収合併にあっては効力発生日 と定めた日(749Ⅰ⑥) 金銭その他の財産が消滅会社の社員に交付 されたときを除き、消滅会社の株主は原則と して存続会社または新設会社の株主に (750Ⅲ①・754Ⅱ) 19 20 合併の効果:権利義務の承継� 吸収合併と事業譲渡・譲受け� 権利義務は存続会社・設立会社に一般承継 (750Ⅰ・752Ⅰ・754Ⅰ・756Ⅰ)=消滅会社の清 算は不要(475①かっこ書・644①かっこ書) ↓ただし 個別の財産の対抗要件の具備は必要 • 類似点:事業用財産の重要な部分の移転 →株主の利害関係に大きな影響 →原則として株主総会の特別決議必要、反対 株主に株式買取請求権 • 相違点: ・包括承継か否か ・債権者保護手続の有無 ・会社の解散 ・無効主張が民法の一般原則で可能か否か 承継されるのは消滅会社の権利義務であり、資 本金額・準備金額が承継されるわけではない 21 会社分割 会社分割制度導入の経緯� • 新設分割と吸収分割 吸収分割 既存の会社 会社の事業の全 部または一部 22 新設の会社 新設分割 23 • 平成12年改正前商法:会社設立と現物出資、 財産引受等を組み合わせて行われていたが、、、 ↓ • 会社財産の分割にとどまり、株主に直接影響し ない • 事業の現物出資・譲渡では、包括承継がなく個 別に財産移転手続が必要 • 分割会社の利益準備金・任意準備金を、分割 により新設される会社に承継不可 24 4 会社分割制度導入の経緯� 会社分割制度導入の経緯� 平成12年改正で会社分割制度導入 ・吸収分割、新設分割(←スライド23参照) ・物的分割、人的分割←設立会社・承継会社 の株式等を、分割会社の株主に割当てるか否 かによる分類 の2 2=4種類規定されていた 新・会社法:吸収分割と新設分割の2形態の み →物的分割を原則とし、人的分割は分割会社に おいて株主に対する剰余金配当をすれば実 現可能 25 「事業」の承継� 26 会社分割の手続� 従来の一般的な考え方 あくまで営業(事業)の全部または一部を承継 する制度であり(改正前商373・374-16)、営業と は言えない個々の資産や債務の承継は別制度 で(現物出資など) 吸収分割契約の締結・新設分割計画の作成 (757・762など) 新・会社法:「事業に関して有する権利義務」 (757。なお、764Ⅰ)の承継 ←事業の承継は要求されなくなったとも解しうる 承認決議(783・795・804) 吸収分割契約・新設分割計画に関する書面の 備置・閲覧等(782・794・803) 27 会社分割の手続� 28 会社分割の手続� • 株主への通知・公告 ←株主に差止請求・株式買取請求の機会を確 保 分割の効力発生 • 反対株主の買取請求権(後述) 分割登記(923・924) 分割事項書面等の備置 • 債権者保護手続(後述):債務者(分割会社ま たは承継会社もしくは設立会社)の資力に変 更が生じる 29 30 5 親子会社� 親子会社関係の形成� • 子会社:会社がその総株主の議決権の過半 数を有する株式会社その他、当該会社がその 経営を支配している法人として法務省令(会社 規3)で定めるもの(2③) • 金銭出資・現物出資による子会社設立 • 他の会社の議決権付株式の取得 取得側は経営判断の一環 被取得側は株主の自己判断 ←会社法上(被取得会社保護の)特段の規定な し • 株式の現物出資 • 株式交換・株式移転(後述) • 親会社:株式会社を子会社とする会社その他、 当該株式会社の経営を支配している法人とし て法務省令(会社規3)で定めるもの(2④) 31 32 親子会社関係の問題点� • 親会社による子会社を用いた経営の粉飾の 恐れ • 33 6 親会社の責任� 利害関係者の救済� • 親会社による指示に基づく子会社役員の業務 執行で子会社に損害が生じた場合 →子会社に対する善管注意義務・忠実義務に基 づき責任は免れない • 親会社の責任(後述):不法行為責任等での追 及は可能(ただし要件を満たすことは困難) ※子会社の会社債権者等第三者が、親会社を 追及する理論構成 • 子会社の取締役・執行役が、親会社の指示に 事実上拘束される場合 →子会社の経営を行っているのは親会社そのも の ↓ • 親会社に429条を類推適用できないか 37 38 親会社の責任� 親子会社における役員規制� • 法人が取締役になれない理由を考えてみる ↑ • 唯一説得力があるのは、取締役個人に民事責 任を課すことで会社経営の姿勢を正す意図があ るのに、法人が取締役になることで骨抜きにな るおそれがあるという点(その他の点は、法人も 発起人にはなれるので、説得力に乏しい) =429条を類推して親会社にも責任を負わせるこ とは、この意図に反しない 親会社と子会社の役員を兼任することは少なく ない(ただし兼任が禁止されている役職あ り。335Ⅱ) ↓ 競業規制・利益相反取引規制との関連 ↓ 個別に承認を要するとするのでは不便=包括 承認の必要 39 株式交換・株式移転の手続� 完全親子会社 • 株式交換と株式移転 既存のB会社 40 A社株とB社株交換 =株式交換(2㉛) 新設のC会社 A社株とC社株交換 =株式移転(2㉜) • 株式交換契約の締結・株式移転計画の作成 • 書面の備置・閲覧等 • 承認決議等 A社株式を100%保有 株主 • 株主への通知・公告 完全子会社になろうとするA会社 41 42 7 簡易組織再編行為等−事業譲受� 株式交換・株式移転の手続� 反対株主の買取請求権(後述) 債権者保護手続(後述) 株式移転の登記 効力発生 株式交換・株式移転事項書面等の備置 43 他の会社の事業の全部の対価として交付する財 産の帳簿価額の合計が、譲受会社の純資産額と して法務省令(会社規137)で定める方法により算 定される額の5分の1 (定款でこれを下回る割合を 定めた場合にはその割合)を超えないときは、譲受 会社においては、原則として、株主総会の承認 不要(468Ⅱ) A社 B社 ただし譲渡会社は通常 純資産: の事業譲渡手続必要 100億円 15億円 (467Ⅰ①・309Ⅱ⑪) 44 で取引 簡易組織再編行為等−会社分割� 簡易組織再編行為等−合併� 消滅会社の株主に対して交付する株式その他 財産の帳簿価額の合計額が存続会社の純資 産額として法務省令(会社規196)で定める方法 により算定される額の5分の1(定款でこれを下回 る割合を定める場合はその割合)を超えない場合 には、合併差損が生ずるときや合併対価が存 続会社の譲渡制限株式であって存続会社が公 開会社でないときを除き、存続会社においては、 原則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ) 消滅会社は通常の合併手続必要 45 分割会社: 承継会社・設立会社に承継させる資産の帳 簿価額の合計額が、分割会社の総資産額とし て法務省令(会社規187・207)で定める方法によ り算定される額の5分の1(定款でこれを下回る 割合を定めた場合にはその割合)を超えない場合 は、株主総会の特別決議不要(784Ⅲ・805) 46 簡易組織再編行為等−会社分割� 簡易組織再編行為等−会社分割� • 承継会社:分割会社に対して交付する、 ・承継会社の株式の数に1株あたり純資産額 を乗じて得た額 ・承継会社の社債、新株予約権または新株予 約権付社債の帳簿価額の合計額 ・承継会社の株式等以外の財産の帳簿価額 の合計額 ・・・の合計額が承継会社の純資産額として法務 省令(会社規196)で定められた額の5分の1 (これを下回る割合を承継会社の定款で定め た場合にはその割合)を超えない場合は、原 則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ) 47 48 8 簡易組織再編行為等−株式交換� 完全子会社となる会社の株主に対して交付す る親会社となる会社の株式、社債その他財産 の合計額が、完全親会社となる会社の純資 産額として法務省令(会社規196)で定める額の 5分の1(定款でこれを下回る割合を定めた場合に は、その割合)を超えない場合は、一定の場合 を除き、完全親会社となる会社において、原 則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ) 原則に戻る場合� 簡易組織再編行為等に該当する場合でも、議 決権行使可能な株式を法務省令(会社規138・ 197)で定める数有する株主による反対通知が、 株主への通知・公告の日から2週間以内にあ れば、株主総会の特別決議必要(ただし分割 会社は総会決議不要)(468Ⅲ・796Ⅳ・309Ⅱな ど) 49 50 原則に戻る場合� 略式組織再編行為等� 公開会社以外の会社における譲渡制限株式 の発行・移転を伴う再編行為は株主総会の決 議常に必要(796Ⅰただし書など) 差損を生じる場合も決議必要(795Ⅱ) 事業譲渡等にかかる契約の相手方がその特 別支配会社である場合には、その契約につき 株主総会の特別決議不要(468Ⅰ) 51 略式組織再編行為等� 52 株式買取請求権 吸収合併における存続会社、吸収分割におけ る承継会社または株式交換により完全親会社 となる会社が消滅会社、分割会社または株式 交換により完全子会社となる会社の特別支配 会社である場合、原則として、当該契約につき 株主総会の特別決議不要(784Ⅰ本文・796Ⅰ 本文) 原則に戻る場合は簡易組織再編行為の場合と 類似 53 組織再編行為に反対を表明した株主、議決権 行使ができない株主(議決権制限の場合と、株 主総会決議が不要の場合=全ての株主)は、 会社に対して、自己の有する株式を公正な価 格で買い取ることを請求することができる (469Ⅰ本文Ⅱ・785Ⅰ柱書Ⅱ・797Ⅱ・806) 54 9 株式買取請求権 株式買取請求権 (例外)事業全部譲渡の承認決議と同時に解 散決議がなされる場合(469Ⅰただし書)、株主 の同意ある場合(785Ⅰ①・Ⅱ柱書かっこ書・ 806Ⅰ①)、会社分割で簡易組織再編行為等 が認められる場合(785Ⅰ②・806Ⅰ①)は、認 められない • 「公正な価格」の意義 当該組織再編行為等またはその承認決議が なければ有したであろう公正価格と、当該組織 再編行為等により生ずるシナジーなどを適切に 反映した公正価格とのいずれか高い額 55 56 新株予約権の買取請求権 債権者保護手続� 消滅会社・分割会社または完全子会社となる会 社の新株予約権者のうち、一定の条件を満た す者は、自己の有する新株予約権を公正価格 で買い取るよう請求できる(787Ⅰ・808Ⅰ) 対象となる(異議を述べることができる)債権者 ・吸収合併・新設合併→消滅会社の債権者 ・吸収分割・新設分割→分割会社に債務履行を 請求することができない分割会社債権者 ・株式交換・株式移転→それに関連した新株予 約権が付された新株予約権付社債を有する社 債権者 など 新株予約権付社債については、その社債をも 含めて買取請求する必要あり(787Ⅱ・808Ⅱ) 57 債権者保護手続� 58 債権者保護手続� 債権者の一部または全部が異議を述べるこ とができる場合には、種々の関連事項および 一定の期間内に異議を述べることができる旨 を官報に公告し、知れたる債権者については 各別に催告しなければならない(ただし電子 公告)(789・799・810) c.f.百選86事件「知れたる債権者」の意義 59 ※詐害行為取消権が会社債権者に認められる か 認められる余地もある ・定められた債権者保護手続では、必ずしもす べての会社債権者に対する催告が必要でない 場合がある ・会社法に詐害行為取消権を排除する規定が なく、組織法上の行為も否認権の対象となると するのが通説 60 10 組織再編行為の瑕疵を争う訴え 情報開示� 契約、計画等に関する事項を記載・記録した 書面または電磁的記録を本店に備え置かね ばならず、株主等は閲覧・交付請求ができる (事前開示)(782・794・803) 組織再編行為関連事項書面等の作成、効力 発生の日から6か月間本店備置(株主等の閲 覧・交付請求)(事後の開示)(791・801・811・ 815) 株主、会社債権者保護手続があるが、それを 無視して進められた場合 ↓ 無効にすべきだが、一方で組織再編行為が 行われた外観も存在 ↓ 無効主張の制限(提訴権者、提訴期間等の 制限)、無効の遡及効の否定、法律関係の画 一的確定のため、訴えによってのみ無効を主 張できるものとする 61 62 組織再編行為の無効原因 組織再編行為の無効原因 • 明文の規定なし →取引の安全とその他の者の利益保護を考 慮し、解釈によって定めるほかない ・非該当説 (c.f.買取請求権の行使で足りると する百選94事件) ただし、総会の承認決議の欠缺と認定でき る場合はそれにより無効と考えられるとする 説も ※合併対価等に関する定めが、当事会社の 財産状況などからみて不公正なことは無効 原因か ・無効原因該当説(有力説) 63 組織再編行為の無効原因 • 取引の安全を重視すれば無効原因は狭く 解すべき c.f.1募集株式の発行等に関する不公正な 払込金額は無効になるか(212Ⅰ①) c.f.2株主総会の特別決議を経ないでなされ た「特に有利な金額」による募集株式の発 行は無効になるか(百選26事件参照) 65 64 無効判決の確定による効果 • 将来に向かって無効(遡及効なし)(839) • 対世効(838) • 企業再編行為別に、無効判決の効果が規定 されている • 合併(937Ⅲ②③・843) • 会社分割(937Ⅲ④⑤・843) • 株式交換・株式移転(937Ⅲ⑥⑦・475③・ 843・844) 66 11 債務超過会社と組織再編 • 帳簿上のみならず、実質上も債務超過で ある場合であっても、組織再編行為の後 債務履行の見込みがない場合を除き、組 織再編行為は認められると解される ←資本充実の原則が(実質的に)放棄され た以上、そう解すべきとする c.f.履行の見込みがないことを分割無効原 因とした百選95事件 組織変更 • 株式会社→持分会社 • 持分会社→株式会社 (743) • 株式会社の組織変更には、株主、会社債 権者等の保護のため、組織再編行為と同 様の手続を踏む必要(745・775・776・ 779) • 組織変更無効の訴え(828Ⅰ⑥など) 67 定款変更 68 定款変更 • 会社の最高内規である以上、株主総会の特別 決議によってなし得るのが原則(466・309Ⅱ⑪) ↓しかし • 株主総会の特殊決議が必要な場合 ・株式譲渡制限の新設 ・剰余金の配当等についての格別の定めの変更 • 種類株主総会の決議が必要な場合 ・譲渡制限株式または取得条項付種類株式と する定めの新設 ・株式の種類の追加等 69 70 定款変更 定款変更 • 総株主またはある種類株主全員の同意が必要 な場合 ・発行する全部の株式または既発行のある種 類株式を取得条項付株式・取得条項付種類株 式とする変更 ・一定の行為について法定種類株主総会の決 議を要しない旨の定め ・特定の株主からの自己株式取得に際して他 の株主に売主追加請求権を与えない旨の定め • 株主の利益に影響の少ない場合は総会決議不 要 ・株式分割の際の分割比率に応じた発行可能 株式総数の増加 ・株式分割と単元株式数 ・単元株式数の減少・単元株式数についての定 款の定めの廃止 71 • 定款の定めを廃止したとみなされる場合もあり 72 12 定款変更と買取請求権 企業再編の復習� • 定款変更も会社の基礎に大きく影響 ↓ • 反対する少数派株主には、投下資本回収の途 を確保する必要あり �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ��企業の(��)化・大規模化において、企業再編の 必要性に迫られることもあり、経営者は経営判 断として、再編行為を行うことがある。 ��もっとも、会社の根幹に関わることであり、株主 の承認(株主総会の(��)決議)を経ることが原 則となる。� • 株式買取請求権(116・117) • 新株予約権買取請求権(118・119) 73 74 企業再編の復習� 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����事業譲渡とは、事業の全部または一部を他 の会社に譲渡することであり、原則として(��) 決議が必要である(会��条��項)。事業譲渡の 意義には争いがあるが、一定の営業(事業)目 的のために(��)化された(��)的財産を一体とし て譲渡することとする点には、ほぼ異論がない。� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����合併とは、複数の会社が1つの会社になる ことであり、当事会社の1つが存続会社にな る形態を(��)合併、新たに会社を設立する形 態を�(��)合併という(会��条��号・��号)。前者 の形態を用いることが多いが、その理由は 様々あるところ、もっぱら事業活動に(��)を必 要とする業種においては、後者の形態だと新 たに申請が必要であるなどの煩雑さが敬遠 されている。� 75 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����合併の対価は、従来存続会社の(��)に限るとする のが一般的であったところ、現行法上、他の会社の (��)や、現金での交付も可能となっている(会��条�� 項参照)。そこで例えば下図のような合併も可能と なった。このような合併を一般に(��)と呼んでいる。� A社の親 会社 B社 B社株主 A’社 76 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ��会社分割には、事業の一部を新たに設立す る会社に委譲する(��)分割と、既存の会社 に委譲する(��)とがある(会��条��号・��号)。� A’社株式:柔軟化により 可能となる対価 A社株式が一般的な対 価 A社 A社 77 78 13 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 �����昨今の企業は、単体としてよりも、複数の企業 グループによるものが多い。とりわけ平成9年の 独占禁止法改正による(��)持株会社の解禁以 来、中枢としての親会社のもとに、複数の子会 社が従属する形態が目立つようになっている。 親会社とは、株式会社を子会社とする会社その 他当該株式会社の経営を支配している法人で あり、他の会社から議決権の(��)を保有されてい るなどの会社を子会社という(会��条��号・��号、 会社規��条)。� 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����完全親子会社関係を形成する手段として、株 式�(��)・株式(��)がある。前者は、既存の会社 を親会社とし、子会社の株主の保有する株式 と親会社の株式とを交換するものであり、後者 は、新設の会社を親会社とし、その会社の株 式と子会社の株主の保有する株式とを交換す るものである(会��条��号・��号参照)。� 79 企業再編の復習� 80 企業再編の復習� �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����事業譲渡、合併、分割等の再編行為において、 一定の要件を満たすとき、(��)決議を省略する ことができる場合がある。例えば事業譲渡にお いて、事業の譲受会社の支払う対価が当該会 社の純資産の(��)分の1を超えないような場合 である(会��条��項)。また例えば、事業譲渡の 相手方が(��)会社であるような場合にも、不要 である(会��条��項)。一般に前者を(��)組織再 編行為、後者を(��)組織再編行為と呼んでい る。� 81 �次の空欄および下線部を埋めなさい。 ����組織再編行為に反対する株主は、一定の手続の もと、その保有する株式の買取請求をすることが できる(会��条など)。この場合の買取価格は(��)な 価格であることが求められるが(同条��項)、一説に は、当該組織再編行為等またはその承認決議が なければ有したであろう公正価格と、当該組織再 編行為等により生ずるシナジーなどを適切に反映 した公正価格とのいずれか高い額であると考えら れている。� 82 14